JP4732208B2 - シーズヒーター用鋼管およびシーズヒーター - Google Patents

シーズヒーター用鋼管およびシーズヒーター Download PDF

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本発明は、シーズヒーターの金属パイプ部材に用いる溶接鋼管、およびその鋼管を用いたシーズヒーターに関する。
シーズヒーターは金属パイプ部材の内部に絶縁体を介して電熱線からなる発熱体を封入したヒーターであり、さまざまな用途に使用されている。その金属パイプ部材はヒーターの強度を担うとともに、外界の環境から発熱体を保護する役割を有する。なかでも温水器のヒーター等、上水(水道水)を加熱する用途で使用するシーズヒーターの金属パイプ部材には、塩化物イオンを含む温水環境での厳しい腐食性に耐え得る高耐食性が要求される。従来、そのような環境に対しては、耐食性の面からNiめっきを施したCu管やSUS316Lなどのオーステナイト系高耐食性ステンレス鋼管が使用されていた。
しかし、NiめっきCu管はめっきを必要とするため非常にコストが高く、また塩化物イオンを含む腐食性の環境ではめっきの欠陥が大きかった場合に孔食を生じることがある。他方、SUS316Lなどのオーステナイト系ステンレス鋼管はNiを多く含有するため高価であり、熱伝導性が低いという問題もある。また、シーズヒーターの金属パイプ部材はU字形に成形加工されて使用される場合が多いが、オーステナイト系ステンレス鋼は加工性の面では有利である反面、応力腐食割れを生じやすいという欠点を有する。
一方、応力腐食割れの問題を回避すること、およびコストダウンを図ることなどの理由から、金属パイプ部材にフェライト系ステンレス鋼が採用される場合もある。ただし、SUS430等の一般的なフェライト系ステンレス鋼は耐食性が低いため温水環境には適用できない。
特許文献1にはCr:9〜12%、Mo:1〜2%を含有するフェライト系鋼管を金属パイプ部材に使用したシーズヒーターが記載されている。しかし、温水環境で使用すると孔食が多発するという問題があった。
特許文献2にはCr:25%以上、Mo:1%以上をを含有する耐食性レベルの高いフェライト系ステンレス鋼管を使用したシーズヒーターが記載されている。しかし、このようにCrを多量に含有させたフェライト系鋼では加工性が低下し、U字曲げ加工時に母材部および溶接部で割れが発生しやすい。このため、曲げ半径の小さい部材に加工することが難しく、シーズヒーターの設計自由度が大きく制約される。
特許文献3にはSUS444等のフェライト系ステンレス鋼管を使用したシーズヒーターが記載されている。SUS444は極低C化を図ったMo含有鋼であり、貯湯槽等の温水環境に適した鋼であるが、シーズヒーターの金属パイプ部材用途においては造管溶接部で孔食が発生する場合があり、さらなる改善が望まれる。
特開昭61−32380号公報 特開平6−260266号公報 特開2005−327620号公報
ステンレス鋼管の製造方法としては、溶接造管により目標の管径のものを直接得る方法、あるいは溶接造管により一旦中間製品を作製し、それを引き抜き加工して目標の管径・肉厚にする方法が一般的に多く採用される。いずれの方法でも、管の外面の溶接部(溶接ビード部および熱影響部)およびその周辺部については機械研磨や酸洗によって酸化スケールを除去する処理が行われるが、耐食性は溶接部において最も低くなる。この耐食性低下は、溶接時に酸化スケールが形成されるとき、表面付近のCrが優先的に酸化され、酸化スケールを除去した後の表層部ではCr濃度が内部に比べ低くなっていることに起因すると考えられる。金属パイプ部材の外表面を樹脂等で被覆する方法もあるが、樹脂被覆層は傷付きやすいので信頼性に不安が残り、また被覆処理にはコストがかる。したがって、温水環境で使用する金属パイプ部材にフェライト系ステンレス鋼を適用するには、溶接部の耐食性を、塩化物イオンを含む腐食条件の厳しい温水環境に適用可能なレベルに引き上げることが重要となる。
また、フェライト系ステンレス鋼は、オーステナイト系に比べ加工性および溶接部の靭性が低い。このため、シーズヒーターの金属パイプ部材に適用するには、特に溶接造管した鋼管をU字形に曲げ加工する際に、母材部や溶接部において割れが発生しやすいという問題を解決しなければならない。
本発明は、このような現状に鑑み、塩化物イオンを含む温水環境に適用可能な耐食性を有し、シーズヒーターの設計自由度を従来に比べて特段制約しないような優れたU字曲げ加工性を具備し、かつ溶接部の靭性にも優れたシーズヒーター用フェライト系ステンレス鋼管を提供しようというものである。
発明者らは種々検討の結果、特定の成分組成を有するフェライト系ステンレス鋼を溶製し、それを溶接造管することによって、上記目的が達成できることを見出した。すなわち本発明では、質量%で、C:0.02%以下、N:0.02%以下、Si:0.3%以下、Cr:17.5〜25%、Mo:0.3〜2.5%、Al:0.03〜1%であり、Ti:0.05〜1%およびNb:0.05〜1%の1種以上を含み、必要に応じてさらにV:1%以下好ましくは0.05〜1%、Cu:1%以下好ましくは0.03〜1%およびB:1%以下好ましくは0.01〜1%の1種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼を溶接造管したシーズヒーター用鋼管が提供される。
この鋼管をシーズヒーターの金属パイプ部材に用いることにより、塩化物イオンの存在する温水環境で優れた耐久性を有するシーズヒーターが構築される。特に、曲げ半径R/外径Dの比が1.2以下であるU字曲げが施された金属パイプ部材をもつシーズヒーターが好適な対象となる。前記金属パイプ部材は例えば機械研磨または酸洗で仕上げた溶接ビード部を外表面に持ち、その外表面が温水に曝されて使用される。ここで、温水環境は、40℃以上の温水に曝される環境である。
本発明によれば、溶接部での耐食性を顕著に高めたフェライト系ステンレス鋼管を開発したことにより、従来のNiめっきCu管、オーステナイト系ステンレス鋼管、あるいはSUS444等のフェライト系ステンレス鋼管と比べ、特に塩化物イオンを含む腐食性の厳しい温水用途での耐食性に優れたシーズヒーターの金属パイプ部材が提供可能になった。またフェライト系鋼種であるから、従来のNiめっきCu管やオーステナイト系ステンレス鋼管と比べ安価であり、オーステナイト系鋼種のような応力腐食割れの問題もない。さらに、当該フェライト系ステンレス鋼管は溶接部や母材の加工性・靭性が改善されているので、従来のフェライト系ステンレス鋼種では実現困難であったU字曲げ部を有する金属パイプ部材を構成することが可能になった。したがって本発明は、特に腐食性の厳しい温水環境で使用されるシーズヒーターの耐久性向上およびコスト低減に寄与しうる。
本発明では、フェライト系ステンレス鋼の耐食性レベルを向上させるためにCr含有量を17.5質量%以上確保するとともにMoを添加し、かつ溶接部での耐食性を高めるためにAl、Ti、Nb等を添加した。ただし、Crの増量やMoの添加は加工性・靭性をを劣化させる要因となるので、C、Si、Nの含有量を極力低減し、必要に応じてCuやB等を添加する措置をとっている。
以下、合金成分について説明する。
C、Nは、いずれもステンレス鋼に不可避的に含まれる元素である。C、Nを低減すると軟質になり、加工性が向上するとともに靭性も向上する。特に、溶接部は靭性が低くなりやすいので、C、Nの低減が有効である。種々検討の結果、溶接鋼管をU字形に曲げ加工してシーズヒーターの金属パイプ部材とするには、C、Nとも0.02質量%以下の含有量に抑えることが曲げ加工時の割れ発生を防止するうえで重要である。
Siは、固溶強化によりステンレス鋼を硬質化する作用を有する。このため、加工性を確保するためにSi含有量は低い方が望ましい。溶接鋼管において、シーズヒーターの金属パイプ部材として必要なU字曲げ加工性を確保するには、Si含有量を0.3質量%以下に抑えることが望ましい。
CrおよびMoは、ステンレス鋼の耐孔食性を向上させる元素であり、これらの含有量が高いほど耐孔食性は改善される。特に、溶接部を有する鋼管を塩化物イオン存在化の温水環境に曝して使用する用途では、Crの増量とMoの添加は極めて有効である。すなわち、Crの増量は研磨後に低下する造管溶接部の基地Cr濃度を高め、そこに形成される不動態皮膜を強化する。また、塩化物イオンにより不動態皮膜が破壊された場合においても再不動態化能力を高め、塩化物イオンに対する耐孔食性の向上をもたらす。Moは不動態皮膜が破壊され鋼中から溶け出した際、モリブデン酸を形成し、孔食の成長を抑制する。
フェライト系ステンレス鋼の溶接鋼管を塩化物イオンを含む温水環境で使用するには、少なくとも17.5質量%のCr含有量を確保する必要があり、20質量%以上とすることが望ましい。また、Moは少量でも耐孔食性の改善作用を呈するが、0.3質量%以上、あるいは0.5質量%以上のMo含有量を確保することが好ましい。ただし、CrおよびMoの過剰添加は母材部および溶接部の加工性や靭性を損なうので、本発明ではCr含有量は25質量%以下、Mo含有量は2.5質量%以下に制限される。特にMoは材料を硬質化させやすいので、特に溶接鋼管にU字曲げを施す用途では1.5質量%以下の範囲で含有させることが一層好ましい。
Alは、溶接時にAl酸化物を形成することにより、酸化スケール中へのCrの損失(Cr酸化ロス)を抑制する作用を有する。また、溶接部への窒素吸収を抑制し溶接部の靭性を向上させる。さらに、Alは不動態皮膜を強化し、耐食性を向上させる作用も有する。これらの作用を十分発揮させるには、0.03質量%以上のAl含有量を確保する必要があり、0.05質量%以上とすることが一層好ましい。ただし、Al含有量が多くなりすぎるとクラスター状介在物を形成して表面品質を損なうため、Al含有量は1.0質量%以下に制限される。
TiおよびNbも、Alと同様に、溶接時にそれぞれTi酸化物およびNb酸化物を形成し、Cr酸化ロスを抑制する作用を呈する。また、C、Nを固定し、粒界腐食を防止する作用を有する。本発明では上記Alと、TiまたはNbによるこれらの作用を利用して溶接部の耐食性向上を図っている。その際、TiおよびNbは単独または複合で添加される。ただし、過剰のTi含有はTiNを形成して表面性状を劣化させる要因になる。また過剰のNb含有量は材料を硬質化し、溶接部の靭性を低下させる要因になる。したがってTiは1質量%以下、Nbは1質量%以下の含有量にそれぞれ制限される。Ti:0.05〜1質量%、Nb:0.05〜1質量%の範囲で、これらの1種以上を含有させることが一層好ましい。なお、Tiについては、上記範囲で含有させることにより、Sを安定な硫化物として固定し耐食性低下の要因になるMnSの生成を抑制する作用や、溶接部の結晶粒粗大化を抑制してU字曲げ加工時に溶接部での割れの発生を抑止する作用をも有効に発揮する。
Vは、不動態皮膜の強化に有効な元素であり、必要に応じて添加される。ただし、1質量%を超える多量のV含有は材料を過度に硬化させ、靱性低下の要因となるので、Vを添加する場合は1質量%以下の含有量範囲で行う必要がある。V含有量は0.05〜1質量%の範囲とすることが一層好ましい。
Cuは、不動態皮膜を強化して耐孔食性を向上させるとともに、溶接部の靭性を向上させる作用を有するので、必要に応じて添加される。ただし、過剰のCu含有は却って耐食性低下および靱性低下を招くので、Cuを添加する場合は1質量%以下の範囲で行う必要がある。Cu含有量は0.03〜1質量%の範囲とすることが一層好ましい。
Bは、不動態皮膜の緻密化に有効であり、また、粒界強度を高め、溶接鋼管にU字曲げを施す場合には母材部や溶接部の割れを防止する上で有効となるので、必要に応じて添加される。ただし、過剰のB含有は鋼材の熱間加工性や表面性状を劣化させる要因になるので、Bを添加する場合は1質量%以下の含有量範囲で行う必要がある。B含有量は0.01〜1質量%の範囲とすることが好ましく、0.01〜0.1質量%が一層好ましい。
その他の不純物として、Mn、Sは互いに結合して可溶性硫化物を形成し耐食性を低下させるので、Mnは0.5質量%以下、Sは0.005質量%以下に低減されていることが望ましい。Pは0.04質量%以下であることが望ましい。Zr、Ca、Mg、Co、REM(希土類元素)等も原料から混入することがあるが、過剰に含まれない限り耐食性や加工性には特に悪影響を及ぼさない。これらの元素は本発明の効果を阻害しない範囲(例えばZrは0.3質量%以下、それ以外は0.1質量%以下)の含有が許容される。
以上のように成分調整されたフェライト系ステンレス鋼を溶製して、一般的なステンレス鋼板製造プロセスによりステンレス鋼板とし、その鋼板から採取した条材を溶接造管することにより、シーズヒーターの金属パイプ部材に使用する鋼管を製造することができる。溶接造管においては、連続ラインにより条材を円筒状あるいは角状にロール成形していき、条材幅方向の両端面同士をTIG溶接やレーザー溶接により接合する一般的な造管方法が採用できる。その後、必要に応じて引き抜き加工が施される場合もある。シーズヒーターの金属パイプ部材としては、多くの場合、管の外径が概ね5〜15mm程度、肉厚が概ね0.5〜1.5mm程度のものが好適に採用される。管の外面の溶接部には酸化スケールが形成されるので、通常、これを除去する処理を施す。例えば、機械研磨、あるいはさらに酸洗処理を施すことが一般的である。また、多くのシーズヒーターにおいては、U字曲げ加工を施した金属パイプ部材が使用される。U字曲げ加工は例えば後述のような回転引き曲げ法によって実施できる。
表1に示す組成のSUS316LおよびNo.1〜19のフェライト系ステンレス鋼を300kg真空熔解し、熱間鍛造、熱間圧延、焼鈍、酸洗、冷間圧延、焼鈍、酸洗の一般的な工程で板厚1.0mmの冷延焼鈍鋼板(結晶粒度は6)を得た。いずれのフェライト系ステンレス鋼も、Mn含有量は0.5質量%未満、S含有量は0.005質量%未満である。これを素材として、通常の造管ラインによりTIG溶接による造管を行い、外径12.7mmφ、長さ4000mmの溶接鋼管を製造した。溶接後には、管外面の溶接部(溶接ビード部および熱影響部)およびその周辺部に形成された酸化スケールを回転研磨ベルトにより除去し、その後さらに、研磨屑の除去および一部残存した酸化スケール除去のため、50℃、15%HNO3−5%HF水溶液に1h浸漬する条件で酸洗した。
各溶接鋼管から、溶接ビード部を含む試料を採取し、管外面の溶接ビード部を中央に配置した10mm×10mmの試験面を残してそれ以外の全面を樹脂被覆した腐食試験片を各鋼管につき複数個作製した。図1に腐食試験片の形状を模式的に示す。このような腐食試験片を、上水に200ppmの塩化物イオンを添加した80℃の液中に浸漬して、定電位試験を実施し、耐孔食性を評価した。定電位試験は、100〜400mVの範囲に50mV間隔で設定したそれぞれの電位で各試験片を48h保持し、各電位で孔食が発生するかどうかを調べ、孔食が発生しない最も高い電位を各鋼管の孔食電位とした。塩化物イオンを含む上水の自然電位は約150mVであるため、孔食電位が150mVより高いものを耐孔食性:良好(○評価)、150mV以下であるものを耐孔食性:不良(×評価)と判定した。結果を表1に示す。
Figure 0004732208
表1からわかるように、本発明で規定する組成を有するフェライト系ステンレス鋼を用いた本発明例の溶接鋼管においては、溶接部を含む表面での80℃における孔食電位が自然電位よりも十分に高く、SUS316Lと同様に、塩化物イオンを含むような厳しい温水環境で孔食が進行しない優れた耐食性を有していることが確認された。一方、比較例のフェライト系ステンレス鋼を用いた溶接鋼管は、本発明で規定する組成を満たしていないことにより、溶接部での耐孔食性に劣った。
実施例1と同様の方法で表2に示す組成のフェライト系ステンレス鋼冷延焼鈍鋼板(板厚1.0mm、結晶粒度6)を製造し、これを素材として実施例1と同様の方法でTIG溶接鋼管(外径12.7mmφ、長さ4000mm)を製造した。いずれのフェライト系ステンレス鋼も、Mn含有量は0.5質量%未満、S含有量は0.005質量%未満である。この鋼管を用いて曲げ加工性および溶接部靭性を評価した。
曲げ加工性は、ステンレス鋼管を図2に示すようにクランプで掴んで回転引き曲げを行う方法により、種々の曲げ加工半径で肉厚減少率が30%となるU字曲げ加工を実施し、限界曲げ半径を求めることによって評価した。この場合、曲げ半径の方向に垂直な法線を持つ面上に溶接部が位置するようにした。限界曲げ半径は、割れを生じることなく、肉厚減少率30%を確保できる最小の曲げ半径である。曲げ半径は図3に示すように管の断面中央位置における半径であり、肉厚減少率は曲げ加工部における管の曲げ中心部側の肉厚(mm)により、下記(1)式のように定義される。
肉厚減少率(%)={(曲げ加工前の肉厚)−(曲げ加工後の肉厚)}/(曲げ加工前の肉厚)×100 ……(1)
温水用途のシーズヒーターでは、限界曲げ半径Rが外径Dの1.2倍以下である曲げ加工性が要求されるので、限界曲げ半径R/外径Dの比が1.2以下の場合を曲げ加工性:良好(○評価)、1.2を超える場合を曲げ加工性:不良(×評価)と判断した。
溶接部靭性は、図4に示すように、溶接部に最も大きな変形が生じるように置かれた鋼管を密着するまでJIS G3459に準じた方法で圧縮するへん平試験によって評価した。溶接部に割れを生じることなく密着曲げが可能であったものを溶接部靭性:良好(○評価)、溶接部に割れが生じたものを溶接部靭性:不良(×評価)と判断した。
これらの結果を表2に示す。
Figure 0004732208
表2からわかるように、本発明で規定する組成を有するフェライト系ステンレス鋼を用いた本発明例の溶接鋼管は、いずれも曲げ加工性および溶接部靭性が良好であった。一方、比較例のフェライト系ステンレス鋼を用いた溶接鋼管では、本発明で規定する組成を満たしていないことにより、曲げ加工性と溶接部靭性の両方が同時に良好であるものは得られなかった。
実施例1で製造した表1のSUS316L、No.4、5、9、14、15、17および19のフェライト系ステンレス鋼管を用いて、図2に示す回転引き曲げ法により、肉厚減少率が30%、曲げ半径R/外径Dの比が1.2となる条件でU字曲げ加工を施すことにより、シーズヒーター用の金属パイプ部材を作製した。この場合、この場合、曲げ半径の方向に対して垂直方向の法線を持つ面上に溶接部が位置するようにした。これらの金属パイプ部材を200ppmの塩化物イオンを添加した80℃の上水中に1年間浸漬するモニター試験に供した。1年間浸漬試験後の鋼管について、外面の溶接部を顕微鏡観察し、孔食の発生が認められなかったものを良好(○評価)、認められたものを不良(×評価)と判断した。
その結果、オーステナイト系ステンレス鋼であるSUS316Lおよび本発明例であるNo.9、14、15、17および19は○評価、比較例であるNo.4および5は×評価であった。本発明のフェライト系ステンレス鋼管は、塩化物イオンを含む厳しい腐食条件の温水環境において、シーズヒーターの金属パイプ部材に好適な優れた耐久性を有することが確認された。なお、SUS316Lの鋼管には応力腐食割れが生じていたが、本発明のフェライト系ステンレス鋼管には応力腐食割れは認められなかった。
実施例1で使用した腐食試験片の構造を模式的に示した図。 回転引き曲げ法による管の曲げ加工方法を概念的に示した図。 U字曲げが施された鋼管の曲げ半径位置を模式的に示した図。 実施例2で行ったへん平試験における鋼管の溶接部の位置を模式的に示した図。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.02%以下、N:0.02%以下、Si:0.3%以下、Cr:17.5〜25%、Mo:0.3〜2.5%、Al:0.03〜1%であり、Ti:0.05〜%およびNb:0.05〜%の1種以上を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼を溶接造管したシーズヒーター用鋼管。
  2. 前記フェライト系ステンレス鋼が、さらにV:1%以下、Cu:1%以下およびB:1%以下の1種以上を含むものである請求項1に記載のシーズヒーター用鋼管。
  3. V:0.05〜1%、Cu:0.03〜1%およびB:0.01〜1%の1種以上を含む請求項に記載のシーズヒーター用鋼管。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の鋼管を金属パイプ部材に用いたシーズヒーター。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の鋼管に曲げ加工を施した鋼管を金属パイプ部材に用いたシーズヒーター。
  6. 前記金属パイプ部材は機械研磨または酸洗で仕上げた溶接ビード部を外表面に持ち、その外表面が温水に曝されて使用される請求項またはに記載のシーズヒーター。
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