JP4731687B2 - ストレプトコッカス・ミュータンスに特異的なモノクロナール抗体、およびその使用 - Google Patents

ストレプトコッカス・ミュータンスに特異的なモノクロナール抗体、およびその使用 Download PDF

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Description

【0001】
相互参照
本出願は、米国仮特許出願である1998年9月28日出願の米国特許出願第60/102,179号に基づく優先権を主張する。
【0002】
発明の背景
本発明は、口の中で自然に見つけられ、虫歯発生の一因となるストレプトコッカス・ミュータンス(Streptpcoccus mutans)(S・ミュータンス)に対する新規な抗体に関する。本発明は、本発明の抗体またはその断片もしくは誘導体を用いてS・ミュータンスを検出する方法に関する。本発明はまた、本発明の抗体またはその断片もしくは誘導体を用いて、歯を診断し、モニターし、治療し、虫歯から歯を保護することに関する。
【0003】
本出願を通じて、種々の刊行物が、括弧内に示され、さらに明細書の最後に挙げられている。それら刊行物の開示内容は、参照によって全てこの中に組み込まれる。
【0004】
現在のところ、ヒトの虫歯または虫歯の穴は、歯の透光性、色、硬さ、またはX線密度における変化によって検出される。それら技術は、特異性および再現性の両方において、限界がある。さらには、それら技術は、単一時点において、その虫歯が活動的であるか否かについては示さない。
【0005】
細菌S・ミュータンス(Clarkによって、1924年に命名され、かつ記述された)は、ヒトの虫歯の発生および進行に重要な病因的因子であることが知られている(Fitzgerald and Keyes, 1960;Loesche, 1982;Loesche, 1986;Tanzer, 1997)。S・ミュータンスは、エナメル質さらに象牙質のアパタイト(無機化合物)成分、あるいはセメント質さらに象牙質のアパタイト成分の酸溶解における、主要因子の1つである。他の細菌種と比べて、歯垢または唾液中のS・ミュータンスの割合が、虫歯の存在または将来虫歯が発生する危険性と強く相関することが示されている(Tanzer, 1997;Krasse, 1988)。さらには、歯垢または唾液中のS・ミュータンスは、虫歯の活動状態、および虫歯の危険性もしくは虫歯になりやすさの両方の指標としての役割を果たすことができる(Loesche et al., 1975;Ellen, 1976;Krasse, 1985;Krasse, 1988)。それら指標は、虫歯の診断および治療において、ますます重要な役割を果たすようになってきた (Hume, 1993;Mundorff et al., 1993;Van Houte, 1993)。
【0006】
S・ミュータンスの検出および定量的測定のための現在の技術として、培養液または寒天プレート方式のいずれかにおける選択培地を用いた細菌培養(Ellen, 1976;Loesche, 1982)、およびポリメラーゼ連鎖反応技術(Igarashi et al., 1996)が挙げられる。それら各方法は、実施するために、かなりの時間(日単位における)、熟練者、および精巧な装置を必要とする。従って、現在の技術は、比較的費用がかかり、かつ時間がかかる。
【0007】
もう1つの方法として、モノクロナール抗体に基づく検出方法は、迅速かつ正確で、それでも経済的な細菌細胞の存在の定量的測定を可能とし、従来の培養感受性アッセイまたはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術に比べて、顕著な利点を有する。細菌は、その細胞表面上において、広範囲の他の化学成分および産物に混じって、固有の多糖構造を持つリポオリゴ糖またはリポ多糖、あるいは他の多糖を産生する。標準的ハイブリドーマ技術(Kohler and Milstein, 1975)を用いて、それら化学構造に対するモノクロナール抗体を調製することができる。本方法の感度および正確性は、作成したモノクロナール抗体の特異性に依存するところが大きい。多くのハイブリッド細胞を調製し、さらにスクリーニングすることによって、所望の細菌に対して種特異的ないくつかのモノクロナール抗体、すなわちビブリオ・コレラの0139抗原を認識するモノクロナール抗体ICL11およびICL12を見つけることができた(Hasan, 1994)。それらモノクロナール抗体は、例えば、蛍光試薬、比色試薬(colorimetric reagents)、または共凝集試薬(coagglutination reagents)等の種々の検出試薬と連結させて差し支えない。得られた標識抗体は、任意の試料中の所望の細菌に特異的に結合し、さらに連結した検出試薬を介して迅速に結果を示すことができる(Halow and Lane, 1988)。
【0008】
【表1】
Figure 0004731687
圧倒的な利点のために、モノクロナール抗体に基づく検出法は、医療細菌学において、広く用いられている。現在、種々の病原性細菌の診断に利用できる100近くの異なるモノクロナール抗体に基づく検出方法がある。しかしながら、現在まで、虫歯の検出に利用できるそのような方法は無かった。他の研究者がS・ミュータンスに対するモノクロナール抗体を作成しているが、それら抗体はS・ミュータンスに対して種特異的ではなく、かつ非常に低レベルのS・ミュータンスの存在を検出できないため、それらモノクロナール抗体は診断または臨床的使用に適さない。ほとんど全ての以前のモノクロナール抗体は、S・ミュータンスの表面タンパク質(すなわち、グルコシルトランスフェラーゼ、アグルチニン、表面抗原PI等)に対して作成されたものである。類似のタンパク質が、他の連鎖球菌種においても発見されている。虫歯を診断するためには、存在し得る他の連鎖球菌種から、S・ミュータンスを識別できることが重要である。S・ミュータンス細胞表面に特異的な固有のエピトープに対して特異的なモノクロナール抗体を発見することが必要である。
【0009】
発明の概要
従って、本発明は、S・ミュータンスの細胞表面上の種特異的多糖を認識すると思われる、SWLA1、SWLA2、SWLA3と称される3つのモノクロナールIgG抗体について記載する。本発明はまた、予め細菌を培養して増殖させる必要なしに、S・ミュータンスを迅速に検出する方法について記載する。さらに、本発明は、S・ミュータンスを迅速に、定量的に検出するためのそれら抗体の利用法について記載する。それら方法は、1個のS・ミュータンス細菌細胞の存在を検出できる程、十分感度が高い。それら方法は、虫歯の臨床診断および治療において広く用いることができる。本発明のさらに別の実施形態は、本発明のモノクロナール抗体、および患者の歯または試料中のS・ミュータンスに対するその抗体の結合を検出するための試薬を含有する診断用キットである。
【0010】
詳細には、本発明の1つの態様は、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクロナール抗体であり、そのモノクロナール抗体は、ATCC No. HB12559としてATCC(American Type Culture Collection)に寄託されたハイブリドーマによって産生され、SWLA1と称される。
【0011】
本発明の別の態様は、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクロナール抗体であり、そのモノクロナール抗体は、ATCC No. HB12560としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生され、SWLA2と称される。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクロナール抗体であり、そのモノクロナール抗体は、ATCC No. HB12258としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生され、SWLA3と称される。
【0013】
図面の簡単な説明
以下の発明は、明細書、添付請求項、および添付図面を参照することによって、より理解されるであろう。
【0014】
図1は、蛍光顕微鏡を用いたS・ミュータンスの検出を示す;下記の実施例1において記載するように、S・ミュータンス細胞(ATCC25175)を標識した;1(a)は、FITC結合モノクロナール抗体を用いた、S・ラタス(S. rattus)、S・ゴルドニ(S. gordonii)、S・ミチス、緑色連鎖球菌、大腸菌、およびS・ミュータンスを含む細菌混合物の標準位相差光学顕微鏡画像を示す;1(b)は、蛍光灯下での上記と同じ細菌群を示す;光っている点は、全てS・ミュータンスであり、モノクロナール抗体SWLA1が特異的にS・ミュータンスを認識することを示唆する。
【0015】
図2は、下記の実施例1において記載するように、S・ミュータンスとSWLA1のフローサイトメトリー分析を示す;2(a)は、SWLA1およびFITC−結合ヤギ抗マウスIgG抗体を添加しない場合のS・ミュータンス(ATCC25175)を示す;2(b)は、SWLA1およびFITC−結合ヤギ抗マウスIgG抗体を添加した場合のS・ミュータンスを示す;2(c)は、SWLA1およびFITC−結合ヤギ抗マウスIgG抗体を添加しない場合のフソバクテリウム・ヌクレアタム(ATCC25586)を示す;2(d)は、SWLA1およびFITC−結合ヤギ抗マウスIgG抗体を添加した場合のフソバクテリウム・ヌクレアタムを示す;2(e)は、SWLA1およびFITC−結合ヤギ抗マウスIgG抗体を添加しない場合のトレポネマ・デンチコーラ(ATCC33520)を示す;2(f)は、SWLA1およびFITC−結合ヤギ抗マウスIgG抗体を添加した場合のトレポネマ・デンチコーラを示す;Fは、FITC結合モノクロナール抗体で標識された細菌を含む領域である。
【0016】
発明の詳細な説明
本発明は、種特異的多糖であると思われるS・ミュータンスの細胞表面上の種特異的エピトープを認識する、SWLA1、SWLA2、SWLA3と称される3つの種特異的モノクロナールIgG抗体、およびその複合物について記載する。本発明は、S・ミュータンスの量および存在を検出して虫歯の兆候および状態の深刻さをモニターするためにモノクロナール抗体を用いる方法を含む。
【0017】
ハイブリドーマ融合技術によって、またはEBV−不死化技術を利用した方法によって、モノクロナール抗体SWLA1、SWLA2、およびSWLA3を調製することができる。ハイブリドーマ融合技術は、Kohler およびMilsteinによって初めて示された(Kohler and Milstein, (1975);Brown et al., (1981);Brown et al.,(1980);Yeh et al., (1976);and Yeh et al., (1982)を参照) 。
【0018】
それら技術は、動物において所望の免疫反応(例えば抗体の産生)が誘導されるように、免疫原(例えば精製抗原、またはその抗原を持っている細胞もしくは細胞抽出物)を動物(例えばマウス)に投与することを含む。例えば、S・ミュータンスを免疫原として用いても差し支えない。この中の例示的実施例では、S・ミュータンス株ATCC25175を免疫原として用いた。例えばマウスにその細胞を繰り返し投与し、十分な期間が経過した後、そのマウスを殺し、抗体産生体細胞を得る。例えばラット、ウサギ、およびカエルの体細胞のような他の哺乳類モデルを用いることも可能である。通常、ポリエチレングリコール(PEG)のような融合試薬の存在下において、ミエローマ細胞と融合させることによって、所望のイムノグロブリンをコードする染色体を有する細胞を不死化させる。標準技術に従って、任意の多くのミエローマ細胞を融合相手として用いることができる;例えばP3-NSI/1-Ag4-1,P3-x63-Ag8.653、またはSp2/o−Ag14ミエローマ細胞株である。それらミエローマ細胞株は、メリーランド州、ロックビルのAmerican Type Culture Collection(ATCC)から得ることができる。
【0019】
さらに、例えば融合しなかった親ミエローマまたはリンパ球細胞が最終的に死ぬようなHAT培地等の選択培地中において、得られた所望のハイブリドーマを含む細胞を培養する。ハイブリドーマ細胞のみが生き残り、さらに限界希釈条件下において増殖することができ、単離されたクローンを得ることができる。例えば、免疫に使った抗原を用いた免疫測定によって、所望の特異性を有する抗体の存在についてハイブリドーマの上清をスクリーニングする。次に、陽性クローンを限界希釈条件下においてサブクローニングし、産生されたモノクロナール抗体を単離することができる。モノクロナール抗体が他のタンパク質および他の不純物を含まないようにするためにモノクロナール抗体を単離および精製するのに使用できる種々の従来法が存在する。通常用いられるモノクロナール抗体を精製する方法として、硫安沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、およびアフィニティークロマトグラフィー(Zola et al. (1982))が挙げられる。そのような方法に基づいて作成したハイブリドーマは、当業界で公知の方法(概して、Fink et al., supra, 1984を参照)を用いて、in vitroまたはin vivoにおいて(腹水中において)、増殖させることができる。
【0020】
一般的に、例えば実験培養槽中において個々の細胞株をin vitroで増殖させることができ、さらにデカンテーション、濾過、または遠心によって、高濃度の単一の特異的モノクロナール抗体を含有する培養液を回収することができる。あるいは、最初の融合のために体細胞およびモノクロナール抗体を提供するのに用いた型の組織適合動物にそのハイブリドーマ試料を投与することによって、モノクロナール抗体の採取量を高めることができる。ハイブリドーマ細胞によって産生される特異的モノクロナール抗体を分泌する腫瘍が、投与された動物において生じる。腹水または血清のようなその動物の体液は、高濃度でモノクロナール抗体を提供する。ヒトハイブリドーマまたはEBVハイブリドーマを用いる場合、マウスのような動物に投与することによる異種移植の拒絶を回避する必要がある。免疫不全マウスまたはヌードマウスを用いることができ、または、まず放射線照射ヌードマウスにおいてハイブリドーマを固形の皮下腫瘍として継代し、次にそれをin vitro で培養し、さらに予めプリスタンを投与した放射線照射ヌードマウスにその細胞を腹腔内投与して、大量の特異的ヒトモノクロナール抗体を分泌する腹水腫瘍を生じさせることができる。
【0021】
マウス抗体で治療した患者はヒト抗マウス抗体を産生するため(Shawler et al., (1985))、ある治療的用途のためには、キメラモノクロナール抗体(マウス−ヒト)またはヒトモノクロナール抗体が、マウス抗体よりも好ましいであろう。例えば、キメラ抗体の作成のために開発された技術(Oi et al., (1986);Liu et al., (1987))によって、S・ミュータンスと反応するマウス−ヒト−キメラモノクロナール抗体を作成することができる。すなわち、SWLA1、SWLA2、またはSWLA3抗体分子の定常領域をコードする遺伝子を、適切な生物活性(選択的にS・ミュータンスに結合する能力のような)を有したままで、抗体の定常領域をコードするヒト遺伝子で置換する。
【0022】
また、SWLA1、SWLA2、またはSWLA3抗体に類似し、かつ適切な生体機能を有する、マウスまたはヒト由来の新規な抗体を作成することができる。それらそれら抗体は、SWLA1、SWLA2、またはSWLA3の相補性決定領域と同一の相補性決定領域を有するであろう。あるいは、それら抗体は、S・ミュータンスの表面上の抗原に結合することができ、さらにSWLA1、SWLA2、またはSWLA3のS・ミュータンス表面抗原への結合に対して、モル基準で約80%以上の効果で、SWLA1、SWLA2、またはSWLA3の1つ以上と競合することができる。それら抗体は、実質的に、以下の細菌株の何れとも反応性が無い;S・ラタスATCC19645、S・ゴルドニATCC10558、S・ゴルドニATCC13396、S・ミチスATCC49456、S・ソブリナス(S. sobrinus)ATCC33478、S・ソブリナス6715、緑色連鎖球菌ATCC10556、緑色連鎖球菌ATCC49295、S・アンギノサス(S. anginosus)ATCC33397、ラクトバシラス・アシドフィルスATCC4356、ラクトバシラス・カセイATCC4646、アクチノバシラス・アクチノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)ATCC33384、ポルフィロモナス・ギンギバリス(Porphyromonas gingivalis)ATCC33277、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)ATCC49046、バクテロイデス・ホルシサス(Bacteroides forsythus)ATCC43047、エイケネラ・コロデンス(Eikenella corrodens)ATCC23834、フソバクテリウム・ヌクレアタムATCC25586、トレポネマ・デンチコーラATCC33520、カンピロバクター・レクタス(Campylobacter rectus)ATCC33238、ミクソコッカス・キサンタス(Myxococcus xanthus)DZ2、および大腸菌HB101。好ましくは、そのモノクロナール抗体は、モル基準で約90%以上の効果で、競合する。
【0023】
Borrebaeck et al.(1988)に記載のように、例えば本発明の抗体に結合するS・ミュータンス上の多糖の一部分のような抗原を用いてin vitroで抗原に対してヒト細胞を感作し、続いてEBV−形質転換させ、または抗原感作細胞をマウスまたはヒト細胞とハイブリッド形成させることによって、ヒトモノクロナール抗体を作成することができる。
【0024】
本発明の抗体は、ハイブリドーマ技術を用いて作成した。下記の実施例に記載のように、NSL/Ag4.1マウスミエローマ細胞株を融合相手として用い、さらにc型S・ミュータンス細胞株ATCC25175の全細胞を免疫原として用いた。作成したハイブリドーマをスクリーニングした。そのスクリーニングが完了した時に、SWLA1、SWLA2、およびSWLA3と称する、S・ミュータンスに対する3つの種特異的モノクロナール抗体が得られた。SWLA1、SWLA2、およびSWLA3を産生するハイブリドーマは、メリーランド州、ロックビルのATCCに寄託され、以下のように特定される:
SWLA1 登録番号:HB−12559
SWLA2 登録番号:HB−12560
SWLA3 登録番号:HB−12558
その3つのモノクロナール抗体は、IgGサブタイプであることが分かった。ウェスタンブロットおよび他の生化学分析は、それらの抗体がS・ミュータンスの細胞表面上の固有の多糖に対するものであること示す。ウェスタンブロット技術は、当業者に周知である(Golub, E.S. and D.R. Green, 1991)。
【0025】
それらモノクロナール抗体は、従来技術において見出されたモノクロナール抗体とは非常に異なっている。従来のモノクロナール抗体は、多くの他の細菌においても認められる表面タンパク質に対して作られ、本願抗体が認識する種特異的多糖に対して作られたものではない。その相違によって、従来の抗体は、研究目的の条件は満たすが、診断目的の条件は満たさない(Carien and Oisson, 1995;Chia et al., 1993;Fukushima et al.,1993;Brady et al., 1991)。S・ミュータンスに対するその特異性のため、本発明のモノクロナール抗体は、ヒトの虫歯の診断、および治療のために特に有用である。本発明のモノクロナール抗体は、少量の試料中の少ない数のS・ミュータンスを検出できるため、S・ミュータンスのスクリーニングに用いることができる。また、それらモノクロナール抗体は、歯科医院で、あるいは患者の自宅で、虫歯の危険性評価に用いることができる簡単で安価な虫歯検出法の開発を可能とする。
【0026】
最も好ましい抗体は、S・ミュータンスに選択的に結合し、非S・ミュータンス細菌には結合しない(または弱く結合する)であろう。特に考えられている抗体として、モノクロナール抗体、ならびにS・ミュータンス抗原結合ドメインを含むモノクロナール抗体の断片が挙げられる。本発明はまた、S・ミュータンスを特異的に認識する抗体断片を含む。この中で用いられているように、抗体断片は、その標的に結合する免疫グロブリン分子の少なくとも一部分、すなわちS・ミュータンスに対する抗原結合領域として定義される。その抗体断片として、適切な特異性を有するFv、Fab、Fab’、およびF(ab)’2が挙げられる。
【0027】
さらに、本発明は、S・ミュータンス表面上に認められる抗原に特異的に結合するヒトモノクロナール抗体を含む。その抗体が結合する抗原は、ATCC No. HB12559としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生され、SWLA1と称されるモノクロナール抗体、ATCC No. HB12560としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生され、SWLA2と称されるモノクロナール抗体、およびATCC No. HB12558としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生され、SWLA3と称されるモノクロナール抗体の少なくとも1つが結合する抗原の1つである。そのヒトモノクロナール抗体は、実質的に以下の細菌株の何れとも反応性が無い:S・ラタスATCC19645、S・ゴルドニATCC10558、S・ゴルドニATCC13396、S・ミチスATCC49456、S・ソブリナスATCC33478、S・ソブリナス6715、緑色連鎖球菌ATCC10556、緑色連鎖球菌ATCC49295、S・アンギノサスATCC33397、ラクトバシラス・アシドフィルスATCC4356、ラクトバシラス・カセイATCC4646、アクチノバシラス・アクチノミセテムコミタンスATCC33384、ポルフィロモナス・ギンギバリスATCC33277、プレボテラ・インターメディアATCC49046、バクテロイデス・ホルシサスATCC43047、エイケネラ・コロデンスATCC23834、フソバクテリウム・ヌクレアタムATCC25586、トレポネマ・デンチコーラATCC33520、カンピロバクター・レクタスATCC33238、ミクソコッカス・キサンタスDZ2、および大腸菌HB101。
【0028】
ヒトモノクロナール抗体を調製する方法は当業界で公知であり、ファージディスプレイ技術、およびS・ミュータンスに対する抗体を産生する患者からのBリンパ球を用いたヒトハイブリドーマの単離、ならびにin vitro 免疫技術を含む。そのような技術は当業界で周知であり、例えばこの参照によってこの中に組み込まれるC.A.K. Borrebaeck, ed., “Antibody Engineering”(2d ed., Oxford University Press, New York, 1995) に記載されている。
【0029】
本発明はヒト化抗体を含むキメラ抗体を包含する。以下の:
(a) ATCC No. HB12559としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生され、SWLA1と称されるモノクロナール抗体;(b)ATCC No. HB12560としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生され、SWLA2と称されるモノクロナール抗体;(c)ATCC No. HB12558としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生され、SWLA3と称されるモノクロナール抗体:
の中の1つの相補性決定領域と同一である相補性決定領域を持つキメラ抗体を含む。
【0030】
また、S・ミュータンス表面上の抗原と結合し、かつSWLA1、SWLA2、またはSWLA3のS・ミュータンス表面抗原への結合に対して、モル基準で約80%以上の効果で、SWLA1、SWLA2、またはSWLA3の1つ以上と競合することができる抗体の相補性決定領域と同一である相補性決定領域をもつキメラ抗体も本発明の範囲内に含まれる。上記のようなキメラ抗体は、実質的に以下の細菌株の何れとも反応性が無い;S・ラタスATCC19645、S・ゴルドニATCC10558、S・ゴルドニATCC13396、S・ミチスATCC49456、S・ソブリナスATCC33478、S・ソブリナス6715、緑色連鎖球菌ATCC10556、緑色連鎖球菌ATCC49295、S・アンギノサスATCC33397、ラクトバシラス・アシドフィルスATCC4356、ラクトバシラス・カセイATCC4646、アクチノバシラス・アクチノミセテムコミタンスATCC33384、ポルフィロモナス・ギンギバリスATCC33277、プレボテラ・インターメディアATCC49046、バクテロイデス・ホルシサスATCC43047、エイケネラ・コロデンスATCC23834、フソバクテリウム・ヌクレアタムATCC25586、トレポネマ・デンチコーラATCC33520、カンピロバクター・レクタスATCC33238、ミクソコッカス・キサンタスDZ2、および大腸菌HB101。
【0031】
それらキメラ抗体は、S・ミュータンス表面上の抗原と特異的に結合し、かつ相補性決定領域が由来する種とは異なる種に由来する重鎖または軽鎖のアミノ酸配列の少なくとも1部分を有する。1つの選択において、そのキメラ抗体がヒト化抗体になるように、重鎖または軽鎖のアミノ酸配列の少なくとも1部分がヒト由来である。この選択の場合、実質的に相補性決定領域の外側の重鎖または軽鎖の全てのアミノ酸配列がヒト由来である。
【0032】
示されたように、本発明に基づくキメラ抗体は、非ヒト抗原結合部位、およびヒト化エフェクター結合領域を有するものであって差し支えない。非ヒト抗原結合部位として、それらに限定はされないが、マウス、イヌ、ネコまたは他の家畜モデル、あるいは他の哺乳類の抗原結合部位が挙げられる。
【0033】
ヒト化抗体を含むキメラ抗体を産生させる方法は、当業界で周知であり、例えばこの参照によってこの中に組み込まれるC.A.K. Borrebaeck, ed., “Antibody Engineering”(2d ed., Oxford University Press, New York, 1995) に記載されている。
【0034】
さらに、本発明は、上記のようにS・ミュータンス細胞表面上の抗原に対して適切な特異性を有する、一般的にsFvとして知られている単鎖結合断片を含む。そのようなsFvを調製する方法は、当業界で一般的に知られており、例えばこの参照によってこの中に組み込まれるC.A.K. Borrebaeck, ed., “Antibody Engineering”(2d ed., Oxford University Press, New York, 1995) に記載されている。
【0035】
S・ミュータンス抗原に対するSWLA1、SWLA2、およびSWLA3抗体の特異性によって、それら抗体は、虫歯管理におけるスクリーニング、診断、予防、および追跡アッセイ、画像法、ならびに治療法のための優れたマーカーとなる。本発明は、S・ミュータンスの検出、および虫歯またはその危険性の診断に有用である種々の免疫測定法を提供する。それら方法は、当業界で周知の種々の免疫測定法を含み、それらに限定はされないが、種々のタイプのラジオイムノアッセイ、酵素免疫測定法(ELISA)、酵素免疫蛍光測定法(FLIFA)等が挙げられる。さらに、本発明は、虫歯の検出が可能な免疫画像診断法を提供し、それらに限定はされないが、コロイド金に基づく比色測定法、ならびに放射線標識したSWLA1、SWLA2、およびSWLA3抗体を用いた放射線シンチグラフィー画像診断法が挙げられる(例えば1990年4月24日発行の米国特許第4,920,059号;1992年1月7日発行の米国特許第5,079,172号を参照)。さらには、本発明の抗体を他の色素または蛍光マーカーと結合させ、虫歯を画像化するために歯に直接用いても差し支えない。そのような測定法は、虫歯の検出およびモニタリングにおいて、臨床的に有用であろう。そのような測定法は、一般的にSWLA1、SWLA2、およびSWLA3抗体の1つ以上を用いることを含む。
【0036】
免疫測定法および画像診断法に加えて、本発明は、また、例えば虫歯治療のための治療薬、診断薬、または細胞傷害性薬剤に結合させたSWLA1、SWLA2またはSWLA3抗体の抗原結合領域を含む分子あるいは抗原結合領域を含むその断片から成る免疫複合体を含む。細胞傷害性薬剤の例として、それらに限定はされないが、クロルヘキシジン、フッ化物、リシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、タキソール、臭化エチジウム、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ジヒドロキシアントラセンジオン、アクチノマイシンD、ジフテリア毒素、シュードモナス外毒素(PE)、PE40、アブリン、グルココルチコイド、および放射性同位体が挙げられる。
【0037】
本発明のSWLA1、SWLA2、およびSWLA3モノクロナール抗体は、in vitroおよびin vivoの両方において、虫歯の検出のための診断的用途に有用である。In vitro診断法は、当業界で周知であり(例えばRoth, supra 1986, and Kupchik, supra 1988を参照)、虫歯の免疫組織学的検出またはS・ミュータンスの血清検出(例えば唾液試料または他の生体液中の)が挙げられる。
【0038】
免疫組織学的技術は、唾液、歯石、歯垢試料のような生体試料を本発明の抗体と接触させ、さらにその試料中の抗原と複合体を形成した抗体の存在を検出することを含む。試料中におけるそのような抗体−抗原複合体の形成は、抗原S・ミュータンスの存在を示唆する。試料中のその抗体の検出は、酵素免疫化学法(immunoperoxidase staining technique)、アビジン−ビオチン(ABC)法、または免疫蛍光法のような当業界で公知の技術を用いて実施できる(Ciocca et al., (1986);Heiistrom et al., (1986);Kimball (ed.,)(1986))。
【0039】
血清診断法は、虫歯のある患者の唾液または他の生体液中に分泌された、または“放出された(shed)”S・ミュータンス抗原の検出および定量化を含む。“放出された”抗原と反応する抗体を用いて液体試料中の抗原の存在を検出するラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素免疫測定法(ELISA)のような当業界で公知の技術を用いて、唾液において、そのような抗原を検出できる(例えばUotila et al., (1981) and Allum et al., 1986を参照)。従って、この中に開示された抗体を用いたそれら測定法は、生体液中のS・ミュータンスの検出に用いることができる。抗原−抗体反応を含むほとんど全ての測定法において、本発明の抗体を用いることができることは、前記から明白である。それら測定法として、限定はされないが、液相および固相両方の標準RIA法、ならびにELISA法、免疫蛍光法、および他の免疫細胞化学法(immunocytochemical assay)が挙げられる(例えば、Sikora et al. (1984)を参照)。
【0040】
また、本発明の抗体は、虫歯の検出のためのin vivo診断的用途において有用である。そのような試みの1つとして、S・ミュータンスに結合した場合に検出可能な信号を生じさせる適切なイメージング試薬で標識した抗体を用いた画像法によって、in vivoで虫歯を検出することが挙げられる。イメージング試薬およびそのような試薬を用いた抗体の標識の手順は周知である(例えば、Wensel and Meares, (1983);Colcher et al., (1986)を参照)。標識抗体は、放射性核種走査(radionuclear scanning)のような方法によって検出できる(例えば、Bradwell et al. (1985)を参照)。
【0041】
免疫複合体において用いられる抗体断片として、Fv、Fab、Fab’、またはF(ab)’2断片が挙げられる。それら断片は完全免疫グロブリンと比べて一般的に免疫原性が低いため、特に治療においては、Fv、Fab、Fab’、またはF(ab)’2断片のような免疫反応性断片の使用が好ましいことが多い。それら抗体は、複合体を形成していない抗体と同様、自然にS・ミュータンスを標的として細胞を殺す有用な治療薬となり得、従って、S・ミュータンスの集積によって生じる虫歯を予防および/または治療することができるであろう。治療薬を抗体に結合させる方法は周知である(例えば、Amon et al., 1985;Hellstrom et al., 1987;Thorpe, (1985);and Thorpe et al.,(1982)を参照)。
【0042】
SWLA1、SWLA2、およびSELA3抗体は、また、S・ミュータンスタンパク質およびペプチドを精製する方法、ならびに相同分子および関連分子を単離する方法において用いることができる。捕獲試薬として抗体を用いるタンパク質およびペプチドの精製方法は、当業界で周知である。例えば、1つの実施形態において、S・ミュータンスタンパク質の精製方法は、SWLA1、SWLA2、またはSELA3抗体がS・ミュータンスタンパク質またはペプチドに結合し得るような条件下において、S・ミュータンスタンパク質またはペプチドを含有する溶解物または他の溶液と共に、固体基質に結合させたSWLA1、SWLA2、またはSELA3抗体をインキュベートし;固体基質を洗浄して未結合の不純物を除去し;さらに結合した抗体からS・ミュータンスタンパク質または断片を溶出させることを含む。
【0043】
本発明は、さらに、患者の歯、または患者から採った唾液、歯垢、もしくは歯石の試料中のS・ミュータンスの存在を検出する方法を含み、その方法は、歯またはそれら試料の少なくとも1つをSWLA1、SWLA2、またはSELA3抗体と接触させ、さらに歯またはそれら試料中のS・ミュータンスと抗体との結合を検出することを含む。歯磨き粉、うがい薬、トローチ剤、ゲル、粉末、スプレー、液体、錠剤、またはチューインガム等によって、歯の表面に局所的に抗体を投与することができる。歯および/または試料を標識抗体と接触させ、その複合体が試料中のS・ミュータンスの存在を指示する結果として、モノクロナール抗体とS・ミュータンス細胞の間で形成された複合体の存在を検出することによって、S・ミュータンスの存在を検出できる。直接的にまたは間接的に検出可能な信号を生じるように、本発明の抗体を標識して差し支えない。標識は、例えば以下の化合物:放射線標識剤;酵素;発色団;化学発光物質;生物発光物質;または蛍光剤から選択することができる。蛍光剤を用いる場合、蛍光は、蛍光顕微鏡、蛍光光度計、またはフローサイトメトリーによって検出できる。また、コロイド金比色分析もS・ミュータンスの存在の検出に用いることができる。コロイド金比色分析は当業界で周知である(J.A.K. Hasan, et al. (1994);and E.Harlow, D.Lane. (1988))。
【0044】
本発明はまた、患者における虫歯の初期兆候を診断する方法を含む。その方法は、本発明の抗体を用いて、患者の少なくとも1つの歯、または患者から採った唾液、歯垢、もしくは歯石の試料における、S・ミュータンス細胞の数を定量的に特定し、さらに、そのようにして特定したS・ミュータンス細胞の数を正常な対照、すなわち虫歯の無い患者から採った試料中のその細胞の数と比較することによって達成できる。S・ミュータンス細胞数の正常範囲は、任意の上述された方法(すなわち、S・ミューテンスに対する標識抗体を検出する)を用いて、正常な患者すなわち虫歯の無い患者におけるS・ミュータンスの量を定量化することによって決定することができる。例えば、正常範囲は、1細胞/mlから約1x105細胞/mlまたは1x105細胞/mlから1x106細胞/mlであろう。他の範囲も可能である。もし、患者が正常範囲を超える測定可能な高いS・ミュータンスの存在を有する場合は、その患者において虫歯の初期兆候を示唆するであろう。
【0045】
本発明はまた、患者における虫歯の経過をモニターする方法を含む。本発明の抗体を用いて、異なる時点において、歯、または患者から採った唾液、歯垢、もしくは歯石の試料を評価し、さらにS・ミュータンスの存在レベルに変化があるか否かを決定することができる。同一人における前回の値を越える増加は、虫歯の活動が高まっていることを示唆するであろう。例えば、患者の唾液試料の最初の評価が1x105S・ミュータンス細胞/mlより少ない結果であったが、その後に1x105S・ミュータンス/mlを超える結果をもたらした場合に、患者において、今、虫歯の危険性が高まっていることを示唆するであろう。
【0046】
本発明はさらに、SWLA1、SWLA2、またはSWLA3抗体、あるいはS・ミュータンス抗原結合活性を有するその断片を患者の歯に対して局所的に投与することによって虫歯から歯を予防する方法を含む。例えば、標準的方法を用いて作成した歯磨き粉、うがい薬、トローチ剤、ゲル、粉末、スプレー、液体、錠剤、またはチューインガム等によって、歯の表面に局所的に抗体を投与することができる。細菌を殺す毒剤に抗体を結合させて、例えば任意の上記の方法によって歯の表面に投与して差し支えない。当業界で周知の方法を用いて、本発明のモノクロナール抗体の適量を容易に決定することができる(概して、Goodman, et al. (ed.), 1993を参照)。
【0047】
診断用キットを用いて、この中に記載のS・ミュータンスを検出するための方法を実施しても差し支えない(例えば、1992年8月25日発行の米国特許第5,141,850号;1993年4月13日発行の米国特許第5,202,267号;1996年11月5日発行の米国特許第5,571,726号;1997年2月11日発行の米国特許第5,602,040号)。そのようなキットは、少なくとも1つの本発明のモノクロナール抗体、および歯、または患者から採った例えば唾液のような試料中に存在するS・ミュータンスに対するモノクロナール抗体の結合を検出するための試薬を含有する。その試薬は、例えば、蛍光によって検出し得る薬剤、および緩衝剤のような補助剤を含む。そのキットはまた、本発明の方法を実施するための、および/または処理のために試料を診断用研究室に運ぶための器具または容器、ならびに本発明の方法を実施するための適切な取扱い説明書を含む。
【0048】
発明の利点
本発明のモノクロナール抗体を用いると、他の細菌種と比べた、歯垢形成中におけるS・ミュータンスの詳細なトポロジーおよび割合、ならびに患者における虫歯による病変の兆候および進行をモニターすることができる(例えば、蛍光顕微鏡を用いて)。言い換えると、このことは虫歯の改善された治療法の開発につながり得る。例えば、本発明の抗体を普通の色素または蛍光色素と結合させて差し支えない。そのような抗体を含有する溶液は、患者の口をすすぐのに用いることができる。色素結合抗体は、虫歯の位置に結合する。ビデオまたはデジタルマイクロカメラによってTVで虫歯の画像を見ることができる。
【0049】
蛍光色素結合モノクロナール抗体およびビデオ画像技術を用いて、感染部位における細菌を標識することが可能であり、従って、早期段階に虫歯の病変を検出し、さらにその病変が活動的であるか否かを特定するのを助ける。このことは、診断、治療、さらに歯科衛生の管理の改善を助ける。
【0050】
モノクロナール抗体に基づく本発明の検出方法は、患者におけるS・ミュータンスを定量的に測定するために、現在の方法と比較して有意な利点を有する、迅速、正確、かつ経済的な方法をもたらす。有効かつ正確な虫歯の危険性評価の開発への第1段階として、モノクロナール抗体の検出および計数のためにモノクロナール抗体を蛍光光度法と組み合わせた方法について、本研究において記載している。それら方法、特にフローサイトメトリーは、高い特異性で細菌を迅速に検出し、さらに高い正確性で細菌数を計数することができる。それら方法を用いて、低コストで、短期間の間に、大量の唾液試料を処理することが可能である。このことは、唾液中のS・ミュータンスの数と虫歯の存在および進行の速さとの間の相関性を再評価するための低コストで正確な測定法をもたらすであろう。そのような測定法は、テストストリップ(test strips)上でコロイド金比色分析系に連結させたモノクロナール抗体から構成されていて差し支えない。本発明は、新鮮な唾液中に単に浸した場合の色の変化による迅速かつ簡単なS・ミュータンスの測定法のための評価系の使用を含む。そのような方法は、歯科医院で、ならびに患者の家で、虫歯の危険性を評価するために使用するのに適している。任意のそれら方法または公知の方法を用いて虫歯の危険状態および/または虫歯の活動状態の正確かつ客観的評価法は、対象を絞った予防および治癒的治療を可能とし、従ってヒトの歯科衛生を有意に改善するであろう。
【0051】
ここに記載の本発明をより完全に理解できるように、以下の実施例を示す。その実施例は単に例示目的であり、いかなる方法においても、本発明の範囲を限定するとして解釈すべきでない。
【0052】
実施例 1
材料および方法
細菌株および培養条件
用いた細菌株の一覧を表2に示す。S・ミュータンスは、ヘミン(haemin)(5μg/ml)を補足した脳・心臓浸出物 (BHI)培地(Difco)中で培養した。他の細菌は、ATCCが推奨する種々の培地中において培養した。嫌気性細菌は、80%N2、10%CO2、10%H2の環境下、37℃で培養した。
【0053】
S ・ミューテンスに対する種特異的モノクロナール抗体の作成およびスクリーニング
c型S・ミュータンス株ATCC25175を、BHI培地中、対数増殖期まで培養し、さらに3000xgで5分間遠心することによってリン酸緩衝食塩水pH7.2(PBS)で2回洗浄した。沈降物を1%ホルマリン/0.9%NaCl中に再懸濁液させ、室温(RT)で30分間攪拌し、さらに0.9%NaClで2回洗浄した。フロイント不完全アジュバント(FIA)でエマルジョン化したホルマリン処理したS・ミュータンスの全細胞108を含む抗原100μlをBALB/cマウス(8-10週)に腹腔内投与して免疫した。3−5週間後、二回目の抗原(FIA中の細菌全細胞108)をその動物に投与した。融合の3日前、食塩水中の全細胞108を静脈内投与して、そのマウスに追加免疫した。
【0054】
標準的組織培養培地は、2mM L−グルタミン、1mM ピルビン酸ナトリウム、および10mM HEPESを補足され、かつ100μg/mlペニシリンおよび100μg/ml ストレプトマイシン、ならびにウシ胎児血清を含有するRPMI1640(Gibco)培地である。ハイブリドーマは、HAT(100μgヒポキサンチン、0.4μMアミノプテリン、16μMチミジン)を含有する培地において選択した。アミノプテリンを培地から除いた後2週間は、HT(100μgヒポキサンチン、16μMチミジン)を培養液中に含めた。ハイブリドーマのクローニングの間、追加の成長因子として、OPI(1mMオキサロ酢酸、0.45mMピルビン酸、および0.2U/mlウシインシュリン)を培養組織に添加した。
【0055】
Kohler&Milstein(1975)によって報告されている方法に従って、ハイブリドーマを作成した。NSL/Ag4.1マウスミエローマ細胞株を融合相手として用い、さらに5%CO2中、37℃で、攪拌培養によって増殖させ、融合前に対数増殖期に維持した。
【0056】
S・ミュータンスに対する種特異的モノクロナール抗体をスクリーニングするために、以下の試みを用いた。最初のスクリーニングは、ELISA法を用いて実施し、S・ミュータンスに結合する抗体を含有する培養上清を選択した。ホルマリン処理した細菌をOD660≒0.5となるまでPBSで希釈し、0.02mg/mlポリ−L−リジン100μlを添加して4時間プレインキュベートした96穴PVC ELISAプレート中に、二重で添加した(100μl)。そのような抗原コートプレートを4℃で一昼夜インキュベートし、その後PBSで3回洗浄し、さらに0.5%ウシ胎児血清/PBSでブロッキングし、4℃で保存した。100μlの成熟ハイブリドーマ上清を抗原コートプレートの適切なウェルに添加し、室温で1時間インキュベートし、PBS−0.05%Tween20で3回洗浄し、さらにアルカリホスファターゼ結合多価ヤギ抗マウスIgG抗体(PBS-1%ウシ胎児血清で1:1000に希釈)の添加によって結合抗体を検出した。基質であるp−ニトロフェニルリン酸(炭酸緩衝液(15mM NaCO3, 35mM NaH2CO3, 10mM MgCl2 pH9.6)中)を添加した後、15分後に405nmでEIAリーダーにおいて発色を測定した。陽性上清(対照より3倍以上高い)について、さらに、強い陽性の反応性を有する上清をスクリーニングするため、免疫沈降法を実施した(細菌100μlを上清100μlと混合する)。さらに、それら上清を用いて、以下の細菌との交差反応性を評価した(表2に列記した細胞株);S・ミュータンス;S・ラタス;S・ゴルドニ;S・ミチス;S・ソブリナス;緑色連鎖球菌;S・アンギノサス;ラクトバシラス・アシドフィルス;ラクトバシラス・カセイ;アクチノバシラス・アクチノミセテムコミタンス;ポルフィロモナス・ギンギバリス;プレボテラ・インターメディア;バクテロイデス・ホルシサス;エイケネラ・コロデンス;フソバクテリウム・ヌクレアタム;トレポネマ・デンチコーラ;カンピロバクター・レクタス;ミクソコッカス・キサンタス;および大腸菌HB101。結果を表2に示す。
【0057】
蛍光顕微鏡を用いた S ・ミュータンスの検出
細菌溶液10μlを培養上清5μlと混合し、室温で20秒間インキュベートし、さらにフルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合ヤギ抗マウスIgG抗体(Sigma)1μlを前記溶液に添加した。その混合液をHausser 細菌計数チャンバー(Bright-line 1475)にのせて、細菌の計数のため蛍光顕微鏡で観察した。
【0058】
蛍光光度計を用いた S ・ミュータンスの検出
前記と同じ方法によって、FITC分子で細菌を標識した。遠心分離によってPBSで混合物を2回洗浄し、溶液中の過剰なFITC結合ヤギ抗マウス抗体を除去した。次に沈降物をPBS中に再懸濁液させ、さらに蛍光光度計(TD700, Turner Designs, Sunnyvale, CA)に入れて、試料中の細菌濃度を反映するS・ミュータンスに結合したFITC蛍光色素を測定した。
【0059】
フローサイトメトリーを用いた S ・ミュータンスの検出
前記と同じ方法によって、FITC分子で細菌を標識し、さらにFluorescence-Activated Cell Sorter(FACS)(COULTER EPJCS elite flow cytometer, Coulter Corp. Miami, FL) で解析した。FACS装置は、99.99%の正確さで、1秒あたり10,000細胞の能力で、溶液中の各粒子を検出し、さらにその蛍光強度に基づきそれらを分離する。S・ミュータンスに対するFITC結合モノクロナール抗体を用いると、FACS装置によって、任意の細菌混合物中の細菌を容易に検出し、かつ計数することができる。
【0060】
結果
種特異的モノクロナール抗体の単離
ホルマリン処理したS・ミュータンスでBALB/cマウスを免疫し、モノクロナール抗体の作成に用いた。その血清が細菌と強い陽性の反応性を示したため、さらには1835個の成熟ハイブリドーマがそのマウスから得られたため、2番目のマウスを選択した。
【0061】
大量の別個のエピトープを含有するS・ミュータンスの表面の複雑さを考慮すると、いくつかの種特異的モノクロナール抗体を得るためには、結合アッセイのための十分異なるハイブリドーマを有することが重要であった。1835個全ての成熟ハイブリドーマ上清をELISAでスクリーニングし、781の上清がS・ミュータンスと陽性反応性を有することが分かった。次に、免疫沈降法によって、陽性反応の強いものから116の上清を特定した。その培養上清を用いて、表2に挙げた細菌との交差反応性を評価した。
【0062】
【表2】
Figure 0004731687
S・ミュータンスと最も高い陽性反応性を有するが、列挙された他のどの細菌とも有意な交差反応性を持たない3つの上清を特定した。その上清中の3つのハイブリドーマをさらにサブクローニングし、精製し、さらにSWLA1、SWLA2、およびSWLA3と命名した。サブクラスアイソタイプ分析は、3つ全てのモノクロナール抗体がIgGサブクラスであることを示唆した。ウェスタンブロット分析は、それら抗体が、他のどの細菌表面タンパク質とも交差反応しないことを示し、他の細菌の細胞表面上のタンパク質と交差反応するS・ミュータンスに対する公知の抗体とそれら抗体との違いを示した。それらの結果は、本発明の抗体が、S・ミュータンスの表面上の多糖エピトープにおそらく結合するであろうことを示唆する。
【0063】
蛍光顕微鏡を用いた S ・ミュータンスの計数
SWLA1、SWLA2、およびSWLA3抗体を用いて、細菌細胞の混合物中のS・ミュータンスを特異的に標識した。さらに、モノクロナール抗体標識S・ミュータンス細胞をFITC結合ヤギ抗マウスIgG抗体で処理してモノクロナール抗体に結合させ、結果的に、FITCでS・ミュータンスを標識した。FITC標識S・ミュータンス細胞は、蛍光顕微鏡を用いて、直接見て、計数することができる。図1(a)は、S・ラタス、S・ゴルドニ、S・ミチス、緑色連鎖球菌、大腸菌、ならびにS・ミュータンスを含む細菌混合物の顕微鏡画像を示す。位相差照明を蛍光灯に変えると、S・ミュータンス細胞のみがFITC分子の結合による蛍光画像を示したが、他の細菌は示さなかった(図1(b))。このようにして、混合物中のS・ミュータンスの数を容易に認識し、かつ計数した。我々は、この計数方法を従来のコロニー計数法(PBSで細菌を希釈し、BHIプレート上で平板培養(plating)することによってコロニー計数を実施する)と比較し、2つの方法の結果の間に良い相関性が認められた(表3)。
【0064】
【表3】
Figure 0004731687
蛍光光度計を用いた S ・ミュータンスの計数
上記のように、溶液中のS・ミュータンスは、本発明のモノクロナール抗体およびFITC結合ヤギ抗マウスIgG抗体を用いて標識することができ、さらに蛍光強度を蛍光光度計で測定することができる。従来のコロニー計数法(PBSで細菌を希釈し、BHIプレート上で平板培養(plating)することによってコロニー計数を実施する)で測定した溶液中のS・ミュータンスの濃度と蛍光強度との間に線形相関が認められた(表4)。
【0065】
【表4】
Figure 0004731687
蛍光活性化セルソーターを用いた S ・ミュータンスの自動計数
FACSを用いて、FITC標識S・ミュータンス細胞を検出し、さらに計数した。図2は、S・ミュータンスに特異的に結合したFITC結合モノクロナール抗体がFACSによって効率的に検出されたが、同じ抗体で標識したF・ヌクレアタムまたはT・デンチコーラのような他の口腔細菌は全く蛍光を示さず、すなわち抗体が他の口腔細菌には結合せず、S・ミュータンスに特異的であったことを示す。
【0066】
結論
我々は、S・ミュータンス細菌に種特異的である新規な抗体を発見した。それら抗体は、患者におけるS・ミュータンスの存在を検出するのに用いることができ、従って、虫歯の診断、治療、および予防的管理を可能とする。本発明は、S・ミュータンスの存在を迅速かつ安価に評価するための方法を含む。
【0067】
引例
【表5】
Figure 0004731687
【表6】
Figure 0004731687
【表7】
Figure 0004731687
【表8】
Figure 0004731687
【表9】
Figure 0004731687

【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、蛍光顕微鏡を用いたS・ミュータンスの検出を示す
【図2】 図2は、S・ミュータンスとSWLA1のフローサイトメトリー分析を示す

Claims (16)

  1. ストレプトコッカス・ミュータンス(S・ミュータンス)の表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体であって、ATCC No. HB12559としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生され、SWLA1と称されることを特徴とするモノクローナル抗体。
  2. S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体であって、ATCC No. HB12560としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生され、SWLA2と称されることを特徴とするモノクローナル抗体。
  3. S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体であって、ATCC No. HB12558としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生され、SWLA3と称されることを特徴とするモノクローナル抗体。
  4. 治療剤に結合させた下記より成る群から選択されるモノクローナル抗体を含む免疫複合体:
    (a) ATCC No. HB12559としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA1と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体;
    (b) ATCC No. HB12560としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA2と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体;および
    (c) ATCC No. HB12558としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA3と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体。
  5. 検出可能な標識に結合させた下記より成る群から選択されるモノクローナル抗体を含む免疫複合体:
    (a) ATCC No. HB12559としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA1と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体;
    (b) ATCC No. HB12560としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA2と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体;および
    (c) ATCC No. HB12558としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA3と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体。
  6. 前記検出可能な標識が、放射線標識剤、酵素、発色団、化学発光物質、生物発光物質または蛍光剤より成る群から選択されることを特徴とする請求項5記載の免疫複合体。
  7. 細胞毒性物質に結合させた下記より成る群から選択されるモノクローナル抗体を含む免疫複合体:
    (a) ATCC No. HB12559としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA1と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体;
    (b) ATCC No. HB12560としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA2と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体; および
    (c) ATCC No. HB12558としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA3と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体。
  8. 前記細胞毒性物質が、クロルヘキシジン、フッ化物、リシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、タキソール、臭化エチジウム、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ジヒドロキシアントラセンジオン、アクチノマイシンD、ジフテリア毒素、シュードモナス外毒素(PE)、PE40、アブリン、グルココルチコイドおよび放射性同位体より成る群から選択されることを特徴とする請求項7記載の免疫複合体。
  9. 下記より成る群から選択されるハイブリドーマ:
    (a) S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するSWLA1と称されるモノクローナル抗体を産生し、ATCC No. HB12559としてATCCに寄託されたハイブリドーマ;
    (b) S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するSWLA2と称されるモノクローナル抗体を産生し、ATCC No. HB12560としてATCCに寄託されたハイブリドーマ; および
    (c)S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するSWLA3と称されるモノクローナル抗体を産生し、ATCC No. HB12558としてATCCに寄託されたハイブリドーマ。
  10. S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を製造する方法であって、請求項9記載のハイブリドーマを適切な条件下で培養して前記抗体を産生させ、さらに該産生抗体を回収する工程を含むことを特徴とする方法。
  11. 被験者の歯、あるいは唾液、歯石または歯垢試料中におけるS・ミュータンスの存在を検出する方法であって:
    (i)歯、あるいは唾液、歯石または歯垢試料に、
    (a) ATCC No. HB12559としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA1と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体;
    (b) ATCC No. HB12560としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA2と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体; および
    (c) ATCC No. HB12558としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA3と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体;
    より成る群から選択されるモノクローナル抗体を接触させ;さらに
    (ii)前記歯または試料に対する前記抗体の結合を検出する;工程を含むことを特徴とする方法。
  12. 歯磨き粉、うがい薬、トローチ剤、ゲル、粉末、スプレー、液体、錠剤、またはチューインガムによって歯の表面に前記抗体を局所投与することによって、少なくとも1つの歯に前記抗体を接触させることを特徴とする請求項11記載の方法。
  13. 前記抗体が金コロイドで標識されており、前記歯または試料に対する抗体の結合を検出する工程が、前記歯または試料に結合した金コロイドを検出することを含むことを特徴とする請求項11記載の方法。
  14. 被験者において虫歯の兆候を診断するためのキットであって、
    (a) ATCC No. HB12559としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA1と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体;
    (b) ATCC No. HB12560としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA2と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体; および
    (c) ATCC No. HB12558としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA3と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体;
    より成る群から選択されるモノクローナル抗体を含有し、
    前記抗体を用いて、前記被験者の少なくとも1つの歯または該被験者から採った唾液、歯垢、もしくは歯石試料、ならびに虫歯のない正常対照の少なくとも1つの歯または正常対照から採った唾液、歯垢もしくは歯石試料における、S・ミュータンス細胞の数が定量的に特定され、前記被験者におけるS・ミュータンス細胞の数が正常対照におけるS・ミュータンス細胞の数と比較して増加している場合に、前記被験者における虫歯の兆候が示唆されることを特徴とするキット。
  15. 被験者において虫歯をモニタリングするためのキットであって、
    (a) ATCC No. HB12559としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA1と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体;
    (b) ATCC No. HB12560としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA2と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体; および
    (c) ATCC No. HB12558としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA3と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体;
    より成る群から選択されるモノクローナル抗体を含有し、
    前記抗体を用いて、第1時点および第1時点とは異なる第2時点において前記被験者の少なくとも1つの歯または該被験者から採った唾液、歯垢、もしくは歯石試料におけるS・ミュータンス細胞の数が定量的に特定され、前記第1時点と第2時点におけるS・ミュータンス細胞の数の差異が虫歯の経過の指標となることを特徴とするキット。
  16. 虫歯の兆候に関して唾液、歯垢もしくは歯石試料を検査する方法であって、
    (i)被験者から採取した唾液、歯垢もしくは歯石試料中、ならびに虫歯のない正常対照から採取した唾液、歯垢もしくは歯石試料中に存在するS・ミュータンスの数を、
    (a) ATCC No. HB12559としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA1と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体;
    (b) ATCC No. HB12560としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA2と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体; および
    (c) ATCC No. HB12558としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されSWLA3と称される、S・ミュータンスの表面上の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体;
    より成る群から選択されるモノクローナル抗体を用いて定量的に検出し;さらに
    (ii)前記被験者の試料中のS・ミュータンス細胞の数を、前記正常対照の試料中のS・ミュータンス細胞の数と比較する;工程を含み、
    前記被験者の試料中のS・ミュータンス細胞の数が正常対照の試料中のS・ミュータンス細胞の数と比較して増加している場合に、前記被験者における虫歯の兆候が示唆されることを特徴とする方法。
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