JPH1036400A - モノクローン抗体、並びに口腔用組成物及び診断・研究用基剤 - Google Patents

モノクローン抗体、並びに口腔用組成物及び診断・研究用基剤

Info

Publication number
JPH1036400A
JPH1036400A JP8207870A JP20787096A JPH1036400A JP H1036400 A JPH1036400 A JP H1036400A JP 8207870 A JP8207870 A JP 8207870A JP 20787096 A JP20787096 A JP 20787096A JP H1036400 A JPH1036400 A JP H1036400A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
streptococcus
monoclonal antibody
antibody
antigen
mutans
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8207870A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideyuki Oishi
秀之 大石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Lion Corp
Original Assignee
Lion Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Lion Corp filed Critical Lion Corp
Priority to JP8207870A priority Critical patent/JPH1036400A/ja
Publication of JPH1036400A publication Critical patent/JPH1036400A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 口腔内のう蝕原性細菌であるストレプトコッ
カス・ミュータンスと特異的に反応するモノクロナール
抗体を得る。 【解決手段】 抗原抗体反応の容量−作用曲線がプラト
ーとなるような抗体過剰域でストレプトコッカス・ミュ
ータンス(血清型c/e/f)と特異的に反応して、他
のストレプトコッカス属菌であるストレプトコッカス・
ミティス、ストレプトコッカス・サリバリウス、及びス
トレプトコッカス・サンギスと反応しないことを特徴と
するモノクローン抗体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ストレプトコッカ
ス・ミュータンス(Streptococcusmut
ans、血清型c/e/f)と特異的に反応するモノク
ローン抗体、並びに口腔用組成物及び診断・研究用基剤
に関し、更に詳述すると、反応特異性が極めて高く、口
腔内のストレプトコッカス・ミュータンスの存否、多寡
を正確に検出することができる上に、う蝕原性細菌であ
るストレプトコッカス・ミュータンスを口腔内から特異
的に排除でき、う蝕の効果的な予防が可能となるモノク
ローン抗体、並びに該モノクローン抗体を配合した口腔
用組成物及び診断・研究用基剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、ストレプトコッカス・ミュータンスはう蝕原性細菌
として口腔衛生の分野で注目されており、口腔内のスト
レプトコッカス・ミュータンスの存在とう蝕の発生の間
には密接な関係があることが広く知られている。
【0003】この場合、ストレプトコッカス・ミュータ
ンスはう蝕の有力な原因菌であるミュータンスレンサ球
菌群(mutans streptococci)の菌
として分類されている。現在、同群にはストレプトコッ
カス・ミュータンス(Streptococcus m
utans、血清型c/e/f)の他に、ストレプトコ
ッカス・クリセタス(S.cricetus、血清型
a)、ストレプトコッカス・ラッタス(S.rattu
、血清型b)、ストレプトコッカス・ソブリヌス
S.sobrinus、血清型d/g)、ストレプト
コッカス・ドウネイ(S.downei、血清型h)、
ストレプトコッカス・フェルス(S.ferus、血清
型c)の各菌が含まれている。これらの中で、ヒト口腔
内から高頻度で分離される菌としてはストレプトコッカ
ス・ミュータンスとストレプトコッカス・ソブリヌスが
あり、中でもストレプトコッカス・ミュータンスはう蝕
の発生に深く関連することが知られている。
【0004】このため、う蝕の発生と密接に関連するス
トレプトコッカス・ミュータンスの存否、多寡を測定す
ることによりう蝕罹患の危険性(カリエス・リスク)を
予測する提案がなされている(特開平1−250067
号公報)。この提案は、ストレプトコッカス・ミュータ
ンスの存否、多寡をストレプトコッカス・ミュータンス
に対するモノクローン抗体又はポリクローン抗体を用い
て検出するものであり、免疫学的測定法であるため、ス
トレプトコッカス・ミュータンスの検出に要する時間が
大幅に短縮でき、結果が判明するまでに1日以上を要す
る細菌学的培養法に比べ、迅速性に優れ、細菌学に関す
る専門的な知識や技術、特殊な設備を必要としないもの
である。
【0005】一方、ストレプトコッカス・ミュータンス
と同じストレプトコッカス属に分類される菌が多数常在
菌として口腔内に存在していることが知られており、特
にストレプトコッカス・ミティス(S.mitis)、
ストレプトコッカス・サリバリウス(S.saliva
rius)、ストレプトコッカス・サンギス(S.sa
nguis)の3菌種は、口腔内細菌叢中の主要細菌で
ある。この場合、口腔内の部位により細菌の存在の相対
比率は異なるが、カリエス・リスク診断時の検体として
繁用される唾液については、上記3菌種で口腔内細菌叢
の50%近くを占めている。
【0006】また一般に、唾液1ml中の総菌数は10
8個以上といわれており、上記3菌種とも唾液1ml中
に、各々108個程度のオーダーで存在するものと考え
られる(G.Nikiforuk著、榊 鉄也監訳、
「齲蝕1−病因論とメカニズム」、104〜136頁
(1987)、学建書院)。
【0007】なお、ストレプトコッカス・ミュータンス
の総菌数は個人差が大きいため一概には言えないが、い
わゆる「う蝕ハイリスク」といわれる場合で唾液1ml
中に106個レベル、「ストレプトコッカス・ミュータ
ンスの定着に必要」といわれているレベルで同じく10
4〜105個程度であると報告されている。
【0008】この点について、武井の報告によると、ヒ
トの唾液1ml中のストレプトコッカス・ミュータンス
(この場合、正確にはミュータンスレンサ球菌群)のレ
ベルは106個のレベル以下であり、ストレプトコッカ
ス・ミュータンスの血清型分布はc型が最も多く、次い
でe型が多く、f型は少なかった。また、ストレプトコ
ッカス・ソブリヌスはd/g型ともに低い検出率であっ
た(武井 勉、大阪大学歯学雑誌、35:93(199
0))。
【0009】従って、カリエス・リスクを正確に診断す
るためには、102〜104倍以上の比率で存在する上記
ストレプトコッカス属の3種の菌の中からストレプトコ
ッカス・ミュータンスのみを正確に検出することが必要
となり、ストレプトコッカス・ミュータンスに対する極
めて高い反応特異性が検出に用いる抗体に要求される。
即ち、口腔内での存在比率が高く、測定の妨害となるス
トレプトコッカス・ミティス、ストレプトコッカス・サ
リバリウス、ストレプトコッカス・サンギスの3菌種に
対しては全く反応しない(測定のバックグラウンド以
下)という極めて高い反応特異性が要求される。
【0010】この点に関して、上記特開平1−2500
67号公報に開示されている技術は、種特異性の高い血
清型多糖抗原に対する抗体を使用することにより上記課
題を解決している。しかしながら、血清型多糖抗原はス
トレプトコッカス・ミュータンスでは上述した通り、c
/e/fの3種類が存在するため、少なくとも3種類の
抗体を使用しなければストレプトコッカス・ミュータン
スを正確に検出することができず、操作性、迅速性に劣
るという問題点があった。
【0011】上記問題点を解決するために、c/e/f
各血清型に共通するエピトープに対するモノクローン抗
体を利用する試みが検討されている。例えば、ストレプ
トコッカス・ミュータンスのみに反応するモノクローン
抗体に関する技術についてはロバータ スミス等(RO
BERTA SMITH,et al.,Infec
t.Immun.,46:168(1984))が報告
しているが、この提案では他のストレプトコッカス属菌
に対する反応特異性の検討が不十分かつ不明であり、抗
原抗体反応の容量−作用曲線に関する記述もなされてい
ない。
【0012】また、ファビエンヌ アッカーマンス等の
報告(FABIENNE ACKERMANS,et
al.,Infect.Immun.,49:344
(1985))に記載されている抗原抗体反応の容量−
作用曲線のプロファイルに見られるとおり、一般に抗体
の量が増加すると、本来反応性が弱い菌体でも反応応答
が出現し、検出を妨害し反応特異性に問題が生じること
が知られている。
【0013】従って、口腔内のストレプトコッカス・ミ
ュータンスのみを、102〜104倍以上の比率で他のス
トレプトコッカス属の菌(特に、ストレプトコッカス・
ミティス、ストレプトコッカス・サリバリウス、ストレ
プトコッカス・サンギス)が共存する試料の中から正確
に検出するためには、これら検出の妨害となりうる菌に
対しては、「どのような条件下でもバックグラウンド以
下の反応性しか示さない」という極めて高い反応特異性
が保証できるような抗体を使用しない限りストレプトコ
ッカス・ミュータンスの正確な検出は困難である。
【0014】この点について公知文献を精査してみる
と、特開平2−177898号公報に開示されているモ
ノクローン抗体については、ストレプトコッカス・サリ
バリウスについてバックグラウンドをやや上回る程度の
弱い交差性が認められており、この微弱な応答がストレ
プトコッカス・ミュータンス検出の妨害となりうること
を特開平5−5744号公報に開示されたデータが示し
ている。即ち、107個レベルのストレプトコッカス・
サリバリウスと105個レベルのストレプトコッカス・
ミュータンスの応答性は同程度となり、実際の口腔内で
の両者の存在比はこれよりも大きい場合があり、この場
合より大きな妨害となり、誤った診断結果を下す危険性
が憂慮されている。
【0015】従って、未だ十分な反応特異性を有し、ス
トレプトコッカス・ミュータンスと特異的に反応し、他
のストレプトコッカス属菌と反応しないモノクローン抗
体は得られておらず、その開発が望まれていた。
【0016】本発明は、上記事情を鑑みなされたもの
で、ストレプトコッカス・ミュータンスと特異的に反応
し、他のストレプトコッカス属菌と反応しないために、
ストレプトコッカス・ミュータンスの存否、多寡の検
出、及び排除に有効なストレプトコッカス・ミュータン
スと特異的に反応するモノクローン抗体、並びに該モノ
クローン抗体を配合した口腔用組成物及び診断・研究用
基剤を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者らは、上記目的を達成するために、ストレプトコ
ッカス・ミュータンスに対する極めて高い反応特異性を
有するモノクローン抗体を開発すべく、鋭意検討を重ね
た結果、ストレプトコッカス・ミュータンスに対するモ
ノクローン抗体を産生可能な細胞を樹立し、この細胞か
ら得られたモノクローン抗体を、モノクローン抗体過剰
域でストレプトコッカス属の菌に対する反応特異性を厳
しく解析した結果、樹立したクローン数としては少数で
はあるが、う蝕の原因菌であるストレプトコッカス・ミ
ュータンス(血清型c/e/f)とのみ反応し、他のス
トレプトコッカス属菌と反応しないモノクローン抗体を
見出した。
【0018】即ち、ストレプトコッカス・ミュータンス
のc/e/f各血清型に共通するエピトープに対するモ
ノクローン抗体を産生可能な細胞を樹立し、この細胞か
ら得られたモノクローン抗体を、ストレプトコッカス・
ミュータンス菌体上の反応可能な全エピトープに抗体が
結合し、抗原抗体反応の容量−作用曲線がプラトーとな
るような高濃度に抗体が添加された過酷な条件、即ち、
本来反応性が弱い菌体でも反応応答が出現し、反応特異
性に問題が生じるようなモノクローン抗体過剰域におい
て反応特異性を解析したところ、ストレプトコッカス・
ミュータンス(血清型c/e/f)と高い反応性を示
し、他のストレプトコッカス属の菌、特に口腔中の存在
比率が高く測定の妨害となるストレプトコッカス・ミテ
ィス、ストレプトコッカス・サリバリウス、ストレプト
コッカス・サンギスとは、どのような条件下でもバック
グラウンド以下の反応性しか示さないという極めて高い
反応特異性を有するモノクローン抗体が得られ、カリエ
ス・リスクの正確な診断、及びう蝕原性菌の特異的排除
が可能となり、口腔衛生分野での大きな期待に応えるこ
とができることを見出し、本発明をなすに至ったもので
ある。
【0019】従って、本発明は、(1)抗原抗体反応の
容量−作用曲線がプラトーとなるような抗体過剰域でス
トレプトコッカス・ミュータンス(血清型c/e/f)
と特異的に反応して、他のストレプトコッカス属菌であ
るストレプトコッカス・ミティス、ストレプトコッカス
・サリバリウス、及びストレプトコッカス・サンギスと
反応しないことを特徴とするモノクローン抗体、(2)
(1)記載のモノクローン抗体を産生する細胞(3)
(1)記載のモノクローン抗体を含有してなる組成物、
及び、(4)(1)記載のモノクローン抗体を含有して
なる診断・研究用基剤を提供する。
【0020】以下、本発明につき更に詳しく説明する
と、本発明のモノクローン抗体は、抗原抗体反応の容量
−作用曲線がプラトーとなるような抗体過剰域でストレ
プトコッカス・ミュータンス(血清型c/e/f)と特
異的に反応して、他のストレプトコッカス属菌であるス
トレプトコッカス・ミティス、ストレプトコッカス・サ
リバリウス、及びストレプトコッカス・サンギスと反応
しないことを特徴とするものである。
【0021】ここで、本発明において「ストレプトコッ
カス・ミュータンス(血清型c/e/f)と特異的に反
応し、」、「他のストレプトコッカス属菌であるストレ
プトコッカス・ミティス、ストレプトコッカス・サリバ
リウス、及びストレプトコッカス・サンギスと反応しな
い」とは、ストレプトコッカス・ミュータンス菌体上
の反応可能な全エピトープに抗体が結合した状態、即ち
抗原抗体反応の容量−作用曲線がプラトーとなるような
高濃度の抗体が添加される反応系で、他のストレプト
コッカス属菌、特にストレプトコッカス・ミティス、ス
トレプトコッカス・サリバリウス、ストレプトコッカス
・サンギスの3種類に対する反応性がバックグラウンド
以下である、という二つ条件を同時に満たすことをい
う。
【0022】また、の抗原抗体反応の容量−作用曲線
がプラトーとなるような高濃度の抗体とは、抗体が抗原
の反応すべき全エピトープに結合し、抗体をそれ以上増
やしても吸光度が変化しない状態をいい、本発明のモノ
クローン抗体においては、抗体量が64(=2-6)倍希
釈より高濃度である場合をいい、本発明モノクローン抗
体は、このような抗体過剰域において反応特異性を解析
した場合でも、ストレプトコッカス・ミュータンス(血
清型c/e/f)とのみ特異的に反応して、他のストレ
プトコッカス属菌であるストレプトコッカス・ミティ
ス、ストレプトコッカス・サリバリウス、及びストレプ
トコッカス・サンギスと反応しないものである。
【0023】なお、ストレプトコッカス属の菌について
は、1980年代以降になってもストレプトコッカス・
オラリス(S.oralis)、ストレプトコッカス・
ゴルドニイ(S.gordonii)等の新しい菌種が
分離・報告されているが、本発明においては、以前より
口腔内に多数存在することが報告されているストレプト
コッカス・ミティス、ストレプトコッカス・サリバリウ
ス、ストレプトコッカス・サンギスの3菌種について、
ストレプトコッカス・ミュータンスの特異的検出を妨害
するストレプトコッカス属の菌として検討した。
【0024】本発明のモノクローン抗体は、抗原結合領
域(可変領域)の遺伝子構成が同一である細胞集団が産
生する抗体であり、クラススイッチによるクラスが異な
る抗体、遺伝子組み換え技術等の手段で調製したキメラ
抗体等も含まれる。
【0025】更に、同一の特異性を有するモノクローン
抗体分子をペプシンで分解して得られるF(ab’)2
断片、パパインで分解して得られるFab断片のよう
に、抗原結合能を有する特異抗体由来のフラグメントな
どもモノクローン抗体と同様に使用することができる。
【0026】本発明のモノクローン抗体は、ポリエチレ
ングリコールを用いた細胞融合によるハイブリドーマの
樹立(細胞融合法)の他、電気的融合法やセンダイウイ
ルス等によるハイブリドーマの樹立、遺伝子組み換えに
よる組み換え体の調製、エプシュタイン−バール(Ep
stein−Barr)ウイルスや発ガンプロモーター
等による形質転換体の調製などによっても調製すること
ができるが、特に、細胞融合によるハイブリドーマの樹
立が好適である。
【0027】ここで、ポリエチレングリコールを用いた
細胞融合によるハイブリドーマの樹立について更に詳し
く説明すると、抗原の調製は、ストレプトコッカス・ミ
ュータンスを培養して公知の方法により目的とするエピ
トープを有する抗原を調製する。次に、得られた抗原で
動物(馬、牛、羊、ヤギ、マウス、ニワトリ等)を免疫
するが、近交系動物が確立しているマウスを用いるのが
一般的である。具体的には、動物への免疫方法として
は、皮下注射、筋肉注射、腹腔内投与等による通常の方
法や点鼻、点眼等の方法によって行うことができる。抗
原の投与量は、所望の抗体価が得られ、かつ免疫動物に
対して悪影響を与えない量を適宜選択すればよい。な
お、必要に応じて例えばフロイント(Freund)完
全アジュバント、フロイント(Freund)不完全ア
ジュバント、水酸化アルミニウム等のアジュバントを該
抗原と共に併用してもよい。
【0028】最終免疫後、抗体価が上昇していることを
確認し、全血採取を行い、無菌的に脾臓を取り出し、脾
細胞を得る。この脾細胞を免疫に用いた同種動物由来の
継代培養した骨髄種細胞とをポリエチレングリコールの
存在下で融合させてハイブリドーマをつくる。融合した
細胞のみ増殖できる特殊な培養条件下で培養し、限界希
釈法(リミティング・ダイリューション)という方法を
用いて目的のモノクローン抗体産生株をスクリーニング
する。このハイブリドーマは免疫動物の抗体産生細胞が
特異抗体を産生する能力と、骨髄種細胞が半永久的に増
殖するという両者の長所を有するものである。なお、本
発明のモノクローン抗体を産生する細胞としては、上記
ハイブリドーマ以外にも、遺伝子組み換え体、形質転換
体等が含まれる。
【0029】モノクローン抗体の調製は、細胞種に適し
た方法を各々選択すれば良く、細胞培養法の他、ハイブ
リドーマ、形質転換体については、腹腔等生体内で培養
することも条件を満たせば可能である。また、モノクロ
ーン抗体の精製については、当該分野で通常行われてい
る硫安沈殿法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィ
ニティークロマトグラフィー等の各方法、及びそれらの
組み合わせにより可能となる。
【0030】このようにして得られた本発明のモノクロ
ーン抗体の反応特異性は極めて高く、下記実施例で詳述
するように、20%ウシ胎児血清を含有する培養上清中
にモノクローン抗体が存在するような低純度のモノクロ
ーン抗体組成物を用いても、ストレプトコッカス・ミュ
ータンスの特異的検出が可能である。従って、アフィニ
ティークロマトグラフィー精製による高純度のモノクロ
ーン抗体だけでなく、抗原抗体反応を阻害しないような
成分からなるモノクローン抗体含有組成物もストレプト
コッカス・ミュータンスの検出に有用である。更に、必
要に応じてアジ化ナトリウムのような防腐剤、プロテア
ーゼ阻害剤等を添加することも可能である。
【0031】本発明のモノクローン抗体は、う蝕予防用
口腔用組成物、ストレプトコッカス・ミュータンス検出
用の診断・研究用基剤などの用途に好適なものである。
【0032】う蝕予防用口腔用組成物としては、洗口
剤、うがい液、歯磨類、その他の種々の口腔用組成物の
形態に調製することができ、他の成分としては組成物の
種類に応じた公知の成分を常用量配合し得る。
【0033】また、ストレプトコッカス・ミュータンス
検出用の診断・研究用基剤として、他の試薬と組み合わ
せて検査キット、診断用試薬、研究用試薬などに使用す
ることができる。
【0034】この場合、検体中のストレプトコッカス・
ミュータンスを検出する方法としては、一般的な抗原抗
体反応に基づく抗原の検出方法がそのまま利用できる。
例えばオクタロニー法、免疫電気泳動法、受身赤血球凝
集反応法、菌体凝集法、ラテックス凝集法、酵素抗体法
(enzyme−linked immunosorb
ent assay;ELISA法)などが挙げられる
が、簡便かつ迅速に検出するならばラテックス凝集法
が、原因菌の多寡を精度良く測定するならばELISA
法が好ましい。なお、ヒト披検者からの検体としては、
プラーク(歯垢)、唾液等が用いられる。検体は、その
まま本発明モノクローン抗体と反応させてもよく、適当
な前処理を行った後、モノクローン抗体と反応させても
よい。
【0035】更に、本発明モノクローン抗体によれば、
口腔内のストレプトコッカス・ミュータンスの存否・多
寡を正確に検出、診断することができる上に、う蝕原性
細菌であるストレプトコッカス・ミュータンスと特異的
に結合する性質を利用して、モノクローン抗体を特定の
不溶性担体(例えば、ラテックス等)と結合させてお
き、この抗体結合担体と結合したストレプトコッカス・
ミュータンスを口腔内から特異的に排除することができ
るので、う蝕の効果的な予防が可能となるものである。
【0036】
【実施例】以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明
するが、本発明は下記実施例に制限されるものではな
い。なお、特に記述がない限り、温度は室温で操作し、
pHは20〜25℃におけるpHを示す。蛋白質量は2
80nmの吸光度測定結果からその濃度を算出した。
【0037】[実施例1]1.抗原の調製 (1)ストレプトコッカス・ミュータンス ATCC2
5175(血清型c、以下、S.mutans ATC
C25175と記す)をTPY培地(トリプティケース
・ペプトン−フィトン−イースト抽出物培地)を用い
て、37℃で培養して得た培養液上清に、硫酸アンモニ
ウムを60%飽和となるように添加して得た硫安沈殿画
分を50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5;4℃)
に溶解し、同緩衝液に対して4℃で透析し、透析膜内液
を回収した。 (2)透析膜内液を上記緩衝液で平衡化したDEAE−
セルロースカラムに通し、カラムを同緩衝液で洗浄後、
連続直線的イオン強度濃度勾配(0〜0.3M塩化ナト
リウム)をかけて蛋白質抗原cを含有する画分を得た。
同画分を硫酸アンモニウムで再度塩析して得た沈殿画分
を、10mMリン酸緩衝液(pH7.4)に溶解し、粗
蛋白質抗原c画分とした。 (3)同画分を上記リン酸緩衝液で平衡化したセファロ
ース−6Bカラムを用いたゲルろ過を行い、精製蛋白質
抗原c画分を得た。同画分を分子量30,000以上を
カットするフィルターを用いて濃縮し、凍結保存した。
更にその一部を精製水に対して透析した後、冷凍保存し
た。なお、上記精製工程における蛋白質抗原cの確認
は、メルカプトール存在下で熱変性させた試料をドデシ
ル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
で分離し、190キロダルトンに相当する蛋白質抗原c
バンドの存在を指標として行った。純度の検定も同様に
行った。
【0038】2.マウスの免疫 (1)BALB/cA Jclマウス(雄性、8週齢、
日本クレア株式会社)を用いた。10mMリン酸緩衝化
生理食塩水(pH7.4、以下、PBSと記す)を用い
て蛋白質抗原c溶液(1mg/ml)を調製し、同量の
Freundの完全アジュバントとよく混和してエマル
ジョンを調製し、マウス腹腔内にエマルジョン0.2m
l(蛋白質抗原cとして100μg)を投与した。 (2)初回免疫から2〜3週間後、Freundの不完
全アジュバントを用いて同様に調製した蛋白質抗原c含
有エマルジョン0.2ml(蛋白質抗原cとして100
μg)を同様に投与した。 (3)更に、2〜3週間後、PBSを用いて蛋白質抗原
c溶液(0.5mg/ml)を調製し、その0.1ml
(蛋白質抗原cとして50μg)をマウス尾静脈から投
与した。
【0039】3.脾細胞調製(最終免疫から3日目) (1)マウスをエーテル麻酔下、眼窩静脈叢および心臓
から採血した後に瀉血し、無菌的に脾臓を摘出し、イス
コフ改変ダルベッコ培地(以下、IMDMと記す)で数
回洗浄後、20%ウシ胎児血清添加イスコフ改変ダルベ
ッコ培地(以下、IMDM+20%FBSと記す)中に
浸漬した。 (2)切開した脾臓を平ピンセットでつぶし、ステンレ
ススチール・メッシュ#200を通過させ、脾臓細胞懸
濁液を得た。 (3)トリパンブルー染色を行い、血球計算盤で生細胞
数を測定した。
【0040】4.ミエローマ細胞の調製 BALB/cマウス由来のミエローマ細胞であるSp2
/0−Ag14細胞をIMDM+20%FBSを用いて
炭酸ガス培養装置(37℃、95%空気+5%CO2
内で培養した。細胞融合実施時、脾細胞と同様にして生
細胞数を測定した。
【0041】5.細胞融合処理 (1)ミエローマ細胞懸濁液と脾細胞懸濁液を、生細胞
数比が1:5となるように混合し、400×gで5分間
遠心分離して得た細胞塊をIMDMで再懸濁し、再度遠
心分離して細胞塊を得た。タッピングにより細胞塊を良
くほぐした。 (2)ポリエチレングリコール4000溶液(50w/
w%となるようにIMDMで溶解した溶液)1mlを1
分間かけて滴下し、1分間良く混合した。 (3)10mlのIMDMを取り、1mlを1分間、1
mlを1分間、8mlを3分間かけて滴下した後、同様
に遠心分離をし、細胞塊を回収した。 (4)HAT選択培地(IMDM+20%FBSに、ヒ
ポキサンチン(H)、アミノプテリン(A)、チミジン
(T)を各々、100μM、0.4μM、16μMとな
るように添加した培養液)を脾細胞濃度が5×106
/mlとなるように添加し、細胞懸濁液を調製した。 (5)上記懸濁液を96マルチウェルプレート(コーニ
ング ラボラトリー サイエンシーズ カンパニー:C
ORNING Laboratory Science
s Company,25860MP)に1ウェル当た
り0.1ml添加し、炭酸ガス培養装置で培養した。 (6)数日後、HAT選択培地を適宜追加した。
【0042】6.菌体結合プレートの調製 次の15種類のストレプトコッカス属の菌を用いて菌体
結合プレートを調製した。S.mutans ATCC25175(血清型c) S.mutans Ingbritt ( 〃 c) S.mutans MT703 ( 〃 e) S.mutans OMZ175 ( 〃 f) S.cricetus E49 ( 〃 a) S.rattus ATCC19645( 〃 b) S.ferus ATCC33477( 〃 c) S.sobrinus B13 ( 〃 d) S.sobrinus OMZ176 ( 〃 d) S.sobrinus 6715 ( 〃 g) S.downei ATCC33748( 〃 h) S.sanguis ATCC10556 S.mitis ATCC49456 S.salivarius ATCC7073 S.oralis ATCC35037
【0043】このうち、酵素抗体法によるクローン選択
には、S.mutans IngbrittS.mu
tans MT703S.mutans OMZ17
S.sobrinus B13S.sobrin
us 6715S.sanguis ATCC105
56S.mitis ATCC49456S.sa
livarius ATCC7073S.orali
s ATCC35037の9種類を用いた。それ以外の
菌は、ハイブリドーマ樹立後のモノクローン抗体の特異
性検討にのみ用いた。 (1)3.7w/v%ブレイン ハート インフュージ
ョン(Brain Heart Infusion)培
地を用いて上記各菌を培養した後、遠心分離により菌体
を回収した。 (2)得られた菌体をPBS中に再懸濁した後、遠心分
離により菌体を回収した。この操作を3回繰り返して菌
体をPBS洗浄した後、PBSを用いて懸濁液を調製し
550nmにおける吸光度(A550)を測定した。 (3)PBSを用いて550nmにおける吸光度(A
550)が0.3となるような菌体懸濁液を調製した。血
液平板で生菌数を調べた結果、A550が0.3の各菌体
懸濁液は約1×109cfu/ml(colony f
orming unit/ml)に相当した。 (4)上記懸濁液を酵素抗体法用96マルチウェルプレ
ート(コーニング コースター コーポレーション:C
orning Costar Corporatio
n,3590)に1ウェル当たり0.1ml添加し、4
℃で1週間静置した。 (5)ウェル表面が菌体で飽和されていることを確認し
た後にウェルの内容物を捨て、0.05w/v%ツィー
ン20(Tween20)を添加したPBS(以下、洗
浄液と記す)で3回洗浄した。続いて、1w/v%ウシ
血清アルブミンを添加したPBSでウェルを満たし、3
7℃で1時間放置してブロッキング処理を行った。ブロ
ッキング処理後のプレートは使用時まで4℃で保存し
た。7.酵素抗体法によるクローン選択 上記5.の細胞融合後、肉眼で細胞のコロニーが確認で
きたウェルについて以下の酵素抗体法を実施し、ストレ
プトコッカス・ミュータンスに対するモノクローン抗体
の存否を確認した。 (1)培養上清50μlを無菌的に採取し、0.1w/
v%ウシ血清アルブミンを含有するPBS(以下、希釈
液と記す)500μlが入っているチューブに添加して
希釈した。希釈培養上清を上記6.の9種類の各菌体結
合プレートに1ウェル当たり50μl添加し、ラップを
して37℃で1〜2時間反応させ、洗浄液で3回洗浄し
た。 (2)希釈液で1000倍に希釈した抗マウスIgG+
A+M(H+L)ウサギF(ab’)2−アルカリ性ホ
スファターゼ標識(ザイメッド ラボラトリーズイン
ク:ZYMED LABORATORIES,IN
C.,61−6322)溶液50μlを添加し、同様に
1時間反応させた後に洗浄した。 (3)基質溶液(0.5mM塩化マグネシウムを添加し
た1Mジエタノールアミン緩衝液(pH9.8)中にp
−ニトロフェニルリン酸二ナトリウム六水和物を1mg
/mlとなるように溶解した溶液)100μlを添加
し、室温で20分〜1時間静置した後、405nmにお
ける吸光度を測定した。 (4)ストレプトコッカス・ミュータンス(血清型c/
e/f)とのみ反応して発色した試料を陽性とした。陽
性ウェルの中で特に吸光度の大きいウェルから細胞を回
収し限界希釈法によるクローニングを実施した。直ちに
限界希釈法を行わない場合は、HAT選択培地からアミ
ノプテリンのみを除いた組成の培地(以下、HT培地と
記す)をウェル当たり1滴ずつ(50〜60μl相当)
添加した。 8.限界希釈法によるクローニング (1)7.の酵素抗体法で陽性となったウェルから細胞
を培養上清とともに回収し、細胞懸濁液中の生細胞数を
測定した。 (2)細胞を段階的に希釈し、10細胞/ml相当の細
胞懸濁液を調製した。この懸濁液はHT培地にエンドセ
リアル セル グロース サプルメント:Endoth
elial cell growth supplem
ent(シグマケミカル カンパニー:SIGMA C
HEMICAL COMPANY,E−2759)を5
0μg/mlとなるように添加したものを用いて調製し
た。 (2)96マルチウェルプレートに細胞懸濁液を0.1
ml/ウェル(1細胞/ウェルに相当)となるように分
注し、同様に培養した。以後、HT培地を適宜追加し
た。 (3)単一コロニーが出現したウェルの培養上清を採取
し、上記7.の酵素抗体法と同様にしてクローン選択を
行った。 (4)酵素抗体法で陽性であることを確認したウェルの
細胞について、限界希釈法を合計で連続3回繰り返し
た。3回目の限界希釈法を実施後に、陽性出現率が高い
ことを確認できたハイブリドーマについては、クローン
を樹立したと判断した。9.細胞株の保存 (1)樹立した細胞をそれぞれ、24マルチウェルプレ
ート(HT培地1ml/ウェル)で増殖後、6マルチウ
ェルプレート(HT培地4ml/ウェル)で増殖させ、
培養上清の反応性を上記7.と同様の酵素抗体法で確認
した。この培養上清を凍結保存し、反応特異性の解析実
験に使用した。 (2)10v/v%ジメチルスルフォキシドを含有する
ウシ胎児血清を用いて調製した細胞懸濁液を凍結保存用
アンプルに分注し、−100℃まで緩やかに冷却した
後、液体窒素中で保存した。10.反応特異性の解析(酵素抗体法) (1)ハイブリドーマの培養上清(基本組成はHT培
地)を希釈液を用いて、2倍段階希釈を行い、2〜10
24倍(2-1〜2-10)希釈液を調製した。 (2)2倍段階希釈した各培養上清を上記6.の15種
類の各菌体結合プレートの1ウェル当たり100μl添
加し、ラップをして37℃で1〜2時間反応させ、洗浄
液で3回洗浄した。対照として希釈液100μlを添加
し、以下同様に操作した。 (3)希釈液で1000倍に希釈した抗マウスIgG+
A+M(H+L)ウサギF(ab’)2−アルカリ性ホ
スファターゼ標識(ザイメッド ラボラトリーズイン
ク:ZYMED LABORATORIES,IN
C.,61−6322)100μlを添加し、同様に1
時間反応させた後に洗浄した。 (4)基質溶液(0.5mM塩化マグネシウムを添加し
た1Mジエタノールアミン緩衝液(pH9.8)中にp
−ニトロフェニルリン酸二ナトリウム六水和物を1mg
/mlとなるように溶解した溶液)を添加し、室温で1
時間放置後、405nmにおける吸光度を測定した。 (5)対照として用いた希釈液を添加したウェルの吸光
度をバックグラウンドと考え、各々測定した吸光度から
対照の吸光度を引いたものをネットの発色としてデータ
を処理した。 (6)この結果、目的とする反応特異性を満足するモノ
クローン抗体として、ハイブリドーマH0117が産生
するモノクローン抗体MAb0117と、同じく、ハイ
ブリドーマH0611が産生するモノクローン抗体MA
b0611を得た。
【0044】なお、ストレプトコッカス・ミュータンス
(血清型c/e/f)との反応の程度がより揃っている
MAb0117の方が、ストレプトコッカス・ミュータ
ンスの検出により適しているとの結果を得た。モノクロ
ーン抗体MAb0117のストレプトコッカス属の菌と
の抗原抗体反応の容量−作用曲線を図1に示した。
【0045】図1の横軸は、ハイブリドーマH0117
培養上清の希釈率(2-10=1024倍希釈が最低濃
度、2-1=2倍希釈が最高濃度)を示し、縦軸は、抗原
抗体反応の反応性を吸光度で示した。なお、吸光度のデ
ータはS.mutans ATCC25175(ストレ
プトコッカス・ミュータンスのタイプ ストレイン)に
対する2倍希釈培養上清の吸光度を1とした場合の各吸
光度を、相対比で表示した。この場合、相対比1は吸光
度1.3に相当する。
【0046】図1の結果から、モノクローン抗体MAb
0117は、ストレプトコッカス・ミュータンス(血清
型c/e/f)に対し、64(=2-6)倍希釈より高濃
度の場合、反応すべき全エピトープにモノクローン抗体
MAb0117が結合して吸光度がプラトーとなってい
ることがわかった。この時、他のストレプトコッカス属
の菌に対する吸光度はバックグラウンドに相当する0を
示し、モノクローン抗体MAb0117は他のストレプ
トコッカス属の菌と全く反応しないことが確認できた。11.MAb0117、MAb0611のアイソタイピ
ング ハイブリドーマH0117、H0611の培養上清を検
体として、モノクローン抗体MAb0117、MAb0
611のアイソタイピングをマウスモノクローナル抗体
アイソタイピングキット(ギブコ ビー・アール・エ
ル:GIBCOBRL,10126−027)を用いて
行った結果、ともにクラスはIgG1、L鎖のタイプは
κであった。12.ハイブリドーマの寄託 ハイブリドーマH0117は、工業技術院生命工学工業
技術研究所、特許微生物寄託センターにMouse−M
ouse hybridoma H0117、受託番号
FERM P−15659として寄託されている。
【0047】[実施例2]モノクローン抗体の精製1.抗原結合アフィニティーカラムの調製 実施例1で調製した精製蛋白質抗原cとCNBr−ac
tivated Sepharose 4B(ファルマ
シア バイオテク株式会社,17−0430−01)を
用い、添付のマニュアル(Affinity Chro
matography principles & m
ethods)に従い、蛋白質抗原c結合アフィニティ
ーカラムを調製した。
【0048】2.マウス腹腔内でのH0117の培養、
腹水の採取 (1)BALB/cA Jclマウス(雄性、8週齢、
日本クレア株式会社)に2,6,10,14−テトラメ
チルペンタデカンをマウス1匹当たり0.5ml腹腔内
に投与した。 (2)3〜4週間後、IMDM+20%FBSで培養し
たハイブリドーマH0117をPBSで3回洗浄し、P
BSを用いて生細胞数が2×107個/mlとなるよう
な細胞懸濁液を調製した。マウス1匹当たり0.5ml
の細胞懸濁液を腹腔内に投与した。 (3)腹水の貯留が認められたマウスから、経時的に腹
水を採取した。 (4)腹水に同量のPBSを添加し、1000×g,2
0分間遠心分離を行い、上清を回収した。上清は直ちに
蛋白質抗原c結合アフィニティーカラムによるモノクロ
ーン抗体の精製に使用した。精製が直ちにできない場合
は−20℃で精製操作まで保存した。
【0049】3.精製モノクローン抗体の調製 (1)腹水の上清画分を蛋白質抗原c結合アフィニティ
ーカラムに通した。 (2)同カラムをPBSで十分に洗浄した。 (3)0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH2.7)でモ
ノクローン抗体を溶出させた。溶出後、直ちに1/10
容量の1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.4)で中和し、
各溶出画分の280nmにおける吸光度(A280)を測
定した。 (4)回収したモノクローン抗体画分を4℃でPBSに
対して透析し、透析膜内液をセントリカットU−50
(倉敷紡績株式会社)で濃縮し、モノクローン抗体溶液
を調製した。 (5)モノクローン抗体の濃度が10mg/mlとなる
ようにPBSで希釈した。なお、モノクローン抗体の濃
度は、1%溶液のA280を14として換算した。
【0050】モノクローン抗体MAb0611を産生す
るハイブリドーマH0611についても上記H0117
と同様に操作し、精製モノクローン抗体MAb0611
を得た。
【0051】[実施例3]標識抗体1.Fabの調製 Immunopure Fab Preparatio
n Kit(ピアスケミカル カンパニー:Pierc
e Chemical Company,44885)
を用いてモノクローン抗体MAb0117のFabを調
製した。
【0052】2.酵素標識化 Immunopure Maleimide Alka
line Phosphatase Conjugat
ion Kit(ピアス ケミカル カンパニー,31
492)を用いて、アルカリホスファターゼ標識化Fa
bを調製した。0.1w/v%ウシ血清アルブミン添加
PBSを用いて、Fabとして10μg/mlとなるよ
うに調製した。
【0053】[実施例4]診断用キット 下記内容からなるストレプトコッカス・ミュータンスの
検出キットを作成した。1.パラフィンペレット 2.プラスチックカップ 3.プラスチックスポイト 4.免疫反応用チューブ モノクローン抗体MAb0611をコーティングしたチ
ューブ PBSを用いて、モノクローン抗体MAb0611(I
gGとして10μg/ml)を調製し、ポリスチレン製
チューブの表面にモノクローン抗体MAb0611を吸
着させた後、ウシ血清アルブミンでブロッキング処理
し、0.1w/v%ウシ血清アルブミン添加PBSで満
たしたもの。5.標識抗体溶液 実施例3で調製したもの6.基質 p−ニトロフェニルリン酸二ナトリウム六水和物56m
7.基質溶解液 1mM塩化マグネシウムを含む1Mジエタノールアミン
緩衝液(pH9.8) 8.陽性対照 所定のcfuに相当するS.mutans懸濁液 1×104cfu/ml、1×106cfu/ml、1×
108cfu/ml9.洗浄液 PBSで調製した0.05w/v%ポリオキシエチレン
ソルビタンモノラウレート溶液10.反応停止液 2N水酸化ナトリウム 上記キットの具体的な取扱い方法を以下に説明する(唾
液が検体の場合)。 1)測定に先立って、下記の試薬を調製する。基質に基
質溶解液10mlを添加、溶解させ、基質溶液とする。 2)パラフィンペレットを5分間噛んだ後、唾液をプラ
スチックカップに取る。 3)プラスチックスポイトで唾液を0.5ml取り、免
疫反応用チューブの底の部分に5滴落とし、10分間放
置する。 4)洗浄液で免疫反応用チューブを3回洗浄する。 5)免疫反応用チューブに標識抗体溶液を5滴加え、1
0分間放置した後、同様に洗浄する。 6)基質溶液を10滴加え、よく混ぜてからそのまま放
置し、発色の程度を観察する。 7)陽性対照に発色を認めたら反応停止液を1滴加え
る。 8)陽性対照及び検体の発色の程度を比較し、検体中の
S.mutans濃度を判定する。
【0054】 〔実施例5〕歯磨 プロピレングリコール 3.0 カルボキシメチルセルロース 1.5 メチルパラベン 0.2 ブチルパラベン 0.02 安息香酸ナトリウム 0.1 60%ソルビトール液 30.0 サッカリンナトリウム 0.2 モノフルオロリン酸ナトリウム 0.76 カゼイン 0.5 ショ糖モノラウリン酸エステル 1.5 ラウリル硫酸ナトリウム 0.1 香料 1.0 色素 0.01 水酸化アルミニウム 45.0 MAb0117(IgGとして10mg/ml) 0.5精製水 残 合 計 100 重量部
【0055】 〔実施例6〕洗口剤 ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 2.0 カラギーナン 0.01 リン酸二ナトリウム 1.3 クエン酸 0.9 サッカリンナトリウム 0.2 フッ化ナトリウム 0.042 ゼラチン 2.0 60%ソルビトール液 15.0 香料 1.0 色素 0.01 MAb0117(IgGとして10mg/ml) 0.01精製水 残 合 計 100 重量部
【0056】
【発明の効果】以上に説明したとおり、本発明のモノク
ローン抗体は、極めて高い反応特異性を有しており、口
腔内のう蝕原性細菌であるストレプトコッカス・ミュー
タンスを他のストレプトコッカス属の近縁種と区別して
認識できるので、ストレプトコッカス・ミュータンスの
特異的検出とその排除が可能となる。このことはう蝕発
生の予防、治療に対して有効な手段を提供し、口腔衛生
の増進に寄与し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のモノクローン抗体MAb0117とス
トレプトコッカス属の菌との抗原抗体反応の容量−作用
曲線を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 21/08 G01N 33/577 B G01N 33/569 C12N 5/00 B 33/577 9282−4B 15/00 C //(C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗原抗体反応の容量−作用曲線がプラト
    ーとなるような抗体過剰域でストレプトコッカス・ミュ
    ータンス(血清型c/e/f)と特異的に反応して、他
    のストレプトコッカス属菌であるストレプトコッカス・
    ミティス、ストレプトコッカス・サリバリウス、及びス
    トレプトコッカス・サンギスと反応しないことを特徴と
    するモノクローン抗体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のモノクローン抗体を産生
    する細胞。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のモノクローン抗体を含有
    してなる口腔用組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のモノクローン抗体を含有
    してなる診断・研究用基剤。
JP8207870A 1996-07-18 1996-07-18 モノクローン抗体、並びに口腔用組成物及び診断・研究用基剤 Pending JPH1036400A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8207870A JPH1036400A (ja) 1996-07-18 1996-07-18 モノクローン抗体、並びに口腔用組成物及び診断・研究用基剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8207870A JPH1036400A (ja) 1996-07-18 1996-07-18 モノクローン抗体、並びに口腔用組成物及び診断・研究用基剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1036400A true JPH1036400A (ja) 1998-02-10

Family

ID=16546921

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8207870A Pending JPH1036400A (ja) 1996-07-18 1996-07-18 モノクローン抗体、並びに口腔用組成物及び診断・研究用基剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1036400A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000011037A1 (en) * 1998-08-21 2000-03-02 The Regents Of The University Of California Monoclonal antibodies specific for streptococcus mutans, and uses thereof
JP2002105100A (ja) * 2000-09-25 2002-04-10 Gc Corp モノクローナル抗体、それを産生する細胞及びそれを含有してなる歯科用診断・研究用基剤
EP1321478A3 (en) * 2001-12-18 2004-01-28 Tokuyama Dental Corporation Antibody against Streptococcus mutans and its use in an immunoassay
JP2004101345A (ja) * 2002-09-09 2004-04-02 Gc Corp 唾液前処理キット及び唾液前処理方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000011037A1 (en) * 1998-08-21 2000-03-02 The Regents Of The University Of California Monoclonal antibodies specific for streptococcus mutans, and uses thereof
JP2002523427A (ja) * 1998-08-21 2002-07-30 ザ リージェンツ オブ ザ ユニヴァーシティー オブ カリフォルニア ストレプトコッカス・ミュータンスに特異的なモノクロナール抗体、およびその使用
JP2002105100A (ja) * 2000-09-25 2002-04-10 Gc Corp モノクローナル抗体、それを産生する細胞及びそれを含有してなる歯科用診断・研究用基剤
EP1321478A3 (en) * 2001-12-18 2004-01-28 Tokuyama Dental Corporation Antibody against Streptococcus mutans and its use in an immunoassay
JP2004101345A (ja) * 2002-09-09 2004-04-02 Gc Corp 唾液前処理キット及び唾液前処理方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1280828B1 (en) Anthrax-specific antigen, vaccines comprising said antigen, anthrax-specific antibodies, and their uses
EP4063498B1 (en) Anti-oxa-23 type carbapenase hybridoma cell line, monoclonal antibody, and application
CN113906053A (zh) 抗cea抗体及其应用
AU666134B2 (en) Monoclonal antibodies against mycoplasma pneumoniae, hybridomas producing these, methods for the preparation thereof, and the use thereof
AU616384B2 (en) Method for the evaluation of oral microbes
JPS59192092A (ja) レジオネラに対する抗体を生成する交雑ネズミ細胞系およびその製造方法、並びにモノクロナ−ル抗体
EP0163141A2 (en) Monoclonal anti-human IgG antibody and process for preparing the same
CN111153992A (zh) 结核分枝杆菌lam的单克隆抗体及其用途
EP0812859B1 (en) ANTIFACTOR Xa-TISSUE FACTOR PATHWAY INHIBITOR COMPLEX MONOCLONAL ANTIBODY AND USE OF THE SAME
JPH1036400A (ja) モノクローン抗体、並びに口腔用組成物及び診断・研究用基剤
NO174153B (no) Antigen og monoklonalt antistoff for anvendelse in vitro,samt immunologiske reagenser inneholdende disse
De Soet et al. Identification of mutans streptococci with monoclonal antibodies
US20060127327A1 (en) Monoclonal antibodies specific for cariogenic bacteria
Kahane et al. Development of a capture-ELISA for the specific detection of Mycoplasma pneumoniae in patients’ material
JP2749338B2 (ja) ストレプトコッカス・ミュータンスに特異的に反応するモノクローナル抗体
JPH02177899A (ja) スオレプトコッカス・ミュータンスに特異的に反応するIgDモノクローナル抗体
JP3975361B2 (ja) 抗ストレプトコッカスサーモフィラスモノクローナル抗体、その産生細胞、ストレプトコッカスサーモフィラスの検出方法及び検出試薬
CN114213542B (zh) Cps-i抗体及其用途
KR102212636B1 (ko) 페스트균 f1 캡슐 단백질에 특이적인 항체, 이를 생산하는 하이브리도마 세포주 1h4, 및 이를 이용한 페스트균 진단 키트
EP0915158A2 (en) Improvements in or relating to detection of salmonella
CN115677851B (zh) 一种免疫阻断抗体或其抗原结合片段及其应用
Sampson et al. Immunologic characterization and specificity of three monoclonal antibodies against the 58-kilodalton protein of Legionella pneumophila
KR101851332B1 (ko) 스타필로코커스 아우레우스에 특이적인 신규한 단클론 항체, 이를 생산하는 하이브리도마, 이를 포함하는 검출용 조성물, 검출 방법 및 검출 키트
Morsy et al. Identification of Mycoplasma gallisepticum by use of monoclonal antibody in a rapid slide agglutination test
JP2002267673A (ja) う蝕性リスクの判定方法及び判定薬