JP4731183B2 - 光学ガラス - Google Patents

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Description

本発明は、屈折率(nd)が1.55以上、好ましくは1.60以上の光学定数を有し、光線透過率及び優れた内部品質を持つ光学ガラスに関する。
とりわけ本発明は、1.55以上、好ましくは1.60以上でアッベ数50〜60の範囲の光学恒数を有し、かつ酸化還元雰囲気にも影響を受けず優れた光線透過率を持ち、かつ平均線熱膨張係数α(100〜300℃)が小さく、かつ耐失透性が優れ、また優れた内部品質を有する特性を有する光ファイバー用光学ガラスに関する。
光線透過率が優れたガラスは、近年様々な装置に組み込まれ応用され利用されている。特にこれらのガラスは、医療用ライトガイドや、イメージガイドとして用いられる多成分系ガラスファイバーのコア部に使用されたり、半導体の露光装置に使用されるi線用のガラスレンズ((株)オハラ発行のi線用カタログ参照)に用いられたりする。このような光線透過率が優れたガラスにおいて、近年、砒素や鉛のような環境汚染物質を削減したガラスが望まれている。
多成分系ガラスファイバーは、光の伝達量を増やす為、コア部においては、できるだけndが高いものを使用し、クラッド部分においては、出来るだけndが低いものを使用して開口数を上げる必要がある。一般的に、ガラスの屈折率が高くなると低屈折率かつ低膨張成分であるSiOを低減したりする必要がある為、膨張係数(α)は大きくなる傾向あり、一方、屈折率が低くなると、SiOを多く導入することや低膨張成分が多く導入されるため、膨張係数(α)が小さくなる傾向にある。
光の伝達量を増やす為、ndを出来るだけ高くしたコア材を使用すると、コアとクラッド部分の膨張差が大きくなり、クラッド材との構造不整やクラックが発生しやすくなる傾向がある。従って、コア材に使用されるガラスの好ましい物性として、出来るだけndが高く、膨張が小さくものを使用することが好ましい。又ファイバーは伝送経路を長くして使用されることも多く、透過率が悪くなると伝送損失が大きくなる為、可視域全体で透過率が良いことも重要である。
また、光量は失透や分相などによる散乱の影響も受けるため、ガラスの溶解中に十分な耐失透性を有することも重要である。ここで、失透を抑える方法として、製造工程において、溶解温度を上げるといった方法が考えられる。しかし、光学ガラスの製造においては、分相や脈理を抑えるため熔融ガラスと接する一部分又は全部が白金又は白金合金材料で構成させた溶解装置を用いることが一般的であり、白金との接触がより高温及び長時間になると、ガラス中に白金イオンが溶け込むため、ガラスの透過率が悪くなるという問題がある。高透過率が求められるガラスにおいては、白金イオンによる着色や、異物等の散乱等の影響により透過率が悪くなることは致命的な欠陥となる。光ファイバーのコア材に使用される場合、異物や分相による散乱や透過率の低下は、光ファイバー等においては大きな伝送ロスとなる。
また、バッチを溶解するにあたり、Ptイオンとバッチとの反応をできるだけ抑える為、坩堝として白金を含まない材料からなるもの、例えば石英坩堝などが使用されるが、坩堝の材料に含まれる不純物がガラス中に溶けこみ、さらに原料中や様々な量産工程からもガラスに微量な不純物を含んでしまう。これらの不純物は、Fe、Cr等の遷移金属成分であるが、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合でも着色してしまい、特定の波長に吸収を生じさせるため、高透過が必要な光学ガラスにおいては、可能な限りその量を抑えることが好ましい。
また、近年、熔融炉の省エネルギー化が急速に進み、光学ガラスは様々な装置を使い製造されている。主な種類として重油やガスを燃料として使用する燃焼炉や電気を使用する電気炉タイプがあるが、特に重油やガス炉は、酸素濃度が低くなりやすい傾向があり、また、電気炉は溶解される温度によっては酸素濃度が高くなりやすい傾向がある。ガラス熔融時における炉内の雰囲気調整については、溶解温度等によっても微妙に異なってくる為、炉内の雰囲気の制御は、一般的に難しくコストもかかる。特に、本発明のガラスのように光線透過率が優れたガラスにおいては、ガラス内の酸化還元が透過率に大きな影響をもたらす為、酸化還元雰囲気に影響が受けにくい光線透過率が優れたガラスが必要となってくる。
従って、光ファイバー等に使用される高透過率ガラスには、以下に示すような高度な特性が必要とされる。
(1)PbOやAsのような環境汚染物質を含まないこと。
(2)光学設計上、屈折率(nd)が1.55以上であること。
(3)平均線熱膨張係数α(100〜300℃)ができるだけ小さいこと。
(4)ガラスの熔融中に失透、分相が生じにくいこと。
(5)不純物の量を抑え、不純物による吸収の影響を抑えること。
(6)酸化・還元雰囲気の影響をうけにくく可視域全域で内部透過率が優れていること。
(7)成形若しくは紡糸をする際に、熔融ガラスと接する一部分又は全部が白金又は白金合金材料で構成された溶解装置を用いて、内部品質の良いガラスを得たときでも透過率が優れていること。
従来から前記の光学恒数を有し環境汚染物質を削除したガラスとして、特開平8−119666号公報には、SiO-B-Al-ZrO-ZnO-BaO-LiO系のガラスが開示されているが、具体的に開示されているガラスは、異物、分相及び泡等が発生しやすく、十分な光線透過率を得ることが困難となる。
また、特開平11−92173号公報、特開2000-264675号公報には、それぞれSiO-Al-ZrO-ZnO-CaO-BaO-NaO系、SiO-B-Al-ZnO-CaO-BaO−LiO系のガラスが開示されているが、具体的に開示されているガラスは、異物が発生しやすく光線透過率が十分ではなく、また分相が生じやすく、本発明が目的とするガラスを得ることはできない。特開2000−103625号公報には、ガラス材の製造方法及びガラスファイバーの製造方法が開示されているが、具体的に開示されているガラスでは、屈折率が低く、十分な光線透過率を満たすことはできず、本発明が目的とするガラスを得ることができない。
特開平8−119666号公報 特開平11−92173号公報 特開2000−264675号公報 特開2000−103625号公報
本発明の目的は、前記従来のガラスにみられる諸欠点を総合的に改善し、環境汚染物質を含まず、屈折率が1.55以上、特に好ましくは1.60以上で、アッベ数50〜60の範囲の光学恒数を有し、かつ酸化還元雰囲気にも影響を受けず優れた光線透過率を持ち、かつ、平均線熱膨張係数α(100〜300℃)が小さく かつ耐失透性が優れ、また優れた内部品質を有するガラスを提供することにある。
本発明者は、上記従来のガラスにみられる問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、従来知られていないSiO-B-BaO-Sb−Ta系の特定組成のガラスにおいて、優れた光線透過率を有し、内部品質が格段に優れ、膨張も小さいガラスが得られることを見出し、さらに石英坩堝でバッチからカレットを作製する段階で、ガラス(バッチ)表面の熔融雰囲気を調整することで、さらに優れた光線透過率を得ることを見出し本発明をなすに至った。
本発明の第1の構成は、鉛化合物及び砒素化合物を含有せず、400〜450nmでの内部透過率が0.990以上でかつ600〜700nmでの内部透過率が0.990以上であり、1.60以上の屈折率(nd)を有し、酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
SiO 2 25〜36%
2 3 5〜20%
BaO 40%より大かつ50%以下及び
Ta 2 5 0.1〜4%
を含有する光学ガラスであって、0.95<Ta /(Ta +(ZrO +TiO +Nb +WO )×5)≦1.00、かつSiO 2 +B 2 3 +Al 2 3 +BaOが81%以上であることを特徴とする光学ガラスである。
発明の第の構成は、光ファイバー用コア材として使用される前記構成の光学ガラスである。
本発明の第の構成は、同時に使用されるクラッド材との100〜300℃における平均線熱膨張係数αの差が、−15〜+15(10−7−1)の範囲内である前記構成の光学ガラスである。
本発明の第の構成は、100〜300℃における平均線熱膨張係数αが100(10−7−1)以下である、前記構成1〜の光学ガラスである。
本発明の第の構成は、意成分として
Al23 0〜10%及び/又は
ZrO 0〜0.01%未満及び/又は
TiO 0〜0.01%及び/又は
Nb 0〜0.01%及び/又は
WO 0〜0.01%及び/又は
Sb 0〜0.4%及び/又は
ZnO 0〜10%及び/又は
MgO 0〜10%及び/又は
CaO 0〜10%及び/又は
SrO 0〜10%及び/又は
LiO 0〜5%及び/又は
NaO 0〜5%及び/又は
O 0〜5%及び/又は
SnO 0〜0.5%
の酸化物換算組成の各成分を含有し、かつ上記酸化物の一部又は全部を弗化物置換したFの合計量が、酸化物換算組成100質量部に対し0〜0.5質量部の範囲の各成分を含有する前記構成1〜4のいずれかの光学ガラスである。
なお、本明細書中において「酸化物換算組成」とは、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が熔融時にすべて分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総重量を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成であり、上記酸化物の一部又は全部を弗化物置換したFの合計量とは、本発明のガラス組成物中に存在しうる弗素の含有率を、前記酸化物換算組成100質量部を基準にして、F原子として計算した場合の質量部数で表したものである。
本発明の第の構成は、須成分として質量%で、
SiO2 25〜35%、
23 5〜14.8%、
BaO 41〜49.8%、
Ta 0.5〜3%、
ZnO 1〜7%、
CaO 1〜5%及び
Sb23 0.001〜0.15%
並びに任意成分として、
Al23 0〜5%及び/又は
ZrO 0〜0.01%未満及び/又は
TiO 0〜0.01%及び/又は
Nb 0〜0.01%及び/又は
WO 0〜0.01%及び/又は
MgO 0〜6%及び/又は
SrO 0〜6%及び/又は
LiO 0〜2%及び/又は
NaO 0〜2%及び/又は
O 0〜3%及び/又は
SnO 0〜0.2%
の酸化物換算組成の各成分を含有し、かつ上記酸化物の一部又は全部を弗化物置換したFの合計量が、酸化物換算組成100質量部に対し0〜0.5質量部の範囲の各成分を含有する前記構成1〜4のいずれかの光学ガラスである。
なお、本明細書中において「酸化物換算組成」をmol%表示の組成を表すために使用する場合は、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が熔融時にすべて分解され酸化物へ変化すると仮定し、当該生成酸化物の総物質量を100mol%とした場合のガラス中に含有される各成分を表記した組成を意味する。
本発明の第の構成は、100〜300℃における平均線熱膨張係数が92(10−7−1)以下であることを特徴とする前記構成の光学ガラスである。
本発明の第の構成は、日本光学硝子工業会規格JOGIS13−1994「光学ガラスの異物の測定方法」の表1に示されている100mlのガラス中における異物の断面積の総和が級1〜級4であることを特徴とする前記構成1〜の光学ガラスである。
本発明の第の構成は、日本光学硝子工業会規格JOGIS13−1994「光学ガラスの異物の測定方法」の表1に示されている100mlのガラス中における異物の断面積の総和が級1〜級3であることを特徴とする前記構成の光学ガラスである。
本発明の第10の構成は、ガラス融液の粘度η(dPa・s)の対数:logη=2.7で10時間以上保持された状態で、失透が発生しないことを特徴とする前記構成1〜の光学ガラスである。
本発明の第11の構成は、アッベ数(νd)が50〜60である前記構成1〜10の光学ガラスである。
本発明の第12の構成は、酸素濃度が7%以上に調整された熔融雰囲気にてバッチを熔解してカレットを作成する工程を含むことを特徴とする前記構成1〜11の光学ガラスの製造方法である。
本発明の第13の構成は、前記構成1〜10の光学ガラスよりなる光ファイバー用コア材である。
本発明の光学ガラスは特定範囲のSiO-B-Al-Sb-Ta系のガラスであり、本発明によれば、所定範囲の光学恒数において環境対策にコストを要するPbO及びAsを含有せず、優れた光線透過率を持ち、平均線膨張係数α(100〜300℃)が小さく、内部品質が優れかつ耐失透性に優れた光学ガラスを得ることができる。
また、このガラスは可視光線全域における内部透過率が優れており、また異物や失透の発生が少ないため、光伝送損失が少なく、紡糸性が優れ開口数が高いフアイバー用のコア材、特に耐オートクレーブ性に優れたクラッド材と組み合わせることを目的としたフアイバー用のコア材ガラスとして好適である。
次に本発明の光学ガラスにおいて、各成分の組成範囲を前記のとおり限定した理由を説明する。なお、本明細書中においては、特に断らない限り、各成分の含有率は質量%にて表されるものとする。
BaOは、本組成範囲において、ガラスの光線透過率を高め、熔融中のガラスを安定化させ、光学恒数を維持させるうえでも最も重要な成分の1つであるが、含有率が40%より多く含有されるとその効果が顕著に現れるが、過剰の添加は逆に熔融性を悪くし失透性が増すことになる。従って酸化物換算組成のガラス全質量に対して、好ましくは50%、より好ましくは49.9%、最も好ましくは49.8%を上限として含有され、好ましくは40%よりも多く含有され、より好ましくは40.5%、最も好ましくは41%を下限として含有する。BaOは、原料として例えばBa(NO)、BaCO、BaF等を使用してガラス内に含有させる。
SiO2は化学的耐久性と光線透過率を高めるために含有される成分である。25%以上含有することにより、所望のガラスの化学的耐久性及び光線透過率を達成できる。しかし過剰の添加はガラスの熔融性を悪化させ、また光学恒数が維持できなくなる等、本発明が目的とするガラスが得られなくなる。従って酸化物換算組成のガラス全質量に対して、好ましくは25%、より好ましくは26%、最も好ましくは27.5%を下限とし、好ましくは36%、より好ましくは35%、最も好ましくは34.9%を上限とする。SiO2は、原料として例えばSiO2、KSiF、ZrSiO等を使用してガラス内に含有させる。
23はガラスの膨張を小さくし、均質性を増すために含有される成分である。5%以上含有するとガラスの膨張が小さく、均質なガラスが得られるようになる。しかし過剰の添加はガラスの化学的耐久性を低下させることになる。従って酸化物換算組成のガラス全質量に対して、好ましくは5%、より好ましくは5.5%、最も好ましくは6%を下限とし、好ましくは20%、より好ましくは15%、最も好ましくは14.8%を上限とする。B23は、原料として例えばH3BO3等を使用してガラス内に含有させる。
Al23は化学的耐久性を高めかつ膨張を小さくするのに有効な成分である。10%以下含有させることにより、ガラスの熔融性を悪化させることなく、また耐失透性を低下させることなく、ガラス中に分相が生じずに上記効果を得ることができる。従って酸化物換算組成のガラス全質量に対して、好ましくは10%、より好ましくは5%、最も好ましくは4.8%を上限として含有する。Al23は、原料として例えばAl(OH)3、Al、AlF等を使用してガラス内に含有させる。
本発明の光学ガラスにおいては、BaO、SiO、B及びAlの含有率の和が酸化物換算組成のガラス全質量に対して81%以上となることは、内部透過率が優れかつ膨張が小さいガラスを得るために非常に重要なことである。当該合計量が低くなりすぎると所望の光線透過率及び所望の平均線膨張係数を有するガラスを得るのが困難になる。従って、BaO、SiO、B及びAlの含有率の和は好ましくは81%以上、より好ましくは82%以上、最も好ましくは83%以上である。
Sbは、本発明の組成系のガラスに優れた内部透過率を得るためには重要な成分である。特に本発明のガラス(SiO2-B-BaO-Ta系)は、本来、非常に優れた光線透過性を有するが、熔融ガラス中での酸化還元の状態、例えば、原料や炉の種類(燃料の種類)や操炉方法(温度、火炎形状、燃焼空気量)によって容易に変化するため、内部透過率が変化してしまうことがある。従ってこれらの種々の酸化還元の条件においても、一定量のSbを加えることにより優れた内部透過率を保つことができるが、過剰に添加するとSbの短波長域での吸収が強くなってしまうため、透過率が低下してしまう。本発明のガラス組成物においては、酸化物換算組成のガラス全質量に対して、好ましくは0.4%、より好ましくは0.3%、最も好ましくは0.15%を上限として加えることができる。また下限は特に設けるものではないが、好ましくは0%より多く含有され、より好ましくは0.001%、最も好ましくは0.01%を下限として含有する。Sb23は、原料として例えばSb23等を使用してガラス内に含有させる。
Taは、本発明のSiO−B−Al−BaO系のガラスにおいて、ガラスの均質性を向上させ分相を生じ難くする効果がある。また、熔融中のガラスを安定化及び耐失透性を向上させる効果がある。しかし、過剰の添加はガラスの光線透過率が悪くなる傾向がある。従って本発明のガラス組成物においては、さらにガラスの光線透過率を向上させ、上記の効果を総合的に得たい場合は、酸化物換算組成のガラス全質量に対して、好ましくは5%を上限とし、より好ましくは4%、最も好ましくは2.8%を上限として含有する。

Taは、原料として例えばTa等を使用してガラス内に含有させる。
本発明の光学ガラスにおいては、PbOを使用せずに屈折率を高めるために、ZrO、TiO、Nb、WO等の高屈折率を付与する成分を任意成分として導入することができる。しかし、これら成分はガラスを熔融している最中に分相、異物、泡等が生じやすくし、さらにTiO、Nb、WOは短波長域領域の吸収をより大きくするため、過剰の添加は光ファイバー用光学ガラスとして所望の光学特性を著しく損なうことになる。また、ZrOは、熔融性が悪く、ガラス内に異物が生じやすく、溶解温度を著しく上げ、Ptイオン等の溶け込みを助長させ、その結果、光線透過率が悪化する傾向にある。
本発明者は、特に、0.95<Ta/(Ta+(ZrO+TiO+Nb+WO)×5)≦1.00(式中、Ta、ZrO、TiO、Nb、WOは、本発明のガラス組成物における、酸化物換算組成のガラス全質量に対する個々の成分の質量%表示での含有率を意味する)を満たすようにTa、ZrO、TiO、Nb、WOの含有率を設定することにより、光ファイバー用光学ガラスとして優れた光線透過率を有し、熔融中のガラスの安定化及び耐失透性を向上させ、熔融中のPtイオンの溶け込みを抑えつつ、所望の屈折率及びアッベ数を有するといった優れた効果を奏することを今般見出したのである。
従って、ZrO、TiO、Nb、WOの夫々の含有量は、上式を満たすことを条件として、その上で好ましくは0.01%、より好ましくは0.005%を上限として含有し、最も好ましくは含まないとする。
ZnOは、熔融性の向上及び化学的耐久性の耐水性を向上させるのに効果的な成分であり、本発明の光学ガラス中に任意成分として含有できる。しかし過剰の添加はガラスの熔融性及び透過率を悪化させる。従って酸化物換算組成のガラス全質量に対して、好ましくは10%、より好ましくは7%、最も好ましくは6.9%を上限として含有する。ZnOは、原料として例えばZnO等を使用してガラス内に含有させる。
CaOは光学恒数の調整及びガラスの化学的耐久性を向上させ、光線透過率を向上させる成分であり本発明の光学ガラス中に任意成分として含有できる。しかし過剰の添加はガラスの熔融性及び透過率を悪化させる。従って酸化物換算組成のガラス全質量に対して、好ましくは10%、より好ましくは7%、最も好ましくは5%を上限とて含有する。CaOは、原料として例えばCaCO、CaF等を使用してガラス内に含有させる。
SrO及びMgOは、光学恒数の調整及びガラスの化学的耐久性を向上させる成分であり本発明の光学ガラス中に任意成分として導入できる。しかし過剰の添加はガラスの熔融性を悪化させる。従って酸化物換算組成のガラス全質量に対して、SrOを好ましくは10%、より好ましくは6%、最も好ましくは1%を上限として含有することができ、MgOを好ましくは10%、より好ましくは6%、最も好ましくは5%を上限として含有する。SrO及びMgOは、は、原料として例えばSr(NO、SrF、MgO、MgF等を使用してガラス内に含有させる。
LiOは、熔融性を改善するのに有効な成分ではあり本発明の光学ガラス中に任意成分として導入できる。しかし過剰の添加はガラスの化学的耐久性を悪化させ、また膨張も大きくなる。従って膨張を小さくし優れた光線透過率の優れたガラスを得るために、酸化物換算組成のガラス全質量に対して好ましくは5%、より好ましくは2%、さらに好ましくは1.9%を上限として含有する。LiOは、原料として例えばLiCO等を使用してガラス内に含有させる。
NaO及びKOは熔融性を改善するのに有効であり、本発明の光学ガラス中に任意成分として含有する。しかし過剰の添加は化学的耐久性及び光線透過率を悪化させ、膨張も大きくなり、成形性も悪くなる。従って、NaOについては酸化物換算組成のガラス全質量に対して好ましくは5%、より好ましくは2%、最も好ましくは1%を上限として含有することができ、KOについては好ましくは5%、より好ましくは3%、最も好ましくは2.5%を上限として含有する。NaOは、原料として例えばNa、Na・10HO、NaSb・5HO、NaCO、NaNO等を使用してガラス内に含有させる。KOは、原料として例えばKCO、KNO、KHF、KSiF等を使用してガラス内に含有させる。
SnOを少量含有させるとガラス中に不純物としてわずかに混入しているFe2+(1000nmを中心に広い吸収)、Fe3+(430nm以下に吸収)のうち、SnOが還元剤として作用する為、Fe2+の影響のほうが強くなり、短波長域(400〜450nm)の内部透過率の低下を抑える働きがある。しかし、SnOの量が0.1%を超えると、ガラス中に不純物として混入しているCr3+(450nm、650nm近辺吸収)、Cr6+(350nm近辺吸収)のうち、Cr3+の影響が強くなり450nm、650nm近辺の吸収が大きくなる。特に、可視域(400〜700nm)で使用されるファイバーのような伝送経路を長くして使用されるガラスにおいて、可視域におけるわずかな不純物の吸収の影響は、伝送損失として非常に大きな影響を及ぼすことになる。従って可視域全域に渡って光線透過率の優れたガラスを得るために、SnOの量を酸化物換算組成のガラス全質量に対して好ましくは0.2%以下、より好ましくは0.1%、さらに好ましくは0.01%未満を上限として含有する。
さらにSnOはSbと組み合わせて、かつ両者の合計量を0.01%未満の量にて使用すると可視域における内部透過率の低下を抑えるのには非常に有効である。SnOは、原料として例えばSnO等を使用してガラス内に含有させる。
本発明の光学ガラスにおいては、前記の必須成分と任意の成分以外に、La、Yを本発明の目的が損なわれない程度であれば、任意成分として含有することが可能である。しかし、これらの成分はガラスの熔融性を著しく悪くし、優れた光線透過率を持つガラスを得ることを困難にするため、好ましくは2%を上限とし、最も好ましくは上記成分を含有しないこととする。
Fは透過率の改善に有用であるが、過剰の添加は内部品質を低下させ、屈折率を下げるという不利益を生じる。従って、本発明においては酸化物換算組成のガラス全質量を100質量部とした場合に好ましくは0.5質量部、より好ましくは0.3質量部、最も好ましくは0.2質量部を上限として含有することができ、最も好ましくは全く含有しない。Fは、原料として例えばBaF、CaF等を使用してガラス内に含有させる。
次に本発明の光学ガラスに含有させるべきでない成分及び含有させることが好ましくない成分について説明する。
PbOは、ガラスの熔融性を高め、ガラスの失透性を抑える効果があるが、ガラスを製造、加工、及び廃棄をする際に環境対策上の措置を講ずる必要があり、そのためのコストを要するため、本発明のガラスにPbOを含有させるべきでない。
As23は、ガラスを溶融する際の泡切れ(脱泡性)良くするために使用される成分であるが、ガラスを製造、加工、及び廃棄をする際に環境対策上の措置を講ずる必要があり、そのためのコストを要するため、本発明のガラスにAs23を含有させることは好ましくない。
Ptは短波長域における透過率を低下させてしまう働きがあるので、可能な限りガラス中のPt含有量を抑制するべきである。しかし、光学ガラスの製造においては、清澄及び均質化また成形の自由度の観点より熔融ガラスと接する一部分又は全部が白金又は白金合金材料で構成させた溶解装置を用いる必要があり、白金との接触がより高温及び長時間になると、ガラス中に白金イオンが溶け込むため、ガラスの透過率が悪くなるという問題がある。そのため、Ptの含有量は、好ましくは1.5ppm以下、より好ましくは1ppm以下であり、最も好ましくは全く含有しない。
本発明のガラス組成物は、その組成が質量%で表されているため直接的にモル%の記載に表せるものではないが、本発明において要求される諸特性を満たすガラス組成物中に存在する各成分のモル%表示による組成は、酸化物換算組成で概ね以下の値をとる。
SiO2 40〜55mol%、
23 8〜20mol%、
BaO 20〜35mol%及び
Ta 0.01〜2mol%、
並びに任意成分として
Al23 0〜10mol%及び/又は
ZrO 0〜0.02mol%未満及び/又は
TiO 0〜0.02mol%及び/又は
Nb 0〜0.02mol%及び/又は
WO 0〜0.02mol及び/又は
Sb23 0〜0.2mol%及び/又は
ZnO 0〜10mol%及び/又は
MgO 0〜15mol%及び/又は
CaO 0〜15mol%及び/又は
SrO 0〜15mol%及び/又は
LiO 0〜8mol%及び/又は
NaO 0〜5mol%及び/又は
O 0〜5mol%及び/又は
SnO 0〜1mol%
及び酸化物換算組成の総物質量に対する上記酸化物の一部又は全部を弗化物置換したF原子の物質量の比が0〜0.015となるような範囲の量の弗素成分。
本発明の光学ガラス中において、SiO2は化学的耐久性と光線透過率を高める効果があり、好ましくは55mol%、より好ましくは54mol%、最も好ましくは53.5mol%を上限として含有することができ、好ましくは40mol%、より好ましくは40.5mol%、最も好ましくは41mol%を下限として含有する。
本発明の光学ガラス中において、B23はガラスの膨張を小さくさせる効果と均質性が増す効果があり、好ましくは20mol%、より好ましくは19mol%、最も好ましくは18mol%を上限として含有することができ、好ましくは8mol%、より好ましくは8.1mol%、最も好ましくは8.2mol%を下限として含有する。
本発明の光学ガラス中において、BaOはガラスの光線透過率を高め、熔融中のガラスを安定化させる効果があり、好ましくは35mol%、より好ましくは31mol%、最も好ましくは30.5mol%を上限として含有し、好ましくは20mol%、より好ましくは21mol%、最も好ましくは21.5mol%を下限として含有する。
本発明の光学ガラス中において、Taはガラスの光線透過率を向上させ、また、熔融中のガラスを安定化及び耐失透性を向上させる効果があり、好ましくは2mol%、より好ましくは1.5mol%、最も好ましくは1mol%を上限として含有し、好ましくは0.01mol%、より好ましくは0.02mol%、最も好ましくは0.05mol%を下限として含有する。
本発明の光学ガラス中において、Al23は化学的耐久性を高め膨張を小さくする効果があり、好ましくは10mol%、より好ましくは5mol%、最も好ましくは4.5mol%を上限として含有する。
本発明の光学ガラス中において、ZrOは屈折率を高める効果があり好ましくは0.02mol%、より好ましくは0.01mol%まで含有できるが、ガラス中に異物が生じやすく光線透過率も悪くなるため、最も好ましくは含まない。
本発明の光学ガラス中において、TiOは屈折率を上げる効果があり好ましくは0.02mol%、より好ましくは0.01mol%まで含有できるが、光線透過率が悪くなるため、最も好ましくは含まない。
本発明の光学ガラス中において、Nbは屈折率を上げる効果があり好ましくは0.02mol%、より好ましくは0.01mol%まで含有できるが、分相、異物、泡等が生じやすくなるため、最も好ましくは含まない。
本発明の光学ガラス中において、WOは屈折率を上げる効果があり好ましくは0.02mol%、より好ましくは0.01mol%を上限として含有できるが、分相、異物、泡等が生じやすくなるため、最も好ましくは含まない。
本発明の光学ガラス中において、Sb23は内部透過率を向上させる効果があり、好ましくは0.2mol%、より好ましくは0.15mol%、最も好ましくは0.1mol%を上限として含有することができ、好ましくは0mol%より多く含有し、より好ましく0.001mol%、最も好ましくは0.005mol%を下限として含有する。
上述のように本発明の光学ガラスにおいては、前記の必須成分と任意の成分以外に、La、Yを本発明の目的が損なわれない程度であれば、任意成分として含有できる。しかし、これらの成分は、ガラスの熔融性を著しく悪くし、優れた光線透過率を持つガラスを得ることを困難にするため、Laについては好ましくは0.6mol%を上限として含有し、より好ましくは含有しない。Yについては好ましくは0.83mol%を上限として含有し、より好ましくは上記成分を含有しない。
本発明の光学ガラス中において、ZnOは熔融性の向上及び膨張を小さくする効果があり、好ましくは10mol%、より好ましくは8mol%、最も好ましくは7.5mol%を上限として含有する。
本発明の光学ガラス中において、MgOは光学恒数の調整及びガラスの化学的耐久性を向上させる効果があり、好ましくは15mol%、より好ましくは11mol%を上限として含有するが、より好ましくは含まない。
本発明の光学ガラス中において、CaOは光学恒数の調整及びガラスの化学的耐久性を向上させ光線透過率を向上させる効果があり、好ましくは15mol%、より好ましくは11mol%、最も好ましくは8.5mol%を上限として含有する。
本発明の光学ガラス中において、SrOは光学恒数の調整及びガラスの化学的耐久性を向上させる効果があり、好ましくは15mol%、より好ましくは11mol%、最も好ましくは2mol%を上限として含有する。
本発明の光学ガラス中において、LiOは熔融性を改善させ、光線透過率の優れたガラスを得るためには効果があるが、好ましくは8mol%、より好ましくは6mol%、最も好ましくは5mol%を上限として含有する。
本発明の光学ガラス中において、NaOは熔融性を改善させるのに効果があるが、好ましくは5mol%、より好ましくは3mol%、最も好ましくは2.5mol%を上限として含有する。
本発明の光学ガラス中において、KOは熔融性を改善させるのに効果があるが、好ましくは5mol%、より好ましくは3mol%、最も好ましくは2.5mol%を上限として含有する。
本発明の光学ガラス中において、SnOはガラスの中に不純物として混入している遷移金属の酸化還元の調整に有用であり、好ましくは1mol%、より好ましくは0.8mol%、最も好ましくは0.7mol%を上限として含有する。
本発明の光学ガラス中において、F成分は透過率の改善として有用であり、上記酸化物の総物質量に対する上記酸化物の一部又は全部を弗化物置換したFの物質量の比が好ましくは0.015、より好ましくは0.012、最も好ましくは0.01となる量を上限として含有する。
上記成分以外にも、他の成分を本願発明のガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加しても差し支えないが、Tiを除く、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の各遷移金属成分は、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合でも着色してしまい、可視域の特定の波長に吸収を生じさせるため、可視域の波長を使用する光学ガラスにおいては、50ppmを限度とし、好ましくは実質的に含まないことが好ましい。
本発明の光学ガラスは上記原料を、本発明のガラス組成物中の各成分が所定の含有率の範囲内となるように混合し、作製した混合物を石英坩堝に入れて800℃〜1300℃で1〜20時間、熔融する坩堝の大きさに合わせた条件で、粗熔解させカレットを作製する。また、そのカレットを使用し、ガラスと接する一部分または全ての部分が白金又は白金合金で形成された装置で850〜1300℃にて加熱して、溶解させ、攪拌して均質化、泡切れ等を行った後、適当な温度に予熱した金型に鋳込み、徐冷することにより得ることができる。
本発明のガラスは、バッチからカレットを作成する工程において、熔融雰囲気炉の酸素濃度を7%以上に保つことが重要である。これは、バッチからカレットを作製する段階での雰囲気調整が、遷移金属の酸化還元に非常に影響する為である。炉内の酸素濃度が7%以下の還元雰囲気が強い状態であると、ガラス中の遷移金属(Cr等)が還元される為、炉内の残存酸素濃度が低いと、400〜450nmと600〜700nm近辺の吸収が大きくなってしまい、好ましくない。炉内の酸素濃度は、より好ましくは10%以上、最も好ましくは、15%以上である。また、ガス炉のような炉内の酸素濃度の制御が難しい場合は、透過率に影響を与えない成分で作られた石英などで作製された管を通じ、Oを送り込みバブリングを実施し、ガラス表面のO濃度を上げることが好ましい。
本発明の光学ガラスから粗溶解したカレットを使用し、光ファイバーを作製するためには、二重坩堝法等の公知の方法を使用することができる。
本発明において、異物評価は日本光学硝子工業会規格JOGIS13−1994「光学ガラスの異物の測定方法」に従って行うこととする。上記規格の表1に基づき100mlのガラス中の異物の断面積の総和(mm2)により級別する。上記規格でいう異物とは、微結晶、例えば失透や白金フシ(白金の微結晶)、微小泡及びこれに準ずる異質物である。ここで級1は、異物の断面積の総和が0.03mm2未満、級2は、0.03〜0.1mm2未満、級3は、0.1〜0.25mm2未満、級4は、0.25〜0.5mm2未満、級5は、0.5mm2以上のガラスであって、等級が大きくなるほど、異物がより光の散乱をおこすため光学機器のレンズ等として好ましくない。本発明において所望の光線透過率を実現するためには、異物評価は好ましくは1〜4級、より好ましくは1〜3級、最も好ましくは1〜2級である。
本発明の光学ガラスは、できるだけ小さい平均線熱膨張係数を有することが好ましい。膨張が大きいと、膨張の小さいクラッド材と組み合わせた時に熱応力が大きくなり、構造不整等が生じやすくなる傾向にあるからである。また、光学材料とともに使用した際、膨張が大きいと、研磨加工工程でクラック等が生じやすくなる。従って本発明の光学ガラスは、その100〜300℃における平均線熱膨張係数αが好ましくは100(10-7-1)以下、より好ましくは92(10-7-1)以下、最も好ましくは90(10-7-1)以下である。
特に一般的な多成分系のエコ材のクラッドとマッチさせるには92(10-7-1)以下であることが好ましい。
本発明の光学ガラスはできるだけ高い光線透過率が必要である。可視光全域での透過率が悪いと、光学材料(例えば光学レンズ)を使用したときに光学設計が複雑になる等の不利益を生じるからである。さらに、光ファイバー等に使用される高透過率ガラスには、可視域全域で内部透過率が優れていること重要である。従って、本発明の光学ガラスは400〜450nmでの内部透過率が0.9900以上でかつ600〜700nmでの内部透過率が0.9980以上であることが好ましく、より好ましくは400〜450nmでの内部透過率が0.9920以上でかつ600〜700nmでの内部透過率が0.9985以上であり、さらに好ましくは400〜450nmでの内部透過率が0.9930以上でかつ600〜700nmでの内部透過率が0.9990以上である。最も好ましくは400〜450nmでの内部透過率が0.9950以上でかつ600〜700nmでの内部透過率が0.9995以上である。
なお本明細書中において400〜450nmでの内部透過率とは、400〜450nmの各波長における内部透過率の最低値を意味し、同様に600〜700nmでの内部透過率とは600〜700nm各波長における内部透過率の最低値を意味する。
また、失透や分相などによる散乱の影響も非常に大きく受けるため、十分な耐失透性を有することも重要である。具体的には、本発明の光学ガラスは、粘度η(dPa・s)の対数logη=2.7の状態で10時間以上保温した時に失透が生じないことが好ましい。
なお本発明の光学ガラスにおいてlogη=2.7とするためには、大気圧で概ね850〜900℃の範囲の温度に保持することが必要である。また、耐失透性の評価の際には、一度ガラスを粘度η(dPa・s)の対数がlogη=0.8〜1.0程度となる状態まで加熱保持した上で、温度を下げることにより粘度を調節することもできる。このような条件にて失透が生じるものは、ガラス製造時に失透及び分相が発生しやすいため、本発明の光学ガラスとしては好ましくない。なお本発明において、全ての粘度は公知の球引上げ式粘度計により測定されるものとする。
本発明の光学ガラスにおいては、レンズを薄くする為には、屈折率は1.55以上であることが好ましいが、光ファイバー等に使用する際、開口数を上げたい場合は、屈折率は1.60以上であることが好ましい。
本発明の実施例(No.1〜No.17)の組成を、これらのガラスの屈折率(nd)、アッベ数(νd)、平均線膨張係数α(100〜300℃)、内部透過率、異物評価結果(級)及び保温試験の結果を表1〜3に示す。なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例のみ限定されるものではない。
本発明の実施例(No.1〜No.17)のガラスは、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物等の通常の光学ガラス用に使用される高純度原料を選定し、表1〜3示した各実施例の組成の割合になるように秤量し、混合した後、石英の坩堝で粗溶解させた後、ガラスと接する部分が白金又は白金合金で形成された装置(ある一部分は石英などで形成されていることも可)で850℃〜1300℃で溶解し、予熱した金型に鋳込み徐冷して得たものである。以上の様にして得られたガラスの内部透過率用測定サンプル、平均熱膨張係数、異物評価用サンプル、保温試験用サンプルを取得した。
表4に示した比較例(No.A〜D)は、特開平8−119666号公報に記載の実施例3、特開2000−264675号公報に記載の実施例9、特開11−92173号公報に記載の実施例8、実施例16及び17と同じ組成で熔融雰囲気中の酸素濃度(%)のみを変えたガラスを比較例として示した。これらのガラスの特性を実施例と同様に測定した。
これらの比較例(No.A〜D)のガラスについても、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物等の通常の光学ガラス用に使用される原料のうち不純物がより少ない原料を選定し、表2に示した各実施例の組成の割合になるように秤量し、混合した後、石英の坩堝で粗溶解させて得られたカレットをガラスと接する部分が白金又は白金合金で形成された装置(ある一部分は石英などで形成されていることも可)で850℃〜1300℃で溶解し、予熱した金型に鋳込み徐冷して得たものである。
以上の様にして得られたガラスより、ガラスの内部透過率用測定サンプル、平均熱膨張係数、異物評価用サンプル、保温試験用サンプルを取得した。
屈折率(nd)及びアッベ数(νd)については、徐冷降温速度を−25℃/hにして得られた光学ガラスについて測定した。
平均線膨張係数α(100〜300℃)においては、日本光学硝子工業会規格JOGIS08−2003「光学ガラスの熱膨張の測定方法」をもとに100〜300℃における平均線膨張係数を求めた。
また、異物評価は、日本光学硝子工業会規格JOGIS13−1994「光学ガラスの異物の測定方法」により行い、上記規格中の表1に基づき100mlのガラス中の異物の断面積の総和(mm2)により級別した結果であり、上記規格でいう異物とは、微結晶、例えば失透や白金フシ(白金の微結晶)、微小泡及びこれに準ずる異質物である。級1は、異物の断面積の総和が0.03mm2未満、級2は、0.03〜0.1mm2未満、級3は、0.1〜0.25mm2未満、級4は、0.25〜0.5mm2未満、級5は、0.5mm2以上のガラスである。
内部透過率については、日本光学硝子工業会規格JOGIS17−1982「光学ガラスの内部透過率の測定方法」により、厚みの異なる2つの試料より400〜450nmにおける内部透過率及び600〜700nmにおける内部透過率を求めた。なお、本実施例においては厚みが10mmと40mmの試料を使用した。
球引上げ式粘度計(有限会社オプト企業:型番BVM−13LH)により粘度η(dPa・s)を求め、下記の粘性になるように温度を調整し保温試験を行った。保温試験においては、白金製の50ccポットにガラス原料を150g入れて、ガラスの粘度η(dPa・s)の対数がlogη=0.8〜1.0となる状態に5時間保持した後、粘度ηがlogη=2.7の状態で10時間保持した後、常温で2時間放置し、失透の有無を顕微鏡により観察したもので、その結果失透が認められなかったガラスを〇、失透が認められたものを×で示した。
ここで、本発明のガラス組成物において、logη=0.8〜1.0とするために、大気圧において概ね1050〜1150℃の範囲の温度に保持し、logη=2.7とするために、大気圧において概ね850〜900℃の範囲の温度に保持した。
酸素濃度の調整は、ガス炉では、ガスと空気圧の流量を調整することによって炉内の残存酸素濃度を調整することにより行った。炉内の酸素濃度の測定は、ガラス熔融時に燃焼管理テスタ(光明理化学工業株式会社 型番MX-512)により溶融時のガラス表面上の酸素濃度を測定した。
Figure 0004731183
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Figure 0004731183
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表1〜3及び4に表されるように、本発明の実施例(No.1〜17)のガラスは、比較例(No.A〜D)のガラスに比べ、いずれも本広報の目的とする光線透過率が優れ、平均線膨張係数α(100〜300℃)が小さく、内部品質が優れかつ耐失透性が優れたガラスを得ることができる。

Claims (13)

  1. 鉛化合物及び砒素化合物を含有せず、400〜450nmでの内部透過率が0.990以上でかつ600〜700nmでの内部透過率が0.990以上であり、1.60以上の屈折率(nd)を有し、酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
    SiO 2 25〜36%、
    2 3 5〜20%、
    BaO 40%より大かつ50%以下%及び
    Ta 2 5 0.1〜4%
    を含有する光学ガラスであって、0.95<Ta /(Ta +(ZrO +TiO +Nb +WO )×5)≦1.00、かつSiO 2 +B 2 3 +Al 2 3 +BaOが81%以上であることを特徴とする光学ガラス。
  2. 光ファイバー用コア材として使用される請求項記載の光学ガラス。
  3. 同時に使用されるクラッド材との100〜300℃における平均線熱膨張係数αの差が、−15〜+15(10−7−1)の範囲内である請求項の光学ガラス。
  4. 100〜300℃における平均線熱膨張係数αが100(10−7−1)以下である、請求項1〜のいずれかに記載の光学ガラス。
  5. 意成分として
    Al23 0〜10%及び/又は
    ZrO 0〜0.01%未満及び/又は
    TiO 0〜0.01%及び/又は
    Nb 0〜0.01%及び/又は
    WO 0〜0.01%及び/又は
    Sb 0〜0.4%及び/又は
    ZnO 0〜10%及び/又は
    MgO 0〜10%及び/又は
    CaO 0〜10%及び/又は
    SrO 0〜10%及び/又は
    LiO 0〜5%及び/又は
    NaO 0〜5%及び/又は
    O 0〜5%
    の酸化物換算組成の各成分を含有し、かつ上記酸化物の一部又は全部を弗化物置換したFの合計量が、酸化物換算組成100質量部に対し0〜0.5質量部の範囲の各成分を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の光学ガラス。
  6. 須成分として質量%で、
    SiO2 25〜35%、
    23 5〜14.8%、
    BaO 41〜49.8%、
    Ta 0.25〜3%、
    ZnO 1〜7%、
    CaO 1〜5%及び
    Sb23 0.001〜0.1%
    並びに任意成分として、
    Al23 0〜5%及び/又は
    ZrO 0〜0.01%未満及び/又は
    TiO 0〜0.01%及び/又は
    Nb 0〜0.01%及び/又は
    WO 0〜0.01%及び/又は
    MgO 0〜6%及び/又は
    SrO 0〜6%及び/又は
    LiO 0〜2%及び/又は
    NaO 0〜2%及び/又は
    O 0〜3%及び/又は
    SnO 0〜0.2%
    の酸化物換算組成の各成分を含有し、かつ上記酸化物の一部又は全部を弗化物置換したFの合計量が、酸化物換算組成100質量部に対し0〜0.5質量部の範囲の各成分を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の光学ガラス。
  7. 100〜300℃における平均線熱膨張係数αが92(10−7−1)以下であることを特徴とする請求項4記載の光学ガラス。
  8. 日本光学硝子工業会規格JOGIS13−1994「光学ガラスの異物の測定方法」の表1に示されている100mlのガラス中における異物の断面積の総和が級1〜級4であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項の光学ガラス。
  9. 日本光学硝子工業会規格JOGIS13−1994「光学ガラスの異物の測定方法」の表1に示されている100mlのガラス中における異物の断面積の総和が級1〜級3であることを特徴とする請求項の光学ガラス。
  10. ガラス融液の粘度η(dPa・s)の対数:logη=2.7で10時間以上保持された状態で、失透が発生しないことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項の光学ガラス。
  11. アッベ数(νd)が50〜60である請求項1〜10のいずれか1項の光学ガラス。
  12. 酸素濃度が7%以上に調整された熔融雰囲気にてバッチを熔解してカレットを作成する工程を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項の光学ガラスの製造方法。
  13. 請求項1〜10のいずれか1項の光学ガラスよりなる光ファイバー用コア材。
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