JP4730000B2 - インキュベータ - Google Patents
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Description
しかし、従来のインキュベータでは、上記装置の動作に起因して環境条件の変動が生じた場合には環境条件のパラメータに閾値以上の変化が検出されるまで環境調整装置が動作せず、恒温室内の環境条件に比較的大きなムラが生じやすい点で改善の余地があった。
第3の発明は、第2の発明において、前記モータの動作位置が前記移動機構の動作によって変化し、前記制御部は、前記モータの動作位置の変化に基づいて各温度調整部の出力をそれぞれ独立して変化させることを特徴とする。
第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明において、前記推定変化量出力部は、前記動作情報と前記推定変化量との対応関係を記録した記録手段、または前記動作情報に基づき前記推定変化量を演算する演算手段のいずれかで構成されることを特徴とする。
図1および図2は第1実施形態のインキュベータの全体構成を示す概要正面図である。インキュベータは、第1筐体10と、第2筐体11とで構成されている。
第1筐体10は、第2筐体11の上側に積まれている。第1筐体10の内部には、断熱材で覆われた恒温室12が形成されている。第1筐体10の正面側は開口部10aをなしている。そして、この開口部10aは観音開きの正面扉13によって開閉可能に閉塞されている。また、第1筐体10の左側面下寄りの位置には、培養容器14(ウエルプレート、フラスコ、ディッシュ等)が通過可能な搬出入口15が形成されている。この搬出入口15は、駆動機構16によりスライドする自動扉17で開閉可能に閉塞されている。さらに、第1筐体10の底面には、後述の顕微鏡ユニット26の配置用の開口10bが正面からみて右寄りの位置に形成されている。なお、第1筐体10の外側には、恒温室12外部の環境パラメータ(例えば、温度、湿度、二酸化酸素濃度、酸素濃度、窒素濃度など)の値を検出するための外部センサ18が配置されている。
ストッカー23は、第1筐体10の正面からみて恒温室12内の左側に配置される。図4に示すように、ストッカー23の内部は複数の棚23aで上下に区画されている。そして、ストッカー23には培養容器14を水平に収納できるようになっている。また、ストッカー23の最下段は容器搬出入機構25を配置するスペースとなっている。
容器搬送機構24は、第1筐体10の正面からみて恒温室12内の中央に配置される。容器搬送機構24は、前後方向に長い長方形状の基台28と、上下方向に延長する垂直フレーム29と、ホルダー27を支持する搬送アーム部30とを有している。
垂直フレーム29は平行配置された2本のガイドレールで構成されている。垂直フレーム29の間には搬送アーム部30が上下方向(Z方向)に移動可能に取り付けられている。この搬送アーム部30は垂直フレーム39の一方に内蔵されたネジ軸(不図示)によって移動する。さらに、垂直フレーム29には、搬送アーム部30をZ方向に駆動させるための第2モータ33と、搬送アーム部30のZ方向位置を検出する位置センサ34とが固定されている。なお、第2モータ33の位置は垂直フレーム29の移動に伴ってY方向に変化することとなる。
顕微鏡ユニット26は、第1筐体10の正面からみて恒温室12内の右側に配置される。顕微鏡ユニット26は、培養容器14およびホルダー27を載置する試料台38と、試料台38の上方に張り出した状態で配置される照明装置39とを有している。この顕微鏡ユニット26は第1筐体10の底面の開口10bに嵌め込まれて配置されている。そして、試料台38および照明装置39は第1筐体10の恒温室12内に配置されるが、顕微鏡ユニット26の本体部分は大半が第2筐体11側に収納される。ここで、試料台38は、ホルダー27を水平方向(X方向およびY方向)に移動可能に構成されている。また、照明装置39は培養容器14を上方から照明する。
制御ユニット40は、CPU41と、動作指示部42と、表示パネル43とを有している。ここで、図8は制御ユニット40とインキュベータ各部との関係を示すブロック図である。CPU41は、駆動機構16、外部センサ18、温度調整装置19、噴霧装置20、ガス導入部21、内部センサ22、容器搬送機構24、容器搬出入機構25、顕微鏡ユニット26と接続されている。そして、CPU41は所定のプログラムに従って上記各部を制御する。
インキュベータの動作時には、CPU41は内部センサ22により恒温室12内の環境パラメータの値を監視する。環境パラメータの値に変動がある場合には、CPU41は温度調整装置19、噴霧装置20、ガス導入部21のいずれかを動作させて恒温室12内の環境パラメータの値を一定に調整する。
図9は、容器搬送機構24のモータ32,33,37を動作させる場合の温度制御を示す流れ図である。なお、試料台38の動作時、容器搬出入機構25のモータユニット25bの動作時および自動扉17の駆動機構16の動作時にも同様の温度制御が行われるが、以下に述べる図9の場合とほぼ内容が共通するので重複説明は省略する。
ステップS102:CPU41は、動作指示部42の動作指示に基づいて、容器搬送機構24の各モータ32,33,37の動作情報(位置情報および動作時間の情報)を生成する。ここで、上記の位置情報には、容器搬送機構24において動作するモータの初期位置(動作開始時の位置)の情報と、容器搬送機構24の動作に伴うモータの位置変化の情報とが含まれる。また、動作時間の情報は、容器搬送機構24の動作開始から起算して、どの時点でどのモータがどれだけ作動したかを示している。
CPU41は位置センサ31の出力から第2モータ33の現在位置を検出して、第2モータ33の初期位置の情報を生成する。また、CPU41は位置センサ31,34の出力から第3モータ37の現在位置を検出して、第3モータ37の初期位置の情報を生成する。
また、この推定変化量は恒温室12内に適宜設定される複数の分割領域ごとにそれぞれ別々に演算される。なお、上記の各分割領域での推定変化量は、熱源となるモータの位置関係(初期位置およびモータの移動)やモータの動作状態(各位置でのモータのON/OFF)によって、それぞれ変動することとなる。
ステップS105:CPU41は、S104での容器搬送機構24の動作に同期して、温度状態の推定変化量(S103)を相殺するように各温度調整装置19をそれぞれ独立して制御する。これにより、モータの動作時においても、恒温室12内の温度状態はほぼ均一に保たれることとなる。なお、CPU41は、容器搬送機構24の動作終了とともに各温度調整装置の制御を終了し、通常の温度制御状態に復帰する。以上で図9の例の説明を終了する。
図10は、顕微鏡ユニット26の照明装置39を動作させる場合の温度制御を示す流れ図である。
ステップS201:動作指示部42は、ユーザーの入力または所定のプログラムに従って、CPU41に対して試料観察の動作指示を行う。
ステップS203:CPU41は、照明装置39の動作開始から動作終了までの期間における恒温室12内での温度状態の推定変化量を演算する。具体的には、CPU41は、照明装置39の動作情報(S202)と、予め設定されている照明装置39の単位時間当たりの発熱量とに基づいて、所定の状態方程式によって推定変化量を演算する。
ステップS204:CPU41は、動作指示部42の動作指示に基づいて照明装置39を点灯させる。そして、CPU41は顕微鏡ユニット26により試料の観察を実行する。
図11は、搬出入口15の開放による環境パラメータ制御の一例を示す流れ図である。図11の例では、温度、湿度および二酸化炭素濃度を調整する場合を説明する。なお、酸素濃度および窒素濃度の調整の場合は、図11の例において二酸化炭素濃度を調整する場合とほぼ内容が共通するので重複説明は省略する。
ステップS302:CPU41は、外部センサ18および内部センサ22によって、恒温室12内外での環境パラメータ(温度、湿度および二酸化炭素濃度)の値をそれぞれ取得する。そして、CPU41は、恒温室12内外での各環境パラメータの値の差に基づいて、単位時間当たりの各環境パラメータの変動量をそれぞれ演算する。
ステップS304:CPU41は、搬出入口15の開放から閉鎖までの期間における恒温室12内での各環境パラメータの推定変化量をそれぞれ演算する。具体的には、CPU41は、(1)単位時間当たりの各環境パラメータの変動量(S302)、(2)搬出入口15の完全開放時間(S303)、(3)搬出入口15の開口面積、とに基づいて、所定の状態方程式によって、各環境パラメータの推定変化量を演算する。なお、CPU41は、搬出入口15の開閉時の所要時間および自動扉17の開閉速度の情報に基づいて、自動扉17の開閉時の分についても各環境パラメータの推定変化量を演算するのがより好ましい。
ステップS306:CPU41は、S305での搬出入口15の開放動作に同期して、各環境パラメータの推定変化量(S304)を相殺するように、温度調整装置19、噴霧装置20およびガス導入部21を動作させる。これにより、搬出入口15の開放時においても、恒温室12内の温度、湿度、二酸化炭素濃度はほぼ均一に保たれることとなる。なお、CPU41は、自動扉の閉鎖完了ともに、温度調整装置19等の上記制御を終了し、通常の制御状態に復帰する。以上で図11の例の説明を終了する。
(1)第1実施形態では、容器搬送装置24の各モータ、顕微鏡ユニット26の試料台38、容器搬出入機構25のモータユニット25bまたは自動扉17の駆動機構16が動作する場合にCPU14が温度状態の推定変化量を演算する(S103)。そして、上記のモータの動作に同期して、温度調整装置19が推定変化量を相殺するように恒温室12内の温度を制御する(S105)。
したがって、第1実施形態では、照明装置39の照明開始と温度制御開始との時間差が極めて少なくなり、しかも照明装置39の発熱量に応じた温度制御がなされるため、恒温室12内の温度変化量は大幅に低減する。すなわち、第1実施形態のインキュベータでは、恒温室12内で試料の顕微鏡観察を行う場合において、恒温室12内の温度環境をほぼ一定に保つことが比較的容易に実現できる。
したがって、第1実施形態では、搬出入口15の開放と各環境パラメータの制御開始との時間差が極めて少なくなり、しかも搬出入口15の開放による環境パラメータの変動に応じた環境条件の制御がなされるため、恒温室12内での環境条件の変化量が大幅に低減する。すなわち、第1実施形態のインキュベータでは、恒温室12から培養容器14の自動搬出入を行う場合において、恒温室12内の温度環境をほぼ一定に保つことが比較的容易に実現できる。
図12は第2実施形態における制御ユニット40とインキュベータ各部との関係を示すブロック図である。第2実施形態は第1実施形態の変形例であって、制御ユニット40以外の構成は第1実施形態とほぼ共通する。そのため、第2実施形態において第1実施形態と共通の構成には同一符号を付して重複説明を省略する。
第2実施形態では、CPU41はメモリ44のLUTによって推定変化量を取得する。そのため、第2実施形態では、第1実施形態とほぼ同様の効果に加え、CPU41の演算負荷の減少や、CPU41の回路規模の簡略化などを実現することができる。なお、第2実施形態では、モータ動作時などに実際の環境パラメータの変動を内部センサ22でサンプリングし、CPU41がメモリ44のLUTのデータを実測値に基づいて修正することも可能である。
以上、本発明を上記の実施形態によって説明してきたが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような形態であってもよい。
(1)本発明のインキュベータは、二酸化炭素濃度、酸素濃度および窒素濃度のすべてを調整可能な構成に限定されることはない。例えば、二酸化炭素濃度、酸素濃度および窒素濃度のいずれか1つまたは2つを調整可能なインキュベータも本発明の技術的範囲に当然に含まれる。
Claims (8)
- 所定の環境条件に調整された恒温室を備え、該恒温室内で培養容器の試料を培養するインキュベータであって、
モータによって前記恒温室内で前記培養容器の位置を移動させる移動機構と、
前記恒温室内の温度を調整する温度調整部と、
前記モータの動作に先立って、前記モータの動作位置および動作時間に関する動作情報を生成する動作情報生成部と、
前記動作情報に基づいて、前記モータの動作による温度状態の推定変化量を出力する推定変化量出力部と、
前記モータの動作に同期して、前記推定変化量分の温度変化を相殺するように前記温度調整部を制御する制御部と、
を有することを特徴とするインキュベータ。 - 前記温度調整部は前記恒温室内でそれぞれ異なる位置に複数配置され、
前記制御部は、前記モータの動作位置に基づいて各温度調整部の出力をそれぞれ独立して変化させることを特徴とする請求項1に記載のインキュベータ。 - 前記モータの動作位置が前記移動機構の動作によって変化し、
前記制御部は、前記モータの動作位置の変化に基づいて各温度調整部の出力をそれぞれ独立して変化させることを特徴とする請求項2に記載のインキュベータ。 - 所定の環境条件に調整された恒温室を備え、該恒温室内で培養容器の試料を培養するインキュベータであって、
前記恒温室内で前記培養容器を照明する照明光源と、
前記恒温室内の温度を調整する温度調整部と、
前記照明光源の動作に先立って、前記照明光源の照明時間に関する動作情報を生成する動作情報生成部と、
前記動作情報に基づいて、前記照明光源の動作による温度状態の推定変化量を出力する推定変化量出力部と、
前記照明光源の動作に同期して、前記推定変化量分の温度変化を相殺するように前記温度調整部を制御する制御部と、
を有することを特徴とするインキュベータ。 - 前記温度調整部は前記恒温室内でそれぞれ異なる位置に複数配置されており、前記照明光源の近傍領域に配置される前記温度調整部は他の位置よりも温度変化性能が高く設定されてなることを特徴とする請求項4に記載のインキュベータ。
- 前記推定変化量出力部は、前記動作情報と前記推定変化量との対応関係を記録した記録手段、または前記動作情報に基づき前記推定変化量を演算する演算手段のいずれかで構成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のインキュベータ。
- 所定の環境条件に調整された恒温室を備え、該恒温室内で培養容器の試料を培養するインキュベータであって、
前記恒温室内から前記培養容器を出入するための搬出入口と、
前記搬出入口を開閉する自動扉と、
前記恒温室内において、温度、湿度、二酸化炭素濃度、酸素濃度および窒素濃度のいずれかから選択される環境パラメータを調整する環境パラメータ調整部と、
前記恒温室の内側で前記環境パラメータの値を取得する第1センサ部と、
前記恒温室の外側で前記環境パラメータの値を取得する第2センサ部と、
前記自動扉の開放動作に先立って、前記自動扉の開放時間に関する動作情報を生成する動作情報生成部と、
前記恒温室の内外での前記環境パラメータの差と前記動作情報とに基づいて、前記自動扉の開放による前記環境パラメータの推定変化量を出力する推定変化量出力部と、
前記自動扉の動作に同期して、前記推定変化量分の前記環境パラメータの変化を相殺するように前記環境パラメータ調整部を制御する制御部と、
を有することを特徴とするインキュベータ。 - 前記推定変化量出力部は、前記恒温室の内外での前記環境パラメータの差および前記動作情報と前記推定変化量との対応関係を記録した記録手段、または前記恒温室の内外での前記環境パラメータの差および前記動作情報に基づき前記推定変化量を演算する演算手段のいずれかで構成されることを特徴とする請求項7に記載のインキュベータ。
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