(第1の実施例)
以下、本発明に係る配設装置の一実施例を図1〜図18によって詳細に説明する。ここでは、本発明を表面実装機に適用する場合の例について説明する。
図1に示す表面実装機1は、基台2の上で図1において左右方向(以下、この方向を単にX方向という)に延在するコンベア3を備えている。この実施例においては、表面実装機1によって本発明でいう配設装置が構成されている。前記コンベア3は、本発明でいう配設対象物としてのプリント配線板4をX方向に(例えば図1において右側から左側に)移動させるためのものである。
基台2における図1において上下方向(以下、この方向を単にY方向という)の両端部には、電子部品(図示せず)を供給するための多数のテープフィーダ5が設けられている。この実施例においては、前記電子部品によって本発明でいう配設物が構成されている。
また、基台2上には、前記テープフィーダ5上の電子部品をプリント配線板4に実装するための部品移動装置6と、この部品移動装置6に吸着・保持された電子部品を下方から撮像するための撮像装置7と、部品移動装置6において電子部品を吸着するために用いる吸着ノズル8(例えば図7参照)を交換するためのノズル交換装置9などが設けられている。なお、この実施例においては、図1において下側を表面実装機1の前側といい、図1において上側を表面実装機1の後側という。
前記部品移動装置6は、前記コンベア3の上方でY方向に延在する2本の固定レール11,11と、これらの固定レール11にY方向へ移動自在に支持された可動レール12と、この可動レール12にX方向へ移動自在に支持されたヘッドユニット13と、前記可動レール12をY方向に移動させるY方向ヘッドユニット移動装置14と、ヘッドユニット13をX方向に移動させるX方向ヘッドユニット移動装置15などによって構成されている。Y方向ヘッドユニット移動装置14とX方向ヘッドユニット移動装置15とは、それぞれボールねじ軸14a,15aをサーボモータ14b,15bによって回転させ、被駆動部材(可動レール12やヘッドユニット13)に取付けられたボールねじナット14c,15cを移動させる構造のものである。
前記ヘッドユニット13には、電子部品を吸着するための第1〜第4の吸着ヘッド21〜24がX方向に等間隔おいて並ぶように設けられている。この実施例においては、第1の吸着ヘッド21が図1において最も左側に配設され、この第1の吸着ヘッド21から右へ順に第2の吸着ヘッド22、第3の吸着ヘッド23および第4の吸着ヘッド24が設けられている。これらの第1〜第4の吸着ヘッド21〜24によって、本発明でいう配設ヘッドが構成され、前記吸着ノズル8によって、本発明でいう配設子が構成されている。
前記吸着ノズル8は、これらの吸着ヘッド21〜24の下端部に着脱できるように形成されている。これらの吸着ヘッド21〜24は、図示してはいないが、下端部に取付けられている吸着ノズル8を昇降させるための昇降装置と、吸着ノズル8を上下方向の軸線回りに回転させる回転装置とを備えている。
前記吸着ヘッド21〜24の下端部は、後述するノズル交換装置9に保持されている吸着ノズル8に上方から押し付けられることによって、この吸着ノズル8が取付けられるように構成されている。また、吸着ヘッド21〜24の下端部は、吸着ヘッドに取付けられている吸着ノズル8をノズル交換装置9に係合させた状態で上方に引くことによって、この吸着ノズル8が外れるように構成されている。
前記ノズル交換装置9は、この実施例においては、表面実装機1のコンベア3の搬送方向の下流側であって、コンベア3より後側且つテープフィーダ5の下流側側方において、固定レールの近傍に位置付けられている(図1参照)。この実施例においては、前記ノズル交換装置9によって本発明でいう配設子交換装置が構成されている。
ノズル交換装置9は、図2〜図5に示すように、前記吸着ノズル8を保持するための第1〜第4の保持ユニット25〜28と、これらの保持ユニット25〜28を支持部材29によって支持するとともにX方向の軸線回りに回転させる保持ユニット移動装置30とを備えている。第1〜第4の保持ユニット25〜28の回転する方向を図5中に矢印Rで示す。この実施例においては、前記第1〜第4の保持ユニット25〜28によって本発明でいう配設子交換部が構成されている。
この実施例によるノズル交換装置9には、図2および図3に示すように、第1〜第4の保持ユニット25〜28がX方向に等間隔で並ぶように設けられている。言い換えれば、これらの保持ユニット25〜28は、複数の吸着ヘッド21〜24の並ぶ方向と平行なX方向に並べられている。
これらの保持ユニット25〜28の設置間隔D1(図3参照)は、この実施例においては前記吸着ヘッド21〜24の設置間隔D2(図1参照)と等しくなるように形成されている。また、これらの保持ユニット25〜28は、図5に示すように、側方から見て正六角形を呈する形状に形成されている。詳述すると、この実施例による第1〜第4の保持ユニット25〜28は、図5および図7に示すように、短い六角柱を呈する形状に形成された厚板部材31と、この厚板部材31における前記正六角形の各辺と対応する6箇所の外側面32にそれぞれ設けられた保持部分33などによって構成されている。これらの保持部分33は、保持ユニット25〜28が後述する保持ユニット移動装置30によって回転させられるときの周方向に一列に並べて設けられている。
前記厚板部材31の前記外側面32の形状は、この外側面32と対向する方向から見て、厚板部材31の厚み方向(X方向)の幅が相対的に狭くなる長方形状に形成されている。以下においては、前記外側面32における前記厚み方向とは直交する方向を単に外側面32の長手方向という。
前記厚板部材31の軸心部には、図7および図8に示すように、円形の穴34が形成されており、この穴34に嵌合するように後述する保持部分移動装置30のモータユニット35が組み込まれている。
保持部分移動装置30は、前記各保持ユニット25〜28を回転させることにより前記複数の保持部分33をその並ぶ方向に移動させ、各保持ユニット25〜28に設けられている複数の保持部分33のうち一つを、上方を指向する「着脱位置」に位置付けるためのものである。前記着脱位置に位置付けられた保持部分33は、吸着ヘッド21〜24のうちいずれか一つと対向可能になる。一方、着脱位置とは別の位置にある他の保持部分33は、吸着ノズルを収納する収納部として機能する。このため、この実施例においては、これらの他の保持部分33の位置を「収納位置」という。
すなわち、各保持ユニット25〜28において、保持部分33は、前記吸着ヘッド21〜24と対向可能な着脱位置と、この着脱位置から前記吸着ヘッド21〜24が並ぶ方向とは直交する方向(Y方向)に離間した複数の収納位置との間で移動可能である。この結果、前記保持部分移動装置30は、前記各保持部分33を前記着脱位置と前記収納位置との間で移動させることになる。
この保持部分移動装置30は、前記モータユニット35(図7および図8参照)と、このモータユニット35を貫通する支軸36(図2〜図5参照)と、この支軸36の両端部を回転することがないように支持する前記支持部材29などを備えている。
前記モータユニット35は、詳細な構造は図示してはいないが、図7および図8に示すように、前記支軸36が嵌合する断面正六角形状の軸孔37を有しかつ支軸36に支持、固定されたステータ部38と、前記厚板部材31に取付けられたロータ部39とによって構成されている。
これらのステータ部38内とロータ部39内とには、支持部材29に回転することができないように支持された前記支軸36およびステータ部38に対してロータ部39が回転駆動されるように、サーボモータ(図示せず)と、波動歯車装置からなる減速機(図示せず)とが設けられている。これらのサーボモータと減速機とは、支軸36を中心として同一軸線上に位置するように形成されている。また、減速機の出力部材は、厚板部材31に複数の固定用ボルト40によって固定されている。
前記モータユニット35は、図6および図8に示すように、前記厚板部材31から軸線方向の一方に突出するように形成されている。この突出部分には、前記サーボモータと図示していない制御装置とを接続するためのケーブル35aが導出されている。制御装置は、ノズル交換装置9の動作を制御するためのものである。
この実施例によるノズル交換装置9は、前記モータユニット35の駆動により厚板部材31が回転することによって、平面視において、実質的にY方向に移動させられる。
前記支軸36は、4台の保持ユニット25〜28の軸心部(前記正六角形の中心)を貫通するように形成されている。この支軸36における保持ユニット25〜28を貫通する部分には、ステータ部38の前記軸孔37に嵌合してステータ部38の回転を規制するために断面正六角形の嵌合部36a(図7参照)が形成されている。
支軸36の両端部を支持する支持部材29は、一対の支持用ブロック29a,29aと、これらの支持用ブロック29aの上端部どうしを接続するクロスメンバ29bとから構成されており、前記基台2に固定されている。この支持部材29は、平面視において、前記クロスメンバ29bが表面実装機1の後側に位置するように(保持ユニット25〜28がコンベア3に近接するように)基台2に取付けられている。
前記保持部分33は、吸着ノズル8を着脱可能に保持するためのもので、図7に示すように、前記厚板部材31の外側面32から内側に延在する吸着ノズル挿入用の穴41と、この穴41に挿入された吸着ノズル8を着脱可能に保持するクランプ機構42とによって構成されている。
前記吸着ノズル挿入用の穴41は、厚板部材31の外側面32から前記モータユニット35の近傍まで前記外側面32と直交する方向に延在している。
この穴41の位置は、図10に示すように、前記厚板部材31の軸線方向の中央であって、図7に示すように、前記外側面32の長手方向の一方に偏る位置(保持ユニット25〜28の回転する方向の一方に偏る位置)に形成されている。すなわち、吸着ノズル挿入用の穴41は、図10に示すように、上方を指向する外側面32においては、X方向の中央であって、Y方向の一方に偏る位置に形成されている。
このような位置に吸着ノズル挿入用の穴41を形成することにより、この吸着ノズル挿入用の穴41は、図7に示すように、側面視正六角形状に形成されている厚板部材31の角部分を斜めに横切るようになる。このため、厚板部材31の外径を大きくすることなく、前記外側面32とモータユニット35との間で吸着ノズル挿入用の穴41を所望の深さとなるように形成することができる。
この実施例によるノズル交換装置9は、各保持ユニット25〜28の6箇所に設けられている保持部分33のうち、最も高い位置にある保持部分33の前記穴41が吸着ヘッド21〜24の移動可能な領域の中に入るように基台2上に設置されている。
前記クランプ機構42は、図8〜図11に示すように、前記厚板部材31の外側面32に重ねられたシャッター板43と、このシャッター板43を前記外側面32の長手方向の一方に付勢する引張りコイルばね44とによって構成されている。
前記シャッター板43は、金属からなる帯状の板材によって形成されており、前記外側面32毎に設けられている。
このシャッター板43は、前記外側面32に形成された凹溝45(図8参照)に移動自在に嵌合している。この凹溝45は、前記外側面32におけるX方向の中央部に外側面32の長手方向に延在するように形成されている。シャッター板43は、前記凹溝45内に外側面32の長手方向へ移動自在に嵌合し、外側面32に取付けられたプレート46によって凹溝45から外れることができないように保持されている。
また、シャッター板43における前記吸着ノズル挿入用の穴41と対向する部分には、図9(B)および図10(B)に示すように、吸着ノズル8を挿通させるための開口部47が形成されている。この開口部47は、シャッター板43の長手方向に並ぶように形成された小径穴部47aと大径穴部47bとから構成されている。
小径穴部47aは、吸着ノズル8のフランジ8aより開口幅が狭くかつ吸着ノズル8の取付用軸部8bより開口幅が広くなるように形成されている。大径穴部47bは、前記フランジ8aより開口幅が広くなるように形成されている。前記小径穴部47aは、大径穴部47bよりシャッター板43の一端側(図9,10においては下側)に形成されている。以下の説明においては便宜上、図9に示すように、前記大径穴部47bが吸着ノズル挿入用の穴41と対向するようにシャッター板43が移動することをシャッター板43が開くという。また、図10に示すように、前記小径穴部47aが吸着ノズル挿入用の穴41と対向するようにシャッター板43が移動することをシャッター板43が閉じるという。
前記シャッター板43の長手方向の中央部には、シャッター板43を他端側(図9,10においては上側)へ付勢してシャッター板43を閉じるために引張りコイルばね44が接続され、シャッター板43の他端部には、後述する押圧装置48(図2〜図5、図12および図13参照)と対向する受圧片49が立設されている。
前記引張りコイルばね44は、シャッター板43に螺着された第1のボルト51と、シャッター板43の長穴52(図7および図10参照)に挿通されて前記厚板部材31に螺着された第2のボルト53との間に弾装されている。
この引張りコイルばね44の付勢力によるシャッター板43の移動は、図7に示すように、前記長穴52の穴壁面が前記第2のボルト53に当接することによって規制される。前記長穴52は、上述したようにシャッター板43の移動が規制された状態において、図10および図11に示すように、前記小径穴部47aが吸着ノズル挿入用の穴41と対向してシャッター板43が閉じるように形成されている。
前記押圧装置48は、図12および図13に示すように、第1〜第4の保持ユニット25〜28にそれぞれ設けられている6個のシャッター板43のうち、最も高い位置にあるシャッター板43を前記引張りコイルばね44の引張力に抗して前記一端側に移動させ、シャッター板43を開く。この押圧装置48は、図2〜図5、図12および図13に示すように、前記保持ユニット25〜28毎に設けられている。
この実施例による押圧装置48は、図2、図4、図5、図12および図13に示すようにソレノイド48aと、このソレノイド48aによって前進または後退させられる押圧用ロッド48bとを備えている。この押圧装置48は、ソレノイド48aによって前進させられた押圧用ロッド48bが前記受圧板49を押すように前記支持部材29のクロスメンバ29bに取付けられている。
この実施例によるノズル交換装置9においては、前記押圧用ロッド48bが前記受圧板49を押すことによって、前記シャッター板43が引張りコイルばね44の引張力に抗して前記一端側に移動して開くように構成されている。
次に、この実施例によるノズル交換装置9の動作を図14に示すフローチャートによって説明する。
ノズル交換装置9を使用するためには、各保持ユニット25〜28において、6箇所の保持部分33のうち、少なくとも1箇所を除く他の保持部分33に交換用の吸着ノズル8を予め装填しておく。以下の説明において、吸着ノズル8が装填されていない保持部分33を単に未装填の保持部分33といい、吸着ノズル8が装填されている保持部分33を単に装填済みの保持部分33という。
表面実装機1の制御装置は、図14に示すフローチャートのステップS1において、次の部品搭載工程において電子部品の実装を行うに当たって各吸着ヘッド21〜24に必要な吸着ノズル8を求め、さらに、ステップS2において、現在の吸着ヘッド21〜24に取付けられている吸着ノズル8を求める。そして、制御装置は、ステップS3において、次の部品搭載工程を実行するに当たって吸着ノズル8の交換が必要であるか否かを判定する。
次に、制御装置は、以下に説明するステップS4〜S6を全ての吸着ヘッド21〜24について実行した後にステップS7を実行する。
ステップS4においては、現在対象としている吸着ヘッドは吸着ノズル8の交換が必要であるか否かを判定する。吸着ノズル8の交換が不要である場合は、次の吸着ヘッドについて上記判定を行う。
ステップS5においては、吸着ノズル8を交換する吸着ヘッドと対応する保持ユニットを未装填の保持部分33が最も上に位置するように(収納位置から着脱位置に移動するように)回転させる。たとえば第1の吸着ヘッド21が対象になっている場合は、第1の保持ユニット25の未装填の保持部分33が最上部(着脱位置)に位置するように、第1の保持ユニット25がモータユニット35によって回転させられる。
ステップS6においては、ステップS5において着脱位置に移動させられた保持部分33のシャッター板43を開く。
すなわち、前記ステップS4〜S6によれば、吸着ノズル8の交換が必要な吸着ヘッドと対応する保持ユニットにおいて、未装填の保持部分33が収納位置から着脱位置に移動し、シャッター板43が開くことになる。
ステップS7においては、吸着ヘッド21〜24をノズル交換装置9の上方に移動させる。このとき、第1〜第4の吸着ヘッド21〜24のうち基準となる吸着ヘッド(例えば第1の吸着ヘッド21)を基準となる保持ユニット(例えば第1の保持ユニット25)の上方に位置決めする。この位置決めは、基準となる保持ユニットにおいて着脱位置にある吸着ノズル挿入用の穴41と、基準となる吸着ヘッドとが同一軸線上に位置するように行う。
第1〜第4の保持ユニット25〜28の設置間隔は、第1〜第4の吸着ヘッド21〜24の設置間隔と同一の間隔であるから、基準となる吸着ヘッドを基準となる保持ユニットに対して位置決めすることによって、他の全ての吸着ヘッドがそれぞれ保持ユニットの着脱位置に対して位置決めされることになる。
次に、ステップS8において、吸着ノズル8の交換が必要な吸着ヘッドを全て下降させる。このとき、全ての吸着ヘッド21〜24において吸着ノズル8を交換する場合は、全ての吸着ヘッド21〜24を同時に下降させ、1本〜3本の吸着ヘッドにおいて吸着ノズル8を交換する場合は、対応する全ての吸着ヘッドを同時に下降させる。
この下降により吸着ヘッドに取付けられている吸着ノズル8がシャッター板43の大径穴部47bを通して吸着ノズル挿入用の穴41に挿入される。その後、ステップ9において、対応する全ての保持部分33のシャッター板43を閉じる。このようにシャッター板43が閉じることによって、シャッター板43が吸着ノズル8のフランジ8aより上に移動し、吸着ノズル8に係合する。
そして、ステップS10において、吸着ノズル8の交換が必要な吸着ヘッドを全て上昇させる。この上昇動作により、吸着ノズル8が各吸着ヘッドから外れ、保持部分33に保持されることになる。
しかる後、ステップS11において、吸着ヘッドに新たに取付ける吸着ノズル8を準備する。ここでは、吸着ノズル8を交換する吸着ヘッドと対応する全ての保持ユニットにおいて、交換すべき吸着ノズル8が装填されている保持部分33を収納位置から着脱位置に移動させる。
次に、着脱位置に移動した保持部分33においてシャッター板43を開き(ステップS12)、吸着ノズル8を取付ける全ての吸着ヘッドを下降させる(ステップS13)。このように吸着ヘッドが下降することによって、各吸着ヘッドの下端部に吸着ノズル8を取付けることができる。
吸着ノズル8が吸着ヘッドに取付けられた後、ステップS14において、前記吸着ヘッドを上昇させる。このように吸着ヘッドが上昇することによって、吸着ノズル8が保持部分33から上方に取出される。その後、各保持部分33において、シャッター板を閉じる(ステップS15)ことによって、吸着ノズル8の交換動作が完了する。
この実施例によるノズル交換装置9は、全ての吸着ヘッド21〜24の吸着ノズル8を交換する場合、図15(A)〜(D)に示すように動作し、一部の吸着ヘッド21〜24についてのみ吸着ノズル8を交換する場合は、図16(A)〜(D)に示すように動作する。これらの図は、吸着ノズル8、吸着ヘッド21〜24および保持ユニット25〜28を模式的に示すものである。これらの図において、前記図1〜図13によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。また、これらの図においては、保持ユニット25〜28の動作を理解し易いように、各保持ユニット25〜28の保持部分33をY方向に一列に並べて描いてある。
吸着ノズル8の交換に当たっては、図15(A)および図16(A)に示すように、先ず、各保持ユニット25〜28において、未装填の保持部分33を着脱位置に移動させる。これらの図においては、未装填の保持部分33を黒丸で示し、装填済みの保持部分33を白丸で示している。
そして、これらの図において、(A)図から(B)図に示すように、吸着ノズル8を交換する吸着ヘッド21〜24を下降させ、吸着ノズル8を保持部分33に保持させてから吸着ヘッド21〜24のみを上昇させる。
このとき、図15に示す例においては、第1〜第4の吸着ヘッド21〜24が昇降し、図16に示す例においては、第3の吸着ヘッド23を除いて3本の吸着ヘッド21,22,24が昇降する。
次に、図15(C)および図16(C)に示すように、各保持ユニット25〜28において、新たに取付ける吸着ノズル8が装填されている装填済みの保持部分33を着脱位置に移動させる。図16に示す例においては、このときは第3の保持ユニット27を停止させている。その後、吸着ヘッドを下降させ、各吸着ヘッドに吸着ノズル8を取付ける。
そして、図15(D)および図16(D)に示すように、吸着ヘッドを吸着ノズル8とともに上昇させることによって、吸着ノズル8の交換動作が完了する。
上述したように構成されたノズル交換装置9においては、複数の吸着ヘッド21〜24を第1〜第4の保持ユニット25〜28の上方に移動させた後は、第1〜第4の吸着ヘッド21〜24を昇降させるだけで水平方向へは移動させることなく吸着ノズル8を交換することができる。しかも、この交換動作は、全ての吸着ヘッド21〜24を同時に昇降させて行うことができる。
したがって、この実施例によれば、第1〜第4の吸着ヘッド21〜24を水平方向に移動させることなく吸着ノズル8を交換することができ、吸着ノズル8の交換を短時間で行うことが可能な表面実装機用ノズル交換装置9を提供することができる。
この実施例に示す第1〜第4の保持ユニット25〜28は、それぞれ正六角柱状に形成され、これらの保持ユニット25〜28の保持部分33は、保持ユニット25〜28の6つの側面にそれぞれ設けられている。すなわち、各保持ユニット25〜28の複数の保持部分33は、各保持ユニット25〜28が回転し移動する方向に一列に並んでいる。このため、これらの保持部分33は、第1〜第4の保持ユニット25〜28の回転に伴って位置が変わり、第1〜第4の吸着ヘッド21〜24の下方となる着脱位置に順次移動することができる。
したがって、この実施例によるノズル交換装置9によれば、各保持ユニット25〜28において、複数の保持部分33が立体的に並べられているから、複数の保持部が同一の水平面上に位置している従来のノズル交換装置に較べて、コンパクトに形成することができ、表面実装機1上における専有面積が小さくなる。
また、この実施例によるノズル交換装置9においては、第1〜第4の保持ユニット25〜28の最も高い位置にある保持部分33のみによって吸着ノズル8の着脱が行われるから、その他の保持部分33は、吸着ヘッド21〜24の移動可能な領域の中に位置している必要はない。このため、この実施例によれば、ノズル交換装置9を前記第1〜第4の保持ユニット25〜28の一部が前記領域の外に出るように表面実装機1に搭載することによって、表面実装機1の第1〜第4の吸着ヘッド21〜24が移動する領域内を従来に較べて広く使うことができる。
この実施例による前記保持部分33は、各保持ユニット25〜28の外側面32に開口して保持ユニット25〜28内に延在する吸着ノズル挿入用の穴41と、この穴41に挿入された吸着ノズル8を着脱可能に保持するクランプ機構42とによって構成されている。そして、前記穴41は、前記外側面32の長手方向の一方(保持ユニット25〜28の回転する方向の一方)に偏る位置に形成されている。
このため、この実施例においては、第1〜第4の保持ユニット25〜28の軸心部を避けた位置に前記吸着ノズル挿入用の穴41を形成することができるから、第1〜第4の保持ユニット25〜28の軸心部に設けられているモータユニット35との干渉を避けながら、前記穴41を所望の深さとなるように形成することができる。
したがって、第1〜第4の保持ユニット25〜28の軸心部を中心にして放射状に延在するように前記穴41を形成する場合に較べて、第1〜第4の保持ユニット25〜28の小型化を図ることができる。
この実施例によるノズル交換装置9においては、各保持ユニット25〜28において、複数の保持部分33が設けられているにもかかわらず、1台の押圧装置48によって吸着ノズル8の係合、係合解除を切り換えることができる。このため、各保持部分33にシャッター板43を駆動するためのアクチュエータ(図示せず)を装備する場合に較べて、第1〜第4の保持ユニット25〜28をコンパクトに形成することができる。
上述した実施例においては、4本の吸着ヘッド21〜24の吸着ノズル8を4台の保持ユニット25〜28によって交換する例を示したが、保持ユニットの設置台数は、適宜変更することができる。例えば、図17および図18に示すように、4本の吸着ヘッド21〜24を有する場合、2台の保持ユニット25,26のみによってこれらの吸着ヘッド21〜24の吸着ノズル8を交換することができる。これらの図は、吸着ノズル8、吸着ヘッド21〜24および保持ユニット25,26を模式的に示すものである。図17および図18において、前記図1〜図16によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図17と図18とに示すように、保持ユニットの台数が吸着ヘッドの本数より少ない場合は、吸着ヘッドを僅かであるがX方向に移動させる必要がある。
図17に示すノズル交換装置9は、第1〜第4の吸着ヘッド21〜24の設置間隔と同じ設置間隔で並ぶ2台の保持ユニット25,26を備えている。これらの保持ユニット25,26は、それぞれ4箇所に保持部分33を備えている。
この構成を採る場合、互いに隣り合う2本の吸着ヘッドについては、X方向やY方向に移動させることなく吸着ノズル8を交換することができる。
すなわち、例えば第1の吸着ヘッド21と第2の吸着ヘッド22とについては、保持ユニット25,26の上方へ移動した後は、X方向とY方向とのいずれの方向にも移動することなく吸着ノズル8を交換することができる。これと同様に、例えば第2、第3の吸着ヘッド22,23についても前記同様に吸着ノズル8を交換することができるし、第3、第4の吸着ヘッド23,24についても前記同様に吸着ノズル8を交換することができる。
第1、第2の吸着ヘッド21,22の吸着ノズル8を交換した後に続けて第3、第4の吸着ヘッド23,24の吸着ノズル8を交換する場合は、図17(A),(B)に示すように行う。すなわち、第1、第2の吸着ヘッド21,22について吸着ノズル8を交換した後、ヘッドユニット13をX方向に移動させて第3、第4の吸着ヘッド23,24をそれぞれ保持ユニット25,26の上方に位置決めする。そして、第3、第4の吸着ヘッド23,24を昇降させて吸着ノズル8を交換する。
図18に示すノズル交換装置9は、第1〜第4の吸着ヘッド21〜24の設置間隔の2倍の設置間隔で並ぶ2台の保持ユニット25,26を備えている。これらの保持ユニット25,26は、4箇所に保持部分33を備えている。
この構成を採る場合は、4本の吸着ヘッド21〜24のうち、第1、第3の吸着ヘッド21,23と、第2、第4の吸着ヘッド22,24とについては、それぞれX方向とY方向とに移動させることなく同時に吸着ノズル8を交換することができる。
すなわち、第1、第3の吸着ヘッド21,23の吸着ノズル8を交換する場合は、先ず、図18(A)〜(B)に示すように、第1、第3の吸着ヘッド21,23を下降させてから上昇させ、これらの吸着ヘッドに取付けられている吸着ノズル8を保持ユニット25,26に装着する。
そして、同図(C)に示すように、新たに取付けるべき吸着ノズル8が着脱位置に位置するように、保持ユニット25,26をY方向に移動させ、第1、第3の吸着ヘッド21,23を下降させる。次いで、同図(C)〜(D)に示すように、第1、第3の吸着ヘッド21,23に新たな吸着ノズル8を取付けてからこれらの吸着ヘッドを上昇させる。
その後、同図(E)に示すように、ヘッドユニット13をX方向に移動させ、第2、第4の吸着ヘッド22,24を保持ユニット25,26の上方に位置決めする。そして、同図(E)〜(H)に示すように、第2、第4の吸着ヘッド22,24において吸着ノズル8の交換を行う。
図1〜図16によって説明した実施例においては、第1〜第4の保持ユニット25〜28を略正六角形状に形成する例を示したが、第1〜第4の保持ユニット25〜28の形状は正六角形状に限定されることはなく、側面視において正多角形状であれば、どのような形状にも形成することができる。
さらに、図1〜図16によって説明した実施例においては、厚板部材31の内部に組み込まれたモータユニット35によって第1〜第4の保持ユニット25〜28を回転させる例を示したが、第1〜第4の保持ユニット25〜28を駆動する保持部分移動装置30の構成は適宜変更することができる。たとえば、図示してはいないが、保持部分移動装置30は、各保持ユニット25〜28の各厚板部材31に巻回させたタイミングベルトと、このタイミングベルトを介して前記厚板部材31に接続されたサーボモータとによって構成することができる。
(参考技術)
第1〜第4の保持ユニット25〜28は、図19に示すように、Y方向に(略水平に)延在する厚板状に形成することができる。図19において、前記図1〜図18によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図19に示すノズル交換装置9は、Y方向に延在する厚板状に形成された複数の保持ユニット25〜28を備えている。これらの保持ユニット25〜28は、第1〜第4の吸着ヘッド21〜24の設置間隔と同じ間隔でX方向に並べられている。
この参考例による第1〜第4の保持ユニット25〜28は、Y方向に延在する厚板状に形成されている。これらの保持ユニット25〜28の側方から見た形状は、Y方向に長い長方形状に形成されている。
これらの保持ユニット25〜28は、図示していない支持部材によってY方向に平行移動自在に支持され、支持部材を介して表面実装機1の基台2に搭載されている。これらの保持ユニット25〜28を駆動する保持部分移動装置は、例えばボールねじ機構によって構成することができる。この構成を採る場合は、保持ユニット毎のモータおよびボールねじ軸が支持部材に支持され、各保持ユニット25〜28にボールねじナットが設けられる。
また、各保持ユニット25〜28の上端部には、六つの保持部分33がY方向に間隔をおいて一列に並ぶように設けられている。すなわち、この参考例においても、保持部分33は、その並ぶ方向に移動して所定の着脱位置に位置付けられる。
これらの保持部分33は、詳細には図示してはいないが、図1〜図16で示した実施例で用いたものと同様に、吸着ノズル挿入用の穴41とクランプ機構とによって構成されている。
この参考例によるクランプ機構のシャッター板は、第1〜第4の保持ユニット25〜28の上でY方向の一端部から他端部まで延在するように形成され、6箇所の吸着ノズル挿入用の穴41と対向する位置にそれぞれ開口部が形成されている。このシャッター板を押圧するための押圧装置は、第1〜第4の保持ユニット25〜28の一端部に設けることができる。
図19に示したように保持ユニット25〜28がY方向に平行移動する構成を採る場合であっても、複数の吸着ヘッド21〜24においてX,Y方向に移動することなく吸着ノズル8を交換することができる。
ここで、全ての吸着ヘッド21〜24において吸着ノズル8を交換する場合の動作を図19(A)〜(D)によって説明する。
先ず、図19(A)に示すように、第1〜第4の吸着ヘッド21〜24を4台の保持ユニット25〜28の上方に位置付ける。このときには、各保持ユニット25〜28において未装填の保持部分33を着脱位置に位置付け、シャッター板を開いておく。この着脱位置は、吸着ヘッド21〜24の移動可能な領域内であれば任意の位置に設定することができる。
次に、全ての吸着ヘッド21〜24を下降させて保持部分33に吸着ノズル8を保持させ(シャッター板を閉じ)、同図(B)に示すように、吸着ヘッド21〜24を上昇させる。そして、同図(C)に示すように、各保持ユニット25〜28において、吸着ヘッド21〜24に新たに取付ける吸着ノズル8を有する保持部分33を着脱位置に移動させる。このとき、各保持部分33においては、シャッター板を開いておく。その後、各吸着ヘッド21〜24を下降させて吸着ヘッド21〜24に吸着ノズル8を取付け、同図(D)に示すように、吸着ヘッド21〜24を上昇させる。
したがって、この参考例で示したように第1〜第4の保持ユニット25〜28を厚板状に形成してY方向に平行移動させる構成であっても、上述した各実施例と同等の効果を奏することができる。特に、この参考例によれば、第1〜第4の保持ユニット25〜28が回転する場合に較べて各保持ユニットの構造が単純になるから、保持ユニット25〜28を駆動する保持部分移動装置として簡単な構造のものを使用することができる。このため、この参考例によれば、吸着ノズル8の交換時間が短くてよい表面実装機用ノズル交換装置9を低いコストで提供することができる。
なお、上述した実施例と参考例においては、吸着ヘッドを4本使用する例を示したが、吸着ヘッドの本数は適宜変更することができる。また、保持ユニットの台数は、設置間隔を吸着ヘッドの設置間隔と同一とする場合は、吸着ヘッドと同数とすることが望ましい。保持ユニットの設置間隔が吸着ヘッドの設置間隔の2倍である場合の保持ユニットの台数は、吸着ヘッドの総数の1/2の台数であることが望ましい。すなわち、保持ユニットの設置間隔が吸着ヘッドの設置間隔のN倍(整数倍)である場合、保持ユニットの台数は、吸着ヘッドの総数の1/N台とすることが望ましい。
吸着ヘッドの本数、間隔および配列は、図20〜図22に示すように変えることができる。これらの図において、前記図1〜図19によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図20に示すヘッドユニット13には、第1〜第4の吸着ヘッド21〜24の他に第5の吸着ヘッド61と第6の吸着ヘッド62とが装備され所定の方向に一列に並んでいる。これらの第5、第6の吸着ヘッド61,62は、大型の電子部品を吸着するためのものである。
この場合のノズル交換装置9は、第1〜第4の保持ユニット25〜28の他に大型部品用の吸着ノズル8aを装着するための第5の保持ユニット63と第6の保持ユニット64とを備え、吸着ヘッド21〜24,61,62が並ぶ所定の方向と同一の方向に一列に並んでいる。
これらの第5、第6の保持ユニット63,64の設置間隔は、第1〜第4の保持ユニット25〜28の設置間隔より広く、第5、第6の吸着ヘッド61,62の設置間隔と一致するように設定されており、それぞれの保持ユニット25〜28,63,64のノズル着脱位置にある保持部分33どうしの間隔は、吸着ヘッド21〜24,61,62に支持された吸着ノズル8,8aの間隔と一致している。
図21に示すヘッドユニット13には、6本の吸着ヘッド71〜76が装備されている。これらの吸着ヘッド71〜76は、回転部材77に下方へ向けて延在する状態で支持されており、その配列は、平面視において同一円周上に位置するように位置付けられている。これらの吸着ヘッド71〜76は、図示してはいないが、それぞれ昇降装置と回転装置とを備えている。昇降装置は、吸着ヘッド71〜76の下端部に着脱可能に取付けられた吸着ノズル8を昇降させるためのものであり、回転装置は、前記吸着ノズル8を鉛直方向の軸線回りに回転させるためのものである。
前記回転部材77は、図示していない回転駆動装置によって鉛直方向の軸線回りに回転できるように構成されており、部品移動装置(図示せず)によって基台上をX方向とY方向とに平行移動する。すなわち、この実施例による吸着ヘッド71〜76は、鉛直方向の軸線回りにそれぞれ自転することができるとともに、回転部材77と一体に公転することができる。
図21に示すノズル交換装置9は、前記各吸着ヘッド71〜76と対応する位置にそれぞれ保持ユニット81〜86を備えている。これらの保持ユニット81〜86は、設置位置、設置角度が異なる他は前記図1〜図13に示した第1〜第4の保持ユニット25〜28と同じ構造となるように形成されている。
これらの保持ユニット81〜86は、平面視において前記回転部材77の回転中心から放射状に延在するように形成され、回転部材77の回転する方向に間隔をおいて並べられている。また、これらの保持ユニット81〜86は、図示していない保持部分移動装置によって長手方向(前記放射状に延在する方向)に平行移動させられる。これらの保持ユニット81〜86の上面には、複数の保持部分33が保持ユニット81〜86の長手方向に間隔をおいて並べられている。すなわち、この実施例においても、保持部分33は、その並ぶ方向に移動して所定の着脱位置に位置付けられる。これらの保持ユニット81〜86のそれぞれのノズル着脱位置にある保持部分33は、平面視において、吸着ヘッド71〜76と同一円周上に一列に位置するように位置付けられている。
したがって、この実施例においても、6本の吸着ヘッド71〜76において、同時に吸着ノズル8を交換することができる。
図22に示すヘッドユニット13には、8本の吸着ヘッド91が設けられている。これらの吸着ヘッド91は、前記図1〜図13に示した第1〜第4の吸着ヘッド21〜24と同じ構造となるように形成されており、一つのヘッドユニット13に設けられている。これらの吸着ヘッド91の配列は、4本の吸着ヘッド91が等間隔おいてX方向に一列に並ぶとともに、このX方向に並ぶ吸着ヘッド91の列が所定の間隔をおいてY方向に2列形成されるように並べられている。
図22に示すノズル交換装置9は、4台の保持ユニット25〜28を備えている。これらの保持ユニット25〜28は、保持部分33の延在する方向がY方向ではなく、平面視においてY方向に対して僅かに傾斜するように設置されている。また、これらの保持ユニット25〜28は、X方向に対する設置間隔が吸着ヘッド91のX方向の設置間隔と一致するように配置されており、保持ユニット25〜28のそれぞれのノズル着脱位置にある保持部分33は、X方向に並ぶ4本の吸着ヘッド91と同一方向に一列に位置するように配置される。
従ってこの実施例においては、X方向に並ぶ4本の吸着ヘッド91において、同時に吸着ノズル8を交換することができる。
上述した各実施例においては、吸着ノズル8,8aを交換するためのノズル交換装置9を有する表面実装機に本発明を適用する例について説明したが、本発明は、他の配設装置にも適用することができる。他の配設装置としては、電子部品をプリント配線板に実装する機能の他にクリーム半田や銀ペーストなどをプリント配線板に塗布する機能を有する表面実装機や、フラックスやクリーム半田、銀ペーストなどをプリント配線板に塗布するための塗布装置などがある。
クリーム半田や銀ペーストなどを塗布する機能が付加された表面実装機のヘッドユニットを図23に示す。図23において、前記図1〜図13によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図23に示すヘッドユニット13には、第1〜第4の吸着ヘッド21〜24の他に、ディスペンサ92を着脱可能に支持するディスペンサヘッド93と、転写ピン94,95を着脱可能に支持する転写ピン用ヘッド96,97とを備えている。
前記ディスペンサ92は、粘性流体であるフラックスや接着剤、クリーム半田や銀ペースト等の配設物を貯留するタンク(図示せず)を備えており、この配設物をタンクから下方に押し出すことによってプリント配線板上に塗布するものである。
前記転写ピン94,95は、いわゆるスタンピングやディッピングを行うためのものである。スタンピングやディッピングは、転写ピン94,95をクリーム半田や銀ペーストからなる配設物に上方から接触させることにより転写ピン94,95に配設物を付着させ、その後、プリント配線板や電子部品などの配設対象物に転写ピン94,95を上方から押し付けることによって行われる。
このように配設子としてディスペンサ92や転写ピン94,95を備えた表面実装機においても、これらの配設子を上述したノズル交換装置9に保持させることによって、短時間で交換することができるようになる。
図1〜図14によって説明した実施例においては、押圧装置48の動力源をソレノイド48aによって構成する例を示したが、押圧装置48の動力源としては、エアシリンダ(図示せず)やモータなどを用いることができる。
(第2の実施例)
本発明に係るノズル交換装置は、図24〜図32に示すように構成することができる。この実施例に示すノズル交換装置は、上述した第1の実施例と参考例で示したものと同様に、表面実装機のコンベアの搬送方向の下流側であって、コンベアより後側且つテープフィーダの下流側側方において固定レールの近傍に位置付けられ(図1参照)、表面実装機の吸着ノズルを交換するためのものである。この実施例においても、複数の吸着ヘッドが並ぶ方向をX方向とし、水平面上で前記X方向とは直交する方向をY方向とする。また、この実施例においては、上下方向をZ方向とする。
図24に示すこの実施例のノズル交換装置100は、支持用ブラケット101の上端部に設けられた第1〜第5の交換ステーション102〜106と、これらの交換ステーションの下方に位置するプラグ移動装置107およびプラグ位置決め装置108などによって構成されている。前記第1〜第5の交換ステーション102〜106は、図25に示すように、前記支持用ブラケット101にX方向(同図においては左右方向)に等間隔おいて並ぶように設けられている。この実施例においては、これらの交換ステーション102〜106によって本発明でいう配設子交換部が構成されている。これらの第1〜第5の交換ステーション102〜106どうしの間隔は、表面実装機の複数の吸着ヘッド(図示せず)どうしの間隔と一致している。
このノズル交換装置100は、図24において右上から左下に向かうY方向の一端部(図24においては手前側の端部)が吸着ヘッドの移動可能領域内に位置するように表面実装機の基台(図示せず)に搭載される。この実施例においては、このY方向の一端部をノズル交換装置100の前端部100aといい、さらに、この一端部側をY方向前側、他端部側をY方向後側という。
前記支持用ブラケット101は、図24および図26に示すように、X方向の両端部に位置する一対の側壁101a,101bと、これらの側壁の下端部どうしを接続する底板101cと、前記側壁の上端部どうしを接続するブラケット本体101dとから構成されている。
ブラケット本体101dには、図25に示すように、各交換ステーション102〜106毎にある平面視略円形のプラグ格納円柱部材111と、シャッター112とが取付けられている。また、このブラケット本体101dには、前記プラグ格納用円柱部材111からY方向前側へ延在する五つの縦孔113が形成されている。これらの縦孔113は、図27に示すように、ブラケット本体101dを上下方向に貫通している。
この実施例によるノズル交換装置100は、これらの縦孔113のY方向前側の端部において吸着ノズルの受け渡しを行うように構成されている。吸着ノズルは、この実施例では図示してはいないが、図1〜図23によって説明した各実施例で示したものと同等のものを用いることができる。
また、ノズル交換装置100は、吸着ノズルを図32に示すプラグ114に保持された状態で縦孔113のY方向前側に位置する着脱位置P1(図25参照)と、前記プラグ格納円柱部材111によって構成される収納位置P2との間でY方向に移動させる。着脱位置P1は、縦孔113のY方向の前端部に位置するリリース位置P1aと、このリリース位置P1aより所定距離だけY方向後側に位置する装着位置P1bとによって構成されている。リリース位置P1aは、吸着ヘッドから吸着ノズルを取外してプラグ114に移す位置である。前記装着位置P1bは、プラグ114上の吸着ノズルを吸着ヘッドに装着させる位置である。
前記プラグ114は、図32に示すように、直方体状に形成されている。また、このプラグ114には、吸着ノズルの下端部を挿入するための穴115が穿設されているとともに、複数の支持用のピン116が突設されている。前記穴115は、図27および図28に示すように、吸着ノズルの下端部を収納する上部の大径部115aと、後述するプラグ移動用ピン141aあるいは位置決め用ピン153が挿入嵌合される下部の小径部115bとからなり、プラグ114を上下方向に貫通するように穿設されている。前記ピン116は、後述するプラグ移動装置107による駆動によってプラグ114が移動するときにプラグ114の姿勢を正しく保つためのものである。このピン116は、プラグ114のX方向の両側部にそれぞれ2本ずつ突設されており、前記縦孔113の両側壁にY方向に延在するように形成された段部117(図25および図27参照)に載せられ、この段部117上を滑りながら移動する。この実施例においては、このプラグ114によって本発明でいう「保持部分」が構成されている。
前記5個のプラグ格納円柱部材111のうち、第1、第3および第5の交換ステーション102,104,106に設けられているプラグ格納円柱部材111は、図25に示すように、第2、第4の交換ステーション103,105に設けられているプラグ格納円柱部材111よりY方向前側に位置付けられている。すなわち、互いに隣り合うプラグ格納円柱部材111どうしは、複数の吸着ヘッドが並ぶ方向(X方向)とは直交する方向(Y方向)の位置を変えて配設されている。
この実施例において、第2の交換ステーション103に設けられているプラグ格納円柱部材111は、上方から見て第1、第3の交換ステーション102,104のプラグ格納円柱部材111どうしの間にY方向後側から臨むように配置されている。また、第4の交換ステーション105に設けられているプラグ格納円柱部材111は、上方から見て第3、第5の交換ステーション104,106のプラグ格納円柱部材111どうしの間にY方向後側から臨むように配置されている。
この実施例によるプラグ格納円柱部材111は、図27および図28に示すように、下部円柱部材121と、この下部円柱部材121の上端部に固着された上部円柱部材122とから構成されている。下部円柱部材121は、ブラケット本体101dにZ方向の軸線回りに回転自在に支持されている。この下部円柱部材121の下端部には、後述する伝動用ベルト123を巻き掛けるためのプーリ124が設けられている。
前記上部円柱部材122には、径方向の外側に向けて開口する四箇所の凹部122a(図27,28参照)と、これらの凹部122aの上端部に位置する切欠部125とが形成されている。前記凹部122aは、前記プラグ114を挿入することができる形状に形成されている。この凹部122aの両側壁には、前記プラグ114のピン116を載せるための段部122bが形成されている。前記凹部122aおよび前記切欠部125は、図25に示すように、上部円柱部材122を上方から見て放射状に形成されている。
これらの凹部122aおよび切欠部125は、上部円柱部材122の外周部を4等分する位置に形成されている。この切欠部125の開口幅(上部円柱部材122の周方向への幅)は、図示していない吸着ノズルの環状溝に係合可能な寸法に形成されている。
前記下部円柱部材121の上端部において上方から見て前記切欠部125と同じ位置には、前記切欠部125と同等の形状の切欠部126(図27,28参照)が形成されている。
前記縦孔113内からプラグ114を移動し、プラグ格納円柱部材111の凹部122aに収納するためには、前記複数の凹部122aのうちプラグ114が挿入されていない空の凹部122a、すなわち空の切欠部125が縦孔113に向けて解放するようにプラグ格納円柱部材111を回転させて位置決めした状態で行い、プラグ格納円柱部材111の凹部122aから前記縦孔113内へ所望のプラグ114を移動するためには、この所望のプラグ114が収納されている切欠部125が、縦孔113に向けて解放するようにプラグ格納円柱部材111を回転させて位置決めした状態で行う。プラグ格納円柱部材111の回転と位置決めは、前記伝動用ベルト123を有する駆動装置127(図31参照)によって行われる。
縦孔113内にある、交換により吸着ノズルが装填されたプラグ114と交換により空となったプラグ114は、それぞれ、プラグ格納円柱部材111が上述したように位置決めされている状態で後述するプラグ移動装置107によりY方向後側に移動させられることによって、プラグ格納円柱部材111内に収納される。プラグ114に吸着ノズルが装填されている場合は、前記収納動作により吸着ノズルの環状溝内に前記切欠部125の内端縁が係合する。この吸着ノズルは、プラグ114とともにプラグ格納円柱部材111に収納されることになり、プラグ格納円柱部材111が回転することにより、プラグ格納円柱部材111の周方向に移動する。
すなわち、ノズル交換のためには空のプラグ114と吸着ノズルが装填されたプラグ114とをプラグ格納円柱部材111との間で受け渡しする必要があり、プラグ格納円柱部材111に全てのプラグ114を収納した状態で少なくとも一つのプラグ114は空のプラグ114である必要がある。この実施例によるプラグ格納円柱部材111は、4つの凹部122aを有するので、最大3個の吸着ノズルを収納することができ、この実施例によるノズル交換装置100において吸着ノズルを収納するための収納部P2を構成することになる。
プラグ格納円柱部材111を回転させるための前記駆動装置127は、図31に示すように、全てのプラグ格納円柱部材111のプーリ124に巻き掛けられた伝動ベルト123を一つのモータ128によって回転させる構造が採られている。このモータ128は、支持用ブラケット101の一方の側壁101a(図31においては左側に位置する側壁)に支持されている。このモータ128の動作は、図示していない表面実装機の制御装置によって制御される。
この制御装置は、5個のプラグ格納円柱部材111について、それぞれ個々の切欠部125の位置および状態(プラグ114の有無、吸着ノズルの有無、吸着ノズルがある場合の吸着ノズルの種類等)を示すデータを有し、このデータに基づいてモータ128の回転を制御する。前記データは、モータ128が動作する度毎に更新される。
前記ブラケット本体101dのY方向の前端部に設けられているシャッター112は、前記各縦孔113と対応する位置に切欠部129が形成されており、ブラケット本体101dにY方向に移動自在に支持されている。シャッター112の切欠部129は、吸着ノズルをZ方向に挿通させるための二つの幅広部分129aと、吸着ノズルの前記環状溝内に係合可能な二つの幅狭部分129bとから構成されている。このシャッター112の移動は、図29に示すように、シャッター112のY方向後側の端部に接続されたエアシリンダ130によって行われる。
このシャッター112は、前記エアシリンダ130による駆動によって、図25に図示した係合位置と、この係合位置よりY方向前側に移動した解放位置とのいずれか一方に位置付けられる。このシャッター112が図25に示す前記係合位置に位置している状態においては、二つの幅狭部分129bが前記リリース位置P1aと装着位置P1bとにそれぞれ位置付けられる。吸着ノズルがプラグ114に保持された状態で前記両位置P1a,P1bのいずれかにある場合、前記幅狭部分129bが吸着ノズルの環状溝に係合する。一方、シャッター112が前記解放位置に位置している状態においては、図示してはいないが、前記二つの幅広部分129aが前記両位置P1a,P1bにそれぞれ位置付けられる。この場合は、前記両位置P1a,P1bにおいて、シャッター112の切欠部129を通して吸着ノズルの受け渡しをそれぞれ行うことができる。
前記プラグ移動装置107は、図26〜図30に示すように、前記支持用ブラケット101の底板101cにY方向に配設固定されたガイドレール131と、このガイドレール131に摺動可能に支持されたスライダ132と、このスライダ132と底面が連結固定されることで、Y方向に移動自在に支持された断面L字状のY方向移動部材133と、このY方向移動部材133のX方向の一端部に接続されてY方向移動部材133をY方向に移動させるY方向駆動装置134(図30参照)と、前記Y方向移動部材133のY方向後側の立壁の上端部に固定されたスライダ135と、このスライダ135を摺動可能に支持するガイドレール136と、このガイドレール136がZ方向に配設固定されることで、Z方向に移動自在に支持された断面L字状のZ方向移動部材137と、このZ方向移動部材137の上端水平部137aと前記Y方向移動部材133の下端水平部133aとの間に介装された第1の昇降用エアシリンダ138と、前記Z方向移動部材137の上端水平部137aの上に設けられたロッドレスエアシリンダ139と、これらのロッドレスエアシリンダ139のスライダ140にそれぞれ固着されたプラグ移動用部材141などによって構成されている。
前記Y方向駆動装置134は、図30に示すように、Y方向移動部材133の下端部をボールねじ機構142によってY方向に駆動する構造のものである。ボールねじ機構142は、前記支持ブラケット101の一方の側壁101aに、Y方向2箇所の軸受部材142AによりY軸方向固定且つ回転自在に支持されたボールねじ軸143と、このボールねじ軸143に螺合する状態でY方向移動部材133の下端部に固定されたボールナット144と、ボールねじ軸143に伝動ベルト145を介して接続されたモータ146とを備えている。
前記第1の昇降用エアシリンダ138のシリンダ本体138aは、図26と図29とに示すように、Y方向移動部材133に支持され、このエアシリンダ138のピストンロッド138bは、Z方向移動部材137に接続されている。このエアシリンダ138は、Z方向移動部材137を図27に示す上昇位置と、図28に示す下降位置との間でZ方向に移動させる。なお、図27はプラグ114を移動させるべくプラグ移動用部材141のプラグ移動用ピン141aをプラグ114に嵌合させている状態の図である。
図26、図29は、プラグ移動用ピン141aをプラグ114から遊離した状態でプラグ移動用ピン141aを移動可能なように、Z方向移動部材137を下降位置とした状態の図であり、図28は後述するように、Z方向移動部材137を下降位置とした状態で、Z方向移動部材137の上端水平部137aの前端が、ベース板152と干渉しないようにY方向後側に移動した後、ベース板152を上昇させた状態の図である。また、図28は、プラグ移動用ピン141aがプラグ格納円柱部材111の下端のプーリ124等と干渉しないように、Z方向移動部材137を下降位置とした状態を示す。
前記ロッドレスエアシリンダ139は、図27および図28に示すように、それぞれ不図示のエア給排用チューブが接続された一対の蛇腹状インナーチューブ139a,139aと、これらのインナーチューブ139aに挟まれたピストン139bとを備えており、このピストン139bに取付けられている前記スライダ140をY方向に移動させるものである。このロッドレスエアシリンダ139と、このロッドレスエアシリンダ139の上に位置するプラグ移動用部材141とは、五つの交換ステーション毎に設けられている。
この実施例による5個のロッドレスエアシリンダ139は、交換ステーション102、104、および106において使用される、ピストン139bの移動ストロークの短いものと、交換ステーション103、105において使用される、ピストン139bの移動ストロークの長いものの2種が用いられている。これらのロッドレスエアシリンダ139のそれぞれの移動ストロークは、各交換ステーション102〜106におけるプラグ格納円柱部材111の前端部と装着位置P1bとの間のそれぞれの長さ同じとなるようにしている。ここでいうプラグ格納円柱部材111の前端部とは、縦孔113に接続した状態の凹部122aにプラグ114が収納されている時の、プラグ114の中心位置のことである。
これにより、交換ステーション102〜106の全てにおいて、ロッドレスエアシリンダ139のみの作動で、プラグ114をプラグ格納円柱部材111の前端部と装着位置P1bとの間で移動可能である。プラグ114のリリース位置P1aと装着位置P1bとの間の移動は、ロッドレスエアシリンダ139の移動ストロークの不足分を補うべく、前記Y方向駆動装置134による駆動によって、Y方向移動部材133、スライダ132、スライダ135、ガイドレール136、Z方向移動部材137、第1の昇降用エアシリンダ138、ロッドレスエアシリンダ139,スライダ140、およびプラグ移動用部材141を一体的にY方向に移動させることで実施する。Y方向駆動装置134は、後述する前進位置と後退位置との間でZ方向移動部材137が移動するように構成されている。
前記前進位置とは、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bがY方向前側の端部まで移動している状態で、プラグ移動用ピン141aのY方向の位置がリリース位置P1aと一致する位置である。
前記後退位置には2種あり、第1の後退位置とはロッドレスエアシリンダ139のピストン139bがY方向前側の端部まで移動している状態で、プラグ移動用ピン141aのY方向の位置が装着位置P1bと一致する位置である。
Z方向移動部材137が第1の後退位置にある状態で、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bがY方向後側の端部まで移動すると、プラグ移動用ピン141aのY方向の位置が交換ステーション102〜106のプラグ格納円柱部材111の前端部と一致する。第2の後退位置とは、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bの位置には関係なく、ベース板152の上昇時に、Z方向移動部材137の上端水平部137aの前端が、ベース板152と干渉しないように、Y方向駆動装置134によりZ方向移動部材137がY方向後側に移動した位置である。(図28参照)。
前記プラグ移動用ピン141aは、前記プラグ114の吸着ノズル挿入用の穴115の下側の小径部115bに下方から嵌合する形状に形成されている。プラグ114のY方向への移動は、前記ピン141aをプラグ114に下方から嵌合させた状態、すなわち、Z方向移動部材137を上昇位置にした状態でY方向駆動装置134とロッドレスエアシリンダ139とを使用して前記ピン141aをY方向に移動させることにより行われる。
このプラグ移動装置107に用いられている各アクチュエータ、すなわちY方向駆動装置134のモータ、第1の昇降用エアシリンダ138およびロッドレスエアシリンダ139の動作は、上述した制御装置によって制御される。
前記プラグ位置決め装置108は、前記プラグ114を前記リリース位置P1aと装着位置P1bとに位置決めするためのものである。このプラグ位置決め装置108は、図24、図26〜図29に示すように、前記支持用ブラケット101の底板101cに第2の昇降用エアシリンダ151を介して支持されたベース板152と、このベース板152の上に突設された複数の位置決め用ピン153と、前記ベース板152のX方向の両端部をZ方向に移動自在に支持する一対のガイドロッド154とを備えている。
前記第2の昇降用エアシリンダ151は、ベース板152のX方向の中央部を支持している。この第2の昇降用エアシリンダ151の動作は、上述した制御装置によって制御される。
前記複数の位置決め用ピン153は、前記プラグ114の吸着ノズル挿入用の穴115に下方から嵌合できる形状に形成されている。また、これらの位置決め用ピン153は、各交換ステーション102〜106毎に設けられており、前記リリース位置P1aとY方向の同一の位置と、前記装着位置P1bとY方向の同一の位置とにそれぞれ配設されている。
さらに、これらの位置決め用ピン153は、Y方向駆動装置134によりZ方向移動部材137が第2の後退位置にある状態で、前記第2の昇降用エアシリンダ151による駆動によって、図27に示す下降位置と、図28に示す上昇位置との間でZ方向に移動する。すなわち、リリース位置P1aと装着位置P1bとにプラグ114が位置している状態でこれらのピン153が上昇位置に上昇することによって、各ピン153がプラグ114に嵌合し、プラグ114がY方向に移動することができないように位置決めされる。なお、図27および図28は、これら両図の破断位置を示す図26とは、ベース板152と位置決め用ピン153のZ方向の位置が異なるように描いてある。
このように構成されたノズル交換装置100による吸着ノズルの交換は、吸着ヘッドに装着されている吸着ノズルをノズル交換装置100に移し、その後、新しい吸着ノズルを吸着ヘッドに装着させることによって行う。吸着ノズルの交換は、複数の吸着ヘッドのうち、一つの吸着ヘッドのみで行うだけではなく、複数の吸着ヘッドで同時に行うことができる。
制御装置は、ノズル交換を行うため吸着ヘッドをノズル交換装置100の上方に移動する前に、ノズル交換装置100における交換準備が終了されるようにノズル交換装置100の各駆動装置、各エアシリンダを制御する。制御装置は、先ず、前記新しい吸着ノズルを有する交換ステーションを特定する。この交換ステーションを以下においてはノズル交換の対象になる交換ステーションという。
次に、制御装置は、ノズル交換の対象になる交換ステーションにおいて、吸着ノズルが装填されていないプラグ114(以下、このプラグを空のプラグという)を後述する手順によってリリース位置P1aに移動させる。
空のプラグ114のリリース位置P1aへの移動は、先ず、ノズル交換の対象になる交換ステーションにおいて、プラグ格納円柱部材111を回転させ、空のプラグ114を収納保持する凹部122aが周方向において縦孔113と接続する位置に移動させる。
次に、Z方向移動部材137が下降位置に位置している状態において、プラグ移動装置107のプラグ移動用ピン141aを前記空のプラグ114の真下に位置付ける。すなわち、Y方向駆動装置134によりZ方向移動部材137を第1の後退位置とするとともに、ノズル交換の対象になる交換ステーションにおいて、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向前側の端部からY方向後側の端部まで移動させる。
その後、プラグ移動装置107の第1の昇降用エアシリンダ138によってプラグ移動用ピン141aをZ方向移動部材137およびロッドレスエアシリンダ139などとともに上昇させ、このピン141aを空のプラグ114の吸着ノズル挿入用の穴115の下側の小径部115bに下方から嵌合させる。Z方向移動部材137が上昇するときは、全てのプラグ移動用ピン141aが同時に上昇する。このため、吸着ノズルの交換の対象ではない交換ステーション、さらに、吸着ノズルの交換の対象の交換ステーションであっても次以降に空のプラグ114の移動がされる交換ステーションや、既に空のプラグ114のリリース位置P1aへの位置付が終わっている交換ステーションにおいては、プラグ移動用ピン141aが下部円柱部材121や縦孔113内に位置しているプラグ114に嵌合することを防ぐために、プラグ移動用ピン141aを上昇可能な位置に位置付けておく。この上昇可能な位置とは、Z方向移動部材137が第1の後退位置にある状態におけるロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向前側の端部に位置させた時の位置であり、プラグ114が配置されていない装着位置P1bと対向する位置である。
ノズル交換の対象であって、空のプラグ114の移動がされる交換ステーションにおいて、上述したようにプラグ移動用ピン141aが空のプラグ114に接続された後、このプラグ移動用ピン141aを前記Y方向駆動装置134とロッドレスエアシリンダ139とによってY方向前側に移動させ、空のプラグ114をリリース位置P1aに位置付ける。このときのプラグ移動用ピン141の移動距離は、ノズル交換の対象となる交換ステーションが第1、第3および第5の交換ステーション102,104,106である場合は相対的に短くなり、第2および第4の交換ステーション103,105である場合は相対的に長くなる。
Y方向駆動装置134による駆動によってZ方向移動部材137がY方向に移動するときは、全てのプラグ移動用ピン141がY方向に同時に移動する。このため、既に空のプラグ114のリリース位置P1aへの移動が完了している交換ステーションにおいては、プラグ移動用部材141のピン141aがY方向前側へ移動するとプラグ114に当たるおそれがある。よって、Y方向駆動装置134によりZ方向移動部材137が前進位置へ移動するのと同期して、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向前側の端部からY方向後側の端部まで移動させ、空のプラグ114のリリース位置P1aへの位置付けをまさにしつつある交換ステーションのプラグ移動用ピン141aとは逆方向に、プラグ移動用ピン141aを移動させる第1の干渉防止動作をさせる。
ノズル交換の対象であって、空のプラグ114の移動がされたばかりの交換ステーションにおいて、リリース位置P1aに空のプラグ114が配置された後、第1の昇降用エアシリンダ138によってZ方向移動部材137とともにロッドレスエアシリンダ139を下降させ、プラグ移動用ピン141を前記プラグ114から下方に離脱させる。
空のプラグ114をリリース位置P1aに移動させる動作は、ノズル交換の対象になる全ての交換ステーションにおいて順次行われる。次の交換ステーションの動作に移行するに際して、第1の昇降用エアシリンダ138によりプラグ移動用ピン141aを前記プラグ114から下方に離脱させる動作中、および、その後のプラグ移動用ピン141aをY方向後側への移動を開始しているときに、次の交換ステーションにおいて、プラグ格納円柱部材111を回転させ、空のプラグ114を縦孔113と隣接する位置に予め配置しておくことができる。このように複数の異なる動作を同時に行うことで能率が向上する。
Z方向移動部材137が下降位置に位置し、Y方向駆動装置134によりZ方向移動部材137を第1の後退位置にしつつある状態の下、次に空のプラグ114の移動を行う交換ステーションにおいて、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向前側の端部からY方向後側の端部まで移動させることで、プラグ移動装置107のプラグ移動用ピン141aを前記空のプラグ114の真下に位置付ける。他方、ノズル交換の対象にならない交換ステーション、および直前に空のプラグ114のリリース位置P1aへの位置付けを終えた交換ステーションでは、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bはY方向前側の端部に位置させており、これを維持する。
前記第1の干渉防止動作がされた交換ステーションにおいては、Y方向駆動装置134によりZ方向移動部材137を第1の後退位置へ移動すると同期して、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向後側の端部からY方向前側の端部まで移動させる。これらにより、次に空のプラグ114の移動を行う交換ステーション以外の交換ステーションにおいて、誤って吸着ノズルを収納するプラグ114が移動されることがないようにできる。
ノズル交換の対象となる全ての交換ステーションにおいて、前記したように順次空のプラグ114がリリース位置P1aに送られた後、制御装置は、ノズル交換の対象になる交換ステーションにおいて、交換用の新しい吸着ノズルを保持しているプラグ114を装着位置P1bに移動させる。すなわち、先ず、プラグ格納円柱部材111を回転させて所望の吸着ノズルを有するプラグ114を縦孔113と隣接する位置に配置するとともに、Z方向移動部材137が下降位置に位置している状態において、プラグ移動装置107のプラグ移動用ピン141aを前記交換用の新しい吸着ノズルを保持しているプラグ114の真下に位置付ける。
詳述すると、Y方向駆動装置134によりZ方向移動部材137を第1の後退位置とするとともに、ノズル交換のためのプラグ114を移動動作の対象となる一つの交換ステーションにおいて、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向前側の端部からY方向後側の端部まで移動させる。他方、新しい吸着ノズルを収納するプラグ114の移動動作の対象とならない残りの交換ステーションにおいては、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向後側の端部からY方向前側の端部まで移動させるか、Y方向前側の端部にあるものは、それを維持させる。
その後、Z方向移動部材137を上昇位置に移動し、移動の対象となる一つのプラグ114にプラグ移動用ピン141aを嵌合させ、このピン141aに連結されるロッドレスエアシリンダ139のピストン139bを、Y方向後側の端部からY方向前側の端部まで移動させてプラグ114を装着位置P1bに移動させ、その後、Z方向移動部材137を下降位置に移動する。
なお、Z方向移動部材137の上昇位置への移動に際し、既に装着位置P1bへのプラグ114の移動を終えた交換ステーションにおいては、装着位置P1bに位置するプラグ114にピン141aが嵌合するが、この嵌合後にY方向駆動装置134およびロッドレスエアシリンダ139は駆動されることはなく、支障はない。
また、このプラグ114の装着位置P1bへの移動中、Z方向移動部材137の下降移動中、および、その後の次にノズル交換動作を行う交換ステーションにおけるプラグ移動用ピン141aをY方向後側への移動を開始しているときに並行し、次にノズル交換動作を行う交換ステーションのプラグ格納円柱部材111を回転させて所望の吸着ノズルを有するプラグ114を縦孔113と隣接する位置に配置する。
以降、順次ノズル交換の対象となる残りの交換ステーションにおいて、所望の吸着ノズルを収納するプラグ114を装着位置P1bに移動させる。
ノズル交換の対象になる全ての交換ステーションにおいて、それぞれリリース位置P1aと装着位置P1bとにプラグ114が配置された後、プラグ移動装置107による退避動作が行われる。この退避動作は、Z方向移動部材137が下降位置にある状態で、Y方向駆動装置134によりZ方向移動部材137をY方向後側の第2の後退位置に移動させることによって行う。この退避動作を行うことにより、プラグ移動装置107の前方にプラグ位置決め装置108のベース板152および位置決め用ピン153が昇降するスペースが確保される。
次に、制御装置は、第2の昇降用エアシリンダ151によって位置決め用ピン153をベース板152とともに上昇させ、リリース位置P1aと装着位置P1bとに位置しているプラグ114の吸着ノズル挿入用の穴115の下部小径部115bに下方から嵌合させる。
二つの位置決め用ピン153が前記二つの位置のプラグ114の穴115にそれぞれ嵌合することによって、プラグ114は、Y方向に移動することができなくなる。制御装置は、この状態において、シャッター112を解放位置に移動させ、ヘッドユニット13を吸着ノズルを交換する対象になっている全ての吸着ヘッドがノズル交換装置100の対応する各リリース位置P1aの上方位置となるよう移動させた後、吸着ノズルを交換する対象になっている全ての吸着ヘッドを下降させる。
吸着ヘッドが下降することにより、リリース位置P1に位置している空のプラグ114の吸着ノズル挿入用の穴115に吸着ノズルが上方から挿入される。その後、制御装置は、シャッター112が係合位置を移動させ、吸着ノズルの環状溝にシャッター112の幅狭部分129bを係合させる。この係合により、吸着ノズルはZ方向には移動することができなくなる。
この状態で吸着ヘッドが上昇することによって、吸着ノズルが吸着ヘッドから取外されてリリース位置P1aに残される。吸着ヘッドは、リリース位置P1aの上方で上昇した後、ヘッドユニット13の移動により装着位置P1bの上方までY方向後側に移動し、その後再び下降する。
吸着ヘッドが装着位置P1bに向けて下降することにより、装着位置P1bに位置している新しい吸着ノズルが吸着ヘッドに装着される。制御装置は、吸着ノズルが吸着ヘッドに装着された後、シャッター112を解放位置に移動させ、吸着ヘッドを吸着ノズルとともに上昇させる。このように吸着ノズルの交換を終えた吸着ヘッドは、ヘッドユニット13の移動により電子部品を実装するためにノズル交換装置100の上方から所定の実装エリアに移動する。
一方、吸着ノズルの交換が終了した後のノズル交換装置100は、吸着ヘッドの上昇後に所定の収納動作が行われる。この収納動作は、装着位置P1bに位置している空となったプラグ114と、リリース位置P1aにある吸着ノズルが装填されたプラグ114とをそれぞれプラグ格納円柱部材111の凹部122aに収納する動作である。
この収納動作時には、先ず、プラグ位置決め装置108の第2の昇降用エアシリンダ151による駆動によって、ベース板152と位置決め用ピン153とが下降位置に下降する。
次に、第1の昇降用エアシリンダ138によってZ方向移動部材137が下降位置にある状態で、収納動作の対象となる全ての交換ステーションの内まず最初の交換ステーションにおいて、プラグ移動装置107のプラグ移動用ピン141aを装着位置P1bの下方に移動する。
このとき、プラグ移動用ピン141が装着位置P1bの直下に位置していない場合は、Y方向駆動装置134とロッドレスエアシリンダ139とを用いてプラグ移動用ピン141aをY方向に移動させる。すなわち、Y方向駆動装置134によりZ方向移動部材137を第1の後退位置とするとともに、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向前側の端部まで移動させる。収納動作の対象とはならない残りの全ての交換ステーションにおいては、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向後側の端部に位置させるようにする。
これと並行して、プラグ格納円柱部材111が回転し、複数の切欠部125のうちプラグ114が挿入されていない切欠部125が縦孔113と隣接する位置に位置付けられる。しかる後、第1の昇降用エアシリンダ138によってZ方向移動部材137が上昇位置まで上昇し、プラグ移動用ピン141aが装着位置P1bに位置する空のプラグ114に下方から嵌合する。このとき収納動作の対象とはならない残りの全ての交換ステーションにおいては、ピストン139bがY方向後側の端部に位置しているので、プラグ移動用ピン141がプラグ格納円柱部材111の凹部122aのプラグ114に下方から嵌合する。しかし、この嵌合後にY方向駆動装置134およびこの嵌合に関わる交換ステーションにおいてロッドレスエアシリンダ139が駆動されることはなく、支障はない。
そして、収納動作の対象の空のプラグ114に嵌合しているプラグ移動用ピン141aがロッドレスエアシリンダ139による駆動によってY方向後側に移動し、空のプラグ114がプラグ格納円柱部材111の凹部122a内に挿入される。
このように空のプラグ114がプラグ格納円柱部材111に収納された後、第1の昇降用エアシリンダ138によってZ方向移動部材137が下降位置に移動し、前記プラグ移動用ピン141aが下降する。続いて収納動作の対象となる交換ステーションの残りの交換ステーションにおいて、順次上述した動作が行われ、全ての空のプラグ114がプラグ格納円柱部材111内に収納される。
しかる後、リリース位置P1aにあるプラグ114(吸着ヘッドから取外された吸着ノズルを有するプラグ114)がプラグ格納円柱部材111内に収納される。
この収納動作は、収納動作の対象となる全ての交換ステーションの内まず最初の交換ステーションにおいて、Z方向移動部材137が下降位置にある状態で、ロッドレスエアシリンダ139に加え、Y方向駆動装置134を駆動して、まずプラグ移動装置107のプラグ移動用ピン141aをリリース位置P1aの下方に移動する。すなわち、Y方向駆動装置134によりY方向移動部材133を前進位置へ移動させるとともに、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向前側の端部まで移動させる。収納動作の対象とはならない残りの全ての交換ステーションにおいては、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向後側の端部に位置させたままとする。これにより、Y方向駆動装置134によりZ方向移動部材133を前進位置へ移動させても、前記残りの全ての交換ステーションにおいては、プラグ移動用ピン141aはプラグ114のない縦孔113の下方に移動するのみである。
この後、第1の昇降用エアシリンダ138によってZ方向移動部材137を上昇位置に移動させ、収納動作の対象となる全ての交換ステーションの内まず最初の交換ステーションにおいて、リリース位置P1aにあるプラグ114にプラグ移動用ピン141aを下方から嵌合させる。この時収納動作の対象とはならない残りの全ての交換ステーションにおいては、プラグ移動用ピン141aは装着位置P1bの下方に位置しておらず、プラグ移動用ピン141aは装着位置P1bより後方の縦孔113の空所に挿入されることになる。
これらの動作と並行して、収納動作の対象となる交換ステーションにおいて、プラグ格納円柱部材111が回転し、複数の凹部122aのうちプラグ114が挿入されていない凹部122aが縦孔113と隣接する位置に位置付けられる。
収納動作の対象となる交換ステーションにおいて、リリース位置P1aにあるプラグ114にプラグ移動用ピン141aが下方から挿入嵌合された後、Y方向駆動装置134によりY方向移動部材133を第1の後退位置へ移動するとともに、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向後側の端部まで移動させ、吸着ヘッドから取外された吸着ノズルを有するプラグ114を、プラグ格納円柱部材111の凹部122a内に挿入させる。
このY方向駆動装置134によるZ方向移動部材137の第1の後退位置への移動に並行し、収納動作の対象とはならない残りの全ての交換ステーションにおいては、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向前側の端部に移動させる第2の干渉防止動作をさせる。すなわち、プラグ格納円柱部材111の凹部122a内に収納されているプラグ114にプラグ移動用ピン141aを干渉させないためである。吸着ノズルを有するプラグ114が縦孔113内を移動し、プラグ格納円柱部材111の凹部122a内に挿入されるときには、吸着ノズルの環状溝に上部円柱部材122の切欠部125が係合する。
このように吸着ヘッドから取外された吸着ノズルを有するプラグ114がプラグ格納円柱部材111に収納された後、第1の昇降用エアシリンダ138によってZ方向移動部材137が下降位置に移動し、前記プラグ移動用ピン141aが下降する。続いて収納動作の対象となる交換ステーションの残りの交換ステーションにおいて、順次上述した動作が行われる。この際、収納動作の対象とはならない残りの交換ステーションであって、直前に第2の干渉防止動作がされた交換ステーションにおいては、Y方向駆動装置134によるZ方向移動部材133の前進位置への移動に同期して、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向前側の端部からY方向後側の端部に移動させるようにする。
そして、全ての交換ステージにおいて、リリース位置P1aにあるプラグ114がプラグ格納円柱部材111に移動された後、制御装置は、各交換ステーションにおけるプラグ格納円柱部材111の空のプラグ114の位置、プラグ格納円柱部材111に収納されている吸着ノズルの種類(例えば部品番号)等を記録したデータを更新する。
この実施例に示すノズル交換装置100においては、吸着ノズルを挿入する穴115が穿設されたプラグ114によって本発明でいう保持部分が構成され、第1〜第5の交換ステーション102〜106は、前記プラグ114を着脱位置P1(リリース位置P1aおよび装着位置P1b)と、この着脱位置から水平方向に離間した収納位置P2との間で移動可能に支持する構成が採られている。また、この実施例による前記収納位置P2は、上下方向の軸線回りに回転するプラグ格納円柱部材111の外周部に周方向に等間隔おいて形成された複数の凹部122a、およびこれと位置が一致する切欠部125によって構成されている。
このため、この実施例によれば、吸着ノズルを保持したプラグ114が各交換ステーション内で水平方向に移動するから、図1〜図18に示したような水平方向の軸線回りに回転する保持ユニットを用いる場合に較べて、プラグ114に吸着ノズルを保持させる機構を簡素化することができる。すなわち、この実施例に示すノズル交換装置100は、シャッター112が着脱位置P1のみに設けられ、収納位置P2にある吸着ノズルについては、吸着ノズルの環状溝に切欠部125の内端縁を係合させるだけの簡単な保持構造としてコスト低減が図られている。
また、この実施例によるノズル交換装置100において、互いに隣り合う交換ステーションのプラグ格納円柱部材111どうしは、複数の吸着ヘッドが並ぶ方向(X方向)とは直交する方向(Y方向)の位置を変えて配設されている。
このため、複数のプラグ114を格納できるようにプラグ格納円柱部材111の外径を大きく形成しているにもかかわらず、プラグ格納円柱部材111どうしが干渉することがなく、各交換ステーション102〜106の間隔を吸着ヘッドどうしの間隔に一致させることができる。
また、この実施例においては、交換ステーション102、104、および106において使用されるロッドレスエアシリンダ139のピストン139bの移動ストロークと、交換ステーション103、105において使用されるロッドレスエアシリンダ139のピストン139bの移動ストロークを異なるものとしたが、別実施例として、5個のロッドレスエアシリンダ139を共通とすることができる。この場合、ピストン139bの移動ストロークを、交換ステーション102、104、および106における装着位置P1bとプラグ格納円柱部材111の前端部との間のY方向距離(第1の距離)と同じとする。この第1の距離は、交換ステーション102、104、および106におけるプラグ格納円柱部材111の中心と、交換ステーション103、105におけるプラグ格納円柱部材111の中心との間のY方向距離(第2の距離)より長いものとする。
以上により、交換ステーション102、104、および106において、プラグ114の装着位置P1bとプラグ格納円柱部材111の前端部との間の移動はロッドレスエアシリンダ139のピストン139bの移動のみで行い、交換ステーション103、105において、プラグ114の装着位置P1bとプラグ格納円柱部材111の前端部との間の移動は、ロッドレスエアシリンダ139に加え、Y方向駆動装置134の駆動により実施する。プラグ114のリリース位置P1aとプラグ格納円柱部材111の前端部との間の移動は、全ての交換ステーション102〜106において、ロッドレスエアシリンダ139に加え、Y方向駆動装置134の駆動により実施する。
Y方向駆動装置134によりZ方向移動部材137は、前進位置、第1の後退位置、第2の退避位置および後述する第3の退避位置の4つの位置で移動可能とする。第3の退避位置は、交換ステーション103、105において、Z方向移動部材137を下降位置とし、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向後側の端部に移動させた状態で、プラグ移動装置107のプラグ移動用ピン141aの位置がプラグ格納円柱部材111の前端部に一致するZ方向移動部材137の位置のことである。
プラグ格納円柱部材111の前端部から空のプラグ114をリリース位置P1aに移動するに際し、この移動対象の交換ステーションではロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向後側の端部に位置させ、移動対象の以外の交換ステーションではロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向前側の端部に位置させ、且つ移動対象の交換ステーションが103あるいは105となる場合にはZ方向移動部材137を第3の後退位置に位置させ、移動対象の交換ステーションが102,104あるいは106となる場合にはZ方向移動部材137を第1の後退位置に位置させた状態で、第1の昇降用エアシリンダ138によってZ方向移動部材137を上昇させることで、移動対象の交換ステーションのみにおいて空のプラグ114にプラグ移動用ピン141aを嵌合させる。
この嵌合後のプラグ移動用ピン141aの移動においては、移動対象の交換ステーションが103あるいは105となる場合には、交換ステーション102、104、および106においては、Z方向移動部材137の第3の後退位置から前進位置への移動に並行してロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向前側の端部からY方向後側の端部に移動させる。これは、プラグ移動用ピン141aがリリース位置P1aよりY方向前側に移動しないためである。移動対象の交換ステーションが交換ステーション103あるいは105の一方であって、既に空のプラグ114をリリース位置P1aに移動を終えた交換ステーションが交換ステーション103あるいは105の他方となる場合か、移動対象の交換ステーションが交換ステーション102、104、あるいは106の一つであって、既に空のプラグ114をリリース位置P1aに移動を終えた交換ステーションが交換ステーション102、104、あるいは106の内のその他となる場合には、その既に空のプラグ114をリリース位置P1aに移動を終えた交換ステーションにおいて、上述の第1の干渉防止動作を行う。
また、所望の吸着ノズルを収納するプラグ114を装着位置P1bに移動する場合、移動対象の交換ステーションが交換ステーション103あるいは105のいずれかであれば、移動対象の以外の交換ステーションではロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向前側の端部に位置させているので、Z方向移動部材137の第3の後退位置から第1の後退位置への移動によって、交換ステーションが102、104、および106では、プラグ移動用ピン141aがリリース位置P1aの空のプラグ114に衝突干渉してしまうので、Z方向移動部材137の第3の後退位置から第1の後退位置への移動に同期して、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向前側の端部からY方向後側の端部へ移動する第3の干渉防止動作を実施する。
また、ノズル交換後において、装着位置P1bに位置する空のプラグ114、およびリリース位置P1aに位置する吸着ノズルを収納するプラグ114の、プラグ格納円柱部材111の凹部122aへのそれぞれの収納動作において、移動対象の交換ステーションが交換ステーション103あるいは105のいずれかであれば、この移動前に交換ステーション102、104、および106においては、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向後側の端部に位置させているので、Z方向移動部材137の第1の後退位置から第3の後退位置への移動、あるいは前進位置からら第3の後退位置への移動に並行して、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向後側の端部からY方向前側の端部へ移動させる第4の干渉防止動作を実施する。
他方、リリース位置P1aに位置する吸着ノズルを収納するプラグ114をプラグ格納円柱部材111の凹部122aへの収納動作において、この収納のための移動対象の交換ステーションが交換ステーション102、104、および106のいずれかである場合、移動対象以外の交換ステーションが102、104、および106の他の交換ステーションでは、上述した第2の実施例と同様、Z方向移動部材137の前進位置から第1の後退位置への移動に並行して、ロッドレスエアシリンダ139のピストン139bをY方向後側の端部からY方向前側の端部へ移動させる第2の干渉防止動作を実施する。
以上のように、第1の距離を第2の距離より長いものとしているので、第1の干渉防止動作、第2の干渉防止動作、第3の干渉防止動作および第4の干渉防止動作が有効となる。
図24〜図32によって説明した実施例においては吸着ノズルの交換を行う装置について説明したが、この装置は、吸着ノズルの代わりにディスペンサを用いることができる。