JP4727444B2 - ガス分析装置及び半導体製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、同一光源から測定対象物質に当たると透過率が減衰する所定波長(例えば赤外領域)の測定光と、減衰のない別波長のリファレンス光とを、測定対象物質を含んだサンプルガスに照射し、前記リファレンス光との比較における測定光の減衰量からサンプルガス内の測定対象物質濃度を測定することができるように構成したガス分析装置およびこれを用いた半導体製造装置に関するものである。
従来から、サンプルガスに赤外光を照射し、サンプルガス内の測定対象物質濃度の測定を行えるようにした非分散型赤外線ガス分析装置が知られている。
具体的に、この種のガス分析装置は、同一光源から測定対象物質に当たると透過率が減衰する所定波長(例えば赤外領域)の測定光と、減衰のない別波長のリファレンス光とをセル内に導き、サンプルガスに照射した後、セル外へ導出する。そして導出した各光を、チョッパーモータ等により変調した後、バンドパスフィルターにて特定の波長のみを透過させて光検出器で検出し、リファレンス光との比較における測定光の減衰量からサンプルガス中に含まれる測定対象物質の濃度を算出するように構成してなる(特許文献1参照。)。
特開2003−57177
しかしながら、波長が7μm以上の長波長の赤外線は、赤外光源のみならず、40〜150℃程度の温度の物体からも多く出射されている。そのため、長波長に吸収帯を持つガス用の非分散赤外分析計にてセルを過熱するようにした場合、光源のみならず、セルからの赤外線も同様に変調してしまい、信号として検出してしまう。結果、ガス濃度に変化が無くても、セルの温度が変化しただけで信号強度が変化し、測定値がドリフトし不安定になるといった問題点を有している。
また、従来のチョッピングは、特許文献1の図1、図4にも示されるように、検出器側で行うに限らず光源側でも行われている。しかしながら、従来のチョッピングは、あくまでセルを高温加熱していないものが前提であり、上述した長波長にかかる誤測定の問題についてはなんら考慮されていない。すなわち、チョッピングの場所が、検出器側であるか光源側であるかは、他の要因で決定されているものである。
本発明は、高温加熱型のセルを用いた際の測定結果の誤差原因を、鋭意検討の結果明らかにして初めてなされたものであって、主たる目的は、高温加熱型のセルの温度が変化したりセル内のサンプルガスの温度が変化したりしても、安定した測定を行うことができるといった、優れたガス分析装置を提供することにある。
すなわち本発明に係るガス分析装置は、光導入窓及び光導出窓を有し、測定対象物質を含んだサンプルガスを収容する高温加熱型のセルと、前記測定対象物質に照射されると減衰する測定光及び前記測定対象物質に照射されても実質的に減衰しないリファレンス光を、前記光導入窓を介してセル内に照射する光源と、前記光源を収容保持する光源保持構造体と、前記光源自体若しくは光源側に設けられ、該光源が照射する各光をチョッピングするチョッピング部と、前記セル内を通って前記光導出窓から導出された測定光及びリファレンス光を分離する分離手段と、前記セルの反光源側に設けられ、前記分離手段で分離された測定光及びリファレンス光をそれぞれ受光する光検出器と、前記光源保持構造体とはセルを挟んで別体で設けられ、前記光検出器を収容保持する光検出器保持構造体とを具備して成ることを特徴とする。
このようなものであれば、例えば、120℃程度の高温に加熱した高温加熱型のセルから長波長の赤外線が出射されても、この長波長の赤外線は光源側に設けたチョッピング部によって変調されることは無く、信号として処理されない。このように、セル自体の温度が変化したり、或いは、セル内のサンプルガスの温度が変化した場合でも、これらによって信号強度の変化は生じず、測定値がドリフトして不安定になるといった不具合が生じることが無い。
すなわち、高温加熱型のセルの温度が変化したりセル内のサンプルガスの温度が変化したりしても、安定した測定を行うことができるといった、優れたガス分析装置を提供することができる。
本発明のチョッピング部の望ましい態様としては、このチョッピング部が、前記セルと前記光源との間に設けられ、各光の光路を断続的に遮断するものが挙げられる。
また、本発明のチョッピング部の他の望ましい態様としては、チョッピング部が、前記光源自体をチョッピング動作させるものが挙げられる。
サンプルガスが、光導入窓及び光導出窓に付着することを効果的に抑止するには、前記セルを、120℃以上に加熱していることが望ましい。
セルや光路の温度変化の影響を抑制して高精度の測定を行えるようにするには、前記光源保持構造体が、第1の断熱材を介して前記セルに取り付けられるものであり、前記第1の断熱材に設けた第1の貫通孔によって、前記光源保持構造体から光導入窓に至るまでの光路を形成していたり、或いは、前記光検出器保持構造体が、第2の断熱材を介して前記セルに取り付けられるものであり、前記第2の断熱材に設けた第2の貫通孔によって、前記光導出窓から光検出器保持構造体に至るまでの光路を形成していることが好ましい。
前記測定光及び/又はリファレンス光が、長波長の赤外光であれば、本発明の効果が特に顕著となる。
コンパクトでなおかつインラインでのガス分析用途に適した構造を実現するには、前記セルが、サンプルガスを連続的に導入出できるフロータイプのものであり、インラインでの測定が可能なものであることが望ましい。
上述したガス分析装置と、成膜ガスの供給を受け半導体ウエハの成膜を行う成膜室と、前記成膜室内に付着した生成物をドライクリーニングする際に発生する排ガスを、前記成膜室から排出するガス排出経路とを具備し、前記ガス分析装置を、前記ガス排出経路上にインラインで設けて成る半導体製造装置であれば、成膜室内のクリーニング工程の終了時点管理を好適に行うことができる。
以上説明したように本発明のガス分析装置によれば、例えば、120℃程度の高温に加熱した高温加熱型のセルから長波長の赤外線が出射されても、この長波長の赤外線は光源側に設けたチョッピング部によって変調されることは無く、信号として処理されない。このように、セル自体の温度が変化したり、或いは、セル内のサンプルガスの温度が変化した場合でも、これらによって信号強度の変化は生じず、測定値がドリフトして不安定になるといった不具合が生じることが無い。
すなわち、高温加熱型のセルの温度が変化したりセル内のサンプルガスの温度が変化したりしても、安定した測定を行うことができるといった、優れたガス分析装置を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係るガス分析装置100は、所定波長の赤外線(測定光L1)をサンプルガスに照射し、その減衰率(透過率)からサンプルガス中に含まれる測定対象物質の濃度を算出する、いわゆる非分散型赤外線ガス分析装置と称されるものであり、例えば図示しない半導体製造装置の一部として、成膜室内のクリーニング工程の終了時点管理に用いている。
すなわち、前記クリーニング工程では、クリーニングガス(例えばFやCF)を成膜室内に導入し、その内壁に残存するシリコン系物質と反応させてこれらを排気除去するが、クリーニングが完了するとその反応により生成される物質(例えばS)の濃度がほぼ0になる。そこで、このガス分析装置100を成膜室からのクリーニングガス排気経路上にインラインで設け、そのクリーニング排ガス中に含まれるSの濃度をリアルタイムでモニタすることによって、その濃度が実質的に0になった時点を検出し、クリーニングガスの供給を停止してクリーニング工程を終了するようにしている。
かかるガス分析装置100は、図1に詳細構成を、図2に基本機能構成を示すように、高温加熱型のセル1、光源2、光学フィルタ3、一対の光検出器41、42、情報処理機構5を備えているに加え、前記光源2を収容保持する光源保持構造体6と、その光源保持構造体6とはセル1を挟んで熱的にほぼ切り離されて別体で設けられ、前記光検出器41、42を収容保持する光検出器保持構造体7と、光源2の周囲温度調節を行うことが可能な光源側温度調節機構8と、光検出器41、42の周囲温度調節を行うことが可能な光検出器側温度調節機構9とをさらに備えている。以下、各部を具体的に説明する。
セル1は、両端を開口させた円筒状をなすフロータイプのものであり、測定対象物質であるSを含んだサンプルガスSG(クリーニング排ガス)を一端開口部から導入し、他端開口部から導出して、サンプルガスSGがこのセル1内を軸方向に流れていくように構成してある。このセル1は、非透明金属で形成してあり、側周面には図示しないヒータが取り付けられて一定の温度(約150℃)となるように調節されている高温加熱型のものである。また、壁体の対向する部位には、フッ化バリウムなどの赤外透過光学結晶などで封止した光導入窓11及び光導出窓12がそれぞれ設けてあり、これら窓11、12を介して軸方向(ガスの流れ方向)と直交する方向に、セル外部から光を透過させ得るように構成してある。
光源2は、例えばフィラメントを熱して発光させる白熱タイプのものである。光源2は単一であり、測定対象物質であるSに照射されると減衰する測定光L1及び前記測定対象物質に照射されても実質的に減衰しないリファレンス光L2を含むブロードな帯域の光を照射する。なお、ここでの測定光L1は波長約10μm、リファレンス光L2は、波長約4μmの赤外線である。このように測定光とリファレンス光との波長域を、大きく異ならせているのは、前記クリーニング排ガス中に、測定対象物質であるSの吸収波長域に近い吸収波長域を有したガスが存在し、このガスによるリファレンス光L2の吸収を防止するためである。
分離手段である光学フィルタ3は、薄板状をなすもので、その半分の領域を占め前記測定光L1のみを通過させる第1フィルタ31(図2に示す)と、残りの領域を占め前記リファレンス光L2のみを透過させる第2フィルタ32(図2に示す)とからなる。
一対の光検出器41、42には、熱型赤外線センサである焦電効果を利用したパイロセンサを用いている。一方の光検出器41は前記第1フィルタ31に、また他方の光検出器42は前記第2フィルタ32に臨んで設けられており、各フィルタ31、32を通過した測定光L1及びリファレンス光L2を、各光検出器41、42がそれぞれ受光して、その受光光量に応じた値の電気信号を出力する。
情報処理機構5は、光源2への供給電圧を周期的にON/OFF制御する(すなわち、光源自体をチョッピング動作する本発明の「チョッピング部」としての機能を有する)に加え、前記光検出器41、42からの信号を受信してその出力値からSの濃度を算出するものである。なお、本実施形態では、前記ON/OFF制御の周期を約1Hzに設定しているが、実施態様に応じて適宜変更可能である。また、光源2以外の電気制御可能な機器を制御することもできる。具体的にこの情報処理機構5は、コンピュータやアナログ−デジタル変換回路などの電気回路で構成されるもので、互いに通信接続した複数の機器からなる。図1ではその一部を示しており、他の部分は図示していない。なお、この情報処理機構5は、他のコンピュータと通信可能に接続することもできるし、物理的に一体に構成しても構わない。また、コンピュータを用いずにディスクリート回路で構成してもよい。
光源保持構造体6は、図1、図3に示すように、第1の断熱材P1を介してセル1の光導入窓11側の側面に取り付けられており、光源2を収容する光源保持本体61と、その付随部材、例えばこの光源保持本体61を、第1の断熱材P1に取り付けるための取付板62や光源保持本体61をほぼ気密に覆うカバー体63など、を備えてなる。
光源保持本体61は、厚肉円筒形をなすブロック状のものであり、より具体的には、段付き円柱体の中心軸に沿って挿通孔61aを設けてなる形状をなす。光源2は、その挿通孔61aの外方端側開口部から円筒状スペーサ64を介在させて嵌め込まれており、この状態で、光源2を搭載する配線基板21が、前記挿通孔61aの外方端側開口部を閉塞する。一方、前記挿通孔61aの内方端側開口部には、赤外透過光学結晶等の透光板65が嵌め込まれており、この透光板65と配線基板21とによって、光源2はこの挿通孔61a内に、ほぼ気密状態で収容される。
第1の断熱材P1は、概略直方体ブロック形状をなすものであり、その内側面をセル1に取り付けられ、その外側面には前記光源保持構造体6が取り付けてある。またこの断熱材P1の中央付近には第1の貫通孔H1が設けられており、この第1の貫通孔H1の外方端側開口部が、前記光源保持本体61における挿通孔61aの内方端側開口部に臨むとともに、この第1の貫通孔H1の内方端側開口部が、前記セル1の光導入窓11に臨むように配置されている。そして、前記挿通孔61a及びこれに連続する第1の貫通孔H1によって、光源2から光導入窓11に至るまでのほぼ気密となる光路が形成される。
光検出器保持構造体7は、図1に示すように、概略直方体ブロック状をなす第2の断熱材P2を介して、セル1の光導出窓12側の側面に取り付けられたものであり、光検出器41、42や光学フィルタ3を収容する光検出器保持本体71と、その付随部材、例えば光検出器保持本体71を第2の断熱材P2に取り付けるための取付板72や光検出器保持本体71をほぼ気密に覆うカバー体73など、を備えてなる。
光検出器保持本体71は、前記断熱材P1と同じ断熱性素材で形成したブロック状をなすもので、途中で直角に屈曲する挿通孔71aを内部に挿通させてある。光検出器41、42は、その挿通孔71aの外方端側開口部に環状部材74を介して嵌め込まれており、この光検出器41、42の受光面に臨む位置に前記光学フィルタ3が配置されている。そして、当該挿通孔71aの外方端側開口部を、光検出器41、42を搭載する配線基板43が閉塞する一方、前記挿通孔71aの内方端側開口部を、前記光学フィルタ3が閉塞している。すなわち、これら光学フィルタ3と配線基板43とによって、光検出器41、42が、この挿通孔71a内にほぼ気密状態で収容される。また、この挿通孔71aの屈曲部分には、45度に傾斜させたわずかに凹形状の反射ミラーMが配置してあって、セルを通過してきた光をこの反射ミラーMが反射して光検出器41、42に導く。
第2の断熱材P2は、内側面をセル1に取り付けられ、外側面には前記光検出器保持構造体7を取り付けてなるもので、その中央付近には第2の貫通孔H2が設けてある。この第2の貫通孔H2の外方端側開口部は、前記光検出器保持本体71における挿通孔71aの内方端側開口部に臨み、この第2の貫通孔H2の内方端側開口部は、前記セル1の光導出窓12に臨むように配置されている。そして、この第2の貫通孔H2挿通孔71aによって、光導出窓12から光検出器41、42に至るほぼ気密状態の光路が形成される。
光源側温度調節機構8は、前記光源保持本体61の例えば大径部外周面(外壁面)に巻き付けた帯状のテープヒータ81と、光源保持本体61を一定温度に保つべく、ヒータ81への電力供給量を制御してその出力をコントロールする図示しない制御部とを備えている。ここでは制御部として、ヒータ81への電流をON/OFF制御する熱電対を用いているが、温度センサと前記情報処理機構5によって、ヒータ81への電力供給量を制御するようにしてもよい。このような構成により、この光源側温度調節機構8は、光源保持本体61の温度、すなわち光源2の周囲温度の調節を、光検出器41、42や光検出器保持構造体7の温度にほぼ影響を与えることなく別個に行うことが可能である。なお、テープヒータ81あるいは光源保持本体61の温度は、周囲外気温以上の温度で、なおかつ光源2をOFFしたときの光源2の温度よりも低い温度が好ましい。ちなみにこの実施形態では、その温度を55℃に保つように制御している。なお、この光源側温度調節機構8は、ガス分析装置100外部のものを利用して構成し得る。
光検出器側温度調節機構9も、光源側温度調節機構8とほぼ同じ構成であり、前記環状部材74の外周面に貼り付けたテープヒータ91と、環状部材74を一定温度に保つべく、前記テープヒータ91への電力供給量を制御してその出力をコントロールする制御部(図示しない)とを備えている。そしてこのような構成により、この光検出器側温度調節機構9は、環状部材74の温度、すなわち光検出器4の周囲温度の調節を、光源2や光源保持構造体6の温度にほぼ影響を与えることなく別個に行うことが可能である。なお、この光検出器側温度調節機構9は、ガス分析装置100外部のものを利用して構成し得る。
次に、このように構成したガス分析装置100による測定対象物質(S)の濃度測定の手順概要を説明する。
前提として、サンプルガスSGはマスフローコントローラなどにより、一定流量で連続的に流れているものとする。
まず、情報処理機構5が、光源2への供給電圧を周期的にON/OFF制御する。ここでの周期は約1Hzである。次にON時、OFF時それぞれでの各光検出器41、42の出力値を取得し、ON時とOFF時との出力値の差をそれぞれ算出する。このようにして算出された、測定光L1用の光検出器41の出力値差が、測定光L1の実測光量を表し、リファレンス光L2用の光検出器42の出力値差が、リファレンス光L2の実測光量を表す。
次に、情報処理機構5は、リファレンス光L2の前記実測光量が、予め測定しておいたリファレンス光L2の基準光量と比べどの程度変化しているのかを示す変化比を算出する。そして、その変化比をもって、測定光L1の実測光量を補正する。これは、光検出器41、42で測定される光量が、光路途中の窓の汚れなどによって経時変化する影響をキャンセルするためである。
最後に情報処理機構5は、このようにして算出した測定光L1の光量補正値と、予め濃度0のゼロガスで測定しておいた光量測定値とから、測定光L1の減衰率を算出し、その減衰率に基づいて、サンプルガスSG中のSの濃度を算出する。
なお、本実施形態では、セル1を一定の温度(約150℃)に保つ高温加熱型のものとしている。このため、セル1自体から、長波長の赤外線が出射される。しかしながら、セル1から出射される長波長の赤外線は、情報処理機構5による光源2のON/OFF制御によって変調されることは無く、光検出器41、42で検出しても、情報処理機構5では信号として処理されない。このように、セル1自体の温度が変化した場合でも、これによって信号強度の変化は生じず、測定値がドリフトして不安定になるといった不具合が生じることが無い。また、セル1内のサンプルガスSGの温度が変化した場合でも、同様である。
すなわち、セル1自体の温度が変化したりセル1内のサンプルガスSGの温度が変化したりしても、安定した測定を行うことができるといった、優れたガス分析装置100を提供することができる。
したがって、以上のように構成した本実施形態に係るガス分析装置100によれば、150℃程度の高温に加熱した高温加熱型のセル1から7μm以上の長波長の赤外線が出射されても、この長波長の赤外線は光源2側に設けた情報処理機構5によって変調されることは無く、信号として処理されない。このように、温度調整のふらつきなどによりセル1自体の温度が変化したり、或いは、セル1内へのサンプルガスSGの移動などで温度が変化した場合でも、これらによって信号強度の変化は生じず、測定値がドリフトして不安定になるといった不具合が生じることが無い。
また、本実施形態では、測定光L1及びリファレンス光L2に赤外光を用いているため、上述した効果が特に顕著となる。
すなわち、高温加熱型のセル1の温度が変化したりセル1内のサンプルガスSGの温度が変化したりしても、安定した測定を行うことができるといった、優れたガス分析装置100を提供することができる。
また、光源2自体をチョッピング動作させる光源電圧変調方式を採用しているため、インラインでのガス分析に必要なメンテナンスフリーや安定性などに資する。
セル1を、150℃程度に加熱しているため、サンプルガスSGが、光導入窓11及び光導出窓12に付着することを効果的に抑止することができる。
光源保持構造体6が、第1の断熱材P1を介してセル1に取り付けられるものであり、第1の断熱材P1に設けた第1の貫通孔H1によって、光源保持構造体6から光導入窓11に至るまでの光路を形成しているうえ、光検出器保持構造体7が、第2の断熱材P2を介してセル1に取り付けられるものであり、第2の断熱材P2に設けた第2の貫通孔H2によって、光導出窓12から光検出器保持構造体7に至るまでの光路を形成しているため、セル1や光路の温度変化の影響を抑制して高精度の測定を行うことができる。
加えて、光源保持構造体6と光検出器保持構造体7とを分離させており、構成機器全体を収容するようなケーシングを不要としているので、コンパクトでなおかつインラインでのガス分析用途に適した無理のない構造を実現できる。
しかも、光源側温度調節機構8によって光源2の周囲温度を安定に保つことができるため、光源2から射出された時点でのリファレンス光L2と測定光L1との比率を可及的に一定に保つことができ、周囲温度の影響を排除して高精度な測定ができるようになる。さらに、従来のようにケーシング全体を温度調節するよりも、光源保持構造体6のみの温度調節は、熱容量が小さくなる分、容易かつ短時間でできるため、例えば、測定開始前の温度安定までのアップ時間を短縮できる。
また、インラインでのガス分析で重要視されるメンテナンスフリーや安定性などを実現すべく、このガス分析装置100では、前述したように光源電圧変調方式を採用しているため、通常であれば、OFF時における光源2側の周囲温度が変動すると、その変動影響を受けてさらに測定誤差がより大きくなるが、光源側温度調節機構8によって、その現象が解消されるため、高精度な測定を担保できる。
一方、光検出器41、42の周囲温度も測定誤差の原因となり得るが、このガス分析装置100では、前記光検出器保持構造体7を単独で温度調節する光検出器側温度調節機構9を別個に設けて、その問題を解決している。
このように、上述したガス分析装置100を備えた半導体製造装置では、成膜室内のクリーニング工程の終了時点管理を好適に行うことができる。
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、光源供給電力のON/OFF制御により、光源2をチョッピング動作しているが、セル1と光源2との間に設けた光チョッパCにより、測定光L1及びリファレンス光L2の光路を断続的に遮断して、チョッピングすることもできる。この光チョッパCの態様としては、図4(a)に示すように平面視略円形状の回転羽根部C1と、この回転羽根部C1の周縁から略直角に屈曲させた周縁部C2とを具備して成るものが挙げられる。より具体的には、回転羽根部C1の面板部C11に、各光L1・L2を通過させるための平面視略半円状で厚み方向に貫通させた光通過部C11aを設ける一方、貫通させない部分を、各光L1・L2を遮断するための光遮断部C11bとして設定し、該回転羽根部C1の中心に設けた回転軸孔C12にモータの回転軸(図示せず)を取り付け、回転動作させればよい。なお、光チョッパCの構成は、例えば、光通過部C11a及び光遮断部C11bの数や形状を、図4(b)に示すようにするなど、実施態様に応じて適宜変更可能である。
また、セル1の温度を、約150℃としているが、これに限られるものではない。例えば、約120℃以上であれば本発明の効果を得られる。
また、光源2に、フィラメントを熱して発光させる白熱タイプのものを用いているが、これに限らず、例えば赤外LEDや赤外レーザ或いは紫外線を発光するもの等、他の光源を用いることもできる。
測定対象物質は、S以外でもよい。例えば、フッ化物としては、13〜14μmあたりに吸収特性を有するClFなどでもよい。このときの測定点は、その吸収特性に対応して、13〜14μm付近に設定し得る。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明の一実施形態であるガス分析装置の構成を概略的に示す全体概略図である。 同実施形態に係るガス分析装置の基本機能構成を示す模式図。 同実施形態に係るガス分析装置の光源保持構造体を主として示す斜視図。 本発明の他の実施形態におけるチョッピング部を示す図。
符号の説明
1・・・・・・・セル
2・・・・・・・光源
3・・・・・・・分離手段(光学フィルタ)
5・・・・・・・情報処理機構(チョッピング部)
6・・・・・・・光源保持構造体
7・・・・・・・光検出器保持構造体
11・・・・・・光導入窓
12・・・・・・光導出窓
41、42・・・光検出器
100・・・・・ガス分析装置
C・・・・・・・光チョッパ(チョッピング部)
H1・・・・・・第1の貫通孔
H2・・・・・・第2の貫通孔
L1・・・・・・測定光
L2・・・・・・リファレンス光
P1・・・・・・第1の断熱材
P2・・・・・・第2の断熱材
SG・・・・・・サンプルガス

Claims (10)

  1. 光導入窓及び光導出窓を有し、測定対象物質を含んだサンプルガスを収容する高温加熱型のセルと、前記測定対象物質に照射されると減衰する測定光及び前記測定対象物質に照射されても実質的に減衰しないリファレンス光を、前記光導入窓を介してセル内に照射する光源と、前記光源自体若しくは光源側に設けられ、該光源が照射する各光をチョッピングして、前記光源からの各光を通過させる又は前記光源への電力供給をONするON時と、前記光源からの各光を遮断する又は前記光源への電力供給をOFFするOFF時とを繰り返すチョッピング部と、前記セルの反光源側に設けられた光検出器とを具備するガス分析装置のガス分析方法であり、
    前記セル内を通って前記光導出窓から導出された測定光及びリファレンス光を分離する分離ステップと、
    前記分離ステップで分離された測定光及びリファレンス光をそれぞれ受光する受光ステップと、
    前記ON時の測定光の光強度と前記OFF時の測定光の光強度との差分を算出して、前記受光ステップで受光した測定光における前記セルからの赤外光のうち前記光源から照射された光によるもの以外の赤外光をキャンセルする一方、前記ON時のリファレンス光の光強度と前記OFF時のリファレンス光の光強度との差分を算出して、前記受光ステップで受光したリファレンス光における前記セルからの赤外光のうち前記光源から照射された光によるもの以外の赤外光をキャンセルするキャンセルステップとを具備することを特徴とするガス分析方法。
  2. 光導入窓及び光導出窓を有し、測定対象物質を含んだサンプルガスを収容する高温加熱型のセルと、
    前記測定対象物質に照射されると減衰する測定光及び前記測定対象物質に照射されても実質的に減衰しないリファレンス光を、前記光導入窓を介してセル内に照射する光源と、
    前記光源自体若しくは光源側に設けられ、該光源が照射する各光をチョッピングして、前記光源からの各光を通過させる又は前記光源への電力供給をONするON時と、前記光源からの各光を遮断する又は前記光源への電力供給をOFFするOFF時とを繰り返すチョッピング部と、
    前記セル内を通って前記光導出窓から導出された測定光及びリファレンス光を分離する分離手段と、
    前記セルの反光源側に設けられ、前記分離手段で分離された測定光及びリファレンス光をそれぞれ受光する光検出器と、
    前記ON時の測定光の光強度と前記OFF時の測定光の光強度との差分を算出して、前記光検出器で受光した測定光における前記セルからの赤外光のうち前記光源から照射された光によるもの以外の赤外光をキャンセルする一方、前記ON時のリファレンス光の光強度と前記OFF時のリファレンス光の光強度との差分を算出して、前記光検出器で受光したリファレンス光における前記セルからの赤外光のうち前記光源から照射された光によるもの以外の赤外光をキャンセルする情報処理装置とを具備して成ることを特徴とするガス分析装置。
  3. 前記チョッピング部が、前記セルと前記光源との間に設けられ、各光の光路を断続的に遮断するものであることを特徴とする請求項2記載のガス分析装置。
  4. 前記チョッピング部が、前記光源自体をチョッピング動作させるものであることを特徴とする請求項2記載のガス分析装置。
  5. 前記セルを、120℃以上に加熱していることを特徴とする請求項2乃至4いずれか記載のガス分析装置。
  6. 前記光源を収容保持する光源保持構造体を具備し、
    前記光源保持構造体が、第1の断熱材を介して前記セルに取り付けられるものであり、前記第1の断熱材に設けた第1の貫通孔によって、前記光源保持構造体から光導入窓に至るまでの光路を形成していることを特徴とする請求項2乃至5いずれか記載のガス分析装置。
  7. 前記光検出器を収容保持する光検出器保持構造体を具備し、
    前記光検出器保持構造体が、第2の断熱材を介して前記セルに取り付けられるものであり、前記第2の断熱材に設けた第2の貫通孔によって、前記光導出窓から光検出器保持構造体に至るまでの光路を形成していることを特徴とする請求項2乃至6いずれか記載のガス分析装置。
  8. 前記測定光及び/又はリファレンス光が、赤外光であることを特徴とする請求項2乃至7いずれか記載のガス分析装置。
  9. 前記セルが、サンプルガスを連続的に導入出できるフロータイプのものであり、インラインでの測定が可能なものであることを特徴とする請求項2乃至8いずれか記載のガス分析装置。
  10. 請求項2乃至9いずれか記載のガス分析装置と、
    成膜ガスの供給を受け半導体ウエハの成膜を行う成膜室と、
    前記成膜室内に付着した生成物をドライクリーニングする際に発生する排ガスを、前記成膜室から排出するガス排出経路とを具備し、
    前記ガス分析装置を、前記ガス排出経路上にインラインで設けていることを特徴とする半導体製造装置。
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