JP4727131B2 - 画像処理装置、方法、プログラム、記録媒体、および画像出力装置 - Google Patents
画像処理装置、方法、プログラム、記録媒体、および画像出力装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット方式のプリンタにおける色ムラの防止に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェットヘッドを備えたプリンタが普及している。このようなプリンタにおいては、大小二種類の大きさのドットを印刷したり、濃淡二種類のインクを使用したりすることがある(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【0003】
なお、濃淡二種類のインクを使用する場合、濃い色の画像を印刷する場合は濃いインクを多く用い、淡い画像を印刷する場合は淡いインクを多く用いる。例えば、入力データが0〜255の値をとるものとする。ここで、入力データが191と高階調(濃い画像)である場合、淡いインクを全く用いない(例えば、特許文献3の図18参照)
【特許文献1】
特開2002−185790号公報
【特許文献2】
特開平11−348322号公報
【特許文献3】
特開平10−44475号公報
【発明が解決しようとする課題】
ところで、メディアに印刷された画像の粒状感を低減するためには、より小さいサイズのドットを印刷することが考えられる。しかし、ドットのサイズが小さいほど、メディアに着弾したドットの着弾位置のずれが画質に与える影響は、大きくなる。例えば、インクジェットヘッドの振動により周期的にドットの着弾位置がずれることがある。これにより、メディアへの印刷結果を見ると、模様(ムラ、白筋)が見えてくることがある。この模様も、ドットのサイズが小さいほど、目立ってしまう。
【0004】
そこで、本発明は、インクジェット方式によりメディアに印刷された画像の粒状感を低減しながら、印刷のムラを防止することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、少なくとも一つの色相につき濃度の異なる二種類以上のインクを使用して印刷を行う場合におけるインクの使用量を決定するための画像処理装置であって、画素ごとの階調画像データと各種のインクの使用量とを対応付けて記録し、その記録内容は、インクの使用量の総和が、階調画像データの階調のほぼ全域において、インクの使用量の総和を階調に比例させた線形インク量を超えるようなものである濃淡インク使用量記録手段と、階調画像データを受け、濃淡インク使用量記録手段の記録内容に基づき、階調画像データに対応したインクの使用量を決定する濃淡インク使用量決定手段とを備えるように構成される。
【0006】
上記のように構成された発明によれば、少なくとも一つの色相につき濃度の異なる二種類以上のインクを使用して印刷を行う場合におけるインクの使用量を決定するための画像処理装置が提供される。
【0007】
この画像画像処理装置は、濃淡インク使用量記録手段、濃淡インク使用量決定手段を備える。濃淡インク使用量記録手段は、画素ごとの階調画像データと各種のインクの使用量とを対応付けて記録し、その記録内容は、インクの使用量の総和が、階調画像データの階調のほぼ全域において、インクの使用量の総和を階調に比例させた線形インク量を超えるようなものである。濃淡インク使用量決定手段は、階調画像データを受け、濃淡インク使用量記録手段の記録内容に基づき、階調画像データに対応したインクの使用量を決定する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、線形インク量は、階調画像データの最高階調において、印刷媒体に使用できる最大インク量をとるように構成される。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、濃淡インク使用量記録手段における記録内容が、インクの内で最も淡い最淡インクの量が階調画像データの階調の増加と共に減少する最淡インク量減少領域を含み、最淡インク量減少領域における最淡インクの量の最小値は0を超えるように構成される。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、インクの内で最も濃い最濃インクのみで表現できる濃度は、階調画像データの最高階調に対応する濃度未満であるように構成される。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、濃淡インク使用量記録手段における記録内容が、階調画像データの階調が増加するにつれて、インクの内で最も淡い最淡インクの量がほぼ一定の最高値をとる最淡インク量水平領域を含むように構成される。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、濃淡インク使用量記録手段における記録内容が、インクの内で最も淡い最淡インクの量が増加する割合が、線形インク量が増加する割合よりも大きい最淡インク量上昇領域を含むように構成される。
【0013】
請求項7に記載の発明は、少なくとも一つの色相につき濃度の異なる二種類以上のインクを使用して印刷を行う場合におけるインクの使用量を決定するための画像処理方法であって、画素ごとの階調画像データと各種のインクの使用量とを対応付けて記録し、その記録内容は、インクの使用量の総和が、階調画像データの階調のほぼ全域において、インクの使用量の総和を階調に比例させた線形インク量を超えるようなものである濃淡インク使用量記録工程と、階調画像データを受け、濃淡インク使用量記録工程における記録内容に基づき、階調画像データに対応したインクの使用量を決定する濃淡インク使用量決定工程とを備えるように構成される。
【0014】
請求項8に記載の発明は、少なくとも一つの色相につき濃度の異なる二種類以上のインクを使用して印刷を行う場合におけるインクの使用量を決定するための画像処理処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、画素ごとの階調画像データと各種のインクの使用量とを対応付けて記録し、その記録内容は、インクの使用量の総和が、階調画像データの階調のほぼ全域において、インクの使用量の総和を階調に比例させた線形インク量を超えるようなものである濃淡インク使用量記録処理と、階調画像データを受け、濃淡インク使用量記録処理における記録内容に基づき、階調画像データに対応したインクの使用量を決定する濃淡インク使用量決定処理と、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のプログラムを記録したコンピュータによって読取可能な記録媒体である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態にかかる画像処理制御方法を適用した画像処理システムのブロック図であり、図2は、当該画像処理装置の具体的ハードウエア構成例を概略ブロック図により示している。
【0018】
図1において、画像処理装置20は、画像入力装置10から供給される色画像データに対して画像処理を施し、当該画像処理された色画像データを画像出力装置(例えば、カラープリンタ17b)に出力する。ここで、色画像データはカラー画像を所定の要素色毎に色分解しつつ、その要素色毎に強弱を表したものであり、有彩色であって所定の比で混合したときには灰色に代表される無彩色と黒色とからなる。
【0019】
画像処理装置20は、色変換部20a、濃淡インク使用量記録部20b、濃淡インク使用量決定部20c、ドット率記録部20d、淡インクドット率決定部20e、濃インクドット率決定部20f、インク使用量記録部20p、インク使用量決定部20q、ドット率決定部20rを備える。各部の詳細は後述する。
【0020】
ハードウェア構成例
図2は、画像処理装置20の具体的ハードウエア構成例を概略ブロック図により示している。当該実施形態においては、画像処理装置を実現するハードウェアの一例としてコンピュータシステムを採用している。図2は、同コンピュータシステムをブロック図により示している。本コンピュータシステムは、画像入力デバイスとして、スキャナ11aとデジタルスチルカメラ11bとビデオカメラ11cとを備えており、コンピュータ本体12に接続されている。それぞれの入力デバイスは画像をドットマトリクス状の画素で表現した色画像データを生成してコンピュータ本体12に出力可能となっており、ここで同画像データはRGBの三原色においてそれぞれ256階調表示することにより、約1670万色を表現可能となっている。
【0021】
コンピュータ本体12には、外部補助記憶装置としてのフロッピーディスクドライブ13aとハードディスク13bとCD−ROMドライブ13cとが接続されており、ハードディスク13bにはシステム関連の主要プログラムが記録されており、フロッピーディスクやCD−ROMなどから適宜必要なプログラムなどを読み込み可能となっている。また、コンピュータ本体12を外部のネットワークなどに接続するための通信デバイスとしてモデム14aが接続されており、外部のネットワークに同公衆通信回線を介して接続し、ソフトウェアやデータをダウンロードして導入可能となっている。この例ではモデム14aにて電話回線を介して外部にアクセスするようにしているが、LANアダプタを介してネットワークに対してアクセスする構成とすることも可能である。この他、コンピュータ本体12の操作用にキーボード15aやマウス15bも接続されている。
【0022】
さらに、画像出力デバイスとして、ディスプレイ17a、カラープリンタ17bおよびプロジェクタ17cを備えている。ディスプレイ17aについては水平方向に800画素と垂直方向に600画素の表示エリアを備えており、各画素毎に上述した1670万色の表示が可能となっている。この解像度は一例に過ぎず、640×480画素であったり、1024×768画素であるなど、適宜、変更可能である。
【0023】
また、カラープリンタ17bはインクジェットプリンタであり、C(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)K(ブラック)c(ライトシアン)m(ライトマゼンタ)の6色のインクを用いて、メディアたる印刷用紙上にドットを付して画像を印刷可能となっている。画像密度は360×360dpiや720×720dpiといった高密度印刷が可能となっているが、階調表現については色インクを付すか否かといった2階調表現となっている。一方、このような画像入力デバイスを使用して画像を入力しつつ、画像出力デバイスに表示あるいは出力するため、コンピュータ本体12内では所定のプログラムが実行されることになる。そのうち、基本プログラムとして稼働しているのはオペレーティングシステム(OS)12aであり、このオペレーティングシステム12aには、ディスプレイ17aでの表示を行わせるディスプレイドライバ(DSP DRV)12bと、カラープリンタ17bに印刷出力を行わせるプリンタドライバ(PRT DRV)12cと、プロジェクタ17cでの表示を行わせるプロジェクタドライバ12d(図示せず)が組み込まれている。これらのドライバ12b、12cおよび12dはディスプレイ17a、カラープリンタ17bおよびプロジェクタ17cの機種に依存しており、それぞれの機種に応じてオペレーティングシステム12aに対して追加変更可能である。また、機種に依存して標準処理以上の付加機能を実現することもできるようになっている。すなわち、オペレーティングシステム12aという標準システム上で共通化した処理体系を維持しつつ、許容される範囲内での各種の追加的処理を実現できる。
【0024】
このようなプログラムを実行する前提として、コンピュータ本体12は、CPU12e、RAM12f、ROM12gおよびI/O12hなどを備え、演算処理を実行するCPU12eがRAM12fを一時的なワークエリアや設定記憶領域として使用したりプログラム領域として使用しながら、ROM12gに書き込まれた基本プログラムを適宜実行し、I/O12hを介して接続されている外部機器及び内部機器などを制御している。
【0025】
ここで、基本プログラムとしてのオペレーティングシステム12a上でアプリケーション12iが実行される。アプリケーション12iの処理内容は様々であり、操作デバイスとしてのキーボード15aやマウス15bの操作を監視し、操作された場合には各種の外部機器を適切に制御して対応する演算処理などを実行し、さらには、処理結果をディスプレイ17aに表示したり、カラープリンタ17bに出力したりすることになる。
【0026】
かかるコンピュータシステムでは、画像入力デバイスであるスキャナ11aなどで画像データを取得し、アプリケーション12iによる所定の画像処理を実行した後、画像出力デバイスとしてのディスプレイ17a、カラープリンタ17bやプロジェクタ17cに表示出力することが可能である。
【0027】
本実施形態においては、画像処理装置をコンピュータシステムとして実現しているが、必ずしもかかるコンピュータシステムを必要とするわけではなく、同様の画像データに対して本発明による色調整処理が必要なシステムであればよい。例えば、デジタルスチルカメラ内に本発明による色調整処理を行う画像処理装置を組み込み、色調整処理された画像データを用いてカラープリンタに印字させるようなシステムであっても良い。
【0028】
この他、カラーファクシミリ装置、カラーコピー装置、プロジェクタといった画像データを扱う各種の装置においても当然に適用可能である。
【0029】
処理制御プログラム
本発明による処理制御プログラムは、通常、コンピュータ12が読取可能な形態でフロッピーディスク、CD−ROMなどの記録媒体に記録されて流通する。当該プログラムは、メディア読取装置(CD−ROMドライブ13c、フロッピーディスクドライブ13aなど)によって読み取られてハードディスク13bにインストールされる。そして、CPUが所望のプログラムを適宜ハードディスク13bから読み出して所望の処理を実行するように構成されている。なお、本発明による処理制御プログラム自体も本願発明の一部を構成する。
【0030】
画像処理装置の構成
ここで、図1に戻り、画像処理装置20の各部の詳細を説明する。
【0031】
なお、画像入力装置10は、スキャナ11aとデジタルスチルカメラ11bとビデオカメラ11cに相当する。画像処理装置20は、プリンタドライバ(PRT DRV)12cに相当する。
【0032】
色変換部20aは、画像入力装置10(画像入力デバイス11a〜cに相当)から各画素ごとのRGBの階調データ(色画像データ)を受け、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の階調データに変換する。色変換部20aの変換結果の内、C(シアン)およびM(マゼンタ)は、例えば100階調の階調画像データとして、濃淡インク使用量決定部20cに送られる。Y(イエロー)、K(ブラック)は、インク使用量決定部20qに送られる。
【0033】
濃淡インク使用量記録部20bは、画素ごとの階調画像データと各種のインクの使用量とを対応付けて記録する。なお、カラープリンタ17bは、CMYKcmの各色に対応したインクを用いて印刷を行うものとする。濃淡インク使用量記録部20bは、CおよびMの0〜100階調まで1階調ごとに対応する濃インク(C’、M’)の量(0〜100)および淡インク(c’、m’)の量(0〜100)を示したLUT(Looking Up Table:参照テーブル)を記録する。例えば、Cの100階調の場合、濃インクC’の量は60であり淡インクc’の量は40であるといったことが記録されている。なお、淡インクc’はライトシアン(c)を表示し、淡インクm’はライトマゼンタ(m)を表示するものである。
【0034】
濃淡インク使用量記録部20bの記録するLUTをグラフ形式にして表現したものの一例を図3に示す。図3においては、階調を横軸、インク量を縦軸にとる。なお、座標を(階調、インク量)として表す。(0、0)と、(100、100)とを結んだ直線により示されるインク量を線形インク量という。
【0035】
図3に示すように、淡インク(c’、m’)の量を示すグラフは、原点を通る。そして、階調が60になるあたりまで淡インクの量が直線的(グラフが直線状であるということ)に増加し、階調が60のときにインク量が最大値75をとる。階調が0から60までを、淡インク量上昇領域という。淡インク量上昇領域においては、淡インクの量の増加する割合(グラフの傾き)が、線形インク量の増加する割合(グラフの傾き)よりも大きい。そして、階調が75になるまで、インク量は最大値75をとったままである。階調が60から75までを、淡インク量水平領域という。階調が75を超えると最高階調100まで、淡インクの量が直線的に減少する。階調が75から100までを、淡インク量減少領域という。淡インク量減少領域における淡インク量の最小値40は、階調100において見られる。
【0036】
濃インク(C’、M’)の量を示すグラフは、階調が0から60までは濃インク量が0であることを示している。階調が60から最高階調100まで濃インク量は増加し続ける。また、濃インク量が最大値60をとったとしても、その濃インクだけでは、最高階調100を表現できない。最高階調100を表現するためには、濃インクに加え、淡インクを量40だけ用いなければならない。なお、濃インク(C’、M’)の量を示すグラフは、階調60からその付近までは、しだいに傾きを増していき、そして傾きが一定のまま上昇していく。そして、階調が100付近にまでなると、傾きがしだいに減少していく。
【0037】
図3に示すような濃淡のインク量を用いた場合の、濃インク量および淡インク量の総和を図4に示す。階調0から60までは、濃インクの量=0なので、淡インクの量がそのままインク量の総和となる。
【0038】
階調60から75までは、濃インクの量が増加するものの、淡インク量水平領域であるため、インク量の総和を示すグラフの傾きは、濃インクの量を示すグラフの傾きとほぼ等しくなる。
【0039】
階調75から100までは、濃インクの量が増加するものの、淡インク量減少領域であるため、インク量の総和はやや増加し、最高階調100のときのインク量の総和=100は、例えば、メディア(印刷媒体)において許容できるインク量の最大値である。
【0040】
このように、ほぼ全ての階調において、インク量の総和は、線形インク量を超えている。
【0041】
このように濃インクおよび淡インクの量を使用して、線形インク量を超えるようにすることとした理由を図5を参照して説明する。図5は、16ドットをインクでカバーした状態を示している。濃インクの濃度が淡インクの濃度の二倍である場合、図5(a)に示すように、淡インクで16ドット全てをカバーした場合の濃度と、図5(b)に示すように、濃インクで8ドットをカバーした場合の濃度とは等しい。図5(b)においては、インクジェットヘッドの振動等により周期的にドットの着弾位置がずれた場合、ムラや白スジとして白い部分が目立ち印刷ムラを生じる原因となっている。このように、濃インクを多用した場合は、白い部分が目立ちやすい。そこで、淡インクも使用するようにして、インク量の総和を多くし、できるだけインクがカバーする面積を増やし、白い部分を少なくするようにすれば、印刷ムラが生じにくい。なお、淡インクだけ使用すれば印刷ムラは生じにくいが、高階調(高濃度)のものを印刷しようとすると、メディア(印刷媒体)にとり許容し得るインク量を超えてしまう。そこで、淡インクだけ使用すればいいというわけにもいかないので、濃インクも併せて用いる。
【0042】
濃淡インク使用量決定部20cは、色変換部20aからCおよびMの階調画像データを受け、濃淡インク使用量記録部20bの記録内容に基づき、CおよびMの階調画像データに対応した濃インク(C’、M’)および淡インク(c’、m’)の使用量を決定する。例えば、Cの100階調を受けた場合、濃インクC’の使用量を60とし、淡インクc’の使用量を40とする。
【0043】
ドット率記録部20dは、インク量とそれに対応するドットの発生率を記録する。この記録内容もまたLUTである。なお、ドットは大きさが大、中、小の三種類に分かれている。ドットのサイズは任意に定められる。
【0044】
ドット率記録部20dの記録するLUTをグラフ形式にして表現したものの一例を図6に示す。図6に示すように、小ドットはインク量が0から20になるまでは、ドット発生率はインク量に比例し、インク量が20になってからはドット発生率=25%で一定となる。中ドットはインク量が0から20になるまでは0である。20から45になるまでは、ドット発生率はインク量の増加に対して一定の割合で増えつづけ、インク量が45になってからはドット発生率=20%で一定となる。大ドットはインク量が0から45になるまでは0である。45から100になるまでは、ドット発生率はインク量の増加に対して一定の割合で増えつづけ、ドット発生率=55%(インク量=100)なる。
【0045】
淡インクドット率決定部20eは、濃淡インク使用量決定部20cから淡インク(c’、m’)の使用量を受け、ドット率記録部20dの記録内容に基づき、ドットの発生率を決定する。例えば、淡インク(c’、m’)の使用量が45である場合、大ドットの発生率は0%、中ドットの発生率は20%、小ドットのの発生率は25%というように決定される。淡インクドット率決定部20eによるドット発生率の決定結果は、図7に示したようなものとなる。図3の階調16のところの淡インク使用量が20とすると、図6のグラフからドット発生率20は小ドット25%、中ドット0%、大ドット0%となる。同様に、図3の階調36では、淡インク使用量が45とすると、図6のグラフからドット発生率45は小ドット25%、中ドット20%、大ドット0%となる。
【0046】
濃インクドット率決定部20fは、濃淡インク使用量決定部20cから濃インク(C’、M’)の使用量を受け、ドット率記録部20dの記録内容に基づき、ドットの発生率を決定する。例えば、濃インク(C’、M’)の使用量が45である場合、大ドットの発生率は0%、中ドットの発生率は20%、小ドットのの発生率は25%というように決定される。濃インクドット率決定部20fによるドット発生率の決定結果は、図8に示したようなものとなる。
【0047】
インク使用量記録部20pは、YおよびKの0〜100階調まで1階調ごとに対応するインクの量(0〜100)を示したLUTを記録する。
【0048】
インク使用量決定部20qは、色変換部20aからYおよびKの階調画像データを受け、インク使用量記録部20pの記録内容に基づき、YおよびKの階調画像データに対応したインクの使用量を決定する。
【0049】
ドット率決定部20rは、インク使用量決定部20qからYおよびKのインクの使用量を受け、ドット率記録部20dの記録内容に基づき、ドットの発生率を決定する。
【0050】
カラープリンタ17bは、淡インクドット率決定部20e、濃インクドット率決定部20fおよびドット率決定部20rからCMYKcmの各色に対応する大、中、小のドットの発生率を受ける。カラープリンタ17bは、インクジェット方式のプリンタであり、CMYKcmの各色に対応するインクジェットヘッドを有する。インクジェットヘッドを駆動する電圧を適宜、制御して各色につき大、中、小のドットを生成する。
【0051】
次に、本発明の実施形態の動作を説明する。
【0052】
画像入力装置10からRGBの階調画像データが画像処理装置20に与えられる。画像処理装置20の色変換部20aは、RGBの階調画像データをCMYKの階調画像データに変換する。YおよびKの階調画像データは、インク使用量決定部20qに与えられ、YおよびKのインク使用量が決定される。YおよびKのインク使用量からドット率決定部20rが、YおよびKのドット率を決定し、カラープリンタ17bに与える。
【0053】
CおよびMの階調画像データは、濃淡インク使用量決定部20cに与えられる。濃淡インク使用量決定部20cは、濃淡インク使用量記録部20bの記録内容に基づき、濃インク(C’、M’)の量および淡インク(c’、m’)の量を決定する。濃インク(C’、M’)の量に基づき、濃インクドット率決定部20fが、濃インク(C’、M’)のドット率を決定し、カラープリンタ17bに与える。淡インク(c’、m’)の量に基づき、淡インクドット率決定部20eが、淡インク(c’、m’)のドット率を決定し、カラープリンタ17bに与える。
【0054】
カラープリンタ17bは、CMYKcmの各色に対応するインクジェットヘッドを駆動し、各色につき大、中、小のドットを生成する。
【0055】
本発明の実施形態によれば、ほぼ全ての階調においてインク量の総和を線形インク量を超えるものとしているので、印刷のムラを防止できる。これは、下記のような理由によるものである。
【0056】
濃いインクを多く使用した場合、図5を参照して説明したように、インクがカバーする部分の面積が小さくなり、印刷ムラが生じやすくなる。しかし、淡インクをも使用して、インク量の総和を線形インク量以上とすれば、インクがカバーする部分の面積が多くなり、印刷ムラを抑制できる。
【0057】
しかも、淡インク量減少領域(図3参照)における淡インクの量は、最小(40)でも0を超える。このため、淡インク量減少領域においては、淡インクは必ず使用されるため、インク量が増え、インクがカバーする部分の面積が多くなり、印刷ムラを抑制できる。
【0058】
さらに、最高階調であっても濃インク量を最高階調100に対応する濃度未満とし、最高階調であっても(最高階調でなければなおのこと)濃インク以外のインクも使用することで、インク量が増え、インクがカバーする部分の面積が多くなり、印刷ムラを抑制できる。
【0059】
ここで、階調の増加につれて、淡インクの量の増加の割合(グラフの傾き)が次第に減少して0となり(淡インクの量が最高値をとる)、その後、淡インクの量の減少の割合(グラフの傾き)が次第に増加していく(いわば曲線状のグラフ)ようにすることも考えられる。
【0060】
しかし、本実施形態のように、淡インク量水平領域(図3参照)を設けるようにすれば、淡インクの量がある一つの階調でのみ最高値をとる場合よりも、淡インク量の減り方が遅く、インク量が増え、インクがカバーする部分の面積が多くなり、印刷ムラを抑制できる。
【0061】
また、淡インク量上昇領域(図3参照)があるため、淡インク量が線形インク量よりも急激に増加し、インクがカバーする部分の面積が多くなるため、印刷ムラを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる画像処理制御方法を適用した画像処理システムのブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる画像処理装置の具体的ハードウエア構成例を示す概略ブロック図である。
【図3】濃淡インク使用量記録部20bの記録するLUTをグラフ形式にして表現したものの一例である。
【図4】図3に示すような濃淡のインク量を用いた場合の、濃インク量および淡インク量の総和を示すグラフである。
【図5】16ドットをインクでカバーした状態を示した図であり、淡インクで16ドット全てをカバーした状態(図5(a))、濃インクで8ドットをカバーした状態(図5(b))を示す。
【図6】ドット率記録部20dの記録するLUTをグラフ形式にして表現したものの一例である。
【図7】淡インクドット率決定部20eによるドット発生率の決定結果を示した図である。
【図8】 濃インクドット率決定部20fによるドット発生率の決定結果を示した図である。
【符号の説明】
10 画像入力装置
17b カラープリンタ
20 画像処理装置
20a 色変換部
20b 濃淡インク使用量記録部
20c 濃淡インク使用量決定部
20d ドット率記録部
20e 淡インクドット率決定部
20f 濃インクドット率決定部
20p インク使用量記録部
20q インク使用量決定部
20r ドット率決定部
Claims (2)
- 少なくとも一つの色相につき濃度の異なる二種類以上のインクを使用して印刷を行う場合におけるインクの使用量を決定するための画像処理装置であって、
画素ごとの階調画像データと各種のインクの使用量とを対応付けて記録し、その記録内容は、前記インクの使用量の総和が、前記階調画像データの階調のほぼ全域において、インクの使用量の総和を階調に比例させた線形インク量を超えるようなものである濃淡インク使用量記録手段と、
前記階調画像データを受け、前記濃淡インク使用量記録手段の記録内容に基づき、前記階調画像データに対応した前記インクの使用量を決定する濃淡インク使用量決定手段と、
を備え、
前記濃淡インク使用量記録手段における記録内容が、ある一つの色相について使用される濃度の異なる二種類以上の前記インクの内で最も淡い最淡インクの量が前記階調画像データの階調の増加と共に減少する最淡インク量減少領域を含み、
前記最淡インク量減少領域における前記最淡インクの量の最小値は0を超え、
ある一つの色相について使用される濃度の異なる二種類以上の前記インクの内で最も濃い最濃インクのみで表現できる濃度は、前記階調画像データの最高階調に対応する濃度未満であり、
前記インクの使用量に対応付けて、小ドット、中ドットおよび大ドットのドット発生率を記録するドット率記録手段を備え、
前記インクの使用量が0から100までの値をとり、0<A<B<100であるとしたときに、
小ドットのドット発生率は、前記インクの使用量が0からAになるまでは前記インクの使用量に比例し、前記インクの使用量がAになってからは一定となり、
中ドットのドット発生率が、前記インクの使用量が0からAになるまでは0であり、AからBになるまでは前記インクの使用量の増加に対して一定の割合で増えつづけ、前記インクの使用量がBになってからは一定となり、
大ドットのドット発生率が、前記インクの使用量が0からBになるまでは0であり、Bから100になるまでは前記インクの使用量の増加に対して一定の割合で増えつづける、
画像処理装置。 - 請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記濃淡インク使用量決定手段が決定した最淡インクの使用量を受け、前記ドット率記録手段の記録内容に基づき、ドットの発生率を決定する最淡インクドット率決定手段と、
前記濃淡インク使用量決定手段が決定した最濃インクの使用量を受け、前記ドット率記録手段の記録内容に基づき、ドットの発生率を決定する最濃インクドット率決定手段と、
を備えた画像処理装置。
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