JP4726839B2 - 触媒体および触媒構造体、ならびにこれらを備えた空気調和機 - Google Patents

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Description

本発明は、一酸化炭素ガスを効率よく除去する触媒体および触媒構造体、ならびにこれらを備えた空気調和機に関する。
一酸化炭素は、人体に極めて有毒であることが知られている。ところで近年、室内の気密性が高くなっており、換気が十分に行われない住宅の室内では、灯油・ガス等を用いた暖房・調理機器使用時、あるいは喫煙時に、室内の一酸化炭素の濃度が10ppm(自然環境ではおおむね0.01〜0.2ppm)を越えることがある。
一酸化炭素は、酸素よりも約250倍も赤血球中のヘモグロビンと結合しやすい。また、ヘモグロビンの4つある結合サイトのうち1つが一酸化炭素と結合したカルボキシヘモグロビンは、他のサイトに結合した酸素を放出しにくいという性質を持つ。よって、微量の一酸化炭素が人体に取り込まれた場合でも、酸素運搬能力が減少して、人体が酸素欠乏状態になる。この結果、血液中の赤血球が増加する多血症(赤血球増加症)状態になり、血栓等が生じやすくなる。
一般に、一酸化炭素濃度が200ppm以上となると、2〜3時間で前頭部に軽度の頭痛といった一酸化炭素中毒症状が生じるが、この濃度未満であっても、上述したように人体が酸素欠乏状態となる。また、一酸化炭素は、血管内皮を障害するとともに、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)を破壊するため、動脈硬化を促進させることが知られている。このように、中毒になる濃度以下であっても、一酸化炭素は循環器系や血管系の健康障害をひきおこす危険性がある。このようなことから、一酸化炭素を常温室内環境で迅速に除去することが強く望まれている。
従来、一酸化炭素除去用の触媒として、MnO2−CuO系のホプカライト触媒が利用されていた。しかし、このホプカライト触媒は、空気中の水分によって、一酸化炭素を酸化除去する能力が低下してしまうため、通常の室内環境(温度10〜30℃、湿度20〜60%)では長時間使用することができないという問題があった。
ここで、一酸化炭素除去触媒に関する技術としては、特許文献1、2および3が提案されている。
特許文献1は、細孔直径が110Å以下の細孔を実質的に含まないアルミナ担体上に、PtまたはPdとともに、Fe、Co、Ni等を担持させる技術である。この技術によると、耐吸湿性に優れた一酸化炭素除去触媒を提供できるとされる。
この技術では、アルミナ担体の細孔で水分を吸着させ、雰囲気ガス中の水分を除去することにより、水分の触媒への悪影響を防止するのであるが、日本の様な湿度が比較的高い地域で用いる場合には、長時間の使用によりアルミナの水分吸着能力が飽和してしまうため、触媒の活性状態が長く続かないという問題があった。
特許文献2は、ハニカム形状の基体に、親水性のゼオライトを担持させ、更に0.10〜0.20重量%の白金を担持させた触媒を、250℃〜400℃に加熱させて一酸化炭素を除去する技術である。この技術によると、効率的に一酸化炭素を除去できるとされる。
しかし、この技術では、触媒を250〜400℃に加熱しなければならないため、一酸化炭素除去装置の温度が非常に高温となるため、冷却機を取り付けなければ、安全に使用できないという問題があった。
特許文献3は、シリカゲルなどに酸化スズなどを担持したものにPtを担持させ、少量の水を加えることにより一酸化炭素を酸化除去するというものである。
しかし、この技術では、シリカゲルを基材として用いておりPtとの間に酸化スズのコート層を挟んでいるためシリカゲルに吸収した水分を直接反応に用いることが困難であるという問題があった。
特開平1−159058号公報 特開2006−17425号公報 米国特許第4991181号
本発明者らは、上述の課題を解決するために鋭意研究を行なったところ、PtやAu等の触媒微粒子による一酸化炭素等の除去能力が、触媒微粒子近傍の水分量が多いほど高まることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものであって、通常の室内環境で使用する場合においても一酸化炭素等の除去率が高く、且つ使用寿命の長い一酸化炭素などの有害物質を除去することができる触媒体、触媒構造体を提供することを目的とする。
本発明は、吸湿物質に酸化物系セラミックス粉体が分散されてなる吸湿性コート層の表面および/または内部に、触媒微粒子が保持された触媒体に関する。
また、本発明の触媒体において、酸化物系セラミックス粉体は、二酸化チタン粉体または、二酸化チタン粉体と酸化ジルコニウム粉体とを含むことが好ましい。
また、本発明の触媒体において、吸湿物質は、多孔質シリカを含み、多孔質シリカの中に、チタン/珪素のモル比が0.15〜1.2の割合で酸化物系セラミックス粉体が分散されていることが好ましい。
また、本発明の触媒体において、平均細孔径が50nm以下の多孔質シリカを含むことが好ましい。
また、本発明の触媒体において、多孔質シリカは、平均細孔径が0.5nm〜2nmであり、比表面積が650m2/gより大きく1000m2/g以下であることが好ましい。
また、本発明の触媒体において、多孔質シリカは、平均細孔径が2nmより大きく20nm以下であり、比表面積が100〜650m2/gであることが好ましい。
また、本発明は、基体と、基体の壁面上に形成された酸化物系セラミックス粉体が分散されてなる吸湿性を有する吸湿性コート層と、触媒微粒子とを備え、吸湿性コート層は、多孔質シリカを含み、吸湿性コート層の表面および内部に、触媒微粒子が保持された触媒構造体に関する。
また、本発明の触媒構造体において、基体は、ハニカム構造を有するハニカム基体を含むことが好ましい。
また、本発明の触媒構造体において、ハニカム基体は、金属製またはセラミック製のハニカム基体であることが好ましい。
また、本発明の触媒構造体において、触媒微粒子は、Pt、Au、Rh、Ag、Pd、Irからなる群より選択された少なくとも一種以上の金属微粒子であり、且つその平均粒径が10nm以下であることが好ましい。
また、本発明の触媒構造体において、触媒微粒子の濃度が、触媒構造体の容量に対して、0.5〜2.0g/Lであることが好ましい。
また、本発明の触媒構造体において、触媒微粒子は、PtRh、PtRuからなる群より選択された少なくとも一種以上の金属合金微粒子であることが好ましい。
また、本発明は、上述の触媒体、または上述の触媒構造体がフィルタとして備えられた空気調和機に関する。
なお、以下本発明において、有害物質とは、一酸化炭素の他に例えば、トリメチルアミン、ホルムアルデヒド、メチルメルカプタン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アンモニア、一酸化硫黄、硫化水素等を言うものとする。
本発明によると、通常の室内環境においても効率的且つ長寿命に一酸化炭素等の有害物質を酸化除去できる触媒体および触媒構造体を提供できる。
以下、本願の図面において、同一の符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。また、図面における長さ、大きさ、幅などの寸法関係は、図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法を表してはいない。
図1は、本発明における触媒構造体の模式図である。以下、図1を参照して説明する。本発明は、吸湿性コート層20と触媒微粒子14とを備える触媒体30、ならびに基体11と吸湿性コート層20と触媒微粒子14とを備える触媒構造体40に関する。触媒体30は、吸着物質13の中に酸化物系セラミックス粉体12が分散されてなる吸湿性コート層20に、触媒微粒子14が保持された構造を備える。触媒構造体40は、基体としての基体11の上に吸湿性コート層20が塗着され、吸湿性コート層20に触媒微粒子14が保持された構造を備える。また、触媒構造体40においても、触媒微粒子14は、吸湿性コート層20に保持された構造を備える。該保持された構造とは吸湿性コート層20の表面および/または内部に触媒微粒子が担持された構造を示す。ここで、本発明において、吸湿性コート層20の内部に担持されるとは、吸湿性コート層20の表面に形成された細孔(後述する)に触媒微粒子14が担持されている状態をいう。
<触媒体>
第1の本発明は、吸湿物質13の中に酸化物系セラミックス粉体12が分散されてなる吸湿性コート層20に、さらにこれと接して触媒微粒子14を備えた触媒体30である。触媒微粒子14は、例えば、Pt、Au、Rh、Ag、Pd、Irなどを用いることができる。該吸湿物質13には、多孔質シリカの他、例えば、結着剤などその他のものとの混合物を含んでもよい。ただし、吸着物質13としては、多孔質シリカであることが好ましい。多孔質シリカの細孔を制御することにより吸湿性コート層20の特性を操作することができるからである。
該触媒体30の構成によると、まず、吸湿性コート層20が大気中の有害物質、例えば、一酸化炭素ガスや一酸化炭素含有の水分を吸収するので、触媒微粒子14の周囲の水分量が増大する。該触媒微粒子14の周囲の水分により、触媒微粒子14による有害物質、特に一酸化炭素の除去活性が高められるので、どのような室内環境においても高効率で一酸化炭素を除去できる。また、空気中の水分を触媒活性を高めるために用いるので、ホプカライトを用いた従来技術のように、長時間使用しても触媒活性が低下することがない。したがって、長寿命な触媒体30が実現できる。
さらに、本発明において、吸湿性コート層20は酸化物系セラミックス粉体12を備える。酸化物系セラミックス粉体12は、両性酸化物であり、塩基性を有するものであることが好ましい。該塩基性を有する酸化物系セラミックス粉体12が分散されることによって、吸湿性コート層20と、触媒微粒子14との密着性が高まり、触媒微粒子14が凝集するのを防ぐ役割を果たす。そのため、長期間にわたる触媒体30の使用に対する耐性が高まり、触媒体30は長寿命となる。また、吸湿性コート層13と触媒微粒子14との間の相互作用により触媒活性が向上するため室温における一酸化炭素の除去がより効率的になる。
ここで、該相互作用とは、酸化物系セラミックス粉体12が存在することで、触媒微粒子14との界面に位置する触媒金属(例えば白金)の原子がイオン化されて、触媒微粒子14と吸湿性コート層20との密着性が高まる作用のことを示す。そして、該界面において上述した水を触媒とする一酸化炭素等の酸化が生じ、結果として触媒活性が向上する。
<触媒構造体>
第2の本発明は、本発明において基体として、例えばハニカム構造を有する基体11と、基体11の壁面上に形成された酸化物系セラミックス粉体12が分散されてなる吸湿性を有する吸湿性コート層20と、触媒微粒子14とを備えた触媒構造体40である。該触媒構造体40において、吸湿性コート層20には、酸化物系セラミックス粉体12が分散され、吸湿物質13は、多孔質シリカを含み、吸湿性コート層20の表面および内部には、触媒微粒子14が担持されている。本発明における基体11は、吸湿コート層20を保持するものであれば特に形状は限定されず、例えば発泡体状や粉末状(球状、粒状を含む)、繊維状、布状、またはリング状などの形状のものを用いることができるが、ハニカム構造を有するハニカム基体であることが好ましい。これは、ハニカム基体は、一酸化炭素除去等のために一酸化炭素等を含有する空気が通過する時の圧力損失を小さくすることができるためである。該圧力損失の観点から、ハニカム基体のハニカムチャネル径が300μm以上であることが好ましく、0.5〜1.5mmであることが特に好ましい。
なお、触媒構造体40における吸湿性コート層20、触媒微粒子14は、上述した触媒体30のものと同様のものを用いることが可能である。
該基体11は、金属製または、セラミック製であることが好ましい。基体11が金属製の場合、例えば、SUS製である場合、加熱を要する際に熱伝導率が良いために容易に加熱できることから好ましい。
金属製の基体11は、製造が容易であり、製造コストを下げることができる。ただし、金属製の基体11は、一般に表面に凹凸が少なく、吸湿性コート層20との接着性が悪い。そこで、金属製の基体11の表面に不活性処理を施し、微細な凹凸が形成することでアンカー効果を生じさせて、基体11と吸湿性コート層20との接着性が向上させることが好ましい。
セラミック製の基体11は、金属製の基体11と同様に製造が容易である。また、セラミック製の基体11は、セラミック製の基体11自体の表面に凹凸があるので、吸湿性コート層20との接着性がよい。
その他、基体11は、シリカ製であっても良い。製造が容易であり、吸湿性コート層20との接着性がよいためである。
また、吸湿性コート層20は、基体11に好ましくは、1〜30μm、特に好ましくは、1〜20μm塗着されていることが好ましい。
なお、触媒構造体40は、基体11と吸湿性コート層20との間に、粉体アルミナ層などの下地層を備えても良い。
<酸化物系セラミックス粉体>
本発明において、「酸化物系セラミックス」には二酸化チタン、酸化ジルコニウム、シリカ、酸化アルミニウム、酸化セリウムなどが含まれる。ただし、酸化物系セラミックス粉体12として、二酸化チタン粉体または、二酸化チタン粉体と酸化ジルコニウム粉体との混合物を用いることが好ましい。二酸化チタンは、両性酸化物であり塩基性をもつ。したがって、二酸化チタン粉体によって、吸湿性コート層−触媒微粒子間の相互作用がより増強され触媒活性が向上するため室温における一酸化炭素等の除去がより効率的になる。また、酸化ジルコニウムは、両性酸化物であり塩基性をもつ。そして、これらを組み合わせることにより吸湿性コート層−触媒微粒子間の相互作用がより増強され触媒活性が向上するため室温における一酸化炭素等の除去がより効率的になる。
本発明において、吸湿性コート層20における吸湿物質13としての多孔質シリカに対し、モル比として珪素が1に対してチタンまたは、チタンとジルコニウムとのモルの和が0.15〜1.2の割合で酸化物系セラミックス粉体として分散されていることが好ましい。
酸化物系セラミックス粉体12の分散される割合が過小であると、酸化物系セラミックス粉体12が上述したような効果を果たすことが困難になる。他方、酸化物系セラミックス粉体12の分散される割合が1.2を超えると、それ以上割合を増やしても一酸化炭素等の除去効率が上がらなくなる傾向にある。また、触媒構造体40において、基体11との接着性も悪くなる虞がある。
ここで、酸化物系セラミックス粉体12の平均粒径は、特に限定されるものではないが、100nm以下であることが好ましく、30nm以下であることが特に好ましい。これは、酸化物系セラミックス粉体12の平均粒径が100nmを超える場合には、表面積が小さくなり、触媒微粒子と接触する部分が少なくなり性能が上がらなくなる可能性があるためである。
<吸湿物質>
図2は、吸湿性コート層における吸着物質としての多孔質シリカの平均細孔径が、触媒微粒子の平均粒径よりも小さい場合の多孔質シリカの動作を示す模式図であり、図3は、吸湿性コート層における吸着物質としての多孔質シリカの平均細孔径が、触媒微粒子の平均粒径よりも大きい場合の多孔質シリカの細孔を示す模式図である。以下、図2、3を参照して、説明する。
本発明において、吸湿物質13とは、水分を吸着する物質であり、平均細孔径が50nm以下の多孔質シリカを含むことが好ましい。吸湿物質13として、多孔質シリカを用いると、良質な吸湿性コート層20を形成できる。また、吸湿物質13としての多孔質シリカの平均細孔径を50nm以下とすることにより、効率よく水分を多孔質シリカの細孔内に吸着できる。
ここで、本発明において、多孔質シリカの平均細孔径が好ましくは、0.5nm〜2nm、特に好ましくは1〜2nmであり、比表面積が650m2/gより大きく1000m2/g以下、特に好ましくは、650m2/gより大きく800m2/g以下である構成とすることができる。多孔質シリカ13において平均細孔径が2nm以下であるものは、一般にミクロ孔と呼ばれ、このミクロ孔内に一度捕まえた水分は放出されにくいため、触媒微粒子14の近傍に常に水分が存在しやすくなるという利点がある。
このとき、図2に示すような吸着物質13としての多孔質シリカの平均細孔径が、触媒微粒子14の平均粒径よりも小さい場合に含まれる。吸湿性コート層は、多孔質シリカの細孔近傍に触媒微粒子14を担持している。特に平均細孔径が2nm以下のミクロ孔と呼ばれる細孔を有する多孔質シリカは、水分吸着能が極めて高い。このため、どのような湿度環境下においても、雰囲気ガス中の水分を効率よく吸着する。この結果、図2に示すように、触媒微粒子14の周囲には常に水分(H2O)が存在し、この水分によって触媒微粒子の一酸化炭素等を酸化して除去する触媒活性が高められる。
この一方で、多孔質シリカ13におけるミクロ孔において、気体等の分子拡散速度が遅いので、一酸化炭素除去プロセス全体の効率化には不向きとなる可能性がある。
また、本発明において、多孔質シリカの平均細孔径が好ましくは、2nmより大きく20nm以下、特に好ましくは2〜10nmであり、比表面積が好ましくは100m2/g〜650m2/g、特に好ましくは、120〜650m2/gである構成とすることができる。多孔質シリカ13において平均細孔径が2〜50nmであるものは、一般にメソ孔と呼ばれ、高湿時に吸着した水分を低湿時に放出する性質を有し、且つ細孔内にも触媒微粒子14(およそ1〜10nm)を存在させやすいという利点がある。
このとき、図3に示すような吸着物質13としての多孔質シリカの平均細孔径が、触媒微粒子14の平均粒径よりも大きい場合に含まれる。吸湿性コート層は、多孔質シリカの細孔内および細孔近傍に触媒微粒子14を担持している。特に平均細孔径が2〜50nm以下のメソ孔と呼ばれる細孔を有する多孔質シリカは、水分吸着能はミクロ孔よりは劣るものの、高湿時に吸着した水分を低湿時に放出する性質を有する。この結果、図3に示すように、細孔内に担持された触媒微粒子14の周囲には常に水分(H2O)が存在し、また細孔近傍に担持された触媒微粒子14の周囲にはメソ孔内の水分が放出されて供給され、この水分によって触媒微粒子14の一酸化炭素等を酸化して除去する触媒活性が高められる。
この一方で、メソ孔の場合、比表面積がミクロ孔よりも小さくなるため、一酸化炭素等の除去反応場が少なくなり、反応効率が悪くなる可能性がある。
以上のことを考慮して、実際の使用環境に応じて、適宜、多孔質シリカの平均細孔径および比表面積、触媒微粒子の平均粒径を設定することが好ましい。
つまり、常に湿度が低いような環境であればミクロ孔の割合の高い、例えば、孔(ミクロ孔とメソ孔)全体におけるミクロ孔が50%以上、好ましくは60%以上の多孔質シリカを用いることが好ましい。一方、日本のように湿度が変化するような環境であればメソ孔の割合の高い、例えば孔全体におけるメソ孔が50%以上、好ましくは60%以上の多孔質シリカを用いることが好ましい。また、ミクロ孔、メソ孔を30〜70%の割合で併せ持つ多孔質シリカであれば、あらゆる湿度環境に対応できる。
本発明においては、ミクロ孔を有する多孔質シリカ、またはメソ孔を有する多孔質シリカのどちらを用いても、空気中の水分を積極的に利用するため、水分の飽和によって触媒活性が低下することがなく、長期間にわたって一酸化炭素を酸化除去できる。
<触媒微子>
本発明において、触媒微粒子は、触媒活性の面から、Pt、Au、Rh、Ag、Pd、Irからなる群より選択された少なくとも一種以上の金属微粒子である。触媒微粒子の平均粒径は、触媒微粒子の表面積が大きいほど、反応面積が大きくなるので、平均粒径を10nm以下とすることが好ましく、2〜5nmとすることが特に好ましい。
また、触媒微粒子は、PtRh、PtRuからなる群より選択された少なくとも一種以上の金属合金微粒子であることが特に好ましい。合金化により一酸化炭素への耐性が高まるためである。
本発明の触媒構造体に対する触媒微粒子の濃度は、触媒構造体全体の容量に対して、好ましくは0.5〜2.0g/L、特に好ましくは、1.0〜2.0g/Lである。触媒微粒子の濃度が0.5g/L未満であると、十分に一酸化炭素等を除去することができない。他方、触媒微粒子の濃度が2.0g/Lを超えると、触媒微粒子を増やしても一酸化炭素等の除去効率が上がらなくなるとともに、コスト高になるためである。
<触媒構造体の製造方法>
以下に、触媒構造体の製造方法について、吸湿物質として多孔質シリカを用い、酸化物系セラミックス粉体として二酸化チタン粉体を用いて説明するが、これに限定されるものではない。
≪ケイ酸ナトリウム溶液の調整≫
まず、ビーカに脱イオン化した蒸留水を入れ、これにケイ酸ナトリウム溶液を溶解させ、濃度が0.8〜1.5mol/Lのケイ酸ナトリウム水溶液を作製する。この時のケイ酸ナトリウム水溶液の温度は20〜30℃であることが好ましい。
≪強酸性イオン交換樹脂の添加≫
次に、ケイ酸ナトリウム水溶液に、pH1が2.68〜3.60になるまで、H+型強酸性イオン交換樹脂を加える。ここで、pH1とは、強酸性イオン交換樹脂によるイオン交換終了時の水溶液のpHのことをいい、該pHによってナトリウムイオンと交換されたH+とOH-との中和反応の進行度、つまりナトリウムイオンの交換度合いを認識することができる。このH+型強酸性イオン交換樹脂としては、蒸留水に24時間以上浸したH+型強酸性イオン交換樹脂を使用することが好ましく、蒸留水に浸したH+型強酸性イオン交換樹脂を60メッシュ以下のふるいにかけて分別し、ふるいを通ったものを使用することがより好ましい。
≪強酸性イオン交換樹脂の除去≫
次に、pH1が2.68〜3.60にした時点で、H+型強酸性イオン交換樹脂を加えるのを止め、ふるいでビーカ中の強酸性イオン交換樹脂を取り除いてケイ酸ナトリウム水溶液を調整する。
≪重合≫
次に、強酸性イオン交換樹脂を取り除くと、重合(ゲル化)が進行し、これに伴いpH1は少しずつ増加する。
≪二酸化チタン粉体の添加≫
次に、該ケイ酸ナトリウム水溶液に二酸化チタン粉体を適量加え、超音波などを用いて二酸化チタン粉体を拡散させる。
≪アンモニアの添加≫
次に、このケイ酸ナトリウム水溶液に、pH2が8.00〜9.30になるまで、NH3水溶液を加える。ここで、pH2とは、NH3水溶液添加後の水溶液のpHのことをいい、該pHによって吸湿性コート層の細孔径を調整することができる。pH2が8.00〜9.30になった時点で、NH3水溶液を加えるのを止めて、シリカゾル溶液を調整する。
≪シリカゾル溶液への浸漬≫
次に、調整した該シリカゾル溶液に、金属製、またはセラミック製のハニカム基体を、5〜25℃の条件で5〜10秒間浸漬し、この後該ハニカム基体の水分を乾燥除去する。この浸漬・乾燥サイクルを5〜10回繰り返す。なおこのとき、ハニカム基体のチャネル径は0.5〜1.5mmであることが好ましい。
≪吸湿性コート層の細孔の拡大≫
シリカを飽和させた、濃度10%以上で20℃〜90℃のNH3水溶液に2〜50時間浸漬させることにより、吸湿性コート層における多孔質シリカの細孔径を拡大させる。本工程によって、多孔質シリカの表面積を調整することが可能である。この工程は、主にメソ孔を有する吸湿性コート層を作製する場合に必要であり、主にミクロ孔を有する多孔質シリカを作製する場合には、省略してよい。
≪吸湿性コート層の作製≫
この後、20℃〜30℃、湿度30〜60%の雰囲気中に0.1〜1時間放置する。放置後、100〜130℃の恒温槽の中に1〜2時間放置してエージングして、金属ハニカム11の上に多孔質シリカと二酸化チタンとを含む吸湿性コート層を形成する。
≪触媒微粒子の担持≫
この様にして作製した吸湿性コート層の上に、平均粒径が1〜10nmのPt、Au、Rh、Ag、Pd、Ir等の触媒微粒子を0.5g/L〜2g/Lの割合で担持させる。担持方法は、Pt等の触媒微粒子を含んだ溶液に、吸湿性コート層を形成した後のハニカム基体を浸漬し、乾燥することにより行なう。担持量の調整は、Pt等の超微粒子を含んだ溶液のPt等の濃度を変更することにより行なう。このときの該溶液の溶媒としては、水、アルコール等を用いることができる。
ここで、本発明における吸湿性コート層、特に多孔質シリカの比表面積の値は、自動ガス吸着装置(日本ベル社製、BELSORP MINI)を用いて窒素吸脱着等温線を測定し、得られた吸脱着等温線に対しBETプロットを適用し解析して、BET比表面積(m2/g)を算出することで得ることができる。
また、吸湿性コート層、特に多孔質シリカの平均細孔径の値は、窒素吸脱着曲線にt−plot法を適用してメソ細孔容量を求め、以下の数式(1)により求めることができる。
p=4×Vmes/SBET 数式(1)
ここで、dpは平均細孔径、Vmesはメソ細孔容量、SBETはBET比表面積を示す。
<空気調和機>
第3の本発明は、触媒体および/または触媒構造体がフィルタとして用いられてなる空気調和機に関する。図4は、本発明における空気調和機の一形態としての概略の模式図である。なお、この図において、内部構造を示すため一部破断して図示している。
ここで、空気調和機100とは、一酸化炭素除去装置を含むのは勿論のこと、空気清浄機、除湿機、加湿器、エアーコンディショナー等をも含んだものを意味する。
図4に示すように、空気調和機100は、外気を空気調和機100内部に取り入れる吸気口1と、外気を空気調和機100内部に取り入れ、外部へと送り出す送風手段2と、送風手段2の送風量等を制御する制御手段5と、フィルタ10と、フィルタ10を通過した気体を空気調和機100外部に送り出す排気口8とを備える。空気調和機100を電気で駆動する場合、電源4と、スイッチ9とを更に備える。
フィルタ10としては、ハニカム基体上に粉体アルミナ層が形成し、この粉体アルミナ層上に吸湿性コート層が形成され、この吸湿性コート層上に、Pt、Au、Rh、Ag、Pd、Ir等の超微粒子が担持されている構造の触媒構造体7が備えられている。
吸気口1には、空気調和機100に空気を取り入れるための開口が形成されている。吸気口1には、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタなどの防塵用フィルタが設けられていてもよい。
送風手段2としては、プロペラ状の送風機、あるいは圧力式ノズルなどのように空気を圧縮して空気を送り出す手段を用いることができる。
排気口8には、フィルタ10を通過した空気を排出するための開口が形成されている。
スイッチ9は、制御手段5と電気的に接続されている。なお、スイッチ9は、制御部5がスイッチ機能を有する電源4と接続されている場合には、省略することができる。
フィルタ10は、触媒構造体7を備えているため、室温25℃前後、湿度50%前後の室内環境で一酸化炭素等を酸化除去する。
そして、一酸化炭素ガス等が除去された空気が、排気口8から排出される。
[実施例]
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
図1を参照して、実施例1における一酸化炭素等を除去する触媒構造体40の構造の概要について説明する。
実施例1にかかる触媒構造体40は、図1に示すように、金属製の基体11としてのハニカム基体、金属製の基体11の上に形成された二酸化チタン粉体12が分散された、平均細孔径が20nm以下の吸湿物質13としての多孔質シリカを備える吸湿性コート層20と、吸湿性コート層20上に担持されたPtからなる平均粒径5nmの触媒微粒子14とを備えたものとした。
以下の工程で、触媒構造体40を作製した。なお、以下の説明では、図1を参照しない。
≪ケイ酸ナトリウム溶液の調整≫
まず、ビーカに脱イオン化した蒸留水を入れ、これにケイ酸ナトリウム溶液を溶解させ、濃度Csが1.0mol/Lのケイ酸ナトリウム水溶液を作製した。該ケイ酸ナトリウム水溶液の温度は25℃とした。
≪強酸性イオン交換樹脂の添加≫
上述のケイ酸ナトリウム水溶液に、pHが、pH1:2.80になるまで、H+型強酸性イオン交換樹脂を加えた。このH+型強酸性イオン交換樹脂としては、蒸留水に24時間以上浸し、60メッシュ以下のふるいにかけて分別し、ふるいを通ったものを使用した。
≪強酸性イオン交換樹脂の除去≫
pH1:2.80となった時点で、H+型強酸性イオン交換樹脂を加えるのを止め、ふるいでビーカ中のH+型強酸性イオン交換樹脂を取り除いた。
≪重合≫
強酸性イオン交換樹脂を取り除くと、重合(ゲル化)が進行し、これに伴いpH1は少しずつ増加していった。
≪二酸化チタン粉体の添加)
強酸性イオン交換樹脂を取り除いた溶液に、二酸化チタン粉体をチタン/珪素のモル比が0.15の割合になるよう加え、超音波などを用いて粉体を溶液中に拡散させた。
≪アンモニアの添加≫
次に、このケイ酸ナトリウム水溶液に、pHが、pH2:8.15になるまで、NH3水溶液を加える。pH2:8.15になった時点で、NH3水溶液を加えるのを止めて、シリカゾル溶液を調整した。
≪シリカ溶液への浸漬≫
上述のように調整したシリカゾル溶液に、金属製のハニカム基体を、25℃の条件で5秒間浸漬し、この後水分を乾燥除去した。この浸漬・乾燥サイクルを5回繰り返した。
≪吸湿性コート層の細孔の拡大≫
ここで、実施例1においては、省略したが、主にメソ孔を有する吸湿性シート層を作製する場合には、本「シリカの細孔の拡大」工程が必要である。後述する他の実施例においては、本工程を組み込んで検討した。本工程では、シリカを飽和させた、濃度D(10%以上)のNH3水溶液に温度T1(20℃〜90℃)でtNH3(2〜50時間)浸漬させることにより、多孔質シリカの細孔径を拡大させた。
≪吸湿性コート層の作製≫
25℃、湿度50%の雰囲気中にTpri:1時間放置した。放置後、T:130℃の恒温槽の中にTsec:1時間放置してエージングして、金属製のハニカム基体の上に多孔質シリカ13と二酸化チタン粉体とからなる吸湿性コート層を形成した。
≪触媒微粒子の担持≫
この様にして作製した吸湿性コート層の上に、平均粒径が5nmのPtの触媒微粒子を0.5g/L割合で担持させた。担持方法は、吸湿性コート層20を形成後のハニカム基体を、Ptの触媒微粒子を含んだ溶液に浸漬し、乾燥することにより行なった。担持量の調整は、Ptの触媒微粒子を含んだ溶液のPtの濃度を変更することにより行なう。このときの該溶液の溶媒としては、脱イオン化した蒸留水を用いた。
なお、具体的な作製条件は、ケイ酸ナトリウム溶液としては、和光純薬工業社製ケイ酸ナトリウム溶液を用い、H+型強酸性イオン交換樹脂としては、ローム・アンド・ハース社製アンバーライトIR120−H−AGを用い、二酸化チタン粉体としては日本アエロジル社製P−25を用い、金属製のハニカム基体としてはSUS(ステンレススチール)ハニカム(ハニカムチャネル径:300μm以上)を用いた。
本発明において、Csはケイ酸ナトリウム水溶液の濃度、pH1は強酸性イオン交換樹脂によるイオン交換終了時の水溶液のpH、pH2はNH3水溶液添加後の水溶液のpH、tpriはハニカム基体をシリカゾルに浸漬した後にアンモニア水に浸漬することなく恒温槽に投入するまでのエージング時間、DはSUSハニカムをシリカゾルに浸漬した後に浸漬する水溶液のNH3濃度、T1はNH3水溶液に浸漬するときの温度、tNH3はNH3水溶液に浸漬する時間、T2は恒温槽の温度、tsecは恒温槽中でのエージング時間を示す。
上述の工程によって、表1に示すような触媒構造体を得た。実施例1の触媒構造体において、吸湿性コート層は、酸化物系セラミックス粉体として二酸化チタン粉体と吸湿物質として多孔質シリカを備えるものであった。該吸湿性コート層において、酸化チタン粉体は、多孔質シリカの中にチタン/珪素のモル比が0.15分散されていた。また、吸湿性コート層は、比表面積が617m2/gであり、平均細孔径が2.39nmであり、層厚は1.55μmであった。また、実施例1の触媒構造体は、吸湿性コート層の表面に、触媒微粒子としてのPtを担持していた。
<実施例2〜10>
実施例1において記載した方法に従って表1に記載の製造条件で触媒構造体を作製した。また、表1に、実施例1〜10の触媒構造体における吸湿性コート層の比表面積、平均細孔径および層厚などを示している。
実施例2、3は、実施例1と比較すると、吸湿性コート層に備える二酸化チタン粉体の分量が異なる。
実施例4〜6は、それぞれ実施例1〜3と比較すると、製造過程におけるケイ酸ナトリウム水溶液の濃度Csが異なる。したがって、実施例4〜6における触媒構造体は、それぞれ実施例1〜3の触媒構造体と比較して、吸湿性コート層の層厚が異なる。
実施例7〜9は、それぞれ実施例1〜3と比較すると、製造過程において「吸湿性コート層の細孔の拡大」工程を経ている点が異なる。したがって、実施例7〜9における触媒構造体は、それぞれ実施例1〜3の触媒構造体と比較して、吸湿性コート層の平均細孔径の値が大きい。
実施例10は、製造過程において、二酸化チタン粉体に加え、酸化ジルコニウム粉体をモル比として珪素が1に対してジルコニウムが0.6の割合で分散させた。したがって、実施例10の触媒構造体は、酸化物系セラミックス粉体として二酸化チタン粉体と酸化ジルコニウム粉体とを備えたものとした。酸化ジルコニウム粉体としては、具体的には、日本電工社製PCS60を用いた。
<比較例1〜3>
実施例1において記載した方法に従って表1に記載の製造条件でサンプルを作製した。比較例においては、吸湿性シート層に酸化物系セラミックス粉体が分散されていない。また、表1に、比較例1〜3の触媒構造体の吸湿性コート層の比表面積、平均細孔径および層厚などを示している。
比較例1のサンプルは、実施例1〜3の触媒構造体と比較すると、吸湿性コート層に備える二酸化チタン粉体を含まない他は、同様の製造工程で作製された。
比較例2のサンプルは、実施例4〜6の触媒構造体と比較すると、吸湿性コート層に備える二酸化チタン粉体を含まない他は、同様の製造工程で作製された。
比較例3のサンプルは、実施例7〜9の触媒構造体と比較すると、吸湿性コート層に備える二酸化チタン粉体を含まない他は、同様の製造工程で作製された。
ここで、比表面積SBET(m2/g)は、自動ガス吸着装置(日本ベル社製、BELSORP MINI)を用いて窒素吸脱着等温線を測定し、得られた吸脱着等温線に対しBETプロットを適用し解析して算出した。そして、窒素吸脱着曲線にt−plot法を適用して吸湿性コート層20の平均細孔径dpを求めた。
Figure 0004726839
実施例1〜10で作製された触媒構造体における吸湿性コート層の多孔質シリカの平均細孔径dpは、2.39〜8.83nmであり、BET比表面積SBETは、101〜617m2/gであり、層厚dcは1.12〜4.52μmであった。
<実施例11>
実施例11における触媒構造体は、金属製のハニカム基体の代わりにセラミック製のハニカム基体を用いた以外は、実施例1と同様の製造条件で作製された。したがって、実施例1の触媒構造体と実施例11の触媒構造体とを比較すると、比表面積、平均細孔径および層厚の値は、ほとんど相違ないものであった。なお、該セラミック製のハニカム基体には表面処理を施さなかった。セラミック製のハニカム基体としては、日本ガイシ社製ハニセラムを用いた。
<実施例12〜20>
実施例11において記載した方法に準じて表2に記載の製造条件で触媒構造体を作製した。また、表2に、実施例11〜20の触媒構造体の吸湿性コート層の比表面積、平均細孔径および層厚などを示している。
実施例12、13の触媒構造体は、実施例11の触媒構造体と比較すると、吸湿性コート層に備える二酸化チタン粉体の分量が異なる。
実施例14〜16の触媒構造体は、それぞれ実施例11〜13の触媒構造体と比較すると、製造過程におけるケイ酸ナトリウム水溶液の濃度Csが異なる。したがって、実施例14〜16の触媒構造体は、それぞれ実施例11〜13の触媒構造体と比較して、吸湿性コート層の層厚が異なる。
実施例17〜19の触媒構造体は、それぞれ実施例11〜13の触媒構造体と比較すると、製造条件において「吸湿性コート層の細孔の拡大」工程を経ている点が異なる。したがって、実施例17〜19の触媒構造体は、それぞれ実施例11〜13の触媒構造体と比較して、吸湿性コート層の平均細孔径の値が大きい。
実施例20は、製造過程において、二酸化チタン粉体に加え、酸化ジルコニウム粉体をモル比として珪素が1に対してジルコニウムが0.6の割合で分散させた。したがって、実施例20の触媒構造体は、酸化物系セラミックス粉体として二酸化チタン粉体と酸化ジルコニウム粉体とを備えたものとした。酸化ジルコニウム粉体としては、具体的には、日本電工社製PCS60を用いた。
<比較例4〜6>
実施例11において記載した方法に準じて表2に記載の製造条件でサンプルを作製した。比較例においては、吸湿性シート層に酸化物系セラミックス粉体が分散されていない。また、表2に、比較例4〜6の触媒構造体の吸湿性コート層の比表面積、平均細孔径および層厚などを示している。
比較例4におけるサンプルは、実施例11〜13の触媒構造体と比較すると、吸湿性コート層に備える二酸化チタン粉体を含まない他は、同様の製造工程で作製された。
比較例5におけるサンプルは、実施例14〜16の触媒構造体と比較すると、吸湿性コート層に備える二酸化チタン粉体を含まない他は、同様の製造工程で作製された。
比較例6におけるサンプルは、実施例17〜19の触媒構造体と比較すると、吸湿性コート層に備える二酸化チタン粉体を含まない他は、同様の製造工程で作製された。
Figure 0004726839
<吸湿性の検討>
表3に実施例2における触媒構造体の吸湿性コート層と二酸化チタン粉体(表中TiO2微粒子と記載)自体との水蒸気吸着量と水蒸気相対圧との関係を示す。
Figure 0004726839
表3において、Vpは吸湿性コート層20の細孔容積、Vmは水蒸気吸着量を液体に換算したもの、P/P0は水蒸気の相対圧である。実施例2における吸湿性コート層の容積に対する水蒸気吸着量は、二酸化チタン粉体の容積に対する水蒸気吸着量に比べて大きかった。したがって、二酸化チタン粉体単独よりも、多孔質シリカと二酸化チタン粉体とを混合した吸湿性コート層のほうが、吸湿性が高いという効果が示された。したがって、二酸化チタン粉体を単独で触媒として用いるより、二酸化チタン粉体を本発明の吸湿性コート層に担持した方が、二酸化チタン粉体の周囲に水分を存在させることが可能であることが示された。
<ガス湿度とCO除去率との関係>
室温(25℃)において、実施例3、9および10の触媒構造体および比較例1および3におけるサンプルについて、異なるガス湿度条件下におけるCOの酸化で発生するCO2濃度とCOの除去率とを測定した。各ガス湿度条件において、CO濃度は200ppm、空間速度(SV値)は61000/hrとした。この結果を表4に示す。
Figure 0004726839
なお、実施例3の触媒構造体は、ミクロ孔を有する多孔質シリカを備えるものであり、実施例9の触媒構造体は、メソ孔を有する多孔質シリカを備えるものであった。
表4から示されるように、実施例3、9および10の触媒構造体ならびに比較例1および3におけるサンプル全てにおいて、ガス湿度が高いほどCO除去率が高くなる傾向にあることが示された。また、実施例3、9および10の触媒構造体のほうが、比較例1および3におけるサンプルよりも、低いガス湿度においても高いCO除去率が得られることが示された。
以上より、次のように考えられる。触媒微粒子としてのPtの一酸化炭素酸化の除去触媒活性は、Ptの周囲に水分が多いほど高まる。実施例3、9および10の触媒構造体では、Ptは吸湿性シート層上に担持されており、また、二酸化チタン粉体上にも担持されている。よって、実施例3、9および10の触媒構造体のほうが、比較例1および3でにおけるサンプルよりも高いPtの触媒活性を示すため、CO除去率が高まった。
また、ミクロ孔を有する多孔質シリカを備えた実施例3の触媒構造体と、メソ孔を有する多孔質シリカを備えた実施例9の触媒構造体との間に、一酸化炭素除去性能について有意な差がないことがわかった。
また、触媒微粒子として、Ptに代えて、Au、Rh、Ag、Pd、Ir、PtRu、PtRhを用いた場合にも、上記と同様の結果が得られた。
また、実施例13、19および20の触媒構造体に対して、同様の方法でガス湿度とCO除去率との関係について検討したところ、実施例3、9および10の触媒構造体と同様の結果が得られた。
<空間速度とCO除去率との関係>
実施例3、9および10の触媒構造体ならびに比較例1および3におけるサンプルについて、異なる空間速度(SV値)でCOを除去する実験を行なった。SV値と、CO除去率との関係を表5に示す。なお、環境温度は、25℃、湿度50%とした。
Figure 0004726839
表5からわかるように、実施例3、9および10の触媒構造体のほうが、比較例1および3におけるサンプルよりも、どのSV値においても高いCO除去率が得られることが分かった。また、SV値が大きくなるに従い、比較例1および3におけるサンプルでは大きく一酸化炭素(CO)除去率が低下しているが、実施例3、9および10のいずれの触媒構造体でもSV値が大きくなっても、一酸化炭素(CO)除去率に大きな変化が見られないことがわかった。
以上より、次のように考えられる。比較例1および3におけるサンプルでは、Ptの触媒活性が低いため、空間速度(SV値)が高まるに伴い、除去できない一酸化炭素量が増大する。他方、実施例における触媒構造体では、水分によってPtの触媒活性が高められているため、空間速度(SV値)が高くなっても、高い一酸化炭素除去率が得られる。
また、ミクロ孔を有する多孔質シリカを備えた実施例3の触媒構造体と、メソ孔を有する多孔質シリカを備えた実施例9の触媒構造体との間に、一酸化炭素除去性能について有意な差がないことがわかった。
なお、触媒微粒子として、Ptに代えて、Au、Rh、Ag、Pd、Ir、PtRu、PtRhを用いた場合にも、上記と同様の結果が得られた。
また、実施例13、19および20の触媒構造体に対して、同様の方法でガス湿度とCO除去率との関係について検討したところ、実施例3、9および10の触媒構造体と同様の結果が得られた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上説明したように、本発明によると、湿度条件にかかわらず、長時間にわたって一酸化炭素を除去可能な一酸化炭素除去のための触媒体および触媒構造体ならびにこれらを用いた空気調和機を提供できる。
本発明における触媒構造体の模式図である。 吸湿性コート層における吸着物質としての多孔質シリカの平均細孔径が、触媒微粒子の平均粒径よりも小さい場合の多孔質シリカの細孔を示す模式図である。 吸湿性コート層における吸着物質としての多孔質シリカの平均細孔径が、触媒微粒子の平均粒径よりも大きい場合の多孔質シリカの細孔を示す模式図である。 本発明における空気調和機の一形態としての概略の模式図である
符号の説明
1 吸気口、2 送風手段、4 電源、5 制御手段、7 触媒構造体、8 排気口、9 スイッチ、10 フィルタ、11 基体、12 酸化物系セラミックス粉体、13 吸湿物質、14 触媒微粒子、20 吸湿性コート層、30 触媒体、40 触媒構造体、100 空気調和機。

Claims (15)

  1. 吸湿物質に酸化物系セラミックス粉体が分散されてなる吸湿性コート層の表面および/または内部に、触媒微粒子が保持されており、
    一酸化炭素ガスを除去するための触媒体。
  2. 前記酸化物系セラミックス粉体は、二酸化チタン粉体を含む請求項1に記載の触媒体。
  3. 前記酸化物系セラミックス粉体は、二酸化チタン粉体と酸化ジルコニウム粉体とを含む請求項1に記載の触媒体。
  4. 前記吸湿物質は、多孔質シリカを含み、
    前記多孔質シリカの中に、
    チタン/珪素のモル比が0.15〜1.2の割合で酸化物系セラミックス粉体が分散された請求項2または3に記載の触媒体。
  5. 平均細孔径が50nm以下の前記多孔質シリカを含む請求項に記載の触媒体。
  6. 前記多孔質シリカは、平均細孔径が0.5nm〜2nmであり、比表面積が650m2/gより大きく1000m2/g以下である請求項5に記載の触媒体。
  7. 前記多孔質シリカは、平均細孔径が2nmより大きく20nm以下であり、比表面積が100〜650m2/gである請求項5に記載の触媒体。
  8. 基体と、
    前記基体の壁面上に形成された酸化物系セラミックス粉体が分散されてなる吸湿性を有する吸湿性コート層と、
    触媒微粒子とを備え、
    前記吸湿性コート層は、多孔質シリカを含み、
    前記吸湿性コート層の表面および内部に、前記触媒微粒子が保持されており、
    一酸化炭素ガスを除去するための触媒構造体。
  9. 前記基体は、ハニカム構造を有するハニカム基体を含む請求項8に記載の触媒構造体。
  10. 前記ハニカム基体は、金属製のハニカム基体である請求項9に記載の触媒構造体。
  11. 前記ハニカム基体は、セラミック製のハニカム基体である請求項9に記載の触媒構造体。
  12. 前記触媒微粒子は、Pt、Au、Rh、Ag、Pd、Irからなる群より選択された少なくとも一種以上の金属微粒子であり、且つその平均粒径が10nm以下である請求項8に記載の触媒構造体。
  13. 前記触媒微粒子の濃度が、触媒構造体の容量に対して、0.5〜2.0g/Lである請求項12に記載の触媒構造体。
  14. 前記触媒微粒子は、PtRh、PtRuからなる群より選択された少なくとも一種以上の金属合金微粒子である請求項8に記載の触媒構造体。
  15. 請求項1〜7のいずれかに記載の触媒体、または請求項8〜14のいずれかに記載の触媒構造体がフィルタとして備えられた空気調和機。
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