JP4725129B2 - 光学素子の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は上記従来技術の課題を解決するものであって、その目的は、樹脂層を有する任意形状の光学素子を短時間で製造できる光学素子の製造方法を提供することである。
(1)第1樹脂層の形成(図1(a)〜(c))
まず、第1の金型11の中心に未硬化の紫外線硬化型樹脂(光学材料樹脂)12を滴下する。この第1の金型11には回折格子を構成する鋸刃状の凹凸が同心円状に形成されている。そして、透光性を有する円形のレンズ基材(透光性基材)13を第1の金型11の上方からセットする。このレンズ基材13はプラスチックまたはガラスで構成され、上記材料を成形型で加圧成形してレンズ作用を有する光学面が形成されている。
そして、図1(b)に示すようにレンズ基材13に紫外線を照射し、紫外線硬化型樹脂12を硬化させる。その後、第1の金型11からレンズ基材13を取り外す(図1(c)参照)。以上で、レンズ基材13の表面に回折格子を構成する第1樹脂層が形成される。
所定の曲面が形成された第2の金型14の中心に未硬化の紫外線硬化型樹脂(光学材料樹脂)15を滴下する。なお、この(2)の工程の紫外線硬化型樹脂15には、上記(1)の紫外線硬化型樹脂12とは屈折率および分散が異なる別の樹脂が使用される。
第1樹脂層を下向きにしたレンズ基材13を第2の金型14の上方からセットし、レンズ基材13を第2の金型14に押しつける(図1(d)参照)。これにより、紫外線硬化型樹脂15はレンズ基材13の第1樹脂層の表面全体にむらなく塗布される。
すなわち、矩形にカットされたレンズ基材を用いる場合、同心円状に押し広げた樹脂がレンズ基材の短手方向端部まで到達すると、それ以後はレンズ基材から樹脂がはみ出して金型側面に回り込みだす。したがって、上記の場合にはレンズ基材の長手方向には十分に樹脂が行き渡らないので樹脂を均一に塗布するのが困難である。しかも、矩形のレンズ基材からはみ出した樹脂は金型側面を著しく汚すこととなる。一方、レンズ基材の形状に合わせた土手を設けたとしても樹脂の膜厚にムラが生じるので、矩形のレンズ基材の全面に均一に樹脂を塗布するのはやはり困難なためである。そのため、本実施形態では、所望の有効径まで樹脂をむらなく塗布するのが容易となるように、レンズの長径方向の長さよりも直径の大きい円形のレンズ基材を用いている。
円形のレンズ16の片面に、ドロスから光学面を保護するための保護被膜17を形成する。保護被膜17の形成方法としては、例えば、保護被膜17のフイルムに粘着剤を塗布してなる粘着テープをレンズ16に貼り付ける方法や、あるいはスプレー等で液状の保護被膜17の材料をレンズ16に塗布して固化させる方法などが挙げられる。
上記(3)の工程の後、保護被膜17の形成面がレーザー入射面の背面側となるように円形のレンズ16をレーザー加工機にセットする(レーザー加工機の図示は省略する)。そして、レンズ16の外周部をレーザー加工機で切断してレンズ16を矩形に加工する(図2(b)参照)。なお、図2(c)に示すように、レーザー加工で発生したドロスは保護被膜17に付着する。
最後に矩形に切断されたレンズ16からドロスの付着した保護被膜17を除去する。以上で、本実施形態の樹脂層を有する矩形レンズが完成する。
以下、本実施形態の効果を説明する。
本実施形態では第1樹脂層および第2樹脂層の形成後に円形のレンズ外周部をレーザー加工で切断するので、研削等の機械加工による場合と比べて樹脂層を有する矩形レンズをきわめて短時間で製造できる。
さらに、本実施形態ではレンズ16のレーザー入射面の背面側に保護被膜17を形成し、レーザー加工後にレンズの光学面からドロスを保護被膜17ごと除去する。そのため、光学面にドロスのない矩形のレンズを得ることができる。
以下、本発明の実施例を説明する。まず、膜厚0.2mm程度の樹脂層を形成した円形のプラスチックレンズ(材質:日本ゼオン製ゼオネックス480R、直径30mm、厚さ約4mm)の片面全体に、デュポン社製カプトンテープ(型番:250F029)を貼付して保護被膜を形成した。そして、保護被膜の面がレーザー入射面の背面側となるように上記のプラスチックレンズをレーザー加工機にセットし、レンズ外周をレーザー加工機で切断して19mm×14mmの矩形にレンズを切り出した。なお、その他の加工条件については以下の通りである。
本実施例ではレンズを上記の形状に約2秒で切り出すことができた。なお、本実施例と同様の条件で機械加工でレンズを円形から矩形に切り出す場合、一般的に1分から2分程度の加工時間が必要となる。
(実施形態の補足事項)
以上、本発明を上記の実施形態によって説明してきたが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、スピンコートで円形のレンズ基材に樹脂をコーティングして樹脂層を形成した後、レンズの外周形状を非円形状に切断する光学素子の製造方法も本発明の技術的範囲に含まれる。
12、15 紫外線硬化型樹脂
13 レンズ基材
16 レンズ
17 保護被膜
Claims (3)
- 外周部が円形状である透光性基材の表面を、未硬化の第1の光学材料樹脂を滴下した第1の金型に押し付けて前記第1の光学材料樹脂を塗布し、該第1の光学材料樹脂を硬化させて回折格子をなす第1樹脂層を形成する工程と、
前記第1樹脂層を有する前記透光性基材を、未硬化の第2の光学材料樹脂を滴下した第2の金型に押し付けて前記第1樹脂層の上に前記第2の光学材料樹脂を塗布し、該第2の光学材料樹脂を硬化させて、前記第1樹脂層および前記第2樹脂層を有する光学素子を形成する工程と、
前記光学素子のレーザー入射面の背面側に保護被膜を形成する工程と、
前記第2樹脂層および前記保護被膜の形成後に前記光学素子の外周部をレーザー加工で切断し、前記光学素子の外周部を非円形状に形成する切断工程と、
前記切断工程の後に前記光学素子から前記保護被膜を除去する工程と、
を有することを特徴とする光学素子の製造方法。 - 前記保護被膜の熱変形温度が前記光学素子の熱変形温度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の光学素子の製造方法。
- 前記保護被膜がポリイミドまたはフッ素樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学素子の製造方法。
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