JP4724967B2 - 探傷結果情報が添付された熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、強磁性体に磁界を印加し、強磁性体から漏洩する磁束を検出することによってそこに内在する介在物のような欠陥を検出する漏洩磁束探傷法を用いた熱延鋼板または脱スケール鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼板のような強磁性体に内在する介在物のような欠陥を検出する方法として、漏洩磁束探傷法が広く用いられている。
【0003】
その一例として、図1に、鋼板検査ラインに組み込まれている磁気センサを利用した磁気探傷装置の構成を示す。製品検査ラインを搬送ローラ2、3によりほぼ一定速度Vで搬送される鋼板1 (強磁性体) の搬送路に沿って、磁気探傷装置4が配置されている。この磁気探傷装置4は、走行状態の鋼板1を磁化する磁化器5と、鋼板1を挟んで磁化器5の対向位置に設置された磁気センサ6と、この磁気センサ6の出力信号を演算処理する信号処理装置7とで構成されている。
【0004】
いま、鋼板1を磁化器5により磁化したとき、鋼板1の内部に欠陥8が存在すると、この欠陥8により鋼板1の内部を通る磁束は乱され、その一部は鋼板1の外部へ漏洩する。この漏洩磁束を磁気センサ6により検出し、その出力信号を信号処理装置7で処理すれば、欠陥8が検出されることになる。また、漏洩磁束の強度は欠陥8の大きさに依存するので、磁気センサ6の出力信号レベルにより欠陥8の大きさも評価できる。
【0005】
一方、磁気センサによって検出される漏洩磁束には、欠陥に起因する漏洩磁束以外に、鋼板における局部的な磁気特性の不均一 (酸化スケールの厚みの不均一や酸化スケール/下地鋼板界面の凹凸など) や表面粗さに起因する漏洩磁束の乱れが含まれる。こうした磁束の乱れは、欠陥の検出という観点からすれば不要な磁束、すなわち雑音となる。
【0006】
この雑音の影響を除くために、欠陥に起因する出力信号 (以下、単に欠陥信号と呼ぶ) と雑音に起因する出力信号 (以下、単に雑音信号と呼ぶ) の異なる周波数特性を利用した以下のような方法が用いられる場合がある。
【0007】
図2に、鋼板を一定速度で走行させて測定した欠陥信号と雑音信号の周波数特性の一例を示す。一般には図のように欠陥信号の方が雑音信号よりも高い周波数分布を持っているので、信号処理装置に遮断周波数fを有するハイパスフィルタを組み込むことにより、欠陥信号を相対的に強調して抽出することが可能になる。なお、漏洩磁束探傷法において欠陥検出能を上げるために適当な定数を持つフィルタを使用する方法は、実開昭61-119760号公報などにも開示されている。
【0008】
しかしながら、図2に示すように、欠陥信号と雑音信号の周波数特性には重なり合う部分があるため、欠陥が微小な場合あるいは雑音が大きい場合は、たとえハイパスフィルターを設けて欠陥信号を周波数弁別しても、欠陥を精度良く検出できる程度に雑音の影響を除くことが困難になる。
【0009】
本発明の目的は、欠陥が微小であったり、不要な磁束、すなわち雑音が大きくても、高精度に欠陥を検出できる漏洩磁束探傷法を用いた熱延鋼板の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1に、本発明は、熱間圧延を行う工程と、漏洩磁束探傷法により欠陥検出を行う工程と、前記検出された欠陥が存在する前記鋼板上の位置を特定する工程とを有する熱延鋼板の製造方法を提供する。前記欠陥検出を行う工程は、圧延後の鋼板に対し、強磁性体を、複数の異なる磁化の強さに順次磁化する工程と、前記各磁化の強さに磁化した前記強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を、磁気センサで検出する工程と、前記各磁化の強さに対応した前記磁気センサの出力信号を、前記強磁性体内の欠陥に起因する信号が強調されるように演算処理する工程とからなる。
【0011】
第2に、本発明は、熱間圧延を行う工程と、圧延後の鋼板に対し、脱スケール処理を行う工程と、前記脱スケール処理後の鋼板に対し、漏洩磁束探傷法により欠陥検出を行う工程と、前記検出された欠陥が存在する前記鋼板上の位置を特定する工程と、を有する熱延鋼板の製造方法を提供する。前記欠陥検出を行う工程は、強磁性体を、複数の異なる磁化の強さに順次磁化する工程と、前記各磁化の強さに磁化した前記強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を、磁気センサで検出する工程と、前記各磁化の強さに対応した前記磁気センサの出力信号を、前記強磁性体内の欠陥に起因する信号が強調されるように演算処理する工程とからなる。
【0012】
第3に、本発明は、鋼板をコイル状に巻いた熱延コイル(脱スケール熱延コイルを含む)を巻き解く工程と、前記巻き解かれた鋼板に対し、漏洩磁束探傷法により欠陥検出を行う工程と、前記検出された欠陥が存在する前記鋼板上の位置を特定する工程と、前記巻き解かれた鋼板を巻き戻す工程と、を有する熱延コイル(脱スケール熱延コイルを含む)の製造方法。前記欠陥検出を行う工程は、強磁性体を、複数の異なる磁化の強さに順次磁化する工程と、前記各磁化の強さに磁化した前記強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を、磁気センサで検出する工程と、前記各磁化の強さに対応した前記磁気センサの出力信号を、前記強磁性体内の欠陥に起因する信号が強調されるように演算処理する工程とからなる。
【0013】
第4に、本発明は、鋼板をコイル状に巻いた熱延コイルを巻き解く工程と、前記巻き解かれた熱延鋼板に対し、脱スケール処理を行う工程と、前記脱スケール処理された熱延鋼板に対し、漏洩磁束探傷法により欠陥検出を行う工程と、前記検出された欠陥が存在する前記脱スケール熱延鋼板上の位置を特定する工程と、前記脱スケール熱延鋼板を巻き戻す工程と、を有する脱スケール熱延コイルの製造方法を提供する。前記欠陥検出を行う工程は、強磁性体を、複数の異なる磁化の強さに順次磁化する工程と、前記各磁化の強さに磁化した前記強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を、磁気センサで検出する工程と、前記各磁化の強さに対応した前記磁気センサの出力信号を、前記強磁性体内の欠陥に起因する信号が強調されるように演算処理する工程とからなる。
【0014】
第5に、前記第1から第4の方法は、さらに、欠陥情報を鋼板上にマーキングする工程を有するのが好ましい。
【0015】
第6に、前記第1から第4の方法は、欠陥情報を示すタグ、シートまたは情報記録媒体を添付する工程を有するのが好ましい。
【0016】
第7に、前記第1から第4の方法は、さらに、欠陥情報を熱延鋼板の使用者に送出する工程を有するのが好ましい。
【0017】
第8に、前記第1から第4の方法は、さらに、欠陥情報を示すシートまたは情報記録媒体を熱延鋼板の使用者に送付する工程を有するのが好ましい。
【0018】
第9に、前記第1から第8の方法の前記強磁性体を磁化する工程において、強磁性体を磁化するときの最大の磁化の強さを、前記強磁性体が磁気飽和する磁化に設定するのが好ましい。
【0019】
第10に、前記第1から第8の方法において、前記漏洩磁束探傷法が、強磁性体の同一位置を2種類の磁化の強さに順次磁化し、大きい磁化の強さに対応した磁気センサの出力信号から小さい磁化の強さに対応した磁気センサの出力信号を重み付けして差し引くことことからなるのが望ましい。
【0020】
第11に、前記第10の方法において、大きい磁化の強さを、強磁性体が磁気飽和する磁化に設定するのが望ましい。
【0021】
第12に、前記第10の方法は、さらに小さい磁化の強さに対応した磁気センサの出力と、大きい磁化の強さに対応した磁気センサの出力の比を演算し欠陥の表面からの深さを算出する工程を有するのが望ましい。
【0022】
第13に、本発明は、熱間圧延を行う工程と、圧延後の鋼板に対し、漏洩磁束探傷法により欠陥検出を行う工程と、前記検出された欠陥が存在する前記鋼板上の位置を特定する工程と、を有する熱延鋼板の製造方法を提供する。前記欠陥検出を行う工程は、強磁性体を、1または複数の磁化器により磁化する工程と、磁化強度が異なる位置に設置した複数の磁気センサに沿って前記強磁性体を移動させながら、前記磁化した強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を、前記磁化強度が異なる位置に設置した複数の磁気センサで順次検出する工程と、前記検出後の磁気センサの出力信号を前記強磁性体内の欠陥に起因する信号が強調されるように演算処理する工程とを有する。
【0023】
第14に、本発明は、熱間圧延を行う工程と、圧延後の鋼板に対し、脱スケール処理を行う工程と、前記脱スケール処理後の鋼板に対し、漏洩磁束探傷法により欠陥検出を行う工程と、前記検出された欠陥が存在する前記鋼板上の位置を特定する工程と、を有する熱延鋼板の製造方法を提供する。前記欠陥検出を行う工程は、強磁性体を、1または複数の磁化器により磁化する工程と、磁化強度が異なる位置に設置した複数の磁気センサに沿って前記強磁性体を移動させながら、前記磁化した強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を、前記磁化強度が異なる位置に設置した複数の磁気センサで順次検出する工程と、前記検出後の磁気センサの出力信号を前記強磁性体内の欠陥に起因する信号が強調されるように演算処理する工程とを有する。
【0024】
第15に、本発明は、鋼板をコイル状に巻いた熱延コイル(脱スケール熱延コイルを含む)を巻き解く工程と、前記巻き解かれた鋼板に対し、漏洩磁束探傷法により欠陥検出を行う工程と、前記検出された欠陥が存在する前記鋼板上の位置を特定する工程と、前記巻き解かれた鋼板を巻き戻す工程と、を有する熱延コイル(脱スケール熱延コイルを含む)の製造方法を提供する。前記欠陥検出を行う工程は、強磁性体を、1または複数の磁化器により磁化する工程と、磁化強度が異なる位置に設置した複数の磁気センサに沿って前記強磁性体を移動させながら、前記磁化した強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を、前記磁化強度が異なる位置に設置した複数の磁気センサで順次検出する工程と、前記検出後の磁気センサの出力信号を前記強磁性体内の欠陥に起因する信号が強調されるように演算処理する工程とを有する。
【0025】
第16に、本発明は、鋼板をコイル状に巻いた熱延コイルを巻き解く工程と、前記巻き解かれた熱延鋼板に対し、脱スケール処理を行う工程と、前記脱スケール処理された熱延鋼板に対し、漏洩磁束探傷法により欠陥検出を行う工程と、 前記検出された欠陥が存在する前記脱スケール熱延鋼板上の位置を特定する工程と、前記脱スケール熱延鋼板を巻き戻す工程と、を有する脱スケール熱延コイルの製造方法を提供する。前記欠陥検出を行う工程は、強磁性体を、1または複数の磁化器により磁化する工程と、磁化強度が異なる位置に設置した複数の磁気センサに沿って前記強磁性体を移動させながら、前記磁化した強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を、前記磁化強度が異なる位置に設置した複数の磁気センサで順次検出する工程と、前記検出後の磁気センサの出力信号を前記強磁性体内の欠陥に起因する信号が強調されるように演算処理する工程とを有する。
【0026】
第17に、前記13〜16の方法は、さらに、欠陥情報を鋼板上にマーキングする工程を有するのが好ましい。
【0027】
第18に、前記13〜16の方法は、さらに、欠陥情報を示すタグ、シートまたは情報記録媒体を添付する工程を有するのが好ましい。
【0028】
第19に、前記13〜16の方法は、さらに、欠陥情報を熱延鋼板の使用者に送出する工程を有するのが好ましい。
【0029】
第20に、前記13〜16の方法は、さらに、欠陥情報を示すシートまたは情報記録媒体を熱延鋼板の使用者に送付する工程を有するのが好ましい。
【0030】
第21に、前記13〜16の方法の前記強磁性体を磁化する工程において、強磁性体を磁化するときの最大の磁化の強さを、前記強磁性体が磁気飽和する磁化に設定するのが好ましい。
【0031】
第22に、前記13〜20の方法において、前記漏洩磁束探傷法が、磁化強度が異なる位置に設置したの2つの磁気センサに沿って強磁性体を移動させながら、前記強磁性体の同一位置での大きい磁化の強さに対応した前記磁気センサの出力信号から小さい磁化の強さに対応した前記磁気センサの出力信号を重み付けして差し引くことからなるのが好ましい。
【0032】
第23に、前記第22の方法において、大きい磁化の強さを、強磁性体が磁気飽和する磁化に設定するのが望ましい。
【0033】
第24に、前記第22の方法は、さらに小さい磁化の強さに対応した磁気センサの出力と、大きい磁化の強さに対応した磁気センサの出力の比を演算し欠陥の表面からの深さを算出する工程を有するのが望ましい。
【0034】
第25に、前記第1〜24の方法において、前記欠陥情報が欠陥の位置情報であるのが好ましい。
【0035】
第26に、前記第1〜24の方法において、前記欠陥情報が欠陥の密度情報であるのが好ましい。
【0036】
第27に、前記第1〜24の方法において、前記欠陥情報が欠陥の平面的な位置であるのが望ましい。
【0037】
第28に、前記第1〜24の方法において、前記欠陥情報が前記欠陥の平面的な位置に加えて欠陥の深さ、大きさ、形状情報の少なくとも一つであるのが望ましい。
【0038】
第29に、本発明は、強磁性体を、複数の異なる磁化の強さに順次磁化する工程と、前記各磁化の強さに磁化した前記強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を、磁気センサで検出する工程と、前記各磁化の強さに対応した前記磁気センサの出力信号を、前記強磁性体内の欠陥に起因する信号が強調されるように演算処理する工程とを有する漏洩磁束探傷法により検出された欠陥情報がマーキングされた熱延鋼板を提供する。
【0039】
第30に、本発明は、強磁性体を、複数の異なる磁化の強さに順次磁化する工程と、前記各磁化の強さに磁化した前記強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を、磁気センサで検出する工程と、前記各磁化の強さに対応した前記磁気センサの出力信号を、前記強磁性体内の欠陥に起因する信号が強調されるように演算処理する工程とを有する漏洩磁束探傷法により検出された欠陥情報を示すタグ、シートまたは情報記録媒体が添付された熱延鋼板を提供する。
【0040】
第31に、第29又は30の熱延鋼板において、前記漏洩磁束探傷法が、強磁性体を磁化するときの最強の磁化の強さを、前記強磁性体が磁気飽和する磁化に設定することが望ましい。
【0041】
第32に、第29又は30の熱延鋼板において、前記漏洩磁束探傷法は、強磁性体の同一位置を2種類の磁化の強さに順次磁化し、大きい磁化の強さに対応した磁気センサの出力信号から小さい磁化の強さに対応した磁気センサの出力信号を重み付けして差し引くのが好ましい。
【0042】
第33に、第32の熱延鋼板において、前記漏洩磁束探傷法は、大きい磁化の強さを、強磁性体が磁気飽和する磁化に設定するのが好ましい。
【0043】
第34に、第32の熱延鋼板において、前記漏洩磁束探傷法は、さらに小さい磁化の強さに対応した磁気センサの出力と、大きい磁化の強さに対応した磁気センサの出力の比を演算し欠陥の表面からの深さを算出するのが好ましい。
【0044】
第35に、本発明は、強磁性体を、1または複数の磁化器により磁化する工程と、磁化強度が異なる位置に設置した複数の磁気センサに沿って前記強磁性体を移動させながら、前記磁化した強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を、前記磁化強度が異なる位置に設置した複数の磁気センサで順次検出する工程と、前記検出後の磁気センサの出力信号を前記強磁性体内の欠陥に起因する信号が強調されるように演算処理する工程とを有する漏洩磁束探傷法により検出された欠陥情報がマーキングされた熱延鋼板を提供する。
【0045】
第36に、本発明は、強磁性体を、1または複数の磁化器により磁化する工程と、磁化強度が異なる位置に設置した複数の磁気センサに沿って前記強磁性体を移動させながら、前記磁化した強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を、前記磁化強度が異なる位置に設置した複数の磁気センサで順次検出する工程と、前記検出後の磁気センサの出力信号を前記強磁性体内の欠陥に起因する信号が強調されるように演算処理する工程とを有する漏洩磁束探傷法により検出された欠陥情報を示すタグ、シートまたは情報記録媒体が添付された熱延鋼板を提供する。
【0046】
第37に、第35又は第36の熱延鋼板において、前記漏洩磁束探傷法が、大きい磁化の強さが強磁性体が磁気飽和する磁化になるよう、磁化器の強度を設定するのが好ましい。
【0047】
第38に、第35又は第36の熱延鋼板において、前記漏洩磁束探傷法が、磁化強度が異なる位置に設置したの2つの磁気センサに沿って強磁性体を移動させながら、前記強磁性体の同一位置での大きい磁化の強さに対応した前記磁気センサの出力信号から小さい磁化の強さに対応した前記磁気センサの出力信号を重み付けして差し引くことが望ましい。
【0048】
第39に、第38の熱延鋼板において、前記前記漏洩磁束探傷法が、大きい磁化の強さが強磁性体が磁気飽和する磁化になるよう、磁化器の強度を設定するのが望ましい。
【0049】
第40に、第38の熱延鋼板において、前記前記漏洩磁束探傷法が、さらに小さい磁化の強さに対応した磁気センサの出力と、大きい磁化の強さに対応した磁気センサの出力の比を演算し欠陥の表面からの深さを算出するのが好ましい。
【0050】
第41に、第29ないし第40の熱延鋼板において、前記欠陥情報が欠陥の位置情報であるのが望ましい。
【0051】
第42に、第29ないし第40の熱延鋼板において、前記欠陥情報が欠陥の密度情報であるのが望ましい。
【0052】
第43に、第29ないし第40の熱延鋼板において、前記欠陥情報が欠陥の平面的な位置であるのが好ましい。
【0053】
第44に、第29ないし第40の熱延鋼板において、前記欠陥情報が前記欠陥の平面的な位置に加えて欠陥の深さ、大きさ、形状情報の少なくとも一つであるのが望ましい。
【0054】
第29ないし第44の熱延鋼板は、熱延コイル、脱スケール熱延鋼板、脱スケール熱延コイルを含む。
【0055】
【発明の実施の形態】
図3に、厚さ1mmの鋼板を表面より歪みが入らないよう化学的に少しずつ削り、雑音信号を測定した結果を示す。図3の雑音信号レベルは、削る前の信号レベルで正規化されている。
【0056】
削り代が多くなるとともに雑音信号レベルは徐々に小さくなり、20μmほどの削り代になったところで削る前のレベルの半分以下になって安定する。この結果は、表面粗さや鋼板製造時に表面から冷却されることにより生じる表層部の磁気特性の不均一の影響が研削によって減少することに基づいていると考えられる。このような現象は、上記の鋼板以外でも確認されており、雑音発生源は主として強磁性体の表層部にあるといえる。 一方、介在物のような欠陥は、一般には、表層部より内部にある場合がほとんどである。
【0057】
我々は、強磁性体の磁気シールド効果が磁化の強さに依存する現象に着目し、鋼板を磁化器により異なる磁界で磁化したとき、磁気センサと欠陥や雑音発生源の間に存在する鋼板自体の磁気シールド効果が欠陥信号や雑音信号に対してどのような影響をおよぼすかを調査した。
【0058】
図4に、磁界の強さと欠陥信号レベルおよび雑音信号レベルとの関係を示す。図4の信号レベルは、2500AT以上の磁界の強さで鋼板を磁気飽和させたときの信号レベルで正規化されている。
【0059】
磁界の強さを、鋼板が磁気飽和する磁界の強さである2500ATより下げていくと、欠陥信号レベルと雑音信号レベルは共に低下するが、その低下の程度は欠陥信号の方が大きいことがわかる。この現象は以下のように理解できる。
【0060】
鋼板を磁気飽和させると、微分比透磁率は1に近くなりその磁気シールド効果がなくなるため、欠陥信号と雑音信号のレベル差は磁気センサと欠陥および雑音発生源の距離の差のみに依存する。一方、磁界の強さを低下させて鋼板を磁気的に未飽和にすると、微分比透磁率は1より大きくなり鋼板の磁気シールド効果が生じる。そのとき、磁気センサからより離れたところにある欠陥に起因する欠陥信号の方が、表層部からの雑音信号に比べ、磁気センサと欠陥の間にある鋼板の厚みが厚いためこの磁気シールド効果の影響を強く受け、信号レベルの低下の度合いが大きくなる。
【0061】
したがって、鋼板のような強磁性体を複数の異なる磁化の強さに磁化し、磁化後の強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を磁気センサで検出し、各磁化の強さに対応した磁気センサの出力信号に対して、比較的レベルの高い雑音信号が相殺され欠陥信号が相対的に強調されるような演算処理を行えば、欠陥が微小であったり、雑音が大きくても、高精度に欠陥を検出できることになる。
【0062】
このとき、複数の異なる磁化の強さのうち、最強の磁化の強さを微分比透磁率が1となる強磁性体が磁気飽和する磁化の強さに設定すると、より効果的である。
【0063】
また、強磁性体を2種類の磁化の強さに磁化し、大きい磁化の強さに対応した磁気センサの出力信号から小さい磁化の強さに対応した磁気センサの出力信号を重みを付けて差し引けば、より簡便で効果的に欠陥信号を強調できる。この場合も、前述のように、大きい磁化の強さを強磁性体が磁気飽和する磁化の強さに設定することが好ましい。加えて、(小さい磁化の強さに対応した磁気センサの出力)/(大きい磁化の強さに対応した磁気センサの出力) を算出すると、値が大きいと表面に近い欠陥、値が小さいと内部の欠陥であることがわかる。適切な関数を用いることで欠陥の表面からの深さを算出できる。
【0064】
図5に、本発明である漏洩磁束探傷法を実施するための磁気探傷装置の一例を示す。この装置では、図1に示した従来の装置に設置されている磁化器5a、磁気センサ6aとは別に、そこから鋼板1の進行方向に距離dだけ離れた位置にもう1組の磁化器5bと磁気センサ6bが設置されている。なお、ここでは磁気センサ6aと6bの鋼板1からの距離、すなわちリフトオフLは同一に設定されている。
【0065】
いま、磁化器5aにより鋼板1を磁気飽和させるように磁化し、磁化器5bにより鋼板1を磁気的に未飽和となるように磁化して、鋼板1を磁化器5aから5bに沿って移動させながら鋼板1の同一部位からの漏洩磁束を磁気センサ6a、6bで検出し、その出力信号Va (t)、Vb (t) を、信号処理装置7により欠陥8のないところで下記の式 (1) のAが0に近くなるように、すなわちVa (t) からVb (t) にK2の重みを付けて差し引けば、雑音信号を低減でき欠陥信号のS/N比を向上できる。
【0066】
A = K1・(Va - K2・Vb) …(1)
このとき、磁気センサ6aの出力信号Va (t) は、遅延処理回路9により、磁気センサ6aと6bの距離、すなわち位置ずれ量dを逐次実測した鋼板速度Vで除して求めた同じ鋼板位置に対応する時間差Δtを用いて相対的に磁気センサ6bの出力信号Vb (t) に対して遅らされており、Va (t-Δt) とVb (t) が対応するようになっている。また、検出信号Va (t-Δt) とVb (t) は、直流分や周波数の低い地合ノイズ成分を低減し、欠陥信号周波数より高い電気ノイズなどをカットするため、1-2kHzのバンドパスフィルタにかけられる。 出力信号の差し引き、遅延処理、フィルタリングなどはアナログ信号で行ってもよいが、例えば20kHzのサンプリング周波数によりアナログ-ディジタル変換してディジタル信号で行うこともできる。
【0067】
なお、リフトオフLは必ずしも磁気センサ6a、6bで同一である必要はない。また、異なる磁化に磁化するには、必ずしも複数の磁化器と磁気センサを使う必要はなく、1組の磁化器と磁気センサを用いて磁化器の電流を変えて磁化の強さを変えてもよい。
【0068】
以上のような強磁性体を複数の異なる磁化の強さに磁化する代わりに、強磁性体を1または複数の磁化器により一定の磁化条件で磁化し、磁化後の強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を磁化方向に沿って異なる位置に設置した複数の磁気センサで検出しても、以下に述べるように同様な効果が得られる。
【0069】
図6に、磁化器により鋼板を磁化するときの磁束の流れを示す。
【0070】
磁化器5のN極から出た磁束の一部は、鋼板1内を通り、鋼板1を磁化する。このとき、磁化器5より鋼板1に供給される磁束の量は、磁化器5の磁極センタに近づくにしたがって増加し磁極センタで最大となるので、鋼板1の磁化の強さも磁極センタで最大になり、そこから遠ざかるほど低くなる。したがって、強磁性体を磁化器により一定の磁化条件で磁化し、磁化方向の異なる位置に設置した複数の磁気センサで漏洩磁束を検出すれば、上記した強磁性体を複数の異なる磁化の強さに磁化した場合と同様な効果が得られることになる。
【0071】
図7に、図1に示した磁気探傷装置を用いて、厚さ1mmの鋼板1に内在する2種の欠陥と雑音に対して、磁気センサ6の位置を磁極センタに固定して磁化器5による印加磁界の強さMを変えて得られる出力信号レベルと、逆に磁化器5の印加磁界の強さMを一定にして磁気センサ6を磁化器5の磁極センタから磁化方向にSだけずらして得られる出力信号レベルとが同一になるときのMとSの関係を求めた結果を示す。このとき、鋼板1はリフトオフ1mm、速度300m/minで搬送され、鋼板1から4mmの位置にある磁極間隔12mmの磁化器5により磁化された。また、磁気センサ6を磁極センタからずらす試験では、印加磁界の強さMを3000ATの一定とした。また、例えば図7の欠陥8において、磁極センタ上に磁気センサ6を設置して2500ATの磁界を印加したときの出力信号レベルと、S=5mmの位置に磁気センサ6を設置して3000ATの磁界を印加したときの出力レベルが同一になることがわかる。
【0072】
図7に示すように、2種の欠陥と雑音のデータがほぼ重なっており、磁気センサ6を磁化器5の磁極センタから磁化方向にずらして測定することの有効性が確認できる。
【0073】
このような、強磁性体を磁化器により一定の磁化条件で磁化し、磁化後の強磁性体から漏洩する磁束を磁化方向の異なる位置に設置した複数の磁気センサで検出する方法では、一つの磁化器で一度に測定できるので、磁化条件ごとに磁化器を設ける場合と比べ装置構成が単純になり、また、一つの磁化器で磁化条件を変えられるので、複数回測定する場合に比べ高速測定も可能になる。
【0074】
図13-図15に示すように、上記した本発明である漏洩磁束探傷法を、従来より高精度の欠陥検出が難しかったスケール付きの熱延鋼板あるいは熱延コイル、更に熱延鋼板あるいは熱延コイルを脱スケール処理 (酸洗、ショットブラスト処理等) したものに適用して欠陥検出を行い、検出された欠陥が存在する鋼板上の位置を特定したり、検出された欠陥の密度を算出して、欠陥の位置や密度情報を示すタグ、シートまたは情報記録媒体を添付したり、欠陥の情報を鋼板上にマーキングして熱延鋼板または熱延コイルまたは脱スケール処理鋼板または脱スケール処理コイルを提供できれば、欠陥の正確な位置や密度情報が予めわかっているので、後工程や客先などの鋼板使用者が欠陥を考慮した事前の対策を取れることになる。
【0075】
【実施例】
以下、本発明について実施例に基づいて具体的に説明する。
【0076】
(実施例1)
図5に示したような磁気探傷装置を鋼板検査ラインに配置し、厚さ1mmの鋼板1を100m/minの速度で搬送して、磁化器5aにより鋼板1が磁気飽和する磁界2500ATを印加し (強磁化条件)、磁化器5bで鋼板1の磁化が未飽和となる磁界1000ATを印加して (弱磁化条件)、上記した方法で磁気センサ6aにより強磁化条件の出力信号Vaを、また、磁気センサ6bにより弱磁化条件の出力信号Vbを計測した。
【0077】
このとき、強磁化条件として2500ATの磁界を、また弱磁化条件として1000ATの磁界を印加した理由は、両条件で共通した雑音信号が計測され、かつ欠陥信号レベルの変化が雑音信号レベルの変化よりも大きくなるようにするためである。なお、磁気センサ6a、6bのリフトオフLは0.7mmに設定した。 そして、出力信号Vaから出力信号Vbを2.5倍して、すなわち上記の式 (1) においてK2=2.5として、差し引く差分演算処理を行った。
【0078】
図9に示すように、強磁化条件で得られた欠陥信号のS/N比は雑音が大きく1.3と低いが、弱磁化条件で得られた出力信号を差分演算処理することにより欠陥信号のS/Nが3.5まで向上していることがわかる。
【0079】
なお、本発明法により板幅にわたって同時に測定する場合には、磁気センサ6a、6bを鋼板1の板幅方向にも一定ピッチで設置する必要があり、例えば幅1mの鋼板で5mmピッチで設置する場合は、200組400個の磁気センサ6a、6bが必要となる。
【0080】
(実施例2)
図8に、本発明である漏洩磁束探傷法を実施するための磁気探傷装置の別の例を示す。この装置では、図1に示した従来の装置の磁化器5の磁極センタに対向設置されている磁気センサ6aとは別に、そこから磁化方向に4mmだけ離れた位置にもう1つの磁気センサ6bが設置されている。なお、磁気センサ6aと6bのリフトオフLは0.7mmに設定されている。
【0081】
図8に示したような磁気探傷装置を鋼板検査ラインに配置し、厚さ1mmの鋼板1を100m/minの速度で搬送して、磁化器5aにより3000ATの磁界を印加して鋼板1を磁気飽和させ、磁気センサ6aにより実施例1の強磁化条件に対応する出力信号Vaを、また、磁気センサ6bにより実施例1の弱磁化条件に対応する出力信号Vbを計測した。そして、実施例1の場合と同様に、出力信号Vaから出力信号Vbを2.5倍して差し引く差分演算処理を行った。ここで、磁化器5aにより3000ATの磁界を印加し、磁気センサ6bを磁気センサ6aから磁化方向に沿って4mmだけ離れた位置に設置した理由は、上記したように、強磁化条件と弱磁化条件で共通した雑音信号が計測され、かつ欠陥信号レベルの変化が雑音信号レベルの変化よりも大きくなるようにするためである。
【0082】
その結果、実施例1で得られた図9の場合と同様に、磁化器5の磁極センタに設置した磁気センサ6a (強磁化条件に対応) により得られた欠陥信号のS/N比は雑音が大きく1.3と低かったが、磁気センサ6aから磁化方向に4mmだけ離れた位置に設置した磁気センサ6b (弱磁化条件に対応) により得られた出力信号を差分演算処理することにより欠陥信号のS/Nが3.5まで向上した。
【0083】
ここでは2種の磁化レベルでの測定を行う場合を示したが、磁気センサをさらに設置して3種以上の磁化レベルでの測定を行う場合も同様である。また、この実施例においては、磁気センサ6a、6bと磁化器5は鋼板1を挟んで、お互いに反対の側に対向配置したが、同じ側であってもよく、磁気センサの位置をずらす方向は、鋼板1の進行方向であっても、その逆方向であってもよい。
【0084】
なお、磁気センサ6a、6bにおける測定値の演算、遅延処理、フィルタリングなどの処理は、アナログ信号にて行ってもよいし、アナログ信号をディジタル信号に変換後に行ってもよい。また、実施例1と同様に、本発明法により板幅にわたって同時に測定する場合には、磁気センサ6a、6bを鋼板1の板幅方向にも一定ピッチで設置する必要がある。
【0085】
(実施例3)
図10に示したような介在物検査工程と欠陥情報付加工程が組み込んだ熱延コイルの製造工程により、板厚1.8mm、板幅1mの低炭素鋼熱延コイルを製造し、スケールの付いたままで欠陥検査を行い、欠陥の位置および密度情報を求めた。このとき、介在物検査工程では、磁気センサをコイルの板幅方向にも5mmピッチで設置した図5と同様な磁気探傷装置を用い、実施例1と同様な磁化条件で、欠陥検出を行った。
【0086】
図11に、熱延コイルのある部分で長手方向1000mにわたり、欠陥位置をマーキングした例を示す。このように、スケール付きの熱延コイルについても、マーキングにより欠陥の平面的な位置を提供できる。加えて欠陥の深さ、大きさ、形状情報の少なくとも1つも提供できる。また、より正確な位置は、表1のようなシートして、あるいは情報記録媒体に保存して提供または情報を伝送手段を用いて提供することも可能である。さらに詳細な欠陥の深さ、大きさ、形状情報の少なくとも1つも提供可能である。
【0087】
【表1】
【0088】
図12に、熱延コイル長手方向の欠陥の密度情報の一例を示す。また熱延コイル外周面の欠陥の密度情報を提供してもよい。
【0089】
熱延コイル以外にも、脱スケール処理 (酸洗、ショットブラスト等) された熱延コイルに欠陥情報をマーキングしたもの、欠陥情報を添付したものも、提供できる。
【0090】
本発明の熱延コイルや脱スケール熱延コイルの製造方法により、図11や図12に示したような欠陥の位置情報や密度情報を提供できるので、熱延コイルや脱スケール熱延コイルの使用者にとっては欠陥の多い部分を避けて使用するまたは用途を変更するなどの事前検討が行え、多大のメリットとなる。また、図10に示したように、欠陥情報を上工程へフィードバックすれば、熱延コイルの品質管理にも有効なデータを提供できることになる。
【0091】
【発明の効果】
本発明の熱延コイルや脱スケール熱延コイルの製造方法により、欠陥の位置情報や密度情報を提供できるので、熱延コイルや脱スケール熱延コイルの使用者にとっては欠陥の多い部分を避けて使用するまたは用途を変更するなどの事前検討が行え、多大のメリットとなる。また、欠陥情報を上工程へフィードバックすれば、熱延コイルの品質管理にも有効なデータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の磁気探傷装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】欠陥信号と雑音信号の周波数特性の一例を示す図である。
【図3】削り代と正規化雑音信号レベルとの関係を示す図である。
【図4】磁界の強さと欠陥信号レベルおよび雑音信号レベルとの関係を示す図である。
【図5】本発明方法に用いられる漏洩磁束探傷法を実施するための磁気探傷装置の一例を示す図である。
【図6】磁化器により鋼板を磁化するときの磁束の流れを示す図である。
【図7】同一の出力信号レベルが得られる磁化器の磁界の強さMと磁気センサのずれ量Sとの関係を示す図である。
【図8】本発明方法に用いられる漏洩磁束探傷法を実施するための磁気探傷装置の別の例を示す図である。
【図9】各磁化条件および差分演算処理後の出力信号を示す図である。
【図10】本発明に係わる漏洩磁束探傷法を組入れた熱延鋼板の製造工程を示す図である。
【図11】欠陥の位置情報がマーキングされた熱延コイルの一例を示す図である。
【図12】熱延コイル外周部の欠陥の密度情報の一例を示す図である。
【図13】本発明に係わる漏洩磁束探傷法を組入れた熱延鋼板の別の製造工程を示す図である。
【図14】本発明に係わる漏洩磁束探傷法を組入れた熱延コイルの製造工程を示す図である。
【図15】本発明に係わる漏洩磁束探傷法を組入れた熱延コイルの別の製造工程を示す図である。
【符号の説明】
1 鋼板
2 搬送ローラ
3 搬送ローラ
4 磁気探傷装置
5 磁化器
5a 磁化器
5b 磁化器
6 磁気センサ
6a 磁気センサ
6b 磁気センサ
7 信号処理装置
8 欠陥
9 遅延処理回路
Claims (12)
- 熱間圧延を行う工程と、圧延後の鋼板に対し、強磁性体を、複数の異なる磁化の強さに順次磁化する工程と、前記各磁化の強さに磁化した前記強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を、磁気センサで検出する工程と、前記各磁化の強さに対応した前記磁気センサの出力信号を、前記強磁性体内の欠陥に起因する信号が強調されるように演算処理する工程とを有する漏洩磁束探傷法により欠陥検出を行う工程と、前記検出された欠陥が存在する前記鋼板上の位置を特定する工程とを有する熱延鋼板の製造方法。
- 熱間圧延を行う工程と、圧延後の鋼板に対し、脱スケール処理を行う工程と、前記脱スケール処理後の鋼板に対し、強磁性体を、複数の異なる磁化の強さに順次磁化する工程と、前記各磁化の強さに磁化した前記強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を、磁気センサで検出する工程と、前記各磁化の強さに対応した前記磁気センサの出力信号を、前記強磁性体内の欠陥に起因する信号が強調されるように演算処理する工程とを有する漏洩磁束探傷法により欠陥検出を行う工程と、前記検出された欠陥が存在する前記鋼板上の位置を特定する工程と、を有する熱延鋼板の製造方法。
- 鋼板をコイル状に巻いた熱延コイルを巻き解く工程と、前記巻き解かれた鋼板に対し、強磁性体を、複数の異なる磁化の強さに順次磁化する工程と、前記各磁化の強さに磁化した前記強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を、磁気センサで検出する工程と、前記各磁化の強さに対応した前記磁気センサの出力信号を、前記強磁性体内の欠陥に起因する信号が強調されるように演算処理する工程とを有する漏洩磁束探傷法により欠陥検出を行う工程と、前記検出された欠陥が存在する前記鋼板上の位置を特定する工程と、前記巻き解かれた鋼板を巻き戻す工程と、を有する熱延コイルの製造方法。
- 鋼板をコイル状に巻いた熱延コイルを巻き解く工程と、前記巻き解かれた熱延鋼板に対し、脱スケール処理を行う工程と、前記脱スケール処理された熱延鋼板に対し、強磁性体を、複数の異なる磁化の強さに順次磁化する工程と、前記各磁化の強さに磁化した前記強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を、磁気センサで検出する工程と、前記各磁化の強さに対応した前記磁気センサの出力信号を、前記強磁性体内の欠陥に起因する信号が強調されるように演算処理する工程とを有する漏洩磁束探傷法により欠陥検出を行う工程と、前記検出された欠陥が存在する前記脱スケール熱延鋼板上の位置を特定する工程と、前記脱スケール熱延鋼板を巻き戻す工程と、を有する脱スケール熱延コイルの製造方法。
- さらに、欠陥情報を鋼板上にマーキングする工程と、
前記欠陥情報を示すタグ、シートまたは情報記録媒体を添付する工程と、
前記欠陥情報を熱延鋼板の使用者に送出する工程と、
前記欠陥情報を示すシートまたは情報記録媒体を熱延鋼板の使用者に送付する工程と、
前記欠陥情報を上工程にフィードバックする工程と
を有する請求項1、2、3又は4の方法。 - 前記漏洩磁束探傷法が、さらに小さい磁化の強さに対応した磁気センサの出力と、大きい磁化の強さに対応した磁気センサの出力の比を演算し欠陥の表面からの深さを算出することを特徴とする請求項5の方法。
- 熱間圧延を行う工程と、圧延後の鋼板に対し、強磁性体を、1または複数の磁化器により磁化する工程と、磁化強度が異なる位置に設置した複数の磁気センサに沿って前記強磁性体を移動させながら、前記磁化した強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を、前記磁化強度が異なる位置に設置した複数の磁気センサで順次検出する工程と、前記検出後の磁気センサの出力信号を前記強磁性体内の欠陥に起因する信号が強調されるように演算処理する工程とを有する漏洩磁束探傷法により欠陥検出を行う工程と、前記検出された欠陥が存在する前記鋼板上の位置を特定する工程と、を有する熱延鋼板の製造方法。
- 熱間圧延を行う工程と、圧延後の鋼板に対し、脱スケール処理を行う工程と、前記脱スケール処理後の鋼板に対し、強磁性体を、1または複数の磁化器により磁化する工程と、磁化強度が異なる位置に設置した複数の磁気センサに沿って前記強磁性体を移動させながら、前記磁化した強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を、前記磁化強度が異なる位置に設置した複数の磁気センサで順次検出する工程と、前記検出後の磁気センサの出力信号を前記強磁性体内の欠陥に起因する信号が強調されるように演算処理する工程とを有する漏洩磁束探傷法により欠陥検出を行う工程と、前記検出された欠陥が存在する前記鋼板上の位置を特定する工程と、を有する熱延鋼板の製造方法。
- 鋼板をコイル状に巻いた熱延コイルを巻き解く工程と、前記巻き解かれた鋼板に対し、強磁性体を、1または複数の磁化器により磁化する工程と、磁化強度が異なる位置に設置した複数の磁気センサに沿って前記強磁性体を移動させながら、前記磁化した強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を、前記磁化強度が異なる位置に設置した複数の磁気センサで順次検出する工程と、前記検出後の磁気センサの出力信号を前記強磁性体内の欠陥に起因する信号が強調されるように演算処理する工程とを有する漏洩磁束探傷法により欠陥検出を行う工程と、前記検出された欠陥が存在する前記鋼板上の位置を特定する工程と、前記巻き解かれた鋼板を巻き戻す工程と、を有する熱延コイルの製造方法。
- 鋼板をコイル状に巻いた熱延コイルを巻き解く工程と、前記巻き解かれた熱延鋼板に対し、脱スケール処理を行う工程と、前記脱スケール処理された熱延鋼板に対し、強磁性体を、1または複数の磁化器により磁化する工程と、磁化強度が異なる位置に設置した複数の磁気センサに沿って前記強磁性体を移動させながら、前記磁化した強磁性体の同一位置から漏洩する磁束を、前記磁化強度が異なる位置に設置した複数の磁気センサで順次検出する工程と、前記検出後の磁気センサの出力信号を前記強磁性体内の欠陥に起因する信号が強調されるように演算処理する工程とを有する漏洩磁束探傷法により欠陥検出を行う工程と、前記検出された欠陥が存在する前記脱スケール熱延鋼板上の位置を特定する工程と、前記脱スケール熱延鋼板を巻き戻す工程と、を有する脱スケール熱延コイルの製造方法。
- さらに、欠陥情報を鋼板上にマーキングする工程と、
前記欠陥情報を示すタグ、シートまたは情報記録媒体を添付する工程と、
前記欠陥情報を熱延鋼板の使用者に送出する工程と、
前記欠陥情報を示すシートまたは情報記録媒体を熱延鋼板の使用者に送付する工程と、
前記欠陥情報を上工程にフィードバックする工程と
を有する請求項7、8、9又は10の方法。 - 前記欠陥情報が前記欠陥の平面的な位置に加えて欠陥の深さ、大きさ、形状情報の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1ないし11の何れか一つに記載の方法。
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