JP4724903B2 - ルーツブロワの消音装置 - Google Patents

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Description

【0002】
【発明の属する技術分野】
【0003】
この発明は、ルーツブロワの消音装置に関する。
【従来の技術】
【0004】
ルーツブロワと称される送風機は、空気の供給や粉粒体の輸送などの種々の用途に使用されている。このタイプの送風機は、2本の平行な軸上に取り付けられた2葉または3葉の羽根を持つ1対のロータが長円形のケーシング内面および相互のロータ間にわずかな間隙を保持しつつ、互いに反対方向に等速度で回転することにより、ケーシングとロータで囲まれた一定量の容積の気体を吸込み側から吐出側へ送り出すものである。このようなルーツブロワには、消音のため、入口側および出口側にそれぞれ消音器が設けられている。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のルーツブロワの消音器は、一定の音圧レベル低下効果を有しているが、ルーツブロワが有している脈動作用により、騒音レベルが85デシベル程度と、十分な低下効果が得られていないのが現状で、その改良が課題となっている。消音器自体を大型・高容量化することも行われているが、脈動現象の低下には、効果が小さく、しかも、コストが増大するという問題がある。
【0006】
この発明の目的は、ルーツブロワの脈動現象を大幅に低減することにより、その騒音レベルを低下させ、これにより、低コストで高い消音効果を発揮するルーツブロワの消音装置を提供することにある。
【0007】
また、この発明の他の目的は、ルーツブロワおよびその他の機器の消音装置の配管に使用されて、その脈動を低減することができる配管部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
の発明によるルーツブロワの消音装置は、ルーツブロワの出口側に、出口配管を介して消音器が取り付けられており、出口配管の中間に、少なくとも1つの偏心大径部が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
第1の発明のルーツブロワの消音装置によると、圧縮空気は、ルーツブロワの出口側において偏心大径部を通過することによってその脈動が抑えられ、大幅に音圧レベルが低下する。
【0010】
の発明によるルーツブロワの消音装置においてルーツブロワの入口側に、入口配管を介して消音器が取り付けられており、入口配管が、ルーツブロワ側の曲線状通路と、消音器側の曲線状通路と、両曲線状通路を連通する直線状通路とを有していることが好ましいルーツブロワの消音装置によると、圧縮空気は、ルーツブロワの入口側において、下向き、横向きおよび下向きの順に向きを変えることによってその脈動が抑えられ、音圧レベルが低下する。れにより、圧縮空気は、ルーツブロワの入口側および出口側の両方で脈動が抑えられることによって、音圧レベルが大幅に低下する。
【0011】
出口配管は、例えば、両端の径が最小で中央の径が最大である偏心管を単独でまたは2以上組み合わせることに形成される。このような偏心管は、鋳造により製作でき、その具体的形状は、例えば、偏心レジューサが突き合わされた形状とすればよい。
【0012】
偏心管は、最大径面に対して対称に形成されていてもよく、また、最大径面に対して非対称に形成されていてもよい。対称とは、2つの偏心レジューサを小径部の軸線同士が一致するように突き合わせたものと同様の形状であり、非対称とは、対称の状態から一方の偏心レジューサを所定角度(好ましくは45°〜135°の間で、例えば90°)回転させて突き合わせたものと同様の形状である。
【0013】
両端の径が最小で中央の径が最大であり、最大径面に対して非対称に形成されている偏心管は、ルーツブロワおよびその他の消音装置の配管に使用されて、その脈動を低減することができる。
【発明の実施の形態】
【0014】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。以下の説明において、上下は、図1の上下をいい、同図の右を後、左を前といい、左右は、後方に向かっていうものとする。
【0015】
この発明によるルーツブロワの消音装置は、ルーツブロワ(1)の入口側に設けられた入口側消音部(2)と、同出口側に設けられた出口側消音部(3)とよりなる。
【0016】
ルーツブロワ(1)は、モータ(11)、ブロワ(12)および防振架台(13)などからなり、ブロワ(12)の上面に上向きに開口した入口通路(15)が設けられ、同下面に右向きに開口した出口通路(16)が設けられている。
【0017】
入口側消音部(2)は、サイレントエアークリーナと称される消音器(21)と、消音器(21)とブロワ(12)の入口通路(15)とを連通する入口配管(22)とからなる。
【0018】
入口側の消音器(21)は、不織布と両面金網とが一体成形されたフィルターエレメントを有しており、左向きに開口した入口パイプ(21a)から導入された空気を清浄化しかつその音圧レベルを若干低下させて、下向きに送り出している。
【0019】
入口配管(22)は、図2に示すように、ルーツブロワ側の曲線状通路(22a)と、消音器側の曲線状通路(22b)と、両曲線状通路(22a)(22b)を連通する直線状通路(22c)とを有している。両曲線状通路(22a)(22b)は、フランジ継手で通路断面が円形のエルボによって形成されており、ルーツブロワ側の曲線状通路(22a)は、一端が下向きに開口してルーツブロワ(1)の入口通路(15)に通じ、他端が右向きに開口している。消音器側の曲線状通路(22b)は、一端が上向きに開口して消音器(21)の出口に通じ、他端が左向きに開口している。したがって、直線状通路(22c)は、左右方向の軸を有している。
【0020】
出口側消音部(3)は、吹出しサイレンサと称される消音器(31)と、消音器(31)とブロワ(12)の出口通路(16)とを連通する出口配管(32)とからなる。
【0021】
出口側の消音器(31)は、下向きに開口した入口パイプ(31a)から導入された空気の音圧レベルを低下させて、上向きに送り出している。上向きに開口した出口パイプ(31b)には、さらに、外部機器への接続用配管(33)が接続されている。
【0022】
出口配管(32)は、通常の丸パイプとは異なり、その中間に偏心大径部(36)を有する2つの偏心管(34)がエキスパンションジョイント(37)を介して接続されたものとされている。
【0023】
各偏心管(34)は、両端の径が最小で中央の径が最大とされており、偏心大径部(36)は、図1に示すように断面円形であり、また、図2に示すように、中心軸(36a)がブロワ(12)の出口通路(16)の中心軸(16a)から上方にずらされている。出口配管(32)の通路の軸は、前後方向に向いており、平面から見て入口配管(22)の直線状通路(22c)と直交している。出口配管(32)の左端は、ブロワ(12)の出口通路(16)に対応する径とされて同通路(16)に接続され、出口配管(32)の右端は、消音器(31)の入口パイプ(31a)に接続されている継手(35)に対応する径とされて同継手(35)に接続されている。
【0024】
上記の偏心管(34)は、鋳造により製作することができる。その具体的形状は、例えば、偏心レジューサが突き合わされた形状とすればよい。すなわち、図3において、偏心管(34)は、互いに同一形状の前側の偏心レジューサ(41)と後側の偏心レジューサ(42)とよりなり、各偏心レジューサ(41)(42)は、一端側の小径短円筒部(41a)(42a)と、他端側の大径短円筒部(41b)(42b)と、両短円筒部(41a)(41b)(42a)(42b)同士をつなぐ直線部(41c)(42c)およびテーパ部(41d)(42d)とからなる。そして、小径短円筒部(41a)(42a)同士が同心となるように(直線部(41c)(42c)同士が連続するように)、大径短円筒部(41b)(42b)同士が突き合わされて、偏心管(34)が形成されている。
【0025】
図1は、図3に示した偏心管(34)を2つ使用した場合の一例で、両偏心管(34)は、大径部(36)の軸(36a)同士が同一直線上にあり、かつ、ブロワ(12)の出口通路(16)の中心軸(16a)と消音器(31)の入口パイプ(31a)に接続されている継手(35)の軸(35a)とが同一直線上にあるように、エキスパンションジョイント(37)を介して接続されている。
【0026】
図3に示した偏心管(34)は、また、図4に示すように、一方の偏心管(34)を他方の偏心管(34)に対して180°回転させ、大径部(のピーク部分)(34a)が上下逆になるようにしてもよい。この場合には、両偏心管(34)の大径部(36)の軸(36a)同士は同一直線上にないが、ブロワ(12)の出口通路(16)の中心軸(16a)と消音器(31)の入口パイプ(31a)に接続されている継手(35)の軸(35a)とは、同一直線上にあることになる。
【0027】
また、図3の偏心管(34)に代えて、図5に示す偏心管(44)を使用してもよい。すなわち、図5において、偏心管(44)は、図3のものと同じく、互いに同一形状の前側の偏心レジューサ(45)と後側の偏心レジューサ(46)とよりなり、各偏心レジューサ(45)(46)が、一端側の小径短円筒部(45a)(46a)と、他端側の大径短円筒部(45b)(46b)と、両短円筒部(45a)(45b)(46a)(46b)同士をつなぐ直線部(45c)(46c)およびテーパ部(45d)(46d)とからなるものであるが、後側の偏心レジューサ(46)が90°回転させられた状態で(直線部(45c)(46c)同士が連続しないように)、大径短円筒部(45b)(46b)同士が突き合わされて、偏心管(44)が形成されているものである。
【0028】
図6は、図5の偏心管(44)を2つ使用する際の一例を示すもので、後側の偏心管部(44B)は、前側の偏心管部(44A)を180°回転させて使用されている。この場合には、両偏心管(44A)(44B)の大径部(47)の軸(47a)同士は同一直線上にあり、ブロワ(12)の出口通路(16)の中心軸(16a)と消音器(31)の入口パイプ(31a)に接続されている継手(35)の軸(35a)とは、同一直線上にないことになる。
【0029】
上記各実施形態において、偏心管(34)(44A)(44B)と他の部材(16)(35)(37)との接続は、すべてフランジ継手を利用したものとされており、両端部にそれぞれフランジが設けられた2つの偏心管(34)(44A)(44B)同士を両端部にフランジが設けられたエキスパンションジョイント(37)によって接続することにより、本発明の消音装置を既存のルーツブロワに容易に設置することができる。
【0030】
上記のように構成された入口側および出口側消音部(2)(3)を有するルーツブロワの音圧レベルを実際に測定したところ、1分間に2000リットルの空気を送風する際、1m離れたところでの測定で、音圧を85dBから70dB近辺にまで下げることができた。また、低周波の脈動による不快感も感じることがなくなった。入口側および出口側消音部(2)(3)をそれぞれ単独で用いた場合では、出口側消音部(3)を用いた方が音圧レベル低減効果が大きかった。図示した例のうちでは、図6に示したものがベストで、次が図4に示したものであった。
【0031】
なお、従来のルーツブロワの消音装置では、入口側に設けられる消音器として、大きな消音効果を目的とするグラスウールのフィルターを使用した吸入サイレンサが使用されることもあるが、本発明のものによると、このような大型のサイレンサは不要であり、上述のサイレントエアークリーナと称される簡易型の消音器(21)を使用しても、大幅な音圧レベル低減効果を得ることができる。また、出口配管(32)の通路の軸と入口配管(22)の直線状通路(22c)の軸とは、互いに平行であってもよいが、平面から見て直角かまたはそれに近い角度で交差している方がより好ましい。これにより、方向変更時のエネルギーロスが増加し、さらに音圧レベルの低減を図ることができる。
【0032】
上記実施形態では、偏心管(34)(44)をルーツブロワの出口配管に使用する場合を示したが、上記の偏心管(34)(44)、特に、非対称形状の偏心管(44)は、種々の消音装置において脈動低減のための配管用部材として使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】 この発明によるルーツブロワの消音装置を示す一部を切り欠いた側面図である。
【図2】 図1のII-II線に沿う断面図である。
【図3】 偏心管の一例を示す斜視図である。
【図4】 偏心管の組合せの変形例を示す要部拡大図である。
【図5】 偏心管の他の例を示す斜視図である。
【図6】 図5の偏心管を組合せて使用する一例を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
【0034】
(1) ルーツブロワ
(21) 消音器
(22) 入口配管
(22a)(22b) 曲線状通路
(22c) 直線状通路
(31) 消音器
(32) 出口配管
(34) 偏心管
(44)(44A)(44B)偏心管
(41)(42) 偏心レジューサ
(45)(46) 偏心レジューサ

Claims (4)

  1. ルーツブロワ(1)の出口側に、出口配管(32)を介して消音器(31)が取り付けられており、出口配管(32)の中間に、断面円形でかつ両端の径が最小で中央の径が最大とされた少なくとも1つの偏心管(34)(44)(44A)(44B)が設けられており、偏心管(34)(44)(44A)(44B)は、2つの偏心レジューサ(41)(42)(45)(46)が突き合わされた形状とされていることを特徴とするルーツブロワの消音装置。
  2. ルーツブロワ(1)の入口側に、入口配管(22)を介して消音器(21)が取り付けられており、入口配管(22)が、ルーツブロワ(1)側の曲線状通路(22a)と、消音器(21)側の曲線状通路(22b)と、両曲線状通路(22a)(22b)を連通する直線状通路(22c)とを有していることを特徴とする請求項1のルーツブロワの消音装置。
  3. 偏心管(44)(44A)(44B)は、2つの偏心レジューサ(45)(46)を小径部の軸線同士が一致するように突き合わせた対称の状態を基準にして、一方の偏心レジューサ(45)を他方の偏心レジューサ(46)に対して所定角度回転させて突き合わせた形状とされている請求項1または2ルーツブロワの消音装置。
  4. ルーツブロワ(1)などの消音装置の配管に使用される部材であって、断面円形でかつ両端の径が最小で中央の径が最大となるように、2つの偏心レジューサ(45)(46)が突き合わされることで形成されているとともに、2つの偏心レジューサ(45)(46)を小径部の軸線同士が一致するように突き合わせた対称の状態を基準にして、一方の偏心レジューサ(45)を他方の偏心レジューサ(46)に対して所定角度回転させて突き合わせた形状とされている偏心管。
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