JP4724635B2 - 二輪車用クラッチ装置 - Google Patents
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Description
そのクラッチハウジング30の内周部に、多数枚のクラッチフリクションディスク21が取付けられ、各クラッチフリクションディスク21は、前記クラッチハウジング30に対して一体に回転可能、且つ軸方向へ移動可能に支持されている。
ラック軸45が前進することにより、そのラック軸45の前端が、受圧板45c及び軸部45bを介してリフタープレート24を前記付勢力に抗して図中右側に押す。リフタープレート24が右側に押されると、プレッシャプレート22が前記付勢力に抗して図中右側へ移動し、クラッチフリクションディスク21とクラッチプレート31との係合は解除され、クランクシャフトからメインシャフト20への回転の伝達は遮断される。
このようなことから、上述のワイヤー式クラッチ装置に代えて、「遊び」が一定で変化せず、且つワイヤー破断の心配がない油圧式クラッチ装置が望まれる場合もある。
また、油圧の作用により前記係脱動作を行う油圧式クラッチ装置は、油圧伝達路の途中に増幅装置を介在させることができるので、より有利であるともいえる。
この油圧伝達機構は、クラッチレバーからクランクケース内に通じる油路と、その油路内の液圧を、前記リフタープレート24等への押圧力として伝達するためのシリンダ装置(前記増幅装置)等から構成される。
このため、シリンダ装置をクランクケースカバー2の外側に取付けた例があるが、このような態様は、シリンダ装置がクランクケースカバー2の外面から突出しているため美観に劣り、また、二輪車がカーブを走行中に車体が傾くと、その突出したシリンダ装置が接地して損傷することも考えられる。
すなわち、そのベースとなる二輪車用ワイヤー式クラッチ装置の構成は、クランクケースカバーに回転軸をその軸周り回転可能に支持し、前記クランクケースカバーの内側に形成した水平方向の支持孔内に進退軸を挿入して前記進退軸をその軸方向へ進退可能に支持するとともに、クラッチワイヤーの動作により前記回転軸を軸周り回転させ、その回転により前記進退軸を軸方向へ進退させてクラッチを係脱できるようにした構成である。
その構成は、前記ワイヤー式クラッチ装置のクランクケースカバーから、前記進退軸を取り外すとともに前記支持孔のクラッチ側開口部を囲むシリンダブロックを取付け、そのシリンダブロック内にピストンを配置するとともにそのピストンを前記支持孔側に向かって付勢し、その支持孔に面する側のシリンダ室を前記支持孔に液密に連通させ、前記クランクケースカバーから前記回転軸を取り外すとともに、軸状を成し且つ内部に軸方向に伸びる油路を有するフルード管を取付け、そのフルード管の油路を前記支持孔に液密に連通させ、前記油路及び前記支持孔を介して前記シリンダ室に供給される油圧及び前記付勢力によりピストンを進退させて、そのピストンの進退によりクラッチを係脱させるようにした構成である。
また、この構成によれば、ワイヤー式、油圧式ともに共通のクランクケースカバーを使用できるので作業性、部品調達などコスト面で有利であるとともに、少数の部品交換により二輪車用ワイヤー式クラッチ装置を油圧式クラッチ装置に容易に短時間で変更(改造)することができて便利である。また、逆に、油圧式からワイヤー式への変更も可能であるので、二輪車の用途変更や、運転者の嗜好に基づいて手軽にクラッチの仕様を変更できる。
このようにすれば、フルード管をクランクケースカバーの挿通孔に差し込むだけで、そのフルード管の油路と支持孔とを液密に連通させることができるので、さらに作業が簡単となる。
また、ワイヤー式、油圧式ともに共通のクランクケースカバーを使用できるので作業性、部品調達などコスト面で有利であるとともに、少数の部品交換により二輪車用ワイヤー式クラッチ装置を油圧式クラッチ装置に容易に短時間で変更(改造)することができて便利である。また、逆に、油圧式からワイヤー式への変更も可能であるので、二輪車の用途変更や、運転者の嗜好に基づいて手軽にクラッチの仕様を変更できる。
なお、挿通孔10の上部10’と下部10”とが連続して設けられたクランクケースカバー2を採用しても差し支えない。また、このクランクケースカバー2は、ワイヤー式クラッチ装置Wを用いた仕様と共通に使用できる部品であり、この挿通孔10は、クラッチワイヤーの動作によって回転するレリーズピニオン(回転軸)40をその軸周り回転可能に支持していた孔である。
この支持孔11は、ワイヤー式クラッチ装置Wを用いた仕様において、ラック軸45を回転可能に支持していたものであり、図中左側に示す外側端部は閉塞し、右側に示す内側端部は、開口部11aにおいて、クランクケース2の内側空間に開放されている。開口部11aの周縁11cは、その全周に亘りやや突出した形状を成している。
なお、前記連通孔11bは、ワイヤー式クラッチ装置Wにおいて、前記レリーズピニオン40に形成したピニオンギヤ40bと前記ラック軸(進退軸)45に形成したラック溝45aとを噛み合わせるために設けられたものである(図6参照)。
また、そのピストン15は前記支持孔11内に収納したコイルバネ16によって図中右側のクラッチ装置1側に向かって付勢されている。シリンダブロック14とクランクケースカバー2の内面とはパッキンaにより液密が維持されているので、その支持孔11に面する側のシリンダ室15eが、前記支持孔11に液密に連通した状態となっている。なお、コイルバネ16は、ピストン15に設けた突起15fによって保持されている。
その開口部13bの上方に、前記挿通孔10の内周面とフルード管13外周面との間を液密に閉じるパッキン(シール部)aが設けられている。なお、この実施形態では、挿通孔10の下端は閉塞しているので、開口部13bの下方に設けるべきパッキン(シール部)aは省略している。
また、フルード管13の上部には、位置決めと抜け防止機能を有するサラネジ13cが設けられている。
運転者が引いていたクラッチレバーを離すと、前記シリンダ室15eへ供給されていた油圧が解放され、ピストン15は、クラッチスプリング25の付勢力により図中左側に後退しクラッチ装置1から遠ざかる。ピストン15の後退と同時にリフタープレート24も図中左側に復帰してクラッチが再度係合する。
まず、ワイヤー式クラッチ装置Wが搭載された状態において、クランクケースカバー2をエンジンから取り外す。クランクケースカバー2からラック軸45を取り外すとともに前記支持孔11のクラッチ側開口部11aを囲むシリンダブロック14を、パッキンaを介してボルト17で取付ける。
この状態で、支持孔11に面する側のシリンダ室15eは支持孔11に液密に連通した状態となる。
このとき、フルード管13の油路13aの開口部13bを、前記支持孔11への連通孔11b側に向けて、油路13aと支持孔11内を液密に連通させておく。
この実施形態では、受圧板15c及び軸部15bは、ワイヤー式クラッチ装置Wの前記受圧板45c及び軸部45bをそのまま活用しているが、ピストン15の前進によりリフタープレート24を前記クラッチの係合離脱方向に動作させることができる限りにおいて、その接続方法は限定されない。
なお、フルード管13の油路13aと前記支持孔11とを液密に連通させる手段としては、回転軸40と進退軸45とが直接噛み合う(係合する)ことにより、その動きが伝達されている場合は、その係合部分に係る前記挿通孔10と支持孔11との連通部分を活用することができる。
また、両者が、リンク機構、ギヤ等を介して間接的に係合している場合には、そのリンク機構、ギヤ等の介在する部分の空間を、クランクケースカバー内の他の空間に対して液密に閉塞することにより、前記挿通孔10と支持孔11との連通路として活用してもよいし、別途挿通孔10と支持孔11とを連通する油路を設けてもよい。
2 クランクケースカバー
10 挿通孔
10’ 挿通孔の上部
10” 挿通孔の下部
11 支持孔
11a 開口部
11b 連通孔
13 フルード管
14 シリンダブロック
15 ピストン
15a ボール
15b,45b 軸部
15c,45c 受圧板
15d 凹部
15e シリンダ室
15f 突起
16 コイルバネ
17 ボルト
18 ボルト穴(係止部)
20 メインシャフト
21 クラッチフリクションディスク
23 クラッチセンター
24 リフタープレート
25 クラッチスプリング
30 クラッチハウジング(クラッチアウター)
31 クラッチプレート
40 レリーズピニオン(回転軸)
41 レバー(レリーズアーム)
45 ラック軸(レリーズラック/進退軸)
46 軸受部(ボールベアリング)
Claims (4)
- クランクケースカバー2に回転軸40をその軸周り回転可能に支持し、前記クランクケースカバー2の内側に形成した水平方向の支持孔11内に進退軸45を挿入して前記進退軸45をその軸方向へ進退可能に支持するとともに、クラッチワイヤーの動作により前記回転軸40を軸周り回転させ、その回転により前記進退軸45を軸方向へ進退させてクラッチを係脱できるようにした二輪車用ワイヤー式クラッチ装置Wを、油圧の作用によりクラッチを係脱できる油圧式クラッチ装置Pに変更するためのクラッチ装置の製造方法において、
前記ワイヤー式クラッチ装置Wのクランクケースカバー2から、前記進退軸45を取り外すとともに前記支持孔11のクラッチ側開口部11aを囲むシリンダブロック14を取付け、そのシリンダブロック14内にピストン15を配置するとともにそのピストン15を前記支持孔11側に向かって付勢し、その支持孔11に面する側のシリンダ室15eを前記支持孔11に液密に連通させ、
前記クランクケースカバー2から前記回転軸40を取り外すとともに、軸状を成し且つ内部に軸方向に伸びる油路13aを有するフルード管13を取付け、そのフルード管13の油路13aを前記支持孔11に液密に連通させ、前記油路13a及び前記支持孔11を介して前記シリンダ室15eに供給される油圧及び前記付勢力によりピストン15を進退させて、そのピストン15の進退によりクラッチを係脱させるようにしたクラッチ装置の製造方法。 - クランクケースカバー2に回転軸40をその軸周り回転可能に支持し、前記クランクケースカバー2の内側に形成した水平方向の支持孔11内に進退軸45を挿入して前記進退軸45をその軸方向へ進退可能に支持するとともに、クラッチワイヤーの動作により前記回転軸40を軸周り回転させ、その回転により前記進退軸45を軸方向へ進退させてクラッチを係脱できるようにした二輪車用ワイヤー式クラッチ装置Wの前記クランクケースカバー2に、前記進退軸45に代えて前記支持孔11のクラッチ側開口部11aを囲むシリンダブロック14を取付けてそのシリンダブロック14内にピストン15を配置するとともにそのピストン15を前記支持孔11側に向かって付勢し、その支持孔11に面する側のシリンダ室15eを前記支持孔11に液密に連通させ、前記クランクケースカバー2に、前記回転軸40に代えて、軸状を成し且つ内部に軸方向に伸びる油路13aを有するフルード管13を支持するとともにそのフルード管13の油路13aを前記支持孔11に液密に連通させ、前記油路13a及び前記支持孔11を介して前記シリンダ室15eに供給される油圧及び前記付勢力によりピストン15を進退させて、そのピストン15の進退によりクラッチを係脱させるようにした二輪車用油圧式クラッチ装置。
- 前記回転軸40は、ピニオンギヤ40bを備えたレリーズピニオンであり、前記進退軸45は、ラック溝45aを有するラック軸であり、前記ピニオンギヤ40bに前記ラック溝45aが噛み合っており、
前記フルード管13は、前記クランクケースカバー2の内面に沿って形成された上下方向の挿通孔10内に挿入されて支持されており、前記挿通孔10と支持孔11とは前記ピニオンギヤ40bと前記ラック溝45aとの噛合い部分で連通しており、前記フルード管13の油路13aは、そのフルード管13の外周面に前記連通部分に向く開口部13bを有して、その開口部13bの上方又は下方、あるいはその両方に、前記挿通孔10の内周面とフルード管13外周面との間を液密に閉じるシール部aを設けたことを特徴とする請求項2に記載の二輪車用油圧式クラッチ装置。 - 請求項2又は3に記載の二輪車用油圧式クラッチ装置に使用するクランクケースカバー2であって、前記クランクケースカバー2の内側に、前記シリンダブロック14を固定する係止部を設けたことを特徴とするクランクケースカバー。
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