JP4723064B2 - 抗老化剤およびこれを含有する化粧料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗老化剤およびこれを配合した化粧料に関し、更に詳細にはショ糖リノレン酸エステルと特定の酸化防止剤を含有する、皮膚のきめを整え、しわを改善する効果に優れるとともに、皮膚の黄色化を抑制するはたらきを持つ抗老化剤およびこれを含有する化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
人間の皮膚は、加齢と共に老化し、皮膚がのきめの細かさがなくなり、しわが増え、更に皮膚の黄色化が進む。この皮膚の老化現象は自然の摂理ではあるが、一方で、皮膚の老化を防ぎ、いつまでも若々しい皮膚を保ちたいと願うこともまた自然である。
【0003】
皮膚を若い時と同様に保つことを目的として、抗老化剤の開発が各方面で進められている。例えば特開平7−41419号公報には、パリテンがシワ改善効果があることが開示されており、また特開平10−17460号公報では、クララの抽出物が抗老化剤であることが報告されている。
【0004】
しかしながら、これらに開示の化合物の抗老化作用は十分とはいえず、更に効果が高く、かつ安全で、化粧料等に配合しやすい抗老化剤の提供が求められていた。
【0005】
ところで、必須脂肪酸であるリノレン酸については、色素沈着淡色化効果と皮膚のターンオーバー促進作用が知られており、このものを抗老化剤の有効成分として使用することは当然に着想されることである。しかし、リノレン酸は構造中に不飽和結合が3個あるため、分解しやすく、化粧料等に配合した場合、リノレン酸の作用が速やかに消失すると共に色や匂い等が著しく変化するという問題があった。
【0006】
このため、リノレン酸やそのショ糖とのエステルは、健康食品等としては用いられているものの、化粧料分野においては、ほとんど使用されていないのが現状であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、リノレン酸の有する色素沈着淡色化効果と皮膚のターンオーバー促進作用を生かし、これを化粧料等に安定に配合することのできる抗老化剤の提供が求められていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、リノレン酸を配合するための成分として、ショ糖リノレン酸エステルに着目し、これを安定に抗老化剤中に配合しうる手段について種々検討を行った。そして、当該エステルと、特定の酸化防止剤を併用することにより、皮膚のきめを整え、しわを改善する効果に優れ、かつ皮膚の黄色化を抑制するはたらきをもつ抗老化剤を得ること、更にこのものは化粧料中に安定に配合できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、次の成分(a)および(b)
(a)ショ糖リノレン酸エステル
(b)酸化防止剤
を含有する抗老化剤を提供するものである。
【0010】
また本発明は、上記抗老化剤を配合した化粧料を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の抗老化剤は、ショ糖リノレン酸エステル(成分(a))と、酸化防止剤(成分(b))を組合せ配合することにより調製される。
【0012】
本発明で用いられる成分(a)のショ糖リノレン酸エステルは、一般に使用される方法に準じて製造される。すなわち、ショ糖リノレン酸エステルは、ショ糖とリノレン酸を原料とし、これをジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)またはN−メチル2−ピロリドンを溶媒とするエステル交換反応あるいはミクロエマルジョンエステル法、無溶媒エステル法などの方法で処理することにより製造される。原料として用いられるリノレン酸としては、α−リノレン酸およびγ−リノレン酸の何れであっても良いが、γ−リノレン酸を用いることがより好ましい。
【0013】
更に、本発明で用いるショ糖リノレン酸エステルとしては、ショ糖の糖水酸基に対するリノレン酸の置換数(エステル置換度)が3以上であるポリエステルの割合が40%以上のものであることがより好ましい。
【0014】
このようなエステル置換度の高いショ糖リノレン酸エステルは、例えば、原料として10重量部程度のショ糖に対し、10から50重量部程度のリノレン酸を利用して、上記の方法により製造される。
【0015】
なお、本発明で用いられる成分(a)の配合量は、抗老化剤全体に対して0.01〜10質量%(以下、単に「%」で示す。)程度とすることが好ましく、0.05〜5%程度がより好ましい。
【0016】
本発明で用いられる成分(b)の酸化防止剤は、成分(a)であるショ糖リノレン酸エステルの安定性をさらに向上させ、抗老化剤としての効果を高めるものである。
【0017】
本発明で用いられる成分(b)の酸化防止剤としては、例えば、マンニトール、β−カロチン、アスタキサンチン、ルチンまたはその誘導体、レチノールまたはその誘導体、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ビタミンEもしくはその誘導体またはそれらの塩、L−アスコルビン酸またはその誘導体またはそれらの塩、カテキンまたはその誘導体、没食子酸およびその誘導体、グルタチオンおよびその誘導体、活性酸素除去酵素(スーパーオキシドディスムターゼ:SOD)等が挙げられ、この中から選ばれる一種または二種以上を選択して、酸化防止剤として使用することができる。
【0018】
上記の成分(b)の配合量は、その成分により異なるものであるが、成分(a)に対し0.0001〜50%程度が好ましく、0.001〜30%程度がより好ましい。
【0019】
本発明の抗老化剤は、上記成分(a)および成分(b)を、常法に従い他の任意成分と適宜組み合わせることにより、調製することができる。配合しうる任意成分としては、各種水性成分、油剤、粉体、水溶性高分子、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、香料、美白剤、抗炎症剤、各植物抽出液等が挙げられる。
【0020】
かくして得られた抗老化剤は、化粧料中に配合することができる。本発明の抗老化剤が配合される化粧料の具体的な例としては、化粧水、パック、美容液、ファンデーション等が挙げられる。この化粧料中への抗老化剤の配合量は特に制約されるものではないが、通常は成分(a)として、0.01〜10%程度とすればよい。
【0021】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例になんら制約されるものではない。
【0022】
参 考 例
以下に挙げる組成で、下記製造方法により本発明に用いるエステルを合成した。
【0023】
(エステルの組成) (g)
1.γーリノレン酸メチルエステル 128
2.ショ糖 53
3.ジメチルスルホキシド(DMSO) 385
4.炭酸水素カリウム(KHCO) 2
【0024】
(エステルの製造方法)
A.ショ糖とジメチルスルホキシド(DMSO)を、フラスコ内で加熱溶解する。
B.「A.」の溶液にγーリノレン酸メチルエステルを添加するとともに、触媒として炭酸水素カリウム(KHCO)を加える。
C.「B.」の溶液を、真空度15〜30Pa、92〜95℃のもとで6時間エステル交換反応を行う。
D.反応後、触媒を中和、ろ過により除去してから、減圧蒸留を行いジメチルスルホキシドのほぼ全量を除去する。
E.さらに減圧下で水蒸気蒸留を行いDMSOを完全に除去し、本参考例のエステルを得た。
【0025】
そして、このエステルの成分組成を、イヤトロスキャン分析法(TLC/FID分析法)で、以下の装置及び条件に基づいて調べた。その概要は、TLC(薄膜クロマトグラフィー)により糖エステル中のモノエステル、ジエステル、トリ以上のポリエステルを分離して、各エステルの構成比率(%)を算出したものである。その結果、本参考例の各エステルの組成は、モノエステルが12%、ジエステルが24%、トリ以上のポリエステルが64%であった。
【0026】
薄層自動検出装置;イヤトロスキャン TH−10((株)ヤトロン製)
(測定条件)
クロマロッド種;クロマロッドSII(シリカゲル焼結薄層棒:細孔径=50Å、粒度=5μm)
試料溶液;2%クロロホルム溶液
展開溶媒; クロロホルム:メタノール:酢酸:水=80:10:8:2
展開時間;40分
【0027】
実 施 例 1
化粧水:
表1に示した組成で、下記製造方法により本発明品1〜14および比較品として1、2の化粧水を調製した。得られた化粧水の抗老化作用を、以下に示す「光加齢防止効果試験」により評価した。
【0028】
(化粧水の組成)
【表1】
Figure 0004723064
【0029】
(化粧水の製造方法)
A.成分1〜17を均一に混合する。
B.成分18〜20を均一に混合する。
C.「B.」に「A.」を混ぜ、化粧水を得た。
【0030】
(評価方法)
<光加齢防止効果試験>
6週齢のヘアレスマウスに紫外線を照射して、作製する光加齢モデルマウスに対する効果を試験した。すなわち、0.105J/cm の紫外線を週3回、のべ20週間照射し、化粧水の塗布はマウス背部に0.1ml、毎日(照射の場合は照射2時間前に)行なった。なお、1群に6匹とし、塗布による光加齢防止効果を下記の基準により評価した。結果を表2に示す。
【0031】
(1)加齢スコア
下記の「きめスコア」と「しわスコア」を加算して「加齢スコア」とし、1群(6匹)の平均値を比較した。なお、加齢スコアはマウスの光加齢が進行するほど、その値は大きくなる。
【0032】
Figure 0004723064
【0033】
Figure 0004723064
【0034】
(2)皮膚の黄色化
皮膚色はマウス加齢に伴い、黄味が増す(b値の増加)傾向にある。マウス皮膚を色差計(SZ−Σ90 COLOR MEASURING SYSTEM:日本電色工業株式会社製)で測定し、b値の試験前に対する試験終了時(20週後)の値の変化をΔbとして、皮膚色を評価した。
【0035】
b値(色度係数)は下式で求められる。
b=70(Y−100Z/Z)/L
ここで、
L=10Y1/2
a=175(100X/X−Y)/L
X、Y、Z:XYZ表色系の三刺激値
、Y、Z=特定の白色物体(完全拡散反射面)の三刺激値
L:明度係数
a:色度係数
【0036】
(結果)
【表2】
Figure 0004723064
【0037】
表2に示されるように、ショ糖とγ−リノレン酸とのエステルと酸化防止剤とを配合する抗老化剤を含む化粧水は、それぞれ単独で用いた場合と比較して、光加齢モデルマウスの加齢スコアや皮膚色の黄色化を抑制するはたらきがあり、皮膚の老化を防止する効果のあることがわかった。
【0038】
実 施 例 2
パック:
下記の組成および製法により、パックを調製した。本発明であるパックは、皮膚の老化防止の作用を得ることができるものであった。
【0039】
Figure 0004723064
【0040】
(製造方法)
A.成分1〜10を75℃で加熱する。
B.成分11〜17を75℃で加熱する。
C.「B.」に「A.」を添加して乳化後、室温まで冷却して、パックを得た。
【0041】
実 施 例 3
ファンデーション:
下記の組成および製法により、ファンデーションを調製した。本発明であるファンデーションは、皮膚の老化防止の作用を得ることができるものであった。
【0042】
Figure 0004723064
【0043】
(製造方法)
A.成分1〜7を80℃で加熱する。
B.「A.」に成分8〜16を混合分散する。
C.「B.」を冷却して、ファンデーションを得た。
【0044】
実 施 例 4
化粧水:
下記の組成および製法により、化粧水を調製した。本発明である化粧水は、皮膚の老化防止の作用を得ることができるものであった。
【0045】
Figure 0004723064
【0046】
(製造方法)
A.成分1〜5を室温で混合分散する。
B.成分6〜8を混合分散する。
C.「B.」に「A.」を徐注入して、化粧水を得た。
【0047】
実 施 例 5
美容液:
下記の組成および製法により、美容液を調製した。本発明である美容液は、皮膚の老化防止の作用を得ることができるものであった。
【0048】
Figure 0004723064
【0049】
(製造方法)
A.成分1〜5を室温で混合分散する。
B.成分6〜11を75℃で加熱分散後、室温まで冷却する。
C.「B.」に「A.」を徐注入して、美容液を得た。
【0050】
【発明の効果】
本発明の抗老化剤は、ショ糖リノレン酸エステルと、特定の酸化防止剤を利用することにより、リノレン酸を安定に含有し、リノレン酸の有する色素沈着淡色化効果や皮膚のターンオーバー促進効果を得ることができるものである。
【0051】
従って、本発明の抗老化剤は、化粧水、パック、美容液、ファンデーション等の化粧料に配合することにより、皮膚のきめを整える、しわを改善する、皮膚の黄色化を抑制する等の作用を得ることができるものである。
以 上

Claims (3)

  1. 次の成分(a)および(b)
    (a)ショ糖とγ−リノレン酸とのエステルであるショ糖リノレン酸エステル
    (b)マンニトール、β−カロチン、アスタキサンチン、ルチン、レチノール、パルミチン酸レチノール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ビタミンE、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸イソパルミテート、カテキン、没食子酸、グルタチオン、活性酸素除去酵素(SOD)から選ばれた化合物の一種又は二種以上である酸化防止剤
    を含有することを特徴とする抗老化剤。
  2. ショ糖リノレン酸エステルについて、ショ糖の糖水酸基に対するリノレン酸の置換数(エステル置換度)が3以上であるポリエステルの割合が40%以上のものである請求項1記載の抗老化剤。
  3. 請求項1または2記載の抗老化剤を含有する化粧料。
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