JP2010070517A - 皮膚化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定、かつ安全で、優れた美白効果を発現することのできる皮膚化粧料を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)又は(2)で表されるビフェニル化合物から選ばれる少なくとも1種と、ユキノシタ科(Saxifragaceae)厚葉岩白菜(Bergenia crassifolia (Linne) Fritsch)から得られる抽出エキスを含有することを特徴とする皮膚化粧料。
Figure 2010070517

(式中、Rは水素原子又は炭素数2〜10のアシル基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、特に美白効果に優れ、さらには優れた肌荒れ防止効果及び美肌効果を発現し、同時に保存安定性にも優れた皮膚化粧料に関する。
従来より、肌のしみやそばかす等の予防や治療を目的とする化粧料には、L−アスコルビン酸やその誘導体、アルブチン等のハイドロキノン誘導体、コウジ酸等のピロン類が配合されている。これらの物質は、メラニン生成の抑制、生成したメラニンの淡色漂白作用等の効果を有し、美白効果を有する物質として広く知られている。しかし、これらの物質は、例えばL−アスコルビン酸およびその誘導体の場合、保存安定性が不十分であったり、紫外線による炎症防止効果が十分に認められないことが多い。またハイドロキノン誘導体は安全性が十分でないなどの問題がある。この様にメラニンの生成抑制効果、メラニンの淡色漂白作用、炎症防止効果、安全性等、総合的に優れた美白を目的とした化粧料を得ることは困難であった。
一方、特定のビフェニル化合物にはチロシナーゼ活性阻害効果やメラニン生成抑制効果があることが知られている(特許文献1、特許文献2)。しかし、これらを単独で配合した場合、その美白効果は十分に満足できるものではなかった。また、これらの特定ビフェニル化合物は、特に紫外線照射に対する安定性に問題があり、製剤化において大きな課題となっていた。
特開平6−145040号公報 特開平7−25743号公報
上記事情において、安定、かつ安全で、優れた美白効果を発現することができる皮膚化粧料が求められていた。即ち、本発明の目的は、安定、かつ安全で、優れた美白効果を発現することのできる皮膚化粧料を提供することにある。
本発明者は鋭意研究した結果、特定構造を有するビフェニル化合物と共に、ユキノシタ科(Saxifragaceae)厚葉岩白菜(Bergenia crassifolia (Linne) Fritsch)から得られる抽出エキスを含有する皮膚化粧料が、保存安定性に優れ、紫外線によるメラニン生成を抑制すると共にメラニン色素の排泄を促し、相乗的に優れた美白効果を発現し、さらには表皮の乾燥を防ぎ、皮膚の代謝を促進するなど、優れた肌荒れ防止効果及び美肌効果を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、下記一般式(1)又は(2)で表されるビフェニル化合物から選ばれる少なくとも1種と、ユキノシタ科(Saxifragaceae)厚葉岩白菜(Bergenia crassifolia (Linne) Fritsch)から得られる抽出エキスを含有することを特徴とする皮膚化粧料である。
Figure 2010070517
(式中、Rは水素原子又は炭素数2〜10のアシル基を表す。)
Figure 2010070517
(式中、Rは水素原子又は炭素数2〜10のアシル基を表す。)
本発明の皮膚化粧料は、特定構造式で表されるビフェニル化合物とユキノシタ科(Saxifragaceae)厚葉岩白菜(Bergenia crassifolia (Linne) Fritsch)から得られる抽出エキスを含有することにより、保存安定性に優れ、紫外線によるメラニン生成を抑制すると共にメラニン色素の排泄を促し、相乗的に優れた美白効果を発現し、さらには表皮の乾燥を防ぎ、皮膚の代謝を促進するなど、優れた肌荒れ防止効果及び美肌効果を発現する。
以下、本発明の実施に形態を詳述する。本発明で使用される一般式(1)、(2)で表されるビフェニル化合物のうち、Rが水素原子のものは、従来公知の方法に従って合成することができる(ジャーナル オブ オーガニック ケミストリィ、第28巻、1048頁、1963年;日本科学会誌、第87巻、第6号、603頁、1966年)。その他、モクレン科ホウノキ属植物の樹皮から得られるマグノロールを水素添加することによって得ることも可能である。
また、本発明で使用される一般式(1)、(2)で表されるビフェニル化合物のうち、Rがアシル基のアシル化誘導体は、従来公知のアシル化反応、例えばピリジン存在下で無水脂肪酸又は酸クロライドと反応させることにより製造することができる。
本発明の皮膚化粧料は、これら特定のビフェニル化合物の少なくとも1種を含有する。本発明の皮膚化粧料におけるこれらビフェニル化合物の含有量は、皮膚化粧料の総量を基準として、0.0001〜20質量%が好ましく、更に好ましくは0.001〜5質量%、特に好ましくは0.01〜2質量%である。これら範囲であれば、本発明の効果をより有効に発現させることが可能である。
本発明では、ユキノシタ科(Saxifragaceae)厚葉岩白菜(Bergenia crassifolia (Linne) Fritsch)から得られる抽出エキスを使用する。抽出エキスは、厚葉岩白菜の植物体を材料として、公知の抽出方法により抽出することにより製造することができる。抽出溶媒としては、通常用いられるものであれば特に限定は無いが、水、エタノール、プロパノール等の低級アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール、その他の極性溶媒又はそれらの混液のような親水性溶媒を用いたほうがより効果の高い抽出物が得られるため、好ましく用いられる。
具体的には、ユキノシタ科(Saxifragaceae)厚葉岩白菜(Bergenia crassifolia (Linne) Fritsch)の根茎を、水或いはグリセリン中で温浸し、濾別して得られた抽出液を使用することができる。
本発明の皮膚化粧料における厚葉岩白菜から得られる抽出エキスの含有量は、作用効果或いは当該皮膚化粧料の剤型等により適宜調整されるものであるが、皮膚化粧料の全量を基準として、固形分換算で通常0.0001質量%〜3質量%の範囲が好適であり、0.001〜1質量%の範囲が特に好適である。これら範囲であれば、本発明の効果をより有効に発現させることが可能である。
本発明の皮膚化粧料には、上記原料の他に、色素、香料、防腐剤、界面活性剤、抗酸化剤、保湿剤などを、本発明の目的を達成する範囲内で適宜配合することができる。
本発明の皮膚化粧料の剤型としては、クリーム、乳液、化粧水、パックなどが挙げられる。例えば乳液等の場合、油相及び水相をそれぞれ加熱溶解したものを乳化分散して冷却する通常の方法により製造することができる。
以下、実施例により本発明の実施の形態を詳述するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、実施例におけるビフェニル化合物1は上記一般式(1)においてRが水素原子であるビフェニル化合物を、ビフェニル化合物2は上記一般式(2)においてRが水素原子であるビフェニル化合物を意味する。
製造例(厚葉岩白菜抽出エキスの製造)
厚葉岩白菜の根茎50gを水250mLに温度40〜50℃で温浸して濾別した後、再び残渣を同様に温浸することを数回繰り返し、抽出液1.5Lを得た。これを減圧濃縮した残留物に精製水を100mL加え、1週間熟成した後、不溶物を濾別した。この抽出液を再び減圧濃縮し、次いで濃グリセリンを加えて抽出液のグリセリン含有量が40質量%になるように調整し、固型分含量が3.2質量%の抽出溶液を得た。この抽出溶液を厚葉岩白菜抽出エキスとしてとして、以下の実施例、比較例で使用した。
次に、皮膚色明度回復試験、荒れ肌改善効果の評価、官能テスト(美肌効果)、保存安定性試験の方法について説明する。
試験法1(皮膚色明度回復試験)
被験者20名の背部皮膚にUV−B領域の紫外線を最小紅斑量の2倍量照射し皮膚の黒化を惹起させた。試料塗布部位と非塗布部位を設定して、黒化後の各々部位における基準明度(V0値、V0'値)を測定した。引き続いて塗布部位には、評価試料を1日2回、15週間連続塗布した。塗布開始から3、6、9、12、15週間後に塗布部位、非塗布部位それぞれの皮膚明度(Vn値、Vn'値)を測定し、下記の判定基準にしたがって皮膚色の回復の程度を評価点として表した。尚、皮膚の明度(マンセル表色系V値)は高速
分光色彩計で測定して得られたX値、Y値、Z値より算出した。下記実施例では、皮膚色明度の回復を、被験者20名ついての塗布3週間後の評価点の平均値で評価した。
(判定基準)
評価点 塗布部位、非塗布部位間の明度回復値の差
―――――――――――――――――――――――――――
5 ΔV−ΔV'≧0.12
4 0.12>ΔV−ΔV'≧0.08
3 0.08>ΔV−ΔV'≧0.04
2 0.04>ΔV−ΔV'≧0
1 0>ΔV−ΔV'
―――――――――――――――――――――――――――
ΔV ;塗布部位の明度の回復値(Vn−V0)
ΔV';非塗布部位の明度の回復値(Vn'−V0')
試験法2(荒れ肌改善効果の評価)
下脚に荒れ肌を有する中高年20名を被験者とし、左側下脚試験部位に1日2回約1gの評価試料を4週間連続塗布させた。右側下脚には何も塗布せず対照とした。試験開始前及び終了後に下脚の皮膚の荒れ状態(皮膚乾燥度)を下記の判定基準により判定した。連続塗布前後での試験部位の判定結果を比較し、皮膚乾燥度が2段階以上改善された場合(例えば;+→−,++→±)を「有効」、1段階改善された場合を「やや有効」、変化がなかった場合を「無効」とした。試験結果は「有効」「やや有効」となった被験者の人数で示した。
(皮膚の荒れの判定基準)
判定 荒れの状態
――――――――――――――――――
− 正常
± 軽微乾燥、落屑なし
+ 乾燥、落屑軽度
++ 乾燥、落屑中等度
+++ 乾燥、落屑顕著
試験法3(官能テスト)
被験者20名が試料を10日間連用した後の試料の特性を評価した。評価は、平滑性、美白効果、弾力性のアンケート項目に対し、「美白効果が感じられた」、「皮膚が滑らかになった」、「皮膚に張りが生じた」と回答した人数で示した。
試験法4(保存安定性試験)
本発明の化粧料を太陽光下に8時間曝露した後の変色について、下記基準にて評価した。
(判定基準)
判定 変色の程度
――――――――――――
○ 変色なし
△ 若干の変色
× 著しく変色
実施例1〜2、比較例1〜8(スキンクリーム)
ユキノシタ科(Saxifragaceae)厚葉岩白菜(Bergenia crassifolia (Linne) Fritsch)から得られる抽出エキスとビフェニル化合物を表1、2の組成において配合し、下記の調製方法に基づいてスキンクリームを調製した。各々について前記の各種試験を実施した。
(表1)
Figure 2010070517
(表2)
Figure 2010070517
(調製方法)
(A)、(B)成分それぞれを70℃にて均一に溶解し、(A)を攪拌しながら(B)を(A)に注入して乳化分散した後、攪拌しながら温度50℃まで冷却し、次に(C)成分を加え、さらに攪拌しながら温度30℃まで冷却して調製する。
(特性)
試験結果を表2に示す。本発明の実施例1〜2のスキンクリームは、いずれも前記諸試験において良好な結果を示した。一方、比較例1〜8のスキンクリームは、十分な効果が認められず、本発明の実施例に比べて劣っていた。
実施例3(スキンローション)
表3の組成により本発明のスキンローションを下記の製法によって調製した。
組成
(表3)
Figure 2010070517
(調製方法)
(A)、(B)の各成分をそれぞれ混合溶解し、(B)を(A)に加えて混合攪拌した後、さらに(C)成分を加えて混合攪拌して調製した。
(特性)
この実施例3のスキンローションは、前記諸試験において良好な結果を示した。
以上記載の如く、本発明により、特に美白効果に優れ、さらには優れた肌荒れ防止効果及び美肌効果を発現し、さらには保存安定性に優れた皮膚化粧料を提供することができる。

Claims (1)

  1. 下記一般式(1)又は(2)で表されるビフェニル化合物から選ばれる少なくとも1種と、ユキノシタ科(Saxifragaceae)厚葉岩白菜(Bergenia crassifolia (Linne) Fritsch)から得られる抽出エキスを含有することを特徴とする皮膚化粧料。
    Figure 2010070517
    (式中、Rは水素原子又は炭素数2〜10のアシル基を表す。)
    Figure 2010070517
    (式中、Rは水素原子又は炭素数2〜10のアシル基を表す。)
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