JP4721098B2 - 窒素酸化物浄化材料 - Google Patents

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Description

本発明は、窒素酸化物浄化材料に関し、より詳しくは、メソ孔領域又はそれより小さい中心細孔直径を有する多孔体を用いた窒素酸化物浄化材料に関する。
近年、窒素酸化物(NO)による環境汚染が問題となってきている。このようなNOは空気中に様々な形で存在していると言われているが、その大部分はNOとNOである。このようなNOは水やアルカリに容易に溶けるため吸収、除去し易い。これに対して、NOは水に殆ど溶けず、更には活性炭やシリカゲル等の非常に吸着活性の大きいものであっても極一部でしか吸着されないという問題を有している。
このような一酸化窒素吸着除去を目的とした窒素酸化物浄化技術としては、特開平5−123533号公報(特許文献1)において、予備荷電部と集塵極板とからなる電気集塵部と、前記電気集塵部の後段に設けられた窒素酸化物除去フィルタとからなる窒素酸化物除去装置が開示されており、オゾンを利用して窒素酸化物(NO)を除去することが記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の窒素酸化物除去装置においては、オゾン発生器とNOの酸化に使用されなかった余剰オゾンの後処理装置が必要となり、コスト高となっていた。また、人が余剰オゾンに曝される可能性もあり、生活環境で使用するには安全上問題があった。なお、オゾンは有害物質(発がん性物質)として人の健康を損なうおそれがあるとして日本産業衛生学会ではオゾンの許容濃度を0.1ppm以下と定めている。
また、特開平4−293542号公報(特許文献2)においては、ハニカム状に成型された活性炭成型体と、このハニカム状活性炭成型体に担持されたKMnO等の酸化剤とを有するNO吸着体が開示されている。しかしながら、KMnO等の酸化剤を担持した特許文献2に記載のNO吸着体においては、その酸化活性と比表面積が不足するため、十分なNO除去性能を得ることが困難であった。
さらに、特開昭49−129695号公報(特許文献3)においては、二酸化マンガン(MnO)を触媒として用い、NOをNOに酸化した後に、NOを吸着除去する方法が記載されている。しかしながら、特許文献3に記載の方法においては、MnOによるNOの酸化反応に150〜350℃の高温が必要であったため、経済的ではなく、更には生活環境における使用に適さないという問題点があった。
また、特開2003−221209号公報(特許文献4)においては、3次元チャンネル構造である3D−Cubic Fm3m構造を有する金属酸化物からなるメソ多孔体が開示されている。しかしながら、Fm3m構造を有する金属酸化物からなるメソ多孔体であっても、現実には細孔径の拡大に限界があり、NOの拡散速度は必ずしも十分なものではなかった。
特開平5−123533号公報 特開平4−293542号公報 特開昭49−129695号公報 特開2003−221209号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、NOを細孔内に速やかに拡散させることができ、しかも優れた吸着能及び触媒能を発揮して室温においてもNOを酸化できるとともにNOに対する高い吸着能を発揮して効率よく且つ確実にNOを除去することを可能とする窒素酸化物浄化材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、窒素酸化物浄化材料に酸化マンガンの超微細繊維が凝集して中心細孔直径1〜20nmの二次細孔が形成されている酸化マンガン多孔体と、多孔材料に金属を担持させた金属担持多孔材料とを用いることにより、驚くべきことにNOの除去性能が相乗的に向上して前記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の窒素酸化物浄化材料は、酸化マンガンの超微細繊維が凝集して中心細孔直径1〜20nmの二次細孔が形成されている酸化マンガン多孔体と、多孔材料に金属を担持させた金属担持多孔材料とからなることを特徴とするものである。
上記本発明の窒素酸化物浄化材料としては、前記酸化マンガン多孔体の含有量が10〜90質量%であることが好ましく、また、前記酸化マンガン多孔体としては、その比表面積が150m/g以上であることが好ましい。更に、上記本発明の窒素酸化物浄化材料としては、前記金属がニッケルであることが好ましく、また、前記多孔材料が、活性炭、シリカゲル、ゼオライト、セピオライト、アルミナ及びセリアからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。

なお、本発明の窒素酸化物浄化材料によって、NOを細孔内に速やかに拡散させることができ、しかも優れた吸着能及び触媒能を発揮して室温においてもNOを酸化できるとともにNOに対する高い吸着能を発揮して効率よく且つ確実にNOを除去することが可能となる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明にかかる酸化マンガン多孔体は超微細繊維凝集多孔体という構造を有しているため、細孔内にNOを拡散させる際における拡散抵抗が非常に小さくなる。また細孔径、比表面積及び細孔容積が大きいため、NOの吸着速度及び酸化反応速度を向上させることが可能となり、室温においても効率よく酸化することが可能となる。一方、本発明にかかる金属担持多孔材料においては、多孔材料が有するマイクロ孔の物理吸着作用によって気中の希薄な窒素酸化物を吸着、濃縮することが可能となる。また、濃縮されたそれらの窒素酸化物を外表面に担持された金属(活性成分)で遂次化学的に捕捉することが可能となる。このように、物理吸着作用及び化学吸着作用の複合効果により気中に含有される低濃度の窒素酸化物を効果的に吸着除去することが可能となる。そして、このような酸化マンガン多孔体と金属担持多孔材料とを近接した状態で混合することで、室温における吸着及び酸化が困難なNOを酸化マンガン多孔体によって効率的に酸化してより吸着が容易なNOとした後、近接して存在する金属担持多孔材料が、発生したNOを物理吸着作用及び化学吸着作用によってより効果的に吸着するため、NOを吸着、除去する効果が相乗的に向上するものと本発明者らは推察する。
本発明によれば、NOを細孔内に速やかに拡散させることができ、しかも優れた吸着能及び触媒能を発揮して室温においてもNOを酸化できるとともにNOに対する高い吸着能を発揮して効率よく且つ確実にNOを除去することを可能とする窒素酸化物浄化材料を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の窒素酸化物浄化材料は、酸化マンガンの超微細繊維が凝集して中心細孔直径1〜20nmの二次細孔が形成されている酸化マンガン多孔体と、多孔材料に金属を担持させた金属担持多孔材料とからなることを特徴とするものである。
(酸化マンガン多孔体)
先ず、本発明にかかる酸化マンガン多孔体について説明する。本発明にかかる酸化マンガン多孔体は、酸化マンガンの超微細繊維が凝集して中心細孔直径1〜20nmの二次細孔が形成されているものである。このような酸化マンガン多孔体は、NOの酸化材として作用するものである。すなわち、本発明にかかる酸化マンガン多孔体は超微細繊維凝集多孔体という構造を有しているため、細孔内にNOを拡散させる際における拡散抵抗が非常に小さいものとなり、また細孔径、比表面積及び細孔容積が大きいため吸着速度及び反応速度を向上させることが可能となり、室温においても効率よくNOを酸化することが可能となる。
本発明にかかる酸化マンガン多孔体は、酸化マンガンの超微細繊維が凝集してなるものであり、このような超微細繊維としては、1〜5nm(より好ましくは2〜4nm)の平均直径、20nm以上(より好ましくは20〜100nm)の平均長さ、及び4以上(より好ましくは10〜30)の平均アスペクト比を有するものであることが好ましい。前記超微細繊維の平均直径が上記下限未満では超微細繊維が密に凝集して細孔径が低下して吸着物質等の拡散速度が低下する傾向にあり、他方、上記上限を超えると比表面積及び細孔容積が低下して吸着特性や触媒活性が低下してしまう傾向にある。また、前記超微細繊維の平均長さ及び平均アスペクト比が上記下限未満では、超微細繊維の凝集が不十分となり、比表面積及び細孔容積が低下して吸着特性や触媒活性が低下してしまう傾向にある。
本発明にかかる酸化マンガン多孔体は、酸化マンガンの超微細繊維からなり、いわゆるメソ孔領域又はそれより小さい中心細孔直径の二次細孔を有するものであり、その中心細孔直径は1〜20nmであり、より好ましくは2〜10nmである。本発明にかかる酸化マンガン多孔体において、中心細孔直径が1nm未満の場合は、吸着物質や反応基質が細孔内に十分な速度で拡散せず、十分な吸着特性や触媒活性が発揮されない。他方、中心細孔直径が20nmを超える場合は、比表面積及び細孔容積が低下して、吸着特性や触媒活性が低下してしまう。
前記中心細孔直径とは、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径である。なお、細孔径分布曲線は、次に述べる方法により求めることができる。すなわち、酸化マンガン多孔体を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、定容量法あるいは重量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットし、吸着等温線を得る。この吸着等温線を用い、Cranston−Inklay法、Pollimore−Heal法、BJH法等の計算法により細孔径分布曲線を求めることができる。
このような本発明にかかる酸化マンガン多孔体においては、細孔径分布曲線における中心細孔直径の±40%の範囲に全細孔容積の25%以上が含まれることが好ましい。ここで、「細孔径分布曲線における最大ピークを示す細孔直径の±40%の範囲に全細孔容積の25%以上が含まれる」とは、例えば、中心細孔直径が3.00nmである場合、この3.00nmの±40%、すなわち1.80〜4.20nmの範囲にある細孔の容積の合計が、全細孔容積の25%以上を占めていることを意味する。
また、本発明にかかる酸化マンガン多孔体の比表面積については特に制限はないが、150m/g以上であることが好ましく、150〜500m/gであることが好ましい。比表面積は、吸着等温線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出することができる。さらに、本発明にかかる酸化マンガン多孔体の細孔容積についても特に制限はないが、0.05〜1.0mL/gであることが好ましい。本発明にかかる酸化マンガン多孔体の比表面積及び細孔容積が上記下限未満では、吸着特性や触媒活性が低下してしまう傾向にあり、他方、上記上限を超えると、酸化マンガン多孔体の強度が低下してしまう傾向にある。
本発明にかかる酸化マンガン多孔体の結晶相がγ−MnOであることが好ましい。このように結晶相をγ−MnOとすることで、本発明にかかる酸化マンガン多孔体がより高い触媒能を発揮することができる。また、本発明にかかる酸化マンガン多孔体としては、吸着能や触媒能をより向上させるという観点から、結晶相がγ−MnOであるとともに比表面積が150m/g以上であることがより好ましい。すなわち、本発明にかかる酸化マンガン多孔体のフレームワーク(骨格)をより高い触媒能を発揮できるγ−MnOとし、且つより高い吸着能を発揮できる150m/g以上という大きな比表面積とすることで、本発明にかかる酸化マンガン多孔体により高度な吸着性能や触媒性能を発揮させることが可能となる。
本発明にかかる酸化マンガン多孔体の形状は特に限定されず、支持膜、自立膜、透明膜、配向膜、球状や繊維状のもの、更には、粉末、顆粒及びμmサイズの明瞭な形態をもつ粒子等の粉体等を挙げることができるが、金属担持多孔材料と近接した状態で混合状態とすることが可能であるという観点から、その形状を粉体とすることが好ましい。このような粉体形状の酸化マンガン多孔体を用いる場合においては、その粉体の粒径は特に制限されないが、金属担持多孔材料とより近接した状態で混合状態とすることが可能であるという観点から、平均粒径を0.1〜50μm程度とすることが好ましい。
以下において、本発明にかかる酸化マンガン多孔体を製造するための好適な製造方法について説明する。
本発明にかかる酸化マンガン多孔体を製造する方法においては、先ず、マンガン塩と界面活性剤とを含有する水溶液中でマンガンのゾルを加水分解及び縮合反応せしめ、マンガンと前記界面活性剤とからなる有機/無機複合体を生成せしめる(第一の工程)。
このような製造方法において原料として用いられる前記マンガン塩としては、マンガンの硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物(塩化物、弗化物等)、酢酸塩等が挙げられ、中でも水等の溶媒に対する溶解度が大きいことと安価であるという観点からマンガンの硝酸塩又はハロゲン化物が好ましい。なお、上記金属塩は、単独で用いることもできるが、2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。
前記界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性のうちのいずれであってもよく、具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム、アルキルトリエチルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、ベンジルアンモニウム等のハロゲン化物塩あるいは水酸化物;脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤、一級アルキルアミン等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独で又は二種以上混合して用いられる。
また、上記の界面活性剤のうち、ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤としては、疎水性成分として炭化水素基、親水性部分としてポリエチレンオキサイドをそれぞれ有するポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤等が挙げられる。このような界面活性剤としては、例えば、一般式C2n+1(OCHCHOHで表され、nが10〜30、mが1〜30であるものが好適に使用できる。また、このような界面活性剤としては、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸とソルビタンとのエステル、あるいはこれらのエステルにポリエチレンオキサイドが付加した化合物を用いることもできる。
さらに、このような界面活性剤としては、トリブロックコポリマー型のポリアルキレンオキサイドを用いることもできる。このような界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド(EO)とポリプロピレンオキサイド(PO)からなり、一般式(EO)(PO)(EO)で表されるものが挙げられる。x、yはそれぞれEO、POの繰り返し数を表すが、xは5〜110、yは15〜70であることが好ましく、xは13〜106、yは29〜70であることがより好ましい。上記のトリブロックコポリマーとしては、(EO)19(PO)29(EO)19、(EO)13(PO)70(EO)13、(EO)(PO)70(EO)、(EO)13(PO)30(EO)13、(EO)20(PO)30(EO)20、(EO)26(PO)39(EO)26、(EO)17(PO)56(EO)17、(EO)17(PO)58(EO)17、(EO)20(PO)70(EO)20、(EO)80(PO)30(EO)80、(EO)106(PO)70(EO)106、(EO)100(PO)39(EO)100、(EO)19(PO)33(EO)19、(EO)26(PO)36(EO)26が挙げられる。これらのトリブロックコポリマーはBASF社、アルドリッチ社等から入手可能であり、また、小規模製造レベルで所望のx値とy値を有するトリブロックコポリマーを得ることができる。
また、エチレンジアミンの2個の窒素原子にそれぞれ2本のポリエチレンオキサイド(EO)鎖−ポリプロピレンオキサイド(PO)鎖が結合したスターダイブロックコポリマーも使用することができる。このようなスターダイブロックコポリマーとしては、一般式((EO)(PO)NCHCHN((PO)(EO)で表されるものが挙げられる。ここでx、yはそれぞれEO、POの繰り返し数を表すが、xは5〜110、yは15〜70であることが好ましく、xは13〜106、yは29〜70であることがより好ましい。
このような界面活性剤の中では、結晶性の高い繊維状の酸化マンガンがより得られ易いという観点から、アルキルトリメチルアンモニウム[C2p+1N(CH]の塩(好ましくはハロゲン化物塩)を用いることが好ましい。また、その場合は、アルキルトリメチルアンモニウム中のアルキル基の炭素数は12〜20であることがより好ましい。このようなものとしては、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化オクタデシルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
また、第一の工程において、前記マンガン塩と前記界面活性剤とを含有する水溶液中で前記マンガンのゾルを析出せしめて加水分解及び縮合反応せしめる方法は特に制限されないが、水又は水と有機溶媒との混合溶媒を溶媒として使用し、塩基の存在下で前記マンガンのゾルを析出せしめて加水分解及び縮合反応せしめることが好ましい。ここで好適に用いられる有機溶媒としてはアルコール、アセトン等が挙げられ、混合溶媒とする場合の有機溶媒の含有量は5〜50重量%程度であることが好ましい。また、ゾルを析出せしめるために使用される塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム等が挙げられ、溶液のpHは7〜11、より好ましくは8〜9の弱塩基性であることが好ましい。
このような第一の工程における前記マンガン塩の含有量は、10〜250g/L程度であることが好ましい。マンガン塩の含有量が前記下限未満では酸化マンガンの超微細繊維の形成が不完全となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると非多孔性の塊状の析出物が生成する割合が増大する傾向にある。また、第一の工程における前記界面活性剤の濃度は50〜500g/L程度であることが好ましい。界面活性剤の濃度が前記下限未満では細孔の形成が不完全となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると未反応で溶液中に残留する界面活性剤の量が増大して細孔の均一性が低下する傾向にある。さらに、第一の工程における前記マンガン塩と前記界面活性剤との比率(モル比)は、0.1:1〜1:1の範囲であることが好ましい。前記マンガン塩の比率が前記下限未満では、マンガン塩に対する界面活性剤の量が過度に多くなり、未反応の界面活性剤が増大して細孔の均一性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、マンガン塩に対する界面活性剤の量が過度に少なくなり、細孔の形成が不完全となる傾向にある。
また、上記第一の工程における諸条件(温度、時間、等)は特に制限されず、用いるマンガン塩や界面活性剤等に応じて適宜選択されるが、一般的には20〜90℃程度の温度で8〜100時間程度の時間、前記マンガン塩と前記界面活性剤とを含有する水溶液中で前記マンガンのゾルを加水分解及び縮合反応せしめ、熟成させることが好ましい。この温度が上記下限未満では加水分解が十分に促進されない傾向にあり、他方、上記上限を超えると耐圧性に優れた反応容器が必要になりコスト高となる傾向にある。また、この時間が上記下限未満では加水分解が十分に促進されない傾向にあり、他方、上記上限を超えると加水分解は飽和に達し、無意味な時間を費やすこととなる傾向にある。
このように、本発明にかかる酸化マンガン多孔体を製造する方法においては、先ず、マンガン塩と界面活性剤とを含有する水溶液中で前記マンガンのゾルを加水分解及び縮合反応せしめるが、(i)予めマンガン塩を含有する水溶液中に塩基を添加してマンガンのゾルを生成させておき、そこに界面活性剤を添加してマンガンのゾルを加水分解及び縮合反応せしめる方法であっても、(ii)マンガン塩と界面活性剤と塩基とを含有する水溶液中でマンガンのゾルを生成せしめると共に加水分解及び縮合反応せしめる方法であってもよい。
いずれの方法であっても、テンプレートとしての前記界面活性剤はミセルを形成し、その界面活性剤のミセルは規則正しく配列し、界面活性剤の周囲に前記マンガンのゾルが集合することによって有機/無機複合体のゲルが生成される。そして、前記マンガンのゾルの加水分解及び縮合反応が促進して熟成され、三次元的に配列された界面活性剤とその周囲に形成された酸化マンガンとからなる有機/無機複合体が生成される。このような有機/無機複合体は、通常沈殿として水溶液中に沈殿するので、得られた有機/無機複合体をろ過、洗浄、乾燥して以下の第二の工程に供することが好ましい。
次に、本発明にかかる酸化マンガン多孔体を製造する方法においては、前記第一の工程において得られた有機/無機複合体から界面活性剤を除去して多孔体前駆体を得る(第二の工程)。
このように界面活性剤を除去する方法としては、例えば、(i)界面活性剤に対する溶解度が高い溶媒(例えば、メタノール、エタノール、アセトン、水)中に前記有機/無機複合体を浸漬して界面活性剤を除去する方法、(ii)前記有機/無機複合体を空気中又は不活性ガス中において400〜700℃で4〜6時間焼成して界面活性剤を除去する方法を挙げることができる。このような第二の工程によって、前記有機/無機複合体において界面活性剤(界面活性剤イオン)が存在していた部位に空孔や歪みが形成され、粒子状の多孔体前駆体が得られる。
次に、本発明にかかる酸化マンガン多孔体を製造する方法においては、前記第二の工程において得られた多孔体前駆体を、pKaが2.5以下である酸の5mol/L以上の濃度の水溶液を用いて酸処理し、酸化マンガンの超微細繊維が凝集して中心細孔直径1〜20nmの二次細孔が形成されている多孔体を得る(第三の工程)。
本発明にかかる第三の工程において使用する酸は、pKaが2.5以下(より好ましくは−3〜2.2)のものであり、硫酸、硝酸、塩酸、燐酸等の無機酸、並びにベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。pKaが2.5を超える酸では、超微細繊維への改質が不十分となり、吸着特性や触媒活性が十分に向上した多孔体が得られない。また、本発明にかかる第三の工程において使用する水溶液は、前記酸の5mol/L以上(より好ましくは5〜20mol/L)の濃度の水溶液である。前記酸を用いた場合であっても、その濃度が5mol/L未満では、超微細繊維への改質が不十分となり、吸着特性や触媒活性が十分に向上した多孔体が得られない。
また、上記第三の工程における諸条件(温度、時間、等)は特に制限されず、適用する酸化マンガンや酸等に応じて適宜選択されるが、一般的には20〜100℃程度の温度で30分〜10時間程度の時間、前記多孔体前駆体に対して前記酸水溶液を用いて酸処理を施すことが好ましい。この温度が上記下限未満では超微細繊維への改質が不十分となり、吸着特性や触媒活性が十分に向上した多孔体が得られない傾向にあり、他方、上記上限を超えると耐酸性に優れた反応容器が必要となりコスト高となる傾向にある。また、この時間が上記下限未満では超微細繊維への改質が不十分となり、吸着特性や触媒活性が十分に向上した多孔体が得られない傾向にあり、他方、上記上限を超えると改質は飽和に達し、無意味な時間を費やすこととなる傾向にある。
このような第三の工程によって、前記粒子状の多孔体前駆体が酸と反応することによって超微細繊維へと改質され、その超微細繊維の凝集により中心細孔直径1〜20nmの二次細孔が形成されて本発明にかかる酸化マンガン多孔体が得られる。
なお、上記の酸処理の後、安全性等の観点から、得られた多孔体を十分に水洗して酸をきれいに洗い流すことが好ましい。
(金属担持多孔材料)
次に、本発明にかかる金属担持多孔材料について説明する。本発明にかかる金属担持多孔材料は、多孔材料に金属を担持させたものである。このような金属担持多孔材料は、NOの吸収材として作用するものである。すなわち、前記金属担持多孔材料においては、前記多孔材料のマイクロ孔の物理吸着作用によって気中の希薄な窒素酸化物を吸着、濃縮することが可能となると同時に、濃縮されたそれらの酸化物を外表面に担持された金属(活性成分)で遂次化学的に捕捉することが可能となる。このように、本発明にかかる金属担持多孔材料においては、物理吸着作用及び化学吸着作用の複合効果により気中に含有される低濃度の窒素酸化物を効果的に吸着除去することが可能となる。
前記多孔材料としては、活性炭、チタニア、セピオライト、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、セリア、セリア-ジルコニア複合酸化物等が挙げられる。このような多孔材料の中でも、より高い吸着能を発揮できるという観点から、活性炭、シリカゲル、ゼオライト、セピオライト、アルミナ及びセリアからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。また、このような多孔材料は、1種を単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる。
また、前記金属としては、例えば無電解めっき法により金属担持多孔材料を調整する場合には、無電解めっき法により前記多孔材料に担持させることが容易な金属種であるという観点から、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、スズ(Sn)等が好ましい。また、このような金属の中でも、NOとの反応性が高く吸着能をより向上させることができるという観点からNiを用いることが特に好ましい。このような金属は単独で、若しくは2種以上の混合物や合金として使用することができる。また、前記金属を無電解めっき法により前記多孔材料に担持させる場合には、金属間の電位差を利用して異種金属を積層化させて使用することもできる。更に、前記金属を無電解めっき法により前記多孔材料に担持させた後に、前記金属を薬剤及び熱処理等により酸化させて金属酸化物として使用することもできる。なお、無電解めっき法により担持可能な金属種について、以下において電位とpHとの関係における各金属の析出曲線のグラフを示す図1に基づいて説明する。
図1には、各金属固有の析出曲線が示されている。また、各金属は析出曲線より低い電位においては金属イオンの状態が安定であり、他方、析出曲線より高い電位においては金属の状態が安定である。ここで、無電解めっき法において金属を析出させる駆動力は、還元剤の酸化還元電位と析出金属の還元電位との差によって与えられるものである。従って、水素の発生電位曲線よりも高い析出曲線で示されるAu、Pt、Ag等の貴金属は金属として析出しやすく、次いでCu、Ni、Co等が析出しやすいと言える。一方、水素の発生電位曲線より低い析出曲線で示される亜鉛(Zn)等の卑金属においては金属イオンを還元剤で還元する際、金属の析出反応よりも水素発生反応の方が優先して起きるので、金属として析出させるのは困難と考えられる。従って、無電解めっき法により前記多孔材料に担持させるのに好適な金属種としては、図1に示す金属の析出曲線が水素の発生電位曲線の近傍及びそれ以上の電位に位置するPt、Ru、Rh、Pd、Ag、Au、Os、Cu、Co、Ni、Fe、Sn等が挙げられる。
また、本発明にかかる金属担持多孔材料の比表面積については特に制限はないが、100〜1000m/g程度であることが好ましい。さらに、本発明にかかる金属担持多孔材料の細孔容積についても特に制限はないが、0.1〜1ml/gであることが好ましい。本発明にかかる金属担持多孔材料の比表面積及び細孔容積が上記下限未満では、吸着特性が低下してしまう傾向にあり、他方、上記上限を超えると、嵩比重が小さくなり例えば触媒層への単位容積当りの充填量が少なくなる傾向にある。
また、本発明にかかる金属担持多孔材料の形状は特に限定されず、支持膜、自立膜、透明膜、配向膜、球状や繊維状のもの、更には、粉末、顆粒及びμmサイズの明瞭な形態をもつ粒子等の粉体等を挙げることができるが、前記酸化マンガン多孔体と近接した状態で混合状態とすることが可能であるという観点から、その形状を粉体とすることが好ましい。このような粉体形状の金属担持多孔材料を用いる場合においては、その粉体の粒径は特に制限されないが、酸化マンガン多孔体とより近接した状態で混合状態とすることが可能であるという観点から、平均粒径を0.1〜50μm程度とすることが好ましい。
また、本発明にかかる金属担持多孔材料を製造する方法としては特に制限されず、前記多孔材料に前記金属を担持させることが可能な公知の方法を適宜選択して採用することができ、例えば、無電解めっき法により製造する方法が挙げられる。
(窒素酸化物浄化材料)
本発明の窒素酸化物浄化材料は、酸化マンガンの超微細繊維が凝集して中心細孔直径1〜20nmの二次細孔が形成されている前記酸化マンガン多孔体と、多孔材料に金属を担持させた前記金属担持多孔材料とからなることを特徴とするものである。このような窒素酸化物浄化材料によって、NOを細孔内に速やかに拡散させ、しかも優れた吸着能及び触媒能を発揮して室温においてもNOを酸化できるとともにNOに対する高い吸着能を発揮して効率よく且つ確実にNOを除去することが可能となる。
このような窒素酸化物浄化材料における前記酸化マンガン多孔体の含有量としては、窒素酸化物浄化材料中に10〜90質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましい。このような酸化マンガン多孔体の含有量が前記下限未満では、得られる窒素酸化物浄化材料のNOを酸化する性能が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、前記金属担持多孔材料の含有量が少なくなるため窒素酸化物浄化材料のNOを吸着、除去する性能が低下する傾向にある。
本発明の窒素酸化物浄化材料としては、前記酸化マンガン多孔体と前記金属担持多孔材料とを混ぜただけのものでもよいが、前記酸化マンガン多孔体と前記金属担持多孔材料とを混ぜたものを所定の形状に成形して使用してもよい。このような成形する手段としては特に制限されないが、押出成形、打錠成形、転動造粒、圧縮成形、CIP等を好適に採用することができる。また、その形状は、使用する箇所及び方法に応じて決めることができ、例えば円柱状、破砕状、球状、ハニカム状、凹凸状、波板状等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[合成例1:多孔体前駆体]
塩化マンガン(MnCl)11.9gを水50mLに溶解した。また、水酸化ナトリウム(NaOH)2.4gを水50mLに溶解した。次いで、上記MnCl水溶液中に上記NaOH水溶液を攪拌下で滴下し、溶液中にマンガンのゾルを生成させた。
一方、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)66.7gを水150mLに溶解した。このとき、水温を35℃に保ちながら攪拌下でCTABを少量ずつ加え、溶解させた。
次に、上記マンガンのゾルを生成させた溶液を75℃に昇温し、そこに上記CTAB水溶液を少量ずつ加え、CTAB水溶液を全量加えた後に温度を75℃に保ちつつ1時間攪拌した。その後、得られた混合溶液を75℃に設定した恒温槽に入れ、48時間熟成させた。48時間経過後、沈殿が生成した混合溶液を恒温槽から取り出し、吸引ろ過を行い、固形分を室温で24時間乾燥した。更に、その固形分を60℃に設定された乾燥機中で6時間乾燥させることにより、有機/無機複合体を得た。
次いで、得られた有機/無機複合体を乳鉢を用いて粉末状とし、これを電気炉にて昇温速度2℃/分で500℃まで昇温し、その温度で4時間焼成してCTABを除去することにより、酸化マンガンからなる粒子状の多孔体前駆体を得た。得られた多孔体前駆体の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を図2に示す。また、得られた多孔体前駆体の比表面積及び細孔容積を表1に示す。
[合成例2:酸化マンガン多孔体]
合成例1で得られた多孔体前駆体に対して更に以下の酸処理を施して酸化マンガン多孔体を製造した。すなわち、前記粒子状の多孔体前駆体5gを10mol/L硫酸100mL中に分散させ、25℃で2時間攪拌して反応させた。次いで、得られた固形分をろ過し、水洗をした後、乾燥させることにより、酸化マンガンの超微細繊維が凝集して二次細孔を形成した酸化マンガン多孔体を得た。得られた酸化マンガン多孔体の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を図3に示す。また、得られた酸化マンガン多孔体の比表面積及び細孔容積を表1に示し、合成例1で得られた多孔体前駆体及び合成例2で得られた酸化マンガン多孔体の細孔分布曲線のグラフを図4に示す。
[合成例3:金属担持多孔材料]
先ず、金属塩として塩化パラジウム(II)162mgをイオン交換水1Lに溶解させて溶液を得た。次いで、強く撹拌しながら1wt%n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液10mLを前記溶液に加え、さらに0.15wt%水素化ほう素ナトリウム水溶液50mLを加えることにより、パラジウムコロイドを調製した。このパラジウムコロイド1Lに多孔材料として粉末状のヤシ殻活性炭(キャタラー社製、製品名:BFG)6.5gを加え、3時間隔拌した後、濾過、水洗、乾燥をさせてパラジウムコロイド粒子が吸着担持されたヤシ殻活性炭粉末を得た。
次に、水1Lに対し、塩化ニッケル30g、次亜リン酸ナトリウム10g及び酢酸ナトリウム10gを加えて溶解してpH5.7のニッケル化学めっき液を調製した。このようにして得られたニッケル化学めっき液に先のパラジウムで活性化したヤシ殻活性炭粉末を90℃の温度条件下において1時間浸漬した後、濾過、水洗、乾燥をさせてヤシ殻活性炭粉末の外表面にのみニッケルが担持された金属担持多孔材料を得た。なお、このようにして得られた金属担持多孔材料中のニッケルの担持量は24.8wt%であった。
(実施例1)
合成例2で得られた酸化マンガン多孔体と、合成例3で得られた金属担持多孔材料とを質量比で、酸化マンガン多孔体:金属担持多孔材料=3:1となるようにして配合して本発明の窒素酸化物浄化材料を得た。
(比較例1)
合成例1で得られた多孔体前駆体をそのまま比較対象としての窒素酸化物浄化材料とした。
(比較例2)
過マンガン酸カリウム担持活性炭を比較対象としての窒素酸化物浄化材料とした。すなわち、先ず、過マンガン酸カリウム1gをイオン交換水10mLに溶解して過マンガン酸カリウム溶液を得た。次に、ヤシ殻活性炭(キャタラー社製、製品名:BFG)10gをビーカーに測り取り、これに過マンガン酸カリウム溶液を含浸させた後、乾燥させることにより過マンガン酸カリウムが担持された活性炭(過マンガン酸カリウム担持活性炭)を製造して比較対象としての窒素酸化物浄化材料を得た。
(比較例3)
合成例2で得られた酸化マンガン多孔体をそのまま比較対象としての窒素酸化物浄化材料とした。
(比較例4)
合成例3で得られた金属担持多孔材料をそのまま比較対象としての窒素酸化物浄化材料とした。
窒素酸化物浄化材料の評価
<NOの酸化性能及びNOの除去性能の評価>
実施例1及び比較例1〜2で得られた窒素酸化物浄化材料について、以下の手順に従って吸着性能を評価した。すなわち、先ず、実施例1及び比較例1〜2で得られた窒素酸化物浄化材料をそれぞれ0.1gずつ、100ppmのNOを含む空気5リットルを封入したガス非透過性の袋に入れて密封し、それぞれの袋を25℃の温度条件で一定に保った恒温槽内に静置した。そして、24時間経過後に各袋内のNO濃度及びNO濃度をそれぞれガス検知管で測定した。このような測定により得られたNO濃度及びNO濃度を用いて、NOの酸化性能を表す尺度であるNO/NOの比と、NOの除去性能を表す尺度であるNO除去率とを求めた。得られた結果を表2に示す。
表2に示す結果からも明らかなように、実施例1で得られた本発明の窒素酸化物浄化材料は、比較例1及び2で得られた比較対象としての窒素酸化物浄化材料に比べて、NOの酸化性能及びNO除去性能が共に優れていることがわかる。
<NOの除去性能の評価>
実施例1及び比較例3〜4で得られた窒素酸化物浄化材料のNOガス吸着等温線を測定した。すなわち、先ず、実施例1及び比較例3〜4で得られた窒素酸化物浄化材料をそれぞれ0.1gずつ、100、200及び800ppmのNOを含む空気5Lをそれぞれ封入したガス非透過性の袋に入れて密封し、それぞれの袋を25℃の温度条件で一定に保った恒温槽内に静置した。そして、24時間経過後に袋内のNO濃度をガス検知管で測定し、袋に窒素酸化物浄化材料を入れないで同様に測定したブランク濃度との差に基づいてNO吸着量を求めた。このようにして得られたNO吸着量に基づいてNO残留(平衡)濃度とNO吸着量の関係(吸着等温線)をプロットした。得られた結果を図5に示す。
図5に示す結果からも明らかなように、実施例1で得られた本発明の窒素酸化物浄化材料は、比較例3及び4で得られた比較対象としての窒素酸化物浄化材料に比べて、NOの除去性能が著しく優れていることが分かった。このことから、窒素酸化物浄化材料に酸化マンガン多孔体と金属担持多孔体とを含有させることで、相乗的にNOの除去性能が向上することが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、NOを細孔内に速やかに拡散させることができ、しかも優れた吸着能及び触媒能を発揮して室温においてもNOを酸化できるとともにNOに対する高い吸着能を発揮して効率よく且つ確実にNOを除去することを可能とする窒素酸化物浄化材料を提供することが可能となる。
したがって、本発明の窒素酸化物浄化材料は、NOの除去性能に優れるため、環境汚染物質であるNOを除去するための各種材料やNO除去システムに用いる素材等として非常に有用である。
電位とpHとの関係(各金属の析出曲線)を示すグラフである。 多孔体前駆体(硫酸処理前)の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 酸化マンガン多孔体(硫酸処理後)の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 合成例1で得られた多孔体前駆体と合成例2で得られた酸化マンガン多孔体の細孔分布曲線のグラフである。 NO残留(平衡)濃度とNO吸着量の関係(吸着等温線)を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 酸化マンガンの超微細繊維が凝集して中心細孔直径1〜20nmの二次細孔が形成されている酸化マンガン多孔体と、多孔材料に金属を担持させた金属担持多孔材料とからなることを特徴とする窒素酸化物浄化材料。
  2. 前記酸化マンガン多孔体の含有量が10〜90質量%であることを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物浄化材料。
  3. 前記酸化マンガン多孔体の比表面積が150m/g以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒素酸化物浄化材料。
  4. 前記金属がニッケルであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の窒素酸化物浄化材料。
  5. 前記多孔材料が、活性炭、シリカゲル、ゼオライト、セピオライト、アルミナ及びセリアからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の窒素酸化物浄化材料。
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