JP4720651B2 - 画像表示装置 - Google Patents
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Description
この課題を解決するために、走査ミラーの温度制御方法や温度制御された走査ミラーを有する画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
また、特許文献2に記載の画像形成装置に用いられる走査ミラーは、ミラー基板と、2本のねじり梁と、ねじり梁を固定するフレームと、各ねじり梁の両側に接近して、これらと平行でほぼ長さが等しい発熱部とを備えている。そして、発熱部を加熱することにより、各ねじり梁の熱膨張による変形から生じる内部応力と熱による弾性係数の変化により、ミラー基板の共振周波数を変化させている。
本発明の画像表示装置は、レーザ光を射出する半導体レーザからなる光源装置と、該光源装置から射出された光を被投射面に向けて走査する共振周波数を有する共振型のMEMSミラーからなる走査手段と、該走査手段に赤外光を照射する発光ダイオードからなる他の光源装置と、前記レーザ光の光軸上に前記光軸に対して傾斜して配置され、前記レーザ光を透過させるとともに前記赤外光を反射させるダイクロイックミラーと、前記他の光源装置と前記ダイクロイックミラーとの間に設けられ、前記他の光源装置から射出された前記赤外光を平行化するコリメータレンズと、前記光源装置から射出された光のうち前記走査手段に吸収される熱量と、前記他の光源装置から射出された光のうち走査手段に吸収される熱量との和が一定になるように、前記他の光源装置から射出される光の光量を制御する制御手段と、を備え、 前記MEMSミラーにおける前記レーザ光および前記赤外光が照射されるミラー部の一面に、前記レーザ光の反射率に比べて前記赤外光の反射率が低い分光特性を有する誘電体多層膜が設けられていることを特徴とする。
このとき、他の光源装置から射出された光に対して、走査手段における反射率を低くすることで、走査手段により吸収される熱量が高くなる。このため、他の光源装置から射出される光の光量を光源装置から射出される光の光量ほど高くしなくても、走査手段において吸収される熱量を一定にすることができる。すなわち、他の光源装置の駆動を低消費電力で、走査手段の温度を安定させることができるので、装置全体の省電力化を図りつつ、制御手段により、走査手段の共振周波数を安定した状態に制御することが可能となる。
本発明に係る画像表示装置では、走査手段の光が入射する部分が、誘電体多層膜からなるため、誘電体多層膜の材質を代えることにより、走査手段の光学特性を変えることができる。したがって、例えば、金属材料を用いた場合に比べ、分光反射率(光学特性)を比較的自由に設計することが可能となる。これにより、安価な光源装置を備え、他の光源装置に応じた誘電体多層膜を用いれば良いため、光源装置及び他の光源装置の選定が容易になり、さらには装置全体のコストを低減することが可能となる。
また、走査手段の反対の面に、他の光源装置から射出された光が照射されるため、表示される画像に影響を及ぼすことがない。さらに、被投射面には照射されないので、他の光源装置として用いる波長の制限がなくなり、他の光源装置から射出される光の波長の選択範囲が広がることになる。
本発明に係る画像表示装置では、他の光源装置が発光ダイオードであるため、低消費電力で走査手段に光を照射することができる。したがって、コストを抑えつつ、走査手段の温度の定常化を図ることができるため、走査手段の共振周波数を安定した状態に制御することが可能となる。また、走査手段をシリコンを材料としたMEMSで作製した場合、紫外光は、例えば赤外光に比べて、走査手段における光の吸収率が高いため、発光ダイオードから射出された紫外光は、効率良く走査手段に吸熱されることになる。
本発明に係る画像表示装置では、他の光源装置が発光ダイオードであるため、低消費電力で走査手段に光を照射することができる。したがって、コストを抑えつつ、走査手段の温度の定常化を図ることができるため、走査手段の共振周波数を安定した状態に制御することが可能となる。また、赤外光を射出する発光ダイオードは、例えば、紫外光を射出する発光ダイオードに比べて安価であるため、装置全体のコストを低減させることが可能となる。
そして、算出された光源装置から射出される光の光量に基づいて、他の光源装置から射出される光の光量を算出することにより、応答の遅れがないため、迅速に他の光源装置から射出される光の光量を制御することができる。したがって、簡易な制御手段により、走査手段に照射される光の光量を制御することができるので、走査手段の温度が迅速に定常化するため、高画質の画像を提供することが可能となる。
本実施形態に係る画像表示装置1は、図1に示すように、赤色のレーザ光を射出する赤色光源装置(光源装置)10Rと、緑色のレーザ光を射出する緑色光源装置(光源装置)10Gと、青色のレーザ光を射出する青色光源装置(光源装置)10Bと、クロスダイクロイックプリズム15と、クロスダイクロイックプリズム15から射出されたレーザ光を走査するMEMSミラー(走査手段)20と、MEMSミラー20から走査されたレーザ光が投影されるスクリーン(被投射面)30とを備えている。
ダイクロイックミラー16は、クロスダイクロイックプリズム15から射出されたレーザ光の光軸O上に45度傾斜して配置されている。そして、補助光源17から射出されるレーザ光は、光軸Oに対して直交しており、ダイクロイックミラー16により、補助光源装置17から射出された光を光軸O上に反射させている。また、ダイクロイックミラー16は、クロスダイクロイックプリズム15から射出されたレーザ光(可視光)を透過させ、補助光源装置17から射出された光(非可視光)を反射させるものである。
ミラー部21は、MEMSミラー20の中央部に設けられており、入射したレーザ光をスクリーン30に反射させるものである。梁22a,22bは、ミラー部21の両側に外方に向かって伸びており、スクリーン30における左右方向(x軸方向)に設けられている。
また、第1基板23は、ミラー部21を囲む額縁状であり、梁22a,22bに接続されている。梁24a,24bは、第1基板23の外方に向かって伸びており、スクリーン30における上下方向(y軸方向)に設けられている。
また、第2基板25は、第1基板23を囲む額縁状であり、梁24a,24bに接続されている。
これらにより、ミラー部21は第1基板23に対し、梁22a,22bを振動軸として、振動運動が可能となっており、第1基板23は第2基板25に対し、梁24a,24bを振動軸として、振動運動が可能となっている。したがって、ミラー部21は、x軸及びy軸の2軸振動が可能、すなわち、スクリーン30の水平方向及び垂直方向にレーザ光を走査することが可能となっている。
高屈折率層20bの膜厚Lは61.7Åであり、低屈折率層20cの膜厚Mは93.0Åである。高屈折率層20b及び低屈折率層20cのそれぞれの膜厚L,Mは、光学的膜厚nd=λ/4を満たしたものとなっている(λ:入射波長)。
なお、高屈折率層20bと低屈折率層20cとを交互に基板上に成膜するには、通常の真空蒸着法でも可能であるが、膜の屈折率の安定した制御が可能で、保管・仕様環境変化による分光特性の経時変化が少ない膜を作成できるイオンアシスト蒸着やイオンプレーティング法、スパッタリング法が望ましい。
MEMSミラー20は、MEMSミラー20に入射するレーザ光の入射角度が0±20°のとき、図3に示すように、約400nm〜約700nmの波長帯域では、反射率は98%以上の反射率が確保できていることが分る。したがって、赤色光源装置10R,緑色光源装置10G,青色光源装置10Bから射出された光に対する反射率は、非常に高いものとなっている。
これは、スクリーン30に表示される画像の輝度を高くするためや、赤色光源装置10R,緑色光源装置10G,青色光源装置10BからMEMSミラー20に射出される光の光量が多い場合に、吸収熱でMEMSミラー20の表面が融けたり、破損したりするのを防止するためである。
演算回路42における具体的な制御方法は、MEMSミラー20に吸収されるエネルギー(熱量)の総量Cが常に一定となるように、補助光源装置17から射出される光の光量を制御する。すなわち、赤色,緑色,青色ぞれぞれの1階調分のエネルギーをr,g,bとし、各階調数をGr,Gg,Gbとすると、C−(Gr・r+Gg・g+Gb・b)を求める。この値が、補助光源17がMEMSミラー20に与えるべきエネルギー量となる。この値を補助光源装置17の1階調分のエネルギーirで割ることにより、補助光源装置17の階調数Girを算出し、補助光源装置17から射出される光の光量を求める。ここで、定数であるエネルギーCは(rmax+gmax+bmax)以上の値となっている(rmax,gmax,bmax:各色の最大階調数のエネルギー)。
まず、制御部40により、映像信号に基づいて処理回路41において、赤色,緑色,青色のレーザ光の各階調数が求められる。そして、演算回路42により、階調数に基づいて、補助光源装置17の階調数を算出する。そして、演算装置42から、D/A変換器43を介して、各光源装置10R,10G,10Bを駆動させるドライバ44R,44B,44A,44Hに電圧信号がそれぞれ送られる。そして、赤色光源装置10R及び青色光源装置10Bは、R−LDドライバ44R及びB−LDドライバ44Bにより供給された信号に応じた光量の光が射出され、緑色光源装置10Gから射出された緑色光は、AOM11を透過する際、AOMドライバ44AによりAOM11に供給される信号に応じた出力の光が射出される。
また、MEMSミラー20を高屈折率層20bと低屈折率層20cとを交互に積層して構成することにより、高屈折率層20b及び低屈折率層20cの材質の選択により、分光特性を比較的に自由に選択することができる。したがって、MEMSミラー20の設計の自由度が増すので、各光源装置10R,10G,10B及び補助光源装置17の種類や波長等に応じた誘電体層を用いることで、より適切な状態のMEMSミラー20を形成することができる。
また、各光源装置10R,10G,10Bから射出されたレーザ光の光軸と、補助光源装置17から射出された光の光軸とを光軸Oとして揃えたが、別々にMEMSミラー20に入射させても良い。
次に、本発明に係る第2実施形態について、図6を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態において、上述した第1実施形態に係る画像表示装置1と構成を共通とする箇所には同一符号を付けて、説明を省略することにする。
本実施形態に係る画像表示装置50では、補助光源装置(他の光源装置)51の配置及びMEMSミラー(走査手段)52の構成において第1実施形態と異なる。
補助光源装置51は、クロスダイクロイックプリズム15から射出されたレーザ光が照射されるMEMSミラー52の表面(面)52aの反対の裏面(面と反対の面)52b側に配置されている。これにより、補助光源装置51から射出された光は、MEMSミラー52の裏面52bに照射されるようになっている。すなわち、MEMSミラー52の表面52aは、反射率を高くする必要があるが、MEMSミラー52の裏面52bは、反射率を高くする必要はないので、反射率が低い材質で形成する。これにより、MEMSミラー52の裏面52bにおける光の吸収率を高くしている。
また、MEMSミラー52と補助光源装置51との間には、補助光源装置51から射出された光を平行光に変換するコリメータレンズ53が設けられている。
なお、補助光源装置17から射出される光は、MEMSミラー52の裏面52bに光を照射するため、可視光であっても良く、可視光を用いた場合は、スクリーン30に表示されない角度から光を当てれば良い。
例えば、補助光源装置として、図3に示すように、本実施形態の誘電体多層膜を用いた場合、反射率の低い中心波長が350nmの紫外光を射出するLEDであっても良い。この構成では、MEMSミラーが、シリコンから形成されているため、赤外光の波長帯域では透過性を示し、紫外光の波長帯域では吸収性を示すため、赤外光に比べ紫外光の方が、補助光源装置から射出された光を効率良く吸収することが可能となる。
また、補助光源装置として非可視光のレーザ光を用いた場合、レーザの出力はクラス1以下であることが望ましい。さらに、画像表示装置は、赤色,緑色,青色の3色の光源装置を用いたが、単色であっても良く、また、4色以上の多色であっても良い。
Claims (4)
- レーザ光を射出する半導体レーザからなる光源装置と、
該光源装置から射出された光を被投射面に向けて走査する共振周波数を有する共振型のMEMSミラーからなる走査手段と、
該走査手段に赤外光を照射する発光ダイオードからなる他の光源装置と、
前記レーザ光の光軸上に前記光軸に対して傾斜して配置され、前記レーザ光を透過させるとともに前記赤外光を反射させるダイクロイックミラーと、
前記他の光源装置と前記ダイクロイックミラーとの間に設けられ、前記他の光源装置から射出された前記赤外光を平行化するコリメータレンズと、
前記光源装置から射出された光のうち前記走査手段に吸収される熱量と、前記他の光源装置から射出された光のうち走査手段に吸収される熱量との和が一定になるように、前記他の光源装置から射出される光の光量を制御する制御手段と、を備え、
前記MEMSミラーにおける前記レーザ光および前記赤外光が照射されるミラー部の一面に、前記レーザ光の反射率に比べて前記赤外光の反射率が低い分光特性を有する誘電体多層膜が設けられていることを特徴とする画像表示装置。 - 前記制御手段が、入力された映像信号により算出される前記光源装置から射出される光の光量に基づいて、前記他の光源装置から射出される光の光量を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
- 前記制御手段が、映像信号の階調数と1階調分の熱量との積を所定の熱量から減算した値に基づいて前記他の光源装置から射出される光の階調数を算出し、前記他の光源装置から射出される光の光量を求めることを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
- 前記走査手段の温度を検出する温度検出手段が設けられ、
前記制御手段が、前記温度検出手段に検出された温度に基づいて前記他の光源装置から射出される光の光量を制御することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像表示装置。
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