JP4718674B2 - 吊戸装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、良好なシール性を容易に実現することができる吊戸装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シール機能を有する吊戸装置を建築物の出入口などに設置することがある。
【0003】
従来の吊戸装置は、戸枠にシール材を付設し、吊戸をガイドレールから開閉自在に吊下するとともに、床側に設置するガイドローラを介して吊戸の下部をガイドしている。そこで、このものは、ガイドレールに沿って吊戸を前後に移動させて開閉し、閉じ位置の吊戸の戸先側、戸尻側、上部を戸枠のシール材に接触させてシールすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来技術によるときは、吊戸装置は、吊戸と戸枠との間の隙間を調整することができないので、閉じ位置の吊戸を戸枠側のシール材に正しく接触させることができず、良好なシール性を実現することが難しいという問題があった。
【0005】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、吊戸の厚さ方向に移動調節可能な戸車、ガイドローラを使用することによって、良好なシール性を容易に実現することができる吊戸装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、シール材付きの戸枠と、戸先側、戸尻側の戸車を介して戸枠のガイドレールに吊下する吊戸と、吊戸の下部をガイドする床側のガイドローラとを備えてなり、ガイドレールは、吊戸の戸先側に向けて低く傾斜し、戸車は、それぞれ先端にすりわりを有するねじ付きの軸と、軸のねじ部をねじ込むねじ孔付きのブラケットとを介して吊戸の上端に付設し、ガイドローラは、水平揺動可能な取付ベース上に上向きに配設し、吊戸をガイドローラ上に吊下したまま吊戸の厚さ方向に移動調節可能であることをその要旨とする。
【0007】
なお、シール材は、戸枠の上枠と、戸先側、戸尻側の各竪枠とに付設し、閉じ位置の吊戸の上部、戸先側、戸尻側をシールすることができる。
【0008】
また、吊戸の下部には、弾性材により形成する下向きの補助シール材を装着することができる。
【0009】
さらに、補助シール材は、ばねを介して下向きに付勢するとともに、外部から操作可能な調節ねじによって緊張させ、緩ませるワイヤを介して高さ調節してもよい。
【0011】
【作用】
かかる発明の構成によるときは、戸車、ガイドローラは、それぞれ吊戸の厚さ方向に移動調節可能であるから、吊戸と戸枠との間の隙間を任意に調整し、閉じ位置の吊戸を戸枠のシール材の全長に亘って正しく接触させて良好なシール性を実現することができる。また、ガイドレールは、吊戸の戸先側に向けて低く傾斜し、自動閉鎖形の吊戸を形成する。なお、シール材は、戸枠に対し、門形に付設するものとする。
【0012】
シール材は、戸枠の上枠と、戸先側、戸尻側の各竪枠とに付設することにより、閉じ位置の吊戸の上部、戸先側、戸尻側をシールすることができる。なお、このときの吊戸は、閉じ位置以外の位置においてシール材に接触することがなく、軽快に開閉操作することができる。ただし、吊戸は、戸枠に向けて突出する段部を上部と戸尻側とに形成し、閉じ位置において、上枠と戸尻側の竪枠とのシール材に対してそれぞれ段部を介して接触させ、戸先側の竪枠のシール材に対して直接接触させることが好ましい。
【0013】
水平揺動可能な取付ベース上に配設するガイドローラは、吊戸を開き位置に位置させると、吊戸の床側の隙間を利用して取付ベースを揺動させ、吊戸をガイドレールから吊下したまま簡単に移動調節することができる。なお、吊戸は、開き方向に移動させると、ガイドレールの傾斜に従って上昇し、床側との隙間が拡大する。
【0014】
吊戸の下部に下向きの補助シール材を装着すれば、補助シール材は、吊戸を閉じ位置にすることにより、吊戸と床側との隙間を有効にシールすることができる。なお、補助シール材は、閉じ位置の吊戸の床側の隙間に合わせて高さ調節する。
【0015】
補助シール材は、外部から高さ調節することにより、吊戸をガイドレールから外すことなく、簡単に高さ調節することができる。
【0016】
ばねを介して下向きに付勢する補助シール材は、所定の押圧力によって床側に接触させることができる上、床側に障害物が存在すると、上方に容易に退避させることができる。なお、ばねは、捻りばねの他、引張りばね、圧縮ばね等の任意の形態を使用することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0018】
吊戸装置は、シール材16、16…付きの戸枠10と、戸枠10のガイドレール31に吊下する吊戸20と、吊戸20の下部をガイドする床F側のガイドローラ37とを備えてなる(図1)。
【0019】
戸枠10は、竪枠11、12、上枠13を門形に組み合わせて形成されている。なお、戸先側の竪枠11は、戸尻側の竪枠12、上枠13より幅広に形成され、吊戸20の戸先側を収納する凹部11aが形成されている。竪枠12の後方には、竪枠11の凹部11aに対向するようにして柱材17が壁Wに沿って立設されており、柱材17は、壁Wや、図示しない必要なパネル材とともに、開き位置の吊戸20を収納する戸袋を形成する。また、竪枠11、柱材17の間には、下枠18が床Fに埋設されている。
【0020】
戸枠10の上方には、竪枠11、柱材17間に架設するベース材32を介してガイドレール31が設置されており、ベース材32には、止めねじ33a、33a…を介し、ガイドレール31を隠蔽するカバー33が着脱可能に付設されている。なお、ガイドレール31は、吊戸20の戸先側が戸尻側より低くなるように所定勾配に傾斜して設置されている。そこで、吊戸20は、ガイドレール31に沿って竪枠11、柱材17間を前後に移動して戸枠10内を開閉することができる。
【0021】
竪枠11、12、上枠13は、それぞれ適切に曲げ加工する複数の板材を組み合わせて形成されており(図2、図3)、シール材16を収納する溝部11b、12b、13bが形成されている。竪枠11の溝部11bは、凹部11a内の吊戸20側に開口しており、竪枠12、上枠13の溝部12b、13bも、それぞれ吊戸20側に開口している。シール材16、16…は、それぞれ図示しない両面テープなどを介して溝部11b、12b、13bに収納して固定され、溝部11b、12b、13bから突出する起倒可能な薄肉のリブ16aが全長に亘って形成されている。なお、シール材16は、リブ16aが軟質に形成され、それ以外の部分が硬質に形成されている。
【0022】
竪枠11、12のシール材16、16は、それぞれのリブ16aが吊戸20の閉じ方向に傾いており、上枠13のシール材16は、リブ16aが下方向に傾いている。なお、竪枠11のシール材16は、竪枠12、上枠13のシール材16、16に対し、吊戸20の上部、戸尻側の段部dx 、dx 相当だけ吊戸20側にオフセットして配置されている。
【0023】
吊戸20は、上下のフレーム材21、21に表面材22、22を付設し、断熱防音用のハニカム材23を収納して形成されている。フレーム材21、21は、それぞれ下部開放のチャンネル状に形成されており、下部のフレーム材21には、止めねじ27aを介して補助フレーム27が組み込まれている。なお、吊戸20は、戸先側、戸尻側の側端面にカバー材24、24が付設されており、戸先側の側端面には、カバー材24を介し、弾性材から形成する戸当り28が装着されている。また、吊戸20の戸先側には、把手25、25が両面に付設されており、戸当り28の下部には、透孔28aが形成されている(図1)。
【0024】
吊戸20の上部、戸尻側には、それぞれ目板材26が付設されている(図2、図3)。戸尻側の目板材26は、スペーサ26b、止めねじ26cを介して固定されており、上部の目板材26は、戸車35用のブラケット36を固定するボルト36bを介して固定されている。各目板材26には、吊戸20の縁部分を収納するカバー部26a、26aが形成されており、カバー部26a、26aは、それぞれ僅かに斜め内向きにして先端縁を内側に折り返している。なお、戸枠10側のカバー部26aは、吊戸20の表面に段部dx を形成している。
【0025】
戸車35、35は、それぞれ先端にすりわりを有するねじ付きの軸35a、ブラケット36を介して吊戸20の上端に付設されている(図2、図4)。ただし、図4(A)、(B)は、それぞれ図1の要部分解斜視図、図1のZ−Z線矢視相当拡大断面図である。各ブラケット36は、スペーサ36c、36c…、ボルト36b、36bを介して吊戸20の上端面に固定されている。ただし、戸先側、戸尻側のブラケット36、36は、それぞれガイドレール31の勾配に合わせてスペーサ36cの枚数が選定されており、各ブラケット36用のボルト36b、36bは、吊戸20の上部のフレーム材21に内装する共通の板ナット36dにねじ込まれている。
【0026】
各戸車35は、軸35aのねじ部をブラケット36の垂直部分のねじ孔36aにねじ込み、座金35e、ロックナット35dを介してブラケット36に組み付けられている。各戸車35は、ロックナット35dを緩めて軸35aをまわすことにより、ブラケット36の垂直部分との間隔dを変更して吊戸20の厚さ方向に移動調節可能である。すなわち、ガイドレール31に係合している戸車35、35は、ガイドレール31に対し、吊戸20の上部を厚さ方向に変位させることができる(図4(B)の実線、二点鎖線)。
【0027】
ガイドローラ37は、水平揺動可能な取付ベース38を介して床F側の下枠18に取り付けられ(図2、図5)、吊戸20の下部のフレーム材21、補助フレーム27の間に収納されている。ただし、図5(A)、(B)は、それぞれ図1の要部拡大分解斜視図、図3の要部拡大説明図である。取付ベース38は、下枠18上のスタッドボルト18c、18dを取付孔38a、長孔38bに挿入し、座金38a2 、38b2 、ナット38a1 、38b1 を介して下枠18に取り付けられている。なお、ガイドローラ37は、ボス38cを介して取付ベース38の先端に上向きに配設され、下部のフレーム材21、補助フレーム27に転動自在に係合している。
【0028】
取付ベース38は、ナット38a1 、38b1 を緩め、長孔38bを介して左右に水平揺動させて(図5(B)の実線、二点鎖線)、ガイドローラ37を吊戸20の厚さ方向に移動調節することができる。すなわち、ガイドローラ37は、下部のフレーム材21、補助フレーム27に係合することにより、吊戸20の下部を厚さ方向に変位させることができる。
【0029】
吊戸20の下部には、高さ調節可能な下向きの補助シール材41が装着されている(図6、図7)。ただし、図7(A)、(B)は、それぞれ図6のA−A線、B−B線矢視相当拡大断面図である。
【0030】
補助シール材41は、弾性材により断面羽根状に形成され、ホルダ42を介して下向きに保持されている。ホルダ42の上辺の中間部分には、上下の係合溝42b、42bを有するフック部42aが形成されている。なお、フック部42aの両端部には、補助フレーム27の長孔27b、27bに係合するガイドピン42c、42cが付設されている。ホルダ42は、フック部42aの下側の係合溝42bに係合するワイヤ43を介して吊下されており、ワイヤ43の両端は、それぞれ外れ止め43aを介し、調節ねじ44、44に螺合するねじ部材44b、44bに連結されている。なお、調節ねじ44、44は、それぞれ補助フレーム27の垂直部分に固定するブラケット44cを介して回転自在に支持されている。
【0031】
補助フレーム27の垂直部分には、ブラケット44c、44cに対応して開口部27c、27cが形成されている。各開口部27cは、調節ねじ44の頭部44a、ねじ部材44bを部分的に収納し、補助シール材41を収納するための補助フレーム27、フレーム材21の間のスペースSを最小に抑えることができる。また、補助フレーム27には、ボス27d、27dを介し、補助シール材41を下向きに付勢する捻りばね形のばね45、45が付設されており、各ばね45の両端は、補助フレーム27の上部の水平部分、ホルダ42の上側の係合溝42bにそれぞれ係合している。
【0032】
そこで、補助シール材41は、たとえば戸先側の調節ねじ44を回転してワイヤ43を緊張させ(図8の実線)、ばね45、45に抗してホルダ42を上昇させて吊戸20に収納することができる。このとき、ホルダ42は、ガイドピン42c、42c、長孔27b、27bを介してガイドされ、調節ねじ44は、吊戸20の戸先側の戸当り28の透孔28aを介して外部から操作することができる。また、補助シール材41は、調節ねじ44を介してワイヤ43を緩め、ばね45、45を介してホルダ42を下降させ(同図の二点鎖線)、吊戸20の下方に突出させることができる。すなわち、補助シール材41は、調節ねじ44、44の一方または双方を介して吊戸20の外部から高さ調節可能である。なお、調節ねじ44、44は、吊戸20の戸先側、戸尻側に設け、吊戸20を右開き形、左開き形の双方に対応させてもよく、戸先側にのみ設けてもよい。
【0033】
かかる吊戸装置は、次のようにして機能する。
【0034】
吊戸20は、戸車35、35、ガイドローラ37をそれぞれ吊戸20の厚さ方向に移動調節し、閉じ位置における戸枠10との隙間da を任意に調整することができる(図2、図3)。なお、戸車35、35、ガイドローラ37は、ガイドレール31から吊戸20を吊下したまま移動調節可能である。ただし、ガイドローラ37は、吊戸20を開き位置(図3の二点鎖線)にして調節するのがよい。開き位置の吊戸20は、ガイドレール31の勾配に従って閉じ位置より上昇し、下枠18との間に、ナット38a1 、38b1 に工具が十分届く程度の隙間を形成するからである。一方、補助シール材41は、吊戸20が閉じ位置に位置するとき、下枠18に正しく接触して吊戸20、下枠18の隙間db を遮蔽するように、戸先側の調節ねじ44を介して高さ調節する(図2)。
【0035】
このようにして戸枠10、吊戸20の間の隙間da を調整し、補助シール材41を正しく高さ調節すると、吊戸20は、閉じ位置において、戸先側を竪枠11のシール材16のリブ16aの全長に亘って直接接触させ、上部、戸尻側の目板材26、26のカバー部26a、26aを上枠13、竪枠12のシール材16、16のリブ16a、16aの全長に亘って接触させることができる。そこで、このときの吊戸20は、補助シール材41をも全長に亘って下枠18に接触させ、良好なシール性を実現して戸枠10内を閉じることができる。
【0036】
一方、吊戸20は、閉じ位置から開くと、シール材16、16…のリブ16a、16a…から速やかに離れ、補助シール材41を下枠18から速やかに離すことができる。すなわち、吊戸20は、開き方向に後退すると、戸先側が竪枠11のシール材16から離れ、戸尻側の目板材26が竪枠12のシール材16から離れ、しかも、竪枠12のシール材16は、吊戸20の表面に接触することがない。また、このときの吊戸20は、ガイドレール31の勾配に従って上昇し、上部の目板材26が上枠13のシール材16から上方に速やかに離れ、補助シール材41が下枠18から速やかに離れる。すなわち、吊戸20は、開閉操作の途中において、シール材16、16…に接触することがなく、補助シール材41が下枠18に摺接しないから、軽快な操作感を容易に実現することができる。
【0037】
以上の説明において、取付ベース38を固定するスタッドボルト18c、18d、ナット38a1 、38b1 は、戸車35用のブラケット36を固定するボルト36b、36bに倣って、下枠18に内装する図示しない板ナットにねじ込むボルトに代えてもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、戸車、ガイドローラを吊戸の厚さ方向に移動調節可能にすることによって、戸車、ガイドローラは、戸枠に対する吊戸の隙間を任意に調整することができ、閉じ位置の吊戸を戸枠のシール材に正しく接触させることができるから、良好なシール性を容易に実現することができる上、軽快な操作感を得ることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 全体構成分解斜視図
【図2】 図1のX−X線矢視相当拡大断面図
【図3】 図1のY−Y線矢視相当拡大断面図
【図4】 要部拡大構成説明図(1)
【図5】 要部拡大構成説明図(2)
【図6】 要部拡大分解斜視図
【図7】 図6の要部拡大断面説明図
【図8】 要部動作説明図
【符号の説明】
F…床
10…戸枠
11、12…竪枠
13…上枠
16…シール材
20…吊戸
31…ガイドレール
35…戸車
37…ガイドローラ
38…取付ベース
41…補助シール材
45…ばね
Claims (4)
- シール材付きの戸枠と、戸先側、戸尻側の戸車を介して前記戸枠のガイドレールに吊下する吊戸と、該吊戸の下部をガイドする床側のガイドローラとを備えてなり、前記ガイドレールは、前記吊戸の戸先側に向けて低く傾斜し、前記戸車は、それぞれ先端にすりわりを有するねじ付きの軸と、該軸のねじ部をねじ込むねじ孔付きのブラケットとを介して前記吊戸の上端に付設し、前記ガイドローラは、水平揺動可能な取付ベース上に上向きに配設し、前記吊戸を前記ガイドローラ上に吊下したまま前記吊戸の厚さ方向に移動調節可能であることを特徴とする吊戸装置。
- 前記シール材は、前記戸枠の上枠と、戸先側、戸尻側の各竪枠とに付設し、閉じ位置の前記吊戸の上部、戸先側、戸尻側をシールすることを特徴とする請求項1記載の吊戸装置。
- 前記吊戸の下部には、弾性材により形成する下向きの補助シール材を装着することを特徴とする請求項1または請求項2記載の吊戸装置。
- 前記補助シール材は、ばねを介して下向きに付勢するとともに、外部から操作可能な調節ねじによって緊張させ、緩ませるワイヤを介して高さ調節することを特徴とする請求項3記載の吊戸装置。
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