JP4718264B2 - 無酸素銅用酸素センサ - Google Patents

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本発明は、無酸素銅用酸素センサに関するものである。
従来から、一般的な銅の溶融液中の酸素分圧や或いは酸素濃度を、安定化ジルコニアを固体電解質とした濃淡電池型の酸素センサプローブにより、リアルタイムでインライン測定する技術が確立されており、銅の溶解プロセスにおいて有効に利用されている。
ところで、無酸素銅では、一般的な銅の溶融液に比較して、極低濃度(10ppm以下)の酸素が溶け込んでおり、この酸素分圧或いは酸素濃度の測定ができれば、無酸素銅の製造における品質管理が向上できるため好ましい。
しかし、従来は、酸素濃度が比較的高い一般的な銅又は銅合金の溶融液を測定する場合と比較して、無酸素銅は、酸素濃度が極低濃度であるために高精度に溶融液中の酸素分圧や酸素濃度を測定することがむずかしく、その酸素濃度や、酸素分圧を測定することは不可能と考えられていたためか、測定例はほとんど見当たらない。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、酸素濃度が10ppm以下の溶融無酸素銅や銅合金の溶融液中の酸素分圧や酸素濃度を精度良く測定することができる無酸素銅用酸素センサを提供することにある
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、酸素濃度が10ppm以下の無酸素銅又は銅合金の溶融液中の酸素分圧を測定するための無酸素銅用酸素センサであって、H/O/Ar系、CO/CO/Ar系のいずれかの系から選択された基準極と、該基準極と、前記無酸素銅又は銅合金に接触される酸素イオン伝導性固体電解質と、前記基準極と、前記無酸素銅又は銅合金に電気的に接続される接続部材を備えたことを特徴とする無酸素銅用酸素センサを要旨とするものである。
請求項2の発明は、請求項1において、外殻チューブと該外殻チューブ内に挿入配置した内殻チューブを備え、前記外殻チューブの先端を酸素イオン伝導性固体電解質により閉塞し、該酸素イオン伝導性固体電解質の外殻チューブ内の空間に臨む面には、多孔質の電極を備え、前記多孔質の電極に対して、前記内殻チューブから基準極となる混合ガスを導入することを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の発明によれば、酸素濃度が10ppm以下の溶融無酸素銅や銅合金の溶融液中の酸素分圧や酸素濃度を精度良く測定することができる。
請求項2の発明によれば、多孔質の電極内に混合ガスが入りこみ、混合ガスと酸素イオン伝導性固体電解質との酸素イオンの伝導を行い易くすることができる。
(参考例)
以下、まず、参考例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1(a)は本参考例における酸素イオン伝導性固体電解質型の酸素センサを示す概略正面図、(b)は酸素センサプローブとホルダーとを分解して示す概略正面図、(c)は演算器を示す概略背面図である。これらの図に示すように、酸素センサは、円柱状の酸素センサプローブ11と、該酸素センサプローブ11を収容保持する有底円筒状のホルダー12と、一端が酸素センサプローブ11に接続された接続ケーブル13と、該接続ケーブル13の他端にコネクター14を介して接続された演算器15とにより構成されている。本参考例の酸素センサプローブ11は、消耗型(使い切り用)のセンサプローブである。
酸素センサプローブ11は、測定対象媒体である溶融無酸素銅又は溶融銅合金の溶融液中に浸漬されて酸素分圧又は酸素濃度を測定するようになっている。演算器15は四角箱状に形成され、その表面には温度表示部16及び濃度又は分圧表示部17が設けられている。演算器15の裏面には濃度、分圧表示切換部18及び電源スイッチ19が設けられている。そして、演算器15は、酸素センサプローブ11からの信号に基づいて酸素濃度を演算し又は酸素分圧とを演算して表示するようになっている。
次に、酸素センサプローブ11について詳細に説明する。図2(a)は酸素センサプローブ11の要部を破断して示す正面図、(b)は(a)の状態でキャップ30を取り外したときの側面図である。図3は酸素センサプローブ11を示す断面図である。これらの図に示すように、酸素センサプローブ11の先端部11aには円筒状のセラミックスベース20が配設され、そのセラミックスベース20のほぼ中心部には導線よりなる+側素線21と−側素線22とが先端部で接合されることにより円弧状に形成された熱電対23が設けられている。この熱電対23は石英管24内に配設され、保護されている。+側素線21と−側素線22とを有する熱電対23及び石英管24により温度測定部が構成されている。+側素線21は白金にロジウム13質量%が含有された合金で形成され、−側素線22は白金で形成されている。
該熱電対23の側方位置には酸素センサ素子25が熱電対23より高くなるように突設されている。+側素線21、−側素線22は接続ケーブル13を介して、演算器15に接続されている。熱電対23を挟んで酸素センサ素子25と反対側の位置には、接続電極26が酸素センサ素子25とほぼ同じ高さになるように突設されている。接続電極26は、接続ケーブル13を介して演算器15に電気的に接続されている。接続電極26は、接続部材に相当する。
図3に示すように、酸素センサ素子25は、溶融金属中に置かれる有底円筒状の固体電解質管27内に基準極として機能する基準物質28が収容されて構成されている。基準物質28は、図示しないリード線が接続され、接続ケーブル13を介して、演算器15に接続されている。前記リード線及び接続ケーブル13は、接続部材に相当する。
そして、測定対象媒体である無酸素銅又は銅合金が測定極となり、その測定極に接続電極26から電気信号が送られるようになっている。
これらの熱電対23、酸素センサ素子25及び接続電極26を覆うように有蓋円筒状をなす銅製のキャップ30がセラミックスベース20に取付け固定されている。該キャップ30先端部の中心には貫通孔31が透設され、貫通孔31を介してキャップ30の外部と内部とが連通されている。この貫通孔31により、無酸素銅又は銅合金の溶融液中に、酸素センサプローブ11を漬けたときに、キャップ30内に溶融液が侵入可能である。
(固定電解質)
前記固体電解質管27に使用される酸素イオン伝導性固体電解質としては9モル%のマグネシア(MgO)がドープされたジルコニア(ZrO2)が用いられる。
参考例においては、ジルコニア固体電解質は、酸素イオンの電導体として機能し、ジルコニア固体電解質を、溶融無酸素銅又は溶融銅合金に接触させることにより、基準極と溶融する溶融無酸素銅又は溶融銅合金中の酸素分圧の差によって、起電力が発生する。ジルコニア(ZrO2)単体を用いた場合、酸素濃淡電池の起電力は生ずることはないが
、上記酸化物であるマグネシア(MgO)を添加することにより、酸素濃淡電池の起電力が発生する。
(基準極)
参考例の基準物質28としては、下記のCr/Cr系、Fe/FeO系、Mo/MoO系のいずれかの金属と該金属の酸化物との混合物が用いられ、その質量比は、金属:金属酸化物=9:1とされている。
(1) クロム(Cr)と酸化クロム(Cr
(2) Fe(鉄)と酸化鉄(FeO)
(3) Mo(モリブデン)とMoO(酸化モリブデン)
これらの金属及び金属酸化物は、いずれも、無酸素銅又は銅合金の溶融温度である1000℃〜1500℃では、溶融しないものが選択されており、測定温度においては常に固相を呈する。ちなみに、クロムの融点は1905℃、鉄は1535℃、モリブデンは2622℃である。
いずれの基準極を使用するか、すなわち、いずれの基準極を備えた酸素センサプローブ11を使用するかは、無酸素銅又は銅合金中に含まれていると予測される酸素濃度のレベル、すなわち、酸素分圧のレベルに応じて決定される。
この予測される酸素濃度の値(予測値)は厳密なものではなく、無酸素銅又は銅合金の製造条件である製造工程において、溶融温度、溶融時間、或いは、混合する他の金属の混合割合等に基づいて予測される値であって、大きさのレベルを示すものである。なお、精錬工程で作られる粗銅は酸素濃度が0.2%以下であり、この後、電気銅を経てタフピッチ銅にされた場合、酸素濃度は0.02%程度となっている。このタフピッチ銅の溶融銅に対して酸素をさらに取り除いたものが無酸素銅となる。従って、無酸素銅の酸素濃度のレベルを予測することは容易にできる。又、過去の無酸素銅又は銅合金の製造工程における、溶融温度、溶融時間、或いは、混合する他の金属の混合割合等の製造実績をデータベース化したものから、予測値を選択してもよい。
次に、いずれの基準極を選択するかを具体的に説明する。
表1は、1150℃における金属/金属酸化物の平衡酸素分圧を示す。
Figure 0004718264
なお、表1において、「Ni/NiO」は、酸素濃度が10ppm以下ではなく、一般の溶融銅の酸素分圧、又は酸素濃度の測定の場合に使用されている従来の基準極である。
表2は、各金属/金属酸化物を固体基準極とし、1150℃において、銅中の酸素濃度が異なる場合の酸素センサの起電力を示している。
Figure 0004718264
表2に示すように、無酸素銅又は銅合金中の酸素濃度が、150ppm、0.5ppm、0.005ppmの場合における酸素分圧(すなわち、前述した酸素分圧のレベル)は、それぞれ10−8atm、10−13atm、10−17atmである(図4参照)。
表1に示した、金属/金属酸化物の平衡酸素分圧と対比すると、Fe/FeOは、1.97×10−13、Mo/MoOは、4.88×10−13であるため、銅中の酸素濃度0.5ppmの10−13のレベルと同じ程度であることが分かる。このため、銅中の酸素濃度が0.5ppmを含むレベルでは、Fe/FeO又はMo/MoOを基準極として選ぶと、起電力が小さくなることが分かる。
又、表1に示した、金属/金属酸化物の平衡酸素分圧と対比すると、Cr/Crは、1.64×10−19であるため、銅中の酸素濃度0.005ppmの10−17のレベルに近い程度であることが分かる。このため、銅中の酸素濃度0.005ppmを含む小さなレベルでは、このCr/Crを基準極として選ぶと、起電力が小さくなることが分かる。
そして、無酸素銅又は銅合金中の酸素濃度が、150ppm、0.5ppm、0.005ppmの場合、各金属/金属酸化物の組み合わせを基準極とした場合、酸素センサの起電力は、表2の通りとなる。
このように、測定温度(例えば、1150℃)における測定極の予測される酸素分圧のレベル(すなわち、酸素濃度のレベル)と、基準極の平衡酸素分圧が同じ程度、もしくは近いレベルのものを選択することにより、起電力の絶対値が小さい基準極を選択できることになる。
ここで、酸素センサ素子25の起電力の絶対値をできるだけ小さくするのが良い理由を述べる。
この理由は、酸素センサ素子25の起電力が大きくなると、酸素イオン伝導性固体電解質中において、酸素濃度が濃い方から薄い方に電気化学的な漏れ(短絡)が生じるためである。又、酸素濃度差が大きいと、酸素センサのガスライン(酸素センサプローブ11内において、空気が存在する空間域をいう)等から、溶融液中にガスの漏れの影響があり、測定を開始してから(すなわち、溶融銅に漬けてから)の起電力が一定とならずに安定せず、測定精度が悪くなる。
一方、基準極と測定極(無酸素銅又は銅合金)とが同じ程度(レベル)の濃度のものを用いると、発生する起電力が小さくなり、前述した電気化学的な漏れや、ガスラインからの漏れの影響を小さくでき、測定開始してからの起電力が安定するため、早期に測定ができる。
0.5ppmの場合は、測定する起電力の絶対値は、Fe/FeOと、Mo/MoOが同じ程度のレベルであり、これらの起電力の絶対値が、Cr/Crよりも小さいため、この2つのいずれかを基準極とする酸素センサが選択される。
又、0.005ppmの場合、Cr/Crが他の基準極よりも絶対値が小さいため、Cr/Crを基準極とする酸素センサが選択される。
なお、無酸素銅ではない一般の銅の場合、150ppmの酸素濃度の場合には、基準極としては、Ni/NiOの起電力の絶対値が小さいため、Cr/Crを基準極とする酸素センサがよい。
(接続電極26)
接続電極26は、本参考例では、モリブデンからなるがこの材質に限定されるものではない。接続電極26は、無酸素銅又は銅合金とは反応又は溶解しないものを選択すればよい。
次に、酸素センサプローブ11の原理について説明する。
固体電解質管27の両側に存在する基準極と測定極中における酸素濃度又は酸素分圧が異なる場合、基準極と測定極との間に発生する起電力Eは下記に示すネルンストの式に基づいて算出される。
Figure 0004718264
但し、Eは理論起電力、Rは気体定数、Fはファラデー定数及びTは絶対温度を表す。又、
Figure 0004718264
は基準極側における酸素濃度又は酸素分圧を表す。
Figure 0004718264
は測定極側における酸素濃度又は酸素分圧を表す。
このネルンストの式を用いることにより、一方の酸素濃度又は酸素分圧と温度が既知の場合には、発生した起電力から他方の酸素濃度又は酸素分圧を演算することができる。従って、酸素センサプローブ11としての機能を果たすことができる。
さて、例えば、無酸素銅又は銅合金の溶融液中の酸素濃度を測定する場合には、酸素センサプローブ11を溶融液の方へ向け、そのキャップ30部分を溶融液中へ漬ける。その状態で、酸素センサ素子25において起電力(E)が測定されると共に、熱電対23によって溶融液の温度(T)(すなわち、測定温度)が測定される。又、固体電解質管27の一方の側における酸素濃度は既知である。従って、酸素センサプローブ11の演算器15において、前記ネルンストの式に基づき溶融液中の酸素濃度が演算され、濃度又は分圧表示部17に表示される。又、溶融液の温度は熱電対23によって測定され、演算器15で演算されて温度表示部16に表示される。
以上詳述した参考例によれば、次のような効果が発揮される。
参考例では、測定極である無酸素銅や銅合金の予測される酸素濃度、すなわち、酸素分圧のレベルに応じて、酸素センサ素子25の起電力の絶対値を小さくする基準極が選択されるため、電気化学的な漏れや、ガスラインからの漏れの影響を小さくできる。この結果、早期に起電力が安定するため、早期に測定ができる。
・ 例えば、予測される無酸素銅や銅合金の酸素濃度が、0.5ppm程度の場合、すなわち、酸素分圧のレベルが10−13のレベルの場合は、Fe/FeOと、Mo/MoOのいずれかを基準極とすれば、酸素センサの起電力の絶対値を小さくできる。この結果、早期に起電力が安定するため、早期に測定ができる。
・ 又、予測される無酸素銅や銅合金の酸素濃度が、0.005ppm程度の場合、酸素分圧のレベルが10−17のレベルの場合は、Cr/Crを基準極とすれば、酸素センサの起電力の絶対値を小さくできる。この結果、早期に起電力が安定するため、早期に測定ができる。
・ 又、表2に示すように銅の酸素濃度が、150ppm程度と予測される場合、すなわち酸素分圧のレベルが10−8のレベルと予測される場合は、Ni/NiOを基準極として選択すれば、銅用酸素センサの起電力の絶対値を小さくできる。この結果、早期に起電力が安定するため、早期に測定ができる。
・ 図5は、Ni/NiO、Cr/Crをそれぞれ基準極として、Ni/NiOを比較例1とし、Cr/Crを、実施例1として無酸素銅の溶融液に浸したときの経過時間と、起電力の測定試験の結果を示している。なお、測定温度は1150℃である。
同図に示すように、比較例1では、測定開始してから起電力が安定していないことが分かり、その結果、測定精度が悪いことが分かる。一方、実施例1では、早期に起電力が安定するため、早期に安定した起電力を測定できる。
(実施形態)
次に、本発明を具体化した実施形態を図6、図7を参照して説明する。図6は、ガスを基準極とする酸素センサ150を構成する酸素センサの概略構成を示す説明図である。
酸素センサ150は、演算器110、接続端子120、酸素センサ素子125、温度センサ140を備えている。図6において、酸素センサ素子125は、外殻チューブ126と、内殻チューブ134を備えている。外殻チューブ126は、アルミナからなる。外殻チューブ126の先端は、酸素イオン伝導性固体電解質(以下、単に固体電解質という)127にて、閉塞されている。該固体電解質127は、外殻チューブ126の軸心方向に沿ってその先端側へ延出されている。固体電解質は、本実施形態では、9モル%のマグネシア(MgO)がドープされたジルコニア(ZrO2)が用いられる。
固体電解質127の上部と、外殻チューブ126の先端は、アルミナからなるキャップ128にて覆われている。さらに、外殻チューブ126の下端部の一部と、キャップ128と、固体電解質127の下端周面は、アルミナセメントからなる覆い部材129にて覆われている。固体電解質127の下端面は、露出されている。又、キャップ128の下端面と、固体電解質127と、覆い部材129とにより囲まれる空間、及び、キャップ128の上端面と、外殻チューブ126と、覆い部材129とにより囲まれる空間は、グラスシール130,131によりシールされている。
外殻チューブ126内の空間に臨む固体電解質127の上面には、多孔質の白金電極132が形成されている。外殻チューブ126内には、電導性の内殻チューブ134が挿入配置されている。内殻チューブ134は、本実施形態ではステンレスに形成されている。内殻チューブ134の下端は、白金電極132に接するように配置されており、白金電極132内は基準極となるガスが導入される。そして、導入されたガスは、白金電極132内を通って、外殻チューブ126と内殻チューブ134との間の空間を介して、外部へ導出される。又、白金電極132は、内殻チューブ134と接することにより、電気的に接続されている。白金電極132、外殻チューブ126は接続部材に相当する。
又、酸素センサ素子125の内殻チューブ134は、演算器110に対して電気的に接続されており、酸素センサ素子125の検出信号を演算器110に入力可能である。演算器110は、前記参考例の演算器15と同一構成であるため、その詳細な説明を省略する。
接続端子120は、アルミナからなるチューブ121を備えている。チューブ121の下端は、導電性のキャップ122により閉塞されている。本実施形態では、キャップ122は、グラファイトからなる。又、チューブ121内には、導電性ロッド123が挿入されており、キャップ122に対して電気的に接続されている。導電性ロッド123は、演算器110に対して電気的に接続されている。そして、図6に示すように、接続端子120は溶融銅Dに漬けることが可能である。
導電性ロッド123,キャップ122は接続部材に相当する。
又、温度センサ140は、図示しない熱電対からなり、耐熱材にて覆われて、溶融銅Dに漬けることが可能である。温度センサ140は、演算器110に温度検出信号の入力が可能である。
さて、実施形態の基準極について説明する。
本実施形態の基準物質である基準極としては、下記のH/O/Ar系、CO/CO/Ar系の混合ガスが用いられる。
(1) 4%H−0.5%O−95.5%Ar(以下、混合ガスAという)
(2) 10%CO−0.1%CO−89.9%Ar(以下、混合ガスBという)
いずれの基準極を使用するか、すなわち、いずれの基準極を備えた酸素センサ素子125を使用するかは、無酸素銅又は銅合金中に含まれていると予測される酸素濃度のレベル、すなわち、酸素分圧のレベルに応じて決定される。
この酸素濃度の値(予測値)は、前記参考例と同様に予測される。
次に、いずれの基準極を選択するかを具体的に説明する。
表3は、1150℃における混合ガスの平衡酸素分圧を示す。
Figure 0004718264
表4は、各混合ガスを基準極とし、1150℃において、銅中の酸素濃度が異なる場合の酸素センサの起電力を示している。
Figure 0004718264
なお、表4において、「基準極の空気」は、酸素濃度が10ppm以下ではなく、一般の溶融銅の酸素分圧、又は酸素濃度の測定の場合に使用されている従来の基準極である。
表4に示すように、無酸素銅又は銅合金中の酸素濃度が、150ppm、0.5ppm、0.005ppmの場合における酸素分圧(すなわち、前述した酸素分圧のレベル)は、それぞれ10−8atm、10−13atm、10−17atmである。
表3に示した、混合ガスの平衡酸素分圧と対比すると、混合ガスAは、4.36×10−14であるため、混合ガスBよりも、銅中の酸素濃度0.5ppmの10−13のレベルと混合ガスBよりも近いレベルであることが分かる。このため、銅中の酸素濃度が0.5ppmを含むレベルでは、混合ガスAを基準極として選ぶと、起電力が小さくなることが分かる。
又、表3に示した、混合ガスの平衡酸素分圧と対比すると、混合ガスBは、5.62×10−18であるため、銅中の酸素濃度0.005ppmの10−17のレベルに近い程度であることが分かる。このため、銅中の酸素濃度0.005ppmを含むレベルでは、混合ガスBを基準極として選ぶと、起電力が小さくなることが分かる。
そして、無酸素銅又は銅合金中の酸素濃度が、150ppm、0.5ppm、0.005ppmの場合、空気、混合ガスA,Bを基準極とした場合、酸素センサの起電力は、表4の通りとなる。
このように、測定温度(例えば、1150℃)における測定極の予測される酸素分圧のレベル(すなわち、酸素濃度のレベル)と、基準極の平衡酸素分圧が同じ程度、もしくは近いレベルのものを選択することにより、起電力の絶対値が小さい基準極を選択できることになる。
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
実施形態では測定極である無酸素銅や銅合金の予測される酸素濃度のレベルに応じて、酸素センサ素子25の起電力の絶対値を小さくする基準極が選択されるため、電気化学的な漏れや、ガスラインからの漏れの影響を小さくできる。この結果、早期に起電力が安定するため、早期に測定ができる。
・ 例えば、無酸素銅や銅合金の酸素濃度のレベルが、0.5ppm程度の場合は、混合ガスAを基準極とすれば、酸素センサの起電力の絶対値を小さくできる。この結果、早期に起電力が安定するため、早期に測定ができる。
・ 又、無酸素銅や銅合金の酸素濃度のレベルが、0.005ppm程度の場合は、混合ガスBを基準極とすれば、酸素センサの起電力の絶対値を小さくできる。この結果、早期に起電力が安定するため、早期に測定ができる。
・ 又、表4に示すように予測される銅中の酸素濃度が、150ppm程度と予測される場合、すなわち、酸素分圧のレベルが10−8のレベルと予測される場合は、空気を基準極として選択すれば、酸素センサの起電力の絶対値を小さくできる。この結果、早期に起電力が安定するため、早期に測定ができる。
・ 図7は、空気、混合ガスAをそれぞれ基準極として、空気を比較例2とし、混合ガスAを、実施例2として無酸素銅の溶融液に浸したときの経過時間と、起電力の測定試験の結果を示している。なお、測定温度は1150℃である。なお、比較例2では、図7に示すように、経過時間が、0.8h〜1.4hの間は、空気に代えて混合ガスAを供給した場合であり、この間は、実施例2と同様の起電力の測定ができたことを示している。
そして、比較例2においては、図7に示すように、空気(図7ではAir基準)と記載されている区間では、いずれも、測定された起電力は、測定開始から右下がりに変位しており、起電力が安定していないことが分かり、その結果、測定精度が悪いことが分かる。一方、実施例2では、早期に起電力が安定するため、早期に安定した起電力を測定できる。
・ 本実施形態では、固体電解質127の外殻チューブ126内の空間に臨む面には、多孔質の白金電極132を備え、白金電極132に対して、内殻チューブ134から基準極である混合ガスを導入するようにした。この結果、多孔質の電極内に混合ガスが入りこみ、混合ガスと酸素イオン伝導性固体電解質との酸素イオンの伝導を行い易くすることができる。
なお、本発明の実施形態は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように変更してもよい。
・ 前記実施形態及び前記実施例では、測定温度は、1150℃としたが、この温度に限定するものではなく、無酸素銅、又は銅合金の溶融温度の範囲内、1000℃〜1500℃の範囲内であればよい。
前記実施形態において、H/O/Ar系、CO/CO/Ar系の混合ガスのそれぞれ成分の混合割合を変更すること。
(a)は参考例の酸素センサを示す概略正面図、(b)は酸素センサプローブとホルダーとを分解して示す概略正面図、(c)は演算器を示す概略背面図。 (a)は参考例における酸素センサプローブの要部を破断して示す正面図、(b)は(a)の状態でキャップを取り外したときの側面図。 参考例の酸素センサ素子を拡大して示す断面図。 酸素分圧と酸素濃度との関係を示す説明図。 溶融液中への酸素センサプローブの浸漬時間と起電力及び温度との関係を示すグラフ。 実施形態の酸素センサの概略断面図。 溶融液中への酸素センサプローブの浸漬時間と起電力及び温度との関係を示すグラフ。
符号の説明
13…接続ケーブル(接続部材)26…接続電極(接続部材)
27…固体電解質管(酸素イオン伝導性固体電解質)
28…基準物質(基準極)、110…演算器、
125…酸素センサ素子、126…外殻チューブ(接続部材)、
127…酸素イオン伝導性固体電解質、132…白金電極(接続部材)、
134…内殻チューブ、150…酸素センサ。

Claims (2)

  1. 酸素濃度が10ppm以下の無酸素銅又は銅合金の溶融液中の酸素分圧を測定するための無酸素銅用酸素センサであって、
    /O/Ar系、CO/CO/Ar系のいずれかの混合ガス系から選択された基準極と、
    該基準極と、前記無酸素銅又は銅合金に接触される酸素イオン伝導性固体電解質と、
    前記基準極と、前記無酸素銅又は銅合金に電気的に接続される接続部材を備えたことを特徴とする無酸素銅用酸素センサ。
  2. 外殻チューブと該外殻チューブ内に挿入配置した内殻チューブを備え、前記外殻チューブの先端を酸素イオン伝導性固体電解質により閉塞し、該酸素イオン伝導性固体電解質の外殻チューブ内の空間に臨む面には、多孔質の電極を備え、前記多孔質の電極に対して、前記内殻チューブから基準極となる混合ガスを導入することを特徴とする請求項1に記載の無酸素銅用酸素センサ。
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