JP4718217B2 - 接着性に優れた樹脂膜被覆鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、自動車部品等に使用され、鋼板同士や鋼板と他の被着体とを接着剤によって接着する工程を経る鋼板に関するものである。さらに詳しくは、接着剤層との接着性に優れた樹脂膜で鋼板表面を被覆した樹脂膜被覆鋼板に関するものである。
従来の自動車用の樹脂膜被覆鋼板は、プレス加工時の潤滑油塗布工程を省略できるように潤滑性を重視した樹脂膜が被覆されたものが多かった。また、プレス加工後のアルカリ洗浄工程で樹脂膜を剥離させることにより電着塗装性を向上させるため、アルカリ脱膜性も兼ね備えた樹脂膜が形成されることも多い。
ところで、最近の自動車製造においては、スポット溶接やアーク溶接と接着剤を併用することで車体剛性や強度の向上等を図るため、鋼板以外の異種素材と鋼板とを接合する場合のみならず、車体組み立て時の鋼板同士の接合においても、接着剤を用いた接合法が多く採り入れられるようになってきた。接着剤そのものの開発・改良も盛んに行われているが、接合部分の接合強度を高めるためには樹脂膜と接着剤との界面での接着力を上げることも重要であり、接着性に優れた樹脂膜被覆鋼板が要求されている。
例えば、特許文献1には、特定の酸価のアクリル系樹脂で被覆した接着性の優れたアルカリ可溶型樹脂皮膜被覆亜鉛系めっき鋼板が開示されている。しかし、樹脂膜の接着性について改良の余地があった。
特開平9−170059号公報
そこで本発明では、自動車組み立て工程において用いられる接着剤との接着性に優れた樹脂膜被覆鋼板およびその製造方法を提供すること、さらに、潤滑性やアルカリ脱膜性をも兼備する樹脂膜被覆鋼板を提供することを課題として掲げた。
本発明は、表面に接着剤が塗布されて被着体(接着相手)と接着する工程に用いられ、この接着剤の層が形成されることとなる最表層に樹脂膜が被覆されてなる樹脂膜被覆鋼板であって、前記樹脂膜は、アミノ樹脂および/またはフェノール樹脂からなる付加縮合型樹脂と、バインダー樹脂とを質量比で70:30〜40:60となるように含み、前記付加縮合型樹脂は、縮合可能な未反応のメチロール基および/またはその反応性保護基を有する状態で樹脂膜中に存在していることを特徴とする接着性に優れた樹脂膜被覆鋼板である。
上記付加縮合型樹脂はメラミン樹脂および/またはフェノール樹脂であることが好ましい。一方、バインダー樹脂がカルボキシル基含有アクリル樹脂であると、アルカリ脱膜性や潤滑性に優れた樹脂膜被覆鋼板となる。樹脂膜が、さらに、シランカップリング剤を含むものであると、鋼板と樹脂膜との密着性が向上する。この樹脂膜の付着量は0.2〜3.0g/m2であることが好ましい。
なお、本発明には樹脂膜被覆鋼板の製造方法も含まれ、この製法においては、樹脂膜の原料組成物を鋼板に塗布した後の乾燥工程を、到達板温が120℃以下となるように行うところに特徴がある。
本発明の樹脂膜被覆鋼板の樹脂膜には、未反応のメチロール基(反応性保護基も含む)を有する付加縮合型樹脂が特定量含まれているので、接着剤が樹脂膜表面に塗布された後の加熱によって、該樹脂膜中のメチロール基が接着剤や架橋剤の官能基と反応して、接着剤層と化学的な結合を形成する。また、自己縮合反応によっても樹脂膜の強度を高める。これらの効果が総合されて、接着剤層と樹脂膜との間に強固な接合状態が構築されるので、樹脂膜被覆鋼板と被着体との接着力を高めることができた。よって、例えば、鋼板同士を接合した場合は、強度、耐久性等に優れた自動車車体用構造部材として好適に使用できる。また、本発明の製造方法は、付加縮合型樹脂のメチロール基を未反応のまま残存させることができ、本発明の樹脂膜被覆鋼板を簡便に得ることができる。
本発明に係る樹脂膜被覆鋼板が享有する最大の特徴は、従来の樹脂膜被覆鋼板に比べて、接着性が改善されている点にある。すなわち、樹脂膜中には、未反応のメチロール基および/またはその反応性保護基を有する付加縮合型樹脂が大量に含まれているので、接着剤がこの樹脂膜表面に塗布された後の加熱工程(例えば、電着塗料焼付け工程)で、樹脂膜中のメチロール基(保護のはずれたメチロール基も含む)が、樹脂に元々含まれている遊離のホルムアルデヒドや、付加縮合型樹脂の付加縮合反応によって生成したホルムアルデヒドを介して、接着剤や架橋剤に含まれる官能基(例えば水酸基)と反応して、接着剤層構成樹脂と付加縮合型樹脂とが化学的に結合する。また、付加縮合型樹脂の自己縮合反応によって樹脂膜の強度が向上し、接着剤層と樹脂膜とが強固に接合することとなって、相手方の被着体と樹脂膜被覆鋼板との接着力が増大するのである。
上記付加縮合型樹脂とは、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類の付加反応と、メチロール基の縮合反応の繰り返しによって三次元硬化していく樹脂であり、本発明ではアミノ樹脂やフェノール樹脂が好適に用いられる。アミノ樹脂としては、尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂等が挙げられ、これらの共縮合タイプの樹脂であってもよい。フェノール樹脂としては、変性フェノール樹脂も使用可能であるが、メチロール基を多数有するレゾール型のフェノール樹脂が好ましい。これらの樹脂の持つメチロール基は、メタノール、ブタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類でアルキルエーテル化されて保護されていてもよい。本発明の樹脂膜被覆鋼板の表面に接着剤層が形成された後の加熱工程(140℃以上)では、脱アルコールしてメチロール基に戻り、付加縮合反応を行えるようになるからである。140℃以上でメチロール基から脱離することができれば他の化合物によって、メチロール基を保護してもよい。これらが本発明でいう「反応性保護基」の意味である。
アミノ樹脂やフェノール樹脂は多数市販されており、例えば、メラミン樹脂には、住友化学社製の「スミマール(登録商標)」シリーズや、三井サイテック社製の「サイメル(登録商標)」シリーズがあり、フェノール樹脂は、住友ベークライト社、大日本インキ化学工業社、三井化学社等が上市している。
上記付加縮合型樹脂は、水溶性または水分散体であることが望ましい。樹脂膜を形成するときの原料組成物は水溶液かまたは水分散体であることが環境の点から好適であり、水溶性または水分散体の付加縮合型樹脂であれば、原料組成物に均一に混合させることが容易だからである。メチロール基が多くなれば水溶性となるので、市販の各種グレードの中から、水溶性の付加縮合型樹脂を選択すればよい。
本発明の樹脂膜被覆鋼板の樹脂膜には、上記付加縮合型樹脂とは別のバインダー樹脂が含まれる。自己縮合型樹脂のみで樹脂膜を形成すると、自動車分野用の樹脂膜被覆鋼板としての必要特性の全てを満足させることが難しいためである。バインダー樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カルボキシル基含有変性ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂等が使用可能である。
これらの中でも、潤滑性とアルカリ脱膜性を樹脂膜に付与するには、カルボキシル基含有アクリル樹脂の使用が好ましい。カルボキシル基含有アクリル樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとを共重合させることで得ることができ、また、三井化学社や大日本インキ化学工業社等が上市している。前記した通り、樹脂膜の原料組成物は水溶液か水分散体であるのが好ましいので、カルボキシル基含有アクリル樹脂も、水溶性のものか、水分散体を利用することが好ましい。
カルボキシル基含有アクリル樹脂の酸価は、50〜200mgKOH/gが好ましい。酸価が50mgKOH/gより小さいとカルボキシル基が少ないため、アルカリ脱膜性が不充分となることがある。カルボキシル基は、鋼板表面に存在する水酸基と水素結合して、樹脂膜と鋼板との結合力を高める作用も有してしているが、カルボキシル基が少ないとこの効果も充分に発揮されない。ただし、200mgKOH/gを超えると、プレス加工性に悪影響が出ることがある。酸価はKOHを用いた常法による滴定で測定できる。
上記アクリル樹脂のカルボキシル基は、その一部が塩となっていてもよい。塩を形成するには、NaまたはK等を含むアルカリ金属化合物を用いるとよい。アルカリ金属化合物ではなく、アミン類、アンモニア、多価金属化合物では、アルカリ脱膜性が充分発現しないため好ましくない。アルカリ金属化合物としては、水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)や、炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)が挙げられる。
このときの中和度は、アクリル樹脂中の全カルボキシル基1当量に対し、0.2〜0.8当量が好ましい。カルボキシル基のトータル量にかかわらず、この中和度が0.2より小さいと、エマルジョンタイプのアクリル樹脂を用いた場合に、乳化安定性が劣ることがある。一方、中和度が0.8を超えると、アルカリ脱膜性はそこそこ発揮されるが、造膜性やプレス加工性,潤滑性等が悪化してしまい、本発明の目的とする樹脂膜を形成することはできないことがある。より好ましい中和度の下限は0.4、上限は0.7である。
上記カルボキシル基含有アクリル樹脂としては、重量平均分子量が5000〜30000の範囲のものを使用することが好ましい。この範囲であれば、接着性、アルカリ脱膜性および潤滑性のバランスが良好となる。
付加縮合型樹脂とバインダー樹脂との比率は、質量比で、70:30〜40:60とする。つまり、両者の合計量を100質量%としたときに、付加縮合型樹脂を40〜70質量%とする。付加縮合型樹脂の量が40質量%より少ないと、前記したメカニズムによる接着性改善効果が発現しない。しかし、70質量%を超えると、アルカリ脱膜性が低下するため好ましくない。
本発明の樹脂膜被覆鋼板の樹脂膜中には、シランカップリング剤が含まれていてもよい。シランカップリング剤は、加水分解性のアルコキシ基が鋼板表面の水酸基と反応して結合すると共に、官能基がバインダー樹脂中の官能基(例えば、上記カルボキシル基含有アクリル樹脂であればカルボキシル基)と反応して、鋼板と樹脂膜との密着性向上に効果的である。
シランカップリング剤としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(例えば、信越化学工業社製「KBM−303」)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(例えば、信越化学工業社製「KBM−403」)、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(例えば、信越化学工業社製「KBE−402」)、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(例えば、信越化学工業社製「KBE−402」)等のエポキシ基含有シランカップリング剤や、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(例えば、信越化学工業社製「KBM−602」)、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(例えば、信越化学工業社製「KBM−603」)、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(例えば、信越化学工業社製「KBE−603」)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(例えば、信越化学工業社製「KBM−903」)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(例えば、信越化学工業社製「KBE−903」)等のアミノ基含有シランカップリング剤が好ましい。エポキシ基やアミノ基は、カルボキシル基との反応性を有しており、バインダー樹脂としてカルボキシル基含有アクリル樹脂を用いたときには、樹脂膜と鋼板との密着性が高まるからである。
シランカップリング剤を使用する場合には、樹脂膜中に、シランカップリング剤が3〜10質量%含まれるようにすることが好ましい。シランカップリング剤が3質量%より少ないと添加効果が発揮されず、10質量%を超えると、鋼板と樹脂膜との密着性が高くなりすぎて、アルカリ脱膜性が低下する傾向にある。
樹脂膜中には、より一層の潤滑性と脱膜性を達成するために、ワックスやフッ素樹脂を存在させてもよい。ワックスとしては、ポリエチレンワックス,酸化ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックス,カルナバワックス,パラフィンワックス,モンタンワックス,ライスワックス等公知のワックス類であれば、使用可能である。ワックスとしては、粒子径が0.1〜3μm程度の球形のポリエチレンワックスが最も好適であり、例えば、「KUE−1」、「KUE−5」、「KUE−8」(三洋化成工業社製)、「ケミパール(登録商標)」シリーズ(三井化学社製)の「W−100」、「W−200」、「W−300」、「W−400」、「W−500」、「W−640」、「W−700」等のような市販品を好適に用いることができる。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標)),ポリクロロトリフルオロエチレン,ポリフッ化ビニル,ポリフッ化ビニリデン,その他のフッ素系樹脂が使用できる。ワックスやフッ素樹脂は、変性ポリオレフィン樹脂の場合と同様に、水分散体の形態で使用することが推奨される。
ワックスおよび/またはフッ素樹脂は、両者の合計で、樹脂膜中、1〜20質量%(より好ましくは2〜10質量%)の範囲で用いることが好ましい。これらの量が少ないと、添加効果が発揮されず、逆に多過ぎると、得られる樹脂膜の耐食性が悪くなったり、脱膜性や塗装性が低下してしまうおそれがある。また、樹脂膜の原料組成物が水分散体である場合、安定性が低下することがある。
また、樹脂膜には、コロイダルシリカが含まれていてもよい。樹脂膜の耐食性が向上するからである。コロイダルシリカは、樹脂膜中、1〜30質量%の範囲で用いることが好ましい。30質量%を超えて使用すると、造膜性や脱膜性をはじめとする各種特性が悪化する可能性があるため好ましくない。より好ましいシリカ量は、5〜20質量%である。コロイダルシリカとしては、例えば、「スノーテックス(登録商標)」シリーズ(日産化学工業社製のコロイダルシリカ)の「OL」、「O」、「40」、「N」、「UP」等を好適に用いることができる。
本発明の樹脂膜被覆鋼板を製造するには、樹脂膜の原料組成物を調製し、これを鋼板に塗布・乾燥する方法を採用するのが好ましい。原料組成物は、付加縮合型樹脂、バインダー樹脂、必要により添加されるシランカップリング剤、ワックスおよび/またはフッ素樹脂、コロイダルシリカ等を、水溶液または水分散体の形態で適宜混合することで調製できる。固形分濃度は10〜30質量%程度が好適である。本発明の目的を阻害しない範囲で、希釈溶媒、皮張り防止剤、レベリング剤、消泡剤、浸透剤、乳化剤、造膜助剤、着色顔料、増粘剤、他の樹脂等を適宜添加してもよい。この原料組成物を鋼板に塗布する方法は特に限定されず、ロールコーター法、スプレー法、カーテンフローコーター法等が採用可能である。
塗布後には乾燥を行うが、本発明では、樹脂膜中にメチロール基および/またはその反応性保護基を存在させるところにポイントがあるので、付加縮合型樹脂が有するメチロール基および/またはその反応性保護基が反応してしまわないように、到達板温が120℃以下の条件でこの乾燥工程を行うことが必要である。ただし、原料組成物が水系の場合、水を速やかに乾燥させるためには、80℃以上、より好ましくは100℃以上で、適宜時間を選択して乾燥することが推奨される。
ここで、樹脂膜の厚み、すなわち鋼板上への樹脂の付着量は、0.2〜3.0g/m2 (乾燥後)とすることが好ましい。樹脂膜が薄いと、脱膜性は良好であっても、潤滑性や脱膜性等の特性が劣る場合があり、厚過ぎると脱膜性が劣り、さらに加工性も悪くなるおそれがあるからである。樹脂膜は、鋼板の片面のみにあっても、両面に形成されていても、いずれでもよい。本発明において樹脂膜が積層される鋼板は、めっき処理や化成処理等の公知の表面処理が施されていてもよい。
本発明の樹脂膜被覆鋼板は、通常、加工工程を経た後、被着体(接着相手)との接着工程に供される。被着体は、本発明の樹脂膜被覆鋼板、他の鋼板(被覆層があってもなくても構わない)、あるいは、異種素材(アルミニウム、ゴム、プラスチック等)部品等、特に限定されない。また樹脂膜上に形成されることとなる接着剤層に用いられる接着剤は特に限定されないが、自動車分野では、エポキシ系、ウレタン系、ポリ塩化ビニル系接着剤や、SBR等のゴム系接着剤が多用されている。
接着剤層形成後には、必要により溶接工程が行われ、その後のアルカリ脱脂工程で、不要部(表面に露出している部分)の樹脂膜が脱膜する。接着部分には樹脂膜が残存しているので、樹脂膜中のメチロール基および/または反応性保護基を反応させて接合強度を上げるため、少なくとも接合部分の加熱工程を行う必要がある。この加熱工程は、電着塗料焼付け工程と兼ねることも可能であり、反応促進のため、140℃以上で加熱することが望ましい。操業性と反応性の観点から、加熱時間は20分程度以下が適切である。
以下実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更実施は本発明に含まれる。
〔試験方法〕
下記実験例で用いた試験方法は下記の通りである。
(1)接着性
付着量1.5g/m2で防錆油を塗布した樹脂膜被覆鋼板同士を、接着面積25mm×25mmとなるように接着剤(付着量1.0〜1.5g/m2)で接着し、170℃で20分加熱硬化させる。接着剤には、自動車分野でスポットウェルドシーラーとして多用されるSBR(スチレン−ブタジエン系)ラテックスを用いた。硬化後の試料を25℃の室温になじむまで放冷し、剪断引張試験機において50mm/分の引張速度で、2枚の鋼板をそれぞれ逆方向に、接着状態が破壊されるまで引っ張る。破壊の形態が、接着剤層の凝集破壊である領域の面積率を目視で測定し、下記基準で評価した。凝集破壊でない領域とは、接着剤層と樹脂膜(鋼板)との界面破壊の領域である。凝集破壊領域の面積率が大きいほど、界面破壊領域の面積率が小さいので、接着剤層と樹脂膜との界面での接着力が非常に高いことを意味する。
◎:凝集破壊面積率が90%以上
○:凝集破壊面積率が70%以上、90%未満
△:凝集破壊面積率が50%以上、70%未満
×:凝集破壊面積率が50%未満
(2)アルカリ脱膜性
40℃に加温したアルカリ脱脂剤(「SD550」;日本ペイント社製)の2%水溶液の中に樹脂膜被覆鋼板を浸漬し、脱膜状態を観察した。脱膜性は、下記基準で評価した。
○:樹脂膜が完全に鋼板から剥離するまでに要した浸漬時間が60秒未満
△:樹脂膜が完全に鋼板から剥離するまでに要した浸漬時間が60秒以上、120秒未満
×:樹脂膜が完全に鋼板から剥離するまでに要した浸漬時間が120秒以上
(3)潤滑性
摺動試験装置を用い、加圧力500kgf/cm2(約4.9×107Pa)、引き抜き速度300mm/分で樹脂膜被覆鋼板を引き抜いたときの引き抜き荷重を測定し、この値と加圧力から、測定面の動摩擦係数(両面の平均値)を算出した。潤滑性の評価基準は下記のとおりである。
◎:動摩擦係数μ<0.04
○:0.04≦μ<0.06
△:0.06≦μ<0.08
×:0.08≦μ
〔基材〕
基材には、合金化溶融Znめっき鋼板(表ではGAと表記)、溶融Znめっき鋼板(表ではGIと表記)、冷延鋼板(表ではCRと表記)、電気Znめっき鋼板(表ではEGと表記)の4種類を無処理で用いた。冷延鋼板以外のZnめっき層の付着量は、いずれも、45g/m2とした。
〔樹脂膜の原料組成物〕
樹脂膜の原料組成物として用いた各成分は以下の通りである。
・カルボキシル基含有アクリル樹脂1(酸価100、Tg40℃、pH3.0のエマルジョン;「ミルボンド」;日油化学社製;表ではアクリル1と表記)
・カルボキシル基含有アクリル樹脂2(酸価190、Tg70℃、pH3.2のエマルジョン;表ではアクリル2と表記))
・塗料用ウレタン樹脂エマルジョン(表ではウレタンと表記)
・塗料用ポリエチレン樹脂エマルジョン(表ではポリエチレンと表記)
・メラミン樹脂(「スミマール(登録商標)M−40W」;住友化学社製;表ではメラミンと表記)
・フェノール樹脂(「スミライトレジン(登録商標)PR−53738WK」;住友ベークライト社製;表ではフェノールと表記)
・シランカップリング剤(「KBM−403」;信越化学工業社製)
・ワックス(「ケミパール(登録商標)W−700」;三井化学社製)
・フッ素樹脂(「テフロン(登録商標)30−J」;三井・デュポンフロロケミカル社製)
・コロイダルシリカ(「スノーテックス(登録商標)OL」;日産化学工業社製)
上記の各成分を表に示した配合比(ドライ)で混合し、樹脂膜の原料組成物を調製した。固形分濃度は20%と一定にした。
実験例1
この実験では、基材として合金化溶融Znめっき鋼板(GA)と冷延鋼板(表ではCRと表記)を用い、付加縮合型樹脂、バインダー樹脂、その他の樹脂の種類と量を変えて、特性に及ぼす影響を検討した。乾燥条件は100℃で1分、樹脂膜付着量は1g/m2と一定にした。結果を表1に示した。
Figure 0004718217
表1から明らかなように、適正量の付加縮合型樹脂がバインダー樹脂と組み合わされている場合には、接着性、脱膜性、潤滑性の全てが○以上となり、これら3特性のバランスが良好であった。
実験例2
この実験では、基材として前記GAを、付加縮合型樹脂としてメラミン樹脂60部を、バインダー樹脂として前記アクリル1を40部用い、シランカップリング剤、ワックス、フッ素樹脂、コロイダルシリカの配合量(これらを配合した分だけ、樹脂量を減らした)を変化させて、特性に及ぼす影響を検討した。また、樹脂膜付着量も変化させた。乾燥条件は、100℃で1分とした。結果を表2に示した。
Figure 0004718217
表2から明らかなように、樹脂膜の付着量が少ないと潤滑性が若干低下し、逆に多すぎりると、脱膜性が若干低下した。
実験例3
この実験では、基材を変えて特性評価を行った。結果を表3に示したが、いずれも良好であった。
Figure 0004718217
実験例4
この実験では、乾燥条件を変えて特性評価を行った。結果を表4に示したが、150℃以上で乾燥した場合、接着性が低下した。メチロール基の一部が樹脂膜の乾燥時に反応してしまったためであると考えられる。
Figure 0004718217
本発明の樹脂膜被覆鋼板は、鋼板同士や鋼板と他の被着体とを接着剤によって接着する工程を経る用途に用いられる。例えば、本発明の鋼板同士を接合した場合は、強度、耐久性等に優れた自動車車体用構造部材として好適に使用できる。

Claims (3)

  1. 表面に接着剤が塗布されて被着体と接着する工程に用いられ、この接着剤の層が形成されることとなる最表層に0.2〜3.0g/m 2 の付着量で樹脂膜が被覆されてなる樹脂膜被覆鋼板であって、前記樹脂膜は、アミノ樹脂および/またはフェノール樹脂からなる付加縮合型樹脂と、カルボキシル基含有アクリル樹脂であるバインダー樹脂とを質量比で70:30〜40:60となるように含むと共に、さらに、シランカップリング剤を樹脂膜中3〜10質量%含み、前記樹脂膜の原料組成物を鋼板に塗布した後の乾燥工程を到達板温が120℃以下になるように行うことにより、前記付加縮合型樹脂、縮合可能な未反応のメチロール基および/またはその反応性保護基を有する状態で樹脂膜中に存在させてなることを特徴とする接着性に優れた樹脂膜被覆鋼板。
  2. 上記付加縮合型樹脂が、縮合可能な未反応のメチロール基および/またはその反応性保護基を有するメラミン樹脂および/またはフェノール樹脂である請求項1に記載の樹脂膜被覆鋼板。
  3. 請求項1または2に記載の樹脂膜被覆鋼板の製造方法であって、樹脂膜の原料組成物を鋼板に塗布した後の乾燥工程を、到達板温が120℃以下となるように行うことを特徴とする接着性に優れた樹脂膜被覆鋼板の製造方法。
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