JP2000271538A - 層間密着性に優れるプレコート金属板 - Google Patents
層間密着性に優れるプレコート金属板Info
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Abstract
されても多層塗膜の層間剥離が発生することのない、層
間密着性に優れるプレコート金属板を提供する。 【解決手段】 2層以上の塗膜を有するプレコート金属
板において、接しあう2層の界面から下層側へ3μmの
範囲の塗膜の、C,O,NのXPS強度の合計に対する
NのXPS強度比が7〜25%でかつ、この範囲の塗膜
のメラミン反応率が40〜90%となるようにすること
で、下層中に十分なメラミンが存在しかつ、そのメラミ
ンが十分な反応性を有している状態とし、下層・上層間
の層間密着性を確保する。
Description
に使用される際に成形加工されても塗膜の層間剥離が発
生することのない、層間密着性に優れるプレコート金属
板に関する。
おいては、金属板を成形加工後に組立・塗装するという
従来のポストコート方式に代わって、あらかじめ塗装さ
れた金属板(プレコート金属板:PCMと略す)を成形
加工し、接合して製品とするプレコート方式が多く採用
されるようになってきた。その使用により、需要家での
塗装工程が省略でき、塗装廃棄物等による公害・環境問
題の解決が図れ、さらに塗装のためのスペースを他の用
途に転活用できるなどのメリットがあることから、その
需要量は着実にのびてきている。PCMの表面塗装は、
2コート2ベーク以上の仕様が一般的であり、2コート
2ベーク仕様では、主に原板との密着性や耐食性を司る
プライマー層と、硬度や加工性、耐汚染性等の表層機能
を司るトップコート層からなる。PCMを需要家にて成
形加工する際、金型により塗膜が擦れ、最も層間密着性
の低い界面にて塗膜が剥離することがある。2コート2
ベークの仕様では、プライマー−トップコート層界面で
剥離することがある。しかしこれまで、この界面剥離を
起こさないための塗料設計の定量的な指針は存在しなか
ったため、経験や勘に頼った塗料設計や製造条件の設定
を行わざるを得なかった。
を確保する方法を確立し、それに基づき層間密着性に優
れるPCMを安定的に提供しようとするものである。
めには、層間での密着機能を明らかにする必要があると
考え、先ずポリエステル/メラミン系プライマー及びト
ップコートによる、2コート2ベーク仕様のプレコート
鋼板におけるプライマー・トップコート間でのメラミン
の移動現象について検証した。ポリエステル/メラミン
系プライマー(クリアー)を塗布・乾燥した上に、メラ
ミンフリーポリエステル樹脂(クリアー)を塗布・乾燥
したモデルサンプルについて、トップコート塗膜中への
プライマー層からのメラミンの移動の有無を調べたとこ
ろ、XPSによりトップコート塗膜表面にメラミン起因
のNが検出され、トップコート塗膜の粘着性も失われた
ことから、遊離メラミンのトップコート塗膜中への移動
及びポリエステルとの硬化反応が起こっていることがわ
かった。つまり、下層塗料へメラミンを添加した系で
は、界面の密着には下層メラミンの上層への拡散及び反
応が寄与していることがわかった。この知見から、下層
塗膜へメラミンを添加し、有効的に上層との反応を起こ
させることが層間密着性の向上に役立つと考え、メラミ
ンの添加量、反応条件等について種々検討することによ
り本発明を完成させた。
う2層の界面から下層側へ3μmの範囲の塗膜の、C,
O,NのXPS強度の合計に対するNのXPS強度比が
7〜25%でかつ、この範囲の塗膜のメラミン反応率が
40〜90%であることを特徴とする、層間密着性に優
れるプレコート金属板である。
下層塗膜中の上層塗膜と接する近傍に、十分なメラミン
が存在し、かつそのメラミンが十分な反応性を有してい
ることが有用である。メラミンの存在量はXPSにより
規定される。界面から下層側へ3μmの範囲の塗膜の、
C,O,NのXPS強度の合計に対するNのXPS強度
比が7〜25%であれば、十分なメラミンが存在してい
るといえる。XPSの測定は、下層のこの範囲内の塗膜
が表面にでるまで塗膜を上層側から研削してから行えば
よい。XPSでのNの強度比は、塗膜中のメラミン存在
量の指標であり、XPSでのNの強度比が高いほど、メ
ラミンの存在率が高いといえる。存在率が100%のと
き、Nの強度比は約25%となる。
の測定方法について説明する。この範囲内の塗膜をヤス
リで削りとり粉末を採取し、13C固体NMRの測定(デ
カップリング法)によりメラミン反応率を以下のように
算出する。メラミン中のメチル基の信号(55ppm の位
置に出る)強度S2′及びポリエステルのアルキル基の
信号(15〜45ppm の位置に出る)強度S1′の強度
比S2′/S1′を測定する。通常、硬化前の塗料のメ
ラミン中のメチル基の信号強度S2及びポリエステルの
アルキル基の信号強度S1についてはS2/S1=0.
15であるので、成膜後の塗膜のメラミン反応率は、1
−(S2′/S1′)/(S2/S1)で計算できる。
下層のこの範囲の塗膜中のメラミン反応率が90%を越
えている場合、硬化がすすみすぎており、上層の樹脂と
の反応に供されるメラミン量が不足するため、仮にメラ
ミン存在率が十分に高くても層間密着性は良くない。本
来、層間密着性に寄与するのは、上層を塗布、加熱する
前の下層内でのメラミン反応率であるが、加熱前のメラ
ミン反応率の層間密着性を失わない上限が、加熱後のメ
ラミン反応率の90%に相当するため、上層形成後の塗
膜解析でも層間密着性は推定できる。メラミン反応率が
40%未満の場合は、上層を塗布、加熱する前にはそれ
未満であり、下層の硬化が不十分で、上層塗料を塗布し
たときに溶解するため好ましくない。
板、熱延鋼板、各種めっき鋼板(例えば亜鉛めっき、亜
鉛合金めっき、錫めっき、鉛めっき、アルミニウムめっ
き、クロムめっき鋼板など)、ステンレス板、チタン
板、アルミニウム板などが使用でき、これらをそのまま
あるいは通常の化成処理を施して使用すればよい。ま
た、金属板と塗膜との密着性を向上させるために、金属
板の下塗り塗料として、例えば、ナイロン、ポリアクリ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポ
リウレタン、エポキシ、ポリアミド、フェノール、ポリ
オレフィン等を塗布したものを使用してもよい。金属板
上に形成する塗膜の樹脂としては、エポキシ系樹脂、高
分子ポリエステル樹脂、エポキシ変成ポリエステル樹
脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などが使用でき、硬化
剤としてメラミンを使用する場合は、このメラミン量及
び反応率を条件内に制御すればよく、またメラミンを硬
化剤として使用しない場合には、これらの樹脂にメラミ
ンを添加して使用すれば良い。
通常のPCMを製造するラインにおいて、通常と同様の
方法で製造することができる。
法としては、浸漬法、カーテンフロー法、ロールコート
法、バーコート法、静電法、刷毛塗り法、T−ダイ法、
ラミネート法などが用いられる。
外線、遠赤外線、誘導加熱等が挙げられる。下層皮膜の
焼き付け温度(到達板温度:PMT)は、本発明の条件
を満たす温度に設定する必要がある。なお、本条件を満
たすには、単なる温度設定によるだけでなく、加熱方式
の適切な選択によっても達成しうる。たとえば、原板側
から加熱される誘導加熱方式を使用することによって、
同一のPMTであっても塗膜の表層側のメラミン反応率
を比較的低く抑えることができ、上層塗膜との層間密着
性が確保しやすいことがわかっている。
て説明する。評価したPCMはすべて、原板として、
0.6mm厚の溶融亜鉛めっき鋼板(YP:19kg/m
m2 ,TS:34kg/mm2 ,EL:45%)を使用し
た。前処理としては、塗布型クロメート処理を施した。
コート(上層)の2コート2ベークとした。プライマー
としてポリエステル系塗料及びウレタン系塗料に、メラ
ミンとしてヘキサメトキシメチロール化メラミンを添加
し、乾燥膜厚で5μm、バーコートにて塗布し、熱風オ
ーブン及び誘導加熱オーブンで表1に示す温度で焼き付
けた後、その上にトップコートとして表1に示す各種の
塗料を、乾燥膜厚で20μm、バーコートにて塗布し、
熱風オーブンにてPMT230℃で焼き付けた。プライ
マー塗料については、メラミン量、乾燥温度、及び加熱
方式を種々変化させて、N比率、メラミン反応率の異な
るサンプルを作製した。
た。サンプルを、30×300mmの短冊状に切断し、裏
面同士が接するように2枚重ね合わせ、2個の金型で挟
む。金型は、一方は平板、他方は8mmφの半円柱型の凸
部を有するビード金型を使用し、押し付け荷重は900
kgとする。その後、2枚重ねのサンプルを、200mm/
分の速度で引き抜き、そのときの凸型金型で擦れた部分
の塗膜剥離状況を観察する。層間剥離の生じているもの
を×、生じていないものを○と評価して、表1に示した
結果を得た。この評価方法は、実際の金型擦れによる塗
膜の層間剥離をよく再現できることがわかっている。
行った。美麗なものを○、むらが見られるものを×と評
価して、表1に示した結果を得た。
率が条件を満たしているため、良好な層間密着性が得ら
れている。これらのなかで、実施例4は、メラミン添加
量が20重量部と少なく、比較例2に見られるように熱
風加熱ではN%が低いため層間密着性が得られないとこ
ろが、誘導加熱にすると若干N%が上がり、層間密着性
が得られるようになっている。これは、誘導加熱方式に
よるほうが、若干メラミンが下層の表層に濃縮する傾向
があるためと考えられる。また、実施例11及び12
は、下層のPMTが240℃と高く、比較例5及び6に
見られるように熱風加熱ではメラミン反応率が高いため
層間密着性が得られないところが、誘導加熱にするとメ
ラミン反応率が下がり、層間密着性が得られるようにな
っている。これは、誘導加熱方式では原板側から加熱さ
れるため、塗膜の表層付近の温度が比較的低いためであ
ると考えられる。
ている。比較例1〜3,9,10、及び12は下層や上
層の樹脂種類に関わりなく、メラミン添加量が少ないた
めN%が足りず、層間密着性が得られていない。比較例
4,7、及び8は、PMTが低いためメラミン反応率が
低く、上層塗膜中への溶解が起こるため、上層塗装後の
外観が良くない。比較例5,6,11、及び13は、下
層PMTが高いためメラミン反応率が90%を越え、上
層の樹脂種類に関わりなく層間密着性が得られていな
い。
着性に優れるプレコート金属板の提供が可能となった。
Claims (1)
- 【請求項1】 2層以上の塗膜を有し、接しあう2層の
界面から下層側へ3μmの範囲の塗膜の、C,O,Nの
XPS強度の合計に対するNのXPS強度比が7〜25
%でかつ、この範囲の塗膜のメラミン反応率が40〜9
0%であることを特徴とする、層間密着性に優れるプレ
コート金属板。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP08164899A JP3954749B2 (ja) | 1999-03-25 | 1999-03-25 | 層間密着性に優れるプレコート金属板 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP08164899A JP3954749B2 (ja) | 1999-03-25 | 1999-03-25 | 層間密着性に優れるプレコート金属板 |
Publications (2)
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JP2000271538A true JP2000271538A (ja) | 2000-10-03 |
JP3954749B2 JP3954749B2 (ja) | 2007-08-08 |
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JP (1) | JP3954749B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006265470A (ja) * | 2005-03-25 | 2006-10-05 | Kobe Steel Ltd | 接着性に優れた樹脂膜被覆鋼板およびその製造方法 |
-
1999
- 1999-03-25 JP JP08164899A patent/JP3954749B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006265470A (ja) * | 2005-03-25 | 2006-10-05 | Kobe Steel Ltd | 接着性に優れた樹脂膜被覆鋼板およびその製造方法 |
JP4718217B2 (ja) * | 2005-03-25 | 2011-07-06 | 株式会社神戸製鋼所 | 接着性に優れた樹脂膜被覆鋼板およびその製造方法 |
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