JP4717997B2 - ワイパー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、たとえば床面などの被水切り面に溜まった雨水や、水洗した後の汚水を掻き集める際に使用されるワイパーに関する。
【0002】
この種の従来のワイパーの代表的な構成例を図7に示す。このワイパー100は、ヘッド本体102にワイパーブレード101を装着することによりヘッド110が形成され、このヘッド110を保持するヘッドホルダ103に棒状の柄4を連結させて使用される例である。
【0003】
上記ヘッド本体102は、金属板を断面コ字状となるように折り曲げるなどして、長矩形の天板102aの両端縁から互いに対向する一対の側板102b…が延出するように形成されている。
【0004】
上記ワイパーブレード101は、弾性を有する部材から平板状に形成されており、所定の長さを有する長矩形を呈している。このワイパーブレード101は、上記側板102b…間に挟み込まれて、リベットなどによりヘッド本体102に固定されている。
【0005】
上記ヘッドホルダ103は、上記ヘッド本体102を保持する保持部131と、棒状の柄4が連結される柄部132とを備えている。保持部131は、金属板を断面コ字状となるように折り曲げるなどして、天板131aの両端縁から互いに対向する一対の側板131b…が延出するように形成されており、上記ヘッド110を側板131b…間に挟み込んで、ねじ133…などによりこれを固定している。柄部132は、柄4の外径と同等の内径を有する円筒状に形成されており、柄4を嵌挿した後、ねじ固定するなどして柄4を連結する。また、柄部132は、水切り作業を行いやすくするため、ワイパーブレード101の基部を床面などの被水切り面S(図8,9参照)に対して垂直にしたときに、柄4が被水切り面Sに対して適切な角度で傾斜するように、保持部131の天板131aに固定されている。
【0006】
このワイパー100を使用する際には、ワイパーブレード101の長手方向が進行方向に対して垂直となるように柄4を掴んで、被水切り面S上の水分を押し流すように、あるいは、引き寄せるように操作する。このとき、ワイパーブレード101は、弾性を有しているので、その基部を中心として左右同一角度で撓むことができる。これにより、ワイパー100を引くように操作する場合(図8(a))と、押すように操作する場合(図8(b))との両方において、ワイパーブレード101の先端部101bを被水切り面Sに対して適切な傾斜角度で傾斜させることができる。その結果、ワイパーブレード101が適切な接触圧力で被水切り面Sに接触し、被水切り面S上の水分を効率的に掻き集めることができるのである。
【0007】
一般に、ワイパーブレード101の先端部101bの被水切り面Sに対する傾斜角度θ(以下「作用角θ」という)が大きくなれば、ワイパーブレード101の被水切り面Sに対する接触圧力が低下するので、被水切り面S上の水分を効率的に掻き集めることができなくなる。したがって、被水切り面S上の水分を効率的に掻き集めるためには、作用角θが所定の角度α(以下「水切れ角α」という)以下となることが好ましい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ワイパー100を長期間使用していくうちにワイパーブレード101の先端が摩耗すれば、ワイパーブレード101の幅方向長さが短くなってしまう。これにより、ワイパーブレード101が撓みにくくなり、作用角θが大きくなる傾向にある。このような際には、このワイパー100では、柄部132が保持部131に固定されているので、作用角θを水切れ角α以下とするためには、柄4の被水切り面Sに対する傾斜角度ψ(以下「操作角ψ」という)を変化させればならない。より詳細には、ワイパー100を引くように操作する場合では、図9(a)に示すように、水切り作業中において、たとえば腰を曲げて前屈するなど無理な姿勢をとって、操作角ψを小さくしなければならず、体力的な負担が増大する。また、ワイパー100を押すように操作する場合では、図9(b)に示すように、操作角ψを大きくしなければならず、ワイパー100を押すように操作するのが困難である。したがって、いずれの場合にせよ、ワイパーブレード101が摩耗すれば、被水切り面S上の水分を効率的に掻き集めることが困難である。
【0009】
本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、ワイパーブレードが摩耗した際にも、被水切り面上の水分を効率的に掻き集めることが容易であるワイパーを提供することをその課題とする。
【0010】
【発明の開示】
上記課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0011】
すなわち、本願発明により提供されるワイパーは、所定長さを有する平板状のワイパーブレードと、このワイパーブレードが装着されてヘッドを形成するヘッド本体と、このヘッド本体を保持し、柄が連結されるヘッドホルダとを備えるワイパーであって、上記ヘッド本体は、全体として棒状を呈しており、かつ、当該ヘッド本体の一般部外周に対して縮径するように段形成されているとともに円柱状外面をもつ被保持部を含み、上記ヘッド本体には、上記被保持部の周方向における上記円柱状外面の端部から上記被保持部の径方向に起立して上記一般部外周に至るストッパ壁と、上記被保持部の軸方向における上記円柱状外面の端部から上記径方向に起立して上記一般部外周に至る壁部とが形成されており、上記ヘッドホルダは、上記被保持部の外面と対応する、所定の直径の円筒状内面を有し、かつ、上記被保持部に側方から嵌合して上記被保持部を抱持するクランプ部を含み、上記クランプ部には、上記円筒状内面の周方向の両端を開口端とする開口が形成され、上記開口端どうしの離隔距離は、上記直径より小さく、上記ヘッドは、上記クランプ部によって抱持された状態で、上記ヘッドホルダに対して、上記ヘッド本体の長手方向軸心を中心として所定の角度範囲で回動可能であることを特徴としている。
【0012】
具体的には、上記クランプ部は、上記被保持部の上記一般部外周に対する縮径量と同等の厚みを有する断面略C字状を呈しており、その一部が上記ストッパ壁に当接して、上記ヘッドの回動角度範囲を規制する構成とすることができる。
【0013】
本願発明において、このワイパーを使用する際には、ワイパーブレードの長手方向が進行方向に対して垂直となるように柄を掴んで、床面などの被水切り面上の水分を押し流すように、あるいは、引き寄せるように操作する。このとき、上記ヘッドが上記ヘッド本体の長手方向軸心を中心として所定の角度範囲で回動可能であるので、ワイパーを押すように操作する場合と引くように操作する場合との両方において、柄を被水切り面に対して水切り作業を行いやすい角度で傾斜させたままの状態で、ワイパーブレードの先端部を被水切り面に対して適切な角度で傾斜させることができる。これにより、ワイパーブレードが被水切り面に対して適切な接触圧力で接触し、被水切り面上の水分を効率的に掻き集めることができる。
【0014】
一般に、ワイパーブレードの先端部の被水切り面に対する傾斜角度θ(以下「作用角θ」という)が大きくなれば、ワイパーブレードの被水切り面に対する接触圧力が低下するので、被水切り面上の水分を効率的に掻き集めることができなくなる。したがって、被水切り面上の水分を効率的に掻き集めるためには、作用角θが所定の角度α(以下「水切れ角α」という)以下となることが好ましい。
【0015】
従来のワイパーでは、ワイパーブレードが撓むことによって、作用角θが水切れ角α以下となるようにしていたので、ワイパーブレードが摩耗して短くなり、ワイパーブレードが撓みにくくなった際には、たとえば腰を曲げて前屈するなど無理な作業姿勢をとって、柄の被水切り面に対する傾斜角度を変化させなければ、作用角θを水切れ角α以下とすることができなかった。すなわち、ワイパーブレードが摩耗すれば、柄を被水切り面に対して水切り作業を行いやすい角度で傾斜させたままの状態では、被水切り面上の水分を効率的に掻き集めることが困難であった。
【0016】
しかしながら、本願発明によれば、上記ヘッドが所定の角度範囲で回動可能であるので、ワイパーブレードが摩耗した場合でも、柄を被水切り面に対して水切り作業を行いやすい角度で傾斜させたままの状態で、作用角θを水切れ角α以下にすることが可能である。したがって、被水切り面上の水分を効率的に掻き寄せることが容易である。
【0017】
なお、上記ヘッドの回動が規制されていない場合では、水切り作業時にワイパーブレードに対して力をかけにくくなるので、かえってワイパーの使い勝手を悪化させてしまうが、本願発明によれば、ヘッドは所定の角度範囲で回動するので、ワイパーの使い勝手が悪化するのを防止することが可能となる。
【0018】
好ましい実施の形態においては、上記クランプ部の側面には、半径方向外側に延びるレバーが設けられている。
【0019】
このような構成によれば、上記レバーを操作することによって、上記クランプ部を容易に拡開させることができる。したがって、上記ヘッドと上記ヘッドホルダとを容易に分離させることができる。
【0020】
好ましい実施の形態においてはまた、上記クランプ部は、所定の弾性を有する樹脂により形成されている。したがって、ワイパーを軽量化することができる。
【0021】
好ましい実施の形態においてはさらに、上記ヘッド本体は、その長手方向に沿って2分割した第1ヘッド部と、第2ヘッド部とから構成されており、上記ワイパーブレードは、これら第1ヘッド部と第2ヘッド部との間に狭持されるようにして装着されている。
【0022】
このような構成によれば、上記ヘッド本体を2分割することによって、ワイパーブレードのみを取り外すことができるので、上記ワイパーブレードが摩耗した際には、このヘッド(ヘッド本体+ワイパーブレード)ごと交換する必要がなく、ランニングコストを低減することができる。
【0023】
好ましい実施の形態においてはさらにまた、上記第1ヘッド部の内壁には、上記第2ヘッド部に向けて延出し、先端部内壁に内向突起をもつ係合筒が複数設けられているとともに、上記第2ヘッド部の内壁には、上記複数の係合筒と対応して上記第1ヘッド部に向けて延出し、先端に上記内向突起と係合しうる傘状係合部をもつ係合軸が複数設けられており、上記第1ヘッド部と第2ヘッド部とは、上記各係合筒に上記各係合軸を挿入し、上記内向突起と上記傘状係合部とを相互係合させることにより、一体化させられ、上記ワイパーブレードは、上記各係合筒と対応した複数の貫通孔を有しており、各貫通孔に上記各係合筒を通挿させるようにして、上記第1ヘッド部と第2ヘッド部との間に狭持されている。
【0024】
このような構成によれば、上記ヘッドを組み立てる際には、ねじなど他の接続用部材が必要でない。したがって、製造コストを低減することができる。
【0025】
好ましい実施の形態においてはさらにまた、上記各係合筒は、複数のスリットを有することにより弾性拡開可能となっており、各係合筒に連通して第1ヘッド部の外面に開口させた操作孔から解除用治具を挿入することにより、上記各係合筒を強制拡径させ、上記内向突起と上記傘状係合部との相互係合を解除できるようになっている。
【0026】
このような構成によれば、上記解除用治具を用いることにより、上記ヘッド本体を容易に分割することができる。
【0027】
好ましい実施の形態においてはさらにまた、上記第1ヘッド部および第2ヘッド部は、それぞれ、所定の弾性を有する樹脂により一体形成されている。したがって、ワイパーを軽量化することができる。
【0028】
本願発明のその他の特徴および利点については、以下に行う発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0030】
図1は、本願発明に係るワイパーの一例を示す概略分解斜視図、図2は、図1のII-II線に沿う断面図、図3は、図1におけるヘッドの分解斜視図、図4は、図3のIV-IV線に沿う断面図である。図5は、図1に示すワイパー使用時におけるワイパーブレードの作用を説明するための断面図であり、(a)はこのワイパーを引くように操作する場合について示し、(b)はこのワイパーを押すように操作する場合について示す。図6は、図5におけるワイパーブレードが摩耗した際の作用を説明するための断面図であり、(a)はこのワイパーを引くように操作した場合について示し、(b)はこのワイパーを押すように操作した場合について示す。
【0031】
図1に表れているように、ワイパーAは、所定長さを有する平板状のワイパーブレード1と、このワイパーブレード1が装着されてヘッド10を形成するヘッド本体2と、このヘッド本体2を保持し、柄4が連結されるヘッドホルダ3とを備えている。
【0032】
上記ワイパーブレード1は、所定厚みを有する長矩形を呈しており、図3に示すように、後述する各係合筒24…と対応した複数の貫通孔11…を有している。このワイパーブレード1は、本実施形態では、弾性を有する部材から形成され、たとえば、スチレンブタジエンゴムをフォーミングするなどして得られる。このように形成されたワイパーブレード1は、床面などの被水切り面S上に凹凸があるような場合であっても、その弾性により上記凹凸に追従して変形し、被水切り面Sとの接触を維持することができるとともに、ワイパーAを軽量化することができる。
【0033】
上記ヘッド本体2は、図1に示すように、全体として棒状を呈しており、円筒状外面をもつ2つの被保持部21…を有している。各被保持部21…は、断面略円形の外観を有する一般部22…を、その周方向に沿った一部において縮径するように段形成されている。また、各被保持部21…の周方向両端部には、その外面から延びるストッパ壁23…が立設されている。これらの被保持部21…は、ヘッド本体2の長手方向中央に対称となるように配置されている。
【0034】
また、ヘッド本体2は、図3に示すように、その長手方向に沿って2分割した第1ヘッド部2aと、第2ヘッド部2bとから構成されている。第1ヘッド部2aおよび第2ヘッド部2bは、それぞれ、所定の弾性を有する樹脂により一体形成されており、ワイパーAを軽量化している。
【0035】
上記第1ヘッド部2aの内壁には、第2ヘッド部2bに向けて延出する複数の係合筒24…が設けられている。各係合筒24…の先端部内壁には、図4に示すように、内向突起24aが設けられている。各係合筒24…は、その先端側の内径が基端側の内径よりも小となるように形成されており、その基端側は、第1ヘッド部2aの外面に開口させた操作孔24bに連通している。また、各係合筒24…は、図3に示すように、その先端から基端へ延びるスリット24cによって、複数の舌片に分離されており、弾性拡径可能となっている。
【0036】
上記第2ヘッド部2bの内壁には、図3に示すように、上記各係合筒24…と対応して第1ヘッド部2aに向けて延出する複数の係合軸25…が設けられている。各係合軸25…の先端には、図4に示すように、係合筒24の先端側の内径と同等の外径を有する傘状係合部25aが設けられている。この傘状係合部25aの基端側には、これを縮径するように形成された首部25bが連続するように設けられている。
【0037】
したがって、上記各係合筒24…に上記各係合軸25…を押し当てれば、傘状係合部25aは、係合筒24を拡径してその中に挿入され、係合筒24がその弾性により元の状態に戻った際に上記内向突起24aによって首部25bでロックされる。このようにして、傘状係合部25aは、内向突起24aに係合される。
【0038】
第1ヘッド部2aと第2ヘッド部2bとを一体化させる際には、図2に示すように、各係合筒24…に各係合軸25…を挿入し、内向突起24aと傘状係合部25aとを相互係合させることにより、容易に行うことができる。このとき、ワイパーブレード1の各貫通孔11…に各係合筒24…を通挿させることにより、ワイパーブレード1を第1ヘッド部2aと第2ヘッド部2bとの間に狭持させ、ヘッド10が構成される。すなわち、ヘッド10を組み立てる際には、ねじなど他の接続用部材が必要でない。したがって、製造コストを低減することができる。
【0039】
上記ヘッド10を分解する際には、図4に示すように、上記係合筒24の基端側の内径と同等の外径の軸部5aを有する解除用治具5を用いることができる。すなわち、第1ヘッド2aの上記操作孔24bから解除用治具5の軸部5aを挿入すれば、この軸部5aが係合筒24の先端側の内壁面を内側から押圧し、係合筒24を強制拡径することができる。これにより、上記内向突起24aと傘状係合部25aとの相互係合を解除することができる。さらに、解除用治具5を挿入しつづければ、軸部5aの先端が傘状係合部25aの先端に作用し、上記ヘッド本体2を第1ヘッド部2aと第2ヘッド部2bとに容易に分割することができる。
【0040】
なお、上記ワイパーブレード1は、その貫通孔11…に係合筒24…を通挿しているだけなので、容易に取り外されうる。したがって、ワイパーブレード1を交換する際には、ヘッド10(ヘッド本体2+ワイパーブレード1)ごと交換する必要がなく、ランニングコストを低減することができる。
【0041】
上記ヘッドホルダ3は、図1に示すように、上記ヘッド本体2の被保持部21に側方から嵌合してこれを抱持する2つのクランプ部31…と、柄4を連結するための柄部32とを有している。このヘッドホルダ3は、本実施形態では、所定の弾性を有する樹脂により一体形成されており、ワイパーAを軽量化している。
【0042】
上記各クランプ部31…は、上記被保持部21の外径と対応した円筒状内面を有しており、本実施形態では、その内径は、被保持部21の外径と同等とされている。また、各クランプ部31…は、図2に示すように、断面略C字状を呈しており、所定の厚みを有している。各クランプ部31…の周面に沿った長さは、被保持部21の周面に沿った長さよりも小とされており、その軸心方向長さは、被保持部21の軸心方向長さと同等とされている。これらのクランプ部31…は、各被保持部21…と対応するように配置されている。
【0043】
上記柄部32は、図1に示すように、棒状の柄4の外径と同等の内径を有する円筒状に形成されており、柄4は、この柄部32に嵌合されてヘッドホルダ3に連結される。この柄部32は、その側面から上記各クランプ部31…に亘って延びる支持部33…によって、2つのクランプ部31…間の上方に固定されている。また、この柄部32は、図2に示すように、ヘッド10がヘッドホルダ3に保持された際に、柄4が上記ワイパーブレード1の長手方向に延びる中心平面に対して傾斜するように配置されている。
【0044】
上記ヘッドホルダ3に上記ヘッド10を抱持させる際には、上記各クランプ部31…を上記被保持部21…の側方から押し当てれば、各クランプ部31…が弾性拡開し、各被保持部21…が各クランプ部31…内に嵌合される。
【0045】
上述したように、各被保持部21…が円筒状外面を有し、各クランプ部31…が被保持部21の外径と対応した円筒状内面を有しているので、上記ヘッド10は、図2に示すように、上記クランプ部31に抱持された状態で、ヘッドホルダ3に対して、上記ヘッド本体の長手方向軸心を中心として回動可能となる。
【0046】
また、被保持部21…の周方向両端部には、ストッパ壁23…が形成されているので、クランプ部31…の周方向両端部がこのストッパ壁23…に当接することにより、上記ヘッド10の回動角度範囲が規制される。なお、本実施形態では、各ストッパ壁23…は、図2に示すように、柄4を床面などの被水切り面Sに対して水切り作業を行いやすい角度(以下「最適操作角β」という)で傾斜させた状態で、ワイパーブレード1が垂直方向を中心に左右同一角度で回動可能なように設けられている。
【0047】
上記ヘッド10の上記ヘッドホルダ3からの取り外しは、図1および図2に示すように、上記各クランプ部31…の側面に、半径方向外側に延びるレバー34…を設けることにより容易にされうる。すなわち、図2における上方に向って押し上げるようにレバー34…を操作すれば、大きな力を必要とすることなく容易にクランプ部31…を拡開することができる。これにより、ヘッド10とヘッドホルダ3とを容易に分離することができる。
【0048】
次に、上述したワイパーAの作用について簡単に説明する。
【0049】
このワイパーAを使用する際には、上記ワイパーブレード1の長手方向が進行方向に対して垂直となるように柄4を掴んで、床面などの被水切り面S上の水分を押し流すように、あるいは、引き寄せるように操作する。このとき、このワイパーAでは、ワイパーブレード1が弾性を有し、かつ、上記ヘッド10が、上記ヘッド本体2の長手方向軸心を中心として回動可能であるので、ワイパーブレード1が撓みつつ回動し、図5(a)および図5(b)に示すように、柄4を被水切り面Sに対して上記最適操作角βで傾斜させたままの状態で、ワイパーブレード1の先端部1bを被水切り面Sに対して傾斜させることができる。
【0050】
一般に、被水切り面S上の水分を効率的に掻き集めるためには、ワイパーブレード1が適切な接触圧力で被水切り面Sに接触する必要がある。このためには、ワイパーブレード1の先端部1bの被水切り面Sに対する傾斜角度θ(以下「作用角θ」という)が、所定の角度α(以下「水切れ角α」という)以下となることが好ましい。
【0051】
このワイパーAでは、上述したように、柄4を被水切り面Sに対して上記最適操作角βで傾斜させた状態で、ワイパーブレード1が垂直方向を中心に左右同一角度で回動可能なように設けられているので、ワイパーAを引くように操作する場合(図5(a))と、押すように操作する場合(図5(b))との両方において、作用角θを水切れ角α以下にすることが可能となる。したがって、このワイパーAを用いれば、柄4を被水切り面Sに対して上記最適操作角βで傾斜させた状態で、被水切り面S上の水分を効率的に掻き集めることができる。
【0052】
このワイパーAを長期間使用していくうちに、やがてワイパーブレード1の先端が摩耗して、ワイパーブレード1の幅方向長さが短くなってしまう。これにより、ワイパーブレード1が撓みにくくなる。したがって、作用角θが大きくなる傾向にある。このような際には、従来のワイパーでは、柄4の被水切面Sに対する傾斜角度ψ(以下「操作角ψ」という)を変化させなければ、作用角θを水切れ角α以下とすることができなかった。より詳細には、ワイパーを引くように操作する場合では、水切り作業中において、たとえば腰を曲げて前屈するなど無理な姿勢をとって、操作角ψを小さくしなければならず、体力的な負担が増大していた。また、ワイパーを押すように操作する場合では、操作角ψを大きくしなければならず、ワイパーを押すように操作するのが困難であった。したがって、いずれの場合においても、従来のワイパーでは、被水切り面S上の水分を効率的に掻き集めることができなかった。
【0053】
しかしながら、このワイパーAでは、ヘッド10が所定の角度範囲で回動可能であるため、ワイパーブレード1が摩耗して撓みにくくなった際にも、ワイパーAを引くように操作する場合(図6(a))と、押すように操作する場合(図6(b))との両方において、操作角ψを最適操作角βにしたままの状態で、作用角θを水切れ角α以下とすることが可能である。したがって、ワイパーブレード1が摩耗しても、被水切り面S上の水分を効率的に掻き集めることが容易である。
【0054】
なお、上記ヘッド10の回動が規制されていない場合では、水切り作業時にワイパーブレード1に対して力をかけにくくなるので、かえってワイパーの使い勝手を悪化させてしまうが、このワイパーAでは、ヘッド10の回動角度範囲が規制されているので、ワイパーの使い勝手が悪化するのを防止することが可能となる。
【0055】
もちろん、本願発明の範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記各被保持部21の外周面に沿って周方向に延びる凸部を形成したりすることによって、ヘッド10がスムーズに回動することができる構成としてもよい。これにより、水切り作業中において、ワイパーAを操作する方向を変える際に、この操作に対応して、ヘッド10が容易に回動することができる。
【0056】
また、ヘッドホルダの柄部に短尺棒状の柄を取り付けるなどして、ウィンドウ用のワイパとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るワイパーの一例を示す概略斜視図である。
【図2】図1のII-II線に沿う断面図である。
【図3】図1におけるヘッドの分解斜視図である。
【図4】図3のIV-IV線に沿う断面図である。
【図5】図1に示すワイパー使用時におけるワイパーブレードの作用を説明するための断面図であり、(a)はこのワイパーを引くように操作する場合について示し、(b)はこのワイパーを押すように操作する場合について示す。
【図6】図5におけるワイパーブレードが摩耗した際の作用を説明するための断面図であり、(a)はこのワイパーを引くように操作した場合について示し、(b)はこのワイパーを押すように操作した場合について示す。
【図7】従来のワイパーの一例を示す概略斜視図である。
【図8】図7に示すワイパー使用時におけるワイパーブレードの作用を説明するための断面図であり、(a)はこのワイパーを引くように操作する場合について示し、(b)はこのワイパーを押すように操作する場合について示す。
【図9】図8におけるワイパーブレードが摩耗した際の作用を説明するための断面図であり、(a)はこのワイパーを引くように操作した場合について示し、(b)はこのワイパーを押すように操作した場合について示す。
【符号の説明】
1 ワイパーブレード
2 ヘッド本体
2a 第1ヘッド部
2b 第2ヘッド部
3 ヘッドホルダ
4 柄
5 解除用治具
10 ヘッド
21 被保持部
23 ストッパ壁
24 係合筒
24a 内向突起
24b 操作孔
24c スリット
25 係合軸
25a 傘状係合部
31 クランプ部
34 レバー
A ワイパー
Claims (8)
- 所定長さを有する平板状のワイパーブレードと、このワイパーブレードが装着されてヘッドを形成するヘッド本体と、このヘッド本体を保持し、柄が連結されるヘッドホルダとを備えるワイパーであって、
上記ヘッド本体は、全体として棒状を呈しており、かつ、当該ヘッド本体の一般部外周に対して縮径するように段形成されているとともに円柱状外面をもつ被保持部を含み、
上記ヘッド本体には、上記被保持部の周方向における上記円柱状外面の端部から上記被保持部の径方向に起立して上記一般部外周に至るストッパ壁と、上記被保持部の軸方向における上記円柱状外面の端部から上記径方向に起立して上記一般部外周に至る壁部とが形成されており、
上記ヘッドホルダは、上記被保持部の外面と対応する、所定の直径の円筒状内面を有し、かつ、上記被保持部に側方から嵌合して上記被保持部を抱持するクランプ部を含み、
上記クランプ部には、上記円筒状内面の周方向の両端を開口端とする開口が形成され、
上記開口端どうしの離隔距離は、上記直径より小さく、
上記ヘッドは、上記クランプ部によって抱持された状態で、上記ヘッドホルダに対して、上記ヘッド本体の長手方向軸心を中心として所定の角度範囲で回動可能であることを特徴とする、ワイパー。 - 上記クランプ部は、上記被保持部の上記一般部外周に対する縮径量と同等の厚みを有する断面略C字状を呈しており、その一部が上記ストッパ壁に当接して、上記ヘッドの回動角度範囲を規制する、請求項1に記載のワイパー。
- 上記クランプ部の側面には、半径方向外側に延びるレバーが設けられている、請求項2に記載のワイパー。
- 上記クランプ部は、所定の弾性を有する樹脂により形成されている、請求項1ないし3のいずれかに記載のワイパー。
- 上記ヘッド本体は、その長手方向に沿って2分割した第1ヘッド部と、第2ヘッド部とから構成されており、
上記ワイパーブレードは、これら第1ヘッド部と第2ヘッド部との間に狭持されるようにして装着されている、請求項1ないし4のいずれかに記載のワイパー。 - 上記第1ヘッド部の内壁には、上記第2ヘッド部に向けて延出し、先端部内壁に内向突起をもつ係合筒が複数設けられているとともに、上記第2ヘッド部の内壁には、上記複数の係合筒と対応して上記第1ヘッド部に向けて延出し、先端に上記内向突起と係合しうる傘状係合部をもつ係合軸が複数設けられており、上記第1ヘッド部と第2ヘッド部とは、上記各係合筒に上記各係合軸を挿入し、上記内向突起と上記傘状係合部とを相互係合させることにより、一体化させられ、
上記ワイパーブレードは、上記各係合筒と対応した複数の貫通孔を有しており、各貫通孔に上記各係合筒を通挿させるようにして、上記第1ヘッド部と第2ヘッド部との間に狭持されている、請求項5に記載のワイパー。 - 上記各係合筒は、複数のスリットを有することにより弾性拡開可能となっており、各係合筒に連通して第1ヘッド部の外面に開口させた操作孔から解除用治具を挿入することにより、上記各係合筒を強制拡径させ、上記内向突起と上記傘状係合部との相互係合を解除できるようになっている、請求項6に記載のワイパー。
- 上記第1ヘッド部および第2ヘッド部は、それぞれ、所定の弾性を有する樹脂により一体形成されている請求項5ないし7のいずれかに記載のワイパー。
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