本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による電気回路装置の構成を示す概略断面図である。図1を参照して、この発明の実施の形態1による電気回路装置200は、電気素子100と、導体板210,220とを備える。
電気素子100は、略直方体状の外形を有し、陽極電極10A,10Bと、陰極電極20E,20Fとを有する。陽極電極10Aは、略コの字形状の断面形状を有し、電気素子100の一方端側に設けられる。陽極電極10Bは、略コの字形状の断面形状を有し、電気素子100の他方端側(陽極電極10Aに対向する側)に設けられる。
導体板210,220の各々は、たとえば、銅(Cu)板からなり、0.2mmの厚さを有する。そして、導体板210は、陽極電極10A,10Bに接続され、電気素子100をほぼ包むように設けられる。導体板220は、一方端が陰極電極20Eに接続され、他方端が陰極電極20Fに接続される。
図2は、図1に示す電気素子100を詳細に説明するための斜視図である。図2を参照して、電気素子100は、誘電体層1〜5と、導体板11,12,21〜23と、陽極電極10A,10Bと、サイド陰極電極20A,20B,20C,20Dと、陰極電極20E,20Fとを備える。
誘電体層1〜5は、順次、積層される。導体板11,12,21〜23の各々は、平板形状からなる。そして、導体板21は、誘電体層1,2間に配置され、導体板11は、誘電体層2,3間に配置される。導体板22は、誘電体層3,4間に配置され、導体板12は、誘電体層4,5間に配置され、導体板23は、誘電体層5の一主面5Aに配置される。その結果、誘電体層1〜5は、それぞれ、導体板21,11,22,12,23を支持する。
陽極電極10Aは、導体板11,12の一方端に接続されるとともに、電気素子100の側面100A(誘電体層1〜5の側面からなる側面)と、上面100Bの一部および底面100Cの一部とに形成される。
陽極電極10Bは、導体板11,12の他方端に接続されるとともに、電気素子100の側面100Aに対向する側面100D(誘電体層1〜5の側面からなる側面)と、上面100Bの一部および底面100Cの一部とに形成される。その結果、陽極電極10Bは、陽極電極10Aに対向して配置される。
サイド陰極電極20Aは、導体板21〜23の一方端側において導体板21〜23に接続され、電気素子100の正面100Eに配置される。サイド陰極電極20Bは、導体板21〜23の一方端側において導体板21〜23に接続され、電気素子100の正面100Eに対向する裏面100Fに配置される。これにより、サイド陰極電極20Bは、サイド陰極電極20Aに対向して配置される。
サイド陰極電極20Cは、導体板21〜23の他方端側において導体板21〜23に接続され、電気素子100の正面100Eに配置される。サイド陰極電極20Dは、導体板21〜23の他方端側において導体板21〜23に接続され、電気素子100の正面100Eに対向する裏面100Fに配置される。これにより、サイド陰極電極20Dは、サイド陰極電極20Cに対向して配置される。
陰極電極20Eは、サイド陰極電極20A,20Bに接続され、電気素子100の底面100Cに配置される。陰極電極20Fは、サイド陰極電極20C,20Dに接続され、電気素子100の底面100Cに配置される。
このように、電気素子100は、導体板11,12,21〜23が誘電体層1〜5を挟んで交互に配置された構造からなり、2個の陽極電極10A,10Bと、2個の陰極電極20E,20Fとを有する。
誘電体層1〜5の各々は、たとえば、チタン酸バリウム(BaTiO3)からなり、陽極電極10A,10B、導体板11,12,21〜23、サイド陰極電極20A,20B,20C,20Dおよび陰極電極20E,20Fの各々は、たとえば、ニッケル(Ni)からなる。
図3は、図2に示す誘電体層1,2および導体板11,21の寸法を説明するための図である。図3を参照して、誘電体層1,2の各々は、導体板11,21を電流が流れる方向DR1に長さL1を有し、方向DR1に直交する方向DR2に幅W1を有し、厚さD1を有する。長さL1は、たとえば、15mmに設定され、幅W1は、たとえば、13mmに設定され、厚さD1は、たとえば、25μmに設定される。
導体板11は、長さL1および幅W2を有する。そして、幅W2は、たとえば、11mmに設定される。また、導体板21は、長さL2および幅W1を有する。そして、長さL2は、たとえば、13mmに設定される。さらに、導体板11,21の各々は、たとえば、10μm〜20μmの範囲の膜厚を有する。
誘電体層3〜5の各々は、図3に示す誘電体層1,2と同じ長さL1、同じ幅W1および同じ厚さD1を有する。また、導体板12は、図3に示す導体板11と同じ長さL1、同じ幅W2および同じ膜厚を有し、導体板22,23の各々は、図3に示す導体板21と同じ長さL2、同じ幅W1および同じ膜厚を有する。
このように、導体板11,12は、導体板21〜23と異なる長さおよび異なる幅を有する。これは、導体板11,12に接続される陽極電極10A,10Bが導体板21〜23に接続されるサイド陰極電極20A,20B,20C,20Dと短絡するのを防止するためである。
図4は、隣接する2つの導体板の平面図である。図4を参照して、導体板11および導体板21を1つの平面へ投影すると、導体板11および21は、重複部分20を有する。そして、導体板11と導体板21との重複部分20は、長さL2および幅W2を有する。導体板11と導体板22との重複部分、導体板12と導体板22との重複部分および導体板12と導体板23との重複部分も、重複部分20と同じ長さL2および同じ幅W2を有する。そして、この発明においては、L2≧W2になるように、長さL2および幅W2が設定される。
図5は、図2に示す電気素子100の断面図である。図5の(a)は、図2に示す線VA−VA間における電気素子100の断面図を示し、図5の(b)は、図2に示す線VB−VB間における電気素子100の断面図を示す。
図5を参照して、導体板21は、誘電体層1,2の両方に接し、導体板11は、誘電体層2,3の両方に接する。また、導体板22は、誘電体層3,4の両方に接し、導体板12は、誘電体層4,5の両方に接する。さらに、導体板23は、誘電体層5に接する。
サイド陰極電極20C,20Dは、導体板11,12には接続されず、導体板21〜23に接続される。また、陰極電極20Fは、誘電体層1の裏面1Aに配置され、サイド陰極電極20C,20Dに接続される(図5の(a)参照)。
陽極電極10A,10Bは、誘電体層1〜5の側面、誘電体層1の裏面1Aおよび誘電体層5の一主面5Aに配置される。その結果、陽極電極10A,10Bは、導体板21〜23に接続されず、導体板11,12に接続される(図5の(b)参照)。
したがって、導体板21/誘電体層2/導体板11、導体板11/誘電体層3/導体板22、導体板22/誘電体層4/導体板12、および導体板12/誘電体層5/導体板23は、陽極電極10A,10Bと陰極電極20E,20Fとの間に並列に接続された4個のコンデンサを構成する。
この場合、各コンデンサの電極面積は、隣接する2つの導体板の重複部分20(図4参照)の面積に等しい。
図6および図7は、それぞれ、図2に示す電気素子100の製造方法を説明するための第1および第2の工程図である。図6を参照して、長さL1、幅W1および厚さD1を有する誘電体層1(BaTiO3)となるグリーンシートの表面1Bに、長さL2および幅W1を有する領域にNiペーストをスクリーン印刷により塗布し、誘電体層1の表面1BにNiからなる導体板21を形成する。
同じようにして、BaTiO3からなる誘電体層3,5を作製し、その作製した誘電体層3,5上にそれぞれNiからなる導体板22,23を形成する(図6の(a)参照)。
引き続いて、長さL1、幅W1および厚さD1を有する誘電体層2(BaTiO3)となるグリーンシートの表面2Aに、長さL1および幅W2を有する領域にNiペーストをスクリーン印刷により塗布し、誘電体層2の表面2AにNiからなる導体板11を形成する。
同じようにして、BaTiO3からなる誘電体層4を作製し、その作製した誘電体層4上にNiからなる導体板12を形成する(図6の(b)参照)。
その後、導体板21,11,22,12,23がそれぞれ形成された誘電体層1〜5のグリーンシートを順次積層する(図6の(c)参照)。これによって、陽極電極10A,10Bに接続される導体板11,12および陰極電極20E,20Fに接続される導体板21〜23は、交互に積層される。
さらに、Niペーストをスクリーン印刷によって塗布し、陽極電極10A,10B、サイド陰極電極20A,20B,20C,20Dおよび陰極電極20E,20Fを形成する(図7の(d),(e)参照)。その後、図7の(e)まで作製された素子を1350℃の焼成温度で焼成して電気素子100が完成する。または、ポストファイヤーにより、内部電極(導体板11,12,21〜23)よりも融点が低く、導電率が高い材料をサイド電極(外部電極)に使用することも可能である。また、サイド電極(外部電極)に関しては、ハンダ濡れ性等を考慮し、必要に応じて焼成後にNi,Au,Su等によってメッキ処理を行うこともある。
なお、電気素子100の作製においては、グリーンシートを使用せず、誘電体のペーストを印刷して乾燥させ、その上に導体を印刷し、さらに、誘電体のペーストを印刷して同様な工程を行い、積層していく方法もある。
図8は、図2に示す電気素子100の機能を説明するための斜視図である。図8を参照して、電気素子100に直流電流を流す場合、陰極電極20E,20Fを接地電位に接続し、導体板11,12に流れる直流電流が導体板21〜23に流れる直流電流と逆向きになるように直流電流を電気素子100に流す。
たとえば、直流電流が陽極電極10Aから陽極電極10Bの方向へ流れるように直流電流を電気素子100に流す。そうすると、直流電流は、陽極電極10Aから導体板11,12へ流れ、導体板11,12を矢印30の方向へ流れ、さらに、陽極電極10Bへ流れる。
また、導体板11,12を流れる電流のリターン電流は、陰極電極20Fからサイド陰極電極20C,20Dを介して導体板21〜23に流れ、導体板21〜23を矢印30と反対方向である矢印40の方向へ流れ、さらに、サイド陰極電極20A,20Bを介して陰極電極20Eへ流れる。
そうすると、導体板11,12を流れる直流電流I1と、導体板21〜23を流れる直流電流I2とは、大きさが等しく、かつ、向きが逆方向の電流となる。
図9は、導線を流れる電流によって生成される磁束密度を説明するための図である。また、図10は、2つの導線間において磁気的干渉が生じた場合の実効インダクタンスを説明するための図である。
図9を参照して、無限に長い直線導線に電流Iが流れているとき、導線から距離aの位置に存在する点Pに生じる磁束密度Bは、
によって表される。ただし、μ0は、真空の透磁率である。
また、図9に示す導線が2本になり、お互いに磁気的な干渉が生じたときには、2本の導線の自己インダクタンスをそれぞれL11,L22とし、結合係数をk(0<k<1)とし、2本の導線の相互インダクタンスをL12とすると、相互インダクタンスL12は、次式によって表される。
ここで、L11=L22の場合、相互インダクタンスL12は、次式になる。
図10を参照して、導線Aと導線Bとがリード線Cによって接続され、大きさが等しく、かつ、向きが逆方向の電流が導線A,Bに流れる場合を想定すると、導線Aの実効インダクタンスL11effectiveは、次式によって表される。
このように、2本の導線A,B間に磁気的干渉が生じる場合、導線Aの実効インダクタンスL11effectiveは、導線Bとの間の相互インダクタンスL12によって導線Aの自己インダクタンスL11よりも小さくなる。これは、導線Aに流れる電流Iが生成する磁束φAの方向が導線Bに流れる電流−Iが生成する磁束φBの方向と逆向きになり、導線Aに流れる電流Iが生成する実効的な磁束密度が小さくなるからである。
図11は、図2に示す電気素子100のインダクタンスが小さくなる機構を説明するための概念図である。電気素子100においては、上述したように、導体板11は、導体板21,22から25μmの位置に配置され、導体板12は、導体板22,23から25μmの位置に配置されるため、導体板11と導体板21,22との間および導体板12と導体板22,23との間に磁気的干渉が生じ、導体板11,12を流れる直流電流I1は、導体板21〜23を流れる直流電流I2と大きさが等しく、かつ、向きが逆方向であるため、導体板11,12の実効インダクタンスは、導体板11,12と導体板21〜23との間の相互インダクタンスによって導体板11,12の自己インダクタンスよりも小さくなる。
この場合、導体板11,12の自己インダクタンスは、導体板11,12と導体板21〜23との重複部分20における長さL2が幅W2以上である場合の方が重複部分20における長さL2が幅W2よりも短い場合よりも大きく低下する。その理由を図11を参照して説明する。
図11の(a)は、重複部分20における長さL2が幅W2以上である場合を示し、図11の(b)は、重複部分20における長さL2が幅W2よりも短い場合を示す。なお、図11の(a),(b)において、矢印は、方向DR2へ広がりを持った電流を表す。また、図11の(a),(b)において、重複部分20の面積は等しい。
図11の(a)を参照して、直流電流I1が導体板11を流れ、直流電流I2が導体板21を流れる。そうすると、重複部分20における長さL2が幅W2以上である場合、直流電流I1,I2は、重複部分20の幅W2のほぼ全体に広がって、それぞれ、導体板11,21を流れる。その結果、導体板21を流れる直流電流I2によって生成される磁束φBが導体板11を流れる直流電流I1によって生成される磁束φAを打ち消す度合が相対的に大きくなり、導体板11の実効インダクタンスが導体板21との間の相互インダクタンスによって導体板11の自己インダクタンスよりも小さくなる度合が相対的に大きくなる。導体板12の実効インダクタンスが導体板12の自己インダクタンスよりも小さくなる度合についても同様である。
図11の(b)を参照して、重複部分20における長さL2が幅W2よりも短い場合、直流電流I1は、方向DR2において導体板11のほぼ中央部を流れ、直流電流I2は、方向DR2において導体板21の端に近い部分を流れる。
長さL2が幅W2よりも短い場合、陽極電極10Aから導体板11に導入された直流電流I1が導体板11の幅方向DR2へ広がるときの抵抗よりも直流電流I1が長さ方向DR1へ流れるときの抵抗の方が小さくなるからである。
また、長さL2が幅W2よりも短い場合、サイド陰極電極20C,20Dから導体板21に導入された直流電流I2が導体板21の幅方向DR2へ広がるときの抵抗よりも直流電流I2が導体板21の長さ方向DR1へ流れるときの抵抗の方が小さくなるからである。
そうすると、重複部分20における長さL2が幅W2よりも短い場合、直流電流I1は、幅方向DR2において重複部分20のほぼ中央部を流れ、直流電流I2は、幅方向DR2において重複部分20の端に近い部分を流れる。その結果、導体板21を流れる直流電流I2によって生成される磁束φBが導体板11を流れる直流電流I1によって生成される磁束φAを打ち消す度合が相対的に小さくなり、導体板11の実効インダクタンスが導体板21との間の相互インダクタンスによって導体板11の自己インダクタンスよりも小さくなる度合が相対的に小さくなる。導体板12の実効インダクタンスが導体板12の自己インダクタンスよりも小さくなる度合についても同様である。
このように、重複部分20における長さL2が幅W2以上である場合、導体板11,12の実効インダクタンスが導体板11,12の自己インダクタンスよりも小さくなる度合は、相対的に大きくなる。
その結果、電気素子100における全体の実効インダクタンスLは、相対的に大きく低下する。
電気素子100においては、上述したように、並列に接続された4個のコンデンサが形成されるので、1個のコンデンサが形成される場合に比べ、実効キャパシタンスCは大きくなる。
したがって、電気素子100においては、キャパシタンスが支配的な低周波数領域においては、実効キャパシタンスCが大きくなることによってインピーダンスZsが低下し、インダクタンスが支配的な高周波数領域においては、上述した実効インダクタンスLの低下によってインピーダンスZsが低下する。
その結果、電気素子100は、広い周波数領域において、相対的に低いインピーダンスZsを有する。
図12は、図2に示す電気素子100のインピーダンスの周波数依存性を示す図である。図12において、横軸は、周波数を表し、縦軸は、インピーダンスを表す。また、曲線k1は、重複部分20における長さL2が幅W2以上である場合のインピーダンスの周波数依存性を示し、曲線k2は、重複部分20における長さL2が幅W2よりも短い場合のインピーダンスの周波数依存性を示す。
図12を参照して、0.006GHz以下の低周波数領域は、キャパシタンスが支配的な周波数領域であり、0.01GHz以上の高周波数領域は、インダクタンスが支配的な周波数領域である。上述したように、重複部分20の長さL2が幅W2以上である場合および重複部分20の長さL2が幅W2よりも短い場合、重複部分20の面積は等しいので、キャパシタンスが支配的である0.006GHz以下の低周波数領域においては、重複部分20の長さL2が幅W2以上である電気素子100のインピーダンス(曲線k1)は、重複部分20の長さL2が幅W2よりも短い電気素子のインピーダンス(曲線k2)とほぼ同じである。
一方、重複部分20の長さL2が幅W2以上である場合、電気素子100のインダクタンスは、重複部分20の長さL2が幅W2よりも短い場合に比べ、相対的に大きく低下するので、インダクタンスが支配的である0.01GHz以上の高周波数領域においては、重複部分20の長さL2が幅W2以上である電気素子100のインピーダンス(曲線k1)は、重複部分20の長さL2が幅W2よりも短い電気素子のインピーダンス(曲線k2)よりも小さくなる。
したがって、導体板11,12と導体板21〜23との重複部分20における長さL2を幅W2以上に設定することにより、インダクタンスが支配的な周波数領域において電気素子100のインピーダンスを小さくできる。
図13は、素子温度と時間との関係を示す図である。図13は、導体板210,220を電気素子100に装着しない場合の電気素子100の温度と時間との関係を示す。図1
3において、縦軸は、電気素子100の素子温度を表し、横軸は、直流電流が流れている時間を表す。また、曲線k3〜k9は、直流電流がそれぞれ5A,10A,15A,20A,30A,35Aである場合を示す。
図13を参照して、5A,10A,15Aの直流電流が流れた場合、電気素子100の温度は、約50℃よりも低く(曲線k3〜k5参照)、20Aの直流電流が流れると、電気素子100の温度は、約60℃になり(曲線k6参照)、25Aの直流電流が流れると、電気素子100の温度は、100℃を超え(曲線k7参照)、30Aの直流電流が流れると、電気素子100の温度は、150℃程度になり(曲線k8参照)、35Aの直流電流が流れると、電気素子100の温度は、4分程度で250℃程度まで上昇する(曲線k9参照)。
図14は、素子温度と時間との関係を示す他の図である。図14は、導体板210,220を電気素子100に装着した場合の電気素子100の温度と時間との関係を示す。図14において、縦軸は、電気素子100の素子温度を表し、横軸は、直流電流が流れている時間を表す。また、曲線群k10は、直流電流が5A,10A,15A,20A,25A,30A,35A,40A,45A,50Aの場合を示し、曲線k11〜k20は、直流電流がそれぞれ55A,60A,65A,70A,75A,80A,85A,90A,95A,100Aである場合を示す。
図14を参照して、導体板210,220を電気素子100に装着した場合、5A,10A,15A,20A,25A,30A,35A,40A,45A,50Aの各直流電流が流れても、電気素子100の温度は、40℃よりも低く(曲線群k10参照)、55Aの直流電流が流れても、電気素子100の温度は、40℃程度までしか上昇せず(曲線k11参照)、60A,65A,70A,75Aの各直流電流が流れても、電気素子100の温度は、60℃以下であり(曲線k12〜k15参照)、80Aの直流電流が流れても、電気素子100の温度は、80℃程度であり(曲線k16参照)、85Aの直流電流が流れても、電気素子100の温度は、90℃程度であり(曲線k17参照)、90Aの直流電流が流れても、電気素子100の温度は、100℃程度であり(曲線k18参照)、95Aの直流電流が流れても、電気素子100の温度は、120℃程度であり(曲線k19参照)、100Aの直流電流が流れても、電気素子100の温度は、160℃よりも低い(曲線k20参照)。
したがって、電気素子100の温度を160℃よりも低い温度に設定する場合、導体板210,220を装着することにより、電気素子100に流す直流電流を30Aから100Aまで増加させることができる。
また、電気素子100の温度を40℃程度に設定する場合、導体板210,220を装着することにより、電気素子100に流す直流電流を15Aから55Aまで増加させることができる。
図15は、素子温度と直流電流値との関係を示す図である。図15において、縦軸は、素子温度を表し、横軸は、直流電流値を表す。また、曲線k21は、導体板210,220を電気素子100に装着した場合を示し、曲線k22は、導体板210,220を電気素子100に装着しない場合を示す。そして、曲線k21における各電流値に対する温度は、図14において各電流値を最長時間流した場合の温度であり、曲線k22における各電流値に対する温度は、図13において各電流値を最長時間流した場合の温度である。さらに、電気素子100を構成する導体板11,12の枚数は、4枚であり、導体板21〜23の枚数は、5枚である。
図15を参照して、導体板210,220を電気素子100に装着した場合、60Aの直流電流を電気素子100に流しても、電気素子100の温度は、50℃よりも低い(曲線k21参照)。
一方、導体板210,220を電気素子100に装着しない場合、電気素子100の温度を50℃よりも低くするには、直流電流を15A以下にする必要がある(曲線k22参照)。
図13、図14および図15に示すように、導体板210,220を電気素子100に装着することにより、電気素子100の温度を低く抑えることができる。これは、次の理由による。
導体板210,220は、上述したように、0.2mmの膜厚を有し、導体板11,12,21〜23は、25μmの膜厚を有する。そして、導体板210,220は、導体板21〜23と同じ幅W1を有し、導体板210は、導体板11,12の長さL1に略等しい長さを有し、導体板220は、導体板21〜23と同じ長さL2を有する。
したがって、導体板210,220の抵抗は、導体板11,12,21〜23の抵抗よりも小さくなり、直流電流は、導体板210,220に主に流れ、発熱は、導体板210,220で殆ど生じる。その結果、電気素子100の温度が直流電流によって上昇するのを抑制できる。
図16は、図2に示す電気素子100のインピーダンスの周波数依存性を示す他の図である。図16において、縦軸は、インピーダンスを表し、横軸は、周波数を表す。また、曲線k1は、導体板210,220を電気素子100に装着しない場合を示し、図12に示す曲線k1である。さらに、曲線k23は、導体板210,220を電気素子100に装着した場合を示す。
図16を参照して、導体板210,220を装着した場合における電気素子100のインピーダンスは、キャパシタンスが支配的な低周波数領域およびインダクタンスが支配的な高周波数領域の全領域において、導体板210,220を装着しない場合における電気素子100のインピーダンスとほぼ一致する。すなわち、導体板210,220を装着することによって、電気素子100のインピーダンスは変化しない。つまり、導体板210,220を電気素子100に装着しても、導体板11,12の実効インダクタンスが導体板11,12の自己インダクタンスよりも小さくなる度合が相対的に大きくなるという効果が維持される。
このように、電気回路装置200においては、導体板210,220に装着することによって、電気素子100のインピーダンスの周波数依存性を維持したまま、電気素子100の温度上昇を抑制でき、電気素子100に流す直流電流を相対的に大きくできる。
図17は、図1に示す電気回路装置200の使用状態を示す概念図である。図17を参照して、電気回路装置200は、電源90と、CPU(Central Processing Unit)110との間に接続される。そして、電気回路装置200の陰極電極20E,20Fは、接地電位に接続される。電源90は、正極端子91および負極端子92を有する。CPU110は、正極端子111および負極端子112を有する。
リード線121は、一方端が電源90の正極端子91に接続され、他方端が電気回路装置200の陽極電極10Aに接続される。リード線122は、一方端が電源90の負極端子92に接続され、他方端が電気回路装置200の陰極電極20Eに接続される。
リード線123は、一方端が電気回路装置200の陽極電極10Bに接続され、他方端がCPU110の正極端子111に接続される。リード線124は、一方端が電気回路装置200の陰極電極20Fに接続され、他方端がCPU110の負極端子112に接続される。
そうすると、電源90の正極端子91から出力された直流電流Iは、リード線121を介して電気回路装置200の陽極電極10Aに流れ、その殆どが電気回路装置200内を導体板210および陽極電極10Bの順に流れ、一部が導体板11,12および陽極電極10Bの順に流れる。そして、直流電流Iは、陽極電極10Bからリード線123および正極端子111を介してCPU110へ流れ込む。
これによって、直流電流Iは、電源電流としてCPU110へ供給される。そして、CPU110は、直流電流Iによって駆動され、直流電流Iと同じ大きさのリターン電流Irを負極端子112から出力する。
そうすると、リターン電流Irは、リード線124を介して電気回路装置200の陰極電極20Fへ流れ、その殆どが電気回路装置200内を導体板220および陰極電極20Eの順に流れ、一部がサイド陰極電極20C,20D、導体板21〜23、サイド陰極電極20A,20Bおよび陰極電極20Eの順に流れる。そして、リターン電流Irは、陰極電極20Eからリード線122および負極端子92を介して電源90に流れる。
その結果、電気回路装置200において、電気素子100のインピーダンスZsを上述したように低インピーダンスに保持したまま、電気素子100の温度上昇が抑制される。
そして、CPU110は、電源90から電気回路装置200を介して供給された直流電流Iによって駆動され、不要な高周波電流を発生する。この不要な高周波電流は、リード線123,124を介して電気回路装置200へ漏れるが、電気回路装置200は、上述したように、低いインピーダンスZsを有するため、不要な高周波電流は、電気回路装置200およびCPU110からなる回路を流れ、電気回路装置200から電源90側への漏洩が抑制される。
CPU110の動作周波数は、高周波数側へシフトする傾向にあり、1GHz程度での動作も想定される。このような高い動作周波数の領域においては、電気回路装置200のインピーダンスZsは、主に実効インダクタンスLによって決定され、実効インダクタンスLは、上述したように相対的に大きく低下するので、電気回路装置200は、高い動作周波数で動作するCPU110が発生する不要な高周波電流をCPU110の近傍に閉じ込めるノイズフィルタとして機能する。
上述したように、電気回路装置200は、電源90とCPU110との間に接続され、CPU110が発生する不要な高周波電流をCPU110の近傍に閉じ込めるノイズフィルタとして機能する。そして、電気回路装置200が電源90とCPU110との間に接続される場合、導体板11,12,21〜23は、伝送線路として接続される。すなわち、陽極電極10A,10Bに接続された導体板11,12と、陰極電極20E,20Fに接続された導体板21〜23とを用いて構成されるコンデンサが端子を介して伝送線路に接続されるのではなく、導体板11,12,21〜23が伝送線路の一部として接続される。したがって、導体板11,12は、電源90から出力された直流電流Iが電源90側からCPU110側へ流れるための導体であり、導体板21〜23は、リターン電流IrがCPU110側から電源90側へ流れるための導体である。その結果、等価直列インダクタンスを極力排除できる。
また、電気回路装置200においては、陽極電極10A,10Bに接続された導体板11,12に流れる電流を、陰極電極20E,20Fに接続された導体板21〜23に流れる電流と逆向きに設定することによって、導体板11,12と導体板21〜23との間に磁気的干渉を生じさせ、導体板11,12の自己インダクタンスを導体板11,12と導体板21〜23との間の相互インダクタンスによって減少させる。そして、これによって、電気素子100の実効インダクタンスを減少させ、電気回路装置200のインピーダンスZsを低下させる。
このように、電気回路装置200においては、コンデンサの電極を構成する導体板11,12,21〜23を伝送線路の一部として接続することを第1の特徴とし、陽極電極10A,10Bに接続された導体板11,12と、陰極電極20E,20Fに接続された導体板21〜23とに逆向きの電流を流して導体板11,12と導体板21〜23との間に磁気的干渉を生じさせることによって導体板11,12の実効インダクタンスを導体板11,12の自己インダクタンスよりも小さくし、それによって電気回路装置200のインピーダンスZsを小さくすることを第2の特徴とし、信号を構成する直流電流を流す導体板11,12の各々が接地電位に接続される2つの導体板(導体板21,22または導体板22,23)によって挟まれることを第3の特徴とする。
この第2の特徴は、CPU110からのリターン電流Irを電気回路装置200の内部に配置された導体板21〜23に流す構成を採用することによって実現される。
そして、第1の特徴によって等価直列インダクタンスを極力排除でき、第2の特徴によって不要な高周波電流をCPU110の近傍に閉じ込めることができる。また、第3の特徴によって電気回路装置200のノイズが外部へ出るのを抑制できるとともに、電気回路装置200が外部からのノイズに影響されるのを抑制できる。
図18は、この発明の実施の形態1による電気回路装置の構成を示す他の概略断面図である。この発明の実施の形態による電気回路装置は、図18に示す電気回路装置200Aであってもよい。図18を参照して、電気回路装置200Aは、図1に示す電気回路装置200に放熱部材230,240を追加したものであり、その他は、電気回路装置200と同じである。
放熱部材230,240の各々は、たとえば、シリコン(Si)グリースからなる。そして、放熱部材230は、電気素子100および導体板210に接し、電気素子100と導体板210との間に配設される。放熱部材240は、電気素子100および導体板220に接し、電気素子100と導体板220との間に配設される。電気素子100と導体板210との間隔および電気素子100と導体板220との間隔は、10μm〜20μmの範囲であるので、放熱部材230,240の各々は、10μm〜20μmの範囲の厚さを有する。
放熱部材230,240を設けることによって、電気素子100で発生した熱は、導体板210,220に伝達され、電気素子100の温度上昇をさらに抑制できる。
電気回路装置200Aは、電気回路装置200と同じように、図17に示す態様で電源90とCPU110との間に設けられ、CPU110で発生した不要な高周波電流をCPU110の近傍に閉じ込めるノイズフィルタとして機能する。その他については、電気回路装置200と同じである。
なお、上記においては、L2≧W2になるように重複部分20の長さL2および幅W2
を設定すると説明したが、この発明においては、これに限られず、L2≦W2になるように重複部分20における長さL2および幅W2を決定してもよい。
重複部分20における長さL2および幅W2がL2≦W2の関係を有していても、電気回路装置200,200Aにおいて、電気素子100の温度上昇を抑制でき、相対的に大きい直流電流を流すことができるからである。
また、上記においては、誘電体層1〜5は、全て同じ誘電体材料(BaTiO3)により構成されると説明したが、この発明においては、これに限らず、誘電体層1〜5は、相互に異なる誘電体材料により構成されていてもよく、2種類の誘電体材料により構成されていてもよく、一般的には、1種類以上の誘電体材料により構成されていればよい。この場合、誘電体層1〜5を構成する各誘電体材料は、好ましくは、3000以上の比誘電率を有する。
そして、BaTiO3以外の誘電体材料としては、Ba(Ti,Sn)O3,Bi4Ti3O12,(Ba,Sr,Ca)TiO3,(Ba,Ca)(Zr,Ti)O3,(Ba,Sr,Ca)(Zr,Ti)O3,SrTiO3,CaTiO3,PbTiO3,Pb(Zn,Nb)O3,Pb(Fe,W)O3,Pb(Fe,Nb)O3,Pb(Mg,Nb)O3,Pb(Ni,W)O3,Pb(Mg,W)O3,Pb(Zr,Ti)O3,Pb(Li,Fe,W)O3,Pb5Ge3O11およびCaZrO3等を用いることができる。
さらに、上記においては、陽極電極10A,10B、導体板11,12,21〜23、サイド陰極電極20A,20B,20C,20Dおよび陰極電極20E,20Fは、ニッケル(Ni)からなると説明したが、この発明においては、これに限らず、陽極電極10A,10B、導体板11,12,21〜23、サイド陰極電極20A,20B,20C,20Dおよび陰極電極20E,20Fは、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、銀パラジウム合金(Ag−Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銅(Cu)、ルビジウム(Ru)およびタングステン(W)のいずれかにより構成されてもよい。
さらに、上記においては、電気回路装置200は、誘電体層1〜5を備えると説明したが、この発明においては、これに限らず、電気回路装置200は、誘電体層1〜5を備えていなくてもよい。誘電体層1〜5がなくても、導体板11,12と導体板21〜23との間で磁気的干渉が生じ、上述した機構によって電気回路装置200のインピーダンスが低下するからである。
さらに、上記においては、陽極電極10A,10Bに接続される導体板の個数は、2個(導体板11,12)であり、陰極電極20E,20Fに接続される導体板の個数は、3個(導体板21〜23)であると説明したが、この発明においては、これに限らず、電気回路装置200,200Aは、陽極電極10A,10Bに接続されるn(nは正の整数)個の導体板と、陰極電極20E,20Fに接続されるm(mは正の整数)個の導体板とを備えていればよい。この場合、電気回路装置200,200Aは、j(j=m+n)個の誘電体層を備える。陽極電極10A,10Bに接続される導体板と、陰極電極20E,20Fに接続される導体板とを少なくとも1個備えていれば、磁気的干渉を生じさせることができ、実効インダクタンスを小さくできるからである。
そして、この発明においては、電気回路装置200,200Aに流れる電流が増加するに従って、陽極電極10A,10Bに接続される導体板の個数と、陰極電極20E,20Fに接続される導体板の個数とを増加させる。陽極電極10A,10Bに接続される導体板および陰極電極20E,20Fに接続される導体板が複数の導体板からなるとき、複数
の導体板は、2個の陽極電極(10A,10B)間、または2個の陰極電極(20E,20F)間に並列に接続されるので、陽極電極10A,10Bに接続される導体板の個数と、陰極電極20E,20Fに接続される導体板の個数とを増加させれば、電気回路装置200に流れる電流を増加できるからである。
また、この発明においては、電気回路装置200,200Aのインピーダンスを相対的に低下させる場合、電極10A,10Bに接続される導体板の個数と、陰極電極20E,20Fに接続される導体板の個数とを増加させる。電極10A,10Bに接続される導体板の個数と、陰極電極20E,20Fに接続される導体板の個数とを増加させれば、並列接続されるコンデンサの個数が増加し、電気回路装置200の実効キャパシタンスが大きくなってインピーダンスが低下するからである。
さらに、この発明においては、電気回路装置200,200Aの温度を相対的に低い温度に設定する場合、電極10A,10Bに接続される導体板の個数と、陰極電極20E,20Fに接続される導体板の個数とを増加させる。電極10A,10Bに接続される導体板の個数と、陰極電極20E,20Fに接続される導体板の個数とを増加させれば、電極10A,10Bに接続される導体板と、陰極電極20E,20Fに接続される導体板との各々に流れる直流電流が相対的に小さくなり、各導体板で発生する熱量を少なくできるからである。
さらに、上記においては、導体板11,12は、導体板21〜23に平行に配置されると説明したが、この発明においては、これに限らず、導体板11,12と導体板21〜23との間隔が長さ方向DR1に対して変化するように導体板11,12,21〜23を配置してもよい。
さらに、上記においては、導体板210,220は、Cuからなると説明したが、この発明においては、これに限らず、導体板210,220は、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)およびニッケル(Ni)等の金属のバルク(導体板11,12,21〜23よりも厚い金属板)からなっていてもよい。
さらに、上記においては、導体板210,220は、導体板11,12,21〜23の膜厚よりも厚い膜厚を有すると説明したが、この発明においては、これに限らず、導体板210,220は、導体板11,12,21〜23の抵抗よりも低い抵抗を有していればよい。抵抗が導体板11,12,21〜23の抵抗よりも低ければ、直流電流は、主に導体板210,220に流れ、電気素子100の温度上昇を抑制できるからである。
さらに、この発明においては、導体板210,220の表面を凹凸形状にしてもよい。この場合、凹凸形状は、波型、三角波形および矩形等の各種の断面形状からなる。導体板210,220の表面を凹凸形状にすることにより、導体板210,220の表面積を大きくでき、導体板210,220から空気中へ放熱される熱量が相対的に増加し、電気回路装置200,200Aの温度上昇をさらに抑制できるからである。
さらに、上記においては、電気回路装置200,200Aは、2個の導体板210,220を備えると説明したが、この発明においては、これに限らず、電気回路装置200,200Aは、2個の導体板210,220のうち、少なくとも1つの導体板を備えていればよい。この場合、電気回路装置200Aにおいては、電気素子100に設置される導体板に合わせて、放熱部材230,240のうち、少なくとも1つの放熱部材が使用される。
さらに、上記においては、電気回路装置200,200Aは、CPU110に接続され
ると説明したが、この発明においては、これに限らず、電気回路装置200,200Aは、所定の周波数で動作する電気負荷回路であれば、どのように電気負荷回路に接続されてもよい。
さらに、上記においては、電気回路装置200,200Aは、CPU110が発生する不要な高周波電流をCPU110の近傍に閉じ込めるノイズフィルタとして用いられると説明したが、この発明においては、これに限らず、電気回路装置200,200Aは、コンデンサとしても使用される。電気回路装置200,200Aは、上述したように、並列に接続された4個のコンデンサを含むので、コンデンサとしても使用可能である。
そして、より具体的には、電気回路装置200,200Aは、ノートパソコン、CD−RW/DVD装置、ゲーム機、情報家電、デジタルカメラ、自動車電装用、自動車用デジタル機器、MPU周辺回路およびDC/DCコンバータ等に用いられる。
したがって、ノートパソコンおよびCD−RW/DVD装置等にコンデンサとして用いられているが、電源90とCPU110との間で使用されてCPU110が発生する不要な高周波電流をCPU110の近傍に閉じ込めるノイズフィルタの機能を有する電気回路装置は、この発明による電気回路装置200,200Aに含まれる。
この発明においては、導体板210,220の少なくとも1つの導体板は、「第1の導体板」を構成し、導体板11,12は、「第2の導体板」を構成し、導体板21〜3は、「第3の導体板」を構成する。
また、導体板210のうち、陽極電極10A,10B間に接続される部分は、「平板部」を構成し、導体板220のうち、陰極電極20E,20F間に接続される部分は、「平板部」を構成する。
さらに、陽極電極10Aは、「第1の外部電極」を構成し、陽極電極10Bは、「第2の外部電極」を構成する。
さらに、陰極電極20Eは、「第1の外部電極」または「第3の外部電極」を構成し、陰極電極20Fは、「第2の外部電極」または「第4の外部電極」を構成する。
さらに、放熱部材230は、「第1の放熱部材」を構成し、放熱部材240は、「第2の放熱部材」を構成する。
[実施の形態2]
図19は、実施の形態2による電気回路装置の斜視図である。図19を参照して、実施の形態2による電気回路装置300は、図1に示す電気回路装置200の導体板210を導体板310に代えたものであり、その他は、電気回路装置200と同じである。なお、電気回路装置300の電気素子100においては、導体板23は省略されている。また、サイド陰極電極20A,20B,20C,20Dの一部は、電気素子100の上面100Bに配置されている。さらに、陽極電極10A,10Bの各々は、30μm〜50μmの範囲の膜厚を有する。
導体板310は、銅箔からなり、平板形状を有する。そして、導体板310は、電気素子100の上面100Bに配置され、一方端が陽極電極10Aに接続され、他方端が陽極電極10Bに接続される。
このように、導体板310は、図1に示す導体板210のように、陽極電極10A,10Bを覆うように配置されるのではなく、陽極電極10Aの一部と陽極電極10Bの一部とに接続されるように、電気素子100の一主面(=上面100B)に配置される。
図20は、図19に示す導体板310の斜視図である。図20を参照して、導体板310は、切欠部311,312を有する。その結果、導体板310は、幅広部313,314と、幅狭部315とからなる。幅狭部315は、幅広部313と幅広部314との間に配置される。
切欠部311は、サイド陰極電極20A,20Cの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部であり、切欠部312は、サイド陰極電極20B,20Dの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部である。
また、導体板310は、電気素子100の導体板11,12を電流が流れる方向DR1において、長さL3を有する。この長さL3は、方向DR1における電気素子100の長さよりも長い。
さらに、導体板310の幅広部313,314は、方向DR1に直交する方向DR2において、幅W3を有し、導体板310の幅狭部315は、幅W4を有する。そして、幅W3は、方向DR2における電気素子100の幅と同じ幅を有し、幅W4は、幅W3よりも狭い。この場合、幅W3は、たとえば、5mmに設定され、幅W4は、たとえば、3mmに設定される。
図21は、図19に示すA方向から見た電気回路装置300の側面図である。図21を参照して、電気回路装置300は、半田320,330をさらに備える。導体板310は、電気素子100の陽極電極10A,10Bおよび誘電体層5に接して陽極電極10A,10Bおよび誘電体層5上に配置される。そして、導体板310は、厚みD2を有する。この厚みD2は、たとえば、0.2mmに設定される。
半田320は、方向DR1において電気素子100からはみ出した導体板310のはみ出し部310Aと、陽極電極10Aのうち電気素子100の厚み方向(=導体板11,12に略垂直な方向)に配置された部分とに接して配置され、導体板310を陽極電極10Aに電気的に接続する。
半田330は、方向DR1において電気素子100からはみ出した導体板310のはみ出し部310Bと、陽極電極10Bのうち電気素子100の厚み方向(=導体板11,12に略垂直な方向)に配置された部分とに接して配置され、導体板310を陽極電極10Bに電気的に接続する。
図22および図23は、それぞれ、図19に示す電気回路装置300の製造方法を説明するための第1および第2の工程図である。電気回路装置300の製造が開始されると、図6および図7に示す工程(a)〜(e)に従って電気素子100が製造され、半田ペースト340,350が電気素子100の上面100Bにおいてそれぞれ陽極電極10Aの内側および陽極電極10Bの内側に塗布される(図22の(a)参照)。この場合、半田ペースト340,350は、たとえば、ローラー印刷によって塗布される。このローラー印刷は、陽極電極10Aと陽極電極10Bとの距離に相当する長さを有するローラーの両端に半田ペーストを付け、半田ペーストが付いたローラーを誘電体層5上で方向DR2へ回転させることにより、半田ペースト340,350をそれぞれ陽極電極10A,10Bの内側へ塗布するものである。
その後、切欠部311,312を有する導体板310が作製され、その作製された導体板310が電気素子100の上面100B側から陽極電極10A,10Bおよび半田ペースト340,350上に載せられる(図22の(b)参照)。
この場合、導体板310は、サイド陰極電極20A,20Cが切欠部311に配置され、サイド陰極電極20B,20Dが切欠部312に配置され、幅広部313,314の両端が電気素子100の幅方向(=方向DR2)の両端に一致するように陽極電極10A,10Bおよび半田ペースト340,350上に載せられる(図22の(c)参照)。
導体板310を陽極電極10A,10Bおよび半田ペースト340,350上に載せた状態において図22の(c)に示すA方向から見た側面図は、図23の(d)に示すようになる。図23の(d)を参照して、半田ペースト340は、陽極電極10Aの内側(図23の(d)においては、陽極電極10Aよりも右側)に配置され、半田ペースト350は、陽極電極10Bの内側(図23の(d)においては、陽極電極10Bよりも左側)に配置される。そして、導体板310は、陽極電極10A,10Bおよび半田ペースト340,350に接して配置される。
その後、半田ペースト340,350をリフローすることによって、半田ペースト340は、陽極電極10Aの外側(図23の(e)においては、陽極電極10Aの左側)へ移動し、半田ペースト350は、陽極電極10Bの外側(図23の(e)においては、陽極電極10Bの右側)へ移動する。そして、導体板310のはみ出し部310Aと陽極電極10Aとの交差部には、半田320が形成され、導体板310のはみ出し部310Bと陽極電極10Bとの交差部には、半田330が形成される。
そうすると、導体板310は、陽極電極10A,10Bおよび誘電体層5に接し、半田320は、導体板310のはみ出し部310Aを陽極電極10Aに電気的に接続し、半田330は、導体板310のはみ出し部310Bを陽極電極10Bに電気的に接続する(図23の(e)参照)。これによって、電気回路装置300が完成する。
導体板310を陽極電極10A,10Bおよび半田ペースト340,350上に配置した状態では、導体板310と、電気素子100の誘電体層5との間には、30μm〜50μmの隙間が形成されているが(図23の(d)参照)、導体板310は、0.2mmの厚みD2を有するので、半田ペースト340,350をリフローすることによって、導体板310は、誘電体層5と接触する。
すなわち、導体板310が0.3mmの厚みを有する場合、半田ペースト340,350をリフローしても、導体板310は、誘電体層5に接触しないが、導体板310の厚みD2を0.2mmに設定することによって導体板310が電気素子100の厚み方向に湾曲可能になり、半田ペースト340,350をリフローすることによって、導体板310は、誘電体層5と接触する。
そして、導体板310の厚みが0.2mmよりも厚い場合、半田ペースト340,350をリフローすることによって、導体板310を誘電体層5に接触させることができず、導体板310の厚みが0.1mm〜0.2mmである場合、半田ペースト340,350をリフローすることによって、導体板310を誘電体層5に接触させることができる。
したがって、実施の形態2においては、導体板310は、一般的には、0.1mm〜0.2mmの厚みD2を有する。
電気回路装置300は、上述した電気回路装置200,200Aと同じように電源90とCPU110との間に接続される。そうすると、電源90の正極端子91から出力された直流電流Iは、リード線121を介して電気回路装置300の陽極電極10Aに流れ、その殆どが電気回路装置300内を導体板310および陽極電極10Bの順に流れ、一部が導体板11,12および陽極電極10Bの順に流れる。そして、直流電流Iは、陽極電極10Bからリード線123および正極端子111を介してCPU110へ流れ込む。
これによって、直流電流Iは、電源電流としてCPU110へ供給される。そして、CPU110は、直流電流Iによって駆動され、直流電流Iと同じ大きさのリターン電流Irを負極端子112から出力する。
出力されたリターン電流Irは、リード線124を介して電気回路装置300の陰極電極20Fへ流れ、その殆どが電気回路装置300内を導体板220および陰極電極20Eの順に流れ、一部がサイド陰極電極20C,20D、導体板21,22、サイド陰極電極20A,20Bおよび陰極電極20Eの順に流れる。そして、リターン電流Irは、陰極電極20Eからリード線122および負極端子92を介して電源90に流れる。
その結果、電気回路装置300において、電気素子100のインピーダンスZsを上述したように低インピーダンスに保持したまま、電気素子100の温度上昇が抑制される。
そして、CPU110は、電源90から電気回路装置300を介して供給された直流電流Iによって駆動され、不要な高周波電流を発生する。この不要な高周波電流は、リード線123,124を介して電気回路装置300へ漏れるが、電気回路装置300は、上述したように、低いインピーダンスZsを有するため、不要な高周波電流は、電気回路装置300およびCPU110からなる回路を流れ、電気回路装置300から電源90側への漏洩が抑制される。
CPU110の動作周波数は、高周波数側へシフトする傾向にあり、1GHz程度での動作も想定される。このような高い動作周波数の領域においては、電気回路装置300のインピーダンスZsは、主に実効インダクタンスLによって決定され、実効インダクタンスLは、上述したように相対的に大きく低下するので、電気回路装置300は、高い動作周波数で動作するCPU110が発生する不要な高周波電流をCPU110の近傍に閉じ込めるノイズフィルタとして機能する。
また、電気回路装置300は、電気素子100のサイド陰極電極20A,20B,20C,20Dの一部が配置されるための切欠部311,312を有する導体板310を備えるので、導体板310とサイド陰極電極20A,20B2,0C,20Dとを電気的に絶縁して電気素子100で発生する熱を導体板310から放熱できる。
さらに、導体板310は、幅広部313,314を有するので、4個の角部(=幅広部313,314の両端部)によって導体板310を電気素子100に接続するときの位置合わせを容易に行なうことができる。
さらに、半田ペースト340,350をぞれぞれ陽極電極10A,10Bの内側に塗布するので、ローラー印刷によって半田ペースト340,350を容易に塗布できる。その結果、作業性の良い製造工程を構築できる。
実施の形態2においては、サイド陰極電極20A,20Bは、「第3の外部電極」を構成し、サイド陰極電極20C,20Dは、「第4の外部電極」を構成する。また、導体板310は、「外装平板部材」を構成する。さらに、半田320は、「第1の半田部材」を構成し、半田330は、「第2の半田部材」を構成する。
その他は、実施の形態1と同じである。
[実施の形態3]
図24は、実施の形態3による電気回路装置の斜視図である。図24を参照して、実施の形態3による電気回路装置400は、図19に示す電気回路装置300の導体板310を導体板410に代えたものであり、その他は、電気回路装置300と同じである。
導体板410は、銅箔からなり、平板形状を有する。そして、導体板410は、電気素子100の上面100Bに配置され、一方端が陽極電極10Aに接続され、他方端が陽極電極10Bに接続される。
このように、導体板410は、図1に示す導体板210のように、陽極電極10A,10Bを覆うように配置されるのではなく、陽極電極10Aの一部と陽極電極10Bの一部とに接続されるように、電気素子100の一主面(=上面100B)に配置される。
図25は、図24に示す導体板410の斜視図である。図25を参照して、導体板410は、切欠部411,412を有する。その結果、導体板410は、幅広部413,414と、幅狭部415とからなる。2個の幅広部413,414は、同一平面内に配置され、幅狭部415は、2個の幅広部413,414間に幅広部413,414と段差を付けて配置される。この場合、幅広部413,414と幅狭部415との段差は、陽極電極10A,10Bの膜厚に対応して30μm〜50μmである。
切欠部411は、サイド陰極電極20A,20Cの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部であり、切欠部412は、サイド陰極電極20B,20Dの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部である。
また、導体板410は、電気素子100の導体板11,12を電流が流れる方向DR1において、長さL3を有する。この長さL3は、方向DR1における電気素子100の長さよりも長い。
さらに、導体板410の幅広部413,414は、方向DR1に直交する方向DR2において、幅W3を有し、導体板410の幅狭部415は、幅W4を有する。
図26は、図24に示すA方向から見た電気回路装置400の側面図である。図26を参照して、電気回路装置400は、半田420,430をさらに備える。導体板410は、電気素子100の陽極電極10A,10Bおよび誘電体層5に接して陽極電極10A,10Bおよび誘電体層5上に配置される。そして、導体板410は、厚みD3を有する。この厚みD3は、たとえば、0.3mm〜0.4mmに設定される。
半田420は、方向DR1において電気素子100からはみ出した導体板410のはみ出し部410Aと、陽極電極10Aのうち電気素子100の厚み方向(=導体板11,12に略垂直な方向)に配置された部分とに接して配置され、導体板410を陽極電極10Aに電気的に接続する。
半田430は、方向DR1において電気素子100からはみ出した導体板410のはみ出し部410Bと、陽極電極10Bのうち電気素子100の厚み方向(=導体板11,12に略垂直な方向)に配置された部分とに接して配置され、導体板410を陽極電極10Bに電気的に接続する。
電気回路装置400は、図6および図7に示す工程(a)〜(e)と、図22および図23に示す工程(a)〜(e)とに従って作製される。この場合、0.3mm〜0.4mmの厚みD3を有する銅箔をプレス加工することによって、段差を有する導体板410を作製し、その作製した導体板410を陽極電極10A,10B、半田ペースト340,350および誘電体層5に接触するように電気素子100上に載せる。
導体板410は、0.3mm〜0.4mmの厚みを有する銅箔を用いて作製されるため、段差を設けない場合、半田ペースト340,350をリフローすることによって導体板410を誘電体層5に接触させることができない。そこで、実施の形態3においては、図25および図26に示すように、0.3mm〜0.4mmの厚みを有する銅箔を段差を有するようにプレス加工して導体板410を作製することにしたものである。その結果、厚みD3が0.3mm〜0.4mmであっても、導体板410を陽極電極10A,10Bおよび誘電体層5に接触させることができる。
また、陽極電極10A,10Bの内側にそれぞれ配置された半田ペースト340,350は、図23の工程(e)においてリフローされ、それぞれ、陽極電極10A,10Bの外側へ移動する。そして、導体板410のはみ出し部410Aと陽極電極10Aとの交差部には、半田420が形成され、導体板410のはみ出し部410Bと陽極電極10Bとの交差部には、半田430が形成される。
電気回路装置400は、上述した電気回路装置200,200Aと同じように電源90とCPU110との間に接続される。そして、電気回路装置400においては、電気回路装置300と同じ機構によってインピーダンスZsが小さくなり、電気素子100の温度上昇が抑制される。また、CPU110において発生した不要な高周波電流の電気回路装置400から電源90側への漏洩が抑制される。さらに、電気回路装置400は、高い動作周波数で動作するCPU110が発生する不要な高周波電流をCPU110の近傍に閉じ込めるノイズフィルタとして機能する。
電気回路装置400は、陽極電極10A,10Bの膜厚に対応する段差を有する導体板410を備えるので、導体板410が0.3mm〜0.4mmの厚みD3を有する場合でも、導体板410を電気素子100の陽極電極10A,10Bおよび誘電体層5に接して配置でき、電気素子100で発生した熱を導体板410から効果的に放熱できる。電気回路装置400は、その他、電気回路装置300と同じ効果を奏する。
実施の形態3においては、導体板410は、「外装平板部材」を構成し、幅広部413は、「第1の部分」を構成し、幅広部414は、「第2の部分」を構成し、幅狭部415は、「第3の部分」を構成する。また、半田420は、「第1の半田部材」を構成し、半田430は、「第2の半田部材」を構成する。
その他は、実施の形態2と同じである。
[実施の形態4]
図27は、実施の形態4による電気回路装置の斜視図である。図27を参照して、実施の形態4による電気回路装置500は、図19に示す電気回路装置300の導体板310を導体板510に代えたものであり、その他は、電気回路装置300と同じである。
導体板510は、銅箔からなり、平板形状を有する。そして、導体板510は、電気素子100の上面100Bにおいて陽極電極10Aと陽極電極10Bとの間に配置され、一方端が陽極電極10Aに接続され、他方端が陽極電極10Bに接続される。
このように、導体板510は、図1に示す導体板210のように、陽極電極10A,10Bを覆うように配置されるのではなく、陽極電極10Aの一部と陽極電極10Bの一部とに接続されるように、電気素子100の一主面(=上面100B)に配置される。
図28は、図27に示す導体板510の斜視図である。図28を参照して、導体板510は、切欠部511,512を有する。その結果、導体板510は、幅広部513,514と、幅狭部515とからなる。幅狭部515は、幅広部513と幅広部514との間に配置される。
切欠部511は、サイド陰極電極20A,20Cの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部であり、切欠部512は、サイド陰極電極20B,20Dの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部である。
また、導体板510は、電気素子100の導体板11,12を電流が流れる方向DR1において、長さL4を有する。この長さL4は、方向DR1における陽極電極10Aと陽極電極10Bとの距離に等しい。
さらに、導体板510の幅広部513,514は、方向DR1に直交する方向DR2において、幅W3を有し、導体板510の幅狭部515は、幅W4を有する。
図29は、図27に示すA方向から見た電気回路装置500の側面図である。図29を参照して、電気回路装置500は、半田520,530をさらに備える。導体板510は、一方端の断面510Aが電気素子100の陽極電極10Aに接し、他方端の断面510Bが電気素子100の陽極電極10Bに接し、底面510Cが誘電体層5に接するように配置される。そして、導体板510は、厚みD3を有する。したがって、導体板510は、陽極電極10A,10Bよりも厚い厚みを有する。
半田520は、陽極電極10Aと導体板510の一方端の断面510Aとに接して配置され、導体板510を陽極電極10Aに電気的に接続する。半田530は、陽極電極10Bと導体板510の他方端の断面510Bとに接して配置され、導体板510を陽極電極10Bに電気的に接続する。
電気回路装置500は、図6および図7に示す工程(a)〜(e)と、図22および図23に示す工程(a)〜(e)とに従って作製される。この場合、陽極電極10A,10Bの内側にそれぞれ配置された半田ペースト340,350は、図23の工程(e)においてリフローされ、それぞれ、陽極電極10A,10Bの外側へ移動する。そして、陽極電極10Aと導体板510とによって形成される凹部には、半田520が形成され、陽極電極10Bと導体板510とによって形成される凹部には、半田530が形成される。
電気回路装置500は、上述した電気回路装置200,200Aと同じように電源90とCPU110との間に接続される。そして、電気回路装置500においては、電気回路装置300と同じ機構によってインピーダンスZsが小さくなり、電気素子100の温度上昇が抑制される。また、CPU110において発生した不要な高周波電流の電気回路装置500から電源90側への漏洩が抑制される。さらに、電気回路装置500は、高い動作周波数で動作するCPU110が発生する不要な高周波電流をCPU110の近傍に閉じ込めるノイズフィルタとして機能する。
0.2mmよりも厚い銅箔からなる導体板510を用いる場合にも、導体板510を電気素子100の誘電体層5に接して配置でき、電気素子100で発生した熱を効果的に放熱できる。電気回路装置500は、その他、電気回路装置300と同じ効果を奏する。
実施の形態4においては、導体板510は、「外装平板部材」を構成する。また、半田520は、「第1の半田部材」を構成し、半田530は、「第2の半田部材」を構成する。
その他は、実施の形態2,3と同じである。
[実施の形態5]
図30は、実施の形態5による電気回路装置の斜視図である。図30を参照して、実施の形態5による電気回路装置600は、図19に示す電気回路装置300の導体板310を導体板610に代えたものであり、その他は、電気回路装置300と同じである。
導体板610は、銅箔からなり、平板形状を有する。そして、導体板610は、電気素子100の上面100Bに配置され、一方端が陽極電極10Aに接続され、他方端が陽極電極10Bに接続される。
このように、導体板610は、図1に示す導体板210のように、陽極電極10A,10Bを覆うように配置されるのではなく、陽極電極10Aの一部と陽極電極10Bの一部とに接続されるように、電気素子100の一主面(=上面100B)に配置される。
図31は、図30に示す導体板610の斜視図である。図31を参照して、導体板610は、切欠部611〜614を有する。その結果、導体板610は、幅広部615〜617と、幅狭部618,619とからなる。幅狭部618は、幅広部615と幅広部616との間に配置され、幅狭部619は、幅広部616と幅広部617との間に配置される。
切欠部611は、サイド陰極電極20Aの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部であり、切欠部612は、サイド陰極電極20Bの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部であり、切欠部613は、サイド陰極電極20Cの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部であり、切欠部614は、サイド陰極電極20Dの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部である。
また、導体板610は、電気素子100の導体板11,12を電流が流れる方向DR1において、長さL3を有する。
さらに、導体板610の幅広部615〜617は、方向DR1に直交する方向DR2において、幅W3を有し、導体板610の幅狭部618,619は、幅W4を有する。
電気回路装置600は、図6および図7に示す工程(a)〜(e)と、図22および図23に示す工程(a)〜(e)とに従って作製される。
電気回路装置600は、上述した電気回路装置200,200Aと同じように電源90とCPU110との間に接続される。そして、電気回路装置600においては、電気回路装置300と同じ機構によってインピーダンスZsが小さくなり、電気素子100の温度上昇が抑制される。また、CPU110において発生した不要な高周波電流の電気回路装置600から電源90側への漏洩が抑制される。さらに、電気回路装置600は、高い動作周波数で動作するCPU110が発生する不要な高周波電流をCPU110の近傍に閉じ込めるノイズフィルタとして機能する。
導体板610は、電気素子100の一主面(=上面100B)に一部が配置される4個のサイド陰極電極20A,20B,20C,20Dに対応して4個の切欠部611〜614を有するので、電気回路装置600において、導体板610と電気素子100との接触面積を電気回路装置300,400,500に比べ大きくできる。その結果、電気回路装置600における電気素子100の温度上昇を電気回路装置300,400,500における電気素子100の温度上昇よりも抑制できる。その他、電気回路装置600は、電気回路装置300と同じ効果を奏する。
なお、実施の形態5においては、電気回路装置400において、導体板410を4個のサイド陰極電極20A,20B,20C,20Dの一部が配置される4個の切欠部を有する導体板に代えてもよく、電気回路装置500において、導体板510を4個のサイド陰極電極20A,20B,20C,20Dの一部が配置される4個の切欠部を有する導体板に代えてもよい。
実施の形態5においては、導体板610は、「外装平板部材」を構成する。また、切欠部611,612は、「第1の切欠部」を構成し、切欠部613,614は、「第2の切欠部」を構成する。
その他は、実施の形態2〜4と同じである。
[実施の形態6]
図32は、実施の形態6による電気回路装置の斜視図である。図32を参照して、実施の形態6による電気回路装置700は、図19に示す電気回路装置300に接着剤710,720,730,740を追加したものであり、その他は、電気回路装置300と同じである。
接着剤710,720,730,740の各々は、たとえば、熱硬化型の接着剤からなる。そして、接着剤710は、導体板310の一部およびサイド陰極電極20Aの一部を覆うように導体板310とサイド陰極電極20Aとの間に配置され、接着剤720は、導体板310の一部およびサイド陰極電極20Bの一部を覆うように導体板310とサイド陰極電極20Bとの間に配置される。また、接着剤730は、導体板310の一部およびサイド陰極電極20Cの一部を覆うように導体板310とサイド陰極電極20Cとの間に配置され、接着剤740は、導体板310の一部およびサイド陰極電極20Dの一部を覆うように導体板310とサイド陰極電極20Dとの間に配置される。
電気回路装置700は、図6および図7に示す工程(a)〜(e)と、図22および図23に示す工程(a)〜(e)とに従って電気回路装置300を作製した後、接着剤710,720,730,740をそれぞれ導体板310とサイド陰極電極20Aとの間、導体板310とサイド陰極電極20Bとの間、導体板310とサイド陰極電極20Cとの間、および導体板310とサイド陰極電極20Dとの間に塗布し、その塗布した接着剤710,720,730,740を加熱して硬化させる。これによって、電気回路装置700が完成する。
なお、実施の形態6においては、上述した電気回路装置400,500,600において、導体板410,510,610とサイド陰極電極20A,20B,20C,20Dとの間に接着剤710,720,730,740を追加するようにしてもよい。
電気回路装置700においては、導体板310は、半田320,330によってそれぞれ陽極電極10A,10Bに接続されるとともに(図21参照)、接着剤710,720,730,740によって導体板310を電気素子100に接着する。したがって、電気回路装置700においては、導体板310を電気回路装置300に比べ強固に固着できる。
また、導体板310とサイド陰極電極20A,20B,20C,20Dとの間には、それぞれ、接着剤710,720,730,740が配置されるので、導体板310とサイド陰極電極20A,20B,20C,20Dとの電気的な絶縁性を向上できる。その他、電気回路装置700は、電気回路装置300と同じ効果を奏する。
実施の形態6においては、接着剤710,720は、「第1の接着部材」を構成し、接着剤730,740は、「第2の接着部材」を構成する。
その他は、実施の形態2〜5と同じである。
[実施の形態7]
図33は、実施の形態7による電気回路装置の斜視図である。図33を参照して、実施の形態7による電気回路装置800は、図19に示す電気回路装置300の導体板310を導体板810に代えたものであり、その他は、電気回路装置300と同じである。
導体板810は、銅箔からなり、電気素子100の陽極電極10A,10B(図33では図示せず)および上面100Bを覆うように配置される。
図34は、図33に示す導体板810の斜視図である。図34を参照して、導体板810は、切欠部811,812を有する。その結果、導体板810は、平板部813と、箱部814,815とからなる。平板部813は、箱部814と箱部815との間に配置される。
切欠部811は、サイド陰極電極20A,20Cの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部であり、切欠部812は、サイド陰極電極20B,20Dの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部である。
また、導体板810は、電気素子100の導体板11,12を電流が流れる方向DR1において、長さL5を有する。この長さL5は、方向DR1における電気素子100の長さに略等しい。
さらに、導体板810の平板部813は、方向DR1に直交する方向DR2において幅W4を有し、導体板810の箱部814,815は、方向DR2において幅W3を有し、方向DR1,DR2に直交する方向DR3において高さH1を有する。そして、高さH1は、電気素子100の厚みと略同じである。
平板部813は、電気素子100の上面100Bに接して配置される。箱部814は、電気素子100の側面100A、上面100B、正面100Eおよび裏面100Fに接して配置され、陽極電極10Aに接続される。箱部815は、電気素子100の上面100B、側面100D、正面100Eおよび裏面100Fに接して配置され、陽極電極10Bに接続される。
電気回路装置800は、図6および図7に示す工程(a)〜(e)と、図22および図23に示す工程(a)〜(e)とに従って作製される。
電気回路装置800は、上述した電気回路装置200,200Aと同じように電源90とCPU110との間に接続される。そして、電気回路装置800においては、電気回路装置300と同じ機構によってインピーダンスZsが小さくなり、電気素子100の温度上昇が抑制される。また、CPU110において発生した不要な高周波電流の電気回路装置800から電源90側への漏洩が抑制される。さらに、電気回路装置800は、高い動作周波数で動作するCPU110が発生する不要な高周波電流をCPU110の近傍に閉じ込めるノイズフィルタとして機能する。
電気回路装置800は、電気素子100の側面100A,100D、上面100B、正面100Eの一部および裏面100Fの一部に接する導体板810を備えるので、電気素子100と導体板810との接触面積を電気素子100と導体板310との接触面積よりも大きくして放熱効果を電気回路装置300よりも高くできる。そして、電気回路装置800は、その外、電気回路装置300と同じ効果を奏する。
なお、実施の形態7においては、導体板810とサイド陰極電極20A〜20Dとの間に接着剤710,720,730,740を設けてもよい。
また、実施の形態7においては、導体板810は、「外装平板部材」を構成する。また、切欠部811は、「第1の切欠部」を構成し、切欠部812は、「第2の切欠部」を構成する。
[実施の形態8]
図35は、実施の形態8による電気回路装置の斜視図である。図35を参照して、実施の形態8による電気回路装置900は、図19に示す電気回路装置300の導体板310を導体板910に代えたものであり、その他は、電気回路装置300と同じである。
導体板910は、銅箔からなり、電気素子100の陽極電極10A,10Bの一部および上面100Bを覆うように配置される。
図36は、図35に示す導体板910の斜視図である。図36を参照して、導体板910は、切欠部911,912を有する。その結果、導体板910は、平板部913と、囲み部914,915とからなる。平板部913は、囲み部914と囲み部915との間に配置される。
切欠部911は、サイド陰極電極20A,20Cの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部であり、切欠部912は、サイド陰極電極20B,20Dの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部である。
また、導体板910は、電気素子100の導体板11,12を電流が流れる方向DR1において、長さL5を有する。
さらに、導体板910の平板部913は、方向DR1に直交する方向DR2において幅W4を有し、導体板910の囲み部914,915は、方向DR2において幅W3を有し、方向DR1,DR2に直交する方向DR3において高さH1を有する。そして、高さH1は、電気素子100の厚みと略同じである。
平板部913は、電気素子100の上面100Bに接して配置される。囲み部914は、電気素子100の上面100B、正面100Eおよび裏面100Fに接して配置され、陽極電極10Aに接続される。囲み部915は、電気素子100の上面100B、正面100Eおよび裏面100Fに接して配置され、陽極電極10Bに接続される。
電気回路装置900は、図6および図7に示す工程(a)〜(e)と、図22および図23に示す工程(a)〜(e)とに従って作製される。
電気回路装置900は、上述した電気回路装置200,200Aと同じように電源90とCPU110との間に接続される。そして、電気回路装置900においては、電気回路装置300と同じ機構によってインピーダンスZsが小さくなり、電気素子100の温度上昇が抑制される。また、CPU110において発生した不要な高周波電流の電気回路装置900から電源90側への漏洩が抑制される。さらに、電気回路装置900は、高い動作周波数で動作するCPU110が発生する不要な高周波電流をCPU110の近傍に閉じ込めるノイズフィルタとして機能する。
電気回路装置900は、電気素子100の上面100B、正面100Eの一部および裏面100Fの一部に接する導体板910を備えるので、電気素子100と導体板910との接触面積を電気素子100と導体板310との接触面積よりも大きくして放熱効果を電気回路装置300よりも高くできる。そして、電気回路装置900は、その外、電気回路装置300と同じ効果を奏する。
なお、実施の形態8においては、導体板910とサイド陰極電極20A〜20Dとの間に接着剤710,720,730,740を設けてもよい。
また、実施の形態8においては、導体板9810は、「外装平板部材」を構成する。また、切欠部911は、「第1の切欠部」を構成し、切欠部912は、「第2の切欠部」を構成する。
[実施の形態9]
図37は、実施の形態9による電気回路装置の斜視図である。図37を参照して、実施の形態9による電気回路装置1000は、図19に示す電気回路装置300の導体板310を導体板1010に代えたものであり、その他は、電気回路装置300と同じである。
導体板1010は、銅箔からなり、電気素子100の陽極電極10A,10Bの一部および上面100Bを覆うように配置される。
図38は、図37に示す導体板1010の斜視図である。図38を参照して、導体板1010は、切欠部1011,1012を有する。その結果、導体板1010は、平板部1013と、角部1014,1015とからなる。平板部1013は、角部1014と角部1015との間に配置される。
切欠部1011は、サイド陰極電極20A,20Cの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部であり、切欠部1012は、サイド陰極電極20B,20Dの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部である。
また、導体板1010は、電気素子100の導体板11,12を電流が流れる方向DR1において、長さL5を有する。
さらに、導体板1010の平板部1013は、方向DR1に直交する方向DR2において幅W4を有し、導体板1010の角部1014,1015は、方向DR2において幅W3を有し、方向DR1,DR2に直交する方向DR3において高さH1を有する。そして、高さH1は、電気素子100の厚みと略同じである。
平板部1013は、電気素子100の上面100Bに接して配置される。角部1014は、電気素子100の上面100Bおよび側面100Aに接して配置され、陽極電極10Aに接続される。角部1015は、電気素子100の上面100Bおよび側面100Dに接して配置され、陽極電極10Bに接続される。
電気回路装置1000は、図6および図7に示す工程(a)〜(e)と、図22および図23に示す工程(a)〜(e)とに従って作製される。
電気回路装置1000は、上述した電気回路装置200,200Aと同じように電源90とCPU110との間に接続される。そして、電気回路装置1000においては、電気回路装置300と同じ機構によってインピーダンスZsが小さくなり、電気素子100の温度上昇が抑制される。また、CPU110において発生した不要な高周波電流の電気回路装置1000から電源90側への漏洩が抑制される。さらに、電気回路装置1000は、高い動作周波数で動作するCPU110が発生する不要な高周波電流をCPU110の近傍に閉じ込めるノイズフィルタとして機能する。
電気回路装置1000は、電気素子100の上面100Bおよび側面100A,100Dに接する導体板1010を備えるので、電気素子100と導体板1010との接触面積を電気素子100と導体板310との接触面積よりも大きくして放熱効果を電気回路装置300よりも高くできる。そして、電気回路装置1000は、その外、電気回路装置300と同じ効果を奏する。
なお、実施の形態9においては、導体板1010とサイド陰極電極20A〜20Dとの間に接着剤710,720,730,740を設けてもよい。
また、実施の形態9においては、導体板1010は、「外装平板部材」を構成する。また、切欠部1011は、「第1の切欠部」を構成し、切欠部1012は、「第2の切欠部」を構成する。
[実施の形態10]
図39は、実施の形態10による電気回路装置の斜視図である。図39を参照して、実施の形態10による電気回路装置1100は、図19に示す電気回路装置300の導体板310を導体板1110に代えたものであり、その他は、電気回路装置300と同じである。導体板1110は、銅箔からなり、電気素子100の上面100Bに接して配置される。
図40は、図39に示す導体板1110の斜視図である。図40を参照して、導体板1110は、切欠部1111,1112を有する。その結果、導体板1110は、幅狭部1113と、幅広部1114,1115と、溝部1116とからなる。幅狭部1113は、幅広部1114と幅広部1115との間に配置される。溝部1116は、幅狭部1113および幅広部1114,1115に碁盤目状に設けられる。
切欠部1111は、サイド陰極電極20A,20Cの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部であり、切欠部1112は、サイド陰極電極20B,20Dの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部である。
また、導体板1110は、電気素子100の導体板11,12を電流が流れる方向DR1において、長さL5を有する。
さらに、導体板1110の幅狭部1113は、方向DR1に直交する方向DR2において幅W4を有し、導体板1110の幅広部1114,1115は、方向DR2において幅W3を有する。
幅狭部1113および幅広部1114,1115は、電気素子100の上面100Bに接して配置される。そして、幅広部1114は、陽極電極10Aに接続され、幅広部1115は、陽極電極10Bに接続される。
溝部1116は、複数の溝1120と、複数の溝1121とからなる。複数の溝1120は、方向DR1に沿って形成され、複数の溝1121は、方向DR2に沿って形成される。そして、複数の溝1120,1121の各々は、数十μmの深さおよび幅を有する。
電気回路装置1100は、図6および図7に示す工程(a)〜(e)と、図22および図23に示す工程(a)〜(e)とに従って作製される。
電気回路装置1100は、上述した電気回路装置200,200Aと同じように電源90とCPU110との間に接続される。そして、電気回路装置1100においては、電気回路装置300と同じ機構によってインピーダンスZsが小さくなり、電気素子100の温度上昇が抑制される。また、CPU110において発生した不要な高周波電流の電気回路装置1100から電源90側への漏洩が抑制される。さらに、電気回路装置1100は、高い動作周波数で動作するCPU110が発生する不要な高周波電流をCPU110の近傍に閉じ込めるノイズフィルタとして機能する。
電気回路装置1100は、電気素子100の上面100Bに接し、表面に碁盤目状の溝部1116を有する導体板1110を備えるので、放熱面積を導体板310よりも大きくして放熱効果を電気回路装置300よりも高くできる。そして、電気回路装置1100は、その外、電気回路装置300と同じ効果を奏する。
なお、実施の形態10においては、導体板1110とサイド陰極電極20A〜20Dとの間に接着剤710,720,730,740を設けてもよい。
また、実施の形態10においては、導体板1110は、「外装平板部材」を構成する。また、切欠部1111は、「第1の切欠部」を構成し、切欠部1112は、「第2の切欠部」を構成する。
[実施の形態11]
図41は、実施の形態11による電気回路装置の斜視図である。図41を参照して、実施の形態11による電気回路装置1200は、図19に示す電気回路装置300の導体板310を導体板1210に代えたものであり、その他は、電気回路装置300と同じである。導体板1210は、銅箔からなり、電気素子100の上面100Bに接して配置される。
図42は、図41に示す導体板1210の斜視図である。図42を参照して、導体板1210は、切欠部1211,1212を有する。その結果、導体板1210は、幅狭部1213と、幅広部1214,1215と、溝部1216とからなる。幅狭部1213は、幅広部1214と幅広部1215との間に配置される。溝部1216は、幅狭部1213および幅広部1214,1215に方向DR1,SR2と所定の角度を成すように設けられる。
切欠部1211は、サイド陰極電極20A,20Cの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部であり、切欠部1212は、サイド陰極電極20B,20Dの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部である。
また、導体板1210は、電気素子100の導体板11,12を電流が流れる方向DR1において、長さL5を有する。
さらに、導体板1210の幅狭部1213は、方向DR1に直交する方向DR2において幅W4を有し、導体板1210の幅広部1214,1215は、方向DR2において幅W3を有する。
幅狭部1213および幅広部1214,1215は、電気素子100の上面100Bに接して配置される。そして、幅広部1214は、陽極電極10Aに接続され、幅広部1215は、陽極電極10Bに接続される。
溝部1216は、図40に示す複数の溝1120,1121と同じ構造を有する複数の溝からなる。
電気回路装置1200は、図6および図7に示す工程(a)〜(e)と、図22および図23に示す工程(a)〜(e)とに従って作製される。
電気回路装置1200は、上述した電気回路装置200,200Aと同じように電源90とCPU110との間に接続される。そして、電気回路装置1200においては、電気回路装置300と同じ機構によってインピーダンスZsが小さくなり、電気素子100の温度上昇が抑制される。また、CPU110において発生した不要な高周波電流の電気回路装置1200から電源90側への漏洩が抑制される。さらに、電気回路装置1200は、高い動作周波数で動作するCPU110が発生する不要な高周波電流をCPU110の近傍に閉じ込めるノイズフィルタとして機能する。
電気回路装置1200は、電気素子100の上面100Bに接し、表面に溝部1216を有する導体板1210を備えるので、放熱面積を導体板310よりも大きくして放熱効果を電気回路装置300よりも高くできる。そして、電気回路装置1200は、その外、電気回路装置300と同じ効果を奏する。
なお、実施の形態11においては、導体板1210とサイド陰極電極20A〜20Dとの間に接着剤710,720,730,740を設けてもよい。
また、実施の形態11においては、導体板1210は、「外装平板部材」を構成する。また、切欠部1211は、「第1の切欠部」を構成し、切欠部1212は、「第2の切欠部」を構成する。
[実施の形態12]
図43は、実施の形態12による電気回路装置の斜視図である。図43を参照して、実施の形態12による電気回路装置1200は、図19に示す電気回路装置300の導体板310を導体板1310に代えたものであり、その他は、電気回路装置300と同じである。導体板1310は、銅箔からなり、電気素子100の上面100Bに接して配置される。
図44は、図43に示す導体板1310の斜視図である。図44を参照して、導体板1310は、切欠部1311,1312を有する。その結果、導体板1310は、凹凸部1313と、平面部1314,1315とからなる。凹凸部1313は、平板部1314と平板部1315との間に配置される。
切欠部1311は、サイド陰極電極20A,20Cの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部であり、切欠部1312は、サイド陰極電極20B,20Dの一部が電気素子100の一主面(=上面100B)に配置されるための切欠部である。
また、導体板1310は、電気素子100の導体板11,12を電流が流れる方向DR1において、長さL5を有する。
さらに、導体板1310の凹凸部1313は、方向DR1に直交する方向DR2において幅W4を有し、導体板1310の平板部1314,1315は、方向DR2において幅W3を有する。
凹凸部1313および平板部1314,1315は、電気素子100の上面100Bに接して配置される。そして、平板部1314は、陽極電極10Aに接続され、平板部1315は、陽極電極10Bに接続される。
電気回路装置1300は、図6および図7に示す工程(a)〜(e)と、図22および図23に示す工程(a)〜(e)とに従って作製される。
電気回路装置1300は、上述した電気回路装置200,200Aと同じように電源90とCPU110との間に接続される。そして、電気回路装置1300においては、電気回路装置300と同じ機構によってインピーダンスZsが小さくなり、電気素子100の温度上昇が抑制される。また、CPU110において発生した不要な高周波電流の電気回路装置1300から電源90側への漏洩が抑制される。さらに、電気回路装置1300は、高い動作周波数で動作するCPU110が発生する不要な高周波電流をCPU110の近傍に閉じ込めるノイズフィルタとして機能する。
電気回路装置1300は、電気素子100の上面100Bに接し、表面に凹凸部1313を有する導体板1310を備えるので、放熱面積を導体板310よりも大きくして放熱効果を電気回路装置300よりも高くできる。そして、電気回路装置1300は、その外、電気回路装置300と同じ効果を奏する。
なお、実施の形態12においては、導体板1210とサイド陰極電極20A〜20Dとの間に接着剤710,720,730,740を設けてもよい。
また、実施の形態12においては、導体板1310は、「外装平板部材」を構成する。また、切欠部1311は、「第1の切欠部」を構成し、切欠部1312は、「第2の切欠部」を構成する。
図45は、導体板310,410,510,610を2つの陽極電極10A,10Bに接続した場合における電気素子100に含まれるコンデンサの層数と許容電流との関係を示す図である。
図45において、縦軸は、許容電流を表し、横軸は、層数を表す。また、直線k24は、導体板220,310,410,510,610を設ける場合を示し、曲線k25は、導体板220,310,410,510,610を設けない場合を示す。
図45を参照して、コンデンサの各層数において、導体板220,310,410,510,610を設けることによって電気回路装置300,400,500,600,700の許容電流を約2倍に増加させることができる。
導体板220,310,410,510,610を設けることによって、直流電流Iは、その大部分が導体板310,410,510,610を流れ、リターン電流Irは、その大部分が導体板220を流れるからである。
このように、2つの陽極電極10A,10B間に導体板310,410,510,610を設けた場合においても、電気回路装置300,400,500,600,700に流す直流電流を大幅に増加できる。
上述した電気回路装置300(図19参照)の導体板310は、方向DR1において電気素子100の長さよりも長い長さL3を有し、0.1mm〜0.2mmの厚みD2を有する。また、電気回路装置500(図27参照)の導体板510は、方向DR1において電気素子100の長さよりも短い長さL4を有し、0.3mm〜0.4mmの厚みD3を有する。
したがって、この発明においては、導体板が電気素子100の上面100Bに平面状に配置される場合、その導体板の方向DR1における長さは、導体板の厚みに応じて決定されるようにしてもよい。そして、厚みが0.1mm〜0.2mmの範囲であるとき、方向DR1における導体板の長さは、方向DR1における電気素子100の長さよりも長く、厚みが0.2mmよりも厚いとき(好ましくは、0.3mm〜0.4mmであるとき)、方向DR1における導体板の長さは、方向DR1における電気素子100の長さよりも短い。
このように、厚みに応じて導体板の長さを決定することによって、厚みが変化しても導体板を電気素子100の誘電体層5に接して配置できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1〜5 誘電体層、5A,201A,201B,211A,211B 一主面、10A,10B 陽極電極、11,11A,12,21〜23,21A,210,220,310,410,510,610 導体板、20,20A 重複部分、20A,20B,20C,20D サイド陰極電極、20E,20F 陰極電極、30,40 矢印、90 電源、91,111 正極端子、92,112 負極電極、100 電気素子、100A,100D 側面、100B 上面、100C 底面、100E 正面、100F 裏面、110 CPU、121〜124 リード線、200,200A,300,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200,1300 電気回路装置、230,240 放熱部材、311,312,411,412,512,513,611〜614,811,812,911,912,1011,1012,1111,1112,1211,1212,1311,1312 切欠部、313,314,413,414,513,514,615〜617,1114,1115,1214,1215 幅広部、315,415,515,618,619 幅狭部、310A,310B,410A,410B,510A,510B はみ出し部、320,330,420,430,520,530 半田、340,350 半田ペースト、1116,1216 溝部、1120,1121 溝、1313 凹凸部、1314,1315 平板部。