しかし、上記の従来のコンテナ管理システムでは、コンテナに取付けられたIDタグ等の特定情報媒体からコンテナ識別情報を読み出すためには、IDタグリーダ等の読取装置で読み出す必要があり、コンテナ運搬車両に積載中はともかく、コンテナそのものの修理や塗装の塗り直し等の際には、目視でコンテナの識別を行うことができず、対象となるコンテナを容易に確認することができない。又、コンテナにIDタグ等の特定情報媒体を取付けると共に、コンテナに目視で識別可能な表示がなされている場合でも、特定情報媒体のコンテナ識別情報と表示とが一致することを確認する必要があり、手間がかかる。
又、コンテナをコンテナ運搬車両に積載している場合は、このコンテナの管理上、コンテナの位置管理を自動的に行えるように、コンテナ識別を自動的に行う必要があり、この点で、IDタグ等の特定情報媒体を用いる方法は優れている。しかし、IDタグ等の特定情報媒体からコンテナ識別情報を読み出すIDタグリーダ等の読取装置は、IDタグに近接させて取付ける必要があり、取り付けに制約があるほか、高価であることや、一般的には屋内で使用される装置であることから、コンテナ運搬車両に搭載するのは容易ではない。
又、上記の従来のコンテナ管理システムでは、コンテナ運搬車両に積載されたコンテナの位置をリアルタイムに把握することは可能であるが、コンテナの状態(コンテナが満杯なのか空なのか)を把握することはできない。このコンテナの状態を把握する方法としては、センサを用いて重量を測定する方法が考えられるが、走行するコンテナ運搬車両上では、実現が困難である。そのため、空コンテナの存在位置管理をリアルタイムに行うことができず、複数のコンテナの最適配置運用が困難であるという問題がある。
又、コンテナ運搬車両の位置情報だけでは、不法投棄が頻繁に行われるような現場を単に通過しただけなのか、それともその場所でコンテナ内の廃棄物等を投棄したのかどうかの判別が困難である。そのために、作業員の不正行為や不法行為を監視できないという問題もある。
更に、上記の従来のコンテナ管理システムに、予め登録された運送ルートからの逸脱を検知するような手段を追加することによって、不正行為や不法行為の監視が可能なシステムを構築することも考えられる。しかし、このようなシステムでは、決まったルートを毎日巡回するような廃棄物の収集とは異なり、排出事業者からの注文を日々受けて様々な種類の廃棄物やコンテナを様々な場所に逐次収集処理するような廃棄物処理においては、刻々と変化する道路の渋滞状況に対応できる柔軟なルート変更を迅速に行うことができないという問題がある。
ところで、コンテナ運搬車両に備えられたコンテナの積込や積降を行う荷役装置の操作端末は、無線又は有線でコンテナ運搬車両における荷役装置の制御部と通信可能な状態になっており、操作端末に設けられた操作ボタンやスイッチが操作されて荷役アームが操作され、コンテナの積込、積降、チルトアップ、チルトダウン等の操作が行われる。
そうすると、その操作の対象になっているコンテナを識別して、この操作が行われた事実と、この操作が行われた場所と時刻の情報とを組み合わせることによって、その操作の対象のコンテナが、満杯なのか空なのか、又、コンテナがどこにあるのか等を把握することは可能であるはずである。又、コンテナの識別としては、上述したように、目視でコンテナの識別が可能で且つコンテナ運搬車両に積載時は、コンテナ識別が自動的に行えるような方法が求められている。
そこで、この発明は、このような状況に対処するためになされたものであって、コンテナ運搬車両で運搬されるコンテナに関し、コンテナの識別が目視で可能であると共に、コンテナ運搬車両に積載時には、コンテナ識別が自動的に行われると共に、コンテナ運搬車両の位置情報やコンテナ運搬車両の荷役装置の操作状態に基づいて、コンテナの管理を行うコンテナ管理システムを提供しようとするものである。
本発明のコンテナ管理システムは、コンテナ運搬車両で運搬されると共に傾斜させると内部の積載物を外部に排出可能な独立したコンテナを、積込、積降、チルトアップ、及び、チルトダウンするコンテナ操作を行うコンテナ装着積載手段を備えたコンテナ運搬車両に、車載装置が備えられていると共に、該車載装置が該車載装置と無線で通信する通信ネットワークを介してセンタ装置に接続されるコンテナ管理システムである。
上記のコンテナ装着積載手段における積込とは、地上やプラットホーム等に載置されているコンテナをコンテナ運搬車両に搭載することであり、積降とは、コンテナ運搬車両に積載しているコンテナを地上やプラットホーム等に降ろして設置することであり、チルトアップとは、コンテナ運搬車両に積載しているコンテナを積載状態で傾斜させることであり、そして、チルトダウンとは、上記で傾斜させたコンテナを元に戻すことである。又、上記のコンテナ装着積載手段は、上述した荷役装置に該当する。
上記のコンテナ管理システムでは、コンテナの表面には、該コンテナを識別可能なコンテナ識別子が備えられている。又、車載装置は、コンテナ装着積載手段がコンテナ操作を行うときの、コンテナ識別子を写真撮影して得られる電子画像データと、コンテナ運搬車両の位置を検出して得られる車両位置データと、写真撮影時の時刻データと、コンテナ操作の操作種類を示す操作種類データと、で構成される履歴データを、通信ネットワークを介してセンタ装置に送信(以下、この明細書において提供とも言う。)する。そして、センタ装置は、提供された履歴データを記憶すると共に、該履歴データに含まれる電子画像データを解析してコンテナ識別を行う一方、前記電子画像データを目視可能な状態で出力する構成としている。
上記のコンテナ管理システムにおいて、車載装置及びセンタ装置は、具体的に、次のように構成することができる。まず、車載装置は、次のように構成することができる。即ち、コンテナ装着積載手段が動作している間、コンテナ操作の種類を示す操作種類信号を出力する操作状態出力手段と、コンテナ識別子を写真撮影して電子画像データを出力する写真撮影手段と、コンテナ運搬車両の所在位置を検出して車両位置データを出力する車両位置検出手段と、時刻を取得して時刻データを出力する時刻取得手段と、操作状態出力手段が出力する操作種類信号の出力ON時から出力OFF時までの間に、少なくとも1回、写真撮影手段に撮影させ、且つ、操作種類信号に対応する操作種類データを作成すると共に、撮影時点における、時刻取得手段により出力される撮影時刻データ、写真撮影手段により出力される電子画像データ、車両位置検出手段により出力される車両位置データ、及び、操作種類データで履歴データを構成して、通信ネットワークを介してセンタ装置に提供する車載制御手段と、を備えて、車載装置を構成することができる。
又、センタ装置は、履歴データを、通信ネットワークを介して受信するセンタ制御手段と、該センタ制御手段により受信された履歴データを記憶する履歴データ記憶手段と、履歴データに含まれる電子画像データを解析してコンテナ識別を行う電子画像解析手段と、を備えて構成することができる。
又、上記のコンテナ管理システムにおいて、システムの一部を次のように構成してもよい。即ち、車載制御手段は、操作状態出力手段が出力する操作種類信号の出力ON時点における時刻取得手段により取得された操作開始時刻データ、及び、操作種類信号の出力OFF時点における時刻取得手段により取得された操作終了時刻データを、通信ネットワークを介してセンタ装置に提供する。
すると、センタ制御手段は、操作終了時刻データが示す操作終了時刻が、操作開始時刻データが示す操作開始時刻から、予め設定された所定時間が経過する前の時刻であると、履歴データ記憶手段により記憶されている履歴データを無効とするのである。
又、上記のコンテナ管理システムにおいて、システムの一部を次のように構成してもよい。即ち、車載制御手段は、操作状態出力手段が出力する操作種類信号の出力ON時点から、予め設定された所定時間が経過する前に操作種類信号の出力がOFFすると、センタ装置に対する履歴データの提供を中止するのである。
又、上記のコンテナ管理システムにおいて、システムの一部を次のように構成してもよい。即ち、車載装置は、記憶手段を備えていると共に、車載制御手段は、センタ装置へ提供するデータを、センタ装置へ提供すると共に、記憶手段に記憶するのである。
このシステムでは、車載制御手段は、車載装置と無線で通信する通信ネットワークのエリア外にコンテナ運搬車両が位置することにより、センタ装置へ未提供となったデータを、エリア内にコンテナ運搬車両が戻ったときに、記憶手段から取り出して、センタ装置へ提供するようにしてもよい。
又、上記のコンテナ管理システムにおいて、システムの一部を次のように構成してもよい。即ち、車載装置は、記憶手段を備えていると共に、車載制御手段は、車載装置と無線で通信する通信ネットワークのエリア外にコンテナ運搬車両が位置することにより、センタ装置へ未提供となったデータを、記憶手段に記憶し、通信ネットワークのエリア内にコンテナ運搬車両が戻ったときに、記憶手段に記憶されているデータをセンタ装置へ提供すると共に、提供されたデータがセンタ装置で記録済であることが確認されると、記憶手段に記憶されているデータを消去するのである。
又、上記のコンテナ管理システムにおいて、写真撮影手段は、コンテナの表面に備えられているコンテナ識別子のみならず、該コンテナが搭載されている車両の背景を、同一の写真に含ませて写真撮影するようにしてもよい。
又、上記のコンテナ管理システムにおいて、履歴データは、コンテナ運搬車両の車両番号を含めて構成されるようにしてもよい。
又、上記のコンテナ管理システムにおいて、コンテナ識別子は、目視で識別可能な、文字、数字コード、又は、記号、若しくは、バーコードで構成されていると共に、電子画像解析手段は、電子画像データに含まれている文字、数字コード、又は、記号を解析してコンテナ識別を行うようにしてもよい。
又、上記のコンテナ管理システムにおいて、コンテナ識別子は、該コンテナ識別子の周囲に、該コンテナ識別子が存在する範囲を示すマークを備えていると共に、電子画像解析手段は、マークに基づいて、電子画像データからコンテナ識別子を抽出して解析するようにしてもよい。
又、上記のコンテナ管理システムにおいて、コンテナ識別子は、数字コードで構成され、且つ、該数字コードに誤検知符号を備えていると共に、電子画像解析手段は、誤検知符号を用いてコンテナ識別子の誤りを検出するようにしてもよい。
又、上記のコンテナ管理システムにおいて、コンテナ識別子には、OCR文字が用いられていると共に、電子画像解析手段は、電子画像データに含まれているOCR文字を解析してコンテナ識別を行うようにしてもよい。
本発明のコンテナ管理システムによれば、コンテナ装着積載手段を備えたコンテナ運搬車両において、コンテナの積込、積降、チルトアップ、又は、チルトダウンのいずれかの操作が行われると、その操作毎に、当該操作がなされたコンテナの表面に備えられているコンテナ識別子が写真撮影される。この写真撮影により得られた電子画像データが、コンテナ運搬車両に備えられている車載装置により、コンテナ運搬車両の車両位置データ、写真撮影時の時刻データ、及び、コンテナ操作の操作種類データと共に履歴データとして構成され、この履歴データが通信ネットワークを介してセンタ装置に提供される。そして、センタ装置に提供された履歴データは、このセンタ装置で記憶されると共に、該履歴データに含まれる電子画像データが解析されてコンテナ識別が行われると共に、電子画像データを目視可能な状態で出力する。
従って、コンテナ運搬車両のコンテナ装着積載手段がコンテナを操作したときのコンテナ識別を自動的に行うことができる。又、コンテナ運搬車両におけるコンテナ装着積載手段によるコンテナ操作の履歴の記録を、人手に頼ることなく自動的に行うことができる。又、この履歴データと共に上記のコンテナ識別により、コンテナ管理を行うことができると共に、電子画像データの解析がうまく行えなかったとしても、電子画像データを目視可能な状態で出力するので、人が目視することにより、コンテナ識別子を判読することができる。
又、コンテナ装着積載手段がコンテナを操作する際に出力される操作種類信号の出力ON時の操作開始時刻と出力OFF時の操作終了時刻を用いて、コンテナ装着積載手段におけるコンテナ操作の継続時間と、予め設定された所定時間とを比較し、コンテナ装着積載手段におけるコンテナ操作の継続時間の方が短いと、そのときの履歴データは車載装置からセンタ装置へ提供されないか、提供されても無効とすることができる。即ち、所定時間よりも短いコンテナ装着積載手段の操作は、微調整等のために行った操作であり、コンテナ装着積載手段の正規の操作とみなさないようにすることができる。従って、コンテナ装着積載手段における操作微調整のための短い時間の操作を取り除くことができ、コンテナ装着積載手段の正規の操作における操作種類を正確に把握することができる。
又、コンテナ運搬車両の車載装置に記憶手段を備えることにより、コンテナ運搬車両の車載装置は、履歴データをセンタ装置へ提供する際に、自らもこの履歴データを記憶することができるので、無線通信等の問題が生じたときにセンタ装置に記憶されている履歴データと照合することができる。又、この記憶手段を用いることにより、コンテナ運搬車両が車載装置と無線で通信する通信ネットワークのエリア外に出たときに、センタ装置へ未提供となったデータを、通信ネットワークのエリア内にコンテナ運搬車両が戻ったときに、センタ装置へ提供することもできるので、コンテナ運搬車両が山岳地帯等を走行して、センタ装置と通信ができない場合が生じても、全ての履歴データをセンタ装置へ提供することができる。
又、コンテナの表面に表示されているコンテナ識別子のみならず、該コンテナが積載されているコンテナ運搬車両の背景を、同一の写真に含ませて写真撮影することができる。そのため、コンテナ運搬車両でコンテナ操作がなされているときの該コンテナ運搬車両の背景を、該コンテナのコンテナ識別子と同じ写真に映すことができる。従って、この背景が写っている写真を用いることで、例えば、チルトアップ動作のときに撮影された写真に処理場以外の場所が写っている等の場合に、不法投棄等の不正行為を把握することができる。
又、コンテナの表面に表示されたコンテナ識別子は、目視で識別可能な、文字、数字、又は、記号、若しくは、バーコードで構成することができる。そのため、コンテナそのものの修理や塗装の塗り直し等の際には、コンテナ識別子を目視で識別することができ、対象となるコンテナを容易に確認することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。図1は、本実施の形態におけるコンテナ管理システムの構成図である。図1において、本実施の形態におけるコンテナ管理システムは、廃棄物用のコンテナCを運搬する複数台のコンテナ運搬車両1に備えられた車載装置4と、この車載装置4が無線で通信する通信ネットワーク5及びインターネット6を介して接続されるコンテナ管理センタ30に備えられたセンタ装置31とで構成されている。
上記のコンテナCは、上述したように、廃棄物回収用コンテナやリサイクル資源回収用コンテナであり、傾斜させることで内部の積載物を外部に排出可能な独立したコンテナである。このコンテナCとしては、上面が開放された開放式のものや、上面も閉じられた密閉式のもの等が用いられ、コンテナCを傾斜させたときにコンテナCの内部の積載物が排出可能なように、後壁は開閉自在に構成されている。又、前壁上部に係合ピンC1が設けられていると共に、底面前部には支持脚C2が、又、底面後部には支持ローラC3が設けられている。
図2は、上記のコンテナ運搬車両1の外観を示したものであり、図3は、このコンテナ運搬車両1にコンテナCを搭載した状態を示したものである。コンテナ運搬車両1には、荷役装置2が備えられており、この荷役装置2により、コンテナCに対するコンテナ操作を行うことができる。このコンテナ操作としては、積込、積降、チルトアップ、及び、チルトダウンが可能であり、この荷役装置2が、前述のコンテナ装着積載手段に相当する。
荷役装置2は、コンテナCが搭載された状態において水平に配置されるアウタアーム21と、同状態において垂直に配置された垂直部22bを有し、全体としてL字状に形成された伸縮アーム22とを備えている。
伸縮アーム22は、アウタアーム21内に挿入された水平部22aと、この水平部22aの前端部から立設された垂直部22bとで略L字状に形成されており、水平部22aが図示しない伸縮シリンダによりアウタアーム21に対して長手方向に伸縮自在に構成されている。又、垂直部22bは、その先端にコンテナCに設けられた係合ピンC1と係脱自在なフック23が設けられている。
又、アウタアーム21と車体3との間には、起伏シリンダ24(図5〜図7参照)が連設されており、この起伏シリンダ24の伸縮動作により荷役装置2がその後端部を中心にして前後方向に回動自在に構成されている。又、車体3の後端部には、コンテナCを当該車体3と地上との間で円滑に積降するためのローラ25が設けられている。
図4〜図7は、上記の荷役装置2の荷役動作を説明した説明図である。図2〜図7において、この荷役装置2によるコンテナCの積降動作は、まず、図3に示すようにコンテナCを搭載した状態で、図4に示すように伸縮シリンダにより伸縮アーム22の水平部22aをアウタアーム21に対して縮退させ、車体3上のコンテナCを後方に所定長さスライドさせる。この後、図5に示すように起伏シリンダ24によりアウタアーム21を伸縮アーム22と共に上方に回動させてコンテナCを傾動させる。これによりコンテナCを図6に示すように車体3上から地上に降ろすことができる。又、上述と逆の動作により地上のコンテナCを車体3上に積込むことができる。
一方、コンテナC内に積載された積載物の排出を行うチルトアップ動作は、コンテナCを車体3上に積込んだ状態で、図示しない固縛装置によりアウタアーム21とスウィングフレーム2aとを一体的に固縛し、伸縮アーム22をアウタアーム21に対して縮退させることなく、図7に示すように荷役装置2全体を上方に回動させてコンテナCを傾動させることで、このコンテナC内の積載物を開放した後壁から外部に排出する。又、上述と逆の動作によりチルトダウン動作を行うことができる。
上記のコンテナCには、図1や図3〜図7に示すように、このコンテナCの係合ピンC1が備えられている前壁の表面に、このコンテナCを識別するためのコンテナIDコードC4が表示されている。このコンテナIDコードC4が、前述のコンテナ識別子に相当する。このコンテナIDコードC4が表示されている位置は、コンテナCがコンテナ運搬車両1に積載されているときに、後述するデジタルカメラ12で写真撮影が可能な位置である。
図8及び図9は、このコンテナIDコードC4の例を示したものである。この図8の例では、コンテナIDコードC4は、5桁の数字が上下2段に配列された数字コードで構成されており、この数字コードの周囲の4隅には、鉤カッコのマーク26が表示されている。この鉤カッコのマーク26は、このコンテナIDコードC4が存在する範囲を示すために表示されている。即ち、この鉤カッコのマーク26で囲まれるエリア内に、コンテナIDコードC4が存在していることを示している。
このコンテナIDコードC4が存在する範囲を示すためのマーク26としては、上記の鉤カッコのマーク26には限られず、他のマーク26であってもよい。図9は、この他のマーク26として、矩形状の枠が用いられたコンテナIDコードC4の例を示したものである。この図9の例では、コンテナIDコードC4は、図8に示した例と同様、5桁の数字が上下2段に配列された数字コードで構成されており、この数字コードの周囲に矩形状の枠が表示されている。即ち、この矩形状の枠で囲まれるエリア内に、コンテナIDコードC4が存在していることを示している。
廃棄物回収用コンテナやリサイクル資源回収用コンテナでは、コンテナ本体の汚れや、表面の突起物、或いは、コンテナに被せるシート等の影響で、後述するデジタルカメラ12により写真撮影されて得られる画像データには屋外環境によるノイズがのることがある。そのため、一般的に用いられている数字コードの先頭に設けられた開始マーカよりも、上記のコンテナIDコードC4が存在する範囲を示すマーク26の方が、後述する電子画像データの解析では、好結果をもたらす。
上記のコンテナIDコードC4において、このコンテナIDコードC4の末尾2桁、即ち、下段の列の末尾2桁は、誤検出符号である。この誤検出符号は、コンテナIDコードC4を判読する際の誤訂正に用いられる。この誤検出の方法としては、サムチェック方式等が用いられる。このように、開始マーカや誤検出符号を備えることにより、後述する画像解析によるコンテナIDコードC4の抽出を、正確に行うことができる。この誤検出符号が配置される位置は、コンテナIDコードC4の末尾には限られず、別の位置に配置されていてもよい。
上記のコンテナIDコードC4としては、数字と文字、及び、記号が用いられているが、数字のみ、或いは、文字のみを使用するようにしてもよい。或いは、バーコード等を用いることもできる。又、コンテナIDコードC4として、OCRフォント文字を用いると、目視で認識可能であるのみならず、後述する画像解析によりコンテナIDコードC4を抽出するのに、既成の技術が利用しやすい利点がある。
次に、上記のコンテナ管理システムを構成する重要な要素であるコンテナ運搬車両1に備えられた車載装置4と、コンテナ管理センタ30に備えられたセンタ装置31について説明する。図10は、コンテナ運搬車両1に備えられた車載装置4の構成を示したブロック図であり、図11は、コンテナ管理センタ30に備えられたセンタ装置31の構成を示したブロック図である。
コンテナ運搬車両1に備えられた車載装置4は、図10に示すように、CPU10、時計部11、デジタルカメラ12、無線通信用アダプタ13、GPS受信部14、EEPROM17、及び、RAM18で構成されている。
この内、CPU10は、マイクロコンピュータ等で構成されており、EEPROM17には、CPU10が処理を行うのに必要なOSやアプリケーションプログラム等のソフトウエアが保持されている。又、RAM18は、各種データ等の記憶に用いられる。又、EEPROM17或いはRAM18には、車載装置4が備えられているコンテナ運搬車両1の車両番号を示す車両番号データが保持されている。これらのCPU10、EEPROM17、RAM18、及び、後で詳述する無線通信用アダプタ13は、これらを合わせた全体で、前述の車載制御手段に相当する。
時計部11は、時計機能を備えており、時刻を出力する。この時計部11は、CPU10と接続されており、CPU10は、任意の時点における時刻を取得することができる。この時計部11は、前述の時刻取得手段に相当する。
デジタルカメラ12は、コンテナ運搬車両1における運転者室の後部に設置され、この運転者室の後部の窓にレンズを向けて取付けられている。このデジタルカメラ12は、CPU10と接続されており、CPU10からの写真撮影指示により、運転者室の後部の窓を通して、上述したコンテナCの前壁の表面に表示されているコンテナIDコードC4の撮影を行い、電子画像データを出力する。この際、コンテナIDコードC4とコンテナ運搬車両1の背景とが同一写真に同時に写るように、このデジタルカメラ12には、広角レンズ等が用いられている。このデジタルカメラ12は前述の写真撮影手段に相当する。
GPS受信部14は、コンテナ運搬車両1の所在位置を検出して車両位置データを出力する装置であり、前述の車両位置検出手段に相当する。このGPS受信部14が出力する車両位置データには、緯度及び経度とその他の情報が含まれている。又、GPS受信部14は、CPU10と接続されており、CPU10は、GPS受信部14が出力する車両位置データを取得することができる。
荷役装置制御部15は、上述した荷役装置2の動作を制御する装置であり、荷役装置2が接続されている。この荷役装置制御部15は、荷役装置2が動作している間、この荷役装置制御部15から、荷役装置2のコンテナ操作の種類である、積込、積降、チルトアップ、及び、チルトダウンのいずれかを示す操作種類信号が出力される。従って、この荷役装置制御部15は、前述の操作状態出力手段の機能を備えている。この荷役装置制御部15は、又、CPU10とも接続されており、CPU10は、荷役装置制御部15が出力する操作種類信号のON時点やOFF時点を把握することができる。
荷役装置操作端末16は、荷役装置2を動作させるための操作端末であり、荷役装置制御部15と接続されている。そこで、この荷役装置操作端末16を操作することにより、荷役装置2を操作することができる。
無線通信用アダプタ13は、CPU10と接続されており、CPU10の指示に基づいて、コンテナ管理センタに備えられたセンタ装置31と通信を行い、デジタルカメラ12が出力する電子画像データ等の各種データを、センタ装置31へ送信する機能を有している。この機能を実現するため、無線通信用アダプタ13は、携帯電話やPHS等を用いる通信用のアダプタで構成されており、携帯電話通信網やPHS通信網、無線LAN通信網等の無線通信網5と接続される。この無線通信網5はインターネット6に接続され、このインターネット6にはコンテナ管理センタ30のセンタ装置31が接続されている。そこで、この無線通信用アダプタ13を用いることにより、車載装置4は、コンテナ管理センタ30のセンタ装置31と通信することができる。
図11は、上述したように、コンテナ管理センタ30のセンタ装置31の構成を示したブロック図である。コンテナ管理センタ30に備えられたセンタ装置31には、サーバやパソコンが用いられており、このセンタ装置31は、図11に示すように、CPU32、メモリ33、キーボード34、マウス35、LCD36、プリンタ37、及び、ゲートウエイ38で構成されている。
この内、CPU32は、マイクロコンピュータ等で構成され、メモリ33には、CPU32が処理を行うのに必要なOSやアプリケーションプログラム等のソフトウエアが保持されている。このソフトウエアには、後述する電子画像データの解析用のプログラムも含まれている。又、メモリ33は、各種データを記憶するのにも用いられる。キーボード34やマウス35は、コンテナ管理センタ30において、コンテナ管理を行う際に、CPU32に対して必要な各種入力を行うのに用いられる。LCD36は、CPU32が処理した結果等を表示するのに用いられ、プリンタ37は、この結果等を印刷するのに用いられる。
ゲートウエイ38は、センタ装置31が、インターネット6と接続するために備えられており、ルータ等で構成されている。センタ装置31は、このゲートウエイ38を介して、上述したコンテナ運搬車両1に備えられた車載装置4と通信を行う。CPU32は、このゲートウエイ38と接続されており、コンテナ運搬車両1の車載装置4から送信される電子画像データ等の各種データを受信することができる。
次に、上記のコンテナ管理システムの動作について説明する。図12は、コンテナ運搬車両1に備えられた車載装置4の動作を示したフローチャートである。又、図13及び図14は、コンテナ管理センタ30に備えられたセンタ装置31の動作を示したフローチャートである。図12図、13及び図14において、まず、コンテナ運搬車両1において、荷役装置操作端末16が操作されると、荷役装置制御部15により荷役装置2が動いて、積込、積降、チルトアップ、又は、チルトダウンのいずれかのコンテナ操作が行われる。すると、荷役装置2が動作している間、荷役装置制御部15から、荷役装置2のコンテナ操作の種類である、積込、積降、チルトアップ、及び、チルトダウンのいずれかを示す操作種類信号が出力される(S1)。
そこで、コンテナ運搬車両1に備えられた車載装置4のCPU10は、この操作種類信号に対応した操作種類データを作成する(S2)。又、CPU10は、操作種類信号のON時点における時刻である操作開始時刻を示す操作開始時刻データを、時計部11から取得すると共に、操作種類信号のON時点におけるコンテナ運搬車両1が存在している位置を示す車両位置データを、GPS受信部14から取得する(S3)。そして、EEPROM17又はRAM18に保持されているコンテナ運搬車両1の車両番号データと、上記の操作開始時刻データ、車両位置データ、及び、操作種類データを合わせて、操作開始報告データを作成し、この操作開始報告データを、RAM18に記憶すると共に、無線通信用アダプタ13を介してコンテナ管理センタ30のセンタ装置31へ送信する(S4)。すると、コンテナ管理センタ30では、センタ装置31のCPU32が、ゲートウエイ38を介して操作開始報告データを受信すると共に(S11)、この操作開始報告データをメモリ33に記憶する(S12)。
又、CPU10は、操作種類信号がONした後、デジタルカメラ12に対して写真撮影の指示を行うと共に(S5)、この写真撮影によりデジタルカメラ12から出力される電子画像データを取得する(S6)。又、CPU10は、デジタルカメラ12の撮影時点における時刻である撮影時刻を示す撮影時刻データを、時計部11から取得すると共に、デジタルカメラ12の撮影時点におけるコンテナ運搬車両1が存在している位置を示す車両位置データを、GPS受信部14から取得する(S6)。そして、上記の車両番号データと、上記の撮影時刻データ、車両位置データ、及び、操作種類データを合わせて、撮影報告データを作成する(S7)。この撮影報告データは、前述の履歴データに相当する。
CPU10は、この撮影報告データを、RAM18に記憶すると共に、無線通信用アダプタ13を介してコンテナ管理センタ30のセンタ装置31へ送信する(S7)。CPU10は、上記の写真撮影の指示(S5)から送信(S7)までの処理を、操作種類信号がONした後OFFするまでの間に、少なくとも1回行うが、これを、本実施の形態では1回としている。撮影報告データがコンテナ管理センタへ送信されると(S7)、コンテナ管理センタ30のセンタ装置31のCPU32は、ゲートウエイ38を介して撮影報告データを受信すると共に(S23)、この撮影報告データをメモリ33に記憶する(S24)。後述するように、この撮影報告データに含まれる電子画像データがセンタ装置31により解析されて、コンテナCのコンテナIDコードC4が抽出されるが、この電子画像データを含む撮影報告データがメモリ33に記憶されるので、電子画像データのノイズ等で、たとえ、電子画像データの解析がうまく行えなかったとしても、メモリ33に記憶されている電子画像データから得られる画像を、人が目視することにより、コンテナIDコードC4を判読することができる。
又、荷役装置制御部15から出力されている操作種類信号がOFFすると(S8)、CPU10は、操作種類信号のOFF時点における時刻である操作終了時刻を示す操作終了時刻データを、時計部11から取得すると共に、操作種類信号のOFF時点におけるコンテナ運搬車両1が存在している位置を示す車両位置データを、GPS受信部14から取得する(S9)。そして、上記の車両番号データと、上記の操作終了時刻データ、車両位置データ、及び、操作種類データを合わせて、操作終了報告データを作成する(S10)。この操作終了報告データを、RAM18に記憶すると共に、無線通信用アダプタ13からコンテナ管理センタ30のセンタ装置31へ送信する(S10)。そして、CPU10は、コンテナ運搬車両1の車両運行が終了していない限り(S11)、S1に戻って、上記の処理を繰り返す。コンテナ運搬車両1の車両運行が終了すると(S11)、車載装置4は、処理を終了する。操作終了時刻データがコンテナ管理センタへ送信されると(S7)、コンテナ管理センタ30のセンタ装置31のCPU32は、ゲートウエイ38を介してこの操作終了報告データを受信すると共に(S25)、この操作終了報告データをメモリ33に記憶する(S26)。
一方、図13及び図14において、コンテナ管理センタ30のセンタ装置31では、CPU10は、車載装置4から送信され、メモリ33に記憶されている、操作開始報告データ、撮影報告データ、及び、操作終了報告データを用いて、次の処理を行う。
まず、操作開始報告データに含まれている操作開始時刻と操作終了報告データに含まれている操作終了時刻とを比較し、その差が所定時間より短いか否かをチェックする(S27)。この所定時間は、メモリ33に予め記憶されている。その差が所定時間より短い場合は、即ち、前述した、撮影時刻データに含まれている撮影時刻が、操作開始報告データに含まれている操作開始時刻から、予め設定された所定時間が経過する前の時刻である場合に相当するが、この場合は(S28)、操作開始時刻から操作終了時刻までの間に撮影された画像の電子画像データを含む撮影報告データ、即ち、S24で記憶された撮影報告データを、全て無効とする(S29)。そうでなければ、無効とはしない(S28)。
このようにするのは、次の理由による。一般に、コンテナ運搬車両1に備えられている荷役装置2では、コンテナ運搬車両1の運転手等が荷役装置操作端末16を操作することで荷役装置2の各操作が行われるが、操作の正確さを期すために、微調整のための短い時間の操作が繰り返されることが多い。そのため、これらの微調整のための短い時間の操作による荷役装置2の各動作を除いて、主たる動作のみを把握しなければ、積込や積降を正確に捉えることが出来ない。そこで、所定時間よりも短い荷役装置2の操作は、荷役装置2の正規の操作とみなさないようにする必要がある。そのため、操作開始時刻と操作終了時刻との差が所定時間より短い場合は、操作開始時刻から操作終了時刻までの間の荷役装置2の動作は、荷役装置2の正規の操作とみなさず、この間の撮影報告データを、全て無効とするのである。従って、コンテナ装着積載手段における操作微調整のための短い時間の操作を取り除くことができ、コンテナ装着積載手段の正規の操作における操作種類を正確に把握することができる。
次に、S24で記憶された撮影報告データで無効でないものが存在するか否かをチェックし(S30)、存在すれば(S31)、その撮影報告データに含まれる電子画像データを解析して、この電子画像データに含まれるコンテナ運搬車両1に積載されているコンテナCのコンテナIDコードC4を抽出する(S32)。この解析には、センタ装置31のメモリ33に保持されているソフトウエアに含まれる電子画像データの解析用のプログラムが用いられる。又、この抽出されたコンテナIDコードC4により、コンテナ識別を行うことができる。
サーバやパソコン等を用いた最近の電子画像処理技術の発展はめざましく、電子画像データに含まれる数字等の形状を解析して抽出するソフトウエア等の技術が多数開発されている。上記のセンタ装置31は、これらの技術を用いており、上記の電子画像データの解析に用いられるプログラムも、このような技術に基づくものである。
電子画像データからコンテナIDコードC4が抽出されると(S32)、このコンテナIDコードC4と、このコンテナIDコードC4が抽出された電子画像データが含まれている撮影報告データに含まれている車両番号データ、撮影時刻データ、車両位置データ、及び、操作種類データとで、コンテナ運搬車両1のコンテナ運搬履歴データを作成する(S33)。そしてコンテナ管理センタにおける業務が終了していない限り(S34)、S21に戻って、上記の処理を繰り返す。コンテナ管理センタ30の業務が終了すると、センタ装置31は、処理を終了する(S34)。
上記のコンテナ管理システムでは、コンテナ管理センタ30において、センタ装置31を用いてコンテナ管理が行われるが、このコンテナ管理は、上記のコンテナ運搬履歴データに基づいて、例えば、次のように行われる。
図15は、上記のコンテナ運搬履歴データの例を示したものである。図15のコンテナ運搬履歴データは、撮影時刻データである「日時」、コンテナIDコードである「コンテナID」、車両位置データである「車両位置」、車両番号データである「車両番号」、及び、操作種類データである「操作種類」で構成されている。又、図15のコンテナ運搬履歴データは、コンテナIDコードC4として、#001、#002、#003、及び、#004を備える4個のコンテナに関するものである。
図15において、この図15には、日付がD1のコンテナ運搬履歴データが記録されている。即ち、時刻T1に、コンテナID#001のコンテナを車両位置P01で積込し、この同じコンテナを、時刻T2に積込した場所と異なる車両位置P11で積降している。次に、同じ車両位置P11で、時刻T3に、コンテナID#002のコンテナを積込し、この同じコンテナを、時刻T4に積込した場所と異なる車両位置P21でチルトアップしてコンテナID#002のコンテナの積載物を排出し、時刻T5にチルトダウンすると共に、時刻T6に積込した場所と異なる車両位置P02で積降している。次に、車両位置P02から車両位置P12へ移動し、この車両位置P12で、時刻T7に、コンテナID#003のコンテナを積込し、時刻T8に車両位置P22でチルトアップしてコンテナID#003のコンテナの積載物を排出し、時刻T9にチルトダウンすると共に、時刻T10に積込した場所と同じ車両位置P12で積降している。次に、車両位置P12から車両位置P13へ移動し、この車両位置P13で、時刻T11に、コンテナID#004のコンテナを積込し、時刻T12に車両位置P31でチルトアップしてコンテナID#004のコンテナの積載物を排出し、時刻T13にチルトダウンすると共に、時刻T14に積込した場所と同じ車両位置P13で積降している。
一般に、廃棄物処理用のコンテナを積載したコンテナ運搬車両が立ち寄るのは、保管ヤード、客先の敷地、或いは、処理場のいずれかである。そこで、上記の情報を用いれば、次に説明するような原理に基づいて、コンテナCの管理を行うことができる。図16は、この原理を表にしたものである。図16において、通常、保管ヤードには、空のコンテナをコンテナ運搬車両が運んで予備用のコンテナとして保管し、必要に応じてこの保管ヤードから持出して使用する。従って、保管ヤードでコンテナを積降するのは、空コンテナを保管ヤードに設置することを意味する。そして、保管ヤードでコンテナを積込するのは、空コンテナをコンテナ運搬車両に搭載することを意味する。
又、客先の敷地には、空のコンテナをコンテナ運搬車両が運んで設置し、客先がこの空のコンテナに廃棄物等の積載物を積載する。そこで、この廃棄物等を廃棄するために、コンテナ運搬車両がこの廃棄物等の積載物を積載したコンテナを運び出す。従って、客先敷地でコンテナを積降するのは、空のコンテナを客先敷地に設置することを意味する。そして、客先敷地でコンテナを積込するのは、廃棄物等の積載物が積載されたコンテナをコンテナ運搬車両に搭載することを意味する。
又、処理場でコンテナをチルトアップするのは、コンテナに積載された廃棄物等の積載物を処理場に排出すると共に、空のコンテナを持帰ることを意味する。又、コンテナ運搬車両が搭載しているコンテナに積載されている廃棄物等の積載物は、処理場でしか排出されないはずである。そこで、処理場でない所でコンテナ運搬車両のチルトアップ動作が行われると、それは、処理場以外で排出が行われたことを意味する。
そうすると、図15における車両位置が、保管ヤード、客先の敷地、又は、処理場のいずれであるかがわかれば、コンテナCの状態や存在場所の管理が可能である。そこで、図15における車両位置が、図17に示すような場所であるとすると、図15の記録から、図18のコンテナ管理データを導くことができる。これらの処理は、上述した本実施の形態におけるコンテナ管理センタ30のセンタ装置31で行われる。
図18において、例えば、図15によれば、上記のコンテナ運搬車両1は、日付がD1の時刻T1に、コンテナID#001のコンテナを車両位置P01で積込している。このコンテナ運搬履歴データに基づいて、まず、図17から、車両位置P01の地点名はH1で、地点種類は保管ヤードである。次に、保管ヤードとコンテナ運搬履歴データの積込に基づき、図16から、コンテナ状態情報は「空」で、コンテナ所在情報は、「ヤードで搭載」であることが分かる。そこで、これらのコンテナ状態情報及びコンテナ所在情報を、時刻T1における上記のコンテナ運搬履歴データに含まれる、コンテナID、時刻、車両位置に対応する地点名と地点種類、及び、操作種類と共に、記載したのが、図18の1行目の記載である。
又、図15によれば、時刻T2に、コンテナID#001のコンテナを積込した場所と異なる車両位置P11で積降している。この場合、図17によれば、地点位置P03の地点名はK1で、地点種類は客先敷地である。次に、この地点種類である客先敷地とコンテナ運搬履歴データに含まれる操作種類である積降に基づき、図16から、コンテナ状態情報は「空」で、コンテナ所在情報は、「客先に設置」であることが分かる。そこで、これらの情報を時刻T2における上記のコンテナ運搬履歴データに含まれる各情報等と共に記載すると、図18の2行目の、時刻T2における記載となる。
又、図15によれば、時刻T8に、コンテナID#003のコンテナを車両位置P22でチルトアップしている。この場合、図17によれば、地点位置P22の地点名はS2で、地点種類は処理場である。次に、この地点種類である処理場とコンテナ運搬履歴データに含まれる操作種類であるチルトアップに基づき、図16から、コンテナ状態情報は「空」で、コンテナ所在情報は、「処理場に排出」であることが分かる。そこで、これらの情報を時刻T8における上記のコンテナ運搬履歴データに含まれる各情報等と共に記載すると、図18の7行目の、時刻T8における記載となる。他の行についても、同様にして記録される。
又、図15によれば、時刻T12では、車両位置P31でチルトアップして、コンテナID#004のコンテナの積載物を排出ししている。この場合、チルトアップしているが、車両位置P31と一致する地点位置は、図17には存在しない。そこで、地点種類は、図16において、「上記以外」に相当することから、コンテナ状態情報は「空」で、コンテナ所在情報は、「処理場以外に排出」となる。即ち、この場合は、処理場でないところでコンテナの積載物が排出されており、不法投棄であることがわかる。
又、撮影報告データに含まれる電子画像データの解析がうまくいかず、コンテナIDコードC4が分からない場合においても、この撮影報告データに含まれる他のデータと、図18のコンテナ管理データとから、上記の分からないコンテナIDコードC4を推測することもできる。
このように、コンテナ操作用の荷役装置2が取扱っているコンテナCに表示されているコンテナIDコードC4を識別すると共に、当該コンテナIDコードC4が写真撮影された際の、荷役装置2の操作種類、写真撮影された時刻、及び、コンテナ運搬車両1の所在位置に関するデータを基にすれば、コンテナCの状態や存在場所の管理を行うことができる。
上記のコンテナ管理システムによれば、荷役装置2を備えたコンテナ運搬車両1において、上述したように、コンテナの積込、積降、チルトアップ、又は、チルトダウンのいずれかの操作が行われると、その操作毎に、当該操作がなされたコンテナCの前壁に備えられているコンテナIDコードC4が写真撮影される。この写真撮影により得られた電子画像データが、コンテナ運搬車両1に備えられている車載装置4により、コンテナ運搬車両1の車両位置データ、写真撮影時の時刻データ、及び、コンテナ操作の操作種類データと共に撮影報告データとして構成され、この撮影報告データが通信ネットワーク5,6を介してセンタ装置31に提供される。そして、センタ装置31に提供された撮影報告データは、このセンタ装置31で記憶されると共に、撮影報告データに含まれる電子画像データが解析されてコンテナ識別が行われる。
従って、コンテナ運搬車両1の荷役装置2がコンテナCを操作したときのコンテナ識別を自動的に行うことができる。又、コンテナ運搬車両1における荷役装置2によるコンテナ操作の履歴の記録を、人手に頼ることなく自動的に行うことができる。又、この撮影報告データと共に上記のコンテナ識別により、コンテナ管理を行うことができる。
又、荷役装置2がコンテナCを操作する際に出力される操作種類信号の出力ON時の操作開始時刻と出力OFF時の操作終了時刻を用いて、荷役装置2におけるコンテナ操作の継続時間と、予め設定された所定時間とを比較し、荷役装置2におけるコンテナ操作の継続時間の方が短いと、そのときの撮影報告データは車載装置4からセンタ装置31へ提供されても無効とすることができる。即ち、所定時間よりも短い荷役装置2の操作は、荷役装置2の正規の操作とみなさないようにすることができる。従って、荷役装置2における操作微調整のための短い時間の操作を取り除くことができ、荷役装置2の正規の操作における操作種類を正確に把握することができる。
又、コンテナ運搬車両1の車載装置4は、各報告データをセンタ装置31へ提供する際に、自らもこの各報告データを記憶することができるので、問題が生じたときにセンタ装置31に記憶されている各報告データと照合することができる。
又、コンテナの表面に表示されているコンテナIDコードC4のみならず、該コンテナが積載されているコンテナ運搬車両の背景を、同一の写真に含ませて写真撮影することができる。そのため、コンテナ運搬車両でコンテナ操作がなされているときの該コンテナ運搬車両の背景を、該コンテナのコンテナ識別子と同じ写真に映すことができる。従って、この背景が写っている写真を用いることで、例えば、チルトアップ動作のときに撮影された写真に処理場以外の場所が写っている等の場合に、不法投棄等の不正行為を把握することができる。
又、コンテナの表面に表示されたコンテナIDコードC4は、目視で識別可能な、文字、数字、又は、記号で構成することができる。そのため、コンテナそのものの修理や塗装の塗り直し等の際には、コンテナ識別子を目視で識別することができ、対象となるコンテナを容易に確認することができる。
ところで、上記のコンテナ管理システムでは、コンテナ運搬車両1における荷役装置2の動作が、荷役装置2の正規の操作であるか否かの判断を、センタ装置31で行っているが、車載装置4で行うこともできる。例えば、車載装置4のCPU10は、荷役装置制御部15から出力される操作種類信号の出力ON時点から上述した所定時間経過する前に、操作種類信号の出力がOFFするか否かをチェックする。そして、所定時間経過する前に、操作種類信号の出力がOFFする場合は、コンテナ運搬車両1における荷役装置2の動作が、荷役装置2の正規の操作ではないとみなして、センタ装置への撮影報告データの送信を中止するようにするのである。
又、上記のコンテナ管理システムでは、コンテナ運搬車両1が山間部等を走行する場合、車載装置4の無線通信用アダプタ13が、無線通信網5と無線で通信可能なエリアの外に出た場合に、車載装置4からセンタ装置31への各報告データの送信ができなくなる場合が生じる。そこで、この場合に対処するために、次のような方法がある。
上記のコンテナ管理システムにおけるコンテナ運搬車両1に備えられた車載装置4のCPU10は、センタ装置31への各報告データの送信の際、この各報告データをRAM18に記憶している。そこで、一つの方法として、この各報告データをRAM18に記憶する際に、センタ装置31へ送信済みを表すフラグを付加して記憶する。そして、コンテナ運搬車両1が無線通信網5と無線で通信可能なエリアの外に出て、センタ装置31との通信ができない場合には、このフラグを付加せずに記憶すると共に、コンテナ運搬車両1が無線通信網5と無線で通信可能なエリア内に戻って、センタ装置31との通信が回復したときに、フラグが付加されていない各報告データを、センタ装置31へ送信すると共に、これらの各報告データにフラグを付加してRAM18に記憶し直すのである。
或いは、コンテナ運搬車両1に備えられた車載装置4のCPU10が、センタ装置31への各報告データの送信の際に、この各報告データをRAM18に記憶しない方式のシステムでは、センタ装置31との通信ができない場合にのみ、送信できなかった各報告データをRAM18に記憶すると共に、更新が回復した時点で、RAM18に記憶されている未送信の各報告データをセンタ装置31へ送信する。そして、センタ装置31から受信した旨の応答を得た後、RAM18に記憶されている各報告データを消去するのである。
上記のようにすることにより、コンテナ運搬車両1が山岳地帯等を走行して、センタ装置31と通信ができない場合が生じても、全ての履歴データをセンタ装置へ提供することができる。