JP4715534B2 - 鋼材の冷却装置、冷却方法、製造方法、及び、冷却能力診断方法 - Google Patents

鋼材の冷却装置、冷却方法、製造方法、及び、冷却能力診断方法 Download PDF

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Description

本発明は、たとえば鋼材に冷却水を噴射するような、複数の噴射ヘッダーを有する鋼材の冷却装置、該冷却装置を用いて鋼材を冷却する鋼材の冷却方法、該冷却方法を用いる鋼材の製造方法、及び、上記冷却装置の冷却能力を診断する冷却能力診断方法に関する。
ノズルから噴射される冷却媒体の流量を調整し、被冷却材を冷却する設備として、圧延中の鋼板に冷却水を直接噴射して該鋼板を冷却する冷却装置等が知られている。このような冷却装置には、通常、複数の噴射ヘッダーが設けられ、さらに1つの噴射ヘッダーには複数の噴射ノズルが設置されている。そして、選択された噴射ヘッダー単位にON・OFF制御することにより、冷却水量を応答良く調整して鋼板を目標温度にしている。
使用する冷却水の質が必ずしも上水等の高いものとは限らず、特に比較的不純物含有量の高い工業用水を使用する場合には、継続使用によって、噴射ヘッダーに取り付けられている複数の噴射ノズルに水垢が溜まったり、ゴミが付着したりすることにより、特有の噴射ヘッダーのみ噴射流量が低下することがある。このようにして噴射流量が低下すると、鋼板の冷却が不十分となるため、製造鋼板の品質が低下する。したがって、噴射ヘッダーの異常判断を定期的に実施する必要がある。
このほか、噴射ヘッダー内の噴射ノズルを交換しない場合には、当該噴射ノズルから噴射される冷却水の流量や噴射ヘッダーへと供給される冷却水の圧力を把握し、冷却条件にフィードバックさせて鋼板を十分に冷却する必要がある。
冷却条件にフィードバックさせる技術としては、例えば特許文献1に、熱延鋼板で水冷区画前後での実績温度から水冷熱伝達係数を修正し、修正後の水冷熱伝達係数を用いて冷却水量を決定することを特徴とする、熱間仕上げ圧延後の巻取温度制御方法に関する技術が開示されている。この技術によれば、空冷、水冷、それぞれの熱伝達係数を精度良く算出することが可能となり、鋼帯の巻取り温度制御の精度が向上する。また、バンク毎の水冷熱伝達係数の違いをも算出することが可能となり、ノズル詰まり等による各バンクの経時変動を知ることができる、としている。
また、噴射ノズルの異常判断を行う技術としては、例えば特許文献2に、流調弁の開度を調整することにより冷却媒体のスプレー流量を制御するスプレーノズルにおいて、基準流量とその基準流量に対する基準流調弁開度及びスプレーノズルの基準背圧を予め定めておき、操業中に、設定した基準流量に達した時の流調弁開度実績及び背圧実績の関係からノズルの異常判断をする、スプレーノズル異常検出装置に関する技術が開示されている。この技術によれば、スプレーノズルの異常検出を、短期間でかつ正確に行えるようにすることができる、としている。なお、特許文献2におけるスプレー流量は上記「冷却水量」に相当し、スプレーノズルは上記「噴射ノズル」に相当する。
特開2000−271626号公報 特開平7−112254号公報
しかし、特許文献1に開示されている技術では、冷却するたびにバンク前後の温度実績から温度計に挟まれたバンクの冷却能力の補正係数を遂次学習し、補正された係数を用いることで温度制御の高精度化を図っている。しかし、かかる技術では、係数の補正が、水量実績のみによるものか、それとも、水量実績以外の要因(例えば、季節要因等)が取り込まれたものか、の判断をすることができないため、十分な精度での温度制御には難がある、という問題があった。
また、流調弁の開度を調整して流量制御を行う特許文献2に開示されている技術は、比較的移動速度の遅い被冷却物を対象としている。ところが、高速で搬送される鋼板を冷却する場合には、応答性に優れた高精度の流量制御は不可能である。このため、移動速度の速い冷却対象の温度制御を行う方法として、複数の噴射ヘッダーを持ち、噴射ヘッダーのON・OFFを制御することにより冷却媒体の噴射流量を瞬時に得ることを特徴とした冷却方式がある。この方式は、流調弁の開度調整ではなく選択した噴射ヘッダーの数だけONすることにより、冷却水量を即座に調整する。したがって、噴射ヘッダーのON・OFFを制御することにより冷却水量を調整する冷却装置(高速で搬送される鋼板を冷却可能な冷却装置)においては、特許文献2に開示されている方法での噴射ノズルの異常判断は不可能である、という問題があった。
そこで、本発明では、鋼材の温度制御の高精度化を図ることが可能な、鋼材の冷却装置、鋼材の冷却方法、鋼材の製造方法、及び、高速で搬送される鋼材を冷却し得る冷却装置内の、噴射ノズルの異常判断を行うことが可能な、冷却能力診断方法を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を達成するためになされたものであり、以下の知見を得て、完成させた。
1)使用する噴射ヘッダーの組み合わせ方や、噴射ヘッダーへと供給される冷却媒体の背圧により、噴射ノズルから噴射される冷却媒体の流量特性が異なる。
2)噴射ヘッダー・噴射ノズルの製作誤差により、上記流量特性が異なる。
3)経年変化により、上記流量特性が異なる。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするため、添付図面の参照符号及び以下の説明で使用する記号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
第1の本発明は、複数の噴射ヘッダー(2、2、…)を備え、噴射ヘッダーに備えられる噴射ノズル(8、8、…)から噴射される冷却媒体(9、9、…)を用いて鋼材(1)を冷却可能な、鋼材の冷却装置(100)であって、噴射ヘッダーの噴射ノズルから噴射される、冷却媒体の流量を測定する流量測定手段(7)と、噴射ヘッダーへと供給される、冷却媒体の圧力を測定する圧力測定手段(6)と、冷却媒体を噴射すべき噴射ノズルが備えられる、噴射ヘッダーの組合せを記憶する組合せ記憶手段(12)と、上記組合せにかかる噴射ヘッダーの噴射ノズルから噴射される、冷却媒体の標準流量を記憶する流量記憶手段(12)と、上記組合せにかかる噴射ヘッダーへと供給される、冷却媒体の標準圧力を記憶する圧力記憶手段(12)と、上記組合せにかかる噴射ヘッダーの噴射ノズルから噴射される冷却媒体の流量変動特性パラメータ(β(n))、及び、上記組合せにかかる噴射ヘッダーへと供給される冷却媒体の圧力変動特性パラメータ(α(n))、を記憶する変動記憶手段(12)と、流量測定手段によって測定された流量A1と流量記憶手段によって記憶された流量A2とを比較し、流量変動特性パラメータを修正する第1の修正手段(11)と、圧力測定手段によって測定された圧力X1と圧力記憶手段によって記憶された圧力X2とを比較し、圧力変動特性パラメータを修正する第2の修正手段(11)と、を備えることを特徴とする、鋼材の冷却装置(100)により、上記課題を解決する。
ここに、冷却媒体(9、9、…)の具体例としては、工業用水等の水を挙げることができ、鋼材(1)の具体例としては、熱間圧延鋼板や継目無鋼管等を挙げることができる。さらに、流量測定手段(7)の具体例としては、噴射ノズル(8、8、…)から噴射される冷却水の流量を測定可能な流量計等を挙げることができ、圧力測定手段(6)の具体例としては、噴射ヘッダー(2、2、…)へと供給される冷却水の圧力を測定可能な圧力計等を挙げることができる。加えて、組合せ記憶手段(12)、流量記憶手段(12)、圧力記憶手段(12)、及び、変動記憶手段(12)の具体例としては、冷却媒体の圧力や流量等を制御可能な制御手段(例えば、プロセスコンピュータ等。以下において同じ。)に備えられるROM等を、第1の修正手段(11)及び第2の修正手段(11)の具体例としては、上記制御手段に備えられるCPU等を、それぞれ挙げることができる。
一方、本発明の「冷却媒体を噴射すべき噴射ノズルが備えられる噴射ヘッダーの組合せ」とは、本発明の鋼材の冷却装置に備えられる複数の噴射ヘッダーのうち、搬送される鋼材を冷却する際の各冷却条件で使用される噴射ヘッダーの組合せを意味する。さらに、「上記組合せにかかる噴射ヘッダーの噴射ノズルから噴射される、冷却媒体」とは、組合せ記憶手段によって記憶された組合せから選択された噴射ヘッダーに備えられる噴射ノズルから噴射される(以下、「噴射ヘッダーから噴射される」ということがある。)冷却媒体を意味する。加えて、「冷却媒体の標準流量」とは、流量測定手段によって測定される、選択された噴射ヘッダーから噴射された冷却媒体の流量を意味する。さらに、「上記組合せにかかる噴射ヘッダーへと供給される、冷却媒体」とは、組合せ記憶手段によって記憶された組合せから選択された噴射ヘッダーへと供給される冷却媒体を意味し、「冷却媒体の標準圧力」とは、圧力測定手段によって測定される、選択された噴射ヘッダーへと供給される冷却媒体の圧力を意味する。
他方、「上記組合せにかかる噴射ヘッダーの噴射ノズルから噴射される冷却媒体の流量変動特性パラメータ(β(n))」とは、鋼材を冷却する際の冷却条件に対応して、上記組合せ記憶手段に記憶された組合せが選択される時に、選択された噴射ヘッダーから噴射される、冷却媒体の流量特性を示すパラメータを意味する。ここで、上述のように、使用される噴射ヘッダーの本数によって、噴射される冷却媒体の流量が変動し得る。そのため、流量変動特性パラメータの具体例としては、後述するように、過去の冷却実績等から、噴射ヘッダーの各組合せと対応する冷却媒体流量の測定結果を記憶しておき、当該記憶された結果を新たな鋼材を冷却する際のデータとして利用する場合における、記憶された上記測定結果から導出される係数等を挙げることができる。
さらに、「上記組合せにかかる噴射ヘッダーへと供給される冷却媒体の圧力変動特性パラメータ(α(n))」とは、鋼材を冷却する際の冷却条件に対応して、上記組合せ記憶手段に記憶された組合せが選択される時に、選択された噴射ヘッダーへと供給される、冷却媒体の圧力特性を示すパラメータを意味する。ここで、上述のように、使用される噴射ヘッダーの本数によって、噴射ヘッダーへと供給される冷却媒体の圧力が変動し得る。そのため、圧力変動特性パラメータの具体例としては、後述するように、過去の冷却実績等から、噴射ヘッダーの各組合せと対応する冷却媒体圧力の測定結果を記憶しておき、当該記憶された結果を新たな鋼材を冷却する際のデータとして利用する場合における、記憶された上記測定結果から導出される係数等を挙げることができる。
第2の本発明は、複数の噴射ヘッダー(2、2、…)を備え、噴射ヘッダーに備えられる噴射ノズル(8、8、…)から噴射される冷却媒体(9、9、…)を用いて鋼材(1)を冷却可能な冷却装置(100)を用いる鋼材の冷却方法であって、噴射ヘッダーの噴射ノズルから噴射される、冷却媒体の流量を測定する流量測定手段(7)と、冷却媒体を噴射すべき噴射ノズルが備えられる、噴射ヘッダーの組合せを記憶する組合せ記憶手段(12)と、上記組合せにかかる噴射ヘッダーの噴射ノズルから噴射される、冷却媒体の標準流量を記憶する流量記憶手段(12)と、少なくとも、上記組合せにかかる噴射ヘッダーの噴射ノズルから噴射される、冷却媒体の流量変動特性パラメータ(β(n))を記憶する変動記憶手段(12)とが、上記冷却装置に備えられ、流量測定手段によって測定された流量B1と流量記憶手段によって記憶された流量B2との比R1の値を用いて、流量変動特性パラメータを修正し、修正後の流量変動特性パラメータを用いて、上記組合せにかかる噴射ヘッダーの熱伝達係数(H)を修正することを特徴とする、鋼材の冷却方法により、上記課題を解決する。
ここに、本発明にかかる冷却媒体(9、9、…)、鋼材(1)、流量測定手段(7)、組合せ記憶手段(12)、流量記憶手段(12)、及び、変動記憶手段(12)の具体例としては、上記第1の本発明に関する説明で例示したもの等を挙げることができる。さらに、流量変動特性パラメータ(β(n))の具体例も、上記第1の本発明に関する説明で例示したもの等を挙げることができる。
また、上記第2の本発明において、さらに、噴射ヘッダーへと供給される、冷却媒体の圧力を測定する圧力測定手段(6)と、上記組合せにかかる噴射ヘッダーへと供給される、冷却媒体の標準圧力を記憶する圧力記憶手段(12)とが、冷却装置(100)備えられるとともに、さらに、上記組合せにかかる噴射ヘッダーへと供給される、冷却媒体の圧力変動特性パラメータ(α(n))が、変動記憶手段(12)に記憶され、圧力測定手段によって測定された圧力Y1と圧力記憶手段によって記憶された圧力Y2との比R2の値を用いて、圧力変動特性パラメータを修正し、修正後の圧力変動特性パラメータ、及び、上記修正後の流量変動特性パラメータを用いて、上記組合せにかかる噴射ヘッダーの熱伝達係数(H)を修正することが好ましい。
ここに、本発明にかかる圧力測定手段(6)及び圧力記憶手段(12)の具体例としては、上記第1の本発明に関する説明で例示したもの等を挙げることができる。さらに、圧力変動特性パラメータ(α(n))の具体例も、上記第1の本発明に関する説明で例示したもの等を挙げることができる。
第3の本発明は、上記第2の本発明にかかる鋼材の冷却方法を含むことを特徴とする、鋼材の製造方法により、上記課題を解決する。
第4の本発明は、上記第1の本発明にかかる鋼材の冷却装置(100)の流量測定手段(7)によって測定された流量C1と流量記憶手段(12)によって記憶された流量C2との比R3の値を用いて、噴射ヘッダー(2、2、…)に備えられる噴射ノズル(8、8、…)の詰まり状況を調査することを特徴とする、鋼材の冷却装置の冷却能力診断方法により、上記課題を解決する。
第1の本発明によれば、鋼材(1)を冷却する際に、鋼材へと噴射される冷却媒体(9、9、…)の流量特性、及び、噴射ヘッダーへと供給される冷却媒体(9、9、…)の圧力特性を考慮することができるので、高精度の温度制御が可能な、鋼材の冷却装置(100)を提供できる。加えて、第1の本発明によれば、高精度の温度制御が可能になるため、熱間圧延機スタンド間鋼板冷却装置のほか、熱間圧延後の巻き取り鋼板冷却装置、厚板鋼板冷却装置、及び、継目無鋼管冷却装置など、搬送速度が比較的速い鋼材を対象とした冷却装置に適用可能な、鋼材の冷却装置(100)を提供できる。
第2の本発明によれば、実操業で使用する噴射ヘッダー(2、2、…)の組合せにかかる冷却媒体(9、9、…)の流量特性を比較でき、流量変動特性を精度良く把握することができるので、高精度な温度制御が可能な、鋼材の冷却方法を提供できる。そして、温度制御の高精度化を図ることができるので、第2の本発明を、搬送速度が比較的速い鋼材を冷却する際の冷却方法として用いることができる。
また、第2の本発明において、さらに、圧力測定手段(6)及び圧力記憶手段(12)が冷却装置に備えられ、冷却媒体(9、9、…)の圧力変動特性パラメータ(α(n))が変動記憶手段(12)に記憶されていれば、上記冷却媒体の流量特性に加えて、実操業で使用する噴射ヘッダー(2、2、…)の組合せにかかる冷却媒体の圧力特性をも比較でき、流量変動特性及び圧力変動特性を精度良く把握することができるので、より一層高精度な温度制御が可能な、鋼材の冷却方法を提供できる。
第3の本発明によれば、鋼材の温度制御の高精度化を図ることができるので、高品質の鋼材を製造し得る、鋼材の製造方法を提供できる。
第4の本発明によれば、短時間でノズル交換の定量的判断が可能な、冷却能力診断方法を提供できる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
1.鋼材の冷却装置
図1は、本発明の鋼材の冷却装置(以下、単に「冷却装置」ということがある。)を、熱間圧延機スタンド間鋼板冷却装置として用いる場合の形態例を示す概略図であり、図2は、噴射ヘッダー2に備えられる噴射ノズル8、8、…の様子を示す概略図である。以下、図1及び図2を適宜参照しつつ、本発明の冷却装置について説明する。
図示のように、本発明の冷却装置100は、複数の噴射ノズル8、8、…を備える噴射ヘッダー2、2、…を複数具備するとともに、噴射ヘッダー2、2、…から噴射される冷却水9、9、…の流量を測定可能な流量測定手段(流量計)7と、噴射ヘッダー2、2、…へと供給される冷却水の圧力(以下、「背圧」ということがある。)を測定可能な圧力測定手段(圧力計)6と、を備えている。さらに、噴射ヘッダー2、2、…の組合せを記憶する組合せ記憶手段、上記組合せと対応する噴射ヘッダー2、2、…から噴射される冷却水9、9、…の標準流量A2を記憶する流量記憶手段、上記組合せと対応する噴射ヘッダー2、2、…へと供給される冷却水の標準圧力X2を記憶する圧力記憶手段、及び、上記組合せにかかる噴射ヘッダー2、2、…から噴射される冷却水9、9、…の流量変動特性パラメータβ(n)及び当該噴射ヘッダー2、2、…へと供給される冷却水の圧力変動特性パラメータα(n)を記憶する変動記憶手段、としての機能を有するROM12、並びに、流量計7によって測定された流量とROM12に記憶された標準流量とを比較し上記β(n)の値を適宜修正する第1の修正手段、及び、圧力計6によって測定された冷却水の背圧とROM12に記憶された標準圧力とを比較し上記α(n)の値を適宜修正する第2の修正手段、としての機能を有するCPU11、を具備する制御手段(プロセスコンピュータ)10が備えられている。冷却装置100に備えられる噴射ヘッダー2、2、…は、鋼板1を圧延する各圧延ロール31、31、…の間に設置され、当該圧延ロール31、31、…によって圧延された鋼板1は、巻き取りロール32によって巻き取られる。
冷却装置100において、噴射ヘッダー2、2、…には、管路4が接続されており、冷却水ポンプ3によって圧送される冷却水が管路4を通って、各噴射ヘッダー2、2、…へと供給される。そして、上記圧力計6及び流量計7が管路4に設けられ、当該管路4には、さらに、噴射ヘッダー2、2、…から噴射される冷却水を制御するためのON・OFF弁5、5、…が設けられている。圧力計6及び流量計7による測定結果は、プロセスコンピュータ10に備えられる入力ポート15等を介して、CPU11へと伝えられる。
熱間圧延機の通常運転時には、プロセスコンピュータ10のCPU11により、鋼板全長方向に配置された噴射ヘッダー2、2、…の組合せ、及び、当該噴射ヘッダー2、2、…へと供給される冷却水の背圧が決定される。このとき、鋼板1の冷却に使用される噴射ヘッダー2、2、…の選択は、ROM12に記憶された組合せに従う。ROM12に記憶された圧力変動特性パラメータα(n)及び流量変動特性パラメータβ(n)を用い、CPU11の処理を経て熱伝達係数Hを適宜修正することにより、鋼板1の冷却に必要とされる背圧及び組合せが決定される。なお、RAM13は、CPU11の作業領域等として機能する。
CPU11で決定された上記噴射ヘッダー2、2、…の組合せ、及び、冷却水の背圧に関する情報は、プロセスコンピュータ10に備えられる出力ポート16を介して、プログラマブル ロジック コントローラ(PLC)20へと伝えられる。このようにしてPLC20へと伝えられた上記情報は、入力ポート25を経てCPU21へと伝えられる。PLC20のCPU21では、上記情報に加え、ROM22に記憶された情報等を用いた処理が行われる。そして、CPU21における処理結果を、出力ポート26を介してON・OFF弁5、5、…、及び/又は、冷却水ポンプ3へ当該処理結果を伝えることにより、ON・OFF弁5、5、…、及び/又は、冷却水ポンプ3の動作を制御する。本発明の冷却装置100によれば、上記手順により、噴射ヘッダー2、2、…から冷却水9、9、…を噴射させ、鋼板1を冷却することができる。
本発明の冷却装置100では、流量計7によって測定された流量A1と、ROM12に記憶された流量A2との比が、所定条件(例えば、A1/A2≦0.97又はA1/A2≧1.03等)に該当すると、上記流量A1の値及びROM12に記憶された計算式(後述)を用いた処理がCPU11で行われ、流量変動特性パラメータβ(n)が修正される。また、圧力計6によって測定された圧力X1と、ROM12に記憶された圧力X2との比が、所定条件(例えば、X1/X2≦0.97又はX1/X2≧1.03等)に該当すると、上記圧力X1の値及びROM12に記憶された計算式(後述)を用いた処理がCPU11で行われ、圧力変動特性パラメータα(n)が修正される。そして、α(n)及び/又はβ(n)が修正されると、当該修正されたパラメータを用いて熱伝達係数Hが修正され、例えば、上記測定後に冷却される鋼板の冷却条件に、当該修正された熱伝達係数Hが反映される。
なお、圧力変動特性パラメータα(n)、流量変動特性パラメータβ(n)、及び、熱伝達係数Hについては、本発明にかかる鋼材の冷却方法、及び製造方法の欄で説明する。
このように、本発明の冷却装置100によれば、圧力計6及び流量計7による測定結果X1及びA1、並びに、ROM12に記憶された標準流量A2、標準圧力X2等の各種情報を用いて鋼板1を冷却することができる。したがって、本発明の冷却装置100を用いれば、例えば、噴射ヘッダー2、2、…から噴射されて測定された冷却水の流量に関する情報を鋼板の冷却条件に反映することができるので、冷却対象である鋼板1の温度予測精度を良好に保つことが可能になる。
2.鋼材の冷却方法、及び製造方法
噴射ヘッダーや噴射ノズルを初めて設置するとき、又は、噴射ノズルを交換した時に、鋼材の冷却装置に備えられる複数の噴射ヘッダーのうち、代表的な噴射ヘッダーの選択パターン(組合せ)と、当該選択パターンで選択された噴射ヘッダーへと供給される冷却媒体の圧力(標準圧力Y2(=X2))とを、冷却装置の記憶手段(組合せ記憶手段、圧力記憶手段)に記憶させ、これを基準パターンとする。なお、基準パターンは、例えば、実操業で使用する代表的なパターンとすることが好ましい。この理由は、噴射ヘッダーの選択パターンや噴射ヘッダーへと供給される冷却媒体(以下、「冷却水」という。)の圧力により、噴射ヘッダーから噴射される冷却水の流量特性に違いが生じるからであり、実操業で使用する代表的な部分(例えば、冷却水の流量特性等)を管理することが、鋼材の冷却温度の精度向上につながるからである。
以下、図1及び図2を適宜参照しつつ、本発明の鋼材の冷却方法、及び製造方法について説明する。
本発明にかかる鋼材の冷却方法では、記憶手段(ROM12)に記憶された上記基準パターンに従って、噴射ヘッダー2、2、…から冷却水9、9、…を噴射させながら、連続的に、冷却水9、9、…の流量を測定し、これを基準流量(標準流量B2(=A2))とする。このとき、噴射ヘッダー2、2、…の選択パターンや噴射ヘッダー2、2、…へと供給される冷却水の背圧を変更して、複数の基準パターンを用意することもできる。複数の基準パターンが用意される場合の具体例としては、実操業の冷却パターンが複数存在しパターン毎に使用される噴射ヘッダーの数量が異なる場合に、噴射ヘッダーの数量と基準パターンとが一対一で対応するように複数の基準パターンが設定される場合等を挙げることができる。
そして、登録した上記基準パターンに従って冷却水9、9、…を噴射し、定期的に冷却水9、9、…の流量を測定する。測定された冷却水流量B1と標準流量B2との比R1の値を用いれば、噴射ノズル8、8、…の詰まり状況を正確に把握することができる。さらに、このようにして把握された情報をCPU11へとフィードバックして、流量を制御すれば、鋼板の温度制御の高精度化を図ることが可能になる。このほか、上記流量測定に加えて、噴射ヘッダー2、2、…へと供給される冷却水の背圧Y1をも測定して当該測定結果をCPU11へフィードバックし、ROM12に記憶された上記圧力Y2とY1との比R2及び上記比R1の値に基づいて、流量を制御しても良い。上述のように、噴射ヘッダーから噴射される冷却水の流量は、噴射ヘッダーへと供給される冷却水の背圧にも影響されるため、このようにすれば、鋼板の温度制御の高精度化を図ることが容易になる。加えて、かかる冷却方法を鋼材の製造方法へと適用すれば、製造鋼板の高品質化を図ることが可能になる。
ここで、上記比R1の値を用いた流量制御が適用される冷却設備の具体例としては、冷却水の供給源に高架水槽等が用いられる冷却設備や工業用水本管から水を直接取り出すような冷却設備等、噴射ヘッダーへと供給される冷却水の背圧が固定されている冷却設備を挙げることができる。このような冷却設備では、流量しか調整できない。そのため、流量変動特性パラメータβ(n)のみを修正し、当該修正後の流量変動特性パラメータβ(n)を用いて熱伝達係数を修正し、修正した熱伝達係数Hに基づいて冷却水を噴射すべき噴射ヘッダー数を増減することで、鋼板の冷却に必要な流量が確保される。R1の値が1より小さい場合には、流量を増やす(噴射ヘッダー数を増やす)、R1の値がほぼ1の場合には流量変動なし(噴射ヘッダー数を維持する)、R1の値が1より大きい場合には、流量を減らす(噴射ヘッダー数を減らす)等の処理が行われる。なお、この処理をオンライン中(鋼板の冷却中)に行うと、冷却条件が冷却中に変わるため、被冷却材の性能ばらつきの原因となる危険性がある。したがって、上記処理は、被冷却材の搬送前又は搬送後に行うことが好ましい。
また、上記比R1及びR2の値を用いた制御が適用される冷却設備の具体例としては、背圧制御系を有し、必要とされる冷却水の流量を確保するために背圧を制御し得る冷却設備等(例えば、図1参照)を挙げることができる。このように、流量及び背圧を制御可能な冷却設備では、圧力変動特性パラメータα(n)及び流量変動特性パラメータβ(n)を修正する。そして、修正後の両パラメータ(α(n)及びβ(n))を用いて熱伝達係数Hを修正し、修正後の熱伝達係数Hに基づいて冷却水を噴射すべき噴射ヘッダー数を増減することで、鋼板の冷却に必要な流量が確保される。ここで、噴射ヘッダー数を最大にしても冷却水の流量が不足する場合には、背圧を増加させる等により対応することができる。
このように、R1、又は、R1及びR2の値を用いて冷却水の流量を調整することで、冷却水流量制御の高精度化を図ることができ、鋼材の温度制御の高精度化を図ることができる。したがって、本発明によれば、製造鋼板の高品質化を図ることが可能になる。
なお、上記冷却装置100によれば、噴射ヘッダー2、2、…や噴射ノズル8、8、…を交換した時、または、冷却水の流量特性の変化が検出された時に、圧力変動特性パラメータα(n)及び/又は流量変動特性パラメータβ(n)を修正できるので、当該修正後のパラメータα(n)及びβ(n)を用いて鋼板1を冷却することができる。
ここで、圧力変動特性パラメータα(n)及び流量変動特性パラメータβ(n)は、冷却水9、9、…を噴射する時に噴射ヘッダー2、2、…が受け持つ冷却能力を示す指標であり、以下のようにして求めることができる。
まず、圧力変動特性パラメータα(n)及び流量変動特性パラメータβ(n)を求める際の基準背圧(例えば、300[kPa])を設定し、冷却装置100に備えられる全ての噴射ヘッダー2、2、…(N本)を使用した場合の背圧実績をP(N)とするとともに、N本の噴射ヘッダー2、2、…を使用した場合の全流量実績から噴射ヘッダー1本当たりの平均流量を算出し、これをQ(N)とする。
次に、本発明を用いてn本の噴射ヘッダー2、2、…から冷却水9、9、…を噴射した場合の、背圧実績P、及び、1本当たりの流量実績Qを測定する。これらの結果から、次のように全ての噴射ヘッダー2、2、…(N本)を使用した場合との変動比を算出する。
圧力変動比;α(n)=P/P(N)
流量変動比;β(n)=Q/Q(N)
ここで、噴射ヘッダーの使用本数nは1〜Nとなり得るが、nと対応して使用される噴射ヘッダー2、2、…は、実操業で使用される噴射ヘッダー2、2、…の優先順に準じる。そして、基準背圧に設定した場合に噴射ヘッダー2、2、…を全数使用した時の背圧をP(N)、基準背圧に設定した場合に噴射ヘッダー2、2、…を全数使用した時の1本当たりの流量をQ(N)、噴射ヘッダー2、2、…をn本使用した時の圧力変動特性をα(n)、噴射ヘッダー2、2、…をn本使用した時の流量変動特性をβ(n)として、パラメータ設定する(ただし、α(N)=β(N)=1)。
次に、上記パラメータを熱伝達係数Hへフィードバックする方法について示す。
背圧がP、噴射ヘッダーの使用本数がnに指定されたときの、計算背圧P(n)及び噴射ヘッダー1本当たりの計算流量Q(n)は、次の式で求めることができる。
P(n)=α(n)×P (式1)
Q(n)=β(n)×Q(N)×(P/P(N))1/2 (式2)
そして、噴射ヘッダー全数使用時(P(N)、Q(N)の時)の熱伝達係数をHとするとき、H、P(n)/P(N)、及び、Q(n)/Q(N)の関数で表される次式へこの結果を反映することにより熱伝達係数Hを求め、温度制御に用いる。
H=f(H、P(n)/P(N)、Q(n)/Q(N)) (式3)
3.冷却能力診断方法
以下、図1及び図2を適宜参照しつつ、本発明の冷却能力診断方法について説明する。
冷却装置100の冷却能力診断時には、ROM12に記憶された測定パターンに関する情報が、出力ポート16及び入力ポート25を経て、CPU21へと伝えられる。PLC20は、CPU21の処理結果に基づいて、ON・OFF弁5、5、…の動作及び背圧を制御し、噴射ヘッダー2、2、…から冷却水を噴射させる。このとき、例えば、タイマ24及びCPU21の処理に基づいて自動的に上記測定パターンを進めることにより、噴射パターンを変え、圧力計6及び流量計7により背圧及び流量を測定する。そして、圧力計6及び流量計7の測定結果は、入力ポート25を経てROM22へと伝えられ、当該ROM22に順次記憶される。そして、上記測定パターンが全て完了すると、ROM22に記憶された上記測定結果(実績)が、出力ポート26及び入力ポート15を経てROM12へと伝えられる。ROM22には、上記測定パターンと上記実績に関する情報とが記憶される。
表1にROM12に記憶される測定パターン例を、図3に測定フロー例を、それぞれ示す。
Figure 0004715534

噴射ヘッダー2、2、…の識別名を、図1の前段スタンド側(紙面左方)より順にA〜Jとする。なお、鋼板の上下に設置された噴射ヘッダー2、2、…はそれぞれ組となっている。表1のヘッダー優先順に、冷却水を噴射させる順番を登録する。このとき、優先順0は未使用とする。背圧に測定時の水圧を登録する。次に、圧力変更時ディレイは、測定開始時及び圧力変更時の圧力変更応答時間を考慮した時間を設定する。この圧力変更時ディレイ時間経過後に、圧力実績値がROM22に格納される。ヘッダー追加時ディレイには、ヘッダー追加後の流量実績読み込みタイミングを設定する。このヘッダー追加時ディレイに設定された時間が経過した後に、流量実績値がROM22に格納される。ホールド時間には次の噴射ヘッダーを追加するまでの待ち時間を設定する(図3参照)。ここに、モード欄の1とは、当該測定パターンが、噴射ヘッダーを優先順に従って追加し測定した後、当該優先順と逆に噴射ヘッダーを減らしながらの測定も行う形態であることを意味している。これに対し、モードを2に設定した場合は、噴射ヘッダーが優先順に従って追加される場合にのみ測定が行われることを意味している。
本発明の冷却能力診断方法では、ROM12に記憶された各基準パターンと対応する標準流量C2(=A2=B2)と、冷却能力を診断する時に測定される冷却水9、9、…の流量C1との比R3(=C1/C2)を用いる。そして、R3の値が1から所定値以上変化している場合(例えば、R3≦0.95や、R3≧1.05の場合)に異常と判断し、機械系(例えば、噴射ノズル8、8、…の交換や冷却水の背圧変更等)の調整を行う。なお、例えば、流量の測定結果が上記所定値以上低下している場合(例えば、R3≦0.95の場合)は、噴射ノズル8、8、…が詰まっていると判断でき、噴射ノズル交換時期の目安とすることができる。また、流量の測定結果が上記所定値以上上昇している場合(例えば、R3≧1.05の場合)は、噴射される冷却水の流量を調整可能な絞り機構による流量調整を行うことも可能であり、この異常判断には経験による人の判断を加えても良い。
なお、上記説明では、組合せ記憶手段、流量記憶手段、圧力記憶手段、及び、変動記憶手段としての機能を有するROM12が備えられる形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されず、例えば、当該各手段と一対一に対応する複数の機器等が備えられる形態であっても良い。さらに、上記説明では、第1の修正手段及び第2の修正手段としての機能を有するCPU11が備えられる形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されず、第1の修正手段の機能を有する機器等と第2の修正手段の機能を有する機器等と、がそれぞれ備えられる形態であっても良い。
さらに、上記説明では、背圧制御及びヘッダーON・OFF弁の動作制御を通じて流量制御に関する処理を実施可能なCPU21、並びに、背圧測定値及び流量測定値と噴射パターンとを記憶可能なROM22が備えられる形態のPLC20を例示したが、本発明において使用可能なPLCの形態はこれに限定されない。本発明では、背圧及び流量を制御可能な制御部と、ヘッダーON・OFF弁の動作を制御可能な制御部とが、それぞれ備えられるとともに、背圧測定値及び流量測定値とを記憶可能な実測値記憶部と、噴射パターンを記憶可能な噴射パターン記憶部とが、それぞれ備えられる形態のPLCを用いることも可能である。
ROM12に記録された測定結果をもとに、圧力変動特性パラメータα(n)及び流量変動特性パラメータβ(n)が修正される形態の具体例を示す。
表1の1行目に例示したパターン(背圧:300[kPa]、ヘッダー本数:N=10)を基準パターンとすると、優先順1(噴射ヘッダーA1本のみから冷却水が噴射される場合)測定時の背圧実績がP、流量実績がQとなる。次に、優先順2(噴射ヘッダーA及びBの2本から冷却水が噴射される場合)測定時の背圧実績がP、流量実績の1/2がQとなる。以下同様に、優先順n(n本の噴射ヘッダーから冷却水が噴射される場合)測定時の背圧実績がP、流量実績の1/nがQとなる。そして、優先順10(A〜Jの全10本の噴射ヘッダーから冷却水が噴射される場合)を測定した結果の背圧実績がP10=P(10)であり、流量実績の1/10がQ10=Q(10)となる。以上の結果から、噴射ヘッダーをn本使用した場合と、噴射ヘッダーを全数(N=10)使用した場合との変動比は、次のように算出することができる。
圧力変動比α(n)=P/P(10)
流量変動比β(n)=Q/Q(10)
この結果、例えば次のような圧力変動特性パラメータα(n)及び流量変動特性パラメータβ(n)を求めることができる。
ヘッダー全数使用した場合の背圧実績P(N):300[kPa]
ヘッダー全数使用した場合の流量実績から算出されるQ(N):115[m/h]
α(1)=1.10、
α(2)=1.05、
α(3)=1.0、
α(4)=1.1、
α(5)=1.02、
α(6)=1.01、
α(7)=1.0、
α(8)=1.0、
α(9)=1.0、
α(10)=1.0
β(1)=1.35、
β(2)=1.30、
β(3)=1.25、
β(4)=1.20、
β(5)=1.25、
β(6)=1.20、
β(7)=1.15、
β(8)=1.10、
β(9)=1.05、
β(10)=1.0
実操業においては、CPU11において、上記式1、式2、及び、式3を用いた処理により、上記圧力変動特性パラメータα(n)及び流量変動特性パラメータβ(n)、並びに、上記基本熱伝達係数Hを用いて、鋼板の温度降下に必要な噴射ヘッダー本数を計算する。
他方、圧力変動特性パラメータ及び流量変動特性パラメータ(上記α(1)〜α(10)、及び、β(1)〜β(10))を用いずに基本熱伝達係数のみで計算する場合(噴射ヘッダーの本数により背圧や流量が変化しないと仮定した場合)には、n=1〜10において、α(n)=1.0、β(n)=1.0となる。上記圧力変動特性パラメータα(n)及び流量変動特性パラメータβ(n)、並びに、上記基本熱伝達係数Hを用いて、鋼板の温度降下に必要な噴射ヘッダー本数を計算して鋼板を冷却した場合と、基本熱伝達係数のみを用いて計算された結果に基づいて鋼板を冷却した場合と、における、温度制御差を以下に示す。なお、温度制御差の導出に用いた鋼板は、基本熱伝達係数で噴射ヘッダー1本当たり5℃の温度降下が可能な鋼板であった。
1本時誤差=2.4℃
2本時誤差=4.2℃
3本時誤差=5.5℃
4本時誤差=6.2℃
5本時誤差=6.4℃
6本時誤差=6.0℃
7本時誤差=5.2℃
8本時誤差=3.9℃
9本時誤差=2.2℃
10本時誤差=0℃
本発明によれば、上記温度制御誤差分だけ、鋼板温度制御の高精度化を図ることが可能になる。
本発明が従来技術よりも優れている理由を以下に示す。
例えば、特許文献1に開示されている技術では、冷却するたびにバンク前後の温度実績から温度計に挟まれたバンクの冷却能力の補正係数を遂次学習し、補正された係数を用いることで温度制御の高精度化を図っている。しかし、かかる技術では、係数の補正が、水量実績のみによるものか、それとも、水量実績以外の要因(例えば、季節要因等)が取り込まれたものか、の判断をすることができないため、水量実績以外の要因に補正係数変化の原因がある場合であっても係数が補正される。それゆえ、噴射ノズルの水詰まりが解消された場合であっても、補正後の係数を用いた制御がなされる結果、温度制御の精度が低下する。これに対し、本発明では、水量実績と標準流量との比を用いて水詰まりか否かを診断しているので、水詰まりにより温度制御の精度が悪化した場合でも、補正係数を調整するといった誤った手段ではなく、水詰まりそのものに対処できる。そのため、本発明によれば、従来技術よりも温度制御の精度を向上させることが可能になる。
また、本発明において、ROM12に登録されるヘッダー優先順は、実操業で使用される優先順と同一にすることができる。そのため、本発明によれば、実操業で使用される代表的な噴射ヘッダーを選択して、当該噴射ヘッダーの異常判断や性能検出を実施できる。
本発明にかかる鋼材の冷却装置の形態例を示す概略図である。 噴射ヘッダーに備えられる噴射ノズルの様子を示す概略図である。 測定フロー例を示す概略図である。
符号の説明
1 鋼材(鋼板)
2 噴射ヘッダー
3 冷却水ポンプ
4 管路
5 ON・OFF弁
6 圧力計(圧力測定手段)
7 流量計(流量測定手段)
8 噴射ノズル
9 冷却水(冷却媒体)
10 制御手段(プロセスコンピュータ)
11 CPU(第1の修正手段、第2の修正手段)
12 ROM(組合せ記憶手段、流量記憶手段、圧力記憶手段、変動記憶手段)
20 PLC
21 CPU
22 ROM
100 鋼材の冷却装置

Claims (5)

  1. 複数の噴射ヘッダーを備え、該噴射ヘッダーに備えられる噴射ノズルから噴射される冷却媒体を用いて鋼材を冷却可能な、鋼材の冷却装置であって、
    前記噴射ヘッダーの前記噴射ノズルから噴射される、前記冷却媒体の流量を測定する流量測定手段と、
    前記噴射ヘッダーへと供給される、前記冷却媒体の圧力を測定する圧力測定手段と、
    前記冷却媒体を噴射すべき前記噴射ノズルが備えられる、前記噴射ヘッダーの組合せを記憶する組合せ記憶手段と、
    前記組合せにかかる前記噴射ヘッダーの前記噴射ノズルから噴射される、前記冷却媒体の標準流量を記憶する流量記憶手段と、
    前記組合せにかかる前記噴射ヘッダーへと供給される、前記冷却媒体の標準圧力を記憶する圧力記憶手段と、
    前記組合せにかかる前記噴射ヘッダーの前記噴射ノズルから噴射される前記冷却媒体の流量変動特性パラメータ、及び、前記組合せにかかる前記噴射ヘッダーへと供給される前記冷却媒体の圧力変動特性パラメータ、を記憶する変動記憶手段と、
    前記流量測定手段によって測定された流量A1と前記流量記憶手段によって記憶された流量A2とを比較し、前記流量変動特性パラメータを修正する第1の修正手段と、
    前記圧力測定手段によって測定された圧力X1と前記圧力記憶手段によって記憶された圧力X2とを比較し、前記圧力変動特性パラメータを修正する第2の修正手段と、
    を備えることを特徴とする、鋼材の冷却装置。
  2. 複数の噴射ヘッダーを備え、該噴射ヘッダーに備えられる噴射ノズルから噴射される冷却媒体を用いて鋼材を冷却可能な冷却装置を用いる鋼材の冷却方法であって、
    前記噴射ヘッダーの前記噴射ノズルから噴射される、前記冷却媒体の流量を測定する流量測定手段と、
    前記冷却媒体を噴射すべき前記噴射ノズルが備えられる、前記噴射ヘッダーの組合せを記憶する組合せ記憶手段と、
    前記組合せにかかる前記噴射ヘッダーの前記噴射ノズルから噴射される、前記冷却媒体の標準流量を記憶する流量記憶手段と、
    少なくとも、前記組合せにかかる前記噴射ヘッダーの前記噴射ノズルから噴射される、前記冷却媒体の流量変動特性パラメータを記憶する変動記憶手段とが、前記冷却装置に備えられ、
    前記流量測定手段によって測定された流量B1と前記流量記憶手段によって記憶された流量B2との比R1の値を用いて、前記流量変動特性パラメータを修正し、修正後の流量変動特性パラメータを用いて、前記組合せにかかる前記噴射ヘッダーの熱伝達係数を修正することを特徴とする、鋼材の冷却方法。
  3. さらに、前記噴射ヘッダーへと供給される、前記冷却媒体の圧力を測定する圧力測定手段と、
    前記組合せにかかる前記噴射ヘッダーへと供給される、前記冷却媒体の標準圧力を記憶する圧力記憶手段とが、前記冷却装置に備えられるとともに、
    さらに、前記組合せにかかる前記噴射ヘッダーへと供給される、前記冷却媒体の圧力変動特性パラメータが、前記変動記憶手段に記憶され、
    前記圧力測定手段によって測定された圧力Y1と前記圧力記憶手段によって記憶された圧力Y2との比R2の値を用いて、前記圧力変動特性パラメータを修正し、修正後の圧力変動特性パラメータ、及び、前記修正後の流量変動特性パラメータを用いて、前記組合せにかかる前記噴射ヘッダーの熱伝達係数を修正することを特徴とする、請求項2に記載の鋼材の冷却方法。
  4. 請求項2又は3に記載の鋼材の冷却方法を含むことを特徴とする、鋼材の製造方法。
  5. 請求項1に記載の鋼材の冷却装置の前記流量測定手段によって測定された流量C1と前記流量記憶手段によって記憶された流量C2との比R3の値を用いて、前記噴射ヘッダーに備えられる前記噴射ノズルの詰まり状況を調査することを特徴とする、鋼材の冷却装置の冷却能力診断方法。
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