JP4714990B2 - 固体高分子型燃料電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子型燃料電池に関し、さらに詳しくは、可搬型の小型電源、車載用動力源、コジェネレーションシステム等として好適な固体高分子型燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池は、電解質として固体高分子電解質膜を用いた燃料電池である。固体高分子型燃料電池に用いられる固体高分子電解質としては、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)に代表される非架橋のパーフルオロ系電解質や種々の炭化水素系電解質が知られているが、これらは、いずれもイオン導電性を発現するには水を必要とする。そのため、燃料電池の運転条件がドライ条件になると、固体高分子電解質膜の含水率が低下し、イオン伝導率が低下する、いわゆるドライアップが発生し、燃料電池の出力を低下させる原因となる。
【0003】
従来の固体高分子型燃料電池においては、この問題を解決するために、補機を用いて外部から電解質膜に水分を補給する方法を用いるのが一般的である。電解質膜に水分を補給する方法としては、具体的には、バブラ、ミスト発生器等を用いて反応ガスを加湿する方法、セパレータ内部に形成された反応ガス流路に直接水分を注入する方法等が知られている。
【0004】
また、固体高分子型燃料電池は、一般に、固体高分子電解質膜の両面に一対の電極を接合して膜電極接合体とし、その両側をセパレータで挟んだ構造を取る。電池反応を進行させるためには、電解質、触媒及び反応ガスの三相が共存する三相界面を電極内に確保する必要があるので、電極は、一般に、触媒及び電解質を含む多孔質構造になっている。
【0005】
一方、固体高分子型燃料電池の場合、カソードにおいて、電池反応により水が生成する。また、プロトンがアノード側からカソード側に移動する際に、電気浸透により水もカソード側に移動する。そのため、燃料電池の運転条件がウエット条件になると、特にカソードにおいて過剰の水が滞留しやすくなる。この水を放置すると、電極内の細孔が水で閉塞し、反応ガスの供給が阻害される、いわゆるフラッディングが発生し、燃料電池の出力を低下させる原因となる。
【0006】
従来の固体高分子型燃料電池においては、この問題を解決するために、電極構造を最適化する方法を用いるのが一般的である。例えば、三相界面を増大させるために、電極を、拡散層と、固体高分子電解質膜と接する面に設けられた触媒層の二層構造とする方法が知られている。拡散層は、触媒層への反応ガスの供給及び電子の授受を行うための層であり、一般に、多孔質かつ電子伝導性を有する材料が用いられる。また、触媒層は、電池反応の反応場となる層であり、一般に、触媒又は担体に担持させた触媒と、固体高分子電解質膜と同一成分を有する電解質(触媒層内電解質)からなっている。
【0007】
また、例えば、特開平5−36418号公報には、電極に対して反応サイトを増大させるために、表面が固体高分子電解質で被覆された触媒担持カーボンをフッ素系樹脂で結着させた多孔質電極が開示されている。
【0008】
さらに、特開平9−320611号公報には、多孔質電極に対して均一に撥水性を付与するために、白金触媒を担持したカーボンブラック、フッ素系イオン交換樹脂及びイオン交換基を有しない溶媒可溶性フッ素重合体の混合液を固体高分子電解質膜に塗布して得られる固体高分子型燃料電池用電極が開示されている。また、同公報には、白金触媒を担持したカーボンブラックとポリテトラフルオロエチレンの混合物を混練・延伸することにより多孔質フィルムとし、これにフッ素系イオン交換樹脂及びイオン交換基を有しない溶媒可溶性フッ素重合体を含浸させて得られる固体高分子型燃料電池用電極が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
補機を用いて電解質を加湿するためには、加湿用の水を貯蔵するための水タンク、加湿器、燃料電池から排出される水を回収するための凝縮器等、様々なコンポーネントが必要となる。そのため、燃料電池システム全体が複雑かつ大型化するという問題がある。また、補機を用いた電解質の加湿は、余分な補機動力が必要となり、燃料電池の発電効率を低下させる原因にもなる。
【0010】
一方、固体高分子型燃料電池の場合、上述したように、カソード側において電池反応により水が生成する。この生成水を電解質の加湿に直接利用することができれば、補機による電解質の加湿を軽減又は不要化することができ、燃料電池システム全体の小型化、軽量化及び高効率化が期待できる。
【0011】
しかしながら、固体高分子型燃料電池に用いられる従来の電極は、フラッディングによる出力低下を抑制するために、電極の細孔内表面に撥水処理を施す等、電極内に滞留する水を排出しやすくしたものが一般的であり、生成水の有効利用に適した構造にはなっていない。
【0012】
例えば、特開平9−320611号公報に開示される固体高分子型燃料電池用電極は、電極の細孔内表面の少なくとも一部をイオン交換基を有しない溶媒可溶性含フッ素重合体で被覆し、撥水性を付与することを狙っている。しかしながら、開示されている方法を用いて、気相側表面に露出しているイオン交換基のすべてを溶媒可溶性含フッ素重合体で薄く均一に被覆することは困難である。そのため、電池反応による生成水の大部分は、細孔内部から電極外に排出され、電解質の加湿に有効利用されることはなく、安定して作動させるためには、補機による加湿が不可欠となっている。
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、補機による電解質の加湿を軽減又は不要化し、無加湿条件下においても高い出力が安定して得られる固体高分子型燃料電池を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、固体高分子電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体を備えた固体高分子型燃料電池において、前記膜電極接合体の少なくとも一方の電極は、触媒又は担体に担持された触媒と触媒層内電解質とを含む触媒層、および、該触媒層より気相側に設けられる拡散層を備え、前記触媒層内電解質の気相側表面が反応性ガス透過性を有する撥水層で被覆されており、該撥水層は、前記触媒層内電解質の気相側表面に直接一体的に形成されていることを要旨とするものである。
【0015】
触媒層内電解質の気相側表面を反応ガス透過性を有する撥水層で被覆すると、触媒層への反応ガスの拡散を阻害することなく、触媒層から拡散層側への水の排出が抑制される。その結果、電池反応による生成水の一部は、触媒層内部に滞留する。また、触媒層内部に滞留した水分は、拡散によって固体高分子電解質膜まで戻され、固体高分子電解質膜の加湿に再利用される。そのため、低加湿あるいは無加湿条件下においても、固体高分子電解質膜の含水率を安定作動に必要な水準に維持することができ、高い出力が安定して得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本発明に係る固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体を備えている。また、電極の少なくとも一方は、触媒又は担体に担持された触媒と触媒層内電解質を含む触媒層を備え、かつ、触媒層内電解質は、その気相側表面が反応ガス透過性を有する撥水層で被覆されていることを特徴とする。
【0017】
撥水層は、カソード又はアノードのいずれか一方に設けられていれば良い。しかしながら、固体高分子型燃料電池の場合、一般にカソード側からより多くの水が排出されるので、少なくともカソード側に撥水層を設けるのが好ましい。また、アノード側からも水の一部が排出されるので、ドライ条件が著しい場合には、カソード及びアノードの双方に撥水層を設けるのがさらに好ましい。
【0018】
図1に、このような膜電極接合体10のカソード側の断面図の一例を示す。図1において、膜電極接合体10は、固体高分子電解質膜20と、その一方の面に接合されたカソード30とを備えている。
【0019】
本発明においては、固体高分子電解質膜20には、種々の材料を用いることができ、特に限定されるものではない。すなわち、固体高分子電解質膜20は、ポリマ骨格の全部又は一部がフッ素化されたフッ素系ポリマであってイオン交換基を備えているものでもよく、あるいはポリマ骨格にフッ素を含まない炭化水素系ポリマであってイオン交換基を備えているものであってもよい。
【0020】
また、これらのポリマに含まれるイオン交換基についても、特に限定されるものではない。すなわち、イオン交換基は、スルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸等のいずれであってもよい。また、これらのポリマには、1種類のイオン交換基が含まれていてもよく、あるいは、2種以上のイオン交換基が含まれていても良い。
【0021】
ポリマ骨格の全部又は一部がフッ素化された固体高分子電解質としては、具体的には、ナフィオン(登録商標)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマ、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマ、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマ、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系ポリマ等が好適な一例として挙げられる。
【0022】
また、フッ素を含まない炭化水素系の固体高分子電解質としては、具体的には、ポリスルホンスルホン酸、ポリアリールエーテルケトンスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルホスホン酸等が好適な一例として挙げられる。
【0023】
カソード30は、拡散層32と、触媒層34と、撥水層42とを備えている。拡散層32は、触媒層34への酸化剤ガスの供給及び電子の授受を行うための層であり、カソード30の気相側に設けられる。その材質は、多孔質かつ電子伝導性を有するものであれば良く、特に限定されるものではない。一般的には、多孔質のカーボン布、カーボン紙等が用いられる。
【0024】
触媒層34は、電池反応の反応場となる層であり、固体高分子電解質膜20と接する面に設けられる。また、触媒層34は、担体36と、担体36に担持された触媒38と、触媒層内電解質40とを備えている。担体36及び触媒38の材質は、特に限定されるものではなく、用途に応じて種々の材質を用いることができる。一般に、担体36にはカーボンが用いられ、触媒38にはPt又はPt合金が用いられる。なお、触媒38は、図1に示すように、担体36に担持された状態で触媒層34に含まれていても良いが、触媒38が単独で触媒層34に含まれていても良い。
【0025】
触媒層内電解質40は、触媒層34にイオン伝導性を付与するために加えられるものである。触媒層内電解質40の材質は、特に限定されるものではなく、用途に応じて種々の材質を用いることができる。通常は、固体高分子電解質膜20と同一成分を有する電解質が用いられるが、異なる成分の電解質を用いても良い。また、触媒層内電解質40の気相側表面に撥水層42を形成するために、触媒層内電解質40として、主鎖の末端や側鎖に疎水セグメントを持つ固体高分子電解質を、単独で、あるいは他の電解質と混合して用いても良い。この点については、後述する。
【0026】
撥水層42は、触媒層内電解質40の気相側表面を被覆するように設けられる。撥水層42の材質は、酸化剤ガス中に含まれる酸素を触媒層34に供給することが可能な酸素透過性と、触媒層34から拡散層32への水の排出を抑制することが可能な撥水性とを備えたものであれば、いずれの材質であっても使用でき、特に限定されるものではない。
【0027】
また、撥水層42の厚さは、要求される酸素透過性及び撥水性を備えている限り、その材質に応じて任意に選択することができる。例えば、十分な撥水性を備えている限り、撥水層42は、単分子層であっても良い。また、例えば、十分な酸素透過性を備えている限り、撥水層42は、所定の厚さを有する高分子層であっても良い。
【0028】
さらに、撥水層42の面積は、広いほど良い。触媒層内電解質40の気相側表面を被覆する撥水層42の面積が大きくなるほど、触媒層34から拡散層32への水の排出が効率的に抑制されるためである。但し、触媒層34と拡散層32との間で電子の授受を行うためには、両者が電気的に連続している必要がある。従って、撥水層42は、触媒層内電解質40の気相側表面の内、触媒38又は担体36が拡散層32と接触している部分以外の部分を被覆する、実質的に連続した層であることが好ましい。
【0029】
このような撥水層42としては、具体的には、疎水性メタロキサン前駆体を重縮合させることにより得られる重縮合体層、触媒層内電解質40の気相側表面にあるイオン交換基と塩基とを酸塩基反応させることにより得られる塩基層、触媒層内電解質40の気相側表面に気相を介して撥水性材料を析出させた析出層等が好適な一例として挙げられる。また、撥水層42は、触媒層内電解質40の気相側表面に異種材料を形成する代わりに、触媒層内電解質40の少なくとも一部として主鎖の末端や側鎖に疎水セグメントが結合している固体高分子電解質を用い、この疎水セグメントを触媒層内電解質40の気相側表面に偏在させることにより得られる偏在層であっても良い。
【0030】
アノードを触媒層と拡散層の二層構造とし、触媒層内電解質の表面に撥水層を形成する場合も上述と同様である。すなわち、アノード側の撥水層は、要求される水素透過性及び撥水性を有するものである限り、任意の厚さを有する種々の材料を用いることができる。また、アノード側の撥水層は、拡散層と触媒層との間の導通が確保される限りにおいて連続した層であることが望ましい。さらに、上述した重縮合体層、塩基層、析出層及び偏在層は、いずれもアノード側の撥水層として用いることができる。
【0031】
なお、アノード側に撥水層を設ける場合、撥水層の材質は、特に分子内にC−F結合を含むフッ素系材料が好適である。フッ素系材料の薄層は、高い撥水性を備えていることに加えて、COガスの透過率が低いので、これをアノード側の撥水層として用いると、アノード側の触媒のCO被毒が抑制され、電極の耐久性が向上するという利点がある。
【0032】
このような撥水層を備えた膜電極接合体10は、従来の膜電極接合体と同様に、その両面を、反応ガスを供給するための反応ガス流路を備えたセパレータで狭持した状態で使用される。
【0033】
次に、本実施の形態に係る固体高分子型燃料電池の作用について説明する。図1において、膜電極接合体10のアノード(図示せず)側に水素を含む燃料ガスを供給すると、アノードにおいて水素からプロトンと電子が生成し、生成したプロトンは固体高分子電解質膜20を通ってカソード30に移動する。また、生成した電子は、負荷(図示せず)からカソード30側の拡散層32を通って触媒層34に運ばれる。
【0034】
一方、カソード30側に酸素を含む酸化剤ガスを供給すると、酸素が拡散層32を通って撥水層42表面に達する。撥水層42は酸素透過性を有しているので、酸素の拡散が阻害されることはなく、酸素は撥水層42をそのまま透過し、触媒層34内の触媒38に達する。
【0035】
触媒38の表面では、プロトン、酸素、及び電子から、水が生成する。この時、撥水層42は、高い撥水性を有しているので、触媒層34内で生成した水分の一部は、拡散層32側に排出されることなく触媒層34内に滞留する。触媒層34内に滞留した水分は、拡散により固体高分子電解質膜20内に戻され、固体高分子電解質膜20の加湿に再利用される。そのため、補機を用いて外部から水を補給しなくても、固体高分子電解質膜20の含水率が安定作動に必要な水準に維持され、高い出力が安定して得られる。
【0036】
また、固体高分子電解質膜20内に戻された水の一部は、アノード側に拡散する。この時、アノード側の触媒層内電解質の気相側表面が撥水層で被覆されていると、燃料極から排出される水分量も減少する。そのため、膜電極接合体10から排出される総水分量が減少し、無加湿運転がさらに容易化する。
【0037】
なお、上述の例では、電極は、触媒層内電解質の気相側表面が撥水層で被覆された触媒層と、触媒層の外側に設けられる拡散層からなる二層構造を有しているが、電極は、触媒層内電解質の気相側表面が撥水層で被覆された触媒層のみからなる単相構造を有するものであっても良い。電極を単相構造とする場合、撥水層は、触媒又は担体がセパレータと接触している部分以外は、連続した層であることが好ましい。
【0038】
次に、撥水層42の具体例について、詳細に説明する。撥水層42の第1の具体例は、触媒層内電解質40の気相側表面に疎水性メタロキサン前駆体を含む溶液を塗布し、重縮合させることにより得られる重縮合体層からなる。ここで、疎水性メタロキサン前駆体とは、疎水基を有し、かつ、ゾルゲル法で重縮合させることによりメタロキサン結合を生ずるモノマ又はオリゴマをいう。疎水性メタロキサンモノマは、次の化1の式で表すことができる。また、疎水性メタロキサンオリゴマとは、化1の式で表される疎水性メタロキサンモノマの2〜200量体をいう。
【0039】
【化1】
4−nM(OR)
【0040】
化1の式において、nは、1〜3までの整数である。Mは4価の半金属元素又は金属元素であり、シリコン、チタン、ジルコニウム等が好適な一例として挙げられる。ORはアルコキシル基である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が好適な一例として挙げられる。
【0041】
また、元素Mに結合しているXは、少なくとも1つが疎水基であればよい。疎水基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、アリール基等の中の炭素と結合している少なくとも1つの水素がフッ素に置き換わったものが特に好適である。また、疎水基は、疎水性の強い炭化水素基(例えば、フェニル基、アルキル基、アリル基等)であっても良い。さらに、2個以上の疎水基が元素Mに結合している場合、各疎水基は、同一のものであっても良く、あるいは、異なるものであっても良い。
【0042】
このような疎水性メタロキサン前駆体としては、具体的には、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン等、及び、これらのオリゴマが好適な一例として挙げられる。
【0043】
触媒層内電解質40の気相側表面に疎水性メタロキサン前駆体を含む溶液を塗布する場合、溶液には、1種類の疎水性メタロキサン前駆体が含まれていても良く、あるいは、2種以上の疎水性メタロキサン前駆体が含まれていても良い。また、溶液に含まれる疎水性メタロキサン前駆体の種類及び濃度、溶液の塗布量等は、形成しようとする重縮合体層の厚さ、重縮合体層に要求される反応ガス透過性、撥水性等に応じて、適宜調節すれば良い。
【0044】
また、本発明において「塗布」とは、触媒層内電解質40の気相側表面を溶液で均一に被覆することをいい、具体的には、滴下、ハケ塗り、スプレー、蒸気接触等が好適な一例として挙げられる。さらに、疎水性メタロキサン前駆体の重縮合方法は、加熱する方法、酸又はアルカリを作用させる方法等、種々の方法を用いることができ、特に限定されるものではない。
【0045】
触媒層内電解質40の気相側表面にイオン交換基が露出していると、このイオン交換基を介して水分が拡散層32側に排出されやすい。これに対し、触媒層内電解質40の気相側表面を疎水性メタロキサン前駆体の重縮合体層で被覆すると、触媒層34から拡散層32への水の排出が抑制される。特に、水の排出口となり易いイオン交換基が露出した部分に存在する水と、イオン交換基自身の触媒作用により、選択的に撥水層を形成できるので、効率よく水の排出が抑制される。しかも、このような重縮合体層は、反応ガス透過性を有しているので、触媒層34への反応ガスの拡散が阻害されることもない。そのため、無加湿条件下においても安定して作動する燃料電池が得られる。
【0046】
次に、第2の具体例について説明する。撥水層42の第2の具体例は、触媒層内電解質40の気相側表面にあるイオン交換基と塩基とを酸塩基反応させることにより得られる塩基層からなる。イオン交換基と反応させる塩基としては、次の化2の式で表される第4級アンモニウム塩が好適な一例として挙げられる。
【0047】
【化2】
(RN)Y
【0048】
化2の式において、Rは、一般にアルキル基、アリル基、アリール基等であるが、本発明においては、Rの構造は、特に限定されるものではなく、種々の第4級アンモニウム塩を使用できる。また、塩基層に高い撥水性を付与するためには、Rは、上述したアルキル基、アリル基、アリール基等の中の炭素と結合している少なくとも1つの水素がフッ素に置換した疎水基が特に好適である。なお、窒素原子と結合する各Rは、同一のものであっても良く、あるいは、異なるものであっても良い。また、Yは、陰イオンであり、その種類は、特に限定されるものではない。
【0049】
このような塩基としては、具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、3,3,3−トリフルオロトリプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等が好適な一例として挙げられる。
【0050】
なお、触媒層内電解質40の気相側表面にあるイオン交換基と塩基とを酸塩基反応させるには、塩基を含む溶液を触媒層34の気相側表面に塗布すれば良い。この場合、溶液に含まれる塩基の種類、溶液の濃度、溶液の塗布量等は、塩基層に要求される反応ガス透過性、撥水性等に応じて、適宜調節すれば良い。
【0051】
触媒層内電解質40の気相側表面にあるイオン交換基と塩基とを酸塩基反応させると、イオン交換基が塩基によりブロックされ、触媒層34から拡散層32への水の排出が抑制される。特に、疎水基を備えた塩基を用いると、イオン交換基のブロックに加え、疎水基によって塩基層に高い撥水性が付与される。しかも、このような塩基層は、反応ガス透過性を有しているので、触媒層34への反応ガスの拡散が阻害されることもない。もちろん、気相側表面にあるイオン交換基のみを選択的に撥水化するのみであるので、本来の役割であるプロトン伝導性は、内部のイオン交換基により十分保たれる。
【0052】
次に、第3の具体例について説明する。撥水層42の第3の具体例は、気相を介して、触媒層内電解質40の気相側表面に反応ガス透過性を有する撥水性材料を析出させることにより得られる析出層からなる。析出層に用いられる撥水性材料としては、具体的には、CF、ポリテトラフルオロエチレン(以下、これを「PTFE」という。)、フッ化ピッチ等が好適な一例として挙げられる。
【0053】
また、気相析出させる方法は、使用する撥水性材料の種類に応じて、種々の方法を用いることができる。例えば、撥水性材料としてCFを用いる場合、プラズマ処理法が好適である。触媒層内電解質40の表面に対してCFを用いたプラズマ処理を行うと、処理条件に応じて、単分子層から多分子層のフッ化炭素被膜を触媒層内電解質40の気相側表面に形成することができる。
【0054】
また、例えば、撥水性材料としてPTFEを用いる場合、スパッタリング法が好適である。触媒層内電解質40の表面に対してPTFEのスパッタリング処理を行うと、処理条件に応じて、任意の厚さのPTFE被膜を触媒層内電解質40の気相側表面に形成することができる。
【0055】
また、例えば、撥水性材料としてフッ化ピッチを用いる場合、蒸気接触法が好適である。触媒層内電解質40にフッ化ピッチを蒸気接触させると、処理条件に応じて、任意の厚さのフッ化ピッチ被膜を触媒層内電解質40の気相側表面に形成することができる。
【0056】
フッ素系の撥水性材料は、一般に溶剤に対して難溶性であるので、溶液を塗布する方法により、撥水性材料からなる均一な被膜を触媒層内電解質40の気相側表面に形成するのは困難である。これに対し、気相を介して析出させる方法によれば、触媒層内電解質40表面のミクロな凹凸に沿って、均一な被膜を形成することができる。しかも、このような方法により得られる析出層は、反応ガス透過性を有しているので、触媒層34への反応ガスの拡散が阻害されることもない。
【0057】
次に、第4の具体例について説明する。撥水層42の第4の具体例は、触媒層内電解質40として、主鎖の末端や側鎖に疎水性セグメントを持つ固体高分子電解質(以下、これを「疎水性電解質」という。)を用い、疎水セグメントを触媒層内電解質40の気相側表面に偏在させることにより得られる偏在層からなる。
【0058】
ここで、疎水セグメントとは、一般式:CF−(CF−で表される原子団をいう。疎水セグメントは、直鎖状であっても良く、あるいは、分岐が途中にあってもいっこうにかまわない。一般に、nが大きくなるほど、疎水セグメントの撥水性が高くなる傾向がある。一方、nの値は、反応ガス透過性にほとんど影響を与えない。従って、nの値は、要求される撥水性、疎水性電解質の製造容易性等を考慮して、任意に選択することができる。偏在層に高い撥水性を付与するためには、nは、2以上が好ましく、さらに好ましくは10以上である。但し、nが200を超えると溶解性が低下し、触媒層を形成し難くなるので、nは200以下が好ましい。
【0059】
また、疎水性電解質の疎水セグメント以外の部分は、特に限定されるものではない。すなわち、疎水性電解質は、ポリマ骨格の全部又は一部がフッ素化された固体高分子電解質の主鎖の末端もしくは側鎖に疎水セグメントを結合させたものであっても良く、あるいは、フッ素を含まない炭化水素系の固体高分子電解質の主鎖の末端や側鎖に疎水セグメントを結合させたものであっても良い。
【0060】
このような疎水性電解質としては、具体的には、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマの主鎖の末端や側鎖に疎水セグメントを結合させたものが好適な一例として挙げられる。なお、触媒層内電解質40には、疎水性電解質を単独で用いても良く、あるいは、疎水性電解質と疎水セグメントを有しない電解質との混合物を用いても良い。
【0061】
疎水性電解質を含む触媒層内電解質40と、触媒又は担体に担持した触媒との混合液を固体高分子電解質膜20の表面に塗布し、溶媒を除去すると、触媒層34が形成される。この時、溶媒が除去されるに伴い、疎水セグメントが触媒層内電解質40の気相側表面に配列し、触媒層内電解質40の気相側表面に偏在層が形成される。このようにして得られた偏在層は、撥水性を有し、しかも、反応ガス透過性を有しているので、触媒層34への反応ガスの拡散を阻害することなく、拡散層32への水の排出を抑制することができる。
【0062】
次に、本発明に係る固体高分子型燃料電池の製造方法について説明する。本発明に係る固体高分子型燃料電池は、種々の方法により製造することができる。第1の製造方法は、まず、固体高分子電解質膜20の両面に触媒層34を形成し、次いで、上述した種々の方法を用いて触媒層内電解質40の表面に撥水層42を均一に形成した後、触媒層34の表面に拡散層32を形成する方法である。この場合、拡散層32は、触媒層34と接合しても良く、あるいは、セル組み付け時に締結によって接触させるだけでも良い。
【0063】
触媒層34中の担体36もしくは触媒38が完全に触媒層内電解質40に被覆された状態の場合には、触媒層内電解質40の気相側表面に撥水層42を均一に形成した後、拡散層32の接合又は締結を行うと、拡散層32の表面の内、突出している部分が撥水層42及び触媒層内電解質40を突き破り、触媒層34と拡散層32が電気的に連通した状態となる。このような膜電極接合体10の両側を、反応ガス流路を備えたセパレータで狭持すれば、無加湿条件下でも安定に作動する固体高分子型燃料電池が得られる。
【0064】
第2の製造方法は、まず、シート状の触媒層34を作製し、次いで、上述した種々の方法を用いて触媒層内電解質40の表面に撥水層42を均一に形成した後、撥水層42が形成された触媒層34を固体高分子電解質膜20に接合し、さらに、触媒層34の表面に拡散層32を形成する方法である。この場合も、拡散層32は、接合しても良く、あるいは、締結によって接触させるだけでも良い
【0065】
第3の製造方法は、まず、固体高分子電解質膜20の表面に触媒層34を形成し、次いで、触媒層34の表面に拡散層32を形成した後、拡散層32側から疎水性メタロキサン前駆体の含浸・重縮合、塩基による処理、撥水性材料の気相析出等を行い、触媒層内電解質40の気相側表面に撥水層42を形成する方法である。このような方法によっても、無加湿条件下で安定に作動する固体高分子型燃料電池を得ることができる。
【0066】
第4の製造方法は、まず拡散層32に触媒層34を形成し、次いで、拡散層32側から触媒層内電解質40の表面に撥水層42を形成した後、電解質膜20と接合する方法である。
【0067】
なお、上述した製造方法において、電極は、いずれも触媒層34と拡散層32の二層構造になっているが、撥水層42で被覆された触媒層34をそのまま電極として用いる場合には、触媒層34の表面に拡散層32を形成する工程を省略し、かつ、電子伝導通路を形成する工程を追加する以外は、上述と同様の方法により製造することができる。
【0068】
【実施例】
(実施例1)
以下の手順により固体高分子型燃料電池を作製した。すなわち、固体高分子電解質膜としてナフィオン膜(デュポン社製、N112)を用い、膜中に含まれる有機物等を除去し、完全なプロトン型とするために、10%H水溶液、0.5MHSO水溶液、及び、純水の順で煮沸し、乾燥させた。
【0069】
次に、テトラフルオロエチレンシート上に触媒層(13cm)を形成し、これを固体高分子電解質膜の両面にホットプレス(140℃、4.9MPa)により転写した。次いで、アノード側のみ、触媒層の上にさらに拡散層(E−TEK製)をホットプレス(140℃、7.35MPa)により接合した。
【0070】
次に、カソード側の触媒層の表面全面に、300μlの(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン(チッソ(株)製)の溶液(フッ素溶媒)を均一に滴下した。次いで、カソード側の触媒層の表面に拡散層を重ね、ホットプレス(140℃、7.35MPa)を行い、拡散層の接合と同時に、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシランの縮合を行った。得られた膜電極接合体の両側を、反応ガス流路を備えたセパレータで狭持し、固体高分子型燃料電池を得た。
【0071】
(比較例1)
カソード側の触媒層表面に、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシランの滴下を行わなかった以外は、実施例1と同一の手順に従い、固体高分子型燃料電池を作製した。
【0072】
実施例1及び比較例1で得られた固体高分子型燃料電池を用いて、カソード及びアノードから排出される水分量を計測するトラップ実験を行った。トラップ実験の条件は、燃料ガス及び酸化剤ガスとして、それぞれ、水素及び空気を用い、両極無加湿、セル温度80℃、電流密度0.5A/cm、燃料過剰率2、空気過剰率1.77とした。この条件下で3時間の連続運転を行い、その間にカソード側及びアノード側から排出された水分量を計測した。結果を表1に示す。また、トラップ実験中にセルの電圧及び抵抗を逐次計測し、その平均値を求めた。結果を表2に示す。
【0073】
【表1】
Figure 0004714990
【0074】
【表2】
Figure 0004714990
【0075】
表1より、カソード側の触媒層表面に撥水層を形成した実施例1の方が、水の総排出量に対するカソード側からの排出水量の割合が少ないことがわかる。これは、カソード側の触媒層内電解質の表面に撥水層を形成することによって、カソード側から気相側への生成水の排出が抑制され、カソード側から排出されなかった生成水がアノード側へより多く拡散したためである。
【0076】
また、表2より、実施例1の方が、電圧が高く、かつ、抵抗が小さいことがわかる。これは、カソード側の撥水層によって酸素の拡散が阻害されず、しかも、カソード側から排出されなかった生成水の一部が固体高分子電解質膜の加湿に再利用され、固体高分子電解質膜が適切な含水状態に維持されたためである。
【0077】
次に、実施例1及び比較例1で得られた燃料電池を用いて、セル温度の異なる条件下で無加湿転を行い、電圧と抵抗の変化を調べた。なお、運転条件は、燃料ガス及び酸化剤ガスとして、それぞれ、水素及び空気を用い、両極無加湿、電流密度0.5A/cm、燃料過剰率1.2、空気過剰率1.77とした。また、セル温度は、30分間隔で2.5℃ずつ上昇させた。図2に、セル温度と電圧の関係を示す。また、図3に、セル温度と抵抗の関係を示す。
【0078】
比較例1の場合、セル温度を80℃とすると、両極無加湿の条件下でも安定して発電することができた。しかしながら、セル温度を82.5℃に上昇させると、急激に抵抗が増大し、出力電圧が得られなくなった。これに対し、実施例1の場合、セル温度の上昇に伴い、抵抗が増大し、かつ、電圧は低下したが、セル温度を87.5℃まで上昇させても約0.4Vの電圧が安定して得られた。
【0079】
以上の結果から、カソード側の触媒層内電解質の気相側表面に撥水層を形成すると、外部加湿なしの無加湿条件下でも、生成水によって固体高分子電解質膜が適正な含水状態に維持され、安定かつ高い電池性能が得られることがわかった。また、セル温度の高い条件下においても、固体高分子電解質膜の含水率を適正な水準に維持できることがわかった。
【0080】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【0081】
例えば、上記実施の形態では、固体高分子電解質膜として陽イオン交換型の電解質を用いた例について説明したが、陰イオン交換型の電解質を固体高分子電解質膜として用いても良い。また、本発明による電解質の無加湿化の手法は、特に、固体高分子型燃料電池に対して好適であるが、本発明の手法は、電解質の水管理が必須である他の種類の燃料電池(例えば、リン酸型燃料電池、アルカリ型燃料電池等)に対しても同様に適用することができる。
【0082】
【発明の効果】
本発明は、固体高分子電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体を備えた固体高分子型燃料電池において、前記電極の少なくとも一方は、触媒又は担体に担持された触媒と触媒層内電解質とを含む触媒層を備え、前記触媒層内電解質の気相側表面が反応ガス透過性を有する撥水層で被覆されているので、補機による加湿のない無加湿条件下においても固体高分子電解質膜が適切な含水状態に維持され、高い出力が安定して得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る固体高分子型燃料電池の空気極側の拡大断面図である。
【図2】 無加湿条件下におけるセル温度と電圧の関係を示す図である。
【図3】 無加湿条件下におけるセル温度と抵抗の関係を示す図である。
【符号の説明】
10 膜電極接合体
20 固体高分子電解質膜
30 カソード
32 拡散層
34 触媒層
36 担体
38 触媒
40 触媒層内電解質
42 撥水層

Claims (5)

  1. 固体高分子電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体を備えた固体高分子型燃料電池において、
    前記膜電極接合体の少なくとも一方の電極は、触媒又は担体に担持された触媒と触媒層内電解質とを含む触媒層、および、該触媒層より気相側に設けられる拡散層を備え、
    前記触媒層内電解質の気相側表面が反応性ガス透過性を有する撥水層で被覆されており、
    該撥水層は、前記触媒層内電解質の気相側表面に直接一体的に形成されていることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
  2. 前記撥水層は、前記触媒層内電解質の気相側表面に疎水性メタロキサン前駆体を含む溶液により被覆し、該疎水性メタロキサン前駆体を重縮合させることにより得られる重縮合体層である請求項1に記載の固体高分子型燃料電池。
  3. 前記撥水層は、前記触媒層内電解質の気相側表面にあるイオン交換基と塩基とを酸塩基反応させることにより得られる塩基層である請求項1に記載の固体高分子型燃料電池。
  4. 前記撥水層は、気相を介して、前記触媒層内電解質の気相側表面に反応ガス透過性を有する撥水性材料を析出させることにより得られる析出層である請求項1に記載の固体高分子型燃料電池。
  5. 前記撥水層は、前記触媒層内電解質として主鎖の末端や側鎖に疎水セグメントが結合しているものを用い、該疎水セグメントを前記触媒層の気相側表面に偏在させることにより得られる偏在層である請求項1に記載の固体高分子型燃料電池。
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