JP4713198B2 - 透湿性包装用フィルム、透湿性包装用袋、及び透湿性包装体 - Google Patents
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Description
更に詳しくは、飲食品、医薬品、化粧品等の内容物を包装しても、内容物自身から蒸散される水蒸気によってフィルムの内部表面で結露することなく、余分な水蒸気を外部に放出可能であり、外部からの異物混入を防止し、内容物の外観、衛生性、品質保持性に優れ、更に、電子レンジで内容物を収納した状態の袋を加熱しても、袋が破裂を起こさず、速やかに水蒸気が排出される透湿性フィルム、透湿性包装用袋、及び透湿性包装体に関する。
そして、これらの包装用材料は、通常、その最内層にシーラント層を設け、当該シーラント層を対向させて重ね合わせ、その周辺端部をヒ−トシ−ルして、種々の形態の包装用袋を製造し、そして、当該包装用袋の開口部から、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、洗剤、化学品、雑貨品、その他等の種々の内容物を充填包装して、各種の包装袋を製造しているものである。
中でも、微生物、植物等の培養用培地の包装分野において、通常、滅菌した寒天培地を無菌状態で分注したシャーレをプラスチック製袋に収納して密封した状態で市販されているものである。上記の市販されているプラスチック製袋は、通常、基材フィルムであるニ軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、シーラント層である未延伸ポリプロピレンフィルムとを貼り合わせた積層フィルムから構成されている。例えば、従来の培養用培地の包装袋としては、延伸ポリプロピレンとポリエチレンの積層フィルムを使用したプラスチック製袋が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、青果物の包装分野において、フィルムで作った包装袋に例えば青果物を個包装し、密封すると、それ自身から蒸散される水蒸気を外部に十分に放出することができないため、袋の内面で結露を生じてしまい、そのまま長時間保存しておくと、その部分から傷んでしまうという問題があった。
また、従来のプラスチック製袋では、例えば、調理済み加工食品を収納し、密封状態で、電子レンジで加熱すると、加熱により内容物から発生する水蒸気により袋内の内圧が上昇し、ついには破裂し、内容物が電子レンジ庫内に飛散してしまうという問題点がある。
このことから、調理済み加工食品を電子レンジで加熱する前に、包装袋の一部に鋏で穴を開けて、通気口を形成した電子レンジ用包装袋がある(例えば、特許文献2参照)。
また、従来の通気性袋として、内面に熱接着性膜を有する包材の両端縁の接合部の内面にフィルターテープ(滅菌紙)を熱接着してなる構造のものがある(例えば、特許文献3参照)。
このようなことから、従来、シャーレの表面に結露を生じた寒天培地を使用する際、寒天培地を分注したシャーレをプラスチック製袋から取り出し、クリーンベンチ内にシャーレの蓋を開けた状態で寒天培地を分注したシャーレを放置して、乾燥させることが一般的に行われている。
しかしながら、前者の包装形態では、クリーンベンチ内で乾燥中に、寒天培地を分注したシャーレに空気中に浮遊する微生物や塵等の異物が混入するおそれがあり、コンタミの原因となり、食品中の大腸菌等の細菌の有無を検出する検体数が多いと、シャーレの取り扱いに手間取り、作業効率が低下してしまい、また、長期間、結露を生じた状態で寒天培地を分注したシャーレを保管しておくと、腐敗してしまう可能性が高まるという問題点がある。
また、従来のブラスチック袋に最初から1〜3mm程度の穴を多数開けた袋を使用すると、流通過程において、多数の穴の部分から、細菌が混入する恐れがある。
また、本発明の透湿性包装用袋は、外部からの異物混入を防止し、衛生性、外観、フィルム強度、シール強度、生産性、コスト面に優れ、飲食品、医薬品、化粧品等の内容物の鮮度維持、保存性に優れるものである。
また、飲食品、医薬品等の内容物を収納した状態で、電子レンジで加熱しても、袋が破裂を起こさず、速やかに水蒸気が排出される優れるものである。
図1は、本発明に係る透湿性包装用フィルムの断面図であり、図2は、本発明に係る透湿性包装用フィルムの製造工程の一部を示す概略図であり、図3は、本発明に係る透湿性包装用フィルムの袋体の状態を示す斜視図であり、図4は、本発明に係る透湿性包装用袋に内容物を収納した包装体の外観斜視図である。
上記の透湿性基材フィルム10は、水蒸気は透過することが必要であり、40℃、90%RHでの水蒸気透過量、100g/m2・24hr以上であることが必要である。
上記の水蒸気透過量が、100g/m2・24hr未満であると、内容物自身から蒸散される余分な水蒸気を外部へ放出する量が不十分となるので好ましくない。
上記の透湿性基材フィルム2としては、具体的に、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリル酸塩、N−メトキシ−6−ナイロン、ポオリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、セロハン等の樹脂をフィルム化したシートを使用できる。
本発明において、中でも、ナイロンフィルム、またはアクリル樹脂コートセロハンフィルムを使用することが、水蒸気透過量、包装袋に必要なフィルム強度に優れるのでより好ましい。
上記の透湿性基材フィルム2の厚みは、5μm 〜100μm 程度のものを使用することができる。5μm未満であると、包装袋用のフィルムとしての強度が低下してしまうため、好ましくなく、また、100μmを超えると、透湿度が低下してしまうため、好ましくない。
また、上記の熱可塑性樹脂は、透湿性基材フィルムの片面に間欠的に形成することによって、透湿性とヒートシール性に優れる透湿性包装袋を製造することができる。
上記の熱可塑性樹脂としては、加熱によって溶融し相互に融着し得るヒ−トシ−ル性を有し、押出機等により溶融押出て形成する樹脂であればよく、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン・αオレフィンとの共重合体樹脂、エチレン・ポリプロピレン共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸エチル共重合体樹脂、エチレン・メタクリル酸共重合体樹脂、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体樹脂、エチレン・マレイン酸共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体をグラフト重合、または、共重合した樹脂、無水マレイン酸をポリオレフィン樹脂にグラフト変性した樹脂等を一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。
基材フィルムの露出面積が10%未満であると、袋内の内容物から蒸発した水蒸気が透湿するのに必要な透過量が得られないので好ましくなく、また、基材フィルムの露出面積が80%未満であると、包装袋に必要なシール強度が得られないため、好ましくない。
ここで、基材フィルムの露出面積が80%もある場合、熱可塑性樹脂4の厚みを増やすことで、ヒートシール圧力を上げるか、ヒートシール温度を上げるが、時間を長くすることで、シールバーに挟まれた熱可塑性樹脂4が潰れて横に広がり、使用可能なシール強度を得ることが可能となる。
次に、本発明に係る透湿性包装用フィルム10において、所定の水蒸気透過量となるように、基材フィルム自体の透湿度と、熱可塑性樹脂4自体の透湿度と、透湿性基材フィルム2の露出面積とから直線状の熱可塑性樹脂4の厚さと幅と間隔を必要に応じて任意に選定することが可能である。
具体的に、例えば、40℃、90%RHにおいて、100g/m2・24hr以上の水蒸気透過量とするためには、例えば、厚み25μmにおける水蒸気透過度が20g/(m2・24h)の熱可塑性樹脂と、水蒸気透過度、300g/(m2・24h)の透湿性基材フィルム(厚み15μm)とを使用する場合、厚さ5μm〜100μm、幅、0.5mm〜3mmの直線状の熱可塑性樹脂を、平行に0.5mm〜10mmの間隔をあけて多数形成されることが好ましい。
また、本発明に係る透湿性包装用フィルム10のヒートシール強度は、3N/15mm〜100N/15mmの範囲にあることが包装袋として使用するために必要なシール強度であり、6N/15mm〜60N/15mm程度が好ましい。
具体的に、例えば、上記の透湿性基材フィルム2の水蒸気透過度、300g/(m2・24h)の片面に、上記の押出し熱可塑性樹脂として、厚み25μmのポリエチレン樹脂4において水蒸気透過度、20g/(m2・24h)であるポリエチレン樹脂を用いて、厚み、50μm、線状押し出し巾、2mmを形成し、
(1)線状押し出しポリエチレン樹脂層4の間隔が1mmの場合、透湿性包装用フィルム10の水蒸気透過度は、110g/(m2・24h)であり、
(2)線状押し出しポリエチレン樹脂層4の間隔が2mmの場合、透湿性包装用フィルム10の水蒸気透過度は、160g/(m2・24h)であり、
(3)線状押し出しポリエチレン樹脂層4の間隔が4mmの場合、透湿性包装用フィルム10の水蒸気透過度は、200g/(m2・24h)である。
このことによって、内容物自身から蒸散される水蒸気によってフィルムの内部表面で結露することなく、余分な水蒸気を外部に放出可能であり、かつ、内容物が乾燥しすぎるのを防ぐことができるという利点がある。
アンカーコート剤としては、衛生面において問題なければ、特に限定されないが、具体的には、例えば、有機チタン系アンカーコーティング剤、イソシアネート系アンカーコーティング剤、ポリエチレンイミン系アンカーコーティング剤、ポリブタジェン系アンカーコーティング剤等を使用することができる。
中でも、ポリエチレンイミン系アンカーコーティング剤を使用することが好ましい。このことによって、熱可塑性樹脂層の非形成部分に、アンカーコーティング剤の形成部分の表面が露出する部分においても、巻取後にブロッキングすることがなく、またポリエチレン系樹脂と、強度は低いが、ヒートシール性があるため、好ましい。
そして、本発明においては、上記のようなアンカーコーティング剤を使用して、例えば、グラビアコート、ロールコート等の通常のコーティング法でコーティングしてプライマー層を形成することができる。また、そのコート量としては、0.5g/m2〜5g/m2 位が好ましい。
また、このようなの当該透湿性基材フィルム2の当該熱可塑性樹脂を形成する面側には、熱可塑性樹脂との接着力を高めるために、予め、コロナ放電処理を施してもよい。
図2は、本発明に係る透湿性包装用フィルム10の製造工程の一部を示す概略図である。
図2に示すように、透湿性基材フィルム2の巻取りの片面に熱可塑性合成樹脂4の溶融押出によって直線状に多数平行に形成してなる透湿性包装用フィルム10が連続的に供給される。
透湿性包装用フィルム10は、透湿性基材フィルム2を冷却ロール16に当接し、冷却ロール16の上方に設置された押出機14として、巻取りの供給方向と交差する方向に一列にTダイの多数のノズルから溶融押出しされることによって形成される。
また、長く平行に延びた熱可塑性合成樹脂4によって囲まれた部分は、透湿性基材フィルム2が露出している。その後、透湿性包装用フィルム10は、巻取機により巻き取られ、透湿性包装用フィルム10が製造できる。
図3に示すように、前記の透湿性包装用フィルムの袋体20は、前記の透湿性包装用フィルムをその熱可塑性樹脂層の形成面を内側にして折返し、熱可塑性樹脂層の重なり部である背シール部8と底シール部8をヒートシールしてなる。
この熱可塑性樹脂層は直線状に多数平行に形成してなるため、透湿性基材フィルムの表面が一定間隔で露出して構成されているため、包装袋の内容物自身から蒸散される水蒸気によってフィルムの内部表面で結露することなく、余分な水蒸気を外部に放出可能であり、かつ、内容物が乾燥しすぎるのを防ぐことができる。
例えば、包装容器が、四方シ−ル形以外に、側面シ−ル形、二方シ−ル形、三方シ−ル形、封筒貼りシ−ル形、中央合掌シ−ル形(ピロ−シ−ル形)、ひだ付きシ−ル形、平底シ−ル形、または、角底シ−ル形のいずれかのシ−ル形からなる袋であってもよい。
図4に示すように、本発明に係る透湿性包装用袋は、青菜、茸等の生鮮食料品、加工食品等の含水食品、電子レンジによる加熱調理用食品、微生物、植物等の培養用培地、医薬品等を内容物Mとして収納することにより、内容物M自身から蒸散される水蒸気によってフィルムの内部表面で結露することなく、余分な水蒸気を外部に放出可能であり、かつ、内容物Mが乾燥しすぎるのを防ぐことが可能であり、内容物Mの衛生性、外観、フィルム強度、シール強度に優れるため、流通適性に優れ、内容物Mの保存・解凍・鮮度保持等の適性に優れ、更には電子レンジによる加熱調理の用途に用いることができる優れるものである。
透湿性基材フィルム2として、厚み15μm のナイロンフィルム(製品名「N4142」、東洋紡績株式会社製)を使用し、その片面に、熱可塑性樹脂4として、ポリエチレン樹脂(製品名「LC604」、日本ポリエチレン株式会社製)を用いて、Tダイの多数のノズルから、直線状に厚さ50μm、幅、1mmを有し、平行に2mm間隔で線状に形成して、本発明に係る透湿性包装用フィルム10を製造した。
一方、内容物Mとして、直径90mm、高さ14mmのポリスチレン製シャーレに普通寒天培地(栄研化学株式会社製)を調製、分注したものを用いた。
しかる後、内容物Mである上記の普通寒天培地を分注し、倒置したシャーレを10枚重ねた状態で、上記で得られた本発明に係る透湿性包装用袋(ピロー袋)6の開口部から収納し、しかる後、袋開口部に10mm巾のシール部をヒートシールして密封し、本発明に係る透湿性包装体30を作製した。
上記で得られた包装体30を庫内温度約3℃の冷蔵庫中に1週間保存した。
その結果、内容物M自身から蒸散される水蒸気によってフィルムの内部表面で結露することなく、また、内容物Mが乾燥しすぎることなく、余分な水蒸気を外部に放出可能であった。
また、本発明に係る透湿性包装体30は、外部からの異物混入を防止し、衛生性、外観、フィルム強度、シール強度、生産性、コスト面に優れ、内容物である普通寒天培地の鮮度維持、保存性に優れるものであった。
また、内容物Mとして、キャベツの千切り(100g)を用い、実施例1と同様にして、透湿性包装用袋(ピロー袋)20の開口部6から収納し、しかる後、袋開口部に10mm巾のヒートシールして密封し、本発明に係る透湿性包装体30を作製した。
上記で得られた包装体を庫内温度約3℃の冷蔵庫中に1週間保存した。
その結果、内容物M自身から蒸散される水蒸気によってフィルムの内部表面で結露することなく、また、内容物Mが乾燥しすぎることなく、余分な水蒸気を外部に放出可能であった。
また、本発明に係る透湿性包装体30は、外部からの異物混入を防止し、衛生性、外観、フィルム強度、シール強度、生産性、コスト面に優れ、内容物である青果物の鮮度維持、保存性に優れるものであった。
また、内容物Mとして、笹蒲鉾(1枚)を用い、実施例1と同様にして、透湿性包装用袋(ピロー袋)の開口部から収納し、しかる後、袋の開口部6に10mm巾のヒートシールして密封し、本発明に係る透湿性包装体30を作製した。
しかる後、上記で得られた包装体30を庫内温度約3℃の冷蔵庫中に1週間保存した。
その結果、内容物M自身から蒸散される水蒸気によってフィルムの内部表面で結露することなく、また、内容物Mが乾燥しすぎることなく、余分な水蒸気を外部に放出可能であった。
また、本発明に係る透湿性包装体30は、外部からの異物混入を防止し、衛生性、外観、フィルム強度、シール強度、生産性、コスト面に優れ、内容物である魚肉練り製品の鮮度維持、保存性に優れるものであった。
しかる後、実施例2と同様にして、透湿性包装用袋(ピロー袋)20を作製し、実施例2と同じ内容物であるキャベツ(100g)を袋の開口部から収納し、しかる後、袋開口部に10mm巾のヒートシールして密封し、実施例4の透湿性包装体を作製した。
その結果、内容物自身から蒸散される水蒸気によってフィルムの内部表面で結露することなく、余分な水蒸気を外部に放出可能であり、実施例1の包装用袋20と比較して、内容物が乾燥しすぎるのを防ぐことが可能であり、外部からの異物混入を防止し、衛生性、外観、フィルム強度、シール強度、生産性、コスト面に優れ、内容物であるキャベツの鮮度維持、保存性に優れるものであった。
透湿性基材フィルムとして、厚み22μmの両面塩化ビニリデンコーティングセロハンフィルム(製品名「G3」、フタムラ株式会社製)を使用した。
なお、上記で得られた比較例1の両面塩化ビニリデンコーティングセロハンフィルムの水蒸気透過度を測定の結果を表1に示す。
しかる後、上記の両面塩化ビニリデンコーティングセロハンフィルムを使用して、実施例1と同様にして、縦280mm、横360mmに切り取り、ヒートシール巾10mmの背シールと底シールをヒートシールして、縦280mm、横170mmの本発明に係る比較例1の包装用袋(ピロー袋)を作製した。
しかる後、内容物として、実施例1と同様に、上記の普通寒天培地を分注したシャーレを10枚重ねた状態で、上記で得られた比較例1に係る包装用袋(ピロー袋)の開口部から収納し、しかる後、袋開口部に10mm巾のヒートシールして密封し、比較例1に係る包装体を作製した。
しかる後、実施例1と同様にして、上記で得られた包装体を庫内温度約3℃の冷蔵庫中に1週間保存した。
その結果、内容物自身から蒸散される水蒸気によって包装用袋の内部表面で結露を生じ、シャーレ外面にも水滴が付着しており、余分な水蒸気を包装用袋の外部に放出できていないことがわかった。
透湿性基材フィルムとして、厚み22μm の両面塩化ビニリデンコーティングセロハンフィルム(製品名「G3」、フタムラ株式会社製)を使用し、その片面に、熱可塑性樹脂として、ポリエチレン樹脂(製品名「LC604」、日本ポリエチレン株式会社製)を用いて、Tダイの多数のノズルから、直線状に厚さ50μm、幅、1mmを有し、平行に5mm間隔で線状に形成して、比較例2に係る透湿性包装用フィルムを製造した。
しかる後、実施例1と同様にして、包装用袋(ピロー袋)を作製し、実施例1と同じ内容物である上記の普通寒天培地を分注したシャーレを10枚重ねて倒置した状態で、袋の開口部から収納し、しかる後、袋開口部に10mm巾のヒートシールして密封し、比較例2に係る包装体を作製した。
しかる後、実施例1と同様にして、上記で得られた包装体を庫内温度約3℃の冷蔵庫中に1週間保存した。
その結果、内容物自身から蒸散される水蒸気によって包装用袋の内部表面で結露を生じ、シャーレ外面にも水滴が付着しており、余分な水蒸気を包装用袋の外部に放出できていないことがわかった。
透湿性基材フィルムとして、厚み20μm のプレーンセロハンフィルム(製品名「PLP」、フタムラ株式会社製)を使用し、その片面に、熱可塑性樹脂として、ポリエチレン樹脂(製品名「LC604」、日本ポリエチレン株式会社製)を用いて、Tダイの多数のノズルから、直線状に厚さ50μm、幅、2mmを有し、平行に5mm間隔で線状に形成して、比較例3に係る包装用フィルムを製造した。
しかる後、実施例1と同様にして、包装用袋(ピロー袋)を作製した。
その結果、乾燥状態では問題無かったが、内容物自身から蒸散される水蒸気によって包装用袋の内部表面で結露を生じ、プレーンセロハンが吸湿すると、線状に形成したポリエチレン樹脂層と、吸湿したプレーンセロハンフィルムとの密着性が悪く、充分なヒートシール強度が得られず、自然にシール部が剥離してしまう状況が発生した。
実施例1〜4、比較例1〜3の透湿性包装用フィルムについて、水蒸気透過度、ヒートシール強度について次のようにして評価した。評価結果は表1にまとめて示す。
上記で得られた透湿性包装用フィルムの水蒸気透過度を測定の結果を表1に示す。
すなわち、上記の透湿性包装用フィルム10は、透湿性基材フィルム2の片面に熱可塑性樹脂4として、ポリエチレン樹脂製品名(「LC604」、日本ポリエチレン株式会社製)を用いて、Tダイの多数のノズルから、直線状に厚さ25μm、幅、1mmを有し、平行に2mm間隔で線状に形成したものである。
水蒸気透過度の測定方法は、JIS Z0208(防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法))に基いて温度40℃、相対湿度90%RHにて測定したものである。
なお、透湿性基材フィルム層の単独の水蒸気透過度、および熱可塑性樹脂層の単独膜の水蒸気透過度は、次の通りである。
(1)透湿性基材フィルム層の水蒸気透過度
A.ナイロンフィルム(製品名:N4142)
厚み:15μm、水蒸気透過度: 310(g/m2・24h)
B.アクリル樹脂コートセロハンフィルム(製品名:AZ1)
厚み:22μm、水蒸気透過度: 130(g/m2・24h)
C.塩化ビニリデンコーティングセロハンフィルム(製品名:G3)
厚み:22μm、水蒸気透過度: 30(g/m2・24h)
D.プレーンセロハンフィルム(製品名:PLP)
厚み:20μm、水蒸気透過度:5,000(g/m2・24h)
(2)熱可塑性樹脂層4の水蒸気透過度
A. ポリエチレン樹脂(製品名:LC604)
厚み、50μm、水蒸気透過度: 10(g/m2・24h)
しかし、比較例1〜3では、これら全ての性能を満たすものはなかった。
すなわち、比較例1〜2では、水蒸気透過度が100g/m2・24hr未満であるため、内容物自身から蒸散される水蒸気によってフィルムの内部表面で結露してしまうため、好ましくなかった。
また、比較例3では、基材フィルムが吸湿した状態のヒートシール強度が、1N/15mm未満であり、基材フィルムと、直線状に多数平行に形成してなる熱可塑性樹脂とが層間剥離してしまい、包装袋としての使用に耐えられないものであった。
4 熱可塑性樹脂
6 開口部
8 ヒートシール部
10 透湿性包装用フィルム
12、12´ 巻取り
14 押出機
16 冷却ロール
18 ニップロール
20 透湿性包装袋
30 透湿性包装体
M 内容物
Claims (5)
- 透湿性基材フィルムの片側にアンカーコート層を形成し、更に当該アンカーコート層の形成面に熱可塑性樹脂を直線状に多数平行に形成してなるフィルムであって、かつ、当該フィルム全体の40℃、90%RHでの水蒸気透過量が、100g/m2・24hr以上であり、かつ、前記の透湿性基材フィルムが、ナイロンフィルム、またはアクリル樹脂コートセロハンフィルムであり、かつ、前記の熱可塑性樹脂が、ポリエチレン系樹脂であり、かつ、前記のアンカーコート層が、ポリエチレン系樹脂とヒートシール可能な樹脂からなることを特徴とする透湿性包装用フィルム。
- 前記の熱可塑性樹脂が、厚さが、5μm〜50μmであり、0.5mm〜10mmの間隔をあけて形成されていることを特徴とする請求項1記載の透湿性包装用フィルム。
- 前記の熱可塑性樹脂が、間歇的に溶融押出されて形成されることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の透湿性包装用フィルム。
- 請求項1〜3に記載の透湿性包装用フィルムを用い、当該熱可塑性樹脂の形成面が内側になるように開口部を残して少なくとも3方が閉じられた袋状に形成されることを特徴とする透湿性包装用袋。
- 請求項4の透湿性包装用袋の開口部より、寒天培地が収容されたシャーレを収納し、当該開口部を熱シールして密封することを特徴とする透湿性包装体。
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