JP4712418B2 - オレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法およびオレフィン類重合用触媒並びにこれを用いたオレフィン類重合体又は共重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法およびオレフィン類重合用触媒並びにこれを用いたオレフィン類重合体又は共重合体の製造方法 Download PDF

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本発明は、粒径 45μm 以下の微粉ポリマーが殆ど存在しないポリオレフィンを高収率下に得るオレフィン類重合用固体触媒成分およびオレフィン類重合用触媒並びにこれを用いたオレフィン類重合体又は共重合体の製造方法に関するものである。
従来、オレフィン類の重合においては、マグネシウム、チタン、電子供与性化合物及びハロゲンを必須成分として含有するオレフィン類重合用固体触媒成分が数多く提案されている。
例えば、特許文献1(特開平1−315406号公報)においては、ジエトキシマグネシウムとアルキルベンゼンとで形成された懸濁液に、四塩化チタンを接触させ、次いでフタル酸ジクロライドを加えて反応させることによって固体生成物を得、該固体生成物を更にアルキルベンゼンの存在下で四塩化チタンと接触反応させることによって調製された固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物および有機ケイ素化合物より成るオレフィン類重合用触媒と該触媒の存在下でのオレフィンの重合方法が提案されている。
上記の各従来技術は、その目的が生成重合体中に残留する塩素やチタン等の触媒残渣を除去する所謂、脱灰工程を省略し得る程の高活性を有するとともに、併せて立体規則性重合体の収率の向上や、重合時の触媒活性の持続性を高めることに注力したものであり、それぞれ優れた成果を上げているが、この種の高活性型触媒成分と有機アルミニウム化合物およびケイ素化合物に代表される電子供与性化合物とからなる組成の重合用触媒を用いてオレフィン類の重合を行うと、固体触媒成分自体の微粉および重合した際の反応熱による粒子破壊のため、生成重合体中に微粉が多く含まれ、粒度分布もブロード化する傾向があった。微粉重合体が多くなると、均一な反応の継続を妨げ、重合体移送時における配管の閉塞をもたらす等のプロセス障害の原因となり、また粒度分布が広くなると結果的に重合体の成形加工にまで好ましくない影響を及ぼすため、微粉重合体が可及的に少なく、かつ均一粒径で粒度分布の狭い重合体を希求する要因となっていた。
この問題を解決する方法として、特許文献2(特開平6−287225号公報)においては、球状のジアルコキシマグネシウム、芳香族炭化水素化合物およびフタル酸ジエステルとの懸濁液を、芳香族炭化水素化合物と四塩化チタンとの混合溶液に加えて反応させ、得られた反応生成物を芳香族炭化水素化合物で洗浄し、再度四塩化チタンと反応させて得られた固体成分を乾燥させ、微粉除去処理行程を経て得られるオレフィン類重合用固体触媒成分が提案されている。
一方、従来技術として、塩化マグネシウムやジエトキシマグネシウムなどのマグネシウム化合物を、アルコキチタン化合物で全て溶解して均一溶液を形成し、その後析出させて固体触媒成分を調製する方法が知られている。例えば特許文献3(特開昭62−18405号公報)には、チタンのアルコキシ化合物、ジアルコキシマグネシウム、芳香族ジカルボン酸のジエステル、ハロゲン化炭化水素化合物、特定式で表されるチタンハロゲン化物を接触させて得られ、特定式で表されるケイ素化合物および有機アルミニウム化合物と組み合わせて用いられるオレフィン類重合用触媒成分が提案されている。また、特許文献4(特開平3−72503号公報)には、特定式で表されるマグネシウム化合物、テトラアルキルチタン化合物、および特定式で表されるケイ素化合物を加熱反応させ、ついで該反応生成物を特定式で表されるハロゲン含有チタン化合物および特定式で表される電子供与性化合物で処理することによって得られるオレフィン類重合用固体触媒成分が開示されている。
しかしながら、これらの従来方法は、いずれも、マグネシウム化合物をアルコキシチタン化合物によって溶解し、次いで固体触媒成分を析出させる調製方法であるため、マグネシウム化合物の溶液から固体を析出させる工程が煩雑である。また、固体触媒成分の調製方法において多量のアルコキシチタン化合物を用いるため、析出した固体中にアルコキシチタン化合物が残存し活性などの性能が著しく低下してしまうという問題があった。
上記の提案においては、固体触媒成分自体の微粉を除去して得られる触媒成分を用いることにより、生成重合体中の粒径で45〜200μm領域の微粉量をある程度低減させるという効果は認められるものの、特にマイクロファインと呼ばれる、粒径で45μm以下の領域に属する超微粉重合体の発生については依然として未解決課題として残されていた。こうした超微粉重合体は、重合プロセスの連続運転においてはポリマー回収工程やガスリサイクル系におけるフィルターの閉塞や、系内ベッセルおよび配管内への蓄積等の問題を引き起こし、プラント設備機器のメンテナンスやプラント一時停止に伴う生産機会の喪失によるコスト増を招き、深刻な問題として認識されていた。こうした工業的見地から、超微粉発生量が大幅に低減された重合体を得ることができる触媒が強く望まれている。
特許文献5(特開2004-269467号公報)、特許文献6(特開2004-269808号公報)、特許文献7(特開2004-269809号公報)においては、超微粉重合体に言及し、固体触媒製造工程中で界面活性剤を使用することにより超微粉重合体発生の要因となる固体触媒微粒子を母粒子から選択的に除去する方法が提案されている。これらの提案は、固体触媒成分の母粒子に静電的に付着する超微粉体の除去にはある程度効果があることが記述されている。しかしながら、特に、有機アルミニウムとの接触反応や重合条件を工業的に適用され得る範囲に設定した際には、固体触媒成分と有機アルミニウムの接触反応時、さらにはオレフィン類との重合過程、とりわけ重合初期の発熱反応時における固体触媒成分粒子の壊れが甚だ顕著となり、固体触媒成分粒子表面の物理的また化学的安定性に関しては充分というレベルには程遠く、抜本的に改善する必要があった。
また、従来、ジエトキシマグネシウムなどのジアルコキシマグネシウムを原料とした重合用固体触媒成分の調製は、四塩化チタンなどのチタンハロゲン化物によりジアルコキシマグネシウムをハロゲン化する方法であるが、そのハロゲン化反応の際用いるチタンハロゲン化物は、ジアルコキシマグネシウムが全て二塩化マグネシウムに変換されるように過剰に添加する方法が採られている。
特開平1−315406号公報(特許請求の範囲) 特開平6−287225号公報(特許請求の範囲) 特開昭62−18405号公報(特許請求の範囲) 特開平3−72503号公報(特許請求の範囲) 特開2004−269467号公報(特許請求の範囲) 特開2004−269808号公報(特許請求の範囲) 特開2004−269809号公報(特許請求の範囲)
すなわち、本発明の目的は、オレフィン類の重合に供した際、ポリマーの収率を高度に維持しながら、特に45μm以下の超微粉重合体が充分に低減された重合体を得ることができるオレフィン類重合用固体触媒成分および触媒並びにこれを用いたオレフィン類重合体又は共重合体の製造方法を提供することにある。
かかる実情において本発明者は鋭意検討を重ねた結果、(1)超微粉重合体発生量を抑制するためには、固体触媒調製工程において原料のマグネシウム化合物から固体触媒成分を形成する際に生成する微粒子を極力抑えると同時に、固体触媒成分となる粒子の表面強度や安定性を向上させることが重要であること、(2)ジエトキシマグネシウムのハロゲン化反応を、最初は反応当量未満の四塩化チタンを接触させ部分的にハロゲン化し、その後完全にハロゲン化する方法によれば、部分的ハロゲン化により反応熱を抑制し、粒子破壊を抑制でき、最終的に得られる固体触媒成分の微粉を低減できること等を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ジアルコキシマグネシウム(a)を、界面活性成分(b)を添加した不活性有機溶媒(c)に懸濁させ、該懸濁液と該マグネシウム化合物(a)1モルに対して、0.3モル以下のハロゲン化剤(d)を接触させ固体物を得た後、次いで該固体物にチタンハロゲン化合物(e)を接触させることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、(A)上記方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分、
(B)下記一般式(3);R AlQ3−p (3)
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3の実数である。)で表される有機アルミニウム化合物から形成されることを特徴とするオレフィン類重合用触媒を提供するものである。
また、本発明は、上記のオレフィン類重合用固体触媒の存在下に行うことを特徴とするオレフィン類重合体又は共重合体の製造方法を提供するものである。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分を用いて調製した触媒は、ポリマーの収率を高度に維持しながら、特に45μm以下の微粉が極めて少ない重合体を得ることができる。従って、汎用ポリオレフィンを、低コストで提供し得る。
本発明の固体触媒成分(A)(以下、単に「成分(A)」ということがある。)は、先ず第1工程(以下、「第1工程」ということがある。)として、マグネシウム化合物(a)(以下、単に「成分(a)」ということがある。)に、界面活性成分(b)(以下、単に「成分(b)」ということがある。)を含有する常温で液体の不活性有機溶媒(c)(以下、単に「成分(c)」ということがある。)の存在下、該マグネシウム化合物(a)1モルに対して、0.3モル以下のハロゲン化剤(d)(以下、単に「成分(d)」ということがある。)を接触させ固体物を得る。
本発明において用いられるマグネシウム化合物(a)としては、ジハロゲン化マグネシウム、ジアルキルマグネシウム、ハロゲン化アルキルマグネシウム、ジアルコキシマグネシウム、ジアリールオキシマグネシウム、ハロゲン化アルコキシマグネシウムあるいは脂肪酸マグネシウム等が挙げられる。これらのマグネシウム化合物の中、下記一般式 (1);
Mg (OR2-n (1)
(式中Xはハロゲン原子、Rはアルキル基を示し、nは0≦n<2である。)で表される固体状のアルコキシ含有マグネシウム化合物が好ましく用いられる。上記一般式(1)中、Rのアルキル基としては、炭素数1〜8の直鎖状または分岐鎖状アルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルペンチル基、イソオクチル基、2,2−ジメチルヘキシル基である。また、Xのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、好ましくは塩素原子である。成分(a)の具体的は化合物としては、ジメトキシマグネシウム、メトキシクロロマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、エトキシマグネシウムクロライド、ジプロポキシマグネシウム、プロポキシマグネシウムクロライド、ジブトキシマグネシウム、ブトキシマグネシウムクロライド、ジフェノキシマグネシウム、フェノキシマグネシウムクロライド等が挙げられ、これらの混合物を使用することも可能である。これらの中でもジエトキシマグネシウムおよびエトキシマグネシウムクロライドが特に好ましい。
アルコキシ含有マグネシウム化合物の平均粒径は1から200μm、好ましくは3から150μmであり、更に好ましくは5から100μmである。また、その粒度については、微粉及び粗粉の少ない、粒度分布の狭いものを使用することが望ましい。具体的には、5μm以下の粒子が20%以下であり、好ましくは10%以下である。また、比表面積は、5〜100m/g、好ましくは10〜80m/g、特に好ましくは10〜50m/gである。なお、用いられるアルコキシ含有マグネシウム化合物の形状は任意であるが、球状、楕円形状あるいは馬鈴薯形状のものを用いることが望ましい。
界面活性成分(b)としては、特に制限されないが、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、反応性界面活性剤、シリコーンオイルおよび変性シリコーンオイルから選ばれる1種または2種以上を使用することができる。
カチオン性界面活性剤としては、脂肪族の1〜3級アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられる。また、アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸石けん、N−アシルアミノ酸またはその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、スルホコハク酸アルキル二塩、アルキルスルホ酢酸塩等のスルホン酸塩、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート等の硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンフェニルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸塩等のリン酸エステル塩等が挙げられる。
また、両イオン性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、アミノ化ルボン酸塩、イニダジリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。また、非イオン性界面活性剤としては、アルキル基の炭素数が1〜18のポリオキシエチレンモノまたはジアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体等のエーテル型、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩等のエーテルエステル類、ポリエチレングルコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等のエステル型、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の含窒素型等が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、N−パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム等が挙げられる。また、反応性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンプロペニルフェニルエーテル等が挙げられる。
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、 アルキル変性シリコーンオイル、 メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、 鎖状ポリジメチルシロキサン、環状ポリジメチルシロキサン、メチルフェニルシリコーンオイル、 ポリエーテル変性シリコーンオイル、 アミノ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
上記例示の界面活性剤は、単独での使用の他、2種以上の組み合わせで使用することもできる。上記の中でも本発明に用いられる好ましい界面活性剤は非イオン性界面活性剤であり、特に、HLB(親水親油バランス)価が通常3〜20である非イオン性界面活性剤が好ましく用いられ、処理方法によって異なるが、使用する溶媒に十分溶解するような非イオン界面活性剤を選択することが望ましい。例えば、アルコール類、エーテル類、アセトン等の極性有機溶媒中で処理する場合は、HLB価が10〜20の親水性の非イオン界面活性剤が好ましく用いられる。またヘキサン、ヘプタン等の炭化水素化合物などの有機溶媒中で処理する場合には、HLB価が3から15のやや親油性の非イオン界面活性剤が好ましく用いられる。
HLB価が3から15のやや親油性の非イオン界面活性剤としては、ノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリンモノステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート等のソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1種または2種以上が特に好ましく用いられる。
不活性有機溶媒(c)としては、上記マグネシウム化合物を溶解せず、マグネシウム化合物と懸濁液を形成する常温で液体のものであり、成分(d)および成分(e)に対して反応性を有さないものが選択される。具体的にはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素化合物、塩化メチレン、1,2−ジクロロベンゼン、2,4−ジクロロトルエンなどのハロゲン化炭化水素化合物等が挙げられる。これらの中でもトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物が最も好ましく用いられる。
本発明におけるハロゲン化剤(d)としては、ハロゲン含有化合物及び酸ハライド化合物が挙げられる。ハロゲン含有化合物は、下記一般式(2);
MXp−n (2)
(式中、Mは金属原子、半金属原子、リン又はホウ素を示し、Xはハロゲン原子を示し、Yは水素原子、酸素原子、アルキル基又はアルコキシ基を示す。またpはMの価数であり、nは0<n≦pである。)で表される化合物が用いられる。式中、Mの金属原子としては、Mg、Al、Ti、V、Zr、Sn、W及びMoが挙げられ、Mの半金属原子としては、As、Sb、Bi、Si及びGeが挙げられる。
具体的には、マグネシウムジクロライド、エチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、ブチルマグネシウムクロライド、フェニルマグネシウムクロライド、メトキシマグネシウムクロライド、エトキシマグネシウムクロライド、プロポキシマグネシウムクロライド及びブトキシマグネシウムクロライド等のハロゲン含有マグネシウム化合物、アルミニウムトリクロライド、エトキシアルミニウムジクロライド、イソプロポキシアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド及びジエチルアルミニウムクロライド等のハロゲン含有アルミニウム化合物、テトラクロルシラン、テトラブロモシラン、テトラフルオロシラン、トリクロルシラン、ジクロルシラン、エトキシトリクロルシラン、ジエトキシジクロルシラン、トリエトキシクロルシラン及びブトキシトリクロルシラン等のハロゲン含有珪素化合物、チタントリクロライド、チタントリブロマイド、チタントリアイオダイド等のチタントリハライド及びチタンテトラクロライド、チタンテトラブロマイド、チタンテトラアイオダイド等のチタンテトラハライド等のハロゲン含有チタン化合物、メトキシチタントリクロライド、エトキシチタントリクロライド、プロポキシチタントリクロライド、ブトキシチタントリクロライド、ジメトキシチタンジクロライド、ジエトキシチタンジクロライド、ジプロポキシチタンジクロライド、ジブトキシチタンジクロライド、トリメトキシチタンクロライド、トリエトキシチタンクロライド、トリプロポキシチタンクロライド及びトリブトキシチタンクロライド等のアルコキシチタンハライド、テトラクロルバナジウム及びオキシトリクロルバナジウム等のハロゲン含有バナジウム化合物、テトラクロルジルコニウム及びエトキシトリクロルジルコニウム等のハロゲン含有ジルコニウム化合物が例示され、更に四塩化ゲルマニウム、四塩化スズ、五塩化アンチモン、六フッ化タングステン、六フッ化モリブデン、六塩化タングステン、五塩化モリブデン、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三フッ化リン、五フッ化リン、三塩化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン、オキシ三塩化リン、三フッ化ヒ素、五フッ化ヒ素、三塩化ヒ素、五塩化ヒ素等が挙げられる。
以上の化合物の中で好適なものは、常温で液体の化合物か、不活性溶媒に溶解させて使用し得る固体状ないしは気体の化合物であり、具体的には、エチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライド、テトラクロルシラン、トリクロルシラン、トリクロルアルミニウム、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、チタンテトラクロライド、エトキシチタントリクロライド、プロポキシチタントリクロライド、ブトキシチタントリクロライド、ジメトキシチタンジクロライド、ジエトキシチタンジクロライド、オキシトリクロルバナジウム等がある。
酸ハライド化合物としては、モノカルボン酸ハライド、多価カルボン酸ハライド等が用いられる。モノカルボン酸ハライドとしては、脂肪族モノカルボン酸ハライドまたは芳香族モノカルボン酸ハライドであって、具体的にはギ酸クロライド、ギ酸ブロマイド、酢酸クロライド、酢酸ブロマイド、プロピオン酸クロライド、プロピオン酸ブロマイド、酪酸クロライド、酢酸ブロマイド、安息香酸クロライド、安息香酸ブロマイド、p−トルイル酸クロライド、p−トルイル酸ブロマイド、p−メトキシベンゾエートクロライド、p−メトキシベンゾエートブロマイド、アニス酸メクロライド、アニス酸ブロマイド、下記の一般式(5)で表わされるモノカルボン酸ハライドが挙げられる。
(RCCOX (5)
(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基を示し、同一であっても異なってもよく、Xは塩素原子または臭素原子を示す。)
上記一般式(5)において、Rはメチル基、エチル基、プロピル基またはイソプロピル基であり、好ましくはメチル基であり、Rがメチル基の化合物とは具合的にはピバル酸のハライド(あるいはトリメチル酢酸のハライド)のことである。具体的な化合物としては、トリメチル酢酸クロライド(ピバル酸クロライド)、トリメチル酢酸ブロマイド(ピバル酸ブロマイド)、トリエチル酢酸クロライド、トリエチル酢酸ブロマイド、トリプロピル酢酸クロライド、トリプロピル酢酸ブロマイド、トリイソプロピル酢酸クロライド、トリイソプロピル酢酸ブロマイドなどが挙げられる。
多価カルボン酸ハライドとしては、脂肪族多価カルボン酸ハライドまたは芳香族多価カルボン酸ハライドであって、具体的にはコハク酸ジクロライド、マレイン酸ジクロライド、マレイン酸ジブロマイド、マロン酸ジクロライド、マロン酸ジブロマイド、ジイソプロピルマロン酸ジクロライド、ジイソプロピルマロン酸ジブロマイド、ジイソブチルマロン酸ジクロライド、ジイソブチルマロン酸ジブロマイド、アジピン酸ジクロライド、アジピン酸ジブロマイド、フタル酸ジクロライド、フタル酸ジブロマイド、テレフタル酸ジクロライド、テレフタル酸ジブロマイド、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブロマイド、セバシン酸ジクロライド、セバシン酸ジブロマイドなどが挙げられる。これらの化合物は1種単独あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明においては、前記成分(a)および成分(d)を、成分(b)を含有した成分(c)の存在下で攪拌下接触反応させることによって固体物を得る。この際、成分(d)の接触量は、成分(a)1モルに対して0.3モル以下、好ましくは0.01〜0.3モル、より好ましくは0.02〜0.3モル、特に好ましくは0.02〜0.28モルである。成分(d)の使用量が上記の範囲を超えると、成分(a)との反応制御が難しく、形成される粒子の壊れや表面一次粒子の剥離等を招いてしまう。また、第1工程での固体物の表面状態を安定化させる観点では有益であるものの、次工程において上記固体物に成分(e)を接触させ固体触媒成分を形成する際に固体粒子同士の凝集が顕著となり、安定した粒子表面状態を形成することが困難となるばかりでなく、こうした凝集体の一部は攪拌操作を通じて壊れ、微細化してしまうことから、結果として微細粒子発生を十分に抑制することができない。
成分(c)の使用量については、固体成分が懸濁状態を形成し得る範囲で任意に設定可能であるが、通常成分(a)1gに対して、1ml〜50ml、好ましくは2ml〜20mlの範囲で用いられる。また、成分(b)については、固体状、液体状問わず用いることが可能であり、この際、成分(b)は予め成分(c)に添加した後に用いる方法が一般的であるが、成分(a)と成分(c)の接触後、成分(b)を添加することも可能であり、成分(b)を成分(d)と接触させておいてから、成分(c)により懸濁状態とした成分(a)との接触に供することも可能である。成分(b)の添加割合は、成分(a)1gに対しては、0.001〜2g、好ましくは0.005〜0.5gであり、成分(c)1mlに対しては、0.0001〜0.01g、好ましくは0.005〜0.5gである。
ここで、成分(d)を添加する際の温度についても同様に、通常−20℃〜140℃の範囲であり、好ましくは−15℃〜90℃である。各成分の接触操作後の反応条件については、通常−10℃〜150℃で1分〜100時間、好ましくは30℃〜120℃で5分〜10時間の範囲で行われる。
この際、反応温度、時間が不十分な場合、固体物の粒子表面安定性は不十分なままであり、反応温度、時間が必要以上であった際には、粒子膨潤等が起こり、形成粒子の物理的安定性が損なわれてしまう。反応終了後、得られる固体物は不活性有機溶媒中に懸濁した状態であり、そのまま次工程である固体触媒成分調製工程に用いることができるが、必要に応じ不活性有機溶媒で洗浄することも可能であり、さらには溶媒を除去後乾燥してパウダー状として用いることも可能である。
上記のように第1工程において固体物を調製するが、特に好ましい調製方法としては、成分(a)としてジアルコキシマグネシウムを用い、不活性有機溶媒(c)として沸点50〜150℃の芳香族炭化水素化合物に界面活性成分(b)として非イオン性界面活性剤を溶解させ、懸濁液を形成し、次いで成分(d)を−5℃〜50℃の温度領域で該懸濁液に添加し、その後50℃〜100℃で10分〜5時間反応させることによる調製方法を挙げることができる。
上記のように第1工程において固体物を調製した後、次いで固体物にチタンハロゲン化合物(e)と接触反応させることにより本発明の固体触媒成分(A)を得る第2工程を行う。
第2工程において用いるチタンハロゲン化合物(d)(以下、単に「成分(d)」ということがある。)としては、3価または4価のチタンハロゲン化物であり、一般式Ti(ORp−n(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、Zは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を示し、nは0または1〜3の整数であり、pはチタンの価数で3〜4の実数である。)で表されるチタンハライドもしくはアルコキシチタンハライド群から選択される化合物の1種あるいは2種以上である。
具体的には、チタンハライドとしてチタントリクロライド、チタンテトラクロライド、チタンテトラブロマイド、チタンテトラアイオダイド等のチタンテトラハライド、アルコキシチタンハライドとしてメトキシチタンジクロライド、メトキシチタントリクロライド、エトキシチタンジクロライド、エトキシチタントリクロライド、プロポキシチタントリクロライド、n−ブトキシチタントリクロライド、ジメトキシチタンジクロライド、ジエトキシチタンジクロライド、ジプロポキシチタンジクロライド、ジ−n−ブトキシチタンジクロライド、トリメトキシチタンクロライド、トリエトキシチタンクロライド、トリプロポキシチタンクロライド、トリ−n−ブトキシチタンクロライド等が例示される。このうち、チタンテトラハライドが好ましく、特に好ましくはチタンテトラクロライドである。これらのチタン化合物は単独あるいは2種以上併用することもできる。
チタンハロゲン化合物(e)(以下、単に「成分(e)」ということがある。)としては、上述した3価または4価のチタンハロゲン化物であり、好ましくはチタンテトラクロライドである。
固体物と成分(e)の接触は、不活性ガス雰囲気下、水分等を除去した状況下で、撹拌機を具備した容器中で、撹拌しながら行われる。接触温度は、各成分間で急激な反応が引起されない範囲で任意に設定可能であるが、通常−20℃〜100℃の範囲で行われる。また、接触後の反応温度については、40〜130℃の温度域が好ましい。反応時の温度が40℃未満の場合は充分に反応が進行せず、結果として調製された固体成分の性能が不充分となり、130℃を超えると使用した溶媒の蒸発が顕著になるなどして、反応の制御が困難になる。なお、反応時間は1分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上である。
なお、第2工程において、接触反応時に不活性有機溶媒を希釈剤として用いることも可能である。不活性有機溶媒としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の沸点が50〜150℃の芳香族炭化水素化合物が好ましく用いられ、これらは2種以上混合して使用してもよい。芳香族炭化水素化合物を用いることによって、反応または洗浄の際、固体物または固体触媒成分中の不純物の溶解度が向上し、結果として得られる固体触媒成分の触媒活性や得られるポリマーの立体規則性が向上することができる。
第2工程の好ましい調製方法としては、芳香族炭化水素化合物に第1工程で得られた固体物を懸濁させ、固体物にチタンハロゲン化合物(e)を接触させた後、反応処理を行う。得られた固体反応生成物を常温で液体の炭化水素化合物で洗浄(中間洗浄)した後、再度チタンハロゲン化合物(e)を、芳香族炭化水素化合物の存在下に、−20〜100℃で接触させ、反応処理を行い、得られた固体反応生成物を常温で液体の炭化水素化合物で洗浄(最終洗浄)し、固体触媒成分(A)を得る。なお必要に応じ、中間洗浄および反応処理を更に複数回繰り返してもよい。
第2工程における具体的な調製方法の例を以下に示す。第1工程で得られた固体物と沸点50〜150℃の芳香族炭化水素化合物(c)とから懸濁液を形成する。この懸濁液中に成分(e)を添加する。その後、得られた懸濁液を昇温して反応処理(第1次反応処理)する。反応終了後、得られた固体生成物を常温で液体の炭化水素化合物で洗浄(中間洗浄)し、その後、新たに成分(e)および沸点50〜150℃の芳香族炭化水素化合物を−20〜100℃で接触させ、昇温して、反応処理(第2次反応処理)する。反応終了後、常温で液体の炭化水素化合物で洗浄(最終洗浄)して、固体触媒成分(A)を得る。
第2工程における処理あるいは洗浄の好ましい条件は以下の通りである。
・反応処理:0〜130℃、好ましくは40〜120℃、特に好ましくは50〜115℃で、0.5〜6時間、好ましくは0.5〜5時間、特に好ましくは1〜4時間。
・洗浄:0〜110℃、好ましくは30〜100℃、特に好ましくは30〜90℃で、1〜20回、好ましくは1〜15回、特に好ましくは1〜10回。
なお、洗浄の際に用いる炭化水素化合物は、常温で液体の芳香族炭化水素化合物あるいは飽和炭化水素化合物が好ましく、具体的には、芳香族炭化水素化合物としてトルエン、キシレン、エチルベンゼンなど、飽和炭化水素化合物としてヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどが挙げられる。好ましくは、中間洗浄では芳香族炭化水素化合物を、最終洗浄では飽和炭化水素化合物を用いることが望ましい。
本発明における第2工程においては、必要に応じ電子供与性化合物を用いることも可能である。これらは、酸素原子あるいは窒素原子を含有する有機化合物であり、例えばアルコール類、フェノール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、アルデヒド類、アミン類、アミド類、ニトリル類、イソシアネート類、Si−O−結合を含む有機ケイ素化合物等が挙げられる。
具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール等のフェノール類、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル、アミルエーテル、ジフェニルエーテル、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3―ジメトキシプロパン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、p−トルイル酸メチル、p−トルイル酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル等のモノカルボン酸エステル類、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、ジイソプロピルマロン酸ジエチル、ジイソプロピルマロン酸ジプロピル、ジイソプロピルマロン酸ジイソプロピル、ジイソプロピルマロン酸ジブチル、ジイソプロピルマロン酸ジイソブチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−プロピル、フタル酸ジ−iso−プロピル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−iso−ブチル、フタル酸エチルメチル、フタル酸メチル(iso−プロピル)、フタル酸エチル(n−プロピル)、フタル酸エチル(n−ブチル)、フタル酸エチル(iso−ブチル)、フタル酸ジ−n−ペンチル、フタル酸ジ−iso−ペンチル、フタル酸ジ−neo−ペンチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ−n−ヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ビス(2,2−ジメチルヘキシル)、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジ−n−ノニル、フタル酸ジ−iso−デシル、フタル酸ビス(2,2−ジメチルヘプチル)、フタル酸n−ブチル(iso−ヘキシル)、フタル酸n−ブチル(2−エチルヘキシル)、フタル酸n−ペンチルヘキシル、フタル酸n−ペンチル(iso−ヘキシル)、フタル酸iso−ペンチル(ヘプチル)、フタル酸n−ペンチル(2−エチルヘキシル)、フタル酸n−ペンチル(iso−ノニル)、フタル酸iso−ペンチル(n−デシル)、フタル酸n−ペンチルウンデシル、フタル酸iso−ペンチル(iso−ヘキシル)、フタル酸n−ヘキシル(2,2−ジメチルヘキシル)、フタル酸n−ヘキシル(2−エチルヘキシル)、フタル酸n−ヘキシル(iso−ノニル)、フタル酸n−ヘキシル(n−デシル)、フタル酸n−ヘプチル(2−エチルヘキシル)、フタル酸n−ヘプチル(iso−ノニル)、フタル酸n−ヘプチル(neo−デシル)、フタル酸2−エチルヘキシル(iso−ノニル)等のジカルボン酸エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等のケトン類、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類、メチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピペリジン、アニリン、ピリジン等のアミン類、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等のアミド類、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリル等のニトリル類、イソシアン酸メチル、イソシアン酸エチル等のイソシアネート類、フェニルアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、フェニルアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルキルアルコキシシラン、ポリシロキサン等のSi−O−結合を含む有機ケイ素化合物を挙げることができる。
第2工程において、(e)成分の使用量比は、調製法により異なるため一概には規定できないが、例えばマグネシウム化合物1モル当たり、4価のチタンハロゲン化合物(e)が0.5〜100モル、好ましくは0.5〜50モル、より好ましくは1〜10モルである。
また本発明における固体触媒成分(A)中のチタン、マグネシウム、ハロゲン原子の含有量は特に規定されないが、好ましくは、チタンが0.5〜8.0重量%、好ましくは0.7〜7.0重量%、より好ましくは1.0〜6.0重量%、マグネシウムが8〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%、特に好ましくは15〜30重量%、更に好ましくは15〜25重量%、ハロゲン原子が20〜90重量%、より好ましくは30〜85重量%、特に好ましくは40〜80重量%、更に好ましくは45〜75重量%であることが望ましい。また必要に応じ使用され得る電子供与性化合物は、合計0.5〜40重量%の範囲である。
本発明のオレフィン類重合用触媒を形成する際に用いられる有機アルミニウム化合物(B)(以下、単に「成分(B)」ということがある。)としては、上記一般式(3)で表される化合物を用いることができる。このような有機アルミニウム化合物(B)の具体例としては、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、トリ−iso−ブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムハイドライドが挙げられ、1種あるいは2種以上が使用できる。好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリ−iso−ブチルアルミニウムである。
なお、本発明のオレフィン類重合用触媒を形成する際には、ポリオレフィンの立体規則性向上を目的として上記有機アルミニウム化合物(B)と共に外部電子供与性化合物(C)(以下、単に「成分(C)」ということがある。)を用いることも可能である。これらは、前記した固体触媒成分の調製に用いることのできる電子供与性化合物と同じものが用いることが可能であるが、その中でも9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3―ジメトキシプロパン等のエーテル類、安息香酸メチルおよび安息香酸エチルなどのエステル類、または有機ケイ素化合物である。
上記外部電子供与性が化合物として使用され得る有機ケイ素化合物としては、上記一般式(4)で表される有機ケイ素化合物を用いることができ、具体的に例示すると、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリ−n−プロピルメトキシシラン、トリ−n−プロピルエトキシシラン、トリ−n−ブチルメトキシシラン、トリ−iso−ブチルメトキシシラン、トリ−t−ブチルメトキシシラン、トリ−n−ブチルエトキシシラン、トリシクロヘキシルメトキシシラン、トリシクロヘキシルエトキシシラン、シクロヘキシルジメチルメトキシシラン、シクロヘキシルジエチルメトキシシラン、シクロヘキシルジエチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−iso−ブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、ビス(2 −エチルヘキシル)ジメトキシシラン、ビス(2 −エチルヘキシル)ジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、ビス(3 −メチルシクロヘキシル)ジメトキシシラン、ビス(4 −メチルシクロヘキシル)ジメトキシシラン、ビス(3,5 −ジメチルシクロヘキシル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジエトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジプロポキシシラン、3 −メチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、4 −メチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、3,5 −ジメチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、3 −メチルシクロヘキシルシクロヘキシルジメトキシシラン、4 −メチルシクロヘキシルシクロヘキシルジメトキシシラン、3,5 −ジメチルシクロヘキシルシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジエトキシシラン、シクロペンチルエチルジエトキシシラン、シクロペンチル(iso−プロピル)ジメトキシシラン、シクロペンチル(iso−ブチル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジエトキシシラン、シクロヘキシル(n−プロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(iso−プロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(n−プロピル)ジエトキシシラン、シクロヘキシル(iso−ブチル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(n−ブチル)ジエトキシシラン、シクロヘキシル(n−ペンチル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(n−ペンチル)ジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルエチルジメトキシシラン、フェニルエチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、iso−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、2−エチルヘキシルトリメトキシシラン、2−エチルヘキシルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等を挙げることができる。上記の中でも、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−iso−ブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジエトキシシラン、シクロペンチルエチルジエトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジエトキシシラン、3−メチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、4−メチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、3,5−ジメチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシランが好ましく用いられ、該有機ケイ素化合物は1種あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
次に本発明のオレフィン類重合用触媒は、前記した成分(A)、成分(B)、および必要に応じ成分(C)によって形成され、該触媒の存在下にオレフィン類の重合もしくは共重合を行う。オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン等であり、これらのオレフィン類は1種あるいは2種以上併用することができる。とりわけ、エチレン、プロピレンおよび1−ブテンが好適に用いられる。特に好ましくはプロピレンである。プロピレンの重合の場合、他のオレフィン類との共重合を行うこともできる。共重合されるオレフィン類としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン等であり、これらのオレフィン類は1種あるいは2種以上併用することができる。とりわけ、エチレンおよび1−ブテンが好適に用いられる。
各成分の使用量比は、本発明の効果に影響を及ぼすことのない限り任意であり、特に限定されるものではないが、通常成分(B)は成分(A)中のチタン原子1モル当たり、1〜2000モル、好ましくは50〜1000モルの範囲で用いられる。外部電子供与性化合物が用いられる場合、その量は(B)成分1モル当たり、0.002〜10モル、好ましくは0.01〜2モルの範囲で用いられる。
本発明における重合方法は、有機溶媒の存在下でも不存在下でも行うことができ、またプロピレン等のオレフィン単量体は、気体および液体のいずれの状態でも用いることができる。重合温度は200℃以下、好ましくは100℃以下であり、重合圧力は10MPa以下、好ましくは5MPa以下である。また、連続重合法、バッチ式重合法のいずれでも可能である。更に重合反応を1段で行ってもよいし、2段以上で行ってもよい。
更に、本発明において成分(A)、成分(B)、および必要に応じ成分(C)から形成される触媒を用いてオレフィンを重合するにあたり(本重合ともいう)、触媒活性および生成する重合体の粒子性状等を一層改善させるために、本重合に先立ち予備重合を行うことも可能である。予備重合の際には、本重合と同様のオレフィン類あるいはスチレン等のモノマーを用いることができる。
予備重合を行うに際して、各成分およびモノマーの接触順序は任意であるが、好ましくは、不活性ガス雰囲気あるいはオレフィンガス雰囲気に設定した予備重合系内にまず成分(B)を装入し、次いでオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を接触させた後、プロピレン等のオレフィンおよび/または1種あるいは2種以上の他のオレフィン類を接触させる。外部電子供与性化合物を組み合わせて予備重合を行う場合は、不活性ガス雰囲気あるいはオレフィンガス雰囲気に設定した予備重合系内にまず成分(B)を装入し、次いで外部電子供与性化合物を接触させ、更にオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を接触させた後、プロピレン等のオレフィンおよび/または1種あるいはその他の2種以上のオレフィン類を接触させる方法が望ましい。
本発明によって形成されるオレフィン類重合用触媒の存在下で、オレフィン類の重合を行った場合、従来の触媒を使用した場合に較べ、得られるポリマーにおいて、粒径 45μm 以下の超微粉体が殆ど存在しないポリオレフィンを高収率下に得ることができ、またプロピレンの重合を行った場合、立体規則性の高いポリマーを高収率で得ることができる。実際に工業的スケールにおける重合プロセスの連続運転においてはポリマー回収工程やガスリサイクル系におけるフィルターの閉塞や系内ベッセル、配管内への蓄積等の問題が著しく低減され、設備メンテナンス負荷の低減を期待することができる。また、操業の長期安定性が確保されることにより、ポリマー品質レベルの向上を期待することができる。
(実施例)
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらは例示であって、本発明を制限するものではない。
〔固体物の調製:第1工程〕
窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコにジエトキシマグネシウム20g、ソルビタンモノラウレート0.4g、常温のトルエン80mlを装入し40℃で10分間攪拌した。次いで、系内の温度を−5℃まで冷却し、攪拌下、四塩化ケイ素1.0mlを加え、その後1℃/分で60℃まで昇温し、2時間反応させ、固体物を含む懸濁液を得た。
〔固体触媒成分の調製:第2工程〕
前記のようにして得られた懸濁液を静置して上澄み液をデカンテーションにて除去した後、トルエン160mlを装入し、−10℃に冷却した。この懸濁液中に四塩化チタン40mlを攪拌下においてゆっくりと添加し、80℃に昇温した時点でフタル酸ジ−n−ブチル5.2mlを添加し、さらに105℃で2時間反応させた。反応終了後、得られた固体生成物を90℃のトルエン200mlで4回洗浄し、新たに四塩化チタン60mlおよびトルエン140mlを加え、110℃に昇温し、2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、40℃のn−ヘプタン100mlで10回洗浄して、固体触媒成分を得た。なお、この固体触媒成分中のチタン含有率を測定したところ、2.5重量%であった。
〔重合用触媒の形成及びプロピレン重合〕
窒素ガスで十分に乾燥し、次いでプロピレンガスで置換された内容積1800mlの攪拌装置付きステンレス製オートクレーブに、n−ヘプタン700mlを装入し、プロピレンガス雰囲気下に保ちつつ、トリエチルアルミニウム2.10mmol、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン0.21mmol、及び前記固体触媒成分をTiとして0.0053mmol装入し、重合用触媒を形成した。次いで、0.2MPaのプロピレン圧をかけ、攪拌を保ちながら20℃で30分間予備的な重合を行った。その後、150mlの水素を装入し、系内のプロピレン圧を0.7MPa として70℃で2時間重合を継続した。なお、重合が進行するにつれて低下する圧力は、プロピレンのみを連続的に供給することにより補い、重合中一定の圧力に保持した。上記重合方法に従い、プロピレンの重合を行い、生成された重合体をろ別し、減圧乾燥して固体重合体を得た。一方、ろ液を凝縮して重合溶媒に溶存する重合体を得、その量を(M)とし、固体重合体の量を(N)とする。固体触媒成分当たりの重合活性(Y)、ならびに重合収率(P) を下記式で表す。
(Y)=[(M)+(N)](g)/固体触媒成分量(g)
(P)=(N)/ [(M)+(N)] x 100(%)
また、嵩比重(BD)、生成固体重合体の平均粒径および生成固体重合体の45μm以下の微粉の量を測定したところ、表1に示すような結果が得られた。なお、生成固体重合体の平均粒径は、JISK0069に従い粒度分布を測定し、積算重量50%に相当する粒子径を求める方法により、生成固体重合体の45μm以下の微粉の量は330メッシュの篩上に置いた生成ポリマーにエタノールを流し、篩を通過した微粒子を含むエタノール懸濁液を遠心分離することにより固体分(微粒子)を回収し、さらに減圧乾燥して重量を測る方法により測定した。
窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコにジエトキシマグネシウム20g、ソルビタンジステアレート0.4g、常温のn−ヘプタン80mlを装入し40℃で10分間攪拌した。次いで、系内の温度を−5℃まで冷却し、攪拌下、ジエチルアルミニウムクロライド2.0mlを加え、その後1℃/分で70℃まで昇温し、2時間反応させ、固体物を含む懸濁液を得た。こうして得られた固体物を実施例1と同様に処理することにより固体触媒成分の調製、重合用触媒の形成及びプロピレン重合を行ったところ、表1に示すような結果が得られた。
比較例1
第1工程の固体物の調製時に四塩化ケイ素を使用しないこと以外は実施例1と同様に固体触媒成分の調製ならびにプロピレンの重合を行った結果を表1に示す。
実施例3〜5ならびに比較例2
第1工程の固体物の調製時に用いる四塩化ケイ素を表2の通り変化させること以外、実施例1と同様に固体触媒成分の調製ならびにプロピレンの重合を行った結果を表2に示す。
実施例6〜10
第1工程の固体物の調製時に用いる界面活性成分(成分(b))の種類と使用量を表3の通り変化させること以外は実施例1と同様に固体触媒成分の調製ならびにプロピレンの重合を行った結果を表3に示す。
実施例11
〔固体物の調製;第1工程〕
窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコにジエトキシマグネシウム20g、ソルビタンジステアレート0.3g、常温のキシレン60mlを装入し攪拌し、次いで、室温にて三塩化チタン2.0gを加え、攪拌下105℃で4時間反応させ、固体物を含む懸濁液を得た。
〔固体触媒成分の調製;第2工程〕
前記のようにして得られた懸濁液を静置して上澄み液をデカンテーションにて除去した後、トルエン100mlを装入し、−10℃に冷却した。この懸濁液中に四塩化チタン100mlを攪拌下においてゆっくりと添加し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、得られた固体生成物を90℃のトルエン200mlで4回洗浄し、新たに四塩化チタン60mlおよびトルエン140mlを加え、100℃に昇温し、2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、40℃のn−ヘプタン100mlで10回洗浄して、固体触媒成分を得た。なお、この固体触媒成分中のチタン含有率を測定したところ、4.5重量%であった。
〔重合用触媒の形成及びエチレン重合〕
窒素ガスで十分に乾燥し、置換された内容積1800mlの攪拌装置付きステンレス製オートクレーブに、n−ヘプタン700mlを装入し、室温にて攪拌下トリエチルアルミニウム2.10mmol、及び前記固体触媒成分をTiとして0.0053mmol装入し、重合用触媒を形成した。次いで、0.4MPaの水素圧をかけ、さらに系内の全圧を9.0MPaとすべくエチレンを導入し、70℃で2時間重合を継続した。なお、重合が進行するにつれて低下する圧力は、エチレンのみを連続的に供給することにより補い、重合中一定の圧力に保持した。上記重合方法に従い、エチレンの重合を行ったところ、表4に示すような結果が得られた。
実施例12
三塩化チタン2.0gの代わりに塩化アルミニウム3.0gを使用すること以外は実施例11と同様にして、固体物、固体触媒成分の調製ならびにエチレンの重合を行った結果を表4に示す。
実施例13
〔重合用触媒の形成〕
実施例1に用いた固体触媒成分7mgをヘプタン0.20ml中に懸濁させ、これにトリエチルアルミニウム4.0mmol,ジシクロヘキシルジメトキシシラン0.06mmolを加え、室温で5分間攪拌した。
〔プロピレン重合〕
窒素ガスで完全に置換された内容積2.0リットルの撹拌機付オートクレーブに、トリエチルアルミニウム0.50mmolを装入し、次いで水素ガス1.5リットル、液化プロピレン1.2リットルを装入し、70℃まで昇温した。前記重合用触媒をオートクレーブ上部に装着した触媒投入用容器に装入し、液化プロピレン0.2リットルでフラッシングすることにより、オートクレーブ中に導入し、70℃で1時間重合を行なった。固体触媒成分1g当たりの重合活性、生成重合体中の沸騰n−ヘプタン不溶分の割合(HI)を表5に示した。なお、生成重合体中の沸騰n−ヘプタン不溶分の割合(HI)は、この生成重合体を沸騰n−ヘプタンで6時間抽出したときのn−ヘプタンに不溶解の重合体の割合(重量%)とした。
比較例3
〔固体触媒成分の調製〕
撹拌機を具備し、窒素ガスで充分に置換された、容量500mlの丸底フラスコに、ジエトキシマグネシウム10g及びトルエン80mlを装入し、懸濁液を形成し10℃に冷却した。この懸濁液に、安息香酸クロライド12mlを添加し、10℃で6時間攪拌し、さらに40℃のトルエン100mlで2回、その後40℃のヘプタン100mlで5回洗浄し、固体物を含有するヘプタン懸濁液を得た。上記で得られた固体物を含むヘプタン懸濁液を、撹拌機を具備し、窒素ガスで充分に置換された、容量500mlの丸底フラスコに予め装入されたトルエン10ml及び四塩化チタン50mlの溶液中に添加した。次いで、該懸濁液を−5℃で2時間反応させた(低温熟成処理)。その後、90℃まで昇温した後、撹拌しながら2時間反応処理を行った。反応終了後、生成物を70℃のトルエン100mlで1回洗浄し、さらに、70℃のn−ヘプタン100mlで4回洗浄し、新たに四塩化チタン50mlを加えて、撹拌しながら100℃で1時間の反応処理(第2処理)を行った。さらにチタンテトラクロライド50mlを加えて、撹拌しながら100℃で1時間の反応処理を行った。次いで、生成物を40℃のヘプタン100mlで7回洗浄し、濾過、乾燥して、固体触媒成分を得た。この固体触媒成分中のチタン含有量を測定したところ、1.6重量%であった。
〔重合用触媒の形成及びプロピレン重合〕
上記のようにして得られた固体触媒成分を実施例13と同様に重合したところ、表5に示すような結果が得られた。
Figure 0004712418
Figure 0004712418
Figure 0004712418
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本発明の触媒成分及び重合触媒を調製する工程を示すフローチャート図である。

Claims (12)

  1. ジアルコキシマグネシウム(a)を、界面活性成分(b)を添加した不活性有機溶媒(c)に懸濁させ、該懸濁液と該マグネシウム化合物(a)1モルに対して、0.3モル以下のハロゲン化剤(d)を接触させ固体物を得た後、次いで該固体物にチタンハロゲン化合物(e)を接触させることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。
  2. 前記不活性有機溶媒(c)が、飽和炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物またはハロゲン化炭化水素化合物であることを特徴とする請求項1記載のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。
  3. 前記界面活性成分(b)が、非イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。
  4. 前記不活性有機溶媒(c)が、芳香族炭化水素化合物であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。
  5. 前記ハロゲン化剤(d)が下記一般式(2); MXp−n (2)
    (式中、Mは金属原子、半金属原子、リン又はホウ素を示し、Xはハロゲン原子を示し、Yは水素原子、酸素原子、アルキル基又はアルコキシ基を示す。またpはMの価数であり、nは0<n≦pである。)で表されるハロゲン含有化合物であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。
  6. 前記のチタンハロゲン化合物(e)が、4価のチタンハロゲン化合物であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。
  7. 前記のハロゲン化剤(d)が、4価のハロゲン化ケイ素化合物、チタンハロゲン化合物またはカルボン酸ハライドであることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。
  8. (A)請求項1〜のいずれか一項に記載の方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分、
    (B)下記一般式(3); R AlQ3−p (3)
    (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3の実数である。)で表される有機アルミニウム化合物から形成されることを特徴とするオレフィン類重合用触媒。
  9. (A)請求項1〜のいずれか一項に記載の方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分、
    (B)下記一般式(3); R AlQ3−p (3)
    (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3の実数である。)で表される有機アルミニウム化合物および
    (C)外部電子供与性化合物
    から形成されることを特徴とするオレフィン類重合用触媒。
  10. 前記(C)外部電子供与性化合物が、下記一般式(4);
    Si(OR4−q (4)
    (式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基のいずれかで、同一または異なっていてもよい。Rは炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基を示し、同一または異なっていてもよい。qは0≦q≦3の整数である。)で表される有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項に記載のオレフィン類重合用触媒。
  11. 請求項10のいずれか1項に記載のオレフィン類重合用触媒の存在下に行うことを特徴とするオレフィン類重合体又は共重合体の製造方法。
  12. 前記オレフィン類重合体又は共重合体の製造に用いられるオレフィン類の単量体が、プロピレン又はプロピレン及び他の1種以上のオレフィン類の単量体であることを特徴とする請求項11に記載のオレフィン類重合体又は共重合体の製造方法。
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