JP4712240B2 - 光励起成膜装置及び光励起成膜方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置の製造に用いられる成膜装置及び成膜方法に係り、特に紫外線により処理ガスを励起して基体上に薄膜を生成する光CVD装置のような光励起成膜装置及び光励起成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウェハ上に化学的気相合成法(Chemical Vapor Deposition: CVD)により薄膜を生成する方法の一つとして、光CVD法がある。光CVD法としては、紫外線を反応チャンバに導入して処理ガスを励起することにより反応させる直接光CVD法が一般的である。
【0003】
図1は直接光CVD法を用いた光CVD装置の概略構成図である。図1において、反応チャンバ2内にサセプタ3が配置され、サセプタ3の上にシリコンウェハ等の半導体ウェハWが載置される。サセプタ3にはヒータ4が組み込まれており、サセプタ3上に載置されたウェハWを加熱する。
【0004】
反応チャンバ2の天井部には、紫外線透過窓5が設けられる。紫外線透過窓5はサセプタ3の上方に位置する。紫外線透過窓5の上方には、紫外線を照射するUVランプ6が配置され、紫外線透過窓5を介して紫外線をサセプタ3に向かって照射することができる構成とされている。
【0005】
反応チャンバ2内のサセプタ3と紫外線透過窓5との間の空間には、処理ガスとして、例えばアンモニア(NH3)とジシラン(Si2H6)が供給される。供給された処理ガスを紫外線透過窓5を透過して照射される紫外線により光励起してウェハW上で反応させることにより、所定の温度に加熱されたウェハW上に薄膜を生成する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の光CVD装置において、UVランプ6から紫外線透過窓5を透過して反応チャンバ2内に導入された紫外線は、処理ガスの光励起に用いられるが、紫外線の一部は処理ガスに吸収されずに、ウェハWの表面にも到達する。
【0007】
ウェハ上に形成される半導体装置の回路パターンは年々微細化されており、回路パターンの配線幅は非常に小さくなってきている。配線幅が大きい場合は紫外線の照射に起因するウェハWの表面の損傷は、配線パターンに影響を及ぼすことはなかった。しかし、配線幅が微細化されるに伴い、紫外線によるウェハ上の微細な損傷がシリコンウェハW上の配線パターンに影響を及ぼすという問題が顕在化してきている。
【0008】
また、反応チャンバ2内には反応ガスの他に、窒素(N2)、酸素(O2)、二酸化窒素(NO2)、アルゴン(Ar)等の様々な種類のガスが導入されており、紫外線によりこれらのガスが処理ガスと同時に励起されてしまい、不要な物質が生成されてしまうといった問題もある。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、紫外線が直接ウェハ等の基体に照射されることのない光励起成膜装置及び光励起成膜方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項1記載の発明は、光励起して活性化した第1の処理ガスを用いて基体に成膜処理を施す光励起成膜装置であって、
成膜処理を施す基体が収容される反応チャンバの上部に紫外線を透過しない材料で形成されたシャワープレートを設け、該シャワープレートの上側に紫外線透過窓を設け、前記第1の処理ガスを前記シャワープレートと前記紫外線透過窓との間に供給することにより、前記紫外線透過窓を介して紫外線を照射して前記第1の処理ガスを光励起し、光励起された前記第1の処理ガスを前記シャワープレートを貫通して前記反応チャンバに導入すると共に、
前記シャワープレートの内部に光励起を必要としない第2の処理ガスを供給する通路を形成し、該第2の処理ガスを前記シャワープレートから前記反応チャンバ内に導入することを特徴とするものである。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の光励起成膜装置であって、
光励起された前記第1の処理ガスは、前記シャワープレートの上面から下面に貫通した開口から前記反応チャンバ内に導入され、前記シャワープレートの上面に前記開口を覆う突起が形成され、前記開口に入射する紫外線を遮断することを特徴とするものである。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の光励起成膜装置であって、
前記紫外線透過窓を貫通して複数のガス供給通路が設けられ、前記第1の処理ガスは該ガス供給通路を介して前記紫外線透過窓と前記シャワープレートとの間に供給されることを特徴とするものである。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の光励起成膜装置であって、
前記紫外線透過窓は格子状の枠体により複数の部分に分割され、該格子状の枠体に前記ガス供給通路が形成されたことを特徴とするものである。
【0017】
請求項5記載の発明は、光励起して活性化した複数種類の処理ガスを用いて基体に成膜処理を施す光励起成膜装置であって、
成膜処理を施す基体が収容される反応チャンバの上部にシャワープレートを設け、該シャワープレートの上側に波長λ1及びλ2の紫外線を透過する材料で形成された紫外線透過窓を設け、波長λ1の紫外線で励起される第1の処理ガスを前記シャワープレートと前記紫外線透過窓との間に供給することにより、前記紫外線透過窓を介して波長λ1の紫外線を照射して前記第1の処理ガスを光励起し、光励起された前記第1の処理ガスを前記シャワープレートを貫通して前記反応チャンバに導入すると共に、
前記シャワープレートの上板を波長λ2の紫外線を透過する材料により形成し且つ前記シャワープレートの下板を紫外線を透過しない材料により形成し、前記シャワープレート内に供給した、波長λ2の紫外線で励起される第2の処理ガスに前記上板を透過した波長λ2の紫外線を照射して光励起し、光励起された前記第2の処理ガスを前記反応チャンバに導入することを特徴とするものである。
【0020】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の光励起成膜装置であって、
前記第1の処理ガスが供給される第1のガス供給室と、前記第2の処理ガスが供給される第2のガス供給室とを前記反応チャンバの上部に並列して設け、
前記第1のガス供給室の上板を紫外線を透過する材料により形成し、その上に波長λ1の紫外線を発生する光源を設け、
前記第2のガス供給室の上板を紫外線を透過する材料により形成し、その上に波長λ2の紫外線を発生する光源を設け、
前記第1及び第2のガス供給室の下板を前記シャワープレートとして、個別に光励起された第1及び第2の処理ガスを該シャワープレートを介して前記反応チャンバに導入することを特徴とするものである。
【0021】
請求項7記載の発明は、反応チャンバ内に収容された基体に成膜処理を施す光励起成膜方法であって、
第1の処理ガスを、前記反応チャンバの外部に設けられた、紫外線を透過しない材料で形成されたシャワープレートと該シャワープレートの上側に設けられた紫外線透過窓との間に供給し、
前記紫外線透過窓を介して紫外線を照射して前記第1の処理ガスを光励起し、
光励起された前記第1の処理ガスを前記シャワープレートを貫通して前記反応チャンバ内に導入すると共に、
光励起を必要としない第2の処理ガスを、前記シャワープレートの内部に供給し、
該第2の処理ガスを前記シャワープレートから前記反応チャンバ内に導入し、
光励起された前記第1の処理ガスを用いて前記基体上に薄膜を形成する
ことを特徴とするものである。
【0024】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の光励起成膜方法であって、
前記第1の処理ガスを、前記紫外線透過窓を貫通して設けられた複数のガス供給通路を介して前記紫外線透過窓と前記シャワープレートとの間に供給することを特徴とするものである。
【0025】
請求項9記載の発明は、光励起して活性化した複数種類の処理ガスを用いて基体に成膜処理を施す光励起成膜方法であって、
反応チャンバの上部にシャワープレートが設けられ、該シャワープレートの上側に波長λ1及びλ2の紫外線を透過する材料で形成された紫外線透過窓が設けられ、前記シャワープレートの上板は波長λ2の紫外線を透過する材料により形成され、且つ前記シャワープレートの下板は紫外線を透過しない材料により形成され、
波長λ1の紫外線で励起される第1の処理ガスを前記シャワープレートと前記紫外線透過窓との間に供給し、前記紫外線透過窓を介して波長λ1の紫外線を照射して前記第1の処理ガスを光励起し、光励起された前記第1の処理ガスを前記シャワープレートを貫通して前記反応チャンバに導入すると共に、
波長λ2の紫外線で励起される第2の処理ガスを前記シャワープレート内に供給し、前記上板を透過した波長λ2の紫外線を前記第2の処理ガスに照射して光励起し、光励起された前記第2の処理ガスを前記反応チャンバに導入することを特徴とするものである。
【0028】
上述の発明によれば、光励起を必要とする処理ガスは、反応チャンバの外部で光励起された後に、反応チャンバへと導入される。したがって、反応チャンバ内の基体に、光励起用の紫外線が照射されることがなく、紫外線照射に起因した基体表面の損傷を防止することができる。また、光励起の必要な処理ガスにだけ紫外線が照射されるため、光励起を必要としない処理ガスを不要に活性化することを防止でき、不要な生成物の生成を防止することができる。
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0029】
図2は本発明の第1実施例による光励起成膜装置のガス供給部を示す概略構成断面図である。図2において、図1に示す構成部品と同等な部品には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0030】
図2において、処理基体としてのウェハWは、反応チャンバ2内のサセプタ3上に載置される。ウェハWの上方にはシャワープレート10が設けられ、更にシャワープレート10の上方に紫外線透過窓5が設けられる。シャワープレート10と紫外線透過窓5との間には、第1の処理ガスが供給される処理ガス供給室11が形成される。処理ガス供給室は、第1の処理ガスを光励起する光励起部に相当する。一方、第2の処理ガスがシャワープレート10内に供給される。
【0031】
第1の処理ガスは、例えばアンモニア(NH3)やジシラン(Si2H6)のような光励起により活性化される処理ガスであり、第2の処理ガスは、例えば窒素(N2)、酸素(O2)、二酸化窒素(NO2)、アルゴン(Ar)等の光励起を必要としない処理ガスである。
【0032】
図3はシャワープレート10の構造を示す図であり、図3(a)はシャワープレート10をその下面側から見た底面図であり、図3(b)は図3(a)の一転鎖線Aに沿った断面図であり、図3(c)は図3(a)の一転鎖線Bに沿った断面図ある。図3から容易に解釈できるように、シャワープレート10内に形成されたガス供給室10eは、シャワープレート10内を格子状に延在した一つの空間である。
【0033】
また、図4は紫外線透過窓5の平面図であり、図4(a)は紫外線透過部5Aが一枚の大きな板として形成された場合を示し、図4(b)は複数の小さな紫外線透過部5Bが配列された構成を示す。紫外線透過部5A及び5Bは、例えばフッ化マグネシウム(MgF2)等の真空紫外線を透過する材料により形成される。
【0034】
上述の構成の光励起成膜装置において、第1の処理ガスは処理ガス供給室11に供給され、シャワープレート10を貫通して形成された開口10aを通過して反応チャンバ2内に導入される。この際、処理ガス供給室11の上部には、真空紫外線を透過する材料からなる紫外線透過窓5が設けられており、エキシマランプ等のUVランプ6から紫外線透過窓5を介して、例えば波長172μmの紫外線が処理ガス供給室内の第1の処理ガスに照射される。したがって、第1の処理ガスは処理ガス供給室11内で光励起により活性化され、活性化された第1の処理ガスがシャワープレート10の開口10aから反応チャンバ2内に導入される。
【0035】
一方、光励起を必要としない第2の処理ガスは、シャワープレート10内に供給され、開口10bを通じて反応チャンバ2内に導入される。シャワープレート10は紫外線を透過しない材料により形成されており、シャワープレート10内の第2の処理ガスに紫外線が照射されることはない。なお、シャワープレート10を紫外線が透過しない材料により形成する代わりに、シャワープレート10の上面10cを紫外線が透過しない材料で覆うこととしてもよい。
【0036】
以上のように、光励起されて活性化された第1の処理ガスと、光励起を必要としない第2の処理ガスとは、個別にシャワープレート10を通過して、シャワープレート10の下面10dから反応チャンバ2内に導入され、反応チャンバ2内ではじめて接触し混合される。すなわち、反応チャンバ2内において、光励起されて活性化された第1の処理ガスと光励起を必要としない第2の処理ガスとのポストミックスが達成される。
【0037】
上述の構成では、紫外線透過窓5を透過した紫外線は、シャワープレート10により遮断されるため、紫外線が反応チャンバ2内に導入されることはなく、ウェハWに紫外線が照射されることはない。したがって、紫外線照射に起因したウェハW表面の損傷を防止することができる。
【0038】
ただし、微量ではあるが、シャワープレート10の開口10aを通じて紫外線が反応チャンバ2内に達するおそれがある。そこで、図5に示すようにシャワープレート10の上面10cに突出部を12を設けて、シャワープレート10の開口10aを覆うことにより、開口10aに入射する紫外線を遮断することができる。
【0039】
以上のように、本実施例においては、処理ガスを光励起する空間である処理ガス供給室11が反応チャンバ2の外部に設けられ、光励起を必要とする第1の処理ガスだけが光励起され活性化された状態で反応チャンバ2内に導入される。したがって、紫外線照射に起因したウェハW表面の損傷を防止することができると共に、光励起を必要としない第2の処理ガスが紫外線により不要に活性化されることを防止することができる。
【0040】
次に、本発明の第2実施例について説明する。本実施例は、上述の第1実施例において、第1の処理ガスの供給方法を変更したものである。図6は本発明の第2実施例による光励起成膜装置のガス供給部分の概略構成を示す断面図である。図6において、図2に示す構成部品と同等な部品には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0041】
上述の第1実施例では、第1の処理ガスの供給通路は、処理ガス供給室11の側部に接造されている。このような構成であると、供給通路から遠い部分の開口10aから反応チャンバ2内に導入される第1の処理ガスが紫外線に曝される時間は、供給通路に近い部分の開口10aから導入される第1の処理ガスが紫外線に曝される時間より長くなってしまい、第1の処理ガスの光励起による活性化が不均一となるおそれがある。
【0042】
そこで、上述の第1実施例では紫外線透過窓5はシャワープレート10のほぼ全体を覆う一枚の板として形成されていたが、本実施例の紫外線透過窓20では、複数の透過窓20Aに分割し、分割した透過窓20Aの間に複数の処理ガス供給通路22を接続している。したがって、第1の処理ガスは複数の処理ガス供給通路22から分散して処理ガス供給室11に供給される。これにより、第1の処理ガスが処理ガス供給室11内に滞留する時間を、シャワープレート10の全面にわたってほぼ均一とすることができる。したがって、第1の処理ガスが紫外線に曝される時間が一定となり、均一に活性化された第1の処理ガスをシャワープレート10の全体から反応チャンバ2内に導入することができる。その結果、ウェハWの全体にわたって均一な成膜処理を施すことができる。
【0043】
図7は第1の処理ガスを処理ガス供給室に分散して供給するガ゛ス供給部の他の例の概略構成を示す断面図である。図7に示す例において、第1の処理ガスを供給するための供給配管24は、格子状に形成され、格子の間に紫外線透過部20Aが設けられる。
【0044】
図8は格子状の供給配管を示す平面図である。格子の各交点に開口24aが設けられ、開口24aから第1の処理ガスが処理ガス供給室11に分散部して供給される。
【0045】
次に、本発明の第3実施例について説明する。本発明の第3実施例は、第1の処理ガスと同様に、第2の処理ガスにも紫外線を照射して光励起を行うものである。ここで、図9に示すように、第1の処理ガスと第2の処理ガスとは異なる紫外線吸収ピーク波長を有するガスとする。すなわち、第1の処理ガスの紫外線吸収ピーク波長はλ1であり、第2の処理ガスの紫外線吸収ピーク波長はλ2である。
【0046】
図10は本発明の第3実施例による光励起成膜装置のガス供給部の構造を示す断面図である。
【0047】
図10において、紫外線透過窓30は図2における紫外線透過窓5に相当し、シャワープレート32は図2におけるシャワープレート10に相当する。ただし、紫外線透過窓30は、λ1及びλ2の両方の波長の紫外線を透過する材料により形成される。一方、シャワープレート32の上板34は、λ2の波長の紫外線を透過する材料で形成される。また、シャワープレート32の下板36は紫外線を透過しない材料により形成される。
【0048】
第1の処理ガスが供給される処理ガス供給室38は紫外線透過窓30とシャワープレート32の上板34との間に形成され、第2の処理ガスが供給される処理ガス供給室40は、シャワープレート32の上板34と下板36との間に形成される。処理ガス供給室38は第1の光励起部に相当し、処理ガス供給室40は第2の光励起部に相当する。
【0049】
したがって、処理ガス室供給室38に供給された第1の処理ガスは、紫外線透過窓30を透過してきた波長λ1の紫外線により光励起され、シャワープレート32の開口32aを通過して反応チャンバ内に導入される。一方、処理ガス供給室40に供給された第2の処理ガスは、紫外線透過窓30及びシャワープレート32の上板34を透過してきた波長λ2の紫外線により光励起され、シャワープレート32の開口32bを通過して反応チャンバ内に導入される。
【0050】
シャワープレート32の下板36は紫外線を透過しないので、波長λ1の紫外線及び波長λ2の紫外線は、反応チャンバ内のウェハWに到達することはない。したがって、紫外線照射に起因するウェハ表面の損傷を防止することができる。
【0051】
なお、上述のように異なる紫外線吸収ピーク波長を有する第1及び第2の処理ガスの組み合わせとして、例えばアンモニア(NH4)とチクル(Ticl4)との組み合わせが挙げられる。アンモニア(NH4)の吸収ピーク波長λ1は172nmであり、チクル(Ticl4)の吸収ピーク波長λ2は356nmである。
【0052】
次に、本発明の第4実施例について説明する。本発明の第4実施例は、上述の第3実施例と同様に、第1の処理ガスに波長λ1の紫外線を照射し、第2の処理ガスに波長λ2の紫外線を照射して光励起を行うものである。
【0053】
図11は本発明の第4実施例による光励起成膜装置のガス供給部の構造を示す断面図であり、図12は図11の一点鎖線Aに沿った断面図である。また、図13は図12のシャワープレートをウェハW側から見た平面図である。
【0054】
本実施例において、紫外線を照射するUVランプは線上光源であり、波長λ1の紫外線を発生する第1のUVランプ50と波長λ2の紫外線を発生する第2のUVランプ52とが設けられている。第1のUVランプ50と第2のUVランプ52とは並列して設けられ、隔壁54により各々は隔離されている。
【0055】
第1のUVランプ50と第2のUVランプの下側には、夫々のUVランプが発生する波長の紫外線を透過する紫外線透過窓56及び58が設けられている。すなわち、第1のUVランプ50の下側には、波長λ1の紫外線を透過する紫外線透過窓56が設けられ、第2のUVランプ52の下側には波長λ2の紫外線を透過する紫外線透過窓58が設けられている。
【0056】
紫外線透過窓56及び58の下側には、板状のシャワープレート60が設けられている。シャワープレート60には、第1及び第2のUVランプ50及び52の延在方向に沿って開口60a及び60bが形成されている。すなわち、第1のUVランプ50に沿って開口60aが整列し、第2のUVランプ52に沿って開口60bが整列している。
【0057】
以上のような構成において、シャワープレート60と紫外線透過窓56及び58との間には処理ガス供給室62及び64が形成されている。処理ガス供給室62には、第1のUVランプ50からの波長λ1の紫外線により光励起される第1の処理ガスが供給され、光励起されて活性化された第1の処理ガスは開口60aから反応チャンバ2内へ導入される。処理ガス供給室64には、第2のUVランプ52からの波長λ2の紫外線により光励起される第2の処理ガスが供給され、光励起されて活性化された第2の処理ガスは開口60bから反応チャンバ2内へ導入される。したがって、活性化された第1及び第2の処理ガスは、反応チャンバ2内で接触し混合される。
【0058】
シャワープレート60は波長λ1の紫外線及び波長λ2の紫外線を透過しない材料で形成されており、第1及び第2のUVランプ50及び52からの紫外線は、反応チャンバ2内のウェハWには照射されない。したがって、紫外線照射に起因するウェハ表面の損傷を防止することができる。
【0059】
以上のように、上述の各実施例では、処理ガスを光励起する部分を、ウェハが配置される反応チャンバの外部に設けることにより、ウェハに直接紫外線が照射されることを防止し、紫外線照射によるウェハ表面の損傷を防止することができる。上述の各実施例では、光励起部を反応チャンバの上側に設けたが、これに限ることなく、光励起部を反応チャンバの側面側に設けて光励起された処理ガスを側壁から反応チャンバに導入することとしてもよい。ただし、この場合、ウェハに対して横から処理ガスが供給されるため、均一な処理を施すためにウェハが載置されたサセプタを回転するなどの対策が必要である。
【発明の効果】
上述の如く、本発明によれば、光励起を必要とする処理ガスは、反応チャンバの外部で光励起された後に、反応チャンバへと導入される。したがって、反応チャンバ内の基体に、光励起用の紫外線が照射されることがなく、紫外線照射に起因した基体表面の損傷を防止することができる。また、光励起の必要な処理ガスにだけ紫外線が照射されるため、光励起を必要としない処理ガスを不要に活性化することを防止でき、不要な生成物の生成を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】直接光CVD法を用いた光CVD装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施例による光励起成膜装置のガス供給部を示す概略構成断面図である。
【図3】図2に示すシャワープレートの構造を示す図である。
【図4】図2に示す紫外線透過窓の平面図である。
【図5】シャワープレートの開口を覆う突起を示す図である。
【図6】本発明の第2実施例による光励起成膜装置のガス供給部分の概略構成を示す断面図である。
【図7】第1の処理ガスを処理ガス供給室に分散して供給するガ゛ス供給部の他の例の概略構成を示す断面図である。
【図8】格子状の供給配管を示す平面図である。
【図9】紫外線吸収波長を示すグラフである。
【図10】は本発明の第3実施例による光励起成膜装置のガス供給部の構造を示す断面図である。
【図11】本発明の第4実施例による光励起成膜装置のガス供給部の構造を示す断面図である。
【図12】図11の一点鎖線Aに沿った断面図である。
【図13】図12のシャワープレートをウェハW側から見た平面図である。
【符号の説明】
2 反応チャンバ
3 サセプタ
4 ヒータ
5,20,30,56,58 紫外線透過窓
6 UVランプ
10,32,60 シャワープレート
10a,10b,24a,32a,32b,60a,60b 開口
11,38,40 処理ガス供給室
12 突起部
22 処理ガス供給通路
24 配管通路
50 第1のUVランプ
52 第2のUVランプ
54 隔壁
Claims (9)
- 光励起して活性化した第1の処理ガスを用いて基体に成膜処理を施す光励起成膜装置であって、
成膜処理を施す基体が収容される反応チャンバの上部に紫外線を透過しない材料で形成されたシャワープレートを設け、該シャワープレートの上側に紫外線透過窓を設け、前記第1の処理ガスを前記シャワープレートと前記紫外線透過窓との間に供給することにより、前記紫外線透過窓を介して紫外線を照射して前記第1の処理ガスを光励起し、光励起された前記第1の処理ガスを前記シャワープレートを貫通して前記反応チャンバに導入すると共に、
前記シャワープレートの内部に光励起を必要としない第2の処理ガスを供給する通路を形成し、該第2の処理ガスを前記シャワープレートから前記反応チャンバ内に導入することを特徴とする光励起成膜装置。 - 請求項1記載の光励起成膜装置であって、
光励起された前記第1の処理ガスは、前記シャワープレートの上面から下面に貫通した開口から前記反応チャンバ内に導入され、前記シャワープレートの上面に前記開口を覆う突起が形成され、前記開口に入射する紫外線を遮断することを特徴とする光励起成膜装置。 - 請求項1又は2記載の光励起成膜装置であって、
前記紫外線透過窓を貫通して複数のガス供給通路が設けられ、前記第1の処理ガスは該ガス供給通路を介して前記紫外線透過窓と前記シャワープレートとの間に供給されることを特徴とする光励起成膜装置。 - 請求項3記載の光励起成膜装置であって、
前記紫外線透過窓は格子状の枠体により複数の部分に分割され、該格子状の枠体に前記ガス供給通路が形成されたことを特徴とする光励起成膜装置。 - 光励起して活性化した複数種類の処理ガスを用いて基体に成膜処理を施す光励起成膜装置であって、
成膜処理を施す基体が収容される反応チャンバの上部にシャワープレートを設け、該シャワープレートの上側に波長λ1及びλ2の紫外線を透過する材料で形成された紫外線透過窓を設け、波長λ1の紫外線で励起される第1の処理ガスを前記シャワープレートと前記紫外線透過窓との間に供給することにより、前記紫外線透過窓を介して波長λ1の紫外線を照射して前記第1の処理ガスを光励起し、光励起された前記第1の処理ガスを前記シャワープレートを貫通して前記反応チャンバに導入すると共に、
前記シャワープレートの上板を波長λ2の紫外線を透過する材料により形成し且つ前記シャワープレートの下板を紫外線を透過しない材料により形成し、前記シャワープレート内に供給した、波長λ2の紫外線で励起される第2の処理ガスに前記上板を透過した波長λ2の紫外線を照射して光励起し、光励起された前記第2の処理ガスを前記反応チャンバに導入することを特徴とする光励起成膜装置。 - 請求項5記載の光励起成膜装置であって、
前記第1の処理ガスが供給される第1のガス供給室と、前記第2の処理ガスが供給される第2のガス供給室とを前記反応チャンバの上部に並列して設け、
前記第1のガス供給室の上板を紫外線を透過する材料により形成し、その上に波長λ1の紫外線を発生する光源を設け、
前記第2のガス供給室の上板を紫外線を透過する材料により形成し、その上に波長λ2の紫外線を発生する光源を設け、
前記第1及び第2のガス供給室の下板を前記シャワープレートとして、個別に光励起された第1及び第2の処理ガスを該シャワープレートを介して前記反応チャンバに導入することを特徴とする光励起成膜装置。 - 反応チャンバ内に収容された基体に成膜処理を施す光励起成膜方法であって、
第1の処理ガスを、前記反応チャンバの外部に設けられた、紫外線を透過しない材料で形成されたシャワープレートと該シャワープレートの上側に設けられた紫外線透過窓との間に供給し、
前記紫外線透過窓を介して紫外線を照射して前記第1の処理ガスを光励起し、
光励起された前記第1の処理ガスを前記シャワープレートを貫通して前記反応チャンバ内に導入すると共に、
光励起を必要としない第2の処理ガスを、前記シャワープレートの内部に供給し、
該第2の処理ガスを前記シャワープレートから前記反応チャンバ内に導入し、
光励起された前記第1の処理ガスを用いて前記基体上に薄膜を形成する
ことを特徴とする光励起成膜方法。 - 請求項7記載の光励起成膜方法であって、
前記第1の処理ガスを、前記紫外線透過窓を貫通して設けられた複数のガス供給通路を介して前記紫外線透過窓と前記シャワープレートとの間に供給することを特徴とする光励起成膜方法。 - 光励起して活性化した複数種類の処理ガスを用いて基体に成膜処理を施す光励起成膜方法であって、
反応チャンバの上部にシャワープレートが設けられ、該シャワープレートの上側に波長λ1及びλ2の紫外線を透過する材料で形成された紫外線透過窓が設けられ、前記シャワープレートの上板は波長λ2の紫外線を透過する材料により形成され、且つ前記シャワープレートの下板は紫外線を透過しない材料により形成され、
波長λ1の紫外線で励起される第1の処理ガスを前記シャワープレートと前記紫外線透過窓との間に供給し、前記紫外線透過窓を介して波長λ1の紫外線を照射して前記第1の処理ガスを光励起し、光励起された前記第1の処理ガスを前記シャワープレートを貫通して前記反応チャンバに導入すると共に、
波長λ2の紫外線で励起される第2の処理ガスを前記シャワープレート内に供給し、前記上板を透過した波長λ2の紫外線を前記第2の処理ガスに照射して光励起し、光励起された前記第2の処理ガスを前記反応チャンバに導入する
ことを特徴とする光励起成膜方法。
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