JP4712216B2 - スノーチェーンの解除装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車のタイヤに取り付けられるスノーチェーンや滑り止め装置の解除装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車が、雪やみぞれや氷に覆われた道路上を走行する際、その車のタイヤはグリップがきかなくなり、危険なことに進路が変わったり車の横滑りが生じたりする。これらの問題を回避するために、通常、一般にスノーチェーンとよばれる横滑り防止装置を利用する。
【0003】
普通、車の車輪に取り付けられるスノーチェーンは、道路表面に堆積した雪および/または氷をしっかりととらえ、タイヤのトレッド(接地面)の牽引力は増加し、車のタイヤは良好なグリップを達成できるようになる。
【0004】
従来より、スノーチェーンは一般に、使用の際は、車輪の内側表面、外側表面それぞれにリングで閉じられた2つの側面部材(チェーン、形状が自在であるケーブル、スチールワイヤー、ロープ等)からなる。これらの側面部材は、トレッドの牽引力が増加するように様々に配列された一連のチェーン部により連結されており、全体が、上記部材を引っ張るためのものとして知られる引っ張り装置により引っ張られている。
【0005】
市場において広く利用されているスノーチェーンは、その取付けの際広げるために開くことができ、これにより、車の車輪の内側表面に取り付けることができる、形状が自在な内側リングからなる内側部を有する。この内側リングは普通、連続あるいは分断した鞘に覆われた金属ケーブルからなる。
【0006】
上記従来のチェーンは、内側リングのケーブルの一端がその一部でケーブルの他端のヘッドを係止することができ、一方、その他の部分で上記ヘッドを保持できる長い窪みの嵌合手段を備えていることにより、内側が閉鎖された状態でしっかりと固定される。また、スノーチェーンは、上記嵌合手段に沿ってケーブルをシフトさせることができる溝を備えており、これにより、ロック部の内側にそのヘッドをロックすることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この種の内側の閉鎖は、リング部材を簡単にロックすることにより実現できるが、その解除にはいくつかの問題点がある。
【0008】
ユーザは、そのチェーンを取外すために、車輪の内側から作業をしなければならない。つまり、車輪の内側で内側リングの閉鎖装置を探し出さなければならず、また、手作業でその装置の解除を行わなければならない。この作業は、不便であり、面倒で、複雑なものである。つまり、ユーザは、居心地の悪い姿勢で作業をしなければならず、また、必ずタイヤに触り、加えて、車輪の内側に見えないようになったままの内側リングの閉鎖装置を見つけることは困難であるため手が汚れることが余儀なくされる。このように、チェーンの解除作業は大変手間取り、面倒である。
【0009】
車輪の外側側面から内側リングの閉鎖部材の解除を行うよう働きかけることのできる作動手段を備えた解除装置が知られている。この解除装置は閉鎖部材が複雑であるという問題点がある。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、安全で、実用的で、利用しやすく、安価で簡単に製造できるスノーチェーンの解除装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、独立請求項1に挙げた特徴を有する発明によって達成される。
【0012】
発明の好ましい実施の形態は従属する請求項からも明白になるであろう。
【0013】
本発明のスノーチェーンの解除装置は、輪としてチェーンの内側部を閉鎖することができる閉鎖装置と閉鎖装置に作用する作動装置とを備えている。作動装置は、タイヤの外側からユーザによって働きかけられ、閉鎖装置に作用するケーブルを備えている。上記ケーブルは、並んで平行に配された2つのチェーンとケーブルを横切って配され、チェーンの輪に固定された横断片とにより保護されている。
【0014】
このような構成により、作動装置の更なる安定化および機能の向上を図ることができる。
【0015】
さらに、閉鎖装置は、内側リングのケーブルの一端において、内側リングのケーブルの他端に固定され閉鎖装置の台に収容された第2の歯を封じ込めるために、弾性手段によって外側に突き出すように促される第1の歯を含むブロックを有している。作動装置のケーブルは、上記台から引き出され得る第2の歯を解除するために、第1の歯を引っ込めさせる閉鎖装置の内側に回転されるレバーに作用する。
【0016】
このような装置は、大変簡単であり、効果的であり、また、動かなくなるリスクを減らして十分に作動する。
【0017】
さらに、作動装置が動かなくなった場合に、スノーチェーンを解除できる見込みはまだある。つまり、第2の歯とそれを受ける台との形状は、上記台の内側に第2の歯を回転させるようになっており、第1の歯が閉鎖装置の内側に引っ込まなくても、台から第2の歯が引き出されるようになっている。
【0018】
本発明の更なる特徴は、以下に示す詳細な説明によって明白になるであろうが、添付した図面に示された実施の形態は、単に好ましい範囲であり、よって、これに限定されるものではない。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に係るスノーチェーンの解除装置を、図面に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、部材番号1で全体として示されている滑り止め装置は、タイヤ3の内側部分に配することができる内側部2と外側部4とを備えている。滑り止め装置1の外側部4は、いわゆるチェーンで閉じられたリングによって構成されている。これら2つの内側部2および外側部4は、タイヤのトレッド(接地面)上に様々な形状、この場合はダイヤモンド型に配される滑り止めチェーン5の様々な部分により接続されている。
【0021】
内側部2は、好ましくは、連続的でない適切な鞘7に覆われた鋼製のケーブル6からなる開閉自在のリングにより構成されている。ケーブル6は、車輪の曲線に応じて変形することができる。リング2は2つの開放端において、閉鎖・施錠装置8を備えている。
【0022】
図2ないし6に示すように、施錠装置8は、共に接合することができる2つの略対称のハーフシェル9からなる本体を含んでいる。ハーフシェル9(図6参照)は、ハーフシェル9の中央にあり、略三角形のレバー部材11を収容する略長方形の台10を有している。レバー部材11は、台10における穴13においてピボット12によってヒンジ止めされている。レバー部材11の一端には、後述する作動装置50の一部を構成するケーブル15を収容するために、スルーホール14が設けられている。ケーブル15は、穴14の直径より大きな直径を有する円柱状のブロック16によって、穴14において施錠されている(動かなくされている)。ケーブル15は、ハーフシェル9から台10の開口部35を貫通して延びている。ケーブル15は、シェル9の外側に配された鞘37により覆われている。レバー11は、穴14のある反対側の端部に、略円筒状に丸みを帯びた面30を有している。
【0023】
ハーフシェル9の長方形の台10の下には、らせん状のばね(弾性部材)18と歯止め部材19とを収容する縦長の台17が配されている。ばね18は、台17の後部の表面20と歯止め部材19の後部の表面21との間に配されている。歯止め部材19は、前部に、その下にハーフシェル9の縦長の台17の前面端部25に接する隣接表面24が配されている歯22を有し、その形状は略平行六面体となっている。歯止め部材19の上部表面上には凹面の台23が配されており、凹面の台23は、レバー部材11の略円筒状に丸みを帯びた端部30を収容するようになっている。
【0024】
ハーフシェル9の前面端部には、台31が、歯止め部材19に対する隣接表面25によって、縦長の台17から分離されて配されている。この構成において、歯22は、部分的に、台31上に突き出している。台31は、略円筒状に丸みを帯びた下部表面80と、下部表面80に対して略直角をなす前面隣接表面81とを有している。
【0025】
さらに、ハーフシェル9は、外側に向けて開口部33に接続された四角形のアパーチャ32を備えている。施錠装置8に固定されているケーブル6の端部は、アパーチャ32の内側に配されている長方形のブロック34を有しており、一方、ケーブル6は開口部33から外に延びている。
【0026】
ハーフシェル9の上方の部分には、その中央部にスルーホール38がそれぞれ設けられた2つの略半円状の台36が形成されている。図2、図3に示すように、ハーフシェル9の台36はそれぞれ、作動装置50の一部を構成するチェーン部53のそれぞれの端輪(end link)52を収容するものである。端輪52は、それぞれ、穴38に配されているピン39によって、台36において動かなくされている。
【0027】
図7にも示すように、作動装置50は、閉鎖装置8に固定された2つのチェーン部53と、閉鎖装置8のレバー11に固定され、鞘37に覆われたケーブル15とを含んでいる。チェーン部53が、ケーブル15を介して対称な位置を維持するために、図8に示すように、横断片55が、チェーン部53および鞘37を有するケーブル15を横切るように配されている。
【0028】
横断片55は、その中央にケーブル15の鞘37が貫いてのびる穴と、それぞれのチェーン部53における2つの輪に固定された2つのサイドアパーチャ57とを有している。2つの横断片55の間における鞘37上には、鞘37がスライドしないように横断片55に隣接し、一方、ケーブル17が自由に鞘37内をスライドできるように、穴56より大きな直径を有する2つの円柱状ブロック58が配されている。円柱状ブロック58は、さらに、鞘37上において保護要素として働き、鞘37の磨耗を防止する。ケーブル15はその先端に、ユーザが引っ張るために握るのに適したフック59を有している。
【0029】
チェーン部53の2つの端部は、外側リング部材4のチェーンリンクに固定する(図1参照)ために、フック59を有するチェーンリンク60となっている。この構成では、このケーブル15の端部のフック59は、車輪において外側に面する側に現れる。これにより、ユーザは、外側に面した車輪の面側から機能するケーブル15のフック59を引っ張ることができる。
【0030】
自由なままの内側リング3におけるケーブル6の他端は、閉鎖装置8に係合することができるヘッド65に固定されている。ヘッド65は、互いに固定されうる2つの対称的なハーフシェル66を有する。ハーフシェル66は、ケーブル6の端部に固定されたブロック68を収容する第1アパーチャ67と、横断チェーン部10の輪に固定されたフックのヘッド70を収容する第2アパーチャ69とを有する。
【0031】
ハーフシェル66は、歯止め部材19の歯22と略対称の形状をした歯72を有する。歯72の前表面75は、歯22と略同じだけ傾斜している。歯72の下面73は、ハーフシェル9の台31の下面80のように略円筒状に丸みを帯びている。歯72の後部表面74は下面73と略直角をなす。
【0032】
以下、本発明の解除装置の動作について説明する。内側リング2が開いた状態にあるとき、図2および図4に示すように、閉鎖装置8とヘッド65とは離れている。ユーザは、内側リング4を閉じたいときは、ヘッド65の歯72の前表面75を、解除装置の歯22の前表面に押しつける。この結果、ばね18を押しつけて歯止め部材19が引っ込み、歯72が台31に収容される。こうして、歯72が台31に収容される際、ばねによって、歯止め部材19は、その隣接表面24がハーフシェル9の停止面25と対向して隣接するもとの位置に戻る。
【0033】
この状態では、図3および図5に示すように、解除装置の歯22はヘッド65の歯72上に配されている。この結果、内側リング2のケーブル6が引っ張ることにより、ヘッド65は閉鎖装置8からはずれない。実際、歯72の後部表面74は台31の前表面81と対向して隣接し、歯22は、歯72が台31の外側に飛び出さないようにしている。
【0034】
閉鎖装置8を開けるために、ユーザは、フック59を引いてケーブル15に力を及ぼす。この結果、閉鎖装置8の細線15の端部に固定されたブロック16は、ピボット12の周りを回るレバー部材11のアームを上げる。こうして、レバー部材の端部30は、ばね18を縮めながら、歯止め部材19を後方に押す。これにより歯22が台31からはなれてハーフシェル9の内側に引っ込み、そして台31からヘッド65の歯72が引き出される。
【0035】
さらに、作動装置50が動かなくなった場合、たとえ台31上の引き出された位置に歯22があるときでも、歯72の下面73と台31の下面80とが特有の曲線形状を有していることにより、ヘッド65が回転することによって歯72は台31から引き出される。
【0036】
本実施の形態の種々の変更は、本発明の特許請求事項との範囲内で、当業者によってなされ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る解除装置を備えたスノーチェーンを装着した車輪を、内側表面側および外側表面側から示す軸測投影図である。
【図2】図1に示す解除装置が開いた状態を裏側から示す拡大正面図である。
【図3】図1に示す解除装置が閉じた状態を裏側から示す拡大正面図である。
【図4】図2に示す解除装置の部分断面図である。
【図5】図3に示す解除装置の部分断面図である。
【図6】遠近法でかつ拡大されて示された内側部材と平面図で示すハーフシェルとを含む解除装置を示す分解図である。
【図7】本発明に係る解除装置の作動装置を示す平面図である。
【図8】図7に示す作動装置の横断片を示す正面図である。
【符号の説明】
1 滑り止め装置
2 内側部
3 タイヤ
4 外側部
5 滑り止めチェーン
8 施錠装置
9 ハーフシェル
11 レバー部材
15 ケーブル
18 ばね(弾性部材)
19 歯止め部材
22 歯(第1の歯)
31 台
37 鞘
50 作動装置
52 端輪
53 チェーン部
55 横断片
56 穴
58 円柱状ブロック
59 フック
60 チェーンリンク
65 ヘッド
72 歯(第2の歯)
73 下面
80 下面
Claims (7)
- 輪状に閉じることができ、タイヤの内側に該タイヤの形状に対応して配されている内側部と、タイヤの外側に該タイヤの形状に対応して配されている外側部と、上記内側部を輪状に閉じる閉鎖装置と、ユーザによってタイヤの外側から上記閉鎖装置が開くように作動することができる作動装置とを備え、上記内側部と外側部とがトレッドの牽引力を生成するように様々に構成された要素により連結されているスノーチェーンの解除装置であって、
上記作動装置は、上記閉鎖装置に固定された2つのチェーン部と、上記閉鎖装置のレバー部材に作用するケーブルと、上記ケーブルを横切るように配され、上記チェーン部の輪に固定されている横断片とを有し、
上記ケーブル及び上記2つのチェーン部の全てが平行であり、
上記2つのチェーン部における2つの端部は、上記閉鎖装置に固定され、他の2つの端部は、上記外側部の輪に係止されるフックに固定されていることを特徴とするスノーチェーンの解除装置。 - 上記ケーブルは、上記横断片の中央部に形成されている穴を通ってのびる鞘に覆われていることを特徴とする請求項1に記載のスノーチェーンの解除装置。
- 上記ケーブルの鞘上には、鞘がスライドしないように上記横断片に隣接して配されることで停止要素として作用し、かつ、上記鞘を保護し、磨耗を防止する要素として作用する円柱状のブロックが備えられていることを特徴とする請求項2に記載のスノーチェーンの解除装置。
- 上記閉鎖装置は、
上記内側部の一端に固定されており、
上記内側部の他端に固定されたヘッドの第2の歯を止めるために、弾性部材により第1の歯が台上に突き出されるようになっている歯止め部材を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のスノーチェーンの解除装置。 - 上記ケーブルは、その一端がレバー部材に固定されており、該レバー部材は、上記第1の歯が、上記ヘッドの第2の歯が引き出される台から引っ込められるよう上記歯止め部材に作用する上記閉鎖装置の内側に配されていることを特徴とする請求項4に記載のスノーチェーンの解除装置。
- 上記第2の歯と上記台とは、上記第1の歯が上記台上の引き出された位置にあるときも、相対的に回転することにより、上記台から上記第2の歯を引き出すことができるような形状であることを特徴とする請求項4または5に記載のスノーチェーンの解除装置。
- 上記第2の歯の下面と上記台の下面とは、略相補的なアーチ形状であることを特徴とする請求項6に記載のスノーチェーンの解除装置。
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