JP4711564B2 - 複合シリンダ錠 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複合シリンダ錠に係り、特に、インプレッションと称される不正解錠を有効に防止することができる新規な複合シリンダ錠に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、先に、特願2001−163294を以て、所謂ピッキングを防止し得る新規な複合シリンダ錠を提案した。
【0003】
この複合シリンダ錠は、ディスクタンブラー錠にレバータンブラー錠(ロータリーディスクタンブラー錠)の作動原理を組込んだ複合シリンダ錠で、内周面に母線に沿うタンブラー係止溝を形成した外筒と、この外筒と回転自在に嵌合し、所定の間隔を保って回転軸線方向に積層された複数の仕切部材を設けると共に、回転軸線に沿って鍵孔を貫通させた内筒とを有し、この内筒の仕切部材の間に形成された各スロットには、夫々鍵孔に挿通される合鍵の幅方向に摺動可能に案内され、上記タンブラー係止溝に係入する方向に付勢されたタンブラーを挿設し、各タンブラーの中央部には、上記鍵孔を包囲し得る大きさの鍵通し孔を夫々位置を違えて開口させ、この鍵通し孔の開口端縁と鍵孔に挿通された合鍵の鍵溝とを係合させて各タンブラーの端縁をシアーラインに整合させるようにしたものにおいて、上記タンブラー係止溝からほぼ90度ずれた角度位置における外筒内周面の母線に沿ってカム溝を形成し、このカム溝に、内筒の母線に沿って延在し、内筒の外周部において半径方向に移動可能に案内されると共に、外側縁が外方に突出する方向に付勢されたロッキングバーを係合させ、一方、ロッキングバーの内側縁に対向するタンブラーの側端縁に解錠切欠を形成して、タンブラー群の夫々が鍵孔に挿通された合鍵の対応する鍵溝と係合したとき、各タンブラーの解錠切欠がロッキングバーの内側縁と整合するようにし、他方、内筒が施錠角度位置にあるとき、ロッキングバーの内側縁とタンブラーの側端縁との間の隙間を極く小さくするようにしたことを特徴とするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した構成の複合シリンダ錠は、従来のディスクタンブラー錠と比較して、格段に対ピッキング性能が向上することが確認された。
【0005】
しかしながら、この複合シリンダ錠は、その構成上、所謂インプレッションと称される不正解錠が可能である。
【0006】
このインプレッションは、図1に示すように、ブランクキー16(鍵溝を刻設していない合鍵の加工前の鍵材:以下ブランキーという)を挿入し、これを例えば時計方向(図1で矢印A方向)に回す。
【0007】
すると、カム溝13を形成した外筒1に対し、内筒3が相対的に時計方向に回動するので、カム溝13とこれに係合していたロッキングバー14との間に生じる楔作用により、ロッキングバー14が内筒中心方向に移動する。
【0008】
このときにはロッキングバー14の内側縁とタンブラー9の側端縁に形成された解錠切欠18とは整合していないから、ロッキングバー14によりタンブラー9は内筒3に拘束され、或いは上方に押上げられることになる。
【0009】
一方、ブランキーの側端縁は下方に駆動されるので、ブランキー16の側端縁(図1のB部)がタンブラー9の鍵通し孔11の開口端縁に強く押し付けられ、通常は真鍮等の比較的柔らかい金属材料で構成されているブランキー16側に微細な圧痕が残る。
【0010】
そこで、この圧痕が形成された部分を1段V字形に切込み、ブランキー16を再び鍵孔に挿入して時計方向に回す。
【0011】
このときには、タンブラーばね10の弾力によりタンブラー9は上記V字形の切込みに係入するように左方に移動するが、ロッキングバー14の内側縁と解錠切欠18が整合するまで上記した理由によりブランキーに圧痕が残る。
【0012】
そして、ブランキー10に圧痕が残らなくなるまで、換言すれば、ブランキーを鍵孔に挿入したときロッキングバーの内側縁とタンブラーの解錠切欠18とが整合するようになるまで上記した作業を続け、これを全タンブラーについて行えば、結局合鍵を不正に製造することができる。
【0013】
そこで、この発明は、上記したインプレッションが不可能な新規な複合シリンダ錠を提供し、以て錠前の安全性を向上させることを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、内周面に母線に沿うタンブラー係止溝を形成した外筒と、この外筒と回転自在に嵌合し、所定の間隔を保って回転軸線方向に積層された複数の仕切部材を設けると共に、回転軸線に沿って鍵孔を貫通させた内筒とを有し、この内筒の仕切部材の間に形成された各スロットには、夫々鍵孔に挿通される合鍵の幅方向に摺動可能に案内され、上記タンブラー係止溝に係入する方向に付勢されたタンブラーを挿設し、各タンブラーの中央部には、上記鍵孔を包囲し得る大きさの鍵通し孔を夫々位置を違えて開口させ、この鍵通し孔の開口端縁と鍵孔に挿通された合鍵の鍵溝とを係合させて各タンブラーの端縁をシアーラインに整合させるようにしたものにおいて、上記タンブラー係止溝からほぼ90度ずれた角度位置における外筒内周面の母線に沿ってカム溝を形成し、このカム溝に、内筒の母線に沿って延在し、内筒の外周部において半径方向に移動可能に案内されると共に、外側縁が外方に突出する方向に付勢されたロッキングバーを係合させ、一方、ロッキングバーの内側縁に対向するタンブラーの側端縁に解錠切欠を形成して、タンブラー群の夫々が鍵孔に挿通された合鍵の対応する鍵溝と係合したとき、各タンブラーの解錠切欠がロッキングバーの内側縁と整合するようにし、他方、少なくとも1個のタンブラーの鍵通し孔の隅部に、幅方向に突出する逃げ切欠を連設したことを特徴とする。
【0015】
【実施例】
以下、図面を参照してこの発明の実施例について説明する。
図2において符号1は外筒を示し、この外筒1の内周面には、その母線方向に沿って、かつ外筒1の中心軸線に関して対称的な2ヵ所にタンブラー係止溝2、2が形成されている。
【0016】
上記外筒1の内孔には、内筒3が回転自在に嵌合している。図示の実施例における内筒3は、図面を明瞭にするため、例えば鋳造により円柱体に多数のスリットを形成した構造となっている。
【0017】
そして、この内筒3は、所定の間隔を保って中心軸線方向に積層された複数の仕切板4、4を有しており、また、内筒3の中心軸線に沿って鍵孔5が貫通している。
【0018】
上記仕切板4、4の間に形成された複数のスロット6、6の夫々には、
大体の形状が小判形のタンブラー9が挿設され、鍵孔5に挿通される合鍵7の幅方向(図1で左右方向)に移動可能に案内されている。
【0019】
これらのタンブラー9、9は、圧縮コイルばねとしてのタンブラーばね10の弾力により、一端(図1に示すものは左端)がタンブラー係止溝2に係入される方向に付勢されている。
【0020】
そして、各タンブラー9の中央部には、図1に示すように、鍵孔5を包囲する大きさの鍵通し孔11が夫々鍵幅方向において位置を違えて開口していて、鍵孔5に合鍵7(図3参照)が挿入されたとき、鍵通し孔の係合端縁11aと合鍵の側端縁に形成された鍵溝とを係合させて、各タンブラー9の端縁をシアーライン(内筒と外筒の接合部横断面線)に整合させるようにしている。
【0021】
上記した構成は、従来周知のディスクタンブラー錠の構成であるが、この発明においては、上記の構成に加えて、所謂レバータンブラー錠(ロータリーディスクタンブラー錠)の構成を加えた複合シリンダ錠を構成している。
【0022】
すなわち、前記タンブラー係止溝2からほぼ90度ずれた角度位置における外筒内周面の母線に沿って、横断面形状がV字形のカム溝13が形成されている。
【0023】
なお、此でカム溝13の角度位置を、外筒におけるカム溝底の角度位置に定める。
【0024】
また、タンブラー係止溝2の角度位置を、外筒の中心軸Oを通り、タンブラー9の移動方向の線分が外筒と交わる位置をいうものと定義する。
【0025】
そして、施錠状態(常態)における上記カム溝13には、例えば内側(図1で上側)の横断面形状が凸字形で、下側がV字形のロッキングバー14が係合している。
【0026】
このロッキングバー14は、内筒3のほぼ全長にわたってその母線に沿って延在する杆体で、図1に示すように、内筒の外周部にその母線に沿って形成された横断面凸字形のロッキングバー案内溝15と係合して、内筒の半径方向に移動可能に案内されている。
【0027】
上記ロッキングバー14は、図示しないロッキングバーばねにより、内筒の中心軸線方向に付勢されている。
【0028】
一方、図1に示すように、タンブラー9の側端縁に解錠切欠18が形成されており、鍵孔5に合鍵7が挿入され、タンブラー9の端縁がシアーラインに整合したとき、ロッキングバー14の内側縁がこの解錠切欠18と整合するように、解錠切欠18の形成位置が設定されている。
【0029】
また、図2に示すように、少なくとも1個のタンブラー9の鍵通し孔11の隅部に、幅方向に突出する逃げ切欠19が連設されている。
【0030】
上記のように構成されたこの発明の一実施例による複合シリンダ錠は、施錠状態では、図1に示すように、タンブラー9の一端がタンブラー係止溝2に係入すると共に、ロッキングバー14の内側縁がタンブラーの側端縁に突っ張っているので、内筒3を外筒1に対して相対的に回動させることができない。
【0031】
一方、正規の合鍵を鍵孔に挿入したときには、タンブラー9の両端がシアーラインに揃うと共に、ロッキングバー14の内側縁が解錠切欠18に係入可能に臨む位置に来る。
【0032】
この状態で合鍵7を介して内筒3を回せば、一端をタンブラー係止溝2に係止されていたタンブラー9は自由になるから内筒が回転できるようになる。
【0033】
と同時に、外筒1と内筒3との相対回動により、カム溝13とロッキングバー14の外側縁との間に楔作用が生じ、ロッキングバー14がカム溝13から押出されるようにして内筒中心方向に移動する。
【0034】
このとき、上記したようにロッキングバー14の内側縁と施錠片の解錠切欠18とは整合しているから、解錠切欠18へのロッキングバー14の進入という形態でロッキングバーとカム溝との相互作用が進み、ついには、図3に示すように、ロッキングバー14の外側縁が外筒1の内周面に乗り上がり、このようにしてこの発明による複合シリンダ錠が解錠される。
【0035】
上記のように、この発明による複合シリンダ錠の作動は、外見上通常のディスクタンブラー錠と変るところは無い。
【0036】
また、ロータリーディスクタンブラー機構を組込んだことにより鍵違いが増大するということもない。
【0037】
しかしながら、この発明による複合シリンダ錠は、図1及び図2から明らかなように、インプレッションによる合鍵の不正複製を行おうとして鍵孔5にブランキー16を挿入し、ブランキーを介して内筒を回動させてブランキーに圧痕を形成しようとしても、ブランキー16の側端縁部と鍵通し孔11の開口端縁との間に逃げ切欠19が存在しているので、両者を接触させることができず、したがって圧痕も生じない。
【0038】
なお、逃げ切欠19の形状は、図2のような矩形に限らず、例えば図4に示すように細長い三角形にして、鍵通し孔11の全体の形状を鼓形にしてもよい。
【0039】
また、逃げ切欠を連設した鍵通し孔11の形状は、図2及び図4に示すように必ずしも上下左右対称にする必要はなく、タンブラーの付勢方向等に応じて、必要な箇所にのみ逃げ切欠を設け、非対称にしてもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明は、複合シリンダ錠の少なくとも1個のタンブラーの鍵通し孔の隅部に、幅方向に突出する逃げ切欠を連設したから、ブランキーを鍵孔に挿入してのインプレッションを完全に防止することができる、という所期の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の複合シリンダ錠におけるインプレッションを説明するための線図的一部断面図。
【図2】この発明の一実施例による複合シリンダ錠のタンブラーの平面図。
【図3】従来の複合シリンダ錠のスロット部分の横断面図で、解錠状態を示す。
【図4】この発明の他の実施例による複合シリンダ錠のタンブラーの平面図。
【符号の説明】
1 外筒
2 タンブラー係止溝
3 内筒
4 仕切板
5 鍵孔
6 スロット
7 合鍵
9 タンブラー
10 タンブラーばね
11 鍵通し孔
11a 係合端縁
13 カム溝
14 ロッキングバー
15 ロッキングバー案内溝
18 解錠切欠
19 逃げ切欠
【発明の属する技術分野】
この発明は、複合シリンダ錠に係り、特に、インプレッションと称される不正解錠を有効に防止することができる新規な複合シリンダ錠に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、先に、特願2001−163294を以て、所謂ピッキングを防止し得る新規な複合シリンダ錠を提案した。
【0003】
この複合シリンダ錠は、ディスクタンブラー錠にレバータンブラー錠(ロータリーディスクタンブラー錠)の作動原理を組込んだ複合シリンダ錠で、内周面に母線に沿うタンブラー係止溝を形成した外筒と、この外筒と回転自在に嵌合し、所定の間隔を保って回転軸線方向に積層された複数の仕切部材を設けると共に、回転軸線に沿って鍵孔を貫通させた内筒とを有し、この内筒の仕切部材の間に形成された各スロットには、夫々鍵孔に挿通される合鍵の幅方向に摺動可能に案内され、上記タンブラー係止溝に係入する方向に付勢されたタンブラーを挿設し、各タンブラーの中央部には、上記鍵孔を包囲し得る大きさの鍵通し孔を夫々位置を違えて開口させ、この鍵通し孔の開口端縁と鍵孔に挿通された合鍵の鍵溝とを係合させて各タンブラーの端縁をシアーラインに整合させるようにしたものにおいて、上記タンブラー係止溝からほぼ90度ずれた角度位置における外筒内周面の母線に沿ってカム溝を形成し、このカム溝に、内筒の母線に沿って延在し、内筒の外周部において半径方向に移動可能に案内されると共に、外側縁が外方に突出する方向に付勢されたロッキングバーを係合させ、一方、ロッキングバーの内側縁に対向するタンブラーの側端縁に解錠切欠を形成して、タンブラー群の夫々が鍵孔に挿通された合鍵の対応する鍵溝と係合したとき、各タンブラーの解錠切欠がロッキングバーの内側縁と整合するようにし、他方、内筒が施錠角度位置にあるとき、ロッキングバーの内側縁とタンブラーの側端縁との間の隙間を極く小さくするようにしたことを特徴とするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した構成の複合シリンダ錠は、従来のディスクタンブラー錠と比較して、格段に対ピッキング性能が向上することが確認された。
【0005】
しかしながら、この複合シリンダ錠は、その構成上、所謂インプレッションと称される不正解錠が可能である。
【0006】
このインプレッションは、図1に示すように、ブランクキー16(鍵溝を刻設していない合鍵の加工前の鍵材:以下ブランキーという)を挿入し、これを例えば時計方向(図1で矢印A方向)に回す。
【0007】
すると、カム溝13を形成した外筒1に対し、内筒3が相対的に時計方向に回動するので、カム溝13とこれに係合していたロッキングバー14との間に生じる楔作用により、ロッキングバー14が内筒中心方向に移動する。
【0008】
このときにはロッキングバー14の内側縁とタンブラー9の側端縁に形成された解錠切欠18とは整合していないから、ロッキングバー14によりタンブラー9は内筒3に拘束され、或いは上方に押上げられることになる。
【0009】
一方、ブランキーの側端縁は下方に駆動されるので、ブランキー16の側端縁(図1のB部)がタンブラー9の鍵通し孔11の開口端縁に強く押し付けられ、通常は真鍮等の比較的柔らかい金属材料で構成されているブランキー16側に微細な圧痕が残る。
【0010】
そこで、この圧痕が形成された部分を1段V字形に切込み、ブランキー16を再び鍵孔に挿入して時計方向に回す。
【0011】
このときには、タンブラーばね10の弾力によりタンブラー9は上記V字形の切込みに係入するように左方に移動するが、ロッキングバー14の内側縁と解錠切欠18が整合するまで上記した理由によりブランキーに圧痕が残る。
【0012】
そして、ブランキー10に圧痕が残らなくなるまで、換言すれば、ブランキーを鍵孔に挿入したときロッキングバーの内側縁とタンブラーの解錠切欠18とが整合するようになるまで上記した作業を続け、これを全タンブラーについて行えば、結局合鍵を不正に製造することができる。
【0013】
そこで、この発明は、上記したインプレッションが不可能な新規な複合シリンダ錠を提供し、以て錠前の安全性を向上させることを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、内周面に母線に沿うタンブラー係止溝を形成した外筒と、この外筒と回転自在に嵌合し、所定の間隔を保って回転軸線方向に積層された複数の仕切部材を設けると共に、回転軸線に沿って鍵孔を貫通させた内筒とを有し、この内筒の仕切部材の間に形成された各スロットには、夫々鍵孔に挿通される合鍵の幅方向に摺動可能に案内され、上記タンブラー係止溝に係入する方向に付勢されたタンブラーを挿設し、各タンブラーの中央部には、上記鍵孔を包囲し得る大きさの鍵通し孔を夫々位置を違えて開口させ、この鍵通し孔の開口端縁と鍵孔に挿通された合鍵の鍵溝とを係合させて各タンブラーの端縁をシアーラインに整合させるようにしたものにおいて、上記タンブラー係止溝からほぼ90度ずれた角度位置における外筒内周面の母線に沿ってカム溝を形成し、このカム溝に、内筒の母線に沿って延在し、内筒の外周部において半径方向に移動可能に案内されると共に、外側縁が外方に突出する方向に付勢されたロッキングバーを係合させ、一方、ロッキングバーの内側縁に対向するタンブラーの側端縁に解錠切欠を形成して、タンブラー群の夫々が鍵孔に挿通された合鍵の対応する鍵溝と係合したとき、各タンブラーの解錠切欠がロッキングバーの内側縁と整合するようにし、他方、少なくとも1個のタンブラーの鍵通し孔の隅部に、幅方向に突出する逃げ切欠を連設したことを特徴とする。
【0015】
【実施例】
以下、図面を参照してこの発明の実施例について説明する。
図2において符号1は外筒を示し、この外筒1の内周面には、その母線方向に沿って、かつ外筒1の中心軸線に関して対称的な2ヵ所にタンブラー係止溝2、2が形成されている。
【0016】
上記外筒1の内孔には、内筒3が回転自在に嵌合している。図示の実施例における内筒3は、図面を明瞭にするため、例えば鋳造により円柱体に多数のスリットを形成した構造となっている。
【0017】
そして、この内筒3は、所定の間隔を保って中心軸線方向に積層された複数の仕切板4、4を有しており、また、内筒3の中心軸線に沿って鍵孔5が貫通している。
【0018】
上記仕切板4、4の間に形成された複数のスロット6、6の夫々には、
大体の形状が小判形のタンブラー9が挿設され、鍵孔5に挿通される合鍵7の幅方向(図1で左右方向)に移動可能に案内されている。
【0019】
これらのタンブラー9、9は、圧縮コイルばねとしてのタンブラーばね10の弾力により、一端(図1に示すものは左端)がタンブラー係止溝2に係入される方向に付勢されている。
【0020】
そして、各タンブラー9の中央部には、図1に示すように、鍵孔5を包囲する大きさの鍵通し孔11が夫々鍵幅方向において位置を違えて開口していて、鍵孔5に合鍵7(図3参照)が挿入されたとき、鍵通し孔の係合端縁11aと合鍵の側端縁に形成された鍵溝とを係合させて、各タンブラー9の端縁をシアーライン(内筒と外筒の接合部横断面線)に整合させるようにしている。
【0021】
上記した構成は、従来周知のディスクタンブラー錠の構成であるが、この発明においては、上記の構成に加えて、所謂レバータンブラー錠(ロータリーディスクタンブラー錠)の構成を加えた複合シリンダ錠を構成している。
【0022】
すなわち、前記タンブラー係止溝2からほぼ90度ずれた角度位置における外筒内周面の母線に沿って、横断面形状がV字形のカム溝13が形成されている。
【0023】
なお、此でカム溝13の角度位置を、外筒におけるカム溝底の角度位置に定める。
【0024】
また、タンブラー係止溝2の角度位置を、外筒の中心軸Oを通り、タンブラー9の移動方向の線分が外筒と交わる位置をいうものと定義する。
【0025】
そして、施錠状態(常態)における上記カム溝13には、例えば内側(図1で上側)の横断面形状が凸字形で、下側がV字形のロッキングバー14が係合している。
【0026】
このロッキングバー14は、内筒3のほぼ全長にわたってその母線に沿って延在する杆体で、図1に示すように、内筒の外周部にその母線に沿って形成された横断面凸字形のロッキングバー案内溝15と係合して、内筒の半径方向に移動可能に案内されている。
【0027】
上記ロッキングバー14は、図示しないロッキングバーばねにより、内筒の中心軸線方向に付勢されている。
【0028】
一方、図1に示すように、タンブラー9の側端縁に解錠切欠18が形成されており、鍵孔5に合鍵7が挿入され、タンブラー9の端縁がシアーラインに整合したとき、ロッキングバー14の内側縁がこの解錠切欠18と整合するように、解錠切欠18の形成位置が設定されている。
【0029】
また、図2に示すように、少なくとも1個のタンブラー9の鍵通し孔11の隅部に、幅方向に突出する逃げ切欠19が連設されている。
【0030】
上記のように構成されたこの発明の一実施例による複合シリンダ錠は、施錠状態では、図1に示すように、タンブラー9の一端がタンブラー係止溝2に係入すると共に、ロッキングバー14の内側縁がタンブラーの側端縁に突っ張っているので、内筒3を外筒1に対して相対的に回動させることができない。
【0031】
一方、正規の合鍵を鍵孔に挿入したときには、タンブラー9の両端がシアーラインに揃うと共に、ロッキングバー14の内側縁が解錠切欠18に係入可能に臨む位置に来る。
【0032】
この状態で合鍵7を介して内筒3を回せば、一端をタンブラー係止溝2に係止されていたタンブラー9は自由になるから内筒が回転できるようになる。
【0033】
と同時に、外筒1と内筒3との相対回動により、カム溝13とロッキングバー14の外側縁との間に楔作用が生じ、ロッキングバー14がカム溝13から押出されるようにして内筒中心方向に移動する。
【0034】
このとき、上記したようにロッキングバー14の内側縁と施錠片の解錠切欠18とは整合しているから、解錠切欠18へのロッキングバー14の進入という形態でロッキングバーとカム溝との相互作用が進み、ついには、図3に示すように、ロッキングバー14の外側縁が外筒1の内周面に乗り上がり、このようにしてこの発明による複合シリンダ錠が解錠される。
【0035】
上記のように、この発明による複合シリンダ錠の作動は、外見上通常のディスクタンブラー錠と変るところは無い。
【0036】
また、ロータリーディスクタンブラー機構を組込んだことにより鍵違いが増大するということもない。
【0037】
しかしながら、この発明による複合シリンダ錠は、図1及び図2から明らかなように、インプレッションによる合鍵の不正複製を行おうとして鍵孔5にブランキー16を挿入し、ブランキーを介して内筒を回動させてブランキーに圧痕を形成しようとしても、ブランキー16の側端縁部と鍵通し孔11の開口端縁との間に逃げ切欠19が存在しているので、両者を接触させることができず、したがって圧痕も生じない。
【0038】
なお、逃げ切欠19の形状は、図2のような矩形に限らず、例えば図4に示すように細長い三角形にして、鍵通し孔11の全体の形状を鼓形にしてもよい。
【0039】
また、逃げ切欠を連設した鍵通し孔11の形状は、図2及び図4に示すように必ずしも上下左右対称にする必要はなく、タンブラーの付勢方向等に応じて、必要な箇所にのみ逃げ切欠を設け、非対称にしてもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明は、複合シリンダ錠の少なくとも1個のタンブラーの鍵通し孔の隅部に、幅方向に突出する逃げ切欠を連設したから、ブランキーを鍵孔に挿入してのインプレッションを完全に防止することができる、という所期の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の複合シリンダ錠におけるインプレッションを説明するための線図的一部断面図。
【図2】この発明の一実施例による複合シリンダ錠のタンブラーの平面図。
【図3】従来の複合シリンダ錠のスロット部分の横断面図で、解錠状態を示す。
【図4】この発明の他の実施例による複合シリンダ錠のタンブラーの平面図。
【符号の説明】
1 外筒
2 タンブラー係止溝
3 内筒
4 仕切板
5 鍵孔
6 スロット
7 合鍵
9 タンブラー
10 タンブラーばね
11 鍵通し孔
11a 係合端縁
13 カム溝
14 ロッキングバー
15 ロッキングバー案内溝
18 解錠切欠
19 逃げ切欠
Claims (1)
- 内周面に母線に沿うタンブラー係止溝を形成した外筒と、この外筒と回転自在に嵌合し、所定の間隔を保って回転軸線方向に積層された複数の仕切部材を設けると共に、回転軸線に沿って鍵孔を貫通させた内筒とを有し、この内筒の仕切部材の間に形成された各スロットには、夫々鍵孔に挿通される合鍵の幅方向に摺動可能に案内され、上記タンブラー係止溝に係入する方向に付勢されたタンブラーを挿設し、各タンブラーの中央部には、上記鍵孔を包囲し得る大きさの鍵通し孔を夫々位置を違えて開口させ、この鍵通し孔の開口端縁と鍵孔に挿通された合鍵の鍵溝とを係合させて各タンブラーの端縁をシアーラインに整合させるようにしたものにおいて、上記タンブラー係止溝からほぼ90度ずれた角度位置における外筒内周面の母線に沿ってカム溝を形成し、このカム溝に、内筒の母線に沿って延在し、内筒の外周部において半径方向に移動可能に案内されると共に、外側縁が外方に突出する方向に付勢されたロッキングバーを係合させ、一方、ロッキングバーの内側縁に対向するタンブラーの側端縁に解錠切欠を形成して、タンブラー群の夫々が鍵孔に挿通された合鍵の対応する鍵溝と係合したとき、各タンブラーの解錠切欠がロッキングバーの内側縁と整合するようにし、他方、少なくとも1個のタンブラーの鍵通し孔の隅部に、幅方向に突出する逃げ切欠を連設したことを特徴とする複合シリンダ錠。
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