JP4072825B2 - 可変レバータンブラー錠のタンブラー - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
この発明は、可変レバータンブラー錠のタンブラー(以下単にタンブラーという)に係り、特に、本出願人が先に提案した新規な可変レバータンブラー錠の防犯性能を向上させ得るタンブラーに関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特願2001−379268
【特許文献2】
特願2002−014274
【特許文献3】
特願2002−113868
【特許文献4】
特願2002−119781
【特許文献5】
特願2002−131568
本出願人は、先に、上記特許文献1〜5を以て、新規な可変レバータンブラー錠を提案した。
【0003】
これらの可変レバータンブラー錠は、レバータンブラー錠の各レバータンブラーを、略C字形で相互に重合するタンブラーAとタンブラーBとを組合わせたものとする一方、支軸をその両端に突設した偏芯軸の軸線回りを回動できるように支承し、一端を支軸に遊嵌させたタンブラーAには合鍵の鍵溝との係合部を形成すると共に、これを合鍵と干渉する方向に付勢し、また、一端を支軸に回動自在に嵌合させたタンブラーBの自由端部外側端縁に解錠切欠を形成すると共に、タンブラーAの合鍵側端縁との係合部と重合する部分を合鍵と干渉しないように成形し、一方、タンブラーAの自由端部内側縁部のタンブラーBと対向する側に係合突起を、また、タンブラーBの内側縁部には支軸を中心とする円弧上にタンブラーAの係合突起と係合可能な係合凹部の複数を夫々形成すると共に、係合凹部の形成角度位置を、合鍵の側端縁に形成された複数種類の深さの鍵溝にタンブラーAの係合部が夫々係合したとき、その係合突起と整合するように設定し、他方、支軸を外方に付勢する一方、内筒の内端部に、内筒の半径方向に移動可能で、外部から操作可能なスイッチ部材を支軸の外側からこれに当接可能に設けたものである。
【0004】
そして、この発明を理解するためには、上記可変レバータンブラー錠の構造、特にその支持機構を理解する必要があるが、その構造は上記各特許文献に記載されているので、ここでは簡単に説明する。
【0005】
図1において符号1はレバータンブラーを示し、このレバータンブラー1を、略C字形で相互に重合するタンブラーA1AとタンブラーB1Bとを組合わせたものとする一方、図で上方に付勢された支軸2をその両端に突設した偏芯軸3(図2参照)の軸線回りを回動できるように支承する。
【0006】
なお、図1においてタンブラーB1Bにハッチングを施したのはタンブラーA1Aと紛れないようにしただけであって、実際にハッチングが施されているわけではない。図1においてはタンブラーB1Bが手前側に、タンブラーA1Aはその裏側に配置されている。
【0007】
また、図1に示すタンブラーA1AのC字形はその開口端が相互に接続されているが、これはタンブラーの剛性を高めるためであって、このようにC字形の開口端を接続したものもC字形の概念に含めるものとする。
【0008】
一方、一端を縦長の逃げ孔4を介して支軸2に遊嵌させたタンブラーA1Aには、合鍵5の鍵溝6との係合部7を形成すると共に、これを合鍵5と干渉する方向、図1では反時計方向に付勢し、また、一端を支軸に回動自在に嵌合させたタンブラーB1Bの自由端部外側端縁に解錠切欠8を形成すると共に、タンブラーA1Aの合鍵側端縁との係合部7と重合する部分を合鍵と干渉しないように成形する。
【0009】
他方、タンブラーA1Aの自由端部内側縁部のタンブラーB1Bと対向する側に係合突起9を、また、タンブラーB1Bの内側縁部には支軸2を中心とする円弧上にタンブラーAの係合突起9と係合可能な係合凹部11の複数を夫々形成すると共に、係合凹部11の形成角度位置を、合鍵5の側端縁に形成された複数種類の深さの鍵溝6にタンブラーAの係合部が夫々係合したとき、その係合突起と整合するように設定する。
【0010】
図1は一の合鍵を鍵孔に差込んだ状態を示し、したがって解錠切欠8がロッキングバー12と角度的に整合している。
【0011】
この状態で、図2及び図3に示すように、シリンダの内端側から変換ピン13を挿入して、スイッチ部材14及び支軸2の内端に嵌装されたスペーサリング15を介して支軸2に矢印方向、すなわち下向きの力を印加すると、支軸2は偏芯軸3の中心軸cの回りを反時計方向に回動する。
【0012】
なお、図1はタンブラー1をシリンダの内端側から見ているので、図1においては、支軸2は上記中心軸cの回りを時計方向に回動する。
【0013】
その結果、支軸2はタンブラーA1Aの一端に形成された前記縦長の逃げ孔4を遊嵌するので、タンブラーAを図1の位置に残した状態でタンブラーB11Bのみを下降させる(図示せず)。
【0014】
図1から明らかなように、解錠切欠8とロッキングバー12とは角度的に整合しているから、上記タンブラーB1Bの下降は可能であり、タンブラーA1Aの係合突起9は係合凹部11から抜き外される。
【0015】
この状態では一の合鍵を抜くことができるので、一の合鍵を鍵孔から抜くと、タンブラーA1Aはその付勢力により図1で反時計方向に回動するが(図示せず)、他の新たな合鍵を挿入することにより、タンブラーA1Aは図1とは異なる新たな角度位置に迄回動する。
【0016】
この状態で前記変換ピン13(図3参照)を抜いて支軸2を元の位置に戻すと、タンブラーB1Bも連れ動いて図1に示す位置に戻り、このとき係合突起は新たな係合凹部と係合するに致り、タンブラーA1AとタンブラーB1Bとの係合の態様が前とは異なり、したがって鍵違いを変更することができるのである。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1〜5に記載の可変タンブラー錠と雖も通常のレバータンブラー錠と同様に機能し、内筒の鍵孔に合鍵5を挿入して内筒を回動させると、図1の外筒16のカム溝17に定座していたロッキングバー13がカム溝17の斜面との間に生じる楔作用により、内筒中心軸線方向(図1で上方)に移動しようとする。
【0018】
このとき、前タンブラー1、1の解錠切欠8、8の内筒中心軸線回りの角度位置がロッキングバー12と整合していると、ロッキングバー12は外筒内周面に乗り上がり、内筒が回動可能になる。すなわち、レバータンブラー錠は解錠される。
【0019】
しかしながら、鍵孔に挿入された鍵の鍵溝6、6の一つでも合鍵のそれと異なる場合、換言すれば所謂異鍵を鍵孔に挿入した場合、その異なる鍵溝に対応するタンブラーBの自由端部外側端縁のロッキングバー12に対向する部分には解錠切欠8が形成されていない。
【0020】
したがって、この状態で内筒を回すと、ロッキングバー12はその解錠切欠が形成されていないタンブラーBの自由端部外側端縁を上方に押動するので、当該タンブラー1の自由端部は、内筒を中心軸線方向に貫通するバックアップピン18とロッキングバー12との間に強く挟まれる。
【0021】
そのため、図1から明らかなように、バックアップピン18に係止された係合突起9に対し、タンブラーB1Bの弾性変形によってバックアップピン18に近接する方向に移動する係合凹部11が、係合突起9にこれを剪断しようとする大きな力を加える。
【0022】
前記特許文献3にも記載されているように、係合突起9は例えば鍛造加工により突設された直径0.8mm程度の細いものであるから、非常に大きな力で異鍵を回すと、その力が1個の係合突起に集中した場合、絶対に剪断されないと断言することはできない、等未だ改良の余地がある。
【0023】
そこで、この発明は、係合突起に大きな剪断力が印加された場合でも剪断破壊されないタンブラーを提供し、以て可変タンブラー錠の防犯性能を高めることを目的としている。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、レバータンブラー錠の各レバータンブラーを、略C字形で相互に重合するタンブラーAとタンブラーBとを組合わせたものとする一方、支軸をその両端に突設した偏芯軸の軸線回りを回動できるように支承し、一端に開口した逃げ孔を支軸に遊嵌可能に係合させたタンブラーAには合鍵の鍵溝との係合部を形成すると共に、これを合鍵と干渉する方向に付勢し、また、一端を支軸に回動自在に嵌合させたタンブラーBの自由端部外側端縁に解錠切欠を形成すると共に、タンブラーAの合鍵側端縁との係合部と重合する部分を合鍵と干渉しないように成形し、一方、タンブラーAの自由端部内側縁部のタンブラーBと対向する側に係合突起を突設し、また、タンブラーBの内側縁部には支軸を中心とする円弧上にタンブラーAの係合突起と係合可能な係合凹部の複数を等角度間隔で形成すると共に、係合凹部の形成角度位置を、合鍵の側端縁に形成された複数種類の深さの鍵溝にタンブラーAの係合部が夫々係合したとき、その係合突起と整合するように設定したものにおいて、タンブラーBに形成された複数の係合凹部の、支軸に関し時計方向或いは反時計方向における最外側の係合凹部に隣接して、その外側に同じ角度間隔で係合凹部を増設し、一方、タンブラーAにおいて、支軸を中心とし、支軸と係合突起の夫々中心を結ぶ線分を半径とする円弧上の、支軸から見て係合凹部の増設方向に、係合凹部と同じ角度間隔で係合突起を増設したことを特徴とする。
【0025】
【実施例】
以下、この発明の実施例を図4を参照して説明する。
この発明は、要するに、鍵違いを変換するための係合突起を2個にする、ということに尽きる。
【0026】
具体的な構造を説明すると、図4に示すように、タンブラーB1Bにおいて複数(図1の実施例では3個)の係合凹部11、11の支軸2に関し反時計方向において一番外側(図1で一番右)の係合凹部11の右隣にもう1個の係合凹部11を増設する。
【0027】
なお、これは言うまでもないが、図4における4個の係合凹部11、11の角度間隔は一定で、換言すれば、これら4個の係合凹部11、11は等角度間隔で形成されている。
【0028】
一方、タンブラーA1Aにおいて、支軸2を中心とし、支軸2と係合突起9の夫々中心を結ぶ線分を半径とする円弧上の、支軸から見て係合凹部11の増設方向すなわち図4で右側に、係合凹部と同じ角度間隔で係合突起9が増設されている。
【0029】
図4から明らかなように、係合凹部11、11の角度間隔と係合突起9のそれとは同じであり、しかも、係合凹部11及び係合突起9は同じ方向に増設されているから、解錠切欠8の形成角度位置の数を減らすこと無く、係合突起9及び係合凹部11は何時も2個づつ係合する。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明は、タンブラーA、Bが常時2個の係合突起9、9によって連結されるから、鍵孔に異鍵を挿入して強い力で内筒を回動させても、前記した係合突起を剪断しようとする力は分散され、具体的には1/2になるので、実際に係合突起を剪断しようとしてもそれは不可能であり、そのため可変タンブラー錠の錠前としての安全性が格段に向上する、という所期の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の可変タンブラー錠のタンブラーの構造の一例を示す拡大横断面図。
【図2】スイッチ部材による支軸の駆動機構を示す拡大外観斜視図で、常態を示す。
【図3】図2と同様のスイッチ部材による支軸の駆動機構を示す拡大外観斜視図で、変換ピンによりスイッチ部材を駆動した状態を示す。
【図4】この発明の一実施例による可変タンブラー錠のタンブラーの一例を示す拡大横断面図。
【符号の説明】
1 レバータンブラー
1A タンブラーA
1B タンブラーB
2 支軸
3 偏芯軸
4 逃げ孔
5 合鍵
6 鍵溝
7 係合部
8 解錠切欠
9 係合突起
11 係合凹部
12 ロッキングバー
13 変換ピン
14 スイッチ部材
15 スペーサリング
16 外筒
17 カム溝
18 バックアップピン
Claims (1)
- レバータンブラー錠の各レバータンブラーを、略C字形で相互に重合するタンブラーAとタンブラーBとを組合わせたものとする一方、支軸をその両端に突設した偏芯軸の軸線回りを回動できるように支承し、一端に開口した逃げ孔を支軸に遊嵌可能に係合させたタンブラーAには合鍵の鍵溝との係合部を形成すると共に、これを合鍵と干渉する方向に付勢し、また、一端を支軸に回動自在に嵌合させたタンブラーBの自由端部外側端縁に解錠切欠を形成すると共に、タンブラーAの合鍵側端縁との係合部と重合する部分を合鍵と干渉しないように成形し、一方、タンブラーAの自由端部内側縁部のタンブラーBと対向する側に係合突起を突設し、また、タンブラーBの内側縁部には支軸を中心とする円弧上にタンブラーAの係合突起と係合可能な係合凹部の複数を等角度間隔で形成すると共に、係合凹部の形成角度位置を、合鍵の側端縁に形成された複数種類の深さの鍵溝にタンブラーAの係合部が夫々係合したとき、その係合突起と整合するように設定したものにおいて、タンブラーBに形成された複数の係合凹部の、支軸に関し時計方向或いは反時計方向における最外側の係合凹部に隣接して、その外側に同じ角度間隔で係合凹部を増設し、一方、タンブラーAにおいて、支軸を中心とし、支軸と係合突起の夫々中心を結ぶ線分を半径とする円弧上の、支軸から見て係合凹部の増設方向に、係合凹部と同じ角度間隔で係合突起を増設したことを特徴とする可変レバータンブラー錠のタンブラー。
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