JP4710782B2 - 発進装置 - Google Patents

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本発明は、例えば自動車等の車両にあって、エンジンと自動変速機構との間に配設される発進装置に係り、詳しくは、クラッチ及びダンパ装置を備えているものにあって、該クラッチをスリップ制御する発進装置に関する。
一般に、自動変速機を搭載すると共に内燃エンジンを駆動源とする車両にあっては、例えば発進時において駆動車輪の回転が停止状態でかつエンジンが回転状態であるため、それらの差回転を吸収しつつ駆動力を伝達する発進装置が必要である。そして、このような発進装置としては、トルクコンバータ等の流体伝動装置が用いられている。
ところで、上述のトルクコンバータ等の流体伝動装置は流体伝動を行うものであって、上記差回転を吸収して発進した後は、僅かながら伝動ロスが生じるため、エンジンの出力軸と自動変速機構の入力軸を直接係合するロックアップクラッチが設けられているものがある。このようなロックアップクラッチが備えられた流体伝動装置にあっては、ロックアップクラッチが完全係合(ロックアップ)した状態で、エンジンの爆発振動に基づくトルク変動が自動変速機構に入力されることを低減するため、ダンパ装置が設けられている。
このようなダンパ装置にあって、ロックアップクラッチの係合中に上記トルク変動をより良く吸収するためにはヒステリシスを小さくする方が良く、ダンパ装置のスプリングの中央部がスプリング保持部に接触することを回避することで、ダンパ装置としてのヒステリシスの低減を図ったものが提案されている(特許文献1参照)。
一方、ロックアップクラッチは、係合・解放する際や自動変速機構において変速を行う際等にスリップ制御を行い、係合ショックや変速ショックの低減を図るものが主流になりつつある。そして、このロックアップクラッチのスリップ制御中に生じ易いジャダー振動を抑制するため、該ロックアップクラッチの摩擦材に環状の溝を形成し、その滑りを安定させることで、ジャダー振動の発生抑制を図ったものが提案されている(特許文献2参照)。
特開2005−188662号公報 特開2006−37991号公報
ところで、上記ロックアップクラッチのスリップ制御中に生じるジャダー振動の発生は、上述のダンパ装置の自励振動が大きな要因であり、該ダンパ装置の減衰特性が大きい方が、即ちダンパ装置のヒステリシスが大きい程、その減衰作用によってジャダー振動の抑制が可能となる。しかしながら、上述したようにロックアップクラッチの係合中にあっては、ダンパ装置のヒステリシスが小さい方が上記トルク変動吸収に対して好ましい。つまり、ダンパ装置のヒステリシスを大きくするとロックアップクラッチの係合中におけるトルク変動吸収が悪化し、反対にダンパ装置のヒステリシスを小さくするとロックアップクラッチのスリップ制御中におけるジャダー振動の抑制が悪化するという、相反する問題があった。
そこで本発明は、クラッチの係合中のトルク変動吸収とスリップ制御中のジャダー振動の発生防止との両立を可能にする発進装置を提供することを目的とするものである。
請求項1に係る本発明は(例えば図1乃至図参照)、エンジンの出力軸に接続されたポンプインペラ(13)と、自動変速機構の入力軸(61)に接続されたタービンランナ(15)と、を有するトルクコンバータ(10)と、
油圧制御により係脱され、前記エンジンの出力軸と前記自動変速機構の入力軸(61)との間に介在するロックアップクラッチ(30)と、
弾性部材(44)によりダンパ作用を生じさせるダンパ部(49)と、前記エンジンの出力軸(例えば3)からの回転力を前記ダンパ部(49)に作用させるエンジン側部材(41,42)と、前記ダンパ部(49)を介した回転力を前記自動変速機構の入力軸(例えば61)に作用させる入力軸側部材(45,17)と、を有するダンパ装置(40)と、を備え、
前記ロックアップクラッチ(30)の係合制御とスリップ制御とを行う発進装置(1)において、
前記エンジン側部材(41,42)と前記入力軸側部材(45,17)との間に介在する摩擦部材(52)を有すると共に、該摩擦部材(52)によって前記エンジン側部材(41,42)と前記入力軸側部材(45,17)との摩擦接触状態を変更する摩擦接触機構(50)を備え、
前記摩擦接触機構(50)は、前記ロックアップクラッチ(30)の係脱に応じて前記エンジン側部材(41,42)と前記入力軸側部材(45,17)との摩擦接触を接触または非接触するにように構成され、前記ロックアップクラッチ(30)のスリップ制御時に前記エンジン側部材(41,42)と前記入力軸側部材(45,17)との摩擦接触状態を接触状態とし、かつ前記ロックアップクラッチ(30)の係合制御時に前記エンジン側部材(41,42)と前記入力軸側部材(45,17)との摩擦接触状態を非接触状態にする自動切離し手段(例えば51,53,55,a3,a4)を有して、前記ロックアップクラッチ(30)のスリップ制御中に前記ロックアップクラッチ(30)の係合制御中よりも前記ダンパ装置(40)のヒステリシスを増大させてなり、
前記自動切離し手段は、ロックアップ係合圧(Pon)及びロックアップ排出圧(Pex)を対向して受圧すると共に該ロックアップ係合圧(Pon)を受圧する側(51a)に前記摩擦部材(52)が配設されたピストン(51)と、前記ピストン(51)に前記ロックアップ排出圧(Pex)を作用させる油室(55)と、該油室(55)に前記ロックアップ排出圧(Pex)を連通するバイパス油路(a3,a4)と、を備え、前記ロックアップクラッチ(30)の係合制御時に、前記ロックアップ係合圧(Pon)が前記ロックアップ排出圧(Pex)よりも大きくなって前記ピストン(51)が移動し、前記摩擦部材(52)と前記接触部分(42a)との押付を切離すことにより、前記摩擦部材(52)を自動的に非接触状態にする、
ことを特徴とする発進装置(1)にある。
請求項に係る本発明は(例えば図1乃至図3参照)、前記自動切離し手段は、前記ピストン(51)を該ロックアップ排出圧(Pex)を受圧する側(51b)から付勢して前記摩擦部材(52)を接触部分(42a)に押付する付勢部材(53)と、を備え、前記ロックアップクラッチ(30)の係合制御時に、前記ロックアップ係合圧(Pon)が前記ロックアップ排出圧(Pex)及び付勢部材(53)の付勢力よりも大きくなって前記ピストン(51)が移動し、前記摩擦部材(52)と前記接触部分(42a)との押付を切離すことにより、前記摩擦部材(52)を自動的に非接触状態にする、
ことを特徴とする請求項記載の発進装置(1)にある。
請求項に係る本発明は(例えば図4参照)、エンジンの出力軸(例えば3)と自動変速機構の入力軸(例えば61)との間に介在し、シリンダ(134a)と、該シリンダ(134a)に対して軸方向に移動自在なピストン(135)と、該シリンダ(134a)と該ピストン(135)との間に形成された油室(136)と、該油室(136)に供給された油圧に基づき該ピストン(135)の軸方向の移動によって押圧係合される摩擦板(131)と、を有して、車両の発進時に係合制御される発進クラッチ(130)と、
弾性部材(144A,144B)によりダンパ作用を生じさせるダンパ部(149)と、前記エンジンの出力軸(3)からの回転力を前記ダンパ部(149)に作用させるエンジン側部材(141,142)と、前記ダンパ部(149)を介した回転力を前記自動変速機構の入力軸(161)に作用させる入力軸側部材(145)と、を有するダンパ装置(140)と、を備え、
前記発進クラッチ(130)の係合制御とスリップ制御とを行う発進装置(100)において、
前記エンジン側部材(141,142)と前記入力軸側部材(145)との間に介在する摩擦部材(152)を有すると共に、該摩擦部材(152)によって前記エンジン側部材(141,142)と前記入力軸側部材(145)との摩擦接触状態を変更する摩擦接触機構(150)を備え、
前記摩擦接触機構(150)は、前記発進クラッチ(130)の係脱に応じて前記エンジン側部材(141,142)と前記入力軸側部材(145)との摩擦接触を接触または非接触するにように構成され、前記発進クラッチ(130)のスリップ制御時に前記エンジン側部材(141,142)と前記入力軸側部材(145)との摩擦接触状態を接触状態とし、かつ前記発進クラッチ(130)の係合制御時に前記エンジン側部材(141,142)と前記入力軸側部材(145)との摩擦接触状態を非接触状態にする自動切離し手段(例えば151,154)を有して、前記発進クラッチ(130)のスリップ制御中に前記発進クラッチ(130)の係合制御中よりも前記ダンパ装置(140)のヒステリシスを増大させてなり、
前記自動切離し手段は、前記シリンダ(134a)側に前記摩擦部材(152)を付勢して接触部分(153a)に押付すると共に軸方向に弾性変形自在な変形可能部材(151)と、前記ピストン(135)に配設されると共に前記摩擦板(131)を押圧して前記係合制御される状態で前記変形可能部材(151)に当接して押圧変形させる押圧部材(154)と、を備え、前記発進クラッチ(130)の係合制御時に、前記押圧部材(154)が前記変形可能部材(151)を変形させて前記摩擦部材(152)と前記接触部分(153a)との押付を切離すことにより、前記摩擦部材(152)を自動的に非接触状態にする、
ことを特徴とする発進装置(100)にある。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
請求項1に係る本発明によると、ロックアップクラッチのスリップ制御中にロックアップクラッチの係合制御中よりもダンパ装置のヒステリシスを増大させる摩擦接触機構を備えたので、ロックアップクラッチのスリップ制御中にあってはダンパ装置のヒステリシスが大きくなるため、スリップ制御中のジャダー振動の発生防止を図ることができ、かつ、ロックアップクラッチの係合制御中にあってはダンパ装置のヒステリシスが小さいため、エンジンの爆発振動に基づくトルク変動を良好に吸収することができ、つまり、ロックアップクラッチの係合中のトルク変動吸収とスリップ制御中のジャダー振動の発生防止との両立を可能にすることができる。また、自動切離し手段によって、ロックアップクラッチのスリップ制御中に、摩擦部材を自動的に接触状態とするものでありながら、ロックアップクラッチの係合制御時に、ロックアップ係合圧がロックアップ排出圧よりも大きくなってピストンが移動し、摩擦部材と接触部分との押付を切離して摩擦部材を自動的に非接触状態にすることができる。さらに、自動切離し手段が、ピストンにロックアップ排出圧を作用させる油室と、該油室にロックアップ排出圧を連通するバイパス油路とを備えているので、特に電気的制御や特別な油圧制御を行う複雑な装置を追加することを不要とすることができ、ロックアップクラッチの係合制御時に摩擦部材を自動的に非接触状態にすることを、簡単な構成で可能とすることができる。
請求項に係る本発明によると、ロックアップクラッチのスリップ制御中に、付勢部材の付勢力によって摩擦部材を自動的に接触状態とするものでありながら、ロックアップクラッチの係合制御時に、ロックアップ係合圧がロックアップ排出圧及び付勢部材の付勢力よりも大きくなってピストンが移動し、摩擦部材と接触部分との押付を切離して摩擦部材を自動的に非接触状態にすることができる。
請求項に係る本発明によると、発進クラッチのスリップ制御中に発進クラッチの係合制御中よりもダンパ装置のヒステリシスを増大させる摩擦接触機構を備えたので、発進クラッチのスリップ制御中にあってはダンパ装置のヒステリシスが大きくなるため、スリップ制御中のジャダー振動の発生防止を図ることができ、かつ、発進クラッチの係合制御中にあってはダンパ装置のヒステリシスが小さいため、エンジンの爆発振動に基づくトルク変動を良好に吸収することができ、つまり、発進クラッチの係合中のトルク変動吸収とスリップ制御中のジャダー振動の発生防止との両立を可能にすることができる。また、発進クラッチのスリップ制御中に、変形可能部材の付勢力によって摩擦部材を自動的に接触状態とするものでありながら、発進クラッチの係合制御時に、押圧部材が変形可能部材を変形させて摩擦部材と接触部分との押付を切離して摩擦部材を自動的に非接触状態にすることができる。
<第1の実施の形態>
以下、本発明に係る第1の実施の形態を図1乃至図3に沿って説明する。
まず、本発明に係る発進装置1について図1を参照しつつ説明する。なお、図1に示す発進装置1においては、説明の便宜上、例えばFR(フロントエンジン・リヤドライブ)タイプの車両において前後方向に搭載されたものとして、図中方側を「前方側」、方側を「後方側」というが、勿論これに限らず、例えばFF(フロントエンジン・フロントドライブ)タイプの車両のように左右方向に搭載されるものであっても構わず、つまり搭載される車両の駆動方式を限定するものではない。
図1に示すように、ロックアップクラッチ機構付トルクコンバータである発進装置1は、例えば図示を省略した自動変速機構及び油圧制御装置と共に自動変速機の一部を構成するものであって、自動変速機のハウジングケース5内に収納されて構成されている。該発進装置1は、エンジンの出力軸(クランク軸)に接続されるフロントカバー11と詳しくは後述するトルクコンバータ10のポンプカバー12とによりカバー2を形成しており、そのカバー2内の空間2aに、トルクコンバータ10、ロックアップクラッチ30、ダンパ装置40、及び本発明の要部となる自動摩擦接触機構(ヒステリシス変更手段、摩擦接触機構)50が備えられている。
フロントカバー11は、前方側の中心部分に、エンジンの出力軸の端部に形成されたドライブプレート(不図示)に嵌合するセンターピース11bと、外周部分に、複数のセットブロック11aとが配設されており、それらセンターピース11bとセットブロック11aとを介してエンジンの出力軸に接続されている。また、該フロントカバー11の外周側端部には、上述のポンプカバー12が溶接により固着されている。
上記トルクコンバータ10は、大まかに、ポンプインペラ13と、該ポンプインペラ13に対抗配置されたタービンランナ15と、それらの間に配置され、ワンウェイクラッチ20に接続されたステータ14とを有しており、内部10aにオイルが満たされて油密状となるように構成されている。ポンプインペラ13は、上記フロントカバー11に固着されたポンプカバー12内に一体的に配設されており、つまりフロントカバー11(エンジンの出力軸)と一体に回転するように構成されている。また、該ポンプカバー12は、内周側に支持カバー63が固着されており、該支持カバー63が後述のワンウェイクラッチ20を内包している。更に、該支持カバー63の後端側は、図示を省略した自動変速機構のオイルポンプの駆動軸に接続されていると共に、該オイルポンプのポンプボディ71を介して上記ハウジングケース5ないし不図示のミッションケースに対して、回転自在に支持されている。
タービンランナ15は、タービンカバー16内に一体的に配設されており、その内周側が、後述するダンパ装置40のドリブンプレート45と共にピン18を介してフランジ部材17に接続されている。該フランジ部材17は、内周側が自動変速機構の入力軸61にスプライン係合しており、つまりタービンランナ15は、自動変速機構の入力軸61に対して回転接続されている。
上記ワンウェイクラッチ20は、アウターレース23とインナーレース21とそれらの間に介在し、インナーレース21に対してアウターレース23の回転を一方向のみに規制するスプラグ機構22とからなり、上記ステータ14が、該アウターレース23に接続されている。また一方のインナーレース21は、後方側が上記ポンプボディ71に固定された(つまりハウジングケースに固定された)ステータシャフト62にスプライン係合して回転方向に対して固定されている。なお、ワンウェイクラッチ20は、上記支持カバー63との間に介在されたスラストベアリングb1により軸方向に支持され、かつフロントカバー11に対してスラストベアリングb3により軸方向に支持されたフランジ部材17とスラストベアリングb2とを介して軸方向に支持されている。また、上記ステータシャフト62と上記支持カバー63との間には、油路a1が形成されており、該油路a1は、上記スラストベアリングb1を介して上述のカバー2内の空間2aに連通されている。
そして、上記ステータ14は、ポンプインペラ13とタービンランナ15との速度差が大きい状態にあってワンウェイクラッチ20により回転が固定され、ポンプインペラ13の回転により前方側に送られたオイルの流れを受け止めつつ流れ方向を換えてタービンランナ15に送り、該タービンランナ15により大きなトルクを伝達する(トルク増大効果)。また、ポンプインペラ13とタービンランナ15との速度差が小さくなると、ワンウェイクラッチ20によりステータ14の回転固定が自動的に解除され、ポンプインペラ13より送られたオイルの流れを阻害することなく略々その方向のままタービンランナ15に送り、ポンプインペラ13とタービンランナ15とが共に連れ回る状態にする。
一方、上記フロントカバー11の背面側には、ロックアップクラッチ30が配設されている。該ロックアップクラッチ30は、クラッチ板31を有しており、該クラッチ板31は、内周側が上記フランジ部材17に対してシールリングc1によりシールされて上記空間2aと後述する空間2bとを隔てていると共に摺動自在に嵌合されて、つまり軸方向に移動自在に構成されている。また、該クラッチ板31の外周前方側には、上記フロントカバー11の背面に対向する摩擦材32が固着して形成されている。そして、該クラッチ板31の外周側端部31aは、櫛歯状に形成されており、後述のドライブプレート41,42の外周側端部に形成されたスプライン歯に係合して、つまりドライブプレート41,42に対して軸方向に移動自在に構成されていると共に回転方向に接続されている。
上記ダンパ装置40は、上記2枚のドライブプレート41,42と、ドリブンプレート45と、ダンパスプリング(弾性部材)44で構成されるダンパ部49とを備えている。該ドライブプレート41,42は、ピン43により締結されていると共にドリブンプレート45を挟持する形で該ドリブンプレート45に摺動自在に支持されており、上述したようにロックアップクラッチ30のクラッチ板31にスプライン係合して、つまりフロントカバー11(エンジンの出力軸)に回転接続されている。従って、ドライブプレート41,42がダンパ装置40のエンジン側部材として構成されている。
また、該ドライブプレート41,42は、それらの間に長穴形状の収納空間46を形成しており、該収容空間46に上記ダンパスプリング44が収納されている。該ダンパスプリング44は、一端が該ドライブプレート41,42に当接すると共に他端がドリブンプレート45に当接するように縮設されることでダンパ部49を構成しており、つまりエンジンの出力軸からドライブプレート41,42に伝達される回転力は、ダンパ部49を介してドリブンプレート45に伝達される。そして、ドリブンプレート45の内周側は、上記ピン18を介してフランジ部材17に締結されており、つまり該ドリブンプレート45と自動変速機構の入力軸61とが回転接続されている。従って、ドリブンプレート45及びフランジ部材17がダンパ装置40の入力軸側部材として構成されている。
上記自動変速機構の入力軸61は、上記ステータシャフト62に回転自在に支持されていると共に、先端外周側のスプライン部分において上記フランジ部材17にスプライン係合している。また、該入力軸61のスプライン部分の後側には、精度良く平滑に加工された外周面61aが形成されていると共に、上記フランジ部材17の内周後方側には、同じく精度良く平滑に加工された内周面17bが形成されており、該外周面61aと該内周面17bとが精度良く嵌合されている。該入力軸61の中心には、油路a2が形成されており、該油路a2の前方端部は開口されて、上記スラストベアリングb3を介してフロントカバー11とロックアップクラッチ30のクラッチ板31との間の空間2bに連通されている。また、該油路a2には、上記外周面61aから内周側に向けて穿設された油路a3が連通されており、該油路a3が上記内周面17bから外周側に向けて穿設された油路a4に連通されて、詳しくは後述するバイパス油路を構成している。
上記トルクコンバータ10による動力伝達時、即ちロックアップクラッチ30の解放制御時にあっては、例えば図示を省略した制御部(ECU)における判定に基づき電子制御された不図示の油圧制御装置から、上記入力軸61の油路a2にロックアップオフ圧Poffが供給され、該ロックアップオフ圧Poffが上記フロントカバー11とロックアップクラッチ30のクラッチ板31との間の空間2bに供給されて、クラッチ板31を後方側に押圧し、摩擦材32をフロントカバー11より切離して、つまりロックアップクラッチ30を解放状態にする。また、該空間2bに供給されたロックアップオフ圧Poffは、上記カバー2内の空間2aに排出され、該空間2a及びトルクコンバータ10の内部10aを油蜜状に維持すると共に、該トルクコンバータ10の内部10a及び油路a1を介して不図示の油圧制御装置のオイルパンに向けて排出される。
一方、ロックアップクラッチ30のスリップ制御時ないし係合制御時にあっては、例えば図示を省略した制御部(ECU)における判定に基づき電子制御された不図示の油圧制御装置から、上記油路a1にロックアップオン圧Ponが供給され、トルクコンバータ10の内部10aを介して上記カバー2内の空間2aに供給される。該空間2a内に供給されたロックアップオン圧(ロックアップ係合圧)Ponは、当初、上記空間2b及び油路a2を介してそのままロックアップ排出圧Pexとして不図示のオイルパンに排出されるが、空間2aと空間2bとの差圧により徐々にクラッチ板31が前方側に移動して、摩擦材32をフロントカバー11に当接・押圧を開始し、上記油圧制御装置による上記ロックアップオン圧Ponの調整(つまりスリップ制御油圧)により空間2aと空間2bとの差圧が調整される形で、摩擦材32とフロントカバー11とのスリップ状態、即ちロックアップクラッチ30のスリップ状態が制御される。
更に、ロックアップオン圧Ponが上昇されると(つまり完全係合油圧まで上昇されると)、空間2aと空間2bとの差圧が大きくなると共に、フロントカバー11に対する摩擦材32の押圧が強まり、つまりロックアップクラッチ30が係合状態に制御される。このロックアップクラッチ30の係合状態にあって、ロックアップ排出圧Pexは、特に摩擦材32によりフロントカバー11とクラッチ板31との間が遮断され、かつシールリングc1によりクラッチ板31がフランジ部材17に対してシールされているため、急激に低圧状態に下降される。
その後、ロックアップクラッチ30を解放する際は、上述したようにロックアップオフ圧Poffを空間2bに供給すると共に油路a1から排出することで、上述したロックアップクラッチ30の解放状態に制御される。なお、ここでは、ロックアップクラッチ30のスリップ制御の後に係合制御を行うような説明を行ったが、これに限らず、当初よりロックアップオン圧Ponを所定の係合圧で供給することで、スリップ制御を行うことなく(意図したスリップ状態にすることなく)、ロックアップクラッチ30の係合を行うことも可能である。
ついで、本発明の要部となる自動摩擦接触機構50について詳細に説明する。自動摩擦接触機構50は、上記フランジ部材17に形成されたシリンダ部54と、該フランジ部材17に対して軸方向に移動自在に配設されたピストン(自動切離し手段)51と、該シリンダ部54と該ピストンとの間に縮設された皿ばね(自動切離し手段、付勢部材)53と、該ピストン51に前方側端面51aに固着され、上記ドライブプレート42の内周部(接触部分)42aに対向配置された摩擦部材52と、該ピストン51と該シリンダ54との間に形成された油室(自動切離し手段)55と、油路a3,a4により形成された油路a2と油室55とのバイパス油路と、を有して構成されている。
ピストン51は、外周部分が櫛歯状に形成された係合部51cとなっており、同様に櫛歯状に形成された上記フランジ部材17の係合部17aに交互に係合して、該フランジ部材17に対して回転方向に固定されると共に軸方向に移動自在に構成されている。また、ピストン51の前方側端面51aは、上記空間2aの一部である空間2cに露出しており、該前方側51aが上記ロックアップオン圧Ponを受圧する側となっている。一方、ピストン51の後方側端面51bは、上記皿ばね53の前方側への付勢力を受圧すると共に油室55の油圧を受圧するようになっており、つまり上記バイパス油路a3,a4を介してロックアップ排出圧Pexを受圧する側となっている。
そして、上記皿ばね53の付勢力は、上述したロックアップクラッチ30のスリップ制御中にあって、上記前方側端面51aに受圧するロックアップオン圧Ponよりも、該皿ばね53の付勢力と後方側端面51bに受圧するロックアップ排出圧Pexとの合計が大きくなり、上述したロックアップクラッチ30の係合制御中にあって、該皿ばね53の付勢力と後方側端面51bに受圧するロックアップ排出圧Pexとの合計よりも、上記前方側端面51aに受圧するロックアップオン圧Ponが大きくなるような付勢力に設定されている。言い換えると、ロックアップクラッチ30のスリップ制御中におけるロックアップオン圧Ponとロックアップ排出圧Pexとの差圧では該皿ばね53が変形せず、ロックアップクラッチ30の係合制御中における上記スリップ制御時よりも上昇されたロックアップオン圧Ponと上記スリップ制御時よりも下降されたロックアップ排出圧Pexとの差圧によって該皿ばね53が変形し、ピストン51が後方側に移動するように構成されている。
これにより、上記ロックアップクラッチ30のスリップ制御中にあっては、摩擦部材52がドライブプレート42の内周部42aに押付けられて摩擦接触し、ドライブプレート41,42とドリブンプレート45との間の(摩擦)抵抗を上昇することで、つまりダンパ装置40としてのヒステリシスを増大する。また、上記ロックアップクラッチ30の係合制御中にあっては、上記ロックアップオン圧Ponとロックアップ排出圧Pexとの差圧に基づき、皿ばね53が変形してピストン51が後方側に退避する形で移動して、ドライブプレート42の内周部42aに対する摩擦部材52の押付が自動的に切離され、つまりダンパ装置40としてのヒステリシスがダンパ部49だけのヒステリシスとなって、ヒステリシスがスリップ制御時に比して小さくなる。
以上説明したように本発明の第1の実施の形態に係る発進装置1によると、ロックアップクラッチ30のスリップ制御中に該ロックアップクラッチ30の係合制御中よりもダンパ装置40のヒステリシスを増大させる自動摩擦接触機構50を備えたので、ロックアップクラッチ30のスリップ制御中にあってはダンパ装置40のヒステリシスが大きくなるため、スリップ制御中のジャダー振動の発生防止を図ることができ、かつ、ロックアップクラッチ30の係合制御中にあってはダンパ装置40のヒステリシスが小さいため、エンジンの爆発振動に基づくトルク変動を良好に吸収することができ、つまり、ロックアップクラッチ30の係合中のトルク変動吸収とスリップ制御中のジャダー振動の発生防止との両立を可能にすることができる。
また、自動摩擦接触機構50は、ドライブプレート42とドリブンプレート45との間に介在する摩擦部材52によって、それらドライブプレート42とドリブンプレート45との摩擦接触状態を変更する機構であるので、特にロックアップクラッチ30のスリップ制御中にあって、摩擦部材52によってドライブプレート42とドリブンプレート45とを摩擦接触させることでダンパ装置40のヒステリシスを増大させることができ、ロックアップクラッチ30の係合制御中にあって、ドライブプレート42とドリブンプレート45とを非接触にすることでダンパ装置40本来のヒステリシスだけにすることができる。
更に、自動摩擦接触機構50は、ロックアップクラッチ30のロックアップ係合圧Ponのスリップ制御油圧によりドライブプレート42とドリブンプレート45との摩擦接触状態を接触状態とし、ロックアップクラッチ30のロックアップ係合圧Ponの完全係合油圧によりドライブプレート42とドリブンプレート45との摩擦接触状態を非接触状態にするので、特に電気的制御や特別な油圧制御を行う複雑な装置を追加することを不要とすることができ、簡単で安価にヒステリシスの変更を可能にすることができる。
また、自動摩擦接触機構50は、ロックアップクラッチ30のスリップ制御中に、皿ばね53の付勢力によって摩擦部材52を自動的に接触状態とするものでありながら、ロックアップクラッチ30の係合制御時に、ロックアップオン圧Ponがロックアップ排出圧Pex及び皿ばね53の付勢力よりも大きくなってピストン51が移動し、摩擦部材52とドライブプレート42の内周部42aとの押付を切離して、摩擦部材52を自動的に非接触状態にすることを可能としている。
特に上記ロックアップオン圧Pon及びロックアップ排出圧Pexによる自動的な切離しは、ピストン51にロックアップ排出圧Pexを作用させる油室55と、該油室55にロックアップ排出圧Pexを連通するバイパス油路a3,a4とを備えるだけの簡単な構成で達成することができる。
<第2の実施の形態>
つづいて、本発明に係る第2の実施の形態を図4に沿って説明する。本発明は、ロックアップクラッチの係合制御中におけるトルク変動吸収と、スリップ制御中のジャダー振動の発生防止との両立を図ることに着目したものであったが、近年開発されているような、トルクコンバータを備えず、発進クラッチの係合状態を油圧制御して車両の発進を行う発進装置にあっても本発明を適用し得るものである。以下、第2の実施の形態として、発進クラッチを備えた発進装置100を詳細説明する。
図4に示すように、発進クラッチ130を備えた発進装置100は、自動変速機のハウジングケース105内に収納されて構成されている。エンジンの出力軸3には、ボルト115によってフレキシブルプレート3aが固定されており、発進装置100は、該エンジンの出力軸3に嵌合するフランジ部材134と、該フランジ部材134の外周側に固着されたフロントカバー132と、該フロントカバー132に固着されると共に上記フレキシブルプレート3aにボルト116によって固定されたリヤカバー112とを備えており、該フランジ部材134、フロントカバー132、及びリヤカバー112によりカバー102を形成している。該フランジ部材134は、後方内周部において自動変速機構の入力軸161に回転自在に嵌合しており、即ち、このカバー102を形成するフランジ部材134、フロントカバー132、及びリヤカバー112は、エンジンの出力軸3に回転接続されて、エンジンと同回転で回転する。そして、そのカバー102内に、発進クラッチ130、ダンパ装置140、及び本発明の要部となる自動摩擦接触機構(ヒステリシス変更手段、摩擦接触機構)150が備えられている。
なお、リヤカバー112の内周側端部には、支持カバー163が固着されており、該支持カバー63の後端側は、図示を省略した自動変速機構のオイルポンプの駆動軸に接続されていると共に、該オイルポンプのポンプボディ(不図示)を介して上記ハウジングケース105ないし不図示のミッションケースに対して、回転自在に支持されている。
上記フランジ部材134及びフロントカバー132の背面側には、発進クラッチ130が配置されている。該発進クラッチ130は、大まかに、外摩擦板131a及び内摩擦板131bからなる摩擦板131と、供給される係合圧に基づき該摩擦板131を押圧するためのピストン部材135及びシリンダ部134aとで構成されている。該摩擦板131の外摩擦板131aは、上記フロントカバー132の背面側に固着されたスプライン部材133にスプライン係合しており、エンジンの回転が伝達されるように構成されている。
上記フランジ部材134の背面側には、上記シリンダ部134aが形成されており、シリンダ部134aに対向して軸方向に摺動自在に上記ピストン部材135が配置されている。該ピストン部材135は、先端部分135aが上記摩擦板131に対向配置されており、また、上記シリンダ部134aとの間をシールリングc2,c3によりシールすることにより油室136を形成している。そして、上記摩擦板131の内摩擦板131bは、ハブ部材139にスプライン係合しており、該油室136に供給される係合圧に基づきピストン部材135が摩擦板131を押圧することで発進クラッチ130が係合されると、エンジンの回転がハブ部材139に伝達され、つまり後述のダンパ装置140のドライブプレート141,142にエンジンの回転が伝達される。従って、ドライブプレート141,142がダンパ装置140のエンジン側部材として構成されている。
上記ダンパ装置140は、発進クラッチ130の後方側に配設されており、上記2枚のドライブプレート141,142と、ドリブンプレート145と、大径ダンパスプリング(弾性部材)144A及び小径ダンパスプリング(弾性部材)144Bとを備えて構成されている。該ドライブプレート141,142は、上述のハブ部材139及び後述する摩擦接触プレート153と共にピン143により締結されており、ドリブンプレート145を挟持する形で該ドリブンプレート145に摺動自在に支持されている。なお、該ドリブンプレート145の上記ピン143に対応する部分には、長穴が形成されており、該ピン143の回転方向の移動を妨げないように構成されている。また、ドリブンプレート145は、スラストベアリングb5,b6によってフランジ部材134及び支持カバー163に対して軸方向に支持されており、これにより、上記ドライブプレート141,142、ハブ部材139及び摩擦接触プレート153が軸方向に対して位置決め支持されている。
また、上記ドライブプレート141,142は、それらの間に長穴形状の収納空間146を形成しており、該収容空間146に上記大径ダンパスプリング144A及び小径ダンパスプリング144Bが収納されてダンパ部149を構成している。上記大径ダンパスプリング144A及び小径ダンパスプリング144Bは、伸縮方向に連結されており、いわゆる2段階ばねを構成している。それら連結された大径ダンパスプリング144A及び小径ダンパスプリング144Bは、一端が該ドライブプレート141,142に当接すると共に他端がドリブンプレート145に当接するように構成されており、つまり発進クラッチ130を介してドライブプレート141,142に伝達されるエンジンの回転力は、大径ダンパスプリング144A及び小径ダンパスプリング144Bからなるダンパ部149を介してドリブンプレート145に伝達される。そして、ドリブンプレート145の内周部に形成されたスプライン145bは、自動変速機構の入力軸161にスプライン係合しており、つまり該ドリブンプレート145と自動変速機構の入力軸161とが回転接続されている。従って、ドリブンプレート145がダンパ装置140の入力軸側部材として構成されている。
上記フランジ部材134の中心部分には、油路a11が形成されており、該油路a11は、自動変速機構の入力軸161の中心部分に形成された油路を介して油圧制御装置に接続されている。また、該油路a11と上記油室136との間には油路a12が形成されており、つまり不図示の油圧制御装置から発進クラッチ130の係合圧が該油室136に供給されるように構成されている。一方、上記自動変速機構の入力軸161には、上記中心部分の油路の外側に別の油路が形成されており、上記スプライン145bを通って油路a13に接続されて、上記カバー102内の潤滑油及び発進クラッチ130の遠心キャンセル油圧として不図示の油圧制御装置から供給されるように構成されている。
これにより、不図示の油圧制御装置から油路a11,a12を介して該係合圧が油室136に供給されると、ピストン部材135が後方側に押圧駆動され、摩擦板131が押圧されて発進クラッチ130が係合される。また、油室136の係合圧がドレーン(排出)されると共に、油路a13よりキャンセル油圧が供給されると、ピストン部材135が前方側に押戻され、つまり発進クラッチ130が解放される。また、油圧制御装置が、これら係合圧とキャンセル圧との差圧を調圧することにより(つまりスリップ制御油圧を供給することにより)、ピストン部材135の後方側への押圧力が調整され、つまり発進クラッチ130がスリップ制御される。
以上の発進装置100において、エンジンの回転がカバー102に伝達されると、フロントカバー132及びスプライン部材133を介して発進クラッチ130の外摩擦板131aがエンジン2の出力軸と一体的に回転する。ここで、油室136に係合圧が供給されると、ピストン部材135が摩擦板131を徐々に押圧し、該摩擦板131がスリップ状態にされて、ダンパ装置140を介して徐々に自動変速機構の入力軸に回転が伝達される。
更に油室136に供給される係合圧が上昇されると、発進クラッチ130が係合状態にされて、ハブ部材139に連結されているドライブプレート141,142がエンジンの出力軸3と回転接続される。そして、ドライブプレート141,142とドリブンプレート145との間のダンパ部149によりトルク変動を吸収しつつ、ドリブンプレート145に駆動回転を伝達し、自動変速機構の入力軸に回転を伝達する。
ついで、本発明の要部となる自動摩擦接触機構150について詳細に説明する。自動摩擦接触機構150は、上記ピストン部材135の後端に固着された押圧部材(自動切離し手段)154と、上記ドリブンプレート145に対して配設された皿ばね(自動切離し手段、変形可能部材)151と、該皿ばね151の前方側外周部分に固着された摩擦部材152と、該皿ばね151の弾性により該摩擦部材152が押付けられ、内周部153aの後端面が摩擦接触する摩擦接触プレート153と、を有して構成されている。
皿ばね151は、内周端部にスプライン151aが形成されており、上記ドリブンプレート145に形成されたスプライン145aにスプライン係合して、該ドリブンプレート145に対して回転方向に固定されている。また、押圧部材154の外周側後端は、上記発進クラッチ130がスリップ状態となるようにピストン部材135が移動した位置で、上記皿ばね151に近接ないし当接するような長さに形成されており、かつ上記発進クラッチ130が(完全に)係合状態となるようにピストン部材135が移動した際に、該皿ばね151を押圧・弾性変形させ、該皿ばね151の外周側を後方側に変形させるような長さに形成されている。
これにより、上記発進クラッチ130のスリップ制御中にあっては、摩擦部材152が摩擦接触プレート153の内周部153aに押付けられて摩擦接触し、ドライブプレート141,142とドリブンプレート145との間の(摩擦)抵抗を上昇することで、つまりダンパ装置140としてのヒステリシスを増大する。また、上記発進クラッチ130の係合制御中にあっては、ピストン部材135の移動に基づき、押圧部材154の押圧により皿ばね151が変形して、摩擦接触プレート153の内周部153aに対する摩擦部材152の押付が自動的に切離され、つまりダンパ装置140としてのヒステリシスがダンパ部149だけのヒステリシスとなって、ヒステリシスがスリップ制御時に比して小さくなる。
以上説明したように本発明の第2の実施の形態に係る発進装置100によると、発進クラッチ130のスリップ制御中に該発進クラッチ130の係合制御中よりもダンパ装置140のヒステリシスを増大させる自動摩擦接触機構150を備えたので、発進クラッチ130のスリップ制御中にあってはダンパ装置140のヒステリシスが大きくなるため、スリップ制御中のダンパ部149のダンパ作用に基づくジャダー振動の発生防止を図ることができ、かつ、発進クラッチ130の係合制御中にあってはダンパ装置140のヒステリシスが小さいため、エンジンの爆発振動に基づくトルク変動を良好に吸収することができ、つまり、発進クラッチ130の係合中のトルク変動吸収とスリップ制御中のジャダー振動の発生防止との両立を可能にすることができる。
また、自動摩擦接触機構150は、摩擦接触プレート153を介してドライブプレート141,142とドリブンプレート145との間に介在する摩擦部材152によって、それらドライブプレート141,142とドリブンプレート145との摩擦接触状態を変更する機構であるので、特に発進クラッチ130のスリップ制御中にあって、摩擦部材152によってドライブプレート141,142とドリブンプレート145とを摩擦接触させることでダンパ装置140のヒステリシスを増大させることを可能とし、発進クラッチ130の係合制御中にあって、ドライブプレート141,142とドリブンプレート145とを非接触にすることでダンパ部149本来のヒステリシスにすることができる。
更に、自動摩擦接触機構150は、発進クラッチ130の係合圧のスリップ制御油圧によりドライブプレート141,142とドリブンプレート145との摩擦接触状態を接触状態とし、発進クラッチ130の係合圧の完全係合油圧によりドライブプレート141,142とドリブンプレート145との摩擦接触状態を非接触状態にするので、特に電気的制御や特別な油圧制御を行う複雑な装置を追加することを不要とすることができ、簡単で安価にヒステリシスの変更を可能にすることができる。
そして、本第2の実施の形態における自動摩擦接触機構150は、発進クラッチ130のスリップ制御中に、皿ばね151の弾性による付勢力によって摩擦部材152を自動的に接触状態とするものでありながら、発進クラッチ130の係合制御時に、押圧部材154が皿ばね151を変形させて摩擦部材152と摩擦接触プレート153の内周部153aとの押付を切離すことで、摩擦部材152を自動的に非接触状態にすることを可能としている。
なお、以上説明した第1及び第2の実施の形態において、自動変速機構について詳細な説明を行わなかったが、特に公知の変速機構であって足り、有段式、無段式(ベルト式、トロイダル式)等、どのような変速機構を用いても構わない。
第1の実施の形態に係る発進装置を示す断面図。 第1の実施の形態に係る発進装置のスリップ制御時を示す断面図。 第1の実施の形態に係る発進装置の係合制御時を示す断面図。 第2の実施の形態に係る発進装置を示す断面図。
符号の説明
1 発進装置
3 エンジンの出力軸
10 トルクコンバータ
13 ポンプインペラ
15 タービンランナ
17 入力軸側部材(フランジ部材)
30 クラッチ、ロックアップクラッチ
40 ダンパ装置
41 エンジン側部材(ドライブプレート)
42 エンジン側部材(ドライブプレート)
42a 接触部分(内周部)
44 弾性部材(ダンパスプリング)
45 入力軸側部材(ドリブンプレート)
49 ダンパ部
50 ヒステリシス変更手段、摩擦接触機構(自動摩擦接触機構)
51 自動切離し手段、ピストン
52 摩擦部材
53 自動切離し手段、付勢部材(皿ばね)
55 自動切離し手段、油室
61 自動変速機構の入力軸
100 発進装置
130 クラッチ、発進クラッチ
131 摩擦板
134a シリンダ(シリンダ部)
135 ピストン(ピストン部材)
136 油室
140 ダンパ装置
141 エンジン側部材(ドライブプレート)
142 エンジン側部材(ドライブプレート)
144A 弾性部材(大径ダンパスプリング)
144B 弾性部材(小径ダンパスプリング)
145 入力軸側部材(ドリブンプレート)
149 ダンパ部
150 ヒステリシス変更手段、摩擦接触機構(自動摩擦接触機構)
151 自動切離し手段、変形可能部材(皿ばね)
152 摩擦部材
153a 接触部分(摩擦接触プレートの内周部)
154 自動切離し手段、押圧部材
161 自動変速機構の入力軸
a3 自動切離し手段、バイパス油路
a4 自動切離し手段、バイパス油路
Pon ロックアップ係合圧
Poff ロックアップ排出圧

Claims (3)

  1. エンジンの出力軸に接続されたポンプインペラと、自動変速機構の入力軸に接続されたタービンランナと、を有するトルクコンバータと、
    油圧制御により係脱され、前記エンジンの出力軸と前記自動変速機構の入力軸との間に介在するロックアップクラッチと、
    弾性部材によりダンパ作用を生じさせるダンパ部と、前記エンジンの出力軸からの回転力を前記ダンパ部に作用させるエンジン側部材と、前記ダンパ部を介した回転力を前記自動変速機構の入力軸に作用させる入力軸側部材と、を有するダンパ装置と、を備え、
    前記ロックアップクラッチの係合制御とスリップ制御とを行う発進装置において、
    前記エンジン側部材と前記入力軸側部材との間に介在する摩擦部材を有すると共に、該摩擦部材によって前記エンジン側部材と前記入力軸側部材との摩擦接触状態を変更する摩擦接触機構を備え、
    前記摩擦接触機構は、前記ロックアップクラッチの係脱に応じて前記エンジン側部材と前記入力軸側部材との摩擦接触を接触または非接触するにように構成され、前記ロックアップクラッチのスリップ制御時に前記エンジン側部材と前記入力軸側部材との摩擦接触状態を接触状態とし、かつ前記ロックアップクラッチの係合制御時に前記エンジン側部材と前記入力軸側部材との摩擦接触状態を非接触状態にする自動切離し手段を有して、前記ロックアップクラッチのスリップ制御中に前記ロックアップクラッチの係合制御中よりも前記ダンパ装置のヒステリシスを増大させてなり、
    前記自動切離し手段は、ロックアップ係合圧及びロックアップ排出圧を対向して受圧すると共に該ロックアップ係合圧を受圧する側に前記摩擦部材が配設されたピストンと、前記ピストンに前記ロックアップ排出圧を作用させる油室と、該油室に前記ロックアップ排出圧を連通するバイパス油路と、を備え、前記ロックアップクラッチの係合制御時に、前記ロックアップ係合圧が前記ロックアップ排出圧よりも大きくなって前記ピストンが移動し、前記摩擦部材と前記接触部分との押付を切離すことにより、前記摩擦部材を自動的に非接触状態にする、
    ことを特徴とする発進装置。
  2. 記自動切離し手段は、前記ピストンを該ロックアップ排出圧を受圧する側から付勢して前記摩擦部材を接触部分に押付する付勢部材を備え、前記ロックアップクラッチの係合制御時に、前記ロックアップ係合圧が前記ロックアップ排出圧及び付勢部材の付勢力よりも大きくなって前記ピストンが移動し、前記摩擦部材と前記接触部分との押付を切離すことにより、前記摩擦部材を自動的に非接触状態にする、
    ことを特徴とする請求項記載の発進装置。
  3. エンジンの出力軸と自動変速機構の入力軸との間に介在し、シリンダと、該シリンダに対して軸方向に移動自在なピストンと、該シリンダと該ピストンとの間に形成された油室と、該油室に供給された油圧に基づき該ピストンの軸方向の移動によって押圧係合される摩擦板と、を有して車両の発進時に係合制御される発進クラッチと、
    弾性部材によりダンパ作用を生じさせるダンパ部と、前記エンジンの出力軸からの回転力を前記ダンパ部に作用させるエンジン側部材と、前記ダンパ部を介した回転力を前記自動変速機構の入力軸に作用させる入力軸側部材と、を有するダンパ装置と、を備え、
    前記発進クラッチの係合制御とスリップ制御とを行う発進装置において、
    前記エンジン側部材と前記入力軸側部材との間に介在する摩擦部材を有すると共に、該摩擦部材によって前記エンジン側部材と前記入力軸側部材との摩擦接触状態を変更する摩擦接触機構を備え、
    前記摩擦接触機構は、前記クラッチの係脱に応じて前記エンジン側部材と前記入力軸側部材との摩擦接触を接触または非接触するにように構成され、前記発進クラッチのスリップ制御時に前記エンジン側部材と前記入力軸側部材との摩擦接触状態を接触状態とし、かつ前記発進クラッチの係合制御時に前記エンジン側部材と前記入力軸側部材との摩擦接触状態を非接触状態にする自動切離し手段を有して、前記発進クラッチのスリップ制御中に前記発進クラッチの係合制御中よりも前記ダンパ装置のヒステリシスを増大させてなり、
    前記自動切離し手段は、前記シリンダ側に前記摩擦部材を付勢して接触部分に押付すると共に軸方向に弾性変形自在な変形可能部材と、前記ピストンに配設されると共に前記摩擦板を押圧して前記係合制御される状態で前記変形可能部材に当接して押圧変形させる押圧部材と、を備え、前記発進クラッチの係合制御時に、前記押圧部材が前記変形可能部材を変形させて前記摩擦部材と前記接触部分との押付を切離すことにより、前記摩擦部材を自動的に非接触状態にする、
    ことを特徴とする発進装置。
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