JP6197765B2 - 流体伝動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載される変速機の流体伝動装置、特にロックアップクラッチを備えた流体伝動装置に関し、車両用変速機の技術分野に属する。
車両に搭載される自動変速機や無段変速機等の変速機に組み込まれて、エンジン出力を変速機構に伝達する流体伝動装置は、エンジンの出力軸に連結されたケース内に、ケースと一体的に回転するポンプと、該ポンプに対向配置されて該ポンプにより流体を介して動力が伝達されるタービンとを有している。
前記流体伝動装置ではまた、ポンプとタービンの相対回転を許容する必要がある変速時等を除く運転状態において、エンジンの燃費性能を向上させるために、ポンプとタービンとを直結するロックアップクラッチを備えたものが知られている。
このロックアップクラッチは、流体圧室に締結用流体圧を供給することによりピストンを押圧してポンプとタービンとを直結するように構成されており、流体圧室に締結用流体圧を供給することで締結され、流体圧室から締結用流体圧を排出することで解放され、締結用流体圧を制御することで締結及び解放が制御されるようになっている。
しかしながら、ロックアップクラッチの解放状態において、流体圧室内の流体に作用する遠心力によってピストンが締結方向に移動されて摩擦板の回転抵抗が増大し、流体伝動装置において使用する場合に所望の伝達性能や変速性能等が得られないおそれがある。
このような問題に対処するために、ピストンを挟んで流体圧室の反対側に、動力伝達用流体が充填されたケース内圧室から該流体の一部を導入する遠心バランス室を設けて、遠心バランス室内の流体に作用する遠心力によって、流体圧室内の流体に作用する遠心力をキャンセルしてピストンが締結方向に移動することを抑制するようにしたものが知られている。
例えば特許文献1には、遠心バランス室を有するロックアップクラッチを備えた流体伝動装置が開示されている。図6に示すように、この流体伝動装置101は、ケース110内に、ケース110と一体的に回転するポンプ120と、ポンプ120に対向配置されたタービン130と、ポンプ120とタービン130とを直結するロックアップクラッチ160とを備えている。
前記ロックアップクラッチ160は、ケース110の内周面とタービン130に結合されたクラッチハブ131の外周面との間に交互に配置された複数の摩擦板163と、複数の摩擦板163を締結するピストン165と、ピストン165を締結方向に移動させる締結用流体圧が供給される流体圧室167と、ピストン165を挟んで流体圧室167の反対側に形成された遠心バランス室168とを有している。
前記流体伝動装置101では、ロックアップクラッチ160の解放状態において、遠心バランス室168内の流体に作用する遠心力によって、流体圧室167内の流体に作用する遠心力をキャンセルしてピストン165が締結方向に移動することを抑制するようになっている。
また、前記流体伝動装置101では、ケース110内にポンプ120とタービン130との間で動力を伝達するための動力伝達用流体が充填され、該動力伝達用流体が充填されたケース内圧室171から該流体の一部が、ケース内圧室171と遠心バランス室168とを連通する連通孔173を介して遠心バランス室168に供給されるようになっている。
独国特許出願公開第10104346号明細書
しかしながら、特許文献1に示す流体伝動装置101では、ケース110内の流体圧(内圧)は、ポンプ120の回転速度、タービン130の回転速度、及びポンプ120とタービン130の速度比等の変化に伴って大きく変動することから、ロックアップクラッチ160の解放状態において、ケース110内の内圧が高くなる場合、遠心バランス室168内の流体圧も高くなってピストン165を解放方向に移動させるおそれがある。ロックアップクラッチ160の解放状態においてピストン165が解放方向に移動されると、ロックアップクラッチ160の締結時の応答性が低下することとなる。
ロックアップクラッチの応答性を向上させるため、ロックアップクラッチの解放状態でピストンを積極的に解放方向にリターンさせずに、シール部材等によるピストンの摺動抵抗によってピストンを締結時の位置、すなわちクラッチクリアランスがゼロとなる位置に保持させることが考えられる。
しかしながら、かかる場合においても、ロックアップクラッチの解放状態において、ケース内の内圧が高くなる場合に遠心バランス室への流体の導入量と遠心バランス室からの流体の排出量との関係で、遠心バランス室内の流体圧が高くなって遠心バランス室内に所定値以上の流体圧が生じると、シール部材等によるピストンの摺動抵抗に打ち勝って該ピストンが解放方向へ押し戻され、ピストンをクラッチクリアランスがゼロとなる位置に保持することができなくなる可能性がある。
そこで、本発明は、ロックアップクラッチの解放状態でロックアップクラッチのピストンが解放方向へ移動されることを抑制し、ロックアップクラッチを応答性良く締結することができる流体伝動装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る流体伝動装置は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、エンジンの出力軸に連結されたケース内に、該ケースと一体回転するポンプと、該ポンプにより流体を介して動力が伝達されるタービンと、流体圧室に供給される締結用流体圧によりピストンを押圧して前記ポンプと前記タービンとを直結するロックアップクラッチとが備えられ、且つ前記ピストンを挟んで前記流体圧室の反対側に、動力伝達用流体が充填されたケース内圧室から該流体の一部が導入される遠心バランス室が形成された流体伝動装置であって、前記ロックアップクラッチの解放状態で前記遠心バランス室内に前記ピストンを解放方向へ移動させる流体圧が発生することを抑制するための該遠心バランス室からの流体リーク手段が設けられ、前記流体リーク手段は、前記遠心バランス室と前記流体圧室との間に配設され、前記遠心バランス室と前記流体圧室とを連通する連通孔と、該連通孔を開閉する弁体とを備え、前記弁体は、前記ロックアップクラッチの解放状態で前記遠心バランス室と前記流体圧室との間の差圧が所定圧以上になると前記連通孔を開き、前記遠心バランス室から前記流体圧室へ前記流体をリークさせて前記ピストンが解放方向へ移動されることを抑制するように構成されていることを特徴とする。
ここで、ケース内圧室とは、ケース内において流体圧室及び遠心バランス室、並びにそれらに接続される流体路を除く空間をいうものとする。
また、請求項2に記載の発明は、エンジンの出力軸に連結されたケース内に、該ケースと一体回転するポンプと、該ポンプにより流体を介して動力が伝達されるタービンと、流体圧室に供給される締結用流体圧によりピストンを押圧して前記ポンプと前記タービンとを直結するロックアップクラッチとが備えられ、且つ前記ピストンを挟んで前記流体圧室の反対側に、動力伝達用流体が充填されたケース内圧室から該流体の一部が導入される遠心バランス室が形成された流体伝動装置であって、前記ロックアップクラッチの解放状態で前記遠心バランス室内に前記ピストンを解放方向へ移動させる流体圧が発生することを抑制するための該遠心バランス室からの流体リーク手段が設けられ、前記流体リーク手段は、前記遠心バランス室と前記流体圧室との間に配設され、前記ロックアップクラッチの解放状態で前記遠心バランス室から前記流体圧室へ前記流体をリークさせることにより前記ピストンを解放方向へ移動させる流体圧の発生を抑制すると共に、前記ロックアップクラッチの締結時には、前記流体圧室と前記遠心バランス室との間のシール機能を発揮するシールリングによって構成されていることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の流体伝動装置において、前記ケース内圧室から前記遠心バランス室に前記流体を導入する流体導入手段が設けられ、前記流体導入手段は、前記ケース内圧室と前記遠心バランス室との間に配設されるシールリングによって構成されていることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の流体伝動装置において、前記遠心バランス室と前記流体圧室との間に配設されたシールリングは、前記遠心バランス室と前記流体圧室との間の差圧が第1所定圧以上になると前記遠心バランス室と前記流体圧室との間のシール機能を発揮するシールリングであり、前記ケース内圧室と前記遠心バランス室との間に配設されたシールリングは、前記ケース内圧室と前記遠心バランス室との間の差圧が第2所定圧以上になると前記ケース内圧室と前記遠心バランス室との間のシール機能を発揮するシールリングであり、前記第2所定圧は、前記第1所定圧より低く設定されていることを特徴とする。
上記の構成により、本願の請求項1に記載の発明によれば、ケース内に、流体圧室に供給される締結用流体圧によりピストンを押圧してポンプとタービンとを直結するロックアップクラッチとが備えられると共に、ピストンを挟んで流体圧室の反対側にケース内圧室から流体の一部が導入される遠心バランス室が形成された流体伝動装置に、ロックアップクラッチの解放状態で遠心バランス室内にピストンを解放方向へ移動させる流体圧が発生することを抑制するための遠心バランス室からの流体リーク手段が設けられる。
これにより、ロックアップクラッチの解放状態でロックアップクラッチのピストンが解放方向へ移動されることを抑制し、該ピストンを所定のクラッチクリアランスとなる位置に保持することができるので、流体圧室に締結用流体圧が供給されたときに速やかにロックアップクラッチを締結することができ、ロックアップクラッチを応答性良く締結することができる。特に、ロックアップクラッチの解放状態でピストンをクラッチクリアランスがゼロとなる位置に保持する場合に、前記効果を有効に奏することができる。
また、流体リーク手段は、遠心バランス室と流体圧室との間に配設され、遠心バランス室と流体圧室とを連通する連通孔と、該連通孔を開閉する弁体とを備え、弁体は、ロックアップクラッチの解放状態で遠心バランス室と流体圧室との間の差圧が所定圧以上になると連通孔を開き、遠心バランス室から流体圧室へ流体をリークさせてピストンが解放方向へ移動されることを抑制するように構成されていることにより、ロックアップクラッチの解放状態で遠心バランス室内にピストンを解放方向へ移動させる流体圧が発生することを抑制することができ、前記効果を有効に奏することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に係る発明と同様、ケース内に、流体圧室に供給される締結用流体圧によりピストンを押圧してポンプとタービンとを直結するロックアップクラッチとが備えられると共に、ピストンを挟んで流体圧室の反対側にケース内圧室から流体の一部が導入される遠心バランス室が形成された流体伝動装置に、ロックアップクラッチの解放状態で遠心バランス室内にピストンを解放方向へ移動させる流体圧が発生することを抑制するための遠心バランス室からの流体リーク手段が設けられる。
これにより、ロックアップクラッチの解放状態でロックアップクラッチのピストンが解放方向へ移動されることを抑制し、該ピストンを所定のクラッチクリアランスとなる位置に保持することができるので、流体圧室に締結用流体圧が供給されたときに速やかにロックアップクラッチを締結することができ、ロックアップクラッチを応答性良く締結することができる。特に、ロックアップクラッチの解放状態でピストンをクラッチクリアランスがゼロとなる位置に保持する場合に、前記効果を有効に奏することができる。
また、流体リーク手段は、ロックアップクラッチの解放状態で遠心バランス室から流体圧室へ流体をリークさせることによりピストンを解放方向へ移動させる流体圧の発生を抑制すると共に、ロックアップクラッチの締結時には、流体圧室と遠心バランス室との間のシール機能を発揮するシールリングによって構成されることにより、流体リーク手段を別途設ける必要なしに既存のシールリングを利用して前記効果を有効に得ることができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、ケース内圧室から遠心バランス室に流体を導入する流体導入手段は、ケース内圧室と遠心バランス室との間に配設されるシールリングによって構成されることにより、流体導入手段として、ピストン等にオリフィスを別途設ける必要なしに既存のシールリングを利用して前記効果を有効に得ることができる。
ケース内圧室と遠心バランス室との間に配設されるシールリングとして、ケース内圧室と遠心バランス室との間の差圧が比較的低い所定圧以上になるとケース内圧室と遠心バランス室との間のシール機能を発揮するシールリングを用いることで、エンジン始動時等にケース内圧室と遠心バランス室との間のシール機能によってケース内圧室の流体圧を速やかに高めることができると共に、シール機能発揮後においてもシールリングの漏れによってケース内圧室から遠心バランス室に流体を導入することができ、前記効果を有効に奏することができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、遠心バランス室と流体圧室との間に配設されたシールリングは、遠心バランス室と流体圧室との間の差圧が第1所定圧以上になるとシール機能を発揮し、ケース内圧室と遠心バランス室との間に配設されたシールリングは、ケース内圧室と遠心バランス室との間の差圧が第2所定圧以上になるとシール機能を発揮し、第2所定圧は、第1所定圧より低く設定されることにより、遠心バランス室と流体圧室との間、及びケース内圧室と遠心バランス室との間にそれぞれ配設されたシールリングを用いて、前記効果を有効に得ることができる。
本発明の一実施形態に係る流体伝動装置の断面図である。 図1に示す流体伝動装置の第1要部を拡大した断面図である。 図1に示す流体伝動装置の第2要部を拡大した断面図である。 ロックアップクラッチの遠心バランス室内の油圧が高くなった状態を説明するための説明図である。 前記流体伝動装置の変形例を示す断面図である。 従来の流体伝動装置を示す断面図である。
以下、本発明を自動変速機のトルクコンバータに適用した実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る流体伝動装置の断面図であり、図2及び図3は、図1に示す流体伝動装置の第1要部及び第2要部をそれぞれ拡大した断面図である。図1から図3に示すように、本発明の一実施形態に係る流体伝動装置としてのトルクコンバータ1は、その外殻を形成するケース10を有し、ケース10は、その駆動源側であるエンジン側の面を構成するフロントカバー11の径方向中央部に固設された連結部12を介してエンジンの出力軸としてのクランクシャフト(不図示)に連結され、これにより、トルクコンバータ1全体がエンジンにより駆動されるようになっている。
なお、以下の説明では、便宜上、エンジン側(図の右側)を前方、反エンジン側(図の左側)を後方とする。
トルクコンバータ1は、主たる構成要素として、ポンプ20とタービンとステータとで形成されるドーナツ状のトーラスT、ワンウェイクラッチOWC、ロックアップクラッチ(以下、適宜「クラッチ」という)60及びロックアップダンバ(以下、適宜「ダンパ」という)LDを有し、これらがケース10内に収納されていると共に、ケース10内には流体としての作動油が充満されるようになっている。
なお、図1において、トーラスTの構成部材であるポンプ20、タービン及びステータ、ワンウェイクラッチOWC、及びダンパLDについては、発明の理解を容易にするために詳細な図示を省略している。
ポンプ20は、ケース10の反駆動源側である反エンジン側の面を構成するポンプシェル21を有し、ポンプシェル21は、その外周部が後方へ膨出して形成され、その内部に、周方向に所定間隔を隔てて多数のブレード(不図示)が配設されている。ポンプ20は、ケース10と一体的に回転し、ポンプシェル21の内面とブレードとによってケース10内に充満されている作動油を軸心周りに旋回しながら後方から前方へ向う流れを発生させるようになっている。
ポンプシェル21の内周端部には、変速機構側に延びるポンプスリーブ23が結合され、ポンプスリーブ23の先端がトルクコンバータ1の後方に配設されたギヤ式オイルポンプ(不図示)に係合されている。これにより、前記クランクシャフトの回転によってケース10及びポンプスリーブ23を介して前記オイルポンプが駆動されるようになっている。
前記タービンは、ポンプシェル21のエンジン側に配置されたタービンシェル(不図示)と、該タービンシェルの内周端部に結合されたタービンハブ30とを有し、ポンプ20の前方に対向配置されてケース10内に回転自在に収納されている。
前記タービンシェルは、その外周部が前方へ膨出して形成され、その内部に、周方向に所定間隔を隔てて多数のブレード(不図示)が配設されている。ポンプシェル21のブレードが配設された外周部と前記タービンシェルのブレードが配設された外周部とが対向配置されることにより、ポンプ20の回転によって生じた作動油の流れが前記タービンシェルに導入され、前記タービンシェルの内面とブレードとによって内方へ向かう作動油の流れが形成され、この作動油の流れが該ブレードを押圧することにより、前記タービンが周方向の力を受け、ポンプ20と同方向に駆動されるようになっている。
そして、この駆動力は、前記タービンに連結された自動変速機の変速機構側に延びるタービンシャフト25により、変速機構へ伝達されるようになっている。前記タービンは、タービンハブ30の内周端部がタービンシャフト25にスプライン嵌合されることによりタービンシャフト25に連結されている。
前記ステータは、ポンプ20と前記タービンとの対向部の内側に配設され、周方向に所定間隔を隔てて設けられた多数のブレード(不図示)を備えており、前記ブレードは、全体として一体化した構成とされている。前記ブレードは、ポンプ20のブレードの内周側の端部と前記タービンのブレードの内周側の端部との間に配置され、これにより、前記タービンを駆動した作動油の流れが前記タービン側から導入されて前記ステータの各ブレードの間を通過する作動油の流れが形成されるようになっている。
そして、この作動油の流れが、ポンプシェル21の内面に内周側から導入されてポンプシェル21の内面とブレードとによる後方から前方へ向う作動油の流れとなり、ポンプ20、前記タービン及び前記ステータの各ブレードの間を通過して循環する作動油の流れが形成され、トルクコンバータ1の全体として、この循環流が形成されるドーナツ状の空間、即ちトーラスTが形成されるようになっている。
ワンウェイクラッチOWCは、前記ステータを支持して該ステータによるトルク増大作用を実現させるものであり、前記ステータの内側に配設されている。ワンウェイクラッチOWCは、インナレース36の内周面が当該自動変速機の変速機ケースから延びるステータシャフト24にスプライン嵌合されることによりステータシャフト24に組み付けられるようになっている。
前記ステータは、トーラスT内の作動油の流れにより一方向の回転力を受けたときに、ワンウェイクラッチOWCが空転することにより自由に回転し、また、他方向の回転力を受けたときに、ワンウェイクラッチOWCがロックすることにより固定される。このとき、トルク増大作用が発生し、エンジンからポンプ20に入力されたトルクが増大されて、前記タービンからタービンシャフト25に出力される。
トーラスT内に供給される作動油は、ステータシャフト24とタービンシャフト25との間に形成された油路24aを通じてケース10内に供給され、ポンプスリーブ23とステータシャフト24との間に形成された油路23aを通じてケース10内から排出される。
一方、前記クラッチ60は、同心状に配置されたクラッチハブ61及びクラッチドラム62と、該ハブ61とドラム62との間に配設され、これらに交互に係合された複数の摩擦板63と、複数の摩擦板63を押圧するピストン65とを有している。
クラッチドラム62は、摩擦板63が係合されて軸方向に延びる外側円筒部62aと、外側円筒部62aのエンジン側から径方向に延びる底部62bと、底部62bの内方側から反エンジン側に軸方向に延びる内側円筒部62cとを備え、底部62bがフロントカバー11の内面に溶接により固着されてケース10に結合されている。
フロントカバー11にはまた、クラッチドラム62の内周側、且つタービンハブ30の外周側に該フロントカバー11に沿って径方向に延びる油路構成部材40が溶接により固着されている。なお、油路構成部材40とフロントカバー11との溶接は、例えば周方向の複数箇所において行われる。
クラッチ60のピストン65は、クラッチドラム62の内側円筒部62cと油路構成部材40の外周部41との間に嵌合されており、クラッチドラム62の内側円筒部62cとピストン65との間に環状のシール部材46が介装され、油路構成部材40の外周部41とピストン65との間に環状のシール部材47が介装されている。
ピストン65は、クラッチドラム62の内側円筒部62cに嵌合される軸方向に延びる外側円筒部71と、外側円筒部71のエンジン側から径方向の内方側に延びる油圧受け部72と、油圧受け部72の内方側から反エンジン側に軸方向に延び、油路構成部材40の外周部41に嵌合される内側円筒部73とを備えると共に、外側円筒部71の反エンジン側に径方向の外方側に延びる押圧部74を備えている。
ピストン65の背部、すなわちピストン65とケース10、具体的にはフロントカバー11との間には、ロックアップクラッチの締結用流体圧としての締結用油圧が供給される流体圧室としての油圧室4が形成されている。
油圧室4に、タービンシャフト25の内部に設けられた油路25aから、フロントカバー11とその内面に固着された油路構成部材40との間に設けられた流体路としての油路40a等を通って所定の締結用油圧で作動油が導入されたとき、ピストン65により複数の摩擦板63がリテーナ68側に押し付けられ、該クラッチ60が締結される。
油路構成部材40のフロントカバー11側の面には、略径方向に延びる複数の溝部42が形成されており、該溝部42によって油路構成部材40とフロントカバー11との間に油圧室4に連通する油路40aが形成されている。なお、油路構成部材40に溝部42を形成することに代えて、フロントカバー11に同様の溝部を設けることによって油圧室4に連通する油路を形成することも可能である。
また、油路構成部材40の内周部43とタービンハブ30との間にはシールリング81が介装され、シールリング81は、図3に示すように、タービンハブ30の外周面に形成されたシールリング用溝部31内に装着されている。
前記クラッチ60はまた、ピストン65の反エンジン側に配設されたプレート部材50を備えており、プレート部材50は、ピストン65との間に遠心バランス室6を形成している。遠心バランス室6は、ピストン65を挟んで油圧室4の反対側に形成されている。
プレート部材50は、ピストン65の油圧受け部72に略沿って径方向に延びる外側プレート部51と、外側プレート部51の内周側から反エンジン側に軸方向に延びる円筒部52と、円筒部52の反エンジン側から径方向の内方側に延びる内側プレート部53とを備え、内側プレート部53が油路構成部材40に溶接により固着されることによりケース10に固定されている。なお、内側プレート部53と油路構成部材40との溶接は、例えば周方向の複数箇所において行われる。
プレート部材50は、外側プレート部51の径方向の外周側の端部にシール部材55を備え、該シール部材55は、ピストン65の外側円筒部71とプレート部材50の外側プレート部51との間をシールする。
また、内側プレート部53の径方向の内周側の端部であるプレート部材50の内周部54とタービンハブ30との間にシールリング83が介装され、該シールリング83は、タービンハブ30の外周面に形成されたシールリング用溝部33内に装着されている。
このようにして配設されたプレート部材50とピストン65の油圧受け部72との間に、前記遠心バランス室6が形成されている。遠心バランス室6に作動油を導入することで、遠心バランス室6内の作動油に作用する遠心力によって、油圧室4内の作動油に作用する遠心力をキャンセルして、前記クラッチ60の解放状態においてピストン65が締結方向に移動することを抑制するようになっている。
遠心バランス室6は、ポンプ20と前記タービンとの間で動力を伝達するための動力伝達用作動油が充填されたケース内圧室2と連通し、プレート部材50とタービンハブ30との間を通じてケース内圧室2から作動油の一部が導入されるようになっている。
なお、ケース内圧室2とは、ケース10内において油圧室4及び遠心バランス室6、並びにそれらに接続される油路40aを除く空間をいうものとする。本実施形態では、ケース内圧室2は、ケース10内においてプレート部材50より反エンジン側の空間及びピストン65の外側円筒部71より径方向外側の空間によって形成されている。
遠心バランス室6はまた、タービンハブ30に設けられた径方向に貫通する連通孔35及びタービンシャフト25に設けられた径方向に貫通する連通孔26を介して、タービンシャフト25の内部の外側の油路25bに連通し、遠心バランス室6内の作動油は連通孔35、26を通じて排出されるようになっている。
タービンシャフト25の内部には、軸方向に貫通する油穴27が設けられており、油穴27は、該油穴27に内嵌されたパイプ部材28によって、油圧室4に連通する内側の油路25aと、遠心バランス室6に連通する外側の油路25bとに仕切られている。
さらに、ダンパLDは、ロックアップクラッチ締結時のショックを吸収するための複数のダンパスプリング(不図示)を有し、該ダンパスプリングの一端が前記クラッチ60のクラッチハブ61に連結され、該ダンパスプリングの他端が前記タービンに連結されている。
ダンパLDは、クラッチ60が締結されたときに、フロントカバー11の回転、即ち前記クランクシャフトの回転が該クラッチ60を介して該ダンパLDに入力され、該ダンパLDのダンパスプリングを圧縮しながら、前記タービンに伝達されるようになっている。
ここで、トルクコンバータ1の作用を説明すると、先ず、クラッチ60の非締結時には、エンジンのクランクシャフトと一体的に回転するポンプ20により、トーラスT内で循環する作動油を介して前記タービンが駆動され、タービンシャフト25を介して変速機構に動力が伝達されることになる。その場合に、前記ステータのトルク増大作用が得られる速度比においては、エンジンの出力トルクが増大されて変速機構へ出力される。
また、クラッチ60の締結時には、タービンシャフト25に設けられた油路25aからフロントカバー11と油路構成部材40との間に設けられた油路40a等を介してクラッチ60の油圧室4に所定の締結用油圧を供給すれば、締結用油圧によりピストン65が押圧されてクラッチ60が締結され、ケース10のフロントカバー11と前記タービンとが前記ダンパLDを介して連結されることになり、エンジン出力トルクは、前記クランクシャフトからケース10、クラッチ60及びダンパLDを介して直接前記タービンに伝達されることになる。この場合、動力は作動油を介することなく変速機構へ伝達されることにより、クラッチ60の非締結時よりトルク伝達効率が向上し、エンジンの燃費性能が向上する。
クラッチ60を締結する際は、クラッチ60の締結時のショックを抑制するため、油圧室4に供給する作動油の油圧を制御してクラッチ60を一旦スリップ状態とし、その後に完全に締結することが行われており、クラッチ60の複数の摩擦板63が接触し始めてトルクの伝達が開始されたときに、ダンパLDのダンパスプリングが圧縮されることによりトルク伝達開始時のショックが吸収され、これにより、クラッチ60が円滑に締結されることになる。
また、クラッチ60では、クラッチ60の締結時に摩擦板63及びリテーナ68等がピストン65による押圧力を受けて弾性変形した状態で摩擦板63が締結されており、クラッチ60が解放されるときに油圧室4からロックアップクラッチの締結用油圧が排出されると摩擦板63及びリテーナ68等の弾性復元力によってピストン65が解放方向に移動し、ピストン65による押圧力がゼロとなる位置、すなわちクラッチクリアランスがゼロとなる位置にシール部材46等によって保持されるようになっている。
クラッチ60は、クラッチ60の解放状態においてピストン65がクラッチクリアランスがゼロとなる位置に保持されることにより、クラッチ60の締結時に応答性良く締結することができるようになっている。
前述したように、前記クラッチ60が、油圧室4と遠心バランス室6とを備えている場合、クラッチ60の解放状態においてケース10内の作動油による内圧が高くなり、それに伴って遠心バランス室6内の作動油による油圧が高くなると、ピストン65を解放方向に移動させる畏れがある。
図4は、ロックアップクラッチの遠心バランス室内の油圧が高くなった状態を説明するための説明図である。本実施形態では、図2に示すように、クラッチ60の解放状態において、ピストン65はクラッチクリアランスがゼロとなる位置に保持されるが、遠心バランス室6内の作動油による油圧が高くなって遠心バランス室6と油圧室4との差圧が高くなると、図4に示すように、ピストン65が解放方向に移動される畏れがある。
これに対し、本実施形態では、クラッチ60の解放状態で遠心バランス室6内にピストン65を解放方向へ移動させる油圧が発生することを抑制するための遠心バランス室6からの作動油リーク手段を設けることで、かかる問題を回避する。
前述したように、トルクコンバータ1では、図3に示すように、油路構成部材40とタービンハブ30との間にシールリング(以下、適宜「第1シールリング」という)81が介装されており、第1シールリング81は、遠心バランス室6と油圧室4との間に配設され、遠心バランス室6と油圧室4、具体的には油圧室4に接続される油路40aとの差圧が第1所定圧以上になると遠心バランス室6と油圧室4との間のシール機能を発揮するように形成されている。
クラッチ60の締結時に油圧室4にロックアップクラッチの締結用油圧が供給されるときは、該締結用油圧は遠心バランス室6と油圧室4との差圧が第1所定圧以上になるように設定され、油圧室4と遠心バランス室6との間のシール機能を発揮するようになっている。
また、プレート部材50とタービンハブ30との間にシールリング(以下、適宜「第2シールリング」という)83が介装されており、第2シールリング83は、ケース内圧室2と遠心バランス室6との間に配設され、ケース内圧室2と遠心バランス室6との差圧が第2所定圧以上になるとケース内圧室2と遠心バランス室6との間のシール機能を発揮するように形成されている。
第2シールリング83がケース内圧室2と遠心バランス室6との間のシール機能を発揮する第2所定圧は、第1シールリング81が遠心バランス室6と油圧室4の間のシール機能を発揮する第1所定圧より低く設定されている。ロックアップクラッチの締結用油圧は、該締結用油圧が油圧室4に供給されるときに遠心バランス室6と油圧室4との間の差圧が第1所定圧以上となるように設定される。例えば、ロックアップクラッチの締結用油圧が800KPaに設定され、第1所定圧が5KPaに設定され、第2所定圧が3KPaに設定される。
第1及び第2シールリング81、83として、例えば樹脂製シールリングを用いることができ、樹脂材料を適宜選択することにより第1及び第2所定圧でそれぞれシール機能を発揮するように形成することができる。なお、前記シールリングの合い口部は、直角合い口、斜め合い口、段付き合い口などの種々の形状を用いることができる。
前記第2シールシリング83は、ケース内圧室2と遠心バランス室6との間の差圧が第2所定圧未満のときは該第2シールリング83を介してケース内圧室2から遠心バランス室6に作動油を導入することができ、ケース内圧室2と遠心バランス室6との間の差圧が第2所定圧以上になるとシールリング83の漏れによってケース内圧室2から遠心バランス室6に作動油を導入することができるようになっている。第2シールリング83は、ケース内圧室2から遠心バランス室6に作動油を導入する作動油導入手段として機能する。
遠心バランス室6にケース内圧室2から第2シールシリング83を介して導入された作動油は、前述したように、タービンハブ30に設けられた連通孔35を通じて遠心バランス室6から外部に排出される。
また、本実施形態では、クラッチ60の解放状態で遠心バランス室6内にピストン65を解放方向へ移動させる油圧が発生することを抑制するための遠心バランス室6からの作動油リーク手段が設けられ、該作動油リーク手段は、第1シールリング81によって構成されている。
第1シールリング81は、遠心バランス室6と油圧室4、具体的には油路40aとの間の差圧が第2所定圧以上になると遠心バランス室6と油圧室4との間のシール機能を発揮するように形成されているが、シール機能発揮前は、クラッチ60の解放状態で遠心バランス室6から油圧室4、具体的には油路40aへ作動油をリークさせてピストン65を解放方向へ移動させる遠心バランス室6内の油圧の発生を抑制する。
第1シールリング81は、遠心バランス室6と油圧室4との差圧が第1所定圧未満であるときはクラッチ60の解放状態で遠心バランス室6から油圧室4へ作動油をリークさせることによりピストン65を解放方向へ移動させる油圧の発生を抑制すると共に、クラッチ60の締結時には、油圧室4と遠心バランス室6とのシール機能を発揮するように形成されている。
図3の実線矢印で示すように、クラッチ60の解放状態において、第2シールリング83を介してケース内圧室2から遠心バランス室6に作動油が導入され、遠心バランス室6に作動油が充填されると、図3の破線矢印で示すように、遠心バランス室6内に導入された作動油は、タービンハブ30の連通孔35を通じて排出されると共に、第1シールリング81を介して油圧室4、具体的には油路40aにリークさせる。
本実施形態では、ケース内圧室2から遠心バランス室6に作動油を導入する作動油導入手段が、ケース内圧室2と遠心バランス室6との間に配設された第2シールリング83によって構成されているが、プレート部材50の内側プレート部53に連通孔を設けて、該連通孔を通じてケース内圧室2から遠心バランス室6に作動油を導入するようにしてもよく、また、ピストン65の外側円筒部71に連通孔を設けて、該連通孔を通じてケース内圧室2から遠心バランス室6に作動油を導入するようにしてもよい。
このように、本実施形態に係るトルクコンバータ1は、ケース10内に、油圧室4に供給される締結用油圧によりピストン65を押圧してポンプ20とタービンとを直結するロックアップクラッチ60とが備えられると共に、ピストン65を挟んで油圧室4の反対側にケース内圧室2から作動油の一部が導入される遠心バランス室6が形成されている。そして、ロックアップクラッチ60の解放状態で遠心バランス室6内にピストン65を解放方向へ移動させる油圧が発生することを抑制するための遠心バランス室6からの作動油リーク手段81が設けられる。
これにより、ロックアップクラッチ60の解放状態でロックアップクラッチ60のピストン65が解放方向へ移動されることを抑制し、該ピストン65を所定のクラッチクリアランスとなる位置に保持することができるので、油圧室4に締結用油圧が供給されたときに速やかにロックアップクラッチ60を締結することができ、ロックアップクラッチ60を応答性良く締結することができる。特に、ロックアップクラッチ60の解放状態でピストン65をクラッチクリアランスがゼロとなる位置に保持する場合に、前記効果を有効に奏することができる。
また、前記流体リーク手段81は、ロックアップクラッチ60の解放状態で遠心バランス室6から油圧室4へ作動油をリークさせることによりピストン65を解放方向へ移動させる油圧の発生を抑制すると共に、ロックアップクラッチ60の締結時には、油圧室4と遠心バランス室6との間のシール機能を発揮するシールリング81によって構成されることにより、作動油リーク手段を別途設ける必要なしに既存のシールリングを利用することができる。
また、ケース内圧室2から遠心バランス室6に作動油を導入する流体導入手段は、ケース内圧室2と遠心バランス室6との間に配設されるシールリング83によって構成されることにより、流体導入手段として、ピストン65等にオリフィスを別途設ける必要なしに既存のシールリングを利用することができる。
ケース内圧室2と遠心バランス室6との間に配設されるシールリング83として、ケース内圧室2と遠心バランス室6との間の差圧が比較的低い所定圧以上になるとケース内圧室2と遠心バランス室6との間のシール機能を発揮するシールリングを用いることで、エンジン始動時等にケース内圧室2と遠心バランス室6との間のシール機能によってケース内圧室2の油圧を速やかに高めることができると共に、シール機能発揮後においてもシールリングの漏れによってケース内圧室2から遠心バランス室6に作動油を導入することができる。
また、遠心バランス室6と油圧室4との間に配設されたシールリング81は、遠心バランス室6と油圧室4との間の差圧が第1所定圧以上になるとシール機能を発揮し、ケース内圧室2と遠心バランス室6との間に配設されたシールリング83は、ケース内圧室2と遠心バランス室6との間の差圧が第2所定圧以上になるとシール機能を発揮し、第2所定圧は、第1所定圧より低く設定されることにより、遠心バランス室6と油圧室4との間、及びケース内圧室2と遠心バランス室6との間にそれぞれ配設されたシールリング81、83を用いて、前記効果を有効に得ることができる。
前述した実施形態では、作動油リーク手段が、第1シールリング81によって構成されているが、遠心バランス室6と油圧室4との間の差圧が所定圧以上になると遠心バランス室6から油圧室4へ作動油をリークさせる作動油リーク機構を用いることも可能である。
図5は、前記流体伝動装置の変形例を示す断面図である。図5に示すように、油圧構成部材40の内周部43とタービンハブ30とを溶接により接合すると共に、油路構成部材40に、クラッチ60の解放状態で遠心バランス室6と油圧室4、具体的には油路40aとの間の差圧が所定圧以上になると遠心バランス室6から油圧室4へ作動油をリークさせる作動油リーク機構90を用いることも可能である。
作動油リーク機構90は、油路構成部材40に設けられた遠心バランス室6と油圧室4、具体的には油路40aとを連通する連通孔91と、該連通孔91を開閉する弁体としてのボール弁92とを備え、ボール弁92は、クラッチ60の解放状態で遠心バランス室6と油圧室4との間の差圧が所定圧以上になると連通孔91を開き、遠心バランス室6から油圧室4へ作動油をリークさせるように構成されている。
ボール弁92は、連通孔91内に収納され、ボール弁92の遠心バランス室側が、油路構成部材40に設けられたボール弁座部93によって支持され、ボール弁92の油圧室4側が連通孔91内に収納されたスプリング94によって押圧されている。スプリング94は、油路構成部材40に設けられたスプリング受け部95によって支持されている。
ボール弁92は、スプリング94によって押圧されて連通孔91を閉じるように設けられているが、ロックアップクラッチ60の解放状態で遠心バランス室6と油圧室4との間の差圧が前記第1所定圧よりも高い所定圧以上になるとスプリング94側に移動して連通孔91を開き、連通孔91を通じて遠心バランス室6から油圧室4へ作動油をリークさせる。
これにより、図5の実線矢印で示すように、クラッチ60の解放状態において、第2シールリング83を介してケース内圧室2から遠心バランス室6に作動油が導入され、遠心バランス室6に作動油が充填されると、図5の破線矢印で示すように、遠心バランス室6内に導入された作動油は、タービンハブ30の連通孔35を通じて排出されると共に、遠心バランス室6と油圧室2との差圧が前記所定圧以上になると、連通孔91を通じて油圧室4、具体的には油路40aへリークされる。
このようにして構成された作動油リーク機構90を備えたトルクコンバータ1においても、ロックアップクラッチ60の解放状態でロックアップクラッチ60のピストン65が解放方向へ移動されることを抑制し、該ピストン65を所定のクラッチクリアランスとなる位置に保持することができるので、油圧室4に締結用油圧が供給されたときに速やかにロックアップクラッチ60を締結することができ、ロックアップクラッチ60を応答性良く締結することができる。
また、作動油リーク機構90は、遠心バランス室6と油圧室4とを連通する連通孔91と、該連通孔91を開閉するボール体92とを備え、ボール弁92は、ロックアップクラッチ60の解放状態で遠心バランス室6と油圧室4との間の差圧が所定圧以上になると連通孔91を開き、遠心バランス室6から油圧室4へ作動油をリークさせるように構成されていることにより、ロックアップクラッチの解放状態で遠心バランス室内にピストンを解放方向へ移動させる流体圧が発生することを抑制することができる。
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
以上のように、本発明によれば、ロックアップクラッチの解放状態でロックアップクラッチのピストンが解放方向へ移動されることを抑制し、ロックアップクラッチを応答性良く締結することが可能となるから、ロックアップクラッチを有する流体伝動装置ないしこれを搭載する車両の製造技術分野において好適に利用される可能性がある。
1 トルクコンバータ
2 ケース内圧室
4 油圧室
6 遠心バランス室
10 ケース
20 ポンプ
23a、24a、25a、25b、40a 油路
30 タービンハブ
40 油路構成部材
50 プレート部材
60 ロックアップクラッチ
65 ピストン
81 第1シールリング
83 第2シールリング
90 作動油リーク機構
91 連通孔
92 ボール弁
94 スプリング

Claims (4)

  1. エンジンの出力軸に連結されたケース内に、該ケースと一体回転するポンプと、該ポンプにより流体を介して動力が伝達されるタービンと、流体圧室に供給される締結用流体圧によりピストンを押圧して前記ポンプと前記タービンとを直結するロックアップクラッチとが備えられ、且つ前記ピストンを挟んで前記流体圧室の反対側に、動力伝達用流体が充填されたケース内圧室から該流体の一部が導入される遠心バランス室が形成された流体伝動装置であって、
    前記ロックアップクラッチの解放状態で前記遠心バランス室内に前記ピストンを解放方向へ移動させる流体圧が発生することを抑制するための該遠心バランス室からの流体リーク手段が設けられ、
    前記流体リーク手段は、前記遠心バランス室と前記流体圧室との間に配設され、前記遠心バランス室と前記流体圧室とを連通する連通孔と、該連通孔を開閉する弁体とを備え、前記弁体は、前記ロックアップクラッチの解放状態で前記遠心バランス室と前記流体圧室との間の差圧が所定圧以上になると前記連通孔を開き、前記遠心バランス室から前記流体圧室へ前記流体をリークさせて前記ピストンが解放方向へ移動されることを抑制するように構成されている、
    ことを特徴とする流体伝動装置。
  2. エンジンの出力軸に連結されたケース内に、該ケースと一体回転するポンプと、該ポンプにより流体を介して動力が伝達されるタービンと、流体圧室に供給される締結用流体圧によりピストンを押圧して前記ポンプと前記タービンとを直結するロックアップクラッチとが備えられ、且つ前記ピストンを挟んで前記流体圧室の反対側に、動力伝達用流体が充填されたケース内圧室から該流体の一部が導入される遠心バランス室が形成された流体伝動装置であって、
    前記ロックアップクラッチの解放状態で前記遠心バランス室内に前記ピストンを解放方向へ移動させる流体圧が発生することを抑制するための該遠心バランス室からの流体リーク手段が設けられ、
    前記流体リーク手段は、前記遠心バランス室と前記流体圧室との間に配設され、前記ロックアップクラッチの解放状態で前記遠心バランス室から前記流体圧室へ前記流体をリークさせることにより前記ピストンを解放方向へ移動させる流体圧の発生を抑制すると共に、前記ロックアップクラッチの締結時には、前記流体圧室と前記遠心バランス室との間のシール機能を発揮するシールリングによって構成されている、
    ことを特徴とする流体伝動装置。
  3. 前記ケース内圧室から前記遠心バランス室に前記流体を導入する流体導入手段が設けられ、
    前記流体導入手段は、前記ケース内圧室と前記遠心バランス室との間に配設されるシールリングによって構成されている、
    ことを特徴とする請求項2に記載の流体伝動装置。
  4. 前記遠心バランス室と前記流体圧室との間に配設されたシールリングは、前記遠心バランス室と前記流体圧室との間の差圧が第1所定圧以上になると前記遠心バランス室と前記流体圧室との間のシール機能を発揮するシールリングであり、
    前記ケース内圧室と前記遠心バランス室との間に配設されたシールリングは、前記ケース内圧室と前記遠心バランス室との間の差圧が第2所定圧以上になると前記ケース内圧室と前記遠心バランス室との間のシール機能を発揮するシールリングであり、
    前記第2所定圧は、前記第1所定圧より低く設定されている、
    ことを特徴とする請求項3に記載の流体伝動装置。
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