一般に、電子写真方式、静電記録方式等を利用してトナー(粉体現像剤)からなる画像を形成する画像形成装置においては、回転する感光体等の像担持回転体に画像情報に基づくトナー像を形成した後、そのトナー像を記録シートに直接転写するか、または回転する中間転写体(像担持回転体)に一次転写した後にその中間転写体を介して記録シートに二次転写するという各転写工程を経ることによって、最終的にその記録シートに画像を形成するようになっている。
この場合の上記各転写工程は、その転写対象となるトナー像が所定の極性に帯電されたトナーにより構成されているため、各転写部にバイアス電圧を印加する転写装置を設置し、そのバイアス電圧の印加によりその帯電トナー像が被転写材(記録シート、中間転写体など)に対して静電的に吸着される転写電界を形成した状態で行われることが多い。
ところが、このような画像形成が行われる画像形成装置においては、上記各転写工程の後に感光体、中間転写体等の像担持回転体の表面に残留して付着するトナーが存在するため、通常、この残留トナーを除去するためのクリーニング装置が装備されている。
この種のクリーニング装置としては、種々のものが知られているが、以下に示すように工夫を凝らしたものも提案されている。
たとえば、回転する像担持体の表面にバイアス電圧を印加したクリーニング回転ブラシとクリーニングブレードを接触させるように設置し、単色画像を形成するときにはそのブレードを像担持体から離してクリーニング回転ブラシのみで清掃を行い、複数色の画像を形成するときにはそのブレードを像担持体に接触させてクリーニング回転ブラシとクリーニングブレードの双方で清掃を行うように構成したクリーニング装置が提案されている(特許文献1)。このクリーニング装置では、特に、クリーニングブレードの寿命を延ばすとともに、複数色の画像を形成する際に複数色のトナーの除去性を高めることができるとされている。
また、光導電性ベルト等の可動表面に、第1バイアスを有する第1の清掃手段と、その表面の移動方向において第1清掃手段より下流側に配置された第2のバイアスを有する第2の清掃手段とを備えたクリーニング装置が提案されている(特許文献2)。第1清掃手段および第2清掃手段としては、具体的に、回転するクリーニング回転ブラシを使用することが例示されている。このクリーニング装置では、特にマイナス帯電性のトナーを、予備清掃コロトロンを使用せずに除去することができるとされている。
さらに、回転する像担持体に当接して回転するクリーニングローラと、このクリーニングローラよりも像担持体の回転方向上流側に配置されてその像担持体の表面とクリーニングローラの表面とを摺擦するクリーニングブラシローラとを備えたクリーニング装置が提案されている(特許文献3)。このクリーニング装置では、特に、高品質の画像を形成する小粒径の球形トナーが転写後に残留しても除去することができるとされている。
特開平5−80676号公報
特開平10−10942号公報
特開2002−341718号公報
しかしながら、これらのクリーニング装置にあっては、以下のような問題点が個々にある。
まず、特許文献1で提案されているクリーニング装置では、単色画像の形成時にクリーニング回転ブラシのみですべての残留トナーを除去すること(たとえば正規の極性とは逆の逆極性に帯電したトナーなどの静電的な除去)が困難である。また、複数色画像の形成時には少なくともブレードを用いることになるので、そのブレード自体の磨耗のほか像担持体の磨耗も発生してそのいずれの長寿命化も難しい。
また、特許文献2で提案されているクリーニング装置では、たとえば、光導電性ベルトの回転方向上流側に配置される第1クリーニング回転ブラシではマイナス極性の第1バイアスを印加することで正帯電した残留トナーを除去し、その下流側に配置される第2クリーニング回転ブラシではプラス極性の第2バイアスを印加することで負帯電した残留トナーを除去することで、光導電性ベルト上に存在する極性の異なる残留トナーの除去が可能になるとされている。しかし、その2つのクリーニング回転ブラシで除去したトナーは、その各回転ブラシに当接してバイアスも印加されるトナー除去ロールによりそれぞれ除去するようにしているので、その複数の除去ロールの配置や、その各除去ロールで除去したトナーの回収部の個々の設置や、回転ブラシに加えて各除去ロールへの給電設備の設置等のために装置自体が大型化しやすいという難点があった。
また、特許文献3で提案されているクリーニング装置にあっては、クリーニングブラシローラにより像担持体上にある残留トナーとクリーニングローラ上にある残留トナーとを除去するとされている。しかし、その回転するブラシロールでクリーニングローラ上に付着するトナーを除去することは、そのブラシに直流のバイアスのみを印加している限りはトナーのかき取り効率が悪い。つまり、その印加しているバイアスの電位関係では、静電的な力が働かないので、クリーニングローラからブラシローラにトナーを回収するのは難しい。また、そのかき取り効率が悪いことに加えて、そのブラシローラに付着するトナーを当接するスクレーパブレードで除去しているのでブラシ毛が変形しやすく長寿命化が難しい。
ちなみに、特許文献3には、そのクリーニングローラに300〜500Vのバイアスを印加する一方、そのクリーニングブラシに−300〜−500Vのバイアスを印加して、そのクリーニングブラシローラではプラス極性の残留トナーを回収し、これによってそのクリーニングローラではマイナス極性の残留トナーを回収する実施例が示されている。しかし、このような2つのバイアスの電位関係にあって、上記クリーニングローラで回収したマイナス極性の残留トナーが上記クリーニングブラシローラ側にどのようにして回収されているのかは不可解である。つまり、このバイアスの電位関係であると、クリーニングローラに回収されたトナーは、ブラシローラ側に静電的に回収される力が発生しにくく、機械的なかき取り力しか働かないと考えられる。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、装置の小型化や長寿命化の妨げとならず、帯電されたトナー像を担持し得る像担持回転体の静電転写後の表面(担持面)に残留するトナーを効率良く除去することができるクリーニング装置およびそれを用いた画像形成装置を提供するものである。
本発明のクリーニング装置は、帯電されたトナー像を被転写体に静電転写した後の像担持回転体の表面に付着する残留トナーを除去するクリーニング装置であって、前記像担持回転体の転写後の表面に接触して回転するように設置されるとともに第1バイアス電圧が印加されるクリーニング回転ブラシと、前記像担持回転体の回転方向において前記クリーニング回転ブラシよりも下流側となる位置でその像担持回転体の表面とそのクリーニング回転ブラシの外周部の双方に接触して回転するように配置されるとともに第2バイアス電圧が印加されるクリーニング回転ロールと、このクリーニング回転ロールに付着するトナーを除去する除去部材とを備えていることを特徴とするものである。
また、このクリーニング装置においては、その第1バイアス電圧と第2バイアス電圧について、前記クリーニング回転ブラシで除去した残留トナーを前記クリーニング回転ロール側に静電的に吸着させる電界を形成する電位関係に設定するとよい。このときの電位関係の設定は、たとえば、クリーニング回転ブラシで除去する予定の残留トナーの帯電極性を基準にして選定することができる。
また、上記各クリーニング装置においては、その像担持回転体の裏面側でクリーニング回転ブラシと対向する位置に、第3バイアス電圧が印加されるブラシ用対向電極を設置し、かつ、その像担持回転体の裏面側でクリーニング回転ロールと対向する位置に、第4バイアス電圧が印加されるロール用対向電極を設置するとよい。
さらに、上記各クリーニング装置においては、クリーニング回転ロールの回転速度を、前記クリーニング回転ブラシの回転速度以下の速度に設定するとよい。
また、本発明の画像形成装置は、像担持回転体の表面に形成される帯電されたトナー像を被転写体に静電転写した後に、その像担持回転体の表面に付着する残留トナーを除去するクリーニング装置を有する画像形成装置であって、そのクリーニング装置として上記したいずれかの構成からなるクリーニング装置を使用することを特徴とするものである。
このようなクリーニング装置および画像形成装置によれば、像担持回転体の静電転写後の表面に残留するトナーが、その転写後に先に到達するクリーニング回転ブラシにおいて第1バイアスの印加条件で形成される電界の影響をうけて静電的に回転ブラシ側に吸着されることで除去されることに加え、その回転ブラシで除去されない残留トナーがその下流側に位置するクリーニング回転ロールにおいて第2バイアスの印加条件で形成される電界の影響を受けて静電的に回転ロール側に吸着されることで除去される。また、クリーニング回転ロールは、クリーニング回転ブラシに付着するトナーをその回転ブラシの外周部との接触回転により除去して回収するとともに、自己のロール表面に付着するトナーが最終的に除去部材により除去されることとなる。
これにより、像担持回転体の静電転写後の表面に残留するトナーが回転ブラシと回転ロールとの双方で効率よく除去されるようになり、しかも、その回転ブラシはその除去したトナーが回転ロールにより回収されて常に清掃された状態に保たれることでその清掃能力が持続するようになり、これによっても残留トナーの除去が効率よく行なわれるようになる。また、クリーニング回転ブラシにはスクレーパ等の除去部材が設置されていないため、そのブラシ毛の変形による清掃能力の低下や寿命の短縮を誘発するおそれもない。さらに、回転ブラシと回転ロールで除去したトナーは、回転ロール側で最終的に除去部材によって除去されるため、そのトナーの回収部も1つで足りることになる。
また、その第1バイアス電圧と第2バイアス電圧を上記したような電位関係に設定した場合には、クリーニング回転ブラシで除去した残留トナーをクリーニング回転ロール側に静電的に吸引して確実に回収することができる。
また、そのクリーニング回転ブラシとクリーニング回転ロールに対して、上記したような各バイアス電圧が印加される対向電極をそれぞれ設置した場合には、その各回転ブラシと回転ロールでそれぞれ除去するトナーを適切な電界による静電的引力により確実にかつ効率良く除去できるようになる。また、この第3バイアスと第4バイアスの設定を調整することにより、第1バイアスと第2バイアスの前記したような電位関係(回転ブラシで除去したトナーを回転ロール側に静電的に吸着させる電界を形成するための電位)の設定がやり易くなることもある。勿論、第1バイアスと第2バイアスの電位関係を設定した後に、第3バイアスと第4バイアスの設定することも可能である。
さらに、クリーニング回転ロールの回転速度を上記したような速度に設定した場合には、その回転ロールが接触して回転する相手の回転ブラシに対するストレスを少なくすることができ、その回転ブラシの長寿命化にも有効となる。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係るクリーニング装置を示す概略説明図である。
このクリーニング装置1は、たとえば電子写真方式等を利用して感光ドラムに形成するトナー像Tをその感光ドラムを通過するように回転する無端状の中間転写ベルト2に一次転写した後に、その中間転写ベルト2を介して記録シートに二次転写して定着する工程を経ることにより画像を形成する画像形成装置に適用されるものであり、ここではその中間転写ベルト2のクリーニング装置として使用している。
クリーニング装置1は、そのクリーニング対象である中間転写ベルト2の二次転写後の表面に接触して矢印方向に回転するように設置されるクリーニング回転ブラシ10と、その中間転写ベルト2の回転方向においてクリーニング回転ブラシ10よりも下流側の位置で中間転写ベルト2の表面と回転ブラシ10の外周部との双方に接触して矢印方向に回転するように設置されるクリーニング回転ロール20と、このクリーニング回転ロール20の表面に接触してそのロール表面上のトナーをかき取るクリーニングブレード30とを少なくとも備えている。なお、クリーニング回転ブラシ10とクリーニング回転ロール20は、図示されていないハウジングで囲まれている。
クリーニング回転ブラシ10は、回転軸11の周囲にブラシ毛12を所定の密度となるように放射状に立設した構造のものであり、そのブラシ毛12の先端部が中間転写ベルト2の表面(像担持面)に接するような状態で回転可能に支持されている。この回転ブラシ10は、図示されていない駆動装置により中間転写ベルト2の回転方向とは逆の方向に回転駆動するようになっている。このときの回転ブラシ10の回転速度は、中間転写ベルト1の回転速度(移動速度)と回転方向は異なるがほぼ同じ速度とする。
また、その回転軸11には、クリーニング時において電源装置15から所定の第1バイアス電圧が印加される。第1バイアス電圧としては、残留トナーの帯電極性に応じて適宜選定できるが、通常は極性の異なる残留トナーが混在していることを前提として、その割合の多い帯電極性の残留トナー分を静電的に吸着できるような電圧に設定される。この例では、マイナス極性(ここでは現像時における正規の帯電極性とする)に帯電している負帯電トナーを静電的に吸着できるような電圧に設定される。
クリーニング回転ロール20は、回転軸21に発泡ウレタンゴム層22を形成し、さらにそのゴム層22の表面にフッ素系樹脂材料をコーティングした構成のものであり、そのゴム層22(厳密にはその表面に形成されたコーティング層)が中間転写ベルト2の表面とクリーニング回転ブラシ10の外周部(ブラシ毛12の先端部分)との双方に接するような状態で回転可能に支持されている。この回転ブラシ10は、図示されていない駆動装置により中間転写ベルト2の回転方向とは逆の方向に回転駆動するようになっている。このときの回転ロール20の回転速度は、クリーニング回転ブラシ10の回転速度と同等またはそれより遅い速度に設定される。
また、その回転軸21には、クリーニング時において電源装置25から所定の第2バイアス電圧が印加される。第2バイアス電圧としては、クリーニング回転ブラシ10で除去する残留トナーの帯電極性とは逆の極性の残留トナー分を静電的に吸着できるような電圧に設定される。この例では、プラス極性(ここでは正規極性とは反対の逆帯電極性とする)に帯電している正(逆)帯電トナーを静電的に吸着できるような電圧に設定される。
クリーニングブレード30は、厚さ0.5mmのステンレスからなるブレードが使用され、クリーニング回転ロール20の中間転写ベルト2との接触後であってクリーニング回転ブラシ10と接触する手前となる範囲内で回転ロール20に食い込み量が1mmとなるように圧接させている。また、このブレード30でかき取ったトナーは、図示されていないトナー回収部に収容されるようになっている。
また、このクリーニング装置1においては、中間転写ベルト2の裏面側でクリーニング回転ブラシ10と対向する位置にロール形態のブラシ用対向電極17を設置しているとともに、その中間転写ベルト2の裏面側でクリーニング回転ロール20と対向する位置にロール形態のロール用対向電極27を設置している。
ブラシ用対向電極17は、中間転写ベルト2に接触した状態でそのベルト2の移動方向と同じ方向にかつそのベルト2と同じ速度で回転するように設置されている。また、この対向電極17には、クリーニング時において電源装置18から所定の第3バイアス電圧が印加される。第3バイアス電圧は、クリーニング回転ブラシ10により除去する対象の残留トナーが静電的にその回転ブラシ10側に吸着されやすい電位関係となる電圧に(第1バイアス電圧等を考慮しながら)設定される。この例では、マイナス極性に帯電している負帯電トナーを回転ブラシ10側に静電的に吸着されやすくなる電圧に設定される。
ロール用対向電極27は、前記対向電極17の場合と同様に、中間転写ベルト2に接触した状態でそのベルト2の移動方向と同じ方向にかつそのベルト2と同じ速度で回転するように設置されている。また、この対向電極27には、クリーニング時において電源装置28から所定の第4バイアス電圧が印加される。第4バイアス電圧は、クリーニング回転ロール20により除去する対象の残留トナーが静電的にその回転ロール20側に吸着されやすい電位関係となる電圧に(第2バイアス電圧等を考慮しながら)設定される。この例では、プラス極性に帯電している正帯電トナーを回転ロール20側に静電的に吸着されやすくなる電圧に設定される。
さらに、このクリーニング装置1では、第1バイアス電圧と第2バイアス電圧について、クリーニング回転ブラシ10で除去した残留トナーをクリーニング回転ロール20側に静電的に吸着させる電界をその回転ブラシ10と回転ロール20の間に形成できるような電位関係を設定している。この電位関係の設定は、クリーニング回転ブラシ10で除去する予定の残留トナーの帯電極性(この例ではマイナス極性)を基準にし、しかも対向電極17,27に印加する第3バイアスと第4バイアスの各印加電圧との関係も考慮しつつ選定される。
ちなみに、この例では、負帯電の残留トナーをクリーニング回転ブラシ10に吸着させて除去する観点から、クリーニング回転ブラシ10とその対向電極17の電位差が「200〜400V」になるように、回転ブラシ10に印加する第1バイアス電圧を「−100〜0V程度」に、対向電極17に印加する第3バイアス電圧を「−400〜−300V」程度にそれぞれ設定している。
また、正帯電の残留トナーをクリーニング回転ロール20に吸着させて除去する観点から、クリーニング回転ロール20とその対向電極27の電位差が「200〜400V」となり、しかも、クリーニング回転ブラシ10とクリーニング回転ロール20の電位差が「200〜400V」となるように、回転ロール20に印加する第2バイアス電圧を「−100〜0V程度」に、対向電極17に印加する第3バイアス電圧を「+300〜+400V」程度に、対向電極27に印加する第4バイアス電圧を「+500〜+600V」程度に」にそれぞれ設定している。
次に、このクリーニング装置1の動作について説明する。
まず、クリーニング装置1は、基本的に、その適用される画像形成装置の画像形成動作と同期して稼動する。その画像形成動作における二次転写が終了した後の中間転写ベルト2上には、図2に示すように、帯電極性の異なる残留トナーTa(負帯電),Tb(正帯電)が存在する。これは、負帯電トナーにより画像形成を行なうシステムにおいては、その(二次)転写後において剥離放電により逆帯電する現象が起こるため、その転写後の中間転写ベルト2上には図5に例示するようにマイナス極とプラス極の両極の帯電分布をもつ未転写残留トナーが存在している。
この残留トナーTa,Tbが付着する中間転写ベルト2は、はじめにクリーニング装置1のクリーニング回転ブラシ10と接触しながら通過する。この際、ベルト上の残留トナーは、そのベルトの移動方向Aとは逆方向に回転して進む回転ブラシ10による強い掻き取り作用を受けると同時に、図2に示すように、第1バイアスおよび第2バイアスの印加によりその回転ブラシ10とその対向電極17との間に形成されている負帯電トナーを回転ブラシ10側に静電的に吸着させる電界Eaの静電的作用を受ける。これにより、残留トナーのうち負帯電の残留トナーTaが回転ブラシ10(ブラシ毛12)側に吸着されて除去される。一方、正帯電の残留トナーTbは、回転ブラシ10に静電的に吸着されないため、中間転写ベルト2に担持されたまま素通りしてしまう。
続いて、クリーニング回転ブラシ10を通過した中間転写ベルト2は、その下流側に位置するクリーニング回転ロール20と接触しながら通過する。この際、ベルト上には回転ブラシ10で除去されなかった正帯電の残留トナーTbは、図3に示すように、主に、第2バイアスおよび第4バイアスの印加によりその回転ロール20とその対向電極27との間に形成されている負帯電トナーを回転ロール20側に静電的に吸着させる電界Ebの静電的作用を受ける。これにより、その正帯電の残留トナーTbが回転ロール20側に吸着されて除去される。
また、このクリーニング動作中においては、図4に示すように、クリーニング回転ロール20がクリーニング回転ブラシ10に接触して回転しているとともに、その両者間には、第1バイアスおよび第2バイアスの印加により負帯電トナーを回転ブラシ10から回転ロール20側に静電的に吸着させる電界Ecが形成されている。これにより、その回転ブラシ10に付着している除去後の負帯電の残留トナーTaが、その両者間におけるかき取り作用と静電作用を受けることによって、回転ロール20側に吸着されるように移行する。つまり、回転ブラシ10上の除去後の残留トナーTaが回転ロール20側に回収されることになる。これにより、中間転写ベルト2に接触する回転ブラシ10は常に清掃された状態に置かれるため、その清掃能力が低下することなく持続しやすくなる。
最後に、クリーニング回転ロール20に吸着された残留トナーTa,Tbは、クリーニングブレード30によって掻き取られ、所定の回収部に収容される。
以上のようにして中間転写ベルト2上に二次転写後に付着していた帯電極性の異なる残留トナーTa,Tbがクリーニング装置1によって効率よく除去される。また、回転ロール20の回転速度を回転ブラシ10の回転速度と同じ速度以下に設定しているため、その回転ブラシ10はそのブラシ毛12の変形なども発生しにくく長寿命化が可能である。
以下、このクリーニング装置1を用いてそのクリーニング効果を確認するために行った試験結果について説明する。
この試験を行うに当り、クリーニング装置1について以下の条件を採用した。
クリーニング回転ブラシ10としては、径8mmの金属製回転軸11に長さ(高さ)6mmのブラシ毛12を立設した外径20mmのブラシロールを使用した。ブラシ毛12には、12ナイロンにカーボンを分散した導電性ブラシ毛(カネボウ製:ベルトロン。抵抗値2〜4log・Ω)で太さ10デニール、ブラシ密度80本/inch2のものを使用した。この回転ブラシ10は、中間転写ベル2の移動方向(速度194mm/sec)と反対の方向に同じ速度で回転させた。
クリーニング回転ロール20としては、ロール基材のアルマイト層の表面にタフラム処理(三菱マテリアル製)を施した外径20mmのロールを使用した。この回転ロール20は、中間転写ベル2の移動方向と同じ方向に同じ速度で回転させた。これにより、回転ロール20は回転ブラシ10ともその接触部(食い込み量:1.0mm程度)において同じ方向に同じ速度で回転する。ブレード30としては、厚さ0.8mm、長さ18mmのステンレス板からなるものを使用し、回転ロール20に食い込み量が0.8mmとなるような状態で圧接させた。
ブラシ用対向電極17およびロール用対向電極27としては、そのいずれも回転軸に八方ウレタンゴム層を形成し、そのゴム層の表面にフッ素樹脂をコーティングした外径18mmのもの(体積抵抗率:8log・Ω)を使用した。また、両対向電極の回転方向については、中間転写ベルト2の移動方向と一致する方向にした。
また、回転ブラシ10には−100Vの第1バイアスを印加し、回転ロール20には+300Vの第2バイアス電圧を印加した。ブラシ用対向電極17には−400vの第3バイアス電圧を印加し、ロール用対向電極27には+600Vの第4バイアス電圧を印加した。中間転写ベルト2としては、ポリイミドにカーボンブラックの導電化剤を適用含有させて体積抵抗率を:12logΩ・cm程度に調製した厚みが0.1mm程度の無端ベルトを使用した。
そして、中間転写ベルト2を使用する画像形成装置において平均粒径6.5μmの負帯電性重合トナーを使用した画像形成を行ない、その二次転写後に発生する残留トナーとして4.0g/m2の量のものを中間転写ベルト2に付着させて上記クリーニング装置1を1回通過させた。そのときに最後に中間転写ベルト2上に残ったトナーを採取して計測した。
その結果、0.02g/m2以下という実用上まったく問題のないクリーニング効果が得られることを確認できた。
<他の実施の形態>
実施の形態1では、対向電極17,27としてロール形態のものを説明したが、それ以外にもたとえばプレート形態のものを使用してもよい。また、回転ロール20の除去部材としてブレードタイプを使用する場合を説明したが、それ以外にも、たとえばブラシの形態のものを使用することもできる。
この他にも、クリーニング対象として中間転写ベルト2の場合を説明したが、転写後の残留トナーが発生する感光体等であってもよく(この場合におけるトナー像を転写する先の被転写体は記録シートや中間転写体などとなる)、その形態もベルト形態にかぎらずドラム形態のものであってもよい。
1…クリーニング装置、2…中間転写ベルト(像担持回転体)、10…クリーニング回転ブラシ、15,25,18,28…バイアス電源、17…ブラシ用対抗電極、20…クリーニング回転ロール、27…ロール用対向電極、30…クリーニングブレード(除去部材)、T…トナー像、Ta,Tb…残留トナー、A…回転方向。