以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
(第1の実施の形態)図1は、本発明の第1の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成を示している。図1に示した鉄道車両駆動制御装置は、鉄道車両を駆動する電動機として回転子に永久磁石を有する永久磁石電動機を適用したシステムである。図1において、1は交流電源である架線、2は集電器、3は交流回路遮断器、4は変圧器の1次巻線、5は変圧器の2次巻線、7は車輪、8は帰線であるレール、10は充電用開閉器、11は充電回路抵抗器、12はコンバータ、13U〜13Yはコンバータ12のスイッチング素子、9は変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の電流を検出するための交流電流検出器、14は平滑コンデンサ、21は永久磁石電動機、22はインバータ、23U〜23Zはインバータ22のスイッチング素子、15はコンバータ12とインバータ22との間の直流回路の電圧を検出するための電圧検出器、24U〜24Wはインバータ22と永久磁石電動機21との間の電流を検出するための電流検出器、25は接触子を3個有し、インバータ22と永久磁石電動機21との間の回路に2個の接触子が設置され、かつ変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の回路に1個の接触子が設置されている3極開閉器である。尚、図1において、図30と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
コンバータ12は、4個のスイッチング素子13U〜13Yを内蔵しており、この4個のスイッチング素子を任意にオン・オフ動作させることによって、変圧器2次巻線5から供給される交流電圧を任意の大きさの電圧の直流電圧に変換する。図1では、スイッチング素子13U〜13Yは、適用例として、逆並列に接続されたダイオードを内蔵したIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)として記載しているが、電流を導通(オン)・阻止(オフ)する機能を有した素子であれば種類はIGBTに限定されない。
インバータ22は、6個のスイッチング素子23U〜23Zを内蔵しており、この6個のスイッチング素子を任意にオン・オフ動作させることによって、直流電圧を任意の電圧と任意の周波数の3相交流電圧に変換する。図1では、スイッチング素子23U〜23Zは、適用例として、逆並列に接続されたダイオードを内蔵したIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)として記載しているが、電流を導通(オン)・阻止(オフ)する機能を有した素子であれば種類はIGBTに限定されない。インバータ22の電源である直流電圧はコンバータ12によって供給される。平滑コンデンサ14は、コンバータ12から出力されてインバータ22に供給される直流電圧を安定させる作用を持つ。
永久磁石電動機21は、その回転子が歯車などを介して車輪7の車軸と接続されるか、又は車輪7の車軸と直接接続されて鉄道車両を駆動するためのもので、例えば永久磁石同期電動機や永久磁石補助形リラクタンス電動機であり、永久磁石を利用し、それ故にその回転により誘起電圧を発生する方式の電動機である。永久磁石電動機21にはインバータ22からU相電流Iu、V相電流Iv、W相電流Iwの3相交流電力が供給される。またこのとき、永久磁石電動機21の各端子には線間電圧Vuv、Vvw、Vwuが印加される。
交流回路遮断器3は、機能的には開閉器の一種であり、交流電源である架線1と変圧器1次巻線4との接続・切り離しをおこなう。この変圧器には1次巻線4と2次巻線5が設けられており、架線1の交流電圧の大きさを鉄道車両駆動制御装置の入力電圧の交流電圧の大きさに変換する。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の特徴をなす3極開閉器25は3個の接触子を有し、それらの接触子は、インバータ12と永久磁石電動機21との間の3相交流回路のうちの2相に各1個ずつと、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路に1個設けられており、インバータ12と永久磁石電動機21との間の3相交流回路及び変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路を投入・開放するために動作する。ここで、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の接触子を2相にだけ設置しているのは、当該接触子を開放することで永久磁石電動機21の誘起電圧によって故障したインバータ22又はコンバータ12へ流れる電流を防止するためであり、図1のように3相のうちのいずれか2相を接触子で開放することでこの電流を防止できるからである。
充電用開閉器10と充電回路抵抗器11は、コンバータ12を起動する前にコンバータ12とインバータ22との間の直流回路に設けた平滑コンデンサ14を充電するためのもので、コンバータ12を起動する前に充電用開閉器10が投入(オン)され、コンバータ12が内蔵しているスイッチング素子13U〜13Yの逆並列ダイオードを経由して充電回路抵抗器11で制限された電流によって平滑コンデンサ14を充電する。平滑コンデンサ14の充電が完了した後に充電用開閉器10が開放(オフ)され、3極開閉器25が投入(オン)され変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路とインバータ22と永久磁石電動機21との間の回路が接続される。充電用開閉器10を開放して3極開閉器25を投入するタイミングについては、充電回路抵抗器11の抵抗値と平滑コンデンサ14の静電容量から求められる充電時間を考慮して、充電用開閉器10を投入した後に前記の充電時間が経過したことで、充電用開閉器10を開放して3極開閉器25を投入する。又は別の方式として、電圧検出器15の検出値を監視して平滑コンデンサ14の電圧が予め設定された閾値を超えたときに充電用開閉器10を開放して3極開閉器25を投入する方式としても良い。
3極開閉器25が投入(オン)されると、コンバータ12とインバータ22との間の直流回路の電圧は、変圧器2次巻線5の交流電圧がコンバータ12のスイッチング素子13U〜13Yに内蔵されたダイオードによって整流された電圧となり、その後コンバータ12とインバータ22はそれぞれが内蔵するスイッチング素子のオン・オフ動作を開始して起動する。
図2は、図1に示した本発明の第1の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の開閉器群を投入・開放するための制御部と制御回路の構成を示した図である。図において、101は制御回路電源、102は制御回路電源グラウンド、103は制御部である。尚、図2において、図31と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
制御部103は、交流電流検出器9の出力信号109と、電圧検出器15の出力信号115と、電流検出器24U〜24Wの出力信号124U〜124Wが入力され、充電用開閉器10の投入と開放をおこなう充電用開閉器投入指令信号103aと、3極開閉器25の投入と開放をおこなう3極開閉器投入指令信号103cとを出力する。尚、図2では、本発明の実施の形態の動作を理解しやすくするために、制御部103への入力信号及び制御部103からの出力信号として、本発明に関係する信号のみを記載している。
継電器104aは、充電用開閉器10の駆動操作コイル110に電源を供給する制御回路であり、制御部103からの充電用開閉器投入指令信号103aによって投入(オン)される。継電器104cは、3極開閉器25の駆動操作コイル125に電源を供給する制御回路であり、制御部103からの3極開閉器投入指令信号103cによって投入(オン)される。
制御部103がコンバータ12又はインバータ22の故障を検出した場合には、3極開閉器投入指令信号103cがオフとなり3極開閉器25を開放(オフ)して、電源である変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の回路を開放するとともにインバータ22と永久磁石電動機21との間の回路も開放する。このとき、充電用開閉器投入指令信号103aもオフ状態が保持され充電用開閉器10も開放状態に保持される。
上で述べたコンバータ12又はインバータ22の故障とは、コンバータ12に内蔵されているスイッチング素子13U〜13Yや、インバータ22に内蔵されているスイッチング素子23U〜23Zが破損し、又はスイッチング素子13U〜13Y、23U〜23Zそれぞれをオン・オフ動作させるための回路が破損して、コンバータ12又はインバータ22が起動できない状態(動作できない状態)の意味である。コンバータ12の故障検出方法については、例えば、コンバータ12の変圧器2次巻線5側の交流回路の電流を交流電流検出器9で監視し、異常値を示した場合にコンバータ12の故障と判断する方法を採用する。またインバータ22の故障検出方法については、例えば、インバータ22の出力電流を電流検出器24U〜24Wで監視し、異常値を示した場合にインバータ22の故障と判断し、またコンバータ12とインバータ22との間の直流回路の直流電圧を電圧検出器15で監視し、異常値を示した場合にコンバータ12とインバータ22の故障と判断する方法を採用する。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、当該鉄道車両駆動制御装置が内蔵するインバータ22又はコンバータ12が故障した状態では、該当するインバータ22とコンバータ12を含む回路を永久磁石電動機21と交流電源(架線)1から切り離すことによって、回送時に、故障して停止しているインバータ22又はコンバータ12が永久磁石電動機21の誘起電圧により損傷を受けないように保護しながら、列車内にある他の健全な鉄道車両駆動制御装置で当該列車の運転を継続したり、当該列車を他の列車と連結して必要な場所まで回送運転したりすることが可能となる。
また、図30に示した従来の鉄道車両駆動制御装置と比較して、交流回路開閉器18とその制御回路である継電器104bとが不要になり、鉄道車両駆動制御装置の構成部品の削減及びそれにともなう装置の外形の小型化と重量の軽量化が可能になる。
尚、図1に示した鉄道車両駆動制御装置では、3極開閉器25の接触子は、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の電流検出器24U〜24Wと永久磁石電動機21との間に設けているが、この接触子は永久磁石電動機21の誘起電圧によって故障したコンバータ12又はインバータ22に流れ込む電流を切り離すためのものであるから、インバータ22と電流検出器24U〜24Wとの間に設けても良い。また、図1に示した鉄道車両駆動制御装置において、交流電流検出器9は、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路の電流を検出するためのものであるから、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路のどちら側の相に設けても良い。
(第2の実施の形態)図3は、本発明の第2の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成を示した図である。図3に示す構成では、図1に示した鉄道車両駆動制御装置の構成に対して充電用開閉器10の構成と動作が異なっており、その他は同様である。尚、図1、図30と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
図1に第1の実施の形態では、充電用開閉器10を充電回路抵抗器11と直列に構成しているのに対して、図3に示した第2の実施の形態では、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路のうち充電回路抵抗器11を設けた相と反対側の相に設けたことを特徴としている。図3に示す鉄道車両駆動制御装置における充電用開閉器10は、コンバータ12を起動する前に充電用開閉器10が投入(オン)され、コンバータ12が内蔵しているスイッチング素子13U〜13Yの逆並列ダイオードを経由して充電回路抵抗器11で制限された電流によって平滑コンデンサ14を充電する。平滑コンデンサ14の充電が完了した後に3極開閉器25が投入(オン)され、このとき充電用開閉器10も投入(オン)のままとなり、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路とインバータ22と永久磁石電動機21との間の回路とがともに接続される。その他の構成要素とその動作については図1に示した鉄道車両駆動制御装置と同様である。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、第1の実施の形態と同様に鉄道車両駆動制御装置が内蔵するインバータ22又はコンバータ12が故障した状態では、該当するインバータ22とコンバータ12を含む回路を永久磁石電動機21と交流電源(架線)1から切り離すことによって、回送時に故障して停止しているインバータ22又はコンバータ12が永久磁石電動機21の誘起電圧により損傷を受けないように保護しながら、列車内にある他の健全な鉄道車両駆動制御装置で当該列車の運転を継続したり、当該列車を他の列車と連結して必要な場所まで回送運転したりすることが可能となる。
また、図30に示した従来の鉄道車両駆動制御装置と比較して、交流回路開閉器18とその制御回路である継電器104bが不要になり、鉄道車両駆動制御装置の構成部品の削減及びそれにともなう装置の外形の小型化と重量の軽量化が可能になる。
尚、図3に示した鉄道車両駆動制御装置では、3極開閉器25の接触子は、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の電流検出器24U〜24Wと永久磁石電動機21との間に設けているが、この接触子は永久磁石電動機21の誘起電圧によって故障したコンバータ12又はインバータ22に流れ込む電流を切り離すためのものであるから、インバータ22と電流検出器24U〜24Wとの間に設けても良い。また、図3に示した鉄道車両駆動制御装置において、交流電流検出器9は変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路の電流を検出するためのものであるから、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路のどちら側の相に設けても良い。
(第3の実施の形態)図4は、本発明の第3の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成を示す図である。図1と図3に示した鉄道車両駆動制御装置と比べて充電回路抵抗器11を無くし、代わりに、変圧器3次巻線6と充電回路昇圧変圧器16と充電用整流回路17を設け、また充電用開閉器10を変圧器3次巻線6と充電回路昇圧変圧器16との間に設けた構成を特徴としている。尚、その他の構成要素とその動作については、図1と図2に示した第1の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様であり、図4において、図1、図3及び図30と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
変圧器3次巻線6は変圧器2次巻線5よりも小さい電圧を出力する巻線である。充電回路昇圧変圧器16は、変圧器3次巻線6の交流電圧を昇圧するためのものである。充電用整流回路17は、充電回路昇圧変圧器16の出力を整流してコンバータ12とインバータ22との間の直流回路に直流電圧を供給するためのものである。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、コンバータ12を起動する前に平滑コンデンサ14を充電する場合、充電用開閉器10を投入(オン)して変圧器3次巻線6と充電回路昇圧変圧器16とを接続することにより、充電用整流回路17を経て平滑コンデンサ14が充電される。平滑コンデンサ14の充電完了後、充電用開閉器10を開放(オフ)し、3極開閉器25を投入(オン)する。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、充電用開閉器10は変圧器3次巻線6と接続された電圧の低い回路上に設けているので、この充電用開閉器10には低電圧用の簡易な開閉器を採用することが可能で、高電圧用の、したがって大型で高価な開閉器は3極開閉器25のみに採用すれば良い効果がある。
また、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の回路の交流開閉器と、インバータ22と永久磁石電動機21との間の回路の3極開閉器25を別々に設ける場合に比較して、交流回路開閉器とその制御回路である継電器が不要になり、鉄道車両駆動制御装置の構成部品の削減及びそれにともなう装置の外形の小型化と重量の軽量化が可能になる。
尚、図4に示した鉄道車両駆動制御装置では、3極開閉器25の接触子は、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の電流検出器24U〜24Wと永久磁石電動機21との間に設けているが、この接触子は永久磁石電動機21の誘起電圧によって故障したコンバータ12又はインバータ22に流れ込む電流を切り離すためのものであるから、インバータ22と電流検出器24U〜24Wとの間に設けても良い。また、図4に示した鉄道車両駆動制御装置において、交流電流検出器9は変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路の電流を検出するためのものであるから、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路のどちら側の相に設けても良い。
(第4の実施の形態)図5は、本発明の第4の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成を示す図である。図5に示す鉄道車両駆動制御装置は、インバータと永久磁石電動機と電流検出器と3極開閉器を組み合わせて1単位の駆動群として構成し、第1〜第3の実施の形態ではコンバータ12が1台であったのに対してこの駆動群を2組備えた構成を特徴としている。以下、それぞれ第1駆動群と第2駆動群と呼称して説明する。
図5において、31は第1駆動群の永久磁石電動機、32は第1駆動群のインバータ、34U〜34Wは第1駆動群の電流検出器、35は第1駆動群の3極開閉器、41は第2駆動群の永久磁石電動機、42は第2駆動群のインバータ、44U〜44Wは第2駆動群の電流検出器、45は第2駆動群の3極開閉器である。尚、図1、図3、図4、図30と同一の要素には同一の符号を用いて表してある。
第1駆動群の3極開閉器35の3個の接触子は、第1駆動群のインバータ32と第1駆動群の永久磁石電動機31との間の3相交流回路のうちの2相に各1個ずつと、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路に1個設置してあり、第1駆動群のインバータ32と第1駆動群の永久磁石電動機31との間の3相交流回路と、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路とを投入・開放する。
第2駆動群の3極開閉器45の3個の接触子は、第2駆動群のインバータ42と第2駆動群の永久磁石電動機41との間の3相交流回路のうちの2相に各1個ずつと、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路に1個設置してあり、第2駆動群のインバータ42と第2駆動群の永久磁石電動機41との間の3相交流回路と、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路とを投入・開放する。
充電回路抵抗器11と充電用開閉器10の接触子とは変圧器2次巻線5の2つの相の両方に設けられており、充電用開閉器10は2つの接触子を有する2極の開閉器で構成されている。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、コンバータ12を起動する前に平滑コンデンサ14を充電する場合は、まず充電用開閉器10が投入(オン)され、コンバータ12が内蔵しているスイッチング素子13U〜13Yの逆並列ダイオードを経由して充電回路抵抗器11で制限された電流によって平滑コンデンサ14を充電する。平滑コンデンサ14の充電が完了した後に充電用開閉器10が開放(オフ)され、第1駆動群の3極開閉器35と第2駆動群の3極開閉器45が投入(オン)され、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路と、第1駆動群のインバータ32と第1駆動群の永久磁石電動機31との間の回路と、第2駆動群のインバータ42と第2駆動群の永久磁石電動機41との間の回路が接続される。
図6は、図5に示した鉄道車両駆動制御装置の開閉器を投入・開放するための制御部と制御回路の構成を示した図である。図6において、109は交流電流検出器9の検出値にあたる出力信号、115は電圧検出器15の検出値にあたる出力信号、134U〜134Wは第1駆動群の電流検出器34U〜34Wの検出値にあたる出力信号、144U〜144Wは第2駆動群の電流検出器44U〜44Wの検出値にあたる出力信号である。尚、図6において、図2、図31と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
制御部103には、交流電流検出器9の出力信号109と、電圧検出器15の出力信号115と、第1駆動群の電流検出器34U〜34Wの出力信号134U〜134Wと、第2駆動群の電流検出器44U〜44Wの出力信号144U〜144Wとが入力され、充電用開閉器10の投入と開放をおこなう充電用開閉器投入指令信号103aと、第1駆動群の3極開閉器35の投入と開放をおこなう第1駆動群3極開閉器投入指令信号103dと、第2駆動群の3極開閉器45の投入と開放をおこなう第2駆動群3極開閉器投入指令信号103eとを出力する。
継電器104aは充電用開閉器10の駆動操作コイル110に電源を供給する制御回路であり、制御部103からの充電用開閉器投入指令信号103aによって投入(オン)される。継電器104dは第1駆動群の3極開閉器35の駆動操作コイル135に電源を供給する制御回路であり、制御部103からの第1駆動群3極開閉器投入指令信号103dによって投入(オン)される。継電器104eは第2駆動群の3極開閉器45の駆動操作コイル145に電源を供給する制御回路であり、制御部103からの第2駆動群3極開閉器投入指令信号103eによって投入(オン)される。
この制御部103は、コンバータ12又は第1駆動群のインバータ32の故障又は第2駆動群のインバータ42の故障を検出した場合には、第1駆動群3極開閉器投入指令信号103dと第2駆動群3極開閉器投入指令信号103eとがオフとなり、第1駆動群の3極開閉器35及び第2駆動群の3極開閉器45を開放(オフ)して電源である変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の回路を開放するとともに第1駆動群のインバータ32と第1駆動群の永久磁石電動機31との間の回路、又は第2駆動群のインバータ42と第2駆動群の永久磁石電動機41との間の回路を開放する。このとき、充電用開閉器投入指令信号103aもオフ状態が保持され充電用開閉器10が開放状態に保持される。
上で述べたコンバータ12又は第1駆動群のインバータ32又は第2駆動群のインバータ42の故障とは、コンバータ12に内蔵されているスイッチング素子13U〜13Yや、第1駆動群のインバータ32と第2駆動群のインバータ42に内蔵されているスイッチング素子23U〜23Zが破損し、又はスイッチング素子13U〜13Y、23U〜23Zそれぞれをオン・オフ動作させるための回路が破損して、コンバータ12又は第1駆動群のインバータ32又は第2駆動群のインバータ42が起動できない状態(動作できない状態)の意味である。コンバータ12の故障検出方法については、例えば、コンバータ12の変圧器2次巻線5側の交流回路の電流を交流電流検出器9で監視し、異常値を示した場合にコンバータ12の故障と判断する方法を採用する。また第1駆動群のインバータ32の故障検出方法については、例えば、第1駆動群のインバータ32の出力電流を第1駆動群の電流検出器34U〜34Wで監視し、異常値を示した場合に第1駆動群のインバータ32の故障と判断する方法を採用する。また第2駆動群のインバータ42の故障検出方法については、例えば、第2駆動群のインバータ42の出力電流を第2駆動群の電流検出器44U〜44Wで監視し、異常値を示した場合に第2駆動群のインバータ42の故障と判断する方法を採用する。あるいはまた、コンバータ12と第1駆動群のインバータ32と第2駆動群のインバータ42との間の直流回路の直流電圧を電圧検出器15で監視し、異常値を示した場合にコンバータ12と第1駆動群のインバータ32と第2駆動群のインバータ42との故障と判断する方法を採用する。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、鉄道車両駆動制御装置が有する複数の制御群のうちの1つの駆動群のインバータ32、42又は両群に共通のコンバータ12が故障した状態では、該当するインバータ32、42又はコンバータ12を含む回路を永久磁石電動機31、41と交流電源(架線)1から切り離すことによって、回送時に故障して停止しているインバータ31、41又はコンバータ12が永久磁石電動機31、41の誘起電圧により損傷を受けないように保護しながら、健全な残りの駆動群によって永久磁石電動機31、41を駆動して当該鉄道車両の運転を継続したり、又は必要な場所まで回送運転することが可能となる。
また、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の回路の交流開閉器と、インバータ22と永久磁石電動機21との間の回路の3極開閉器25を別々に設ける場合に比較して、交流回路開閉器とその制御回路である継電器が不要になり、鉄道車両駆動制御装置の構成部品の削減及びそれにともなう装置の外形の小型化と重量の軽量化が可能になる。
尚、図5に示した鉄道車両駆動制御装置では、3極開閉器35、45の接触子は、インバータ32、42と永久磁石電動機31、41との間の3相交流回路の電流検出器34U〜34W、44U〜44Wと永久磁石電動機31、41との間に設けているが、この接触子は永久磁石電動機31、41の誘起電圧によって故障したコンバータ12又はインバータ32、42に流れ込む電流を切り離すためのものであるから、インバータ32、42と電流検出器34U〜34W、44U〜44Wとの間に設けても良い。また、図5に示した鉄道車両駆動制御装置において、交流電流検出器9は変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路の電流を検出するためのものであるから、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路のどちら側の相に設けても良い。
(第5の実施の形態)図7は、本発明の第5の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成を示す図である。本実施の形態の場合、図5と図6に示した第4の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と比べて充電回路抵抗器11を無くし、代わりに、変圧器3次巻線6と充電回路昇圧変圧器16と充電用整流回路17を設け、また充電用開閉器10を変圧器3次巻線6と充電回路昇圧変圧器16との間に設けた構成を特徴としている。尚、その他の構成要素とその動作については、図5と図6に示した第4の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様であり、図7において、図1、図3、図4、図5、図30と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
変圧器3次巻線6は変圧器2次巻線5よりも小さい電圧を出力する巻線である。充電回路昇圧変圧器16は、変圧器3次巻線6の交流電圧を昇圧するためのものである。充電用整流回路17は、充電回路昇圧変圧器16の出力を整流してコンバータ12と第1駆動群のインバータ32と第2駆動群のインバータ42との間の直流回路に直流電圧を供給するためのものである。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、コンバータ12を起動する前に平滑コンデンサ14を充電する場合、充電用開閉器10を投入(オン)して変圧器3次巻線6と充電回路昇圧変圧器16とを接続することにより、充電用整流回路17を経て平滑コンデンサ14が充電される。そして平滑コンデンサ14の充電が完了後、充電用開閉器10を開放(オフ)して、第1駆動群の3極開閉器35と第2駆動群の3極開閉器45を投入(オン)する。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、充電用開閉器10は変圧器3次巻線6と接続された電圧の低い回路に設けられており、充電用開閉器10が低電圧用の簡易な開閉器で構成することが可能になる。また、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の回路の交流開閉器と、インバータ22と永久磁石電動機21との間の回路の3極開閉器25とを別々に設ける場合に比較して、交流回路開閉器とその制御回路である継電器が不要になり、鉄道車両駆動制御装置の構成部品の削減及びそれにともなう装置の外形の小型化と重量の軽量化が可能になる。
尚、図7に示した鉄道車両駆動制御装置では、3極開閉器35、45の接触子は、インバータ32、42と永久磁石電動機31、41との間の3相交流回路の電流検出器34U〜34W、44U〜44Wと永久磁石電動機31、41との間に設けているが、この接触子は、故障したコンバータ12又はインバータ32、42に永久磁石電動機31、41の誘起電圧によって流れ込む電流を切り離すためのものであるから、インバータ32、42と電流検出器34U〜34W、44U〜44Wとの間に設けても良い。また、図7に示した鉄道車両駆動制御装置において、交流電流検出器9は、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路の電流を検出するためのものであるから、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路のどちら側の相に設けても良い。
(第6の実施の形態)次に、本発明の第6の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置について図8と図9を用いて説明する。図8に示す鉄道車両駆動制御装置は、交流電流検出器9と充電用開閉器10と充電回路抵抗器11とコンバータ12と平滑コンデンサ14と電圧検出器15と永久磁石電動機21とインバータ22と電流検出器24U〜24Wと3極開閉器25を組み合わせて、図1に示した鉄道車両駆動制御装置と同様な構成として、これを1単位の制御群として構成し、この制御群を2組有している構成を特徴としている。以下、それぞれの制御群を第1制御群51及び第2制御群52として呼称して説明する。変圧器は2次巻線を2組有しており、第1制御群51の回路は変圧器2次巻線5Aに接続されている。第2制御群52の回路は変圧器2次巻線5Bに接続されている。尚、図8において、図1、図3、図4、図5、図30と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
図9は、図8に示した鉄道車両駆動制御装置の開閉器を投入・開放するための制御部103と制御回路の構成を示した図である。この図9において、図2、図6、図8、図31と同一の要素には同一の符号を用いて表している。制御部103は、第1制御群51と第2制御群52からそれぞれ、交流電流検出器9の検出値にあたる出力信号109、電圧検出器15の検出値にあたる出力信号115、電流検出器24U〜24Wの検出値にあたる出力信号124U〜124Wが入力され、また、第1制御群51と第2制御群52それぞれに対して、充電用開閉器10の駆動操作コイル110に電源を供給する制御回路の継電器104aを投入(オン)する充電用開閉器投入指令信号103aと、3極開閉器25の駆動操作コイル125に電源を供給する制御回路の継電器104cを投入(オン)する3極開閉器投入指令信号103cとを出力する。尚、図9では、本実施の形態の動作を理解しやすくするために、制御部103へ入力及び制御部103から出力される信号として、本発明に関係する信号のみを記載している。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、制御部103が第1制御群51のコンバータ12又は第1制御群のインバータ22の故障を検出した場合には、第1制御群3極開閉器投入指令信号103cがオフとなり、第1制御群51の3極開閉器25を開放(オフ)して電源である第1制御群変圧器2次巻線5Aと第1制御群のコンバータ12との間の回路を開放するとともに第1制御群51のインバータ22と第1制御群51の永久磁石電動機21との間の回路を開放する。このとき、第1制御群51の充電用開閉器投入指令信号もオフ状態が保持され第1制御群51の充電用開閉器10が開放状態に保持される。これにより、故障したコンバータ12又はインバータ22を含む第1制御群51を第1群変圧器2次巻線5A及び第1制御群51の永久磁石電動機21から切り離して、永久磁石電動機21の誘起電圧によって永久磁石電動機21から故障した第1制御群51のコンバータ12又は第1制御群51のインバータ22に流れ込む電流を防止して損傷を拡大しないように保護しながら、残りの健全な第2制御群52の永久磁石電動機21によって列車(鉄道車両)の運転を継続することができる。
他方、制御部103が第2制御群52のコンバータ12又は第2制御群52のインバータ22の故障を検出した場合には、第2制御群52の3極開閉器投入指令信号103cがオフとなり、第2制御群52の3極開閉器25を開放(オフ)して電源である第2制御群52の変圧器2次巻線5Bとコンバータ12との間の回路を開放するとともに第2制御群52のインバータ22と永久磁石電動機21との間の回路を開放する。このとき、第2制御群52の充電用開閉器投入指令信号103aもオフ状態が保持され第2制御群52の充電用開閉器10が開放状態に保持される。これにより、故障したコンバータ12又はインバータ22を含む第2制御群52を第2制御群52の変圧器2次巻線5B及び永久磁石電動機21から切り離して、永久磁石電動機21の誘起電圧によって永久磁石電動機21から故障した第2制御群52のコンバータ12又はインバータ22に流れ込む電流を防止して損傷を拡大しないように保護しながら、残りの健全な第1制御群51の永久磁石電動機21によって列車(鉄道車両)の運転を継続することができる。
尚、図9では制御部103は複数の制御群に対して制御部103が1つである例を記載しているが、制御部103を第1制御群51に関係する入出力信号を有する第1制御群制御部と、第2制御群52に関係する入出力信号を有する第2制御群制御部とに分割して設けた構成としても良い。さらに、図8に示した鉄道車両駆動制御装置では、複数の制御群51、52それぞれの3極開閉器25の接触子は、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の電流検出器24U〜24Wと永久磁石電動機21との間に設けているが、この接触子は故障したコンバータ12又はインバータ22に永久磁石電動機21の誘起電圧によって流れ込む電流を切り離すためのものであるから、インバータ22と電流検出器24U〜24Wとの間に設けても良い。
また、図8に示した鉄道車両駆動制御装置では、交流電流検出器9と充電用開閉器10と充電回路抵抗器11とコンバータ12と平滑コンデンサ14と電圧検出器15と永久磁石電動機21とインバータ22と電流検出器24U〜24Wと3極開閉器25を組み合わせて第1の実施の形態に示した鉄道車両駆動制御装置と同様な構成として、これを1単位の制御群として構成したが、この制御群の充電用開閉器10の構成と動作を第2の実施の形態に示した鉄道車両駆動制御装置と同様にしてもよい。
また、図8に示した鉄道車両駆動制御装置の第1制御群51と第2制御群52のそれぞれ内部構成を、図5に示した第4の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様に、交流電流検出器9と充電用開閉器10と充電回路抵抗器11とコンバータ12と平滑コンデンサ14と電圧検出器15と第1駆動群51の永久磁石電動機31、インバータ32、電流検出器34U〜34W及び3極開閉器35と、第2駆動群の永久磁石電動機41、インバータ42、電流検出器44U〜44W及び3極開閉器45を組み合わせた構成としてもよい。
そしてその場合には、図9に示した制御部103と制御回路の構成において、制御部103へ、電流検出器24U〜24Wの検出値にあたる出力信号124U〜124Wに代えて、第1制御群51と第2制御群52それぞれから、第1駆動群の電流検出器34U〜34Wの検出値にあたる出力信号134U〜134Wと、第2駆動群の電流検出器44U〜44Wの検出値にあたる出力信号144U〜144Wが入力され、また、3極開閉器25の駆動操作コイル125に電源を供給する制御回路の継電器104cと3極開閉器投入指令信号103cに代えて、制御部103から第1制御群51と第2制御群52それぞれに対して、第1駆動群の3極開閉器35の駆動操作コイル135に電源を供給する制御回路の継電器と、第2駆動群の3極開閉器45の駆動操作コイル145に電源を供給する制御回路の継電器を設け、第1駆動群3極開閉器投入指令信号103dと第2駆動群3極開閉器投入指令信号103eを出力することになる。
さらに、図8と図9に示した第6の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、1台の鉄道車両駆動制御装置が駆動制御を行なう永久磁石電動機の数を2台の構成として示しているが、永久磁石電動機の数を2台から3台や4台に増やした場合は、図8と図9の構成にさらに制御群として第3制御群、第4制御群と第3の変圧器2次巻線と第4の変圧器2次巻線を追加した構成となる。これは制御群の数が増加したのみで、本発明の実施の形態における各部の動作は同様である。
(第7の実施の形態)次に、本発明の第7の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置について図10を用いて説明する。図10に示す鉄道車両駆動制御装置は、交流電流検出器9とコンバータ12と平滑コンデンサ14と電圧検出器15と永久磁石電動機21とインバータ22と電流検出器24U〜24Wと3極開閉器25と充電用開閉器10と充電回路昇圧変圧器16と充電用整流回路17を組み合わせて、図4に示した鉄道車両駆動制御装置と同様な構成として、これを1単位の制御群として構成し、この制御群を2組有する構成を特徴としている。尚、図10において、図1、図3〜図5、図7、図8、図30と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
図10の鉄道車両駆動制御装置では、変圧器は2個の変圧器2次巻線5A、5Bと1個の変圧器3次巻線6を有しており、第1制御群51のコンバータ12は3極開閉器25を介して変圧器2次巻線5Aに接続され、第2制御群52のコンバータ12は3極開閉器25を変圧器2次巻線5Bに接続されている。また、第1制御群51の充電用開閉器10と第2制御群52の充電用開閉器10は変圧器3次巻線6に接続されている。
上記構成の第7の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置において、開閉器を投入・開放するための制御部103と制御回路の構成と動作は図9と同様である。すなわち、制御部103が第1制御群51のコンバータ12又はインバータ22の故障を検出した場合には、第1制御群51の3極開閉器投入指令信号103cがオフとなり、第1制御群51の3極開閉器25を開放(オフ)して電源である第1制御群51の変圧器2次巻線5Aとコンバータ12との間の回路を開放するとともに第1制御群51のインバータ22と永久磁石電動機21との間の回路を開放する。このとき、第1制御群51の充電用開閉器投入指令信号103aもオフ状態が保持され第1制御群51の充電用開閉器10が開放状態に保持される。
他方、制御部103が第2制御群52のコンバータ12又はインバータ22の故障を検出した場合には、第2制御群52の3極開閉器投入指令信号103cがオフとなり、第2制御群52の3極開閉器25を開放(オフ)して電源である変圧器2次巻線5Bとコンバータ12との間の回路を開放するとともに第2制御群52のインバータ22と永久磁石電動機21との間の回路を開放する。このとき、第2制御群52の充電用開閉器投入指令信号103aもオフ状態が保持され第2制御群52の充電用開閉器10が開放状態に保持される。
これにより、本実施の形態に記載の鉄道車両駆動制御装置では、第1の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の奏する効果に加えて、第1制御群51内のコンバータ12又はインバータ22が故障しても、故障したコンバータ12又はインバータ22を含む第1制御群51を変圧器2次巻線5A及び永久磁石電動機21と変圧器3次巻線6から切り離して、永久磁石電動機21から故障した第1制御群51のコンバータ12又はインバータ22に永久磁石電動機21の誘起電圧によって流れ込む電流を防止して損傷を拡大しないように保護しながら、残りの健全な第2制御群52の永久磁石電動機21によって列車(鉄道車両)の運転を継続し、あるいは逆に、第2制御群52内のコンバータ12又はインバータ22が故障しても、故障したコンバータ12又はインバータ22を含む第2制御群52を変圧器2次巻線5B及び永久磁石電動機21と変圧器3次巻線6から切り離して、永久磁石電動機21の誘起電圧によって永久磁石電動機21から故障した第2制御群のコンバータ12又は第2制御群のインバータ22に流れ込む電流を防止して損傷を拡大しないように保護しながら、残りの健全な第1制御群51の永久磁石電動機21によって列車(鉄道車両)の運転を継続することができる。
尚、図10に示した鉄道車両駆動制御装置でも、3極開閉器25の接触子は、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の電流検出器24U〜24Wと永久磁石電動機21との間に設けているが、この接触子は故障したコンバータ12又はインバータ22に永久磁石電動機21の誘起電圧によって流れ込む電流を切り離すためのものであるから、インバータ22と電流検出器24U〜24Wとの間に設けても良い。
また、本実施の形態でも、第1制御群51と第2制御群52との内部の構成を図4に示した第3の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様な構成として、これを1単位の制御群として構成したが、この第1制御群51と第2制御群52の永久磁石電動機とインバータと電流検出器と3極開閉器の構成を、図7に示した第5の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様に、第1駆動群の永久磁石電動機31とインバータ32と電流検出器34U〜34Wと3極開閉器35と、第2駆動群の永久磁石電動機41とインバータ42と電流検出器44U〜44Wと3極開閉器45を組み合わせた構成にしてもよい。そしてその場合には、図10に示した制御部103と制御回路の構成は、制御部103へ、電流検出器24U〜24Wの検出値にあたる出力信号124U〜124Wに代えて、第1制御群51と第2制御群52それぞれから、第1駆動群の電流検出器34U〜34Wの検出値にあたる出力信号134U〜134Wと第2駆動群の電流検出器44U〜44Wの検出値にあたる出力信号144U〜144Wが入力され、また、3極開閉器25の駆動操作コイル125に電源を供給する制御回路の継電器104cと3極開閉器投入指令信号103cに代えて、制御部103から、第1制御群51と第2制御群52それぞれに対して、第1駆動群の3極開閉器35の駆動操作コイル135に電源を供給する制御回路の継電器と、第2駆動群の3極開閉器45の駆動操作コイル145に電源を供給する制御回路の継電器とを設け、第1駆動群3極開閉器投入指令信号103cと第2駆動群3極開閉器投入指令信号103cを出力することになる。
さらに、図10に示した本発明の第7の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、1台の鉄道車両駆動制御装置が駆動制御を行なう永久磁石電動機の数を2台の構成として示しているが、永久磁石電動機の数を2台から3台や4台に増やした場合は、図10の構成にさらに制御群として第3制御群、第4制御群を追加し、また第3の変圧器2次巻線と第4の変圧器2次巻線を追加する構成となる。これは制御群の数が増加したのみで、本実施の形態における各部の動作は同様である。
(第8の実施の形態)本発明の第8の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置について図11と図12を用いて説明する。図11に示した鉄道車両駆動制御装置は、図5に示した本発明の第4の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様に、インバータと永久磁石電動機と電流検出器を組み合わせて1単位の駆動群として構成しており、コンバータ12が1台に対してこの駆動群を2組有した構成であるが、開閉器の構成が図5と異なっている。
図11において、31は第1駆動群の永久磁石電動機、32は第1駆動群のインバータ、34U〜34Wは第1駆動群の電流検出器、41は第2駆動群の永久磁石電動機、42は第2駆動群のインバータ、44U〜44Wは第2駆動群の電流検出器、18は交流回路開閉器、28Uは第1の2極開閉器(回路を投入・開放するための接触子を2個有した開閉器)、28Vは第2の2極開閉器、28Wは第3の2極開閉器である。尚、図11において、図1、図3〜図5、図7、図8、図10、図30と同一の要素には同一の符号を用いて示している。18は交流回路開閉器である。
第1の2極開閉器28Uは、接触子を第1駆動群のインバータ32と永久磁石電動機31との間のU相回路と、第2駆動群のインバータ42と永久磁石電動機41との間のU相回路に設けている。第2の2極開閉器28Vは、接触子を第1駆動群のインバータ32と永久磁石電動機31との間のV相回路と、第2駆動群のインバータ42と永久磁石電動機41との間のV相回路に設けている。第3の2極開閉器28Wは、接触子を第1駆動群のインバータ32と永久磁石電動機31との間のW相回路と、第2駆動群のインバータ42と永久磁石電動機41との間のW相回路に設けている。その他の構成要素は、図5に示した鉄道車両駆動制御装置と同様である。
図12は、図11に示した鉄道車両駆動制御装置の開閉器を投入・開放するための制御部103と制御回路の構成を示した図である。図12において、109は交流電流検出器9の検出値にあたる出力信号、115は電圧検出器15の検出値にあたる出力信号、134U〜134Wは第1駆動群の電流検出器34U〜34Wの検出値にあたる出力信号、144U〜144Wは第2駆動群の電流検出器44U〜44Wの検出値にあたる出力信号である。制御部103は、交流電流検出器9の出力信号109と、電圧検出器15の出力信号115と、第1駆動群の電流検出器34U〜34Wの出力信号134U〜134Wと、第2駆動群の電流検出器44U〜44Wの出力信号144U〜144Wとを入力し、充電用開閉器10の投入と開放をおこなう充電用開閉器投入指令信号103aと、交流回路開閉器18の投入と開放をおこなう交流回路開閉器投入指令信号103bと、第1の2極開閉器28Uの投入と開放をおこなう第1の2極開閉器投入指令信号103fと、第2の2極開閉器28Vの投入と開放をおこなう第2の2極開閉器投入指令信号103gと、第3の2極開閉器28Wの投入と開放をおこなう第3の2極開閉器投入指令信号103hを出力する。
継電器104aは、充電用開閉器10の駆動操作コイル110に電源を供給する制御回路であり、制御部103からの充電用開閉器投入指令信号103aによって投入(オン)される。継電器104bは、交流回路開閉器18の駆動操作コイル118に電源を供給する制御回路であり、制御部103からの交流回路開閉器投入指令信号103bによって投入(オン)される。継電器104fは、第1の2極開閉器28Uの駆動操作コイル128Uに電源を供給する制御回路であり、制御部103からの第1の2極開閉器投入指令信号103fによって投入(オン)される。継電器104gは、第2の2極開閉器28Vの駆動操作コイル128Vに電源を供給する制御回路であり、制御部103からの第2の2極開閉器投入指令信号103gによって投入(オン)される。継電器104hは、第3の2極開閉器28Wの駆動操作コイル128Wに電源を供給する制御回路であり、制御部103からの第3の2極開閉器投入指令信号103gによって投入(オン)される。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、制御部103がコンバータ12又は第1駆動群のインバータ32の故障又は第2駆動群のインバータ42の故障を検出した場合には、交流回路開閉器投入指令信号103bと第1の2極開閉器投入指令信号103fと第2の2極開閉器投入指令信号103gと第3の2極開閉器投入指令信号103hがオフとなり、交流回路開閉器18と第1の2極開閉器28Uと第2の2極開閉器28V及び第3の2極開閉器28Wを開放(オフ)して電源である変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の回路を開放するとともに第1駆動群のインバータ32と永久磁石電動機31との間の回路と第2駆動群のインバータ42と永久磁石電動機41との間の回路とを開放する。このとき、充電用開閉器投入指令信号103aもオフ状態が保持され充電用開閉器10が開放状態に保持される。
図11と図12に示した第8の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の特徴は、第1駆動群のインバータ32と永久磁石電動機31との間の3相交流回路の開閉器と第2駆動群のインバータ42と永久磁石電動機41との間の3相交流回路の開閉器とを、独立した3台の2極開閉器28U〜28Wで構成したことにある。この構成により、制御部103が3台の2極開閉器28U〜28Wを開放するとき、万一いずれか1台の2極開閉器又は2極開閉器を駆動する制御回路が故障して2極開閉器の接触子が固渋(接触器をオフできない状態)した場合にも、残りの2台の2極開閉器が開放されることでインバータと永久磁石電動機との間の回路を切り離すことができる。ここで、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路の接触子は、故障したインバータ又はコンバータへ永久磁石電動機の誘起電圧によって流れる電流を防止するためのものであるから、3相のうちのいずれか2相を接触子で開放することでこの電流を防止することができる。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、コンバータ12又は第1駆動群のインバータ32又は第2駆動群のインバータ42が故障した場合に、故障したコンバータ12と第1駆動群のインバータ32と第2駆動群のインバータ42を含む回路を変圧器2次巻線5から切り離して交流電源1からコンバータ12側へ流れ込む電流を防止し、かつ、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路を開放し、永久磁石電動機の誘起電圧によって永久磁石電動機から故障したインバータ又はコンバータに流れ込む電流を防止し、回送時に停止しているコンバータ又はインバータに永久磁石電動機の誘起電圧によって電流が流れ込んで損傷が拡大することがないように保護しながら鉄道車両を必要な場所まで回送できる。
さらに、コンバータ12又は第1駆動群のインバータ32又は第2駆動群のインバータ42が故障し、かつ、2組のインバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路の3台のうちのいずれかの2極開閉器が固渋した場合でも、残りの2台の2極開閉器を開放することによって、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路を切り離すことが可能となり、回送時に停止しているコンバータ又はインバータに永久磁石電動機の誘起電圧によって電流が流れ込んで損傷が拡大することがないように保護しながら鉄道車両を必要な場所まで回送できる鉄道車両駆動制御装置を実現できる。
尚、図11に示した鉄道車両駆動制御装置では、3台の2極開閉器の接触子は、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路の電流検出器と永久磁石電動機との間に設けているが、この接触子は永久磁石電動機の誘起電圧によって永久磁石電動機から故障したコンバータ又はインバータに流れ込む電流を切り離すためのものであるから、インバータと電流検出器との間に設けても良い。
また、図11に示した鉄道車両駆動制御装置では、コンバータ12が1台に対してインバータと電流検出器と永久磁石電動機の組合せである駆動群を2組で構成した例として示したが、駆動群の数が3組に増加した場合は、図11の構成要素に加えて別のインバータと電流検出器と永久磁石電動機の組合せである第3駆動群を追加し、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路の開閉器として、3極開閉器(回路を投入・開放する接触子を3個有する開閉器)を3台設けて構成することになる。これは駆動群の数と、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路の開閉器の接触子の数が増加したのみで、本発明の実施の形態における各部の動作は同様である。同様に、コンバータ12が1台に対してインバータと電流検出器と永久磁石電動機の組合せである駆動群の数がm組に増加した場合は、図11の構成要素に加えて第3駆動群から第m駆動群を追加し、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路の開閉器としてm極開閉器(回路を投入・開放する接触子をm個有する開閉器)を3台設けて構成することになる。
(第9の実施の形態)図13は本発明の第9の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成を示したもので、図11に示した第8の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置とは充電用開閉器10の構成が異なっており、充電用開閉器10は図11では充電回路抵抗器11と直列に構成しているのに対して、本実施の形態では変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路のうち充電回路抵抗器11を設けた相と反対側の相に設けている。尚、図13において、図1、図3〜図5、図7、図8、図10、図11、図30と同一の要素には同一の符号を用いて示している。
図13に示す鉄道車両駆動制御装置では、コンバータ12を起動する前に充電用開閉器10が投入(オン)され、コンバータ12が内蔵しているスイッチング素子13U〜13Yの逆並列ダイオードを経由して充電回路抵抗器11で制限された電流によって平滑コンデンサ14を充電する。平滑コンデンサ14の充電が完了した後に交流回路開閉器18が投入(オン)され、このとき充電用開閉器10も投入(オン)のままとなり、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路が接続される。その他の構成要素と動作は、図11と図12に示した本発明の第8の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様である。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、コンバータ12又は第1駆動群のインバータ32と第2駆動群のインバータ42が故障した場合に、コンバータ12と第1駆動群のインバータ32と第2駆動群のインバータ42を含む回路を変圧器2次巻線5及び第1駆動群の永久磁石電動機31と第2駆動群の永久磁石電動機41とから切り離して、交流電源からコンバータ12側へ流れ込む電流を防止し、かつ、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路を開放して永久磁石電動機の誘起電圧によって永久磁石電動機から故障したインバータ又はコンバータに流れ込む電流を防止し、回送時に停止しているコンバータ又はインバータが永久磁石電動機の誘起電圧により損傷を拡大しないように保護しながら鉄道車両を必要な場所まで回送できる。
さらに、コンバータ12又は第1駆動群のインバータ32又は第2駆動群のインバータ42が故障し、かつ、2組のインバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路の3台のうちのいずれかの2極開閉器が固渋した場合でも、残りの2台の2極開閉器を開放することによって、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路を切り離すことが可能となり、回送時に停止しているコンバータ又はインバータが永久磁石電動機の誘起電圧により損傷を拡大しないように保護しながら鉄道車両を必要な場所まで回送できる鉄道車両駆動制御装置を実現できる。
尚、図13に示した鉄道車両駆動制御装置では、3台の2極開閉器の接触子は、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路の電流検出器と永久磁石電動機との間に設けているが、この接触子は永久磁石電動機の誘起電圧によって、永久磁石電動機から故障したコンバータ又はインバータに流れ込む電流を切り離すためのものであるから、インバータと電流検出器との間に設けても良い。
また、図13に示した鉄道車両駆動制御装置では、コンバータ12が1台に対してインバータと電流検出器と永久磁石電動機の組合せである駆動群を2組で構成した例を示したが、駆動群の数が3組に増加した場合は、図13の構成要素に加えて別のインバータと電流検出器と永久磁石電動機の組合せである第3駆動群を追加し、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路の開閉器として3極開閉器(回路を投入・開放する接触子を3個有する開閉器)を3台設けて構成することになる。これは駆動群の数と、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路の開閉器の接触子の数が増加したのみで、本発明の実施の形態における各部の動作は同様である。同様に、コンバータ12が1台に対してインバータと電流検出器と永久磁石電動機の組合せである駆動群の数がm組に増加した場合は、図13の構成要素に加えて第3駆動群から第m駆動群を追加し、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路の開閉器を、m極開閉器(回路を投入・開放する接触子をm個有する開閉器)を3台設けて構成することになる。
(第10の実施の形態)図14は本発明の第10の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置を示す図である。本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置は、図11に示した本発明の第8の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置とはコンバータ12を起動する前に平滑コンデンサ14へ充電する充電回路の構成が異なっており、図4に示した本発明の第3の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様に、充電回路抵抗器11が無く、変圧器3次巻線6と、充電用開閉器10と、充電回路昇圧変圧器16と、充電用整流回路17とで構成している。その他の構成要素と動作については、図11と図12に示した本発明の第8の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様である。尚、図14において、図1、図3〜図5、図7、図8、図10、図11、図13、図30と同一の要素には同一の符号を用いて示している。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、コンバータ12又は第1駆動群のインバータ32又は第2駆動群のインバータ42が故障した場合に、故障したコンバータ12又は第1駆動群のインバータ32と第2駆動群のインバータ42を含む回路を変圧器2次巻線5及び第1駆動群の永久磁石電動機31と第2駆動群の永久磁石電動機32とから切り離して、交流電源からコンバータ12側へ流れ込む電流を防止し、かつ、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路を開放して永久磁石電動機の誘起電圧によって永久磁石電動機から故障したインバータ又はコンバータに流れ込む電流を防止し、回送時に停止しているコンバータ又はインバータが永久磁石電動機の誘起電圧により損傷を拡大しないように保護しながら鉄道車両を必要な場所まで回送できる。
さらに、コンバータ12又は第1駆動群のインバータ32又は第2駆動群のインバータ42が故障し、かつ、2組のインバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路の3台のうちのいずれかの2極開閉器が固渋した場合でも、残りの2台の2極開閉器を開放することによって、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路を切り離すことが可能となり、回送時に停止しているコンバータ又はインバータが永久磁石電動機の誘起電圧により損傷を拡大しないように保護しながら鉄道車両を必要な場所まで回送できる鉄道車両駆動制御装置を実現できる。
尚、図14に示した鉄道車両駆動制御装置では、3台の2極開閉器の接触子は、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路の電流検出器と永久磁石電動機との間に設けているが、この接触子は永久磁石電動機の誘起電圧によって、永久磁石電動機から故障したコンバータ又はインバータに流れ込む電流を切り離すためのものであるから、インバータと電流検出器との間に設けても良い。
また、図14に示した鉄道車両駆動制御装置では、コンバータ12が1台に対してインバータと電流検出器と永久磁石電動機の組合せである駆動群を2組で構成した例を示したが、駆動群の数が3組に増加した場合は、図14の構成要素に加えて別のインバータと電流検出器と永久磁石電動機の組合せである第3駆動群を追加し、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路の開閉器として3極開閉器(回路を投入・開放する接触子を3個有する開閉器)を3台設けて構成することになる。これは駆動群の数と、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路の開閉器の接触子の数が増加したのみで、本発明の実施の形態における各部の動作は同様である。同様に、コンバータ12が1台に対してインバータと電流検出器と永久磁石電動機の組合せである駆動群の数がm組に増加した場合は、図14の構成要素に加えて第3駆動群から第m駆動群までを追加し、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路の開閉器を、m極開閉器(回路を投入・開放する接触子をm個有する開閉器)を3台設けて構成することになる。
(第11の実施の形態)本発明の第11の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置について図15と図16を用いて説明する。図15において、26は第1の3極開閉器であり、インバータ22と永久磁石電動機21との間の回路に接触子を2個設け、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の回路に充電回路抵抗器11を介してコンバータ12に変圧器2次巻線5の電圧を印加するように接触子を設けている。27は第2の3極開閉器であり、インバータ22と永久磁石電動機21との間の回路に接触子を2個設け、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の回路に充電回路抵抗器11を短絡するように接触子を設けている。尚、図15において、その他の構成要素については、図1、図3〜図5、図7、図8、図10、図11、図13、図14、図30と同一の要素には同一の符号を用いて示している。
図16は、図15に示した鉄道車両駆動制御装置の開閉器を投入・開放するための制御部と制御回路の構成を示した図である。尚、図16において、図2、図6、図9、図12、図31と同一の要素には同一の符号を用いて示している。制御部103は、交流電流検出器9の出力信号109と、電圧検出器15の出力信号115と、電流検出器24U〜24Wの出力信号124U〜124Wが入力され、第1の3極開閉器26の投入と開放をおこなう第1の3極開閉器投入指令信号103iと、第2の3極開閉器27の投入と開放をおこなう第2の3極開閉器投入指令信号103jとを出力する。尚、図16では、本発明の実施の形態の動作を理解しやすくするために、制御部103への入力信号及び制御部103からの出力信号として、本発明に関係する信号のみを記載している。
継電器104iは、第1の3極開閉器26の駆動操作コイル126に電源を供給する制御回路であり、制御部103からの第1の3極開閉器投入指令信号103iによって投入(オン)される。継電器104jは、第1の3極開閉器26の駆動操作コイル126に電源を供給する制御回路であり、制御部103からの第1の3極開閉器投入指令信号103jによって投入(オン)される。
制御部103は、コンバータ12を起動する前に平滑コンデンサ14を充電する場合、まず第1の3極開閉器26を投入して、充電回路抵抗器11を介して変圧器2次巻線5からコンバータ12が内蔵しているスイッチング素子13U〜13Yの逆並列ダイオードを介して平滑コンデンサ14を充電する。平滑コンデンサ14の充電が完了後、第2の3極開閉器27を投入して充電回路抵抗器11を短絡するとともに、インバータ22と永久磁石電動機21との間の回路を接続する。その他の構成要素と動作については、図1に示した本発明の第1の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様である。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、コンバータ12又はインバータ22が故障した場合に、故障したコンバータ12又はインバータ22を含む回路を変圧器2次巻線5及び永久磁石電動機21から切り離して、交流電源1からコンバータ12側へ流れ込む電流を防止し、かつ、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路を開放して永久磁石電動機21の誘起電圧によって永久磁石電動機から故障したインバータ22又はコンバータ12に流れ込む電流を防止し、回送時に停止しているコンバータ12又はインバータ22が永久磁石電動機21の誘起電圧により損傷を拡大しないように保護しながら鉄道車両を必要な場所まで回送できる。
さらに、コンバータ12又はインバータ22が故障し、かつ、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の2台の3極開閉器26、27のいずれかが固渋した場合でも、他方の3極開閉器を開放することによってインバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路を切り離すことが可能となり、回送時に停止しているコンバータ12又はインバータ22が永久磁石電動機21の誘起電圧によって損傷を拡大しないように保護しながら鉄道車両を必要な場所まで回送できる鉄道車両駆動制御装置を実現できる。また、本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の回路の充電用開閉器と交流回路開閉器を削減でき、鉄道車両駆動制御装置の部品数の削減とこれにともない装置の外形の小型化と重量の軽量化が可能になる。
(第12の実施の形態)本発明の第12の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置について図17から図19を用いて説明する。図17において、26は第1の3極開閉器であり、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の2相と、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の回路に充電用開閉器10と充電回路抵抗器11からなる充電回路を短絡するように接触子を設けている。27は第2の3極開閉器であり、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の3相に接触子を設けている。尚、図17おいて、その他の構成要素については、図1、図3〜図5、図7、図8、図10、図11、図13〜図15、図30と同一の要素には同一の符号を用いて示している。
図18は、図17に示した鉄道車両駆動制御装置の開閉器を投入・開放するための制御部と制御回路の構成を示した図である。尚、図18において、図2、図6、図9、図12、図16、図31と同一の要素には同一の符号を用いて示している。制御部103は、交流電流検出器9の出力信号109と、電圧検出器15の出力信号115と、電流検出器24U〜24Wの出力信号124U〜124Wと、第1の3極開閉器26の連動補助接点226の接点信号が入力され、充電用開閉器10の投入と開放をおこなう充電用開閉器投入指令信号103aと、第1の3極開閉器26の投入と開放をおこなう第1の3極開閉器投入指令信号103iと、第2の3極開閉器27の投入と開放をおこなう第2の3極開閉器投入指令信号103jとを出力する。尚、図18では、本実施の形態の動作を理解しやすくするために、制御部103へ入力及び制御部103から出力される信号として、本発明に関係する信号のみを記載している。
継電器104aは、充電用開閉器10の駆動操作コイル110に電源を供給する制御回路であり、制御部103からの充電用開閉器投入指令信号103aによって投入(オン)される。継電器104iは、第1の3極開閉器26の駆動操作コイル126に電源を供給する制御回路であり、制御部103からの第1の3極開閉器投入指令信号103iによって投入(オン)される。継電器104jは、第1の3極開閉器26の駆動操作コイル126に電源を供給する制御回路であり、制御部103からの第1の3極開閉器投入指令信号103jによって投入(オン)される。226は第1の3極開閉器26の連動補助接点であり、第1の3極開閉器の投入・開放状態の信号が制御部103に入力される。
制御部103は、本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の制御回路電源が投入された時点で第2の3極開閉器27を投入(オン)する。又は、交流回路遮断器3が投入されて架線1と変圧器1次巻線4とが接続された時点で第2の3極開閉器27を投入しても良く、又は、電源投入後の最初にインバータ22を起動するタイミングで第2の3極開閉器27を投入しても良い。第2の3極開閉器27は、一旦投入されると投入状態が保持される。コンバータ12を起動する前に平滑コンデンサ14を充電する場合には、制御部103は充電用開閉器10を投入(オン)して充電回路抵抗器11を介して平滑コンデンサ14を充電し、充電が完了した後、充電用開閉器10を開放(オフ)して第1の3極開閉器26を投入(オン)する。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、制御部103がコンバータ12又はインバータ22の故障を検出した場合には、第1の3極開閉器投入指令信号103iがオフとなり、第1の3極開閉器26が開放(オフ)して電源である変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の回路を開放するとともにインバータ22と永久磁石電動機21との間の回路を開放する。このとき、充電用開閉器投入指令信号103aもオフ状態が保持され充電用開閉器10が開放状態に保持される。
図19は、本実施の形態における制御部103の論理回路図である。第1の3極開閉器26を開放するとき、制御部103は、第1の3極開閉器投入指令信号103iをオフしたにもかかわらず第1の3極開閉器26の連動補助接点226の信号が入力している場合には、図19に示す開閉器固渋検知手段105によって第1の3極開閉器26が固渋したと判断し、第2の3極開閉器27を開放する。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、コンバータ12又はインバータ22が故障した場合に、故障したコンバータ12又はインバータ22を含む回路を変圧器2次巻線5及び永久磁石電動機21から切り離して、交流電源からコンバータ12側へ流れ込む電流を防止し、かつ、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路を開放して永久磁石電動機21の誘起電圧によって永久磁石電動機21から故障したインバータ22又はコンバータ12に流れ込む電流を防止し、回送時に停止しているコンバータ12又はインバータ22が永久磁石電動機21の誘起電圧により損傷を拡大しないように保護しながら鉄道車両を必要な場所まで回送できる。
さらに、コンバータ12又はインバータ22が故障し、かつ、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の第1の3極開閉器26が固渋した場合でも、第2の3極開閉器27を開放することによって、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路を切り離すことが可能となり、回送時に停止しているコンバータ12又はインバータ22が永久磁石電動機21の誘起電圧によって損傷を拡大しないように保護しながら鉄道車両を必要な場所まで回送できる鉄道車両駆動制御装置を実現できる。
尚、図17に示した鉄道車両駆動制御装置のインバータ22と永久磁石電動機21との間の回路において、第1の3極開閉器26の接触子をインバータ22側に、また第2の3極開閉器27の接触子を永久磁石電動機21側として示しているが、これらの3極開閉器の接触子は、永久磁石電動機21の誘起電圧によって、故障しているコンバータ12又はインバータ22へ電流が流れ込むことを防止するためのものであるから、第1の3極開閉器26の接触子を永久磁石電動機21側に、また第2の3極開閉器27の接触子をインバータ12側としても良い。また、いずれの3極開閉器の接触子をインバータ12と電流検出器24U〜24Wとの間に設けても良い。
(第13の実施の形態)図20は本発明の第13の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置を示す図である。尚、図20において、図1、図3〜図5、図7、図8、図10、図11、図13〜図15、図17、図30と同一の要素には同一の符号を用いて示している。図17に示した本発明の第12の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置とは充電用開閉器10の構成が異なっており、充電用開閉器10は図17では充電回路抵抗器11と直列に構成しているのに対して、図20の本実施の形態では、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路のうち充電回路抵抗器11を設けた相と反対側の相に設けている。この充電用開閉器10は、コンバータ12を起動する前に投入(オン)され、コンバータ12が内蔵しているスイッチング素子13U〜13Yの逆並列ダイオードを経由して充電回路抵抗器11で制限された電流によって平滑コンデンサ14を充電する。平滑コンデンサ14の充電が完了した後に第1の3極開閉器26が投入(オン)され、このとき充電用開閉器10も投入(オン)のままとなり、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路が接続される。その他の構成要素と動作及び本発明の効果については、図17〜図19に示した鉄道車両駆動制御装置と同様である。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、コンバータ12又はインバータ22が故障した場合に、故障したコンバータ12又はインバータ22を含む回路を変圧器2次巻線5及び永久磁石電動機21から切り離して、交流電源からコンバータ12側へ流れ込む電流を防止し、かつ、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路を開放して永久磁石電動機21の誘起電圧によって永久磁石電動機から故障したインバータ22又はコンバータ12に流れ込む電流を防止し、回送時に停止しているコンバータ12又はインバータ22が永久磁石電動機21の誘起電圧により損傷を拡大しないように保護しながら鉄道車両を必要な場所まで回送できる。
さらに、コンバータ12又はインバータ22が故障し、かつ、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の第1の3極開閉器26が固渋した場合でも、第2の3極開閉器27を開放することによって、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路を切り離すことが可能となり、回送時に停止しているコンバータ12又はインバータ22が永久磁石電動機21の誘起電圧によって損傷を拡大しないように保護しながら鉄道車両を必要な場所まで回送できる鉄道車両駆動制御装置を実現できる。
尚、図20に示した鉄道車両駆動制御装置のインバータ22と永久磁石電動機21との間の回路において、第1の3極開閉器26の接触子をインバータ22側に、また第2の3極開閉器27の接触子を永久磁石電動機21側として示しているが、これらの3極開閉器の接触子は、永久磁石電動機21の誘起電圧によって永久磁石電動機21から故障しているコンバータ12又はインバータ22へ電流が流れ込むことを防止するためのものであるから、第1の3極開閉器26の接触子を永久磁石電動機21側に、また第2の3極開閉器27の接触子をインバータ12側としても良い。また、どちらの3極開閉器の接触子をもインバータ12と電流検出器24U〜24Wとの間に設けても良い。
(第14の実施の形態)図21は本発明の第14の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置を示す図である。尚、図21において、図1、図3〜図5、図7、図8、図10、図11、図13〜図15、図17、図20、図30と同一の要素には同一の符号を用いて示している。本実施の形態の構成は、図17に示した第12の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置とは、コンバータ12を起動する前に平滑コンデンサ14へ充電する充電回路の構成だけが異なっている。本実施の形態の場合、図4に示した第3の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様に充電回路抵抗器11が無く、変圧器3次巻線6と、充電用開閉器10と、充電回路昇圧変圧器16と、充電用整流回路17とで充電回路を構成している。その他の構成要素と動作については、図17〜図19に示した鉄道車両駆動制御装置と同様である。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、コンバータ12又はインバータ22が故障した場合に、故障したコンバータ12又はインバータ22を含む回路を変圧器2次巻線5及び永久磁石電動機21から切り離して、交流電源からコンバータ12側へ流れ込む電流を防止し、かつ、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路を開放して永久磁石電動機の誘起電圧によって永久磁石電動機から故障したインバータ22又はコンバータ12に流れ込む電流を防止し、回送時に停止しているコンバータ12又はインバータ22が永久磁石電動機21の誘起電圧により損傷を拡大しないように保護しながら鉄道車両を必要な場所まで回送できる。
さらに、コンバータ12又はインバータ22が故障し、かつ、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の第1の3極開閉器26が固渋した場合でも、第2の3極開閉器27を開放することによって、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路を切り離すことが可能となり、回送時に停止しているコンバータ12又はインバータ22が永久磁石電動機21の誘起電圧によって損傷を拡大しないように保護しながら鉄道車両を必要な場所まで回送できる鉄道車両駆動制御装置を実現できる。
尚、図21に示した鉄道車両駆動制御装置のインバータ22と永久磁石電動機21との間の回路において、第1の3極開閉器26の接触子をインバータ22側に、また第2の3極開閉器27の接触子を永久磁石電動機21側として示しているが、これらの3極開閉器の接触子は、永久磁石電動機21の誘起電圧によって永久磁石電動機21から故障しているコンバータ12又はインバータ22へ電流が流れ込むことを防止するためのものであるから、第1の3極開閉器26の接触子を永久磁石電動機21側に、また第2の3極開閉器27の接触子をインバータ12側としても良い。また、どちらの3極開閉器の接触子をもインバータ12と電流検出器24U〜24Wとの間に設けても良い。
(第15の実施の形態)図22は本発明の第15の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置を示す図である。尚、図22において、図1、図3〜図5、図7、図8、図10、図11、図13〜図15、図17、図20、図21、図30と同一の要素には同一の符号を用いて示している。本実施の形態は、図21に示した第14の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置とは第2の3極開閉器27の接触子の構成が異なっていて、本実施の形態では、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の2相と、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の回路上に接触子を設けている。その他の構成要素と動作については、図17〜図19に示した鉄道車両駆動制御装置と同様である。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、コンバータ12又はインバータ22が故障した場合に、故障したコンバータ12又はインバータ22を含む回路を変圧器2次巻線5及び永久磁石電動機21から切り離して、交流電源1からコンバータ12側へ流れ込む電流を防止し、かつ、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路を開放して永久磁石電動機21の誘起電圧によって永久磁石電動機から故障したインバータ22又はコンバータ12に流れ込む電流を防止し、回送時に停止しているコンバータ12又はインバータ22が永久磁石電動機21の誘起電圧により損傷を拡大しないように保護しながら鉄道車両を必要な場所まで回送できる。
さらに、コンバータ12又はインバータ22が故障し、かつ、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の第1の3極開閉器26が固渋した場合でも、第2の3極開閉器27を開放することによって、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路を切り離すことが可能となり、回送時に停止しているコンバータ12又はインバータ22が永久磁石電動機21の誘起電圧によって損傷を拡大しないように保護しながら鉄道車両を必要な場所まで回送できる鉄道車両駆動制御装置を実現できる。また、本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、第1の3極開閉器26が固渋した場合にも変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の回路を第2の3極開閉器27によって切り離すことが可能である。
尚、図22に示した鉄道車両駆動制御装置のインバータ22と永久磁石電動機21との間の回路において、第1の3極開閉器26の接触子をインバータ22側に、また第2の3極開閉器27の接触子を永久磁石電動機21側として示しているが、これらの3極開閉器の接触子は、永久磁石電動機21の誘起電圧によって永久磁石電動機21から故障しているコンバータ12又はインバータ22へ電流が流れ込むことを防止するためのものであるから、第1の3極開閉器26の接触子を永久磁石電動機21側に、また第2の3極開閉器27の接触子をインバータ12側としても良い。また、どちらの3極開閉器の接触子をもインバータ12と電流検出器24U〜24Wとの間に設けても良い。
(第16の実施の形態)本発明の第16の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置について図23〜図25を用いて説明する。図23に示す構成では、鉄道車両駆動制御装置はインバータと永久磁石電動機と電流検出器と3極開閉器を組み合わせて1単位の駆動群として構成しており、図23ではコンバータ12が1台に対してこの駆動群を2組有した構成である。以下、それぞれ第1駆動群と第2駆動群と呼称して説明する。
図23において、31は第1駆動群の永久磁石電動機、32は第1駆動群のインバータ、34U〜34Wは第1駆動群の電流検出器、36は第1駆動群の第1の3極開閉器、37は第1駆動群の第2の3極開閉器、41は第2駆動群の永久磁石電動機、42は第2駆動群のインバータ、44U〜44Wは第2駆動群の電流検出器、46は第2駆動群の第1の3極開閉器、47は第2駆動群の第2の3極開閉器である。尚、図23において、図1、図3〜図5、図7、図8、図10、図11、図13〜図15、図17、図20、図21、図22、図30と同一の要素には同一の符号を用いて示している。
第1駆動群の第1の3極開閉器36の3個の接触子は、第1駆動群のインバータ32と第1駆動群の永久磁石電動機31との間の3相交流回路のうちの2相それぞれと、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路とに設けられている。第1駆動群の第2の3極開閉器37の3個の接触子は、第1駆動群のインバータ32と第1駆動群の永久磁石電動機31との間の3相それぞれに設けられている。
第2駆動群の第1の3極開閉器46の3個の接触子は、第1駆動群のインバータ42と第2駆動群の永久磁石電動機41との間の3相交流回路のうちの2相それぞれと、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路とに設けられている。第2駆動群の第2の3極開閉器47の3個の接触子は、第2駆動群のインバータ42と第2駆動群の永久磁石電動機41との間の3相それぞれに設けられている。
図24は、図23に示した鉄道車両駆動制御装置の開閉器を投入・開放するための制御部103と制御回路の構成を示した図である。尚、図24において、図2、図6、図9、図12、図16、図18、図31と同一の要素には同一の符号を用いて示している。
図24において、制御部103は、交流電流検出器9の出力信号109と、電圧検出器15の出力信号115と、第1駆動群の電流検出器34U〜34Wの出力信号134U〜134Wと、第2駆動群の電流検出器44U〜44Wの出力信号144U〜144Wと、第1駆動群の第1の3極開閉器36の連動補助接点236の接点信号と、第2駆動群の第1の3極開閉器46の連動補助接点246の接点信号が入力され、充電用開閉器10の投入と開放をおこなう充電用開閉器投入指令信号103aと、第1駆動群の第1の3極開閉器36の投入と開放をおこなう第1駆動群第1の3極開閉器投入指令信号103kと、第1駆動群の第2の3極開閉器37の投入と開放をおこなう第1駆動群第2の3極開閉器投入指令信号103lと、第2駆動群の第1の3極開閉器46の投入と開放をおこなう第2駆動群第1の3極開閉器投入指令信号103mと、第2駆動群の第2の3極開閉器47の投入と開放をおこなう第2駆動群第2の3極開閉器投入指令信号103nを出力する。
第1駆動群第1の3極開閉器36の連動補助接点236は、第1駆動群の第1の3極開閉器の投入・開放状態の信号を制御部103に入力する。第2駆動群の第1の3極開閉器46の連動補助接点246は、第1駆動群第1の3極開閉器の投入・開放状態の信号を制御部103に入力する。
継電器104aは、充電用開閉器10の駆動操作コイル110に電源を供給する制御回路であり、制御部103からの充電用開閉器投入指令信号103aによって投入(オン)される。継電器104kは、第1駆動群第1の3極開閉器36の駆動操作コイル136に電源を供給する制御回路であり、制御部103からの第1駆動群第1の3極開閉器投入指令信号103kによって投入(オン)される。継電器104lは、第1駆動群第2の3極開閉器37の駆動操作コイル137に電源を供給する制御回路であり、制御部103からの第1駆動群第2の3極開閉器投入指令信号103lによって投入(オン)される。継電器104mは、第2駆動群第1の3極開閉器46の駆動操作コイル146に電源を供給する制御回路であり、制御部103からの第2駆動群第1の3極開閉器投入指令信号103mによって投入(オン)される。継電器104nは、第2駆動群第2の3極開閉器47の駆動操作コイル147に電源を供給する制御回路であり、制御部103からの第2駆動群第2の3極開閉器投入指令信号103nによって投入(オン)される。
制御部103は、鉄道車両駆動制御装置の制御回路電源が投入された時点で第1駆動群第2の3極開閉器37と第2駆動群第2の3極開閉器47を投入(オン)する。又は、交流回路遮断器3が投入されて架線1と変圧器1次巻線4が接続された時点で投入しても良く、又は、電源投入後の最初にインバータを起動するタイミングで投入しても良い。第1駆動群第2の3極開閉器37と第2駆動群第2の3極開閉器47は、一旦投入されると投入状態が保持される。
コンバータ12を起動する前に平滑コンデンサ14を充電する場合には、制御部103は充電用開閉器10を投入(オン)して充電回路昇圧変圧器16と充電用整流回路17を介して平滑コンデンサ14を充電し、充電が完了した後、充電用開閉器10を開放(オフ)して第1駆動群第1の3極開閉器36と第2駆動群第1の3極開閉器46を投入(オン)する。
制御部103がコンバータ12又は第1駆動群インバータ32又は第2駆動群インバータ42の故障を検出した場合には、第1駆動群第1の3極開閉器投入指令信号と第2駆動群第1の3極開閉器投入指令信号がオフとなり、第1駆動群と第2駆動群の第1の3極開閉器が開放(オフ)して電源である変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の回路を開放するとともに第1駆動群インバータ32と第1駆動群永久磁石電動機31との間の回路及び第2駆動群インバータ42と第2駆動群永久磁石電動機41との間の回路を開放する。このとき、充電用開閉器投入指令信号もオフ状態が保持され充電用開閉器10が開放状態に保持される。
図25は本実施の形態における制御部103の論理回路を示している。第1駆動群の第1の3極開閉器36を開放するとき、制御部103は、第1駆動群の第1の3極開閉器投入指令信号をオフしたにもかかわらず第1駆動群第1の3極開閉器36の連動補助接点236の信号が入力している場合には、図25に示す開閉器固渋検知手段105によって第1駆動群第1の3極開閉器36が固渋したと判断し、第1駆動群の第2の3極開閉器37を開放する。
逆に、第2駆動群第1の3極開閉器46を開放するとき、制御部103は、第2駆動群の第1の3極開閉器投入指令信号をオフしたにもかかわらず第2駆動群の第1の3極開閉器46の連動補助接点246の信号が入力している場合には、図25に示す開閉器固渋検知手段105によって第2駆動群の第1の3極開閉器46が固渋したと判断し、第2駆動群の第2の3極開閉器47を開放する。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、コンバータ12又は第1駆動群のインバータ32又は第2駆動群のインバータ42が故障した場合に、故障したコンバータ又はインバータを含む回路を変圧器2次巻線5及び永久磁石電動機31、41から切り離して、交流電源1からコンバータ12側へ流れ込む電流を防止し、かつ、インバータと永久磁石電動機との間の3相交流回路を開放して永久磁石電動機の誘起電圧によって永久磁石電動機から故障したインバータ又はコンバータに流れ込む電流を防止し、回送時に停止しているコンバータ又はインバータが永久磁石電動機の誘起電圧により損傷を拡大しないように保護しながら鉄道車両を必要な場所まで回送できる。
さらに、コンバータ12又はインバータ32が故障し、かつ、第1駆動群のインバータ32と永久磁石電動機31との間の3相交流回路の第1の3極開閉器36が固渋した場合でも、第1駆動群の第2の3極開閉器37を開放することによって、第1駆動群のインバータ32と永久磁石電動機31との間の3相交流回路を切り離すことが可能となり、回送時に停止しているコンバータ12又はインバータ32が永久磁石電動機31の誘起電圧によって損傷を拡大しないように保護しながら鉄道車両を必要な場所まで回送できる鉄道車両駆動制御装置を実現できる。同様に、コンバータ12又はインバータ42が故障し、かつ、第2駆動群のインバータ42と永久磁石電動機41との間の3相交流回路の第1の3極開閉器46が固渋した場合でも、第2の3極開閉器47を開放することによって、第2駆動群のインバータ42と永久磁石電動機41との間の3相交流回路を切り離すことが可能となり、回送時に停止しているコンバータ12又はインバータ42が永久磁石電動機41の誘起電圧によって損傷を拡大しないように保護しながら鉄道車両を必要な場所まで回送できる鉄道車両駆動制御装置を実現できる。
尚、図23に示した鉄道車両駆動制御装置のインバータ32、42と永久磁石電動機31、41との間の回路において、第1の3極開閉器36、46の接触子をインバータ側に、また第2の3極開閉器37、47の接触子を永久磁石電動機側として示しているが、これらの3極開閉器の接触子は、第1の3極開閉器36、46の接触子を永久磁石電動機31、41側に、また第2の3極開閉器37、47の接触子をインバータ32、42側としても良い。また、いずれの3極開閉器の接触子をインバータ32、42と電流検出器34U〜34W、44U〜44Wとの間に設けても良い。
また、図5に示した第4の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成に、図23と同様に第1駆動群と第2駆動群のインバータと永久磁石電動機との間の回路にそれぞれ第2の3極開閉器37、47を追加した構成の場合においても、本実施の形態の効果を同様に得ることができる。
(第17の実施の形態)本発明の第17の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置について図26〜図28を用いて説明する。図26に示す鉄道車両駆動制御装置は、図8に示した第6の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の3極開閉器25を第1の3極開閉器26とし、さらに第2の3極開閉器27を追加した構成である。尚、図26において、図1、図3〜図5、図7、図8、図10、図11、図13〜図15、図17、図20、図21、図22、図23、図30と同一の要素には同一の符号を用いて示している。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置は、交流電流検出器9と充電用開閉器10と充電回路抵抗器11とコンバータ12と平滑コンデンサ14と電圧検出器15と永久磁石電動機21とインバータ22と電流検出器24U〜24Wと第1の3極開閉器26と第2の3極開閉器27を組み合わせて、これを1単位の制御群として構成し、2組の制御群51、52を有している。
図27は、図26に示した鉄道車両駆動制御装置の開閉器を投入・開放するための制御部103と制御回路の構成を示した図である。尚、図27において、図2、図6、図9、図12、図16、図18、図24、図31と同一の要素には同一の符号を用いて示している。この図27において、制御部103は、第1制御群51と第2制御群52からそれぞれ交流電流検出器9の検出値にあたる出力信号109、電圧検出器15の検出値にあたる出力信号115、電流検出器24U〜24Wの検出値にあたる出力信号124U〜124W、第1の3極開閉器26の連動補助接点226の接点信号が入力され、また、第1制御群51と第2制御群52それぞれに対して、充電用開閉器10の駆動操作コイル110に電源を供給する制御回路の継電器104aを投入(オン)する充電用開閉器投入指令信号103aと、第1の3極開閉器26の駆動操作コイル126に電源を供給する制御回路の継電器104iを投入(オン)する第1の3極開閉器投入指令信号103iと、第2の3極開閉器27の駆動操作コイル127に電源を供給する制御回路の継電器104jを投入(オン)する第2の3極開閉器投入指令信号103jを出力する。尚、図27では、本実施の形態の動作を理解しやすくするために、制御部103へ入力及び制御部103から出力される信号として、本発明に関係する信号のみを記載している。
制御部103が第1制御群51のコンバータ12又は第1制御群51のインバータ22の故障を検出した場合には、第1制御群51の第1の3極開閉器投入指令信号103iがオフとなり、第1制御群51の第1の3極開閉器26を開放(オフ)して電源である第1制御群51の変圧器2次巻線5Aと第1制御群51のコンバータ12との間の回路を開放するとともに第1制御群のインバータ22と第1制御群の永久磁石電動機21との間の回路を開放する。このとき、第1制御群51の充電用開閉器投入指令信号103aもオフ状態が保持され第1制御群51の充電用開閉器10が開放状態に保持される。
図28は本実施の形態における制御部103の論理回路である。第1制御群51の第1の3極開閉器26を開放するとき、制御部103は、第1制御群51の第1の3極開閉器投入指令信号103iをオフしたにもかかわらず第1制御群51の第1の3極開閉器26の連動補助接点226の信号が入力している場合には、図28に示す開閉器固渋検知手段105によって第1制御群51の第1の3極開閉器26が固渋したと判断し、第1制御群51の第2の3極開閉器27を開放する。
他方、制御部103が第2制御群52のコンバータ12又は第2制御群52のインバータ22の故障を検出した場合には、第2制御群52の第1の3極開閉器投入指令信号103jがオフとなり、第2制御群52の第1の3極開閉器26を開放(オフ)して電源である第2制御群52の変圧器2次巻線5Bと第2制御群52のコンバータ12との間の回路を開放するとともに第2制御群52のインバータ22と永久磁石電動機21との間の回路を開放する。このとき、第2制御群52の充電用開閉器投入指令信号103aもオフ状態が保持され第2制御群52の充電用開閉器10が開放状態に保持される。
第2制御群52の第1の3極開閉器26を開放するとき、制御部103は、第2制御群52の第1の3極開閉器投入指令信号103jをオフしたにもかかわらず第2制御群52の第1の3極開閉器26の連動補助接点226の信号が入力している場合には、図28に示す開閉器固渋検知手段105によって第2制御群52の第1の3極開閉器26が固渋したと判断し、第2制御群52の第2の3極開閉器27を開放する。
尚、図27では制御部103は複数の制御群51、52に対して制御部103が1つである例として記載しているが、制御部103を、第1制御群51に関係する入出力信号を有する第1制御群制御部と、第2制御群52に関係する入出力信号を有する第2制御群制御部とに分割して設けた構成としても良い。
また、図26に示した鉄道車両駆動制御装置では、第1制御群51と第2制御群52の内部の構成を図17に示した第12の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様な構成として、これを1単位の制御群として構成したが、この各制御群の充電用開閉器10の構成を図20に示した第13の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様にしても良い。また、変圧器に3次巻線を追加して、図26に示した鉄道車両駆動制御装置の第1制御群51と第2制御群52の内部の構成を図21又は図22に示した第14、第15の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様な構成として、これを1単位の制御群として構成しても良い。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、第1制御群51のコンバータ12又はインバータ22が故障した場合に、故障したコンバータ12又はインバータ22を含む回路を変圧器2次巻線5A及び第1制御群51の永久磁石電動機21から切り離して、交流電源1からコンバータ12側へ流れ込む電流を防止し、かつ、永久磁石電動機21の誘起電圧によって永久磁石電動機21から故障したインバータ22又はコンバータ12に流れ込む電流を防止し、停止しているコンバータ12又はインバータ22が永久磁石電動機21の誘起電圧により損傷を拡大しないように保護しながら、故障していない健全な第2制御群によって鉄道車両の運転を継続することができる。さらに、第1制御群51のコンバータ12又はインバータ22が故障し、かつ、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の第1の3極開閉器26が固渋した場合でも、第1制御群51の第2の3極開閉器27を開放することによって、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路を切り離すことが可能となり、健全な第2制御群52によって運転を継続している時に、停止している第1制御群51のコンバータ12又はインバータ22が永久磁石電動機21の誘起電圧によって損傷を拡大しないように保護できる鉄道車両駆動制御装置を実現できる。
他方、第2制御群52のコンバータ12又はインバータ22が故障した場合に、故障したコンバータ12又はインバータ22を含む回路を変圧器2次巻線5B及び第2制御群52の永久磁石電動機21から切り離して、交流電源1からコンバータ12側へ流れ込む電流を防止し、かつ、第2制御群52の永久磁石電動機21の誘起電圧によって永久磁石電動機21から故障したインバータ22又はコンバータ12に流れ込む電流を防止し、停止しているコンバータ12又はインバータ22が永久磁石電動機21の誘起電圧により損傷を拡大しないように保護しながら、故障していない健全な第1制御群によって鉄道車両の運転を継続することができる。さらに、第2制御群52のコンバータ12又はインバータ22が故障し、かつ、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の第1の3極開閉器26が固渋した場合でも、第2制御群52の第2の3極開閉器27を開放することによってインバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路を切り離すことが可能となり、健全な第1制御群によって運転を継続している時に、停止している第2制御群52のコンバータ12又はインバータ22が永久磁石電動機21の誘起電圧によって損傷を拡大しないように保護できる鉄道車両駆動制御装置を実現できる。
また、図26に示した鉄道車両駆動制御装置では、第1制御群51と第2制御群52の内部の構成を図17に示した第12の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様な構成として、これを1単位の制御群として構成したが、この第1制御群51と第2制御群52の永久磁石電動機21とインバータ22と電流検出器24U〜24Wと第1の3極開閉器26と第2の3極開閉器27の構成を、図23に示した第16の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様に、第1駆動群の永久磁石電動機31とインバータ32と電流検出器34U〜34Wと第1の3極開閉器36と第2の3極開閉器37、そして第2駆動群の永久磁石電動機41とインバータ42と電流検出器44U〜44Wと第1の3極開閉器46と第2の3極開閉器47を組み合わせて構成することができる。
そしてこの場合は、図27に示した制御部103と制御回路の構成においては、制御部103へ、電流検出器24U〜24Wの検出値にあたる出力信号124U〜124Wと第1の3極開閉器26の連動補助接点226の信号に代えて、第1制御群51と第2制御群52それぞれから、第1駆動群の電流検出器34U〜34Wの検出値にあたる出力信号134U〜134Wと第2駆動群の電流検出器44U〜44Wの検出値にあたる出力信号144U〜144Wと第1駆動群の第1の3極開閉器の連動補助接点236の信号と第2駆動群の第1の3極開閉器の連動補助接点246の信号が入力され、また、第1の3極開閉器26の駆動操作コイル126に電源を供給する制御回路の継電器104iと第1の3極開閉器投入指令信号及び、第2の3極開閉器27の駆動操作コイル127に電源を供給する制御回路の継電器104jと第2の3極開閉器投入指令信号に代えて、制御部103から、第1制御群51と第2制御群52それぞれに対して、第1駆動群の第1の3極開閉器36の駆動操作コイル136に電源を供給する制御回路の継電器と、第1駆動群の第2の3極開閉器37の駆動操作コイル137に電源を供給する制御回路の継電器と、第2駆動群の第1の3極開閉器46の駆動操作コイル146に電源を供給する制御回路の継電器と、第2駆動群の第2の3極開閉器47の駆動操作コイル147に電源を供給する制御回路の継電器を設け、第1駆動群第1の3極開閉器投入指令信号と第1駆動群第2の3極開閉器投入指令信号と第2駆動群第1の3極開閉器投入指令信号と第2駆動群第2の3極開閉器投入指令信号を出力することになる。
さらに、図26に示した本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、1台の鉄道車両駆動制御装置が有する制御群の数を2組の構成として示しているが、制御群の数を2組から3組や4組に増やした場合は、図27の構成にさらに制御群として第3制御群、第4制御群と第3の変圧器2次巻線と第4の変圧器2次巻線を追加した構成となる。これは制御群の数が増加したのみで、本発明の実施の形態における各部の動作及び本発明の効果は同様である。
尚、本発明の第1〜第17の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、それぞれの実施の形態を示した図におけるコンバータ12とインバータ22、第1駆動群インバータ32、第2駆動群インバータ42の内部回路について、それぞれ2レベル回路で構成した例を示したが、例えば、図29に示す鉄道車両駆動制御装置のようにコンバータ12を中性点クランプ形の3レベル回路で構成した場合においても、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、インバータを中性点クランプ形の3レベル回路で構成しても、またコンバータとインバータの両方を中性点クランプ形の3レベル回路で構成しても良い。つまり、本発明の実施の形態として示した図におけるコンバータ12は、交流電圧を任意の大きさの電圧の直流電圧に変換するコンバータ回路であれば、その内部回路の構成によらず適用可能であり、本発明の効果を同様に得ることができる。また同様に、本発明の実施の形態として示した図におけるインバータ22と第1駆動群インバータ32と第2駆動群インバータ42は、直流電圧を任意の大きさの電圧と任意の周波数の交流電圧に変換するインバータ回路であれば、その内部回路の構成によらず適用可能であり、本発明の効果を同様に得ることができる。