JP4707475B2 - 化合物半導体結晶の成長方法、その成長方法を用いて成長した化合物半導体結晶の層を備えた半導体装置及び半導体基板 - Google Patents

化合物半導体結晶の成長方法、その成長方法を用いて成長した化合物半導体結晶の層を備えた半導体装置及び半導体基板 Download PDF

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本発明は、MOCVD(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて 化合物半導体結晶を成長させる化合物半導体結晶の成長方法、その成長方法を用いて成長した化合物半導体結晶の層を備えた半導体装置及び半導体基板に関する。
量子ドット構造は電子を3次元的に閉じ込めることで、状態密度がδ関数的な離散準位を持つ。したがって量子ドットにキャリアを注入すると、キャリアは離散準位のエネルギーに集中する。その結果、量子ドットからの発光スペクトルはエネルギー広がりが非常に狭く、強度が大きいものになる。この量子ドット構造を例えば半導体レーザの活性層に適用すると、半導体レーザの閾値が低減する、温度特性が向上する、変調帯域が拡大することなどが期待される。
こうした優れた特性の量子ドットデバイスを実現するためには、サイズ均一性に優れ、かつ発光強度の強い量子ドット構造を、制御性良く作製する必要がある。
量子ドット構造を得るためには、従来はリソグラフィーとドライエッチングなどによる加工技術を用いていたが、この作製方法の場合、加工に伴う損傷が結晶中に導入されるため、発光効率などが低下するという問題点があった。
これに対し、基板と量子ドット材料間の格子不整合からくる歪を利用した、SK(Stransky-Krastanov)モード成長と呼ばれる自己形成成長法によって量子ドットを成長する手法が提案され、現在ではこの自己形成方法が量子ドット研究の主流となっている。この方法を用いると、先に述べたような加工による結晶への損傷を回避でき、かつ高密度に量子ドットを形成できる。また、この自己形成方法において、原料供給方法に創意工夫を凝らし特性を向上する提案もなされている。例えば、特許文献1では、この量子ドットの自己形成法において量子ドット原料のうち一方の族の元素を含む原料と他方の族の元素を含む原料を交互に供給する成長方法を提案している。また、特許文献1によれば、この成長方法を用いることで量子ドットを高密度に成長することができる。
また、例えば特許文献2では、V族元素を含む原料を連続的に供給するとともにIII族元素を含む原料を断続的に供給する量子ドットの自己形成方法を提案している。そして、特許文献2によれば、この量子ドットの自己形成方法を用いると量子ドットの形成が促進され、半導体量子ドットレーザ素子の発振閾値電流密度が低閾値化する。
しかしながら、こうした自己形成方法を用いての量子ドット成長は結晶成長技術として難しく、現在のところマージン幅の非常に狭い成長条件下でしか、品質の良い量子ドットは得られていない。しかも、量子ドットに本来期待されている、状態密度の離散性を示すために必要なドットのサイズ均一性や、レーザ素子に応用した場合などに要求される高い発光特性などの性能は未だ不十分である。
特開2000−22130号公報 特開2004−342851号公報
自己形成方法による量子ドット成長方法の現状の課題として、量子ドットのサイズ均一性と発光効率が不十分であることが挙げられる。現状では量子ドットのサイズ均一性を向上するための手法としては、成長速度の最適化、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との供給比の最適化、量子ドットの積層化、量子ドット形成後の結晶成長中アニールなどの手法が研究されているが、いずれの手法も結晶成長条件のマージン幅が狭い、量子ドットのサイズ均一性が不十分であるなどの問題点がある。
また、発光効率を向上する目的では、結晶成長条件の詳細な検討、結晶成長終了後の熱アニールなどの研究が行われているが、やはり結晶成長条件のマージン幅が狭い、発光強度は増大するものの発光波長が短波長化してしまうなどの問題点がある。
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであって、量子ドットのサイズ均一性と発光効率を向上させることのできる化合物半導体結晶の成長方法、その成長方法を用いて成長した化合物半導体結晶の層を備えた半導体装置及び半導体基板を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様による化合物半導体結晶の成長方法は、MOCVD法を用いて、化合物半導体基板上に、III族元素およびV族元素を含む化合物半導体結晶を成長させる化合物半導体結晶の成長方法であって、
前記III族元素を含む原料を連続的に供給し、前記V族元素を含む原料の供給と停止とを繰り返して行う工程を備えたことを特徴とする。
なお、前記III族元素およびV族元素を含む化合物半導体の堆積量が1モノレイヤー以下である間に前記V族元素を含む原料の供給と停止とを繰り返してもよい。
なお、記化合物半導体基板としてGaAsを用い、前記化合物半導体結晶はGa1−xInAs1−y(0.3≦x≦1、0≦1−x≦0.7、0≦y≦0.3、0.7≦1−y≦1)であってもよい。
なお、前記化合物半導体基板としてGaAsまたはInAsを用い、前記化合物半導体結晶はGa1−xInAs1−y(0.7≦x≦1、0≦1−x≦0.3、0≦y≦1、0≦1−y≦1)であってもよい。
なお、前記化合物半導体結晶を成長する際に、V族元素であるAsの原料が供給されているときにNの原料の供給を停止し、V族元素であるAsの原料の供給が停止されているときにNの原料を供給してもよい。
また、本発明の第2の態様による半導体装置は、上記いずれかの成長方法を用いて成長した化合物半導体結晶の層を備えたことを特徴とする。
なお、前記化合物半導体結晶の層が量子ドット層であってもよい。
なお、前記量子ドット層は、半導体レーザの活性層であってもよい。
また、本発明の第3の態様による半導体基板は、上記いずれかの成長方法を用いて成長した化合物半導体結晶の層を備えたことを特徴とする。
なお、前記化合物半導体結晶の層が量子ドット層であってもよい。
本発明によれば、量子ドットのサイズ均一性と発光効率を向上させることができる。
以下に本発明の実施形態を、図を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による化合物半導体結晶の成長方法を図1乃至図2を参照して説明する。
本実施形態の方法は、MOCVD法(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)を用いて、図2に示すような、GaAs基板1上に膜厚500nmのGaAsからなるバッファー層2、膜厚2.7ML(モノレイヤー(単原子層))のInAsからなる量子ドット3を順次成長した構造を持つ化合物半導体結晶を成長するものである。III族であるGaの原料としてTEG(トリエチルガリウム)、Inの原料としてTMI(トリメチルインジウム)、V族であるAsの原料としてtBA(ターシャルブチルアルシン)を使用する。
本実施形態においては、GaAsからなるバッファー層2の形成は、III族であるGaの原料TEGと、V族であるAsの原料tBAを650℃の反応室に連続的に供給して形成する。これに対して、InAs量子ドット3の形成は、図1に示すように、III族であるInの原料TMIを所定温度の反応室に連続的に供給するが、V族であるAsの原料tBAを断続的に供給する。すなわち、Asの原料tBAを時間tだけ供給した後、時間tの間Asの原料tBAの供給を停止し、これを所定回数繰り返す。
InAs量子ドット3は約400℃〜600℃の成長温度で成長可能である。成長温度が400℃未満では原料分解効率が低下し量子ドットが形成されない。また600℃を超えると結晶成長表面からの原子の脱離が激しく、やはり量子ドットが形成されない。品質の良い量子ドットを成長するためには、成長温度は特に450℃〜520℃が好ましく、本実施形態においては490℃を選択している。
また、InAs量子ドット3は成長速度0.001ML/s〜0.2ML/sで成長可能であるが、品質の良い量子ドットを成長するためには、特に0.005ML/s〜0.02ML/sが好ましく、本実施形態においては0.013ML/sを選択している。品質の良い量子ドットの成長には、後述するが、熱平衡状態に近い状態を保つ時間が必要である。このため0.2ML/sを超える成長速度では量子ドットが形成されない。また、成長速度が0.001ML/s未満であると結晶成長表面からの原子の脱離が激しく、やはり量子ドットが形成されない。
InAs量子ドット3の成長速度を0.013ML/sとすると、2.7MLの量子ドット層の成長には約210秒が必要である。この際、従来の成長方法では、III族元素を含む原料、V族元素を含む原料ともに210秒間連続で供給し続け、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比の制御などは供給する各原料の流量で制御する。
これに対し、本実施形態では、V族元素を含む原料の供給を時分割的に行う。すなわち、図1に示すように、III族であるInの原料TMIは連続で210秒間供給し続けるが、V族であるAsの原料tBAは、3秒(=t)供給と、7秒(=t)供給停止というサイクルを21回繰り返すなどの形で、時分割的に供給する。
このようにして本実施形態の成長方法を用いて量子ドット3を成長した場合、V族元素を含む原料の供給を停止している間は、結晶の成長最表面でのV族元素を含む原料の濃度が低下するためにIII族原子の表面拡散距離が増し、従来の成長方法と比較してより熱平衡に近い条件で量子ドット形成が促進されるようになる。
本実施形態の成長方法によって形成された量子ドット3は自己サイズ制御効果が強く働き、従来の場合と比較してサイズ均一性が大幅に向上する。またその結果、発光に寄与するサイズの量子ドット密度が大幅に上昇することから、発光強度も増大する。すなわち、本実施形態の成長方法を用いることで、量子ドットのサイズ制御性・発光効率を向上することができる。本実施形態の成長方法において、非常に重要なことは、特許文献1(特開2000−22130号公報)や特許文献2(特開2004−342851号公報)に記載された従来の成長方法と異なり、III族元素を含む原料の供給を停止してはいけないことである。III族元素を含む原料の供給を停止する時間を設けると、III族原子の空孔型欠陥が導入され、量子ドット3の発光強度が低下するからである。
また、本実施形態においては、V族であるAsの原料tBAを、3秒供給→7秒供給停止というサイクルで時分割供給しているが、必ずしもこの値である必要は無い。サイズ制御性向上の効果を得るには、量子ドットが所望以上の大きさ(発光に寄与しなくなる大きさ)に成長してしまう前に、上記したような熱平衡に近い状態にし、自己サイズ制御効果が働くことでサイズ均一性が向上する時分割値であることが好ましい。
そうした高いサイズ均一性が得られる最適時分割値は、成長速度等の他の成長条件にも依存するため一概に決定することはできない。しかしながら、大きい量子ドットの成長を効果的に抑制するためには、量子ドットの原料(本実施形態ではInAs)の堆積量が1ML以下である間にV族原料の供給を停止するような時分割値を取り、量子ドットを短い間隔で繰り返し熱平衡に近い状態にしてやることが効果的である。堆積量が1ML以上となるまで量子ドットの原料を時分割せずに、連続的に供給してしまうと、サイズ均一性が悪いまま量子ドットの成長が進み、その後熱平衡状態に置いても自己サイズ制御効果が得られない。
また、時間の制御も重要である。本発明者の鋭意研究の結果によると、時分割供給においてV族元素を含む原料の供給の停止を30秒以上にすると、V族元素の空孔欠陥が導入され発光強度が大幅に低下したり、結晶成長表面でのV族元素を含む原料の量が足りなくなり量子ドットが成長されないことがわかっている。また、V族元素を含む原料の供給する時間を連続で30秒間以上にすると、上述した熱平衡に近い状態を保持する時間が少なく、形成される量子ドットのサイズ制御性は、従来の場合の量子ドットと大差が無い。III族元素を含む原料の供給量が1ML未満であるうちに、量子ドットを上記したような熱平衡に近い状態にすることが重要であるためだと考えられる。
また、一般にMOCVD装置の原料流量制御装置の特性上、時分割の時間値を0.1秒以下にしようとしても、制御不可能である。このため、時分割法に適用できる供給する時間と、供給を停止する時間は0.1秒〜30秒が限度である。GaAsバッファー層2上のInAs量子ドット3の成長においては、成長速度0.013ML/sの時にV族元素を含む原料(この場合Asを含む原料)を1秒〜3秒供給し、その後7秒〜9秒の供給の停止を行うサイクルを繰り返す時分割比が、上記したような効果が最も得られ、量子ドットのサイズ均一性・発光効率が最も高くなり好ましい。
なお、成長速度が上記例(0.013ML/s)よりも速い場合には、供給する時間と供給を停止する時間をともに短くし、1サイクルにかかる時間を短くしてやると良い。これに対して、成長速度が遅い場合には供給する時間と供給を停止する時間をともに長くし、1サイクルにかかる時間を長くしてやると良い。
また、本実施形態の成長方法を用いると、V族元素を含む原料の供給を停止する時間を変えることで平均的なV族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比を厳密に制御することが可能になるため、量子ドットの自己形成成長法において重要な成長条件の一つであるV族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比の制御性を格段に高めることが可能である。
また通常、量子ドットの自己形成法による成長では、量子井戸やバルクの成長と比較して1桁〜2桁ほども低い0.1前後のV族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比が適応され、しかもそのマージン幅は非常に狭い。そして、一つの流量制御器でバルク層部分と量子ドット層部分の両方のV族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比に対応できるような広域に渡る制御性を得ることは難しく、従来は、MOCVD装置のV族元素を含む原料供給ラインをバルク用と量子ドット用の2つ以上にする方法が一般的である。
これに対し、本実施形態の成長方法を用いれば、V族元素を含む原料の供給を停止する時間を変えることで、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との供給比が高い流量制御器を用いてV族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との低い供給比が厳密に制御することが可能になるため、量子ドット専用のV族元素を含む原料供給ラインの必要が無い。このことはMOCVD装置設計の自由度を高め、MOCVD装置の値段の低減にもつながる。
本実施形態では、GaAs基板上のInAs量子ドットを例にとって説明したが、成長する化合物半導体のIII族材料としてはInの他にGaやAlでも良い。
またV族材料としてはAsの他にNやP、Sbなどでも良い。
また、量子ドットのサイズ制御性・発光特性が向上する技術であるので、GaNやInGaNなどの材料を用いた量子ドットでも良い。その際は格子整合の問題から基板としては、サファイアやSiCなどでも良い。
なお、量子ドットの原料としては特にGa1−xInAs1−y(0.3≦x≦1、0≦1−x≦0.7、0≦y≦0.3、0.7≦1−y≦1)である場合にはより効果的である。
(実施例1)
次に、本発明の実施例1の成長方法を説明する。この実施例は、GaAs基板上に形成されたGaAsバッファー層上に、InAs量子ドットを結晶成長させるものである。これに対して、比較例として、V族元素を含む原料の供給を時分割せずに連続して供給する以外は、平均的な、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との供給比を初めとする諸成長条件を本実施例と全て等しくして成長した量子ドットサンプルも作成した。
サンプルの構造は図2に示した構造とほぼ同等であり、GaAs基板1上にGaAsバッファー層2、InAs量子ドット3を順次成長している。量子ドット3の成長温度は490℃、成長速度は0.013ML/s、堆積量は2.7ML、成長時間210秒、ドット成長中の平均的な、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との供給比は約0.4である。Inの原料TMIの供給流量はバブリング水素量にして3.4cc/min、Asの原料tBAの供給流量は同じくバブリング水素量にして、比較例では0.3cc/min、本実施例では3cc/minである。量子ドットを形成する際に、比較例ではIn、As共に連続で供給しているが、本実施例ではAsの原料tBAを、1秒供給と9秒供給停止とを含むサイクルを21回繰り返す形で時分割供給している。この時分割比で供給することで、比較例によるサンプルと時間平均のV族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との供給比を等しくしている。V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との供給比は量子ドットの特性に大きく影響する成長条件であるため、時分割成長法の効果のみを観察するためには、このように厳密に等しくする必要がある。
図3(a)、(b)に、比較例による量子ドットと、本実施例による量子ドットのAFM(Atomic Force Microscope)による表面観察像を示す。図3(a)が比較例によるサンプル、図3(b)が本実施例によるサンプルである。なお、図に示される表面観察像は1μm×1μmの大きさである。比較例と比べて、本実施例によるサンプルは、発光に寄与すると考えられる直径15〜25nmの量子ドットの割合が、全ドット数に対し約65%から90%へと向上しており、サイズ均一性の大幅な向上が確認できる。
また図4に、同様に同条件で成長した量子ドットのPL(Photo Luminescence)強度を、比較例によるサンプル(グラフg参照)と本実施例によるサンプル(グラフg参照)で比較して示す。図4から本実施例による成長法のサンプルでは、約3倍に発光強度が増大していることが確認できる。発光に寄与するサイズの量子ドットが大幅に増加しているために、発光効率が向上しているためであると考えられる。
従来、発光強度の増大を目的として、結晶成長終了後に熱アニール処理を行う研究が行われてきたが、この場合熱処理によってドットのサイズが縮小し、発光波長の大幅な短波長化が起きるという問題点があった。
しかし、本実施例では量子ドットのサイズ制御性を向上することによる発光効率の増大が得られているため、そのような発光波長の著しい短波長化は見られない。このことは量子ドットの1.2μm〜1.6μm帯の長波長通信用光源デバイスへの応用を考える際には、非常に有利な点である。
(実施例2)
次に、本発明の実施例2による半導体レーザを説明する。本実施例の半導体レーザは、本発明の第1実施形態による化合物半導体結晶の成長方法を用いて成長させた量子ドットを活性層として有するものであり、その断面を図5に示す。
MOCVD法を用いてn型GaAs基板4上に、Siがドープされた膜厚0.5μmのn型GaAsバッファー層5、Siがドープされた膜厚1.5μmのn型AlGaAsクラッド層6、膜厚0.12μmのGaAs光閉じ込め層7、膜厚10nmのGaAs層8,膜厚2.7MLのInAs量子ドット活性層9、膜厚10nmのGaAs埋め込み層10、膜厚0.12μmのGaAs光閉じ込め層11、膜厚1.5μmのp型AlGaAsクラッド層12、膜厚0.5μmのp型GaAsコンタクト層13、膜厚0.1μmのGaAsキャップ層14を順次成長する。
n型GaAsバッファー層5、n型AlGaAsクラッド層6、GaAs光閉じ込め層7、光閉じ込め層11、およびp型AlGaAsクラッド層12は、成膜温度が650℃で、成膜時間がそれぞれ20分、68分、5分、5分、67.7分である。GaAs層8およびGaAs埋め込み層10は、成膜温度が490℃で、成膜時間が175秒である。p型GaAsコンタクト層13およびGaAsキャップ層14は、成膜膜温度が550℃で成膜時間がそれぞれ22.3分および73秒である。
量子ドット活性層9の成長温度は490℃、成長速度は0.013ML/s、堆積量は2.7ML、成長時間は210秒、ドット成長中の平均的なV族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との供給比は約0.4とする。III族であるInの原料TMIの供給流量はバブリング水素量にして3.4cc/min、V族であるAsの原料tBA供給流量は同じくバブリング水素量にして3cc/minとする。本実施例の半導体レーザの量子ドット活性層9の部分は成長時間210秒であるが、その間にIII族元素を含む原料であるTMIの供給を連続的に行い、V族元素を含む原料であるtBAの供給を、1秒供給と9秒供給停止とからなるサイクルを21回繰り返すという時分割して行う。
このようにして形成された本実施例によれば、サイズ均一性および発光効率が良い量子ドット活性層を有する半導体レーザが得ることができる。比較例として、III族元素を含む原料およびV族元素を含む原料を連続的に供給する成長方法を用いて成長させた量子ドット層を活性層とする量子ドットレーザを作成した。本実施例の半導体レーザは比較例に比べて、発振しきい値の低減や出力の向上といった特性の改善が得られた。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による化合物半導体結晶の成長方法を、図6および図7を参照して説明する。
InAs基板上にGaAs〜GaInAs〜InAs間の3元系混晶を、成長温度420℃、440℃、460℃、490℃、500℃、550℃で成長させる際に、DMHy(Dimethylhydrazine)を原料としてN添加を行った場合のN添加効率を調べた実験データを図6に示す。横軸は、グラフの横軸は結晶中のIn組成であり、縦軸は固相対気相中のN:As濃度、すなわち原料ガスから結晶へのNとAsの取り込まれ効率を意味している。成長温度550℃において、GaAsに対してNは容易に添加が可能であるが、In組成が3割ほどのGaInAsに対してはNの添加効率は約2桁低下する。In組成が3割を超える結晶に対しては添加効率はさらに低下し、従来の手法では数%オーダーのN濃度を有するGaInAsN結晶の成長は実現困難である。
成長温度を500℃から440℃の低温にしていくことで、N添加効率は約2桁向上する。これは、一般にGaInNAs系結晶の成長技術においてN添加効率を向上するためには低温成長が重要であると認識されていることに対する直接的なデータである。しかしながら成長温度を下げることは、原料の分解効率を低下させ、結晶中のC(炭素)などの不純物濃度を高める、結晶品質の低下を招くなどといった弊害も起こすことになる。
そこで、本実施形態の成長方法は、図7に示すように、Asの原料とNの原料であるDMHyを時分割法によって、5秒As供給かつN停止と、5秒As停止かつN供給とからなるサイクルを繰り返すことで、InAsN結晶を成長させるものである。なお、III族であるInの原料は図7に示すように、第1実施形態と同様に、連続的に供給される。
本実施形態の成長方法を用いて成長したInAsN結晶では、成長温度490℃においても図6に示したように成長温度約440℃での結晶成長とほぼ同等のN添加効率が得られている。これは、V族元素を含む原料の供給を時分割法によって交互に行うことで、成長する結晶最表面でのAs濃度が少ない時にNが供給され、V族サイトに高濃度にNが入るためだと考えられる。
このように、本実施形態の結晶成長方法を用いると、従来実現が困難であった混晶材料系、特にGa1−xInAs1−y(0.7≦x≦1、0≦1−x≦0.3、0≦y≦1、0≦1−y≦1)といった材料において半導体結晶の成長が可能になる。このことは結晶成長の分野の大きな発展に結びつくことは言うまでも無い。
また、上記したN添加効率の問題で、従来の成長方法では高In組成のInAs〜InGaAs量子ドットにも、数%オーダーのNを添加することは非常に難しい。そのため、1.55μm帯の通信用光源材料として期待されている、InAsNやGaInNAs系材料を用いた量子ドットレーザの実現は困難であり、いまだ基礎研究段階である。
これに対し、本実施形態の成長方法を用いれば、InAsやGaInAsにも高い成長温度でNを添加することが可能であるため、こうした材料の特性を大幅に向上することが可能である。
なお、本実施形態も第1実施形態と同様に、量子ドットのサイズ均一性と発光効率を向上させることができる。
本発明の第1実施形態の成長方法を説明するタイミングチャート。 第1実施形態の成長方法を用いて製造された半導体結晶の断面図。 本発明の実施例1の成長方法および比較例の成長方法によって成長した量子ドットサンプルのAFMによる表面観察像。 本発明の実施例1の成長方法によって成長した量子ドットサンプルのPL法による発光特性のグラフ。 本発明の実施例2による半導体レーザを示す断面図。 本発明の第2実施形態による半導体結晶の成長方法を説明するための、GaAs〜InGaAs〜InAs間の混晶に対するNの添加効率を示したグラフ。 本発明の第2実施形態による半導体結晶の成長方法を説明するタイミングチャート。
符号の説明
1 GaAs基板
2 GaAsバッファー層
3 InAs量子ドット
4 n型GaAs基板
5 n型GaAs:Siバッファー層
6 n型AlGaAs:Siクラッド層
7 GaAs光閉じ込め層
8 GaAs層
9 InAs量子ドット層
10 GaAs埋め込み層
11 GaAs光閉じ込め層
12 p型AlGaAsクラッド層
13 GaAs:Alコンタクト層
14 GaAsキャップ層

Claims (8)

  1. MOCVD法を用いて、化合物半導体基板上に、III族元素およびV族元素を含む化合物半導体結晶を成長させる化合物半導体結晶の成長方法であって、
    前記III族元素を含む原料を連続的に供給し、前記V族元素を含む原料の供給と停止とを繰り返して行い、化合物半導体結晶の層を形成する工程を備え、前記化合物半導体結晶の層は、量子ドット層であることを特徴とする化合物半導体結晶の成長方法。
  2. 前記III族元素およびV族元素を含む化合物半導体の堆積量が1モノレイヤー以下である間に前記V族元素を含む原料の供給と停止とを繰り返すことを特徴とする請求項1記載の化合物半導体結晶の成長方法。
  3. 前記化合物半導体基板としてGaAsを用い、前記化合物半導体結晶はGa1−xInAs1−y(0.3≦x≦1、0≦1−x≦0.7、0≦y≦0.3、0.7≦1−y≦1)であることを特徴とする請求項1または2記載の化合物半導体結晶の成長方法。
  4. 前記化合物半導体基板としてGaAsまたはInAsを用い、前記化合物半導体結晶はGa1−xInAs1−y(0.7≦x≦1、0≦1−x≦0.3、0≦y≦1、0≦1−y≦1)であることを特徴とする請求項1記載の化合物半導体結晶の成長方法。
  5. 前記化合物半導体結晶を成長する際に、V族元素であるAsの原料が供給されているときにNの原料の供給を停止し、V族元素であるAsの原料の供給が停止されているときにNの原料を供給することを特徴とする請求項4記載の化合物半導体結晶の成長方法。
  6. 請求項1乃至5記載のいずれかの成長方法を用いて成長した化合物半導体結晶の層を備えたことを特徴とする半導体装置。
  7. 前記量子ドット層は、半導体レーザの活性層であることを特徴とする請求項6記載の半導体装置。
  8. 請求項1乃至5記載のいずれかの成長方法を用いて成長した化合物半導体結晶の層を備えたことを特徴とする半導体基板。
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