JP4707361B2 - 免震装置 - Google Patents

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本発明は、免震装置に関するものである。
免震装置は、地震の応答加速度を低減して構造物を保護するものであり、種々の形式のものが提案されている。特に、コンピュータ関連機器、文化財、医療設備等の比較的軽量な構造物に対する免震装置としては、構造が簡素で安価であり、かつ地震力が小さい段階から免震効果を発揮できるものが求められている。
これを解決する免震装置として、例えば特許文献1に示されるものが提案されている。
これは、下床と上床との間に、滑りタイプの免震機構と転がりタイプの免震機構とを設け、かつ上床の回転を抑える平行リンク機構を設け、この平行リンク機構と下床との間にコイルばねを取付けたものである。
そして、滑りタイプの免震機構と転がりタイプの免震機構との組み合わせによって、低加速度震動でも免震効果を発揮できるようにしている。
特開平6−33583号公報(段落[0018]〜[0029],及び図1〜図4)
ところで、特許文献1に示されたものでは、コイルばねは若干の初期張力は付与されているが、常時引張力が作用するには十分ではない。そのため、圧縮力を考慮した取付けが求められるので、取付構造に工夫が必要であり、かつ免震時にたるんで下床を傷つける等の問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑み、構造が簡単で、製造コストが安価で、安定した免震性能を発揮できる免震装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる免震装置は、下部プレートの上方に間隔を空けて設けられた上部プレートと、該上部プレートおよび前記下部プレートのいずれか一方に取り付けられ、他方に向けて突出して設けられた複数の滑り支承と、前記下部プレートと前記上部プレートとの間に取り付けられ、それぞれ直交する方向に延在するとともに前記下部プレートおよび前記上部プレートの面内に配置された少なくとも4本のコイルばねと、を備え、該コイルばねは、前記各滑り支承の許容滑り距離の半分以上の長さに相当する初期張力が付与されていることを特徴とする。
本発明によれば、上部プレートと下部プレートとに生じる相対的な水平運動は、複数設けられた滑り支承が、上部プレートと下部プレートとのいずれか一方との間で滑ることによって発生する滑り摩擦を利用して減衰される。そして、直交する方向に延在して配置されたコイルばねの引張力によって上部プレートと下部プレートとに生じる相対的な水平運動は長周期化されるとともに上部プレートと下部プレートとは元の位置関係に原点復帰される。
なお、本発明にいう「それぞれ直交する方向に延在して配置された少なくとも4本のコイルばね」とは、直接1点に連結されていなくても、1点を中心として直交する四方へ引張力が作用するように配置されていることを意味している。
このように、滑り支承とコイルばねとの組み合わせで免震化しているので、円弧レールや球面皿のように高価な手段を採用する場合に比較して製造コストを低減することができる。
この場合、各コイルばねは、各滑り支承の許容滑り距離の半分以上の長さに相当する初期張力が付与されているので、上部プレートと下部プレートとに生じる相対的な水平運動があってもコイルばねには常時引張力が作用する。このため、コイルばねの両端部の取付構造に圧縮力を考慮する必要がないので、構造が簡素化できる。安価なコイルばねを利用することもあいまって一層製造コストを低減することができる。また、通常コイルばねの伸縮時に軸線方向の力がかからなくなることによって生じるたるみを防止することができる。
また、本発明にかかる免震装置では、前記コイルばねに付与する前記初期張力Tは、前記許容滑り距離の半分をΔ、前記各コイルばねのばね定数をkとした時、1.1Δk以上であることを特徴とする。
このように、許容滑り距離をΔ、各コイルばねのばね定数をkとした時、コイルばねに付与する初期張力Tを1.1Δk以上となるように付与すると、上部プレートと下部プレートとに生じる相対的な水平運動量の運動方向によって変動する振動周期の変動幅を略5%以内(ばね定数の変動幅としてみると略10%以内)に抑えることができる。このため、上部プレートと下部プレートとに生じる相対的な水平運動の方向によらず略一定の振動周期に長周期化できるので、安定した免震性能を得ることができる。
また、本発明にかかる免震装置では、前記滑り支承は、転がり支承とし、
前記上部プレートと前記下部プレートとの間に減衰力を付与する摩擦ダンパを設けたことを特徴とする。
このように、滑り支承は、転がり支承としているので、滑り支承と上部プレートあるいは下部プレートとの間の静摩擦係数は小さくなる。また、転がり支承が荷重を支えているので摩擦ダンパと上部プレートあるいは下部プレートとの間の面圧は、一定でありかつ任意に調整できる。面圧を小さく調整することにより静摩擦係数を小さくできるので、加速度の小さい震動でも免震効果を発揮することができる。また、摩擦ダンパによる減衰力が加わり効果的に転がり量を抑制することができる。
また、本発明にかかる免震装置では、前記滑り支承は、転がり支承と摩擦支承との組み合わせで構成されていることを特徴とする。
このように、滑り支承は、転がり支承と摩擦支承との組み合わせで構成されているので、滑り支承の摩擦力は、摩擦支承のみの場合と比較して小さくなる。このため、摩擦支承のみの場合に比べて加速度の小さい震動でも免震効果を発揮することができる。
また、摩擦支承の摩擦力により支承変位を抑制できるので、別途摩擦ダンパを利用する必要がないので、製造コストを低減することができる。
また、本発明にかかる免震装置では、前記滑り支承は、転がり支承とし、該転がり支承が転動する前記上部プレートあるいは前記下部プレートの表面に転がり摩擦増強部材が設けられたことを特徴とする。
このように、転がり支承が転動する上部プレートあるいは下部プレートの表面に転がり摩擦増強部材が設けられたので、転がり支承が転動する際に転がり抵抗が増大する。転がり抵抗が増大すると、転がり変位が抑制、減衰されるので、摩擦ダンパあるいは摩擦支承等の減衰部材を利用しなくてすみ、その分製造コストを低減することができる。
なお、転がり摩擦増強部材は、弾性、耐磨耗性および付着性に優れた塗装材、例えばポリウレタン樹脂を塗布すること、あるいは、ゴム系や繊維系の柔軟なシート材料(例えばナイロン繊維等)を貼付することで設置される。
また、本発明にかかる免震装置では、前記転がり摩擦増強部材が、許容転がり範囲の境界付近に設けられたことを特徴とする。
このように転がり摩擦増強部材が、許容転がり範囲の境界付近に設けられたので、発生頻度が非常に少ない大地震時など許容転がり範囲を超える変位が生じる場合のみ抵抗が大きくなって変位が抑制されるので、発生頻度の多い加速度の小さな地震から免震効果を発揮させることができる。
本発明の免震装置によれば、滑り支承とコイルばねとの組み合わせで免震化し、かつコイルばねは、各滑り支承の許容滑り距離の半分以上の長さに相当する初期張力が付与されているので、構造が簡単で、製造コストが安価で、安定した免震性能を発揮させることができる。
以下に、本発明の一実施形態にかかる免震装置1について、図1〜図8を参照して説明する。
図1は、本実施形態にかかる免震装置1を設置した状態を示す斜視図である。免震対象物3としては、サーバラック等のコンピュータ関連機器、文化財、医療設備、建物等の構造物等がある。
図2は、免震装置1の平面視であり、左半分は下部プレート平面図を、右半分は上部プレート平面図を示している。図3は、図2のX−X視図で免震装置1の正面を示す。図4は、免震装置1の側面図である。
免震装置1には、床上に載置される下部プレート5と、下部プレート5の上方に間隔を空けて配置された上部プレート7と、下部プレート5と上部プレート7との間に介装された4個の転がり支承9と、下部プレート5と上部プレート7との間に介装された4個の摩擦ダンパ11と、下部プレート5と上部プレート7との間に介装された復元部材13とが備えられている。
下部プレート5は、鋼製の台板4の上に鋼製の滑り板6が重ねられたものが2組並設され、それらが結合金物17によって結合されて形成されている。
下部プレート5の滑り板6は、高硬度のクロムモリブデン鋼が用いられている。
上部プレート7は、鋼製で、2組の間隔を空けて設けられた載荷板19と取付板21とが結合されて構成されている。
各載荷板19は、免震対象物3を載荷するもので、その中央部には、2個の長方形をした開口23が並設されている。
取付板21の上面には、載荷板19の開口23の周囲を包囲する形で、断面が略矩形をした載荷板19との間隔を保持する間隔保持部25が設けられている。間隔保持部25の長手方向両端部は、延設され、一端にフランジ27が設けられている。隣接するフランジ27同士が接合されて上部プレート7が一体化されている。
上部プレート7および下部プレート5の平面の大きさは、例えば1200mm×1200mmである。
免震装置1の四隅部には、取付板21を貫通して設けられ、その下端部が下部プレート5に固定されたナットに螺合される吊用ボルト29が備えられている。吊用ボルト29の上端には、吊り下げ用のアイナット31が取り付けられている。
転がり支承9と摩擦ダンパ11とは、それぞれ取付板21の開口23に相当する位置に、開口23の長手方向8に沿って摩擦ダンパ11は内側に、転がり支承9は外側に並んで配置されている。
転がり支承9は、エリア33の範囲内を、摩擦ダンパ11はエリア35の範囲内を運動できるように設計されている。エリア33の半径Δが、許容滑り距離の半分に相当することになる。
復元部材13には、滑り板6(下部プレート5)の上面四隅にそれぞれ取り付けられた下取付部材39と、取付板21(上部プレート7)の下面で、それぞれ四辺の中央部分に辺に沿って並設された一対の上取付部材41と、両端が隣合う下取付部材39と上取付部材41とに取り付けられたコイルばね37とが備えられている。
したがって、各コイルばね37は、上部プレート7と下部プレート5との間に取り付けられていることになる。
コイルばね37は、免震装置1の四辺にそれぞれ2本ずつ直列に並んで配置されている。したがって、隣合う辺に配置された一本ずつのコイルばね37は、直交する方向に配置されており、その一端は隅に設けられた下取付部材39に併せて取り付けられている。対角に配置された4本のコイルばね37によって本発明にいうそれぞれ直交する方向に延在された4本のコイルばね37を構成している。
コイルばね37は、自由長から引張長さLだけ伸ばしたセット長Lとして取り付けられている。
引張長さLは、エリア33の半径Δの1.1倍の長さに設定されている。
摩擦ダンパ11について図5により説明する。
摩擦ダンパ11には、取付板21を貫通して設けられたダンパシリンダ43と、ダンパシリンダ43の内側に遊嵌されたばねガイド45と、ばねガイド45の内側に配置された圧縮コイルばね47と、ばねガイド45の下面に取り付けられた摺動部材49とが備えられている。
ダンパシリンダ43は、下面が開放された中空円筒形状をしている。ダンパシリンダ43は、取付板21の下面に固定して取り付けられた直方体形状の取付部材51によってその軸線方向中間部分が固定して取り付けられている。
ばねガイド45は、上面が解放された略中空円筒形状をしており、ダンパシリンダ43の内側に遊嵌されている。
圧縮コイルばね47は、ばねガイド45の内側で、ダンパシリンダ43の上部とばねガイド45の下部との間に配置されており、ばねガイド45を、すなわち摺動部材49を滑り板6に向けて付勢するように構成されている。
摺動部材49は、例えば四フッ化エチレン樹脂で形成されている。
転がり支承9について図6により説明する。
転がり支承9には、取付板21の下面に取り付けられた直方体形状の取付部材53と、取付部材53の下部中央部に下方に突出するように取り付けられた本体55と、本体55の下部に回動自在に設けられたボールベアリング57とが備えられている。
ボールベアリング57は、1個に限らず、複数個設けられていてもよい。
以上、説明した本実施形態にかかる免震装置1の動作について説明する。
免震装置1は、載荷板19が装着されない状態で、吊用ボルト29が装着され上部プレート7の取付板21と下部プレート5とが相互に移動しない状態にされ、設置場所に搬送される。
この免震装置1は、アイナット31にロープを掛けて吊り上げられ、設置箇所に移動設置される。これは、アイナット31を使わずに持上げて移動してもよい。
そして、吊用ボルト29が取り外され、載荷板19が装着される。その後、免震対象物3が、載荷板19の上に載置され、設置が完了する。
なお、最初から載荷板19が装着された状態で搬入されるようにしてもよい。
次に、免震動作について説明する。
地震によって、上部プレート7と下部プレート5とに加速度(慣性力)が作用すると、転がり支承9で支持され、コイルばね37で長周期化された上部プレート7と、下部プレート5の滑り板6との間で相対変位が生じる。この相対変位は、下部プレート5の動きに対し、長周期化した上部プレート7が追随できないために生じるもので、地震動と同じ速い動きの下部プレート5に対して上部プレート7はあたかも止まっているような免震効果が発揮される。
この時、摩擦ダンパ11の移動に伴って、圧縮コイルばね47によって滑り板6に押圧されている摺動部材49が移動するので、摺動部材49と滑り板6との間で摺動摩擦が発生する。
この摩擦によって生じる摩擦力によって、上部プレート7と下部プレート5との間に生じる水平方向の運動は減衰させられ、効果的に転がり支承の移動量を抑制しながら免震効果を得ることができる。
次に、復元部材13の動作について説明する。
8本のコイルばね37は、全て略同一初期張力Tを付与されて取り付けられている。そして、対角に配置された4本のコイルばね37は、それぞれ直交する方向に延在されて配置されているので、図2に示すように上部プレート7と下部プレート5とが重なる状態で各コイルばね37の力が釣り合っている。
上部プレート7と下部プレート5との間に相対的な水平方向の変位が発生すると、この力の釣り合いが破れ、8本のコイルばねによる総合的な力が変位を元に戻す方向に作用する。
これにより、振動の振幅が小さくなり、一方振動の周期が長くなる。そして、振動が収まった場合には、各コイルばね37の引張力が安定した変位前の位置に戻されることになる。
このように、転がり支承9、摩擦ダンパ11およびコイルばね37の組み合わせで免震化しているので、円弧レールや球面皿のように高価な手段を採用する場合に比較して製造コストを低減することができる。
また、各コイルばね37の長さは、自由長から引張長さLだけ伸ばされたセット長Lとされている。この引張長さLは、滑り支承9の設計で許容された移動するエリア33の半径Δの1.1倍に設定されているので、上部プレート7と下部プレート5との間に相対的な水平方向の変位が発生しても、震動加速度(慣性力)が設計で想定された範囲内であれば、各コイルばね37には常時引張力が作用している。
このため、コイルばね37の両端部の取付構造に圧縮力を考慮する必要がないので、取付構造を簡素化できる。安価なコイルばねを利用することもあいまって一層製造コストを低減することができる。また、通常コイルばねの伸縮時に軸線方向の力がかからなくなることによって生じるたるみを防止することができる。
次に、コイルばね37の選定について、それに付与する初期張力Tの考え方を含めて説明する。
図7には、初期張力Tを付与して直交配置した4本のコイルばね37(単体のばね定数をkとする。)の交点が、バランスのとれた初期位置(0,0)から面内で位置(X,Y)へ移動した状態が示されている。
この時の力のつり合いは、式(1)で表される。
Figure 0004707361
許容する片振幅(エリア33の半径)をΔ、ばねのセット長をそれぞれLとして、式(1)より0度方向(ばね軸方向のX方向)にΔ変位した時の荷重Fを求めると式(2)で表される。
Figure 0004707361

また、ばねセット長L、初期張力Tを与えるためのばね引張長さをL(=セット長Lからばねの自由長を除いた長さ)として、Δに対する比率をそれぞれ下式で表わし、
Figure 0004707361

これを式(2)に代入すると、式(3)が得られる。
Figure 0004707361

また、ばね単体のばね定数kに対する0度方向の系全体のばね定数Kの比は、式(4)で表わすことができる。
Figure 0004707361
上記と同じ手順に従うと、単体のばね定数kに対する45度方向の系全体のばね定数K45の比は、式(5)で表わされる。
Figure 0004707361

式(4)の0度方向ばね定数と式(5)の45度方向のバネ定数は、α=βの条件時のみ等しくなるが、物理的にはL<Lの関係、即ちα<βの関係があるため、0度方向と45度方向のばね定数には誤差が出てくる。
図8に、βをパラメータとして、K45/Kとαとの関係を示している。
0度方向と45度方向の固有周期の誤差が5%程度(ばね定数の誤差でみると10%程度)であれば性能的に大きな問題にならないこと、α=1.1程度の場合、この誤差に対するβの影響が少なくなることから、下記初期張力T0を加えることで、ばねの方向性誤差を抑えることが可能である。
Figure 0004707361
以上の点を考慮して、コイルばね37の設計は次のように行う。
まず、免震周期に対応する系全体の0度方向ばね定数Kを設定する。次いで、免震時に許容する片振幅(エリア33の半径)Δを設定する。その後、α、βを決定し、式(4)によりばね単体のばね定数を求める。
本実施形態では、引張長さLを1.1Δとしているので、コイルばね37に付与される初期張力Tは、1.1Δkとなっている。
このため、上部プレート7と下部プレート5との間に生じる相対的な水平運動の運動方向によって変動する各コイルばねを一体としたばね定数の変動幅は略10%以内に抑えることができる。したがって、各コイルばね37の総体的な強さの平方根に逆比例する免震時の固有周期は、上部プレート7と下部プレート5との間に生じる相対的な水平運動の方向によらず略一定の周期にすることができるので、免震装置1は安定した免震性能を得ることができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図9および図10を用いて説明する。
本実施形態では、第一実施形態とは、基本的構成が同じで、減衰作用を行う滑り支承の構成およびこれに伴い摩擦ダンパ11を使用していない点が異なっている。よって、本実施形態においては、第一実施形態と相違する点について説明し、その他の部分については重複した説明を省略する。
なお、第一実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施形態では、滑り支承として、2個の転がり支承9と2個の摩擦支承61とを用いている。2個の転がり支承9は、免震装置1の1本の対角線上に、2個の摩擦支承61は別の対角線上に配置され、これらの滑り支承は免震装置1の平面中心に対して点対象となる位置に設置されている。
摩擦支承61について図10により説明する。
摩擦支承61には、取付板21の下面に取り付けられた直方体形状の取付部材63と、取付部材63の下部中央部に下方に突出するように取り付けられた略円筒形状の本体65と、本体65の下部に取り付けられた摩擦部材67とが備えられている。
摩擦部材67としては、例えば四フッ化エチレン樹脂製の板材が用いられる。なお、摩擦部材は、硬質プラスチックや金属材料で形成し、滑り板6との摺動面に四フッ化エチレン樹脂をコーティングするようにしてもよい。
以上、説明した本実施形態にかかる免震装置1の動作について説明する。
免震装置1の設置、復元部材の動作等については、前述の第一実施形態と同じであるので重複した説明を省略する。
したがって、ここでは主として免震動作について説明する。
地震によって、上部プレート7と下部プレート5に加速度(慣性力)が作用すると、転がり支承9および摩擦支承61で支持され、コイルばね37で長周期化された上部プレート7と下部プレート5の滑り板6との間で相対変位が生じる。この相対変位は、下部プレート5の動きに対し、長周期化した上部プレート7が追随できないために生じるもので、地震動と同じ速い動きの下部プレート5に対して上部プレート7はあたかも止まっているような免震効果が発揮される。
この時、摩擦支承61の移動に伴って、摩擦部材67が滑り板6の上を摺動するので、摩擦部材49と滑り板6との間で摺動摩擦が発生する。
この摩擦によって生じる摩擦力によって、上部プレート7と下部プレート5との間に生じる水平方向の運動は減衰させられ、相対変位を効果的に抑制しながら免震効果を得ることができる。
このように、転がり支承9と摩擦支承61との組合せによって、免震効果を発揮しているので、滑り支承の総合的な静摩擦係数は、転がり支承9のみのものより大きくなるが、摩擦支承61のみのものより小さくなる。このため、摩擦支承のみの場合に比べて加速度の小さい震動でも免震効果を発揮することができる。
なお、免震作用を行う機構として、第一実施形態では転がり支承9と摩擦ダンパ11との組み合わせを、第二実施形態では転がり支承9と摩擦支承61との組み合わせを用いているが、これに限定されるものではなく、種々の形態が用いられる。
例えば、転がり支承9のみを用いてもよい。転がり支承9のみでは震動の減衰効果が十分発揮できないことも考えられるが、その場合には、滑り板6の材質を、例えばゴム系、繊維系、樹脂系の柔軟なシート材とする。あるいは、滑り板6の上表面に、これらの材質のものを塗布または弾性、耐磨耗性および付着性に優れた塗装材を塗布する。
このようにすることにより、転がり支承9が滑り板6の上を転動する際に転がり抵抗が増大する。転がり抵抗が増大すると、震動が効果的に減衰されるので、免震効果を向上できる。
本発明の第一実施形態の免震装置を用いた免震システム示す斜視図である。 本発明の第一実施形態の免震装置の平面構成を示す部分断面図である。 図2のX−X断面図である。 図2の側面図である。 本発明の第一実施形態の摩擦ダンパを示す縦断面図である。 本発明の第一実施形態の転がり支承を示す縦断面図である。 本発明の第一実施形態のコイルばねの機能を説明するグラフである。 本発明の第一実施形態のコイルばねのばね乗数の方向性を示すグラフである。 本発明の第二実施形態の免震装置の平面構成を示す部分断面図である。 本発明の第二実施形態の摩擦支承を示す部分断面図である。
符号の説明
1 免震装置
5 下部プレート
7 上部プレート
9 転がり支承
11 摩擦ダンパ
37 コイルばね
61 摩擦支承

Claims (6)

  1. 下部プレートの上方に間隔を空けて設けられた上部プレートと、
    該上部プレートおよび前記下部プレートのいずれか一方に取り付けられ、他方に向けて突出して設けられた複数の滑り支承と、
    前記下部プレートと前記上部プレートとの間に取り付けられ、それぞれ直交する方向に延在するとともに前記下部プレートおよび前記上部プレートの面内に配置された少なくとも4本のコイルばねと、を備え、
    コイルばねは、前記各滑り支承の許容滑り距離の半分以上の長さに相当する初期張力が付与されていることを特徴とする免震装置。
  2. 前記コイルばねに付与する前記初期張力Tは、前記許容滑り距離の半分をΔ、前記各コイルばねのばね定数をkとした時、1.1Δk以上であることを特徴とする請求項1に記載された免震装置。
  3. 前記滑り支承は、転がり支承とし、
    前記上部プレートと前記下部プレートとの間に減衰力を付与する摩擦ダンパを設けたことを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載された免震装置。
  4. 前記滑り支承は、転がり支承と摩擦支承との組み合わせで構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された免震装置。
  5. 前記滑り支承は、転がり支承とし、
    該転がり支承が転動する前記上部プレートあるいは前記下部プレートの表面に転がり摩擦増強部材が設けられたことを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載された免震装置。
  6. 前記転がり摩擦増強部材が、許容転がり範囲の境界付近に設けられたことを特徴とする請求項5に記載された免震装置。
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