JP4707345B2 - 配線の修正方法 - Google Patents

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Description

本発明は、配線の修正方法、配線方法および電子素子に関するものである。
液晶表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、有機EL(Electro-luminescence)ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイは電極、MIM(Metal-Insulator-Metal)素子やTFT(薄膜トランジスタ:Thin Film Transistor)等の能動素子、あるいは発光素子など薄膜層をパターニングして構成される部位を具備している。
特に、近年その一部もしくは全部に有機材料を用いた素子が、低コスト化や大面積化容易性等の製造上のメリットや無機材料にない機能発現の可能性から注目されている。例えば特許文献1では、光や熱などの物理的外部刺激によりキャリア移動度が変化する有機半導体材料を用いた電界効果型トランジスタが提案されている。
ところで、薄膜層をパターニングする方法としては、フォトリソグラフィー法が一般に使用される。その工程は以下の通りである。
(1)薄膜層を有する基板上にフォトレジスト層を塗布する(レジスト塗布)。
(2)加熱により溶剤を除去する(プリベーク)。
(3)パターンデータに従ってレーザーあるいは電子線を用いて描画されたハードマスクを通して紫外光を照射する(露光)。
(4)アルカリ溶液で露光部のレジストを除去する(現像)。
(5)加熱により未露光部(パターン部)のレジストを硬化する(ポストベーク)。
(6)エッチング液に浸漬またはエッチングガスに暴露し、レジストのない部分の薄膜層を除去する(エッチング)。
(7)アルカリ溶液または酸素ラジカルでレジストを除去する(レジスト剥離)。
各薄膜層を形成後、上記の工程を繰り返すことによって能動素子が完成するが、高価な設備と工程の長さがコストを上昇させる原因となっている。
また、パターニング後に設計ミスが見つかったり設計変更などが生じたりした場合には、フォトリソグラフィー法でパターニングした薄膜層を修正することは困難であり、マスクを修正して、フォトリソグラフィー工程をやり直すことで修正する必要がある。
これに対して、特許文献2では、収束イオンビーム(FIB)装置を使って配線を修正する方法および装置が提案されている。すなわち特許文献2の技術によれば、エッチングもしくはFIBの照射によって絶縁膜および配線を除去し、フォトリソラフィや配線材料用ガス雰囲気中でFIBを照射することで新たな配線を形成する。最後にFIBによって絶縁膜を形成して配線の修正を完了する。この方法では、配線の修正のためにFIB装置が必要であり、配線修正コストが増大するという問題がある。
また、特許文献3では、あらかじめ補修用配線ブロックを作りこんでおき、回路の修正が必要な場合には補修用配線ブロックを使うことで少ないフォトリソグラフィー工程で修正できる半導体集積回路を提案している。特許文献3の技術について、図1(a)に示すような配線を(b)に示す回路に修正する場合で説明する。修正前の回路では標準セル201と標準セル202とが接続されており、修正後は標準セル202と標準セル204とか接続される。ここでいう標準セルとは標準化した設計を有する回路ユニットであり、標準セルを組み合わせることでさまざまな電気回路を構成することができる。符号220は第一の配線層の配線、210、211は第二の配線層の配線、230、231は第一の配線層と第二の配線層との間のビアである。また符号1は補修用配線ブロックであり、第一の配線層の配線10と、第二の配線層の配線31〜34と、ビア21〜24とから構成されている。補修用配線ブロック1は修正前の配線を形成するときに同時に形成しておく。補修は次の手順で行なわれる。まず、配線211の形状を212に変更する、次に符号213および214で示す配線を新たに形成する。配線31、33は除去し、第二の配線その配線214の上端を標準セル204に接続し、第二の配線層の配線213の下端を標準セル202に接続して修正が完了する。以上のように、あらかじめ補修用配線ブロックが形成されているため、回路の修正は少ないフォトリソグラフィー工程で完了するが、フォトリソグラフィーに先立って、マスクの修正が必要であり、また、修正のためには最低1回はフォトリソグラフィー工程を実施しなければならないため、コストが高くなるという問題がある。
近年、製造コストを低減するために印刷法によるパターン形成が試みられている。特許文献4ではTFTを構成する薄膜層のパターニング工程の一部を、フォトリソグラフィー法の代わりに例えば凹版オフセット印刷法で行う方法が開示されている(図18(a)〜(c))。図18(a)〜(b)に示すように、凹部にレジスト2が入った印刷版1の上を転写体3が回転することによってレジスト2を転写体3に転写し、これを図18(c)に示すように被転写層(薄膜層)5が形成された基板4上に印刷することによって被転写層(薄膜層)5上にレジストパターンが形成される。
上記オフセット印刷法では極めて高精度なものを用いてもパターン寸法精度及び位置合わせ精度を合わせたパターン誤差は±10μmで、汎用的なものでは±50μmにも及ぶため、微細なパターン形成には適さない。
非特許文献1ではナノパーティクルインクを使ったインクジェット法で幅50μm、ピッチ400μm程度の金属配線を形成する方法が記載されている。
プリンタに使用されるレベルの通常のインクジェットヘッドを用いた場合、解像度30μm、位置合わせ精度±15μm程度であるため、やはり微細なパターン形成は困難である。
非特許文献2では、図19に示すように、全ての層が有機材料で構成されるTFTの電極層(符号20はゲート電極層、21はソース電極層、22はドレイン電極層)をインクジェット法でパターン形成する方法が記載されている。ここでは疎水性の材料(ポリイミド)からなるリブ23をガラス基板24上に設けて、電極間ギャップ(チャネル長)5〜10μmのソース・ドレイン電極層21、22を形成している。なお、符号25は半導体層、26はポリマー絶縁体層である。
この方法は表面エネルギーを制御することによってインクに対する濡れ性をコントロールして、インクジェット法の解像度を超えたパターン形成を可能にしている点で優れているが、ポリイミドからなるリブを作製するために以下のような長い工程を必要とするためインクジェット法の利点を損なっている。
(1)ポリイミドプリカーサーを塗布し焼成する(ポリイミド膜形成)。
(2)フォトレジスト層を塗布する(レジスト塗布)。
(3)加熱により溶剤を除去する(プリベーク)。
(4)マスクを通して紫外光を照射する(露光)。
(5)アルカリ溶液で露光部のレジストを除去する(現像)。
(6)加熱により未露光部(パターン部)のレジストを硬化する(ポストベーク)。
(7)酸素プラズマによりレジストのない部分のポリイミド膜を除去する(エッチング)
(8)溶剤でレジストを除去する(レジスト剥離)。
特許文献5では、図20に示すように、基板11上の有機分子膜12を用いて紫外線等によりその一部を分解、除去することにより親液部11aと撥液部11bとからなるパターンを形成し(図20a)、導電性微粒子を含有した液体14を親液部に選択的に塗布した後、熱処理することによって導電膜パターンを形成する方法が開示されている(図20b)。
この方法によれば有機分子膜にフォトマスクを介して紫外光を照射するだけで親液部と撥液部とからなるパターンを形成することができるため大幅に工程を短縮することができる。
しかしながら、有機分子膜が非常に薄いこと、親液部においてはこの膜が存在せず基板が露出していることなどから有機分子膜は表面エネルギー制御以外のバルク体としての機能は有しておらず、機能性が低かった。
特開平7−86600号公報 国際公開第00/65644号パンフレット 特開2001−7289号公報 特開2002−268585号公報 特開2002−164635号公報 SOCIETY FOR INFORMATION DISPLAY 2002 INTERNATIONAL SYMPOSIUM DIGEST OF TECHNICAL PAPER・VolumeXXXIII,p.753〜755 SOCIETY FOR INFORMATION DISPLAY 2002 INTERNATIONAL SYMPOSIUM DIGEST OF TECHNICAL PAPER・VolumeXXXIII,p.1017〜1019、Sience 290,p.2123〜2126(2000)
ところで本発明者らは、印刷法のような低コストかつ材料使用効率の高い方法が適用でき、簡便に微細なパターンの形成が可能であって、かつパターン形成以外に高付加価値機能を有する積層構造体及びその製造方法、それを用いて形成された作製が容易でかつ高性能な電子素子並びに表示装置を提案している(特願2004−124292号)。すなわち、エネルギーの付与によって臨界表面張力が変化する材料からなる層の一部分に紫外線等のエネルギービームを照射し、濡れ性の異なる部位を設けることにより、その上に導電性材料を含有する液体を付与することで導電膜層を選択的に形成することが可能であること、及びこの材料のエネルギービーム未照射部(すなわち低表面エネルギー部)は半導体材料、特に有機半導体材料と良好な界面を形成することができることを見出すとともに、この積層構造体を用いることにより、製造プロセスが簡便であってかつ性能が高い電子素子を提供できることを見出した。しかし、一旦形成した積層構造体を修正することは困難であった。
本発明は、上記問題点を解決し、一旦形成された配線を簡便な方法で、低コストで、かつ高い信頼性で修正可能な、配線の修正方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、エネルギーを付与したことで臨界表面張力が変化した濡れ性変化層を加熱することで、その臨界表面張力を成膜直後の低表面エネルギーの状態に初期化でき、さらにこの初期化された表面は、成膜直後と同様にエネルギーの付与によって臨界表面張力が変化することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、基板上に濡れ性変化層を形成する工程と、前記濡れ性変化層に紫外線を照射することで、低表面エネルギー部と高表面エネルギー部とを形成する工程と、前記濡れ性変化層の高表面エネルギー部に導電層を形成する工程と、前記濡れ性変化層の高表面エネルギー部に形成された導電層のうち不要な部分を除去する工程と、当該除去された導電層が形成されていた前記濡れ性変化層の高表面エネルギー部を加熱して新たな低表面エネルギー部を形成する工程と、当該新たな低表面エネルギー部に、新たな配線パターンに従って紫外線を照射し、新たな高表面エネルギー部を形成する工程と、当該新たな高表面エネルギー部に導電層を形成する工程とを有することを特徴とする配線の修正方法である。この構成によれば、一旦形成された配線を簡便な方法で、低コストで、かつ高い信頼性で修正可能となる。
また本発明は、前記導電層のうち不要な部分を除去する工程が、溶剤によるふき取りであることを特徴とする上記記載の配線の修正方法である。この構成によれば、導電層を除去するときに濡れ性変化層を傷つけずに導電層のみを除去することが可能である。
さらにまた本発明は、前記導電層のうち不要な部分を除去する工程が、除去が微小な粒子を気流によって吹き付ける方法であることを特徴とする上記記載の配線の修正方法である。この構成によれば、微小な領域を簡単に修正することができる。
そしてまた本発明は、前記導電層のうち不要な部分を除去する工程が、研削であることを特徴とする上記記載の配線の修正方法である。この構成によれば、修正する配線の除去と同時に加熱を行なうので、工程を簡素にできる。
そして本発明は、前記濡れ性変化層の高表面エネルギー部に導電層を形成する工程および/または前記新たな高表面エネルギー部に導電層を形成する工程は、導電性材料を含有する液体を前記濡れ性変化層の表面に付与する方法が、インクジェット法であることを特徴とする上記のいずれかに記載の配線の修正方法である。この構成によれば、低コストで簡便に電子素子や半導体素子を形成することができる。
本発明によれば、一旦形成された配線を簡便な方法で、低コストで、かつ高い信頼性で修正可能となる配線の修正方法が提供される。
以下、本発明をさらに説明する。
図2は、本発明の修正方法が適用される配線の形成方法を説明するための図である。図2に示すように、ガラスやポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン等のプラスチック、シリコンウェハ、金属等からなる基板301の上に濡れ性変化層305が形成されている(a)。濡れ性変化層305は熱、紫外線、電子線、プラズマ等のエネルギーの付与によって臨界表面張力が増加し、低表面エネルギー(疎液性)から高表面エネルギー(親液性)へ変化する材料からなる。このような構造を有するポリマーまたはその前駆体を有機溶媒等に溶解または分散した溶液をスピンコート法、ディップコート法、ワイヤーバーコート法、キャスト法等で基板301上に塗布、成膜することにより、濡れ性変化層305が形成されている。
次に濡れ性変化層305にエネルギーを付与する。(b)では一例として濡れ性変化層305表面にマスク306を通して紫外線を照射している。これにより低表面エネルギー部と高表面エネルギー部からなるパターンが形成される。
次に上記パターンが形成された濡れ性変化層305の上に金属微粒子を分散した液体や、導電性有機材料を含有する液体が例えばインクジェット法によって供給されることで、高表面エネルギー部のみに導電層303が形成される(c)。
以上のような工程により基板上に導電層が形成された基板の配線パターンに修正が生じた場合の修正方法について図3に基づいて説明する。修正前の基板では(a)のように回路ユニット310および回路ユニット311が導電層312で結合されている。この配線を修正して(b)のように回路ユニット310と回路ユニット313とを結合するとき、まず、導電層312を後述の方法によって除去する。次に濡れ性変化層305の少なくとも導電層312が形成されていた部分を加熱することにより、導電層312が形成されていた高表面エネルギー部を低表面エネルギー部にする。次に修正後の新たな配線パターンにしたがって濡れ性変化層305にエネルギーを付与して高表面エネルギー部を形成した後、インクジェット法などによって高表面エネルギー部に導電性材料を含有する液体を付与することで修正後の導電層314を形成して配線の修正を完了する。
修正前の導電層312を除去した後、少なくとも導電層312が形成されていた部分を加熱することで導電層312が形成されていた高表面エネルギー部を低表面エネルギー部にしているが、この工程を行なわずに修正後の新たな配線パターンにしたがって濡れ性変化層305にエネルギーを付与して高表面エネルギー部を形成した場合、濡れ性変化層305表面には複数の高表面エネルギー部が形成されるため、導電性材料を含有する液体を付与した場合に、修正前のパターンに液体が広がっていってしまう場合があるため好ましくない。
なお、図3では回路ユニット間の配線の修正で説明をしたが、回路ユニット内の配線など基板上の配線の修正に対しても同様に適用できる。例えば配線層上に半導体層を設けた半導体素子の配線層に対して適用することも可能であるし、半導体素子の電極部分を除去して新たに電極層を形成することで電極部分を修正し、その上に半導体層を形成することで半導体素子そのものを修正することも可能である。
不要な導電層の除去方法としては、成膜した導電層を溶解する溶剤でふき取って除去する方法が挙げられる。例えば、導電層としてPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)にPSS(ポリスチレンスルホン酸)をドープした材料や、PANI(ポリアニリン)といった水分散性の導電性高分子材料を用いた場合、成膜した導電層は水に対して溶解するので、水を主成分とした液体を布、スポンジ、その他の吸水性材料に付与してふき取ることで、成膜した導電層を除去することが可能である。この方法を使って導電層を除去する場合には、濡れ性変化層を傷つけずに導電層のみを除去することが可能である。
また、その他の除去方法として、成膜した導電層に対して、微小な粒子を気流によって吹き付けることで除去する方法が挙げられる。微小な粒子(以下、砥粒と記す)は成膜した導電層を形成する材料よりも硬いことが必要である。例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)、酸化ケイ素(SiO2)、炭化ホウ素(B4C)、酸化鉄(Fe2O3)、ダイヤモンドなどをあげることができる。気流のノズルを絞ることで微小な範囲のみに砥粒を当てることができるため、この方法を使って導電層を除去する場合には、配線の細かい修正をすることが可能となる。また、気流の温度を高くすることで、少なくとも導電層を除去した部分に形成されている高表面エネルギー部を加熱する工程を同時に実施することが可能であり、工程の簡素化を行なうことができる。
さらに他の除去方法として、研削による除去方法をあげることができる。ここでいう研削とは次のような方法をあらわす。すなわち、除去すべき導電層に砥粒を散布し、布、スポンジ、樹脂、金属などで機械的にこすることによって導電層を除去する。あるいは、砥粒を付着させた布、スポンジ、樹脂、金属などで研磨してもよい。この方法によって導電層を除去する場合、摩擦によって研磨部が発熱するため、少なくとも導電層を除去した部分に形成されている高表面エネルギー部を加熱する工程を同時に実施することが可能であり、工程の簡素化を行なうことができる。
濡れ性変化層305は、前述したように、熱、紫外線、電子線、プラズマ等のエネルギーを与えることによって、臨界表面張力が変化する材料からなる層で、エネルギー付与前後での臨界表面張力の変化量が大きいものが好ましい。このような材料の場合、濡れ性変化層305の一部分にエネルギーを付与し、高表面エネルギー部と低表面エネルギー部とからなる臨界表面張力の異なるパターンを形成することにより、導電性材料を含有する液体が、高表面エネルギー部には付着しやすく(親液性)、低表面エネルギー部には付着しにくく(疎液性)なるため、パターン形状に従って導電性材料を含有する液体が親液性である高表面エネルギー部に選択的に付着し、それを固化することにより導電層303が形成される。
ここで、固体表面に対する液体の濡れ性(付着性)について付言する。図4は固体315表面上で液滴316が接触角θで平衡状態にある時の模式図で、ヤングの式(1)が成立する。
γS=γSL+γLcosθ …………(1)
ここで、γSは固体315の表面張力、γSLは固体315と液体(液滴316)の界面張力、γLは液体(液滴316)の表面張力である。
表面張力は表面エネルギーと実質的に同義であり、全く同じ値となる。cosθ=1の時、θ=0°となり、液体(液滴316)は完全に濡れる。この時のγLの値はγS−γSLとなり、これをその固体315の臨界表面張力γCと呼ぶ。γCは表面張力の判っている何種類かの液体を用いて、液体(液滴316)の表面張力と接触角の関係をプロットし、θ=0°(cosθ=1)となる表面張力を求めることにより容易に決定できる(Zismanプロット)。γCの大きい固体315表面には液体(液滴316)が濡れやすく(親液性)、γCの小さい固体315表面には液体(液滴316)が濡れにくい(疎液性)。
ここに、接触角θの測定は液滴法で行うのが簡便である。液滴法には、
(a) 読取顕微鏡を液滴316に向け、顕微鏡内のカーソル線を液滴316の接点に合わせて角度を読取る接線法、
(b) 十字のカーソルを液滴316の頂点に合わせ、一端を液滴316と固体315試料の接する点に合わせた時のカーソル線の角度を2倍することにより求めるθ/2法、
(c) モニター画面に液滴316を映し出し、円周上の1点(できれば頂点)と液滴316と固体315試料との接点(2点)をクリックしてコンピュータで処理する3点クリック法、
がある。(a)→(b)→(c)の順に精度が高くなる。
図5は、長鎖アルキル基を有するポリイミドを濡れ性変化層305に用い、紫外線未照射部と紫外線照射部とのZismanプロットを行ったものである。図から紫外線未照射部の臨界表面張力γCは約24mN/m、紫外線照射部の臨界表面張力γC′は約45mN/mであり、その差ΔγCは約21mN/mであることが判る。
高表面エネルギー部と低表面エネルギー部とのパターン形状に従って導電性材料を含有する液体が親液性である高表面エネルギー部にのみ確実に付着するためには、表面エネルギー差が大きいこと、言い換えれば、臨界表面張力の差ΔγCが大きいことが必要である。
表1はガラス基板上に種々の材料からなる濡れ性変化層305を形成し、エネルギー付与部と未付与部とのΔγC並びにポリアニリン(水溶液系導電性高分子)の選択付着性を評価したものである。選択付着性はエネルギー付与部と未付与部とからなるパターンの境界を含むエリアにポリアニリン水溶液を滴下し、余分の溶液を除去した後に未付与部に対するポリアニリンの付着(パターン不良)の有無を観察した。
表1より濡れ性変化層305の、低表面エネルギー部の臨界表面張力と高表面エネルギー部の臨界表面張力との差(ΔγC)は10mN/m以上であることが望ましく、15mN/m以上であることがさらに望ましいことが判る。
Figure 0004707345
濡れ性変化層を層間絶縁膜として使って多層配線している場合も、同様に修正することが可能である。すなわち、配線除去と同様の方法で層間絶縁膜の濡れ性変化層を除去し、配線を修正する。その後、濡れ性変化層を除去した部分に濡れ性変化層材料を付与して成膜し、層間絶縁膜を形成する。一例を図17に示す。(a)には修正前の配線を示してある。(b)に示すように修正する部分の層間絶縁膜501を除去し、(c)に示すように1層目の配線502を修正した後、(d)のように層間絶縁膜を除去した部分に濡れ性変化層材料を付与して層間絶縁膜を再生し、その後図示していない2層目の配線層を修正する。
ところで、図6に示すように、基板301上に電極317Cを設け、その上に濡れ性変化層305を形成して既述した濡れ性制御を用いる方法で電極317Aおよび317Bを形成し、最後に電極317Aおよび317B上に半導体層318を形成すると、トランジスタ(TFT)を構成することができる。すなわち、電極317Cはゲート電極、電極317Aおよび電極317Bはソースおよびドレイン電極、濡れ性制御層305はゲート絶縁膜として機能する。また電極317Aおよび電極317B間のギャップはチャネル長に対応する。
本実施の形態では半導体層318は濡れ性変化層305の低表面エネルギー部に接するため、その部位の物性が半導体層318の特性に影響を与えると考えられる。図7は図6の構造のTFTを濡れ性変化層(ゲート絶縁膜)305の材料を変えて作製し、その移動度を濡れ性変化層305(エネルギー未付与)の臨界表面張力γCに対してプロットしたものである。図7中、Aは長鎖アルキル基を含むポリイミド、Bはポリビニルフェノール、Cは有機シリカ、DはSiの熱酸化膜、Eはポリイミド、FはSiO(スパッタ膜)である。ただし、ソース電極317Aとドレイン電極317BとはAu蒸着膜をリフトオフすることにより形成した。図7より移動度はγCが40mN/mを超えると急激に減少することが判る。この結果からTFTを構成する場合には濡れ性変化層の、低表面エネルギー部の臨界表面張力(γC)は40mN/m以下であることが望ましい。
なお、臨界表面張力(γC)が20mN/mより小さいと、ほとんどの溶媒をはじいてしまうため、半導体層318を塗布によって形成する場合には、臨界表面張力(γC)は20mN/m以上であることが望ましい。
濡れ性変化層は、単一の材料からなっていても良いし、2種類以上の材料から構成されていても良い。2種類以上の材料から構成する場合には、具体的には、電気絶縁性のより大きな材料に濡れ性変化のより大きな材料を混合することにより、電気絶縁性に優れ且つ濡れ性変化にも優れた濡れ性変化層を提供することが可能となる。
また濡れ性変化は大きいが成膜性に問題がある材料を用いることが可能となるため選択できる材料が多くなる。具体的には、一方の材料の濡れ性変化はより大きいが凝集力が強いため成膜することが困難な材料である場合に、この材料を成膜性の良いもう一方の材料と混合することで、上記濡れ性変化層を容易に作製することが可能となる。
本発明の濡れ性変化層の断面模式図を図8に示す。例えば、濡れ性変化層305は、第二の材料402よりも電気絶縁性に優れた第一の材料401から構成される層上に、第一の材料よりも濡れ性変化に優れた第二の材料からなる層が明確に分離され積層された構造となっている。なお膜厚方向の矢印の向かう方向が濡れ性変化層305の表面方向である。
このような構造は、第一の材料からなる層を作製した後に第二の材料からなる層を順次積層して作製することが可能である。作製方法としては、真空蒸着などの真空プロセスを用いることも可能であるし、溶剤を用いた塗布プロセスを使用することも可能である。
また、第一の材料と第二の材料を混合した溶液を基板に塗布、乾燥することにより、作製することも可能である。これは第二の材料の極性が相対的に小さい場合、相対的に分子量の小さい場合などでは、乾燥時に溶媒が蒸発するまでの間に第二の材料が表面側に移行し層を形成する。なお塗布プロセスを用いた場合は、図9の断面模式図に示されるように、第一の材料401からなる層と第二の材料402からなる層は、界面によって明確に分離されない場合が多い。
本発明において、相対的に電気絶縁性に優れた第一の材料と相対的に濡れ性変化の大きい第二の材料の組成割合である第一/第二は、重量比で50/50〜99/1である。第二の材料の重量比が増加するにつれ濡れ性変化層の電気絶縁性が低くなり絶縁層としては不向きとなる。一方で第一の材料の重量比が増すと濡れ性変化が小さくなるため、導電層のパターニングが良好でなくなる。それゆえ両者の混合比は望ましくは60/40〜95/5、更に望ましくは70/30〜90/10である。
なお図8の断面模式図に示すように、第一の材料401からなる層と第二の材料402からなる層は界面によって明確に分離されていなくてもよい。また図9あるいは図10に示されるように、膜厚方向に対して所定の濃度分布で前記第一及び第二の材料401,402が混在していてもよい。2種類以上の材料から濡れ性変化層が構成されている場合は、2層以上の積層構造からなっていても構わないし、層構造を持たずに膜厚方向に対して所定の濃度分布で材料が混在していてもよい。
濡れ性変化層305には側鎖に疎水性基を有する高分子材料を用いるのが望ましい。具体的には、図11の概念図に示すように、ポリイミドや(メタ)アクリレート等の骨格を有する主鎖Lに直接或いは結合基(図示せず)を介して疎水性基を有する側鎖Rが結合しているものを挙げることができる。
疎水性基としては、末端構造が−CF2CH3、−CF2CF3、−CF(CF3)2、−C(CF3)3、−CF2H、−CFH2等である基が挙げられる。分子鎖同士を配向しやすくするためには炭素鎖長の長い基が好ましく、炭素数4以上のものがより好ましい。さらには、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換されたポリフルオロアルキル基(以下、「Rf基」と記す。)が好ましく、特に炭素数4〜20のRf基が好ましく、とりわけ、炭素数6〜12のRf基が好ましい。Rf基は直鎖構造であっても分岐構造であってもよいが、直鎖構造の方が好ましい。さらに、疎水性基は、アルキル基の水素原子の実質的に全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基が好ましい。パーフルオロアルキル基はCn2n+1−(ただし、nは4〜16の整数)で表わされる基が好ましく、特に、nが6〜12の整数である場合の該基が好ましい。パーフルオロアルキル基は直鎖構造であっても分岐構造であってもよく、直鎖構造が好ましい。
上記材料については特許第2796575号公報等に詳しく記載されて周知であり、加熱状態で液体又は固体と接触させたときに親液性となり、空気中で加熱すると疎液性となる性質を有する。即ち、(接触媒体の選択と)熱エネルギーの付与によって臨界表面張力を変化させることができる。
さらに、疎水性基としては、フッ素原子を含まない−CH2CH3、−CH(CH3)2、−C(CH3)3等の末端構造を有する基を挙げることができる。この場合にも、分子鎖同士を配向しやすくするためには炭素鎖長の長い基が好ましく、炭素数4以上のものがより好ましい。疎水性基は直鎖構造であっても分岐構造であってもよいが、直鎖構造の方が好ましい。上記アルキル基はハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基又は炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基やアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有していてもよい。Rの結合部位が多いほど表面エネルギーが低く(臨界表面張力が小さく)、疎液性となると考えられる。紫外線照射等によって、結合の一部が切断される、或いは、配向状態が変化するために臨界表面張力が増加し、親液性になるものと推察される。
濡れ性変化層上に半導体層を形成することを考慮すると、側鎖に疎水性基を有する高分子材料は、ポリイミドを含むことが望ましい。ポリイミドは耐溶剤性ならびに耐熱性に優れているため、濡れ性変化層上に半導体層を形成する際に、溶媒や焼成による温度変化によって、膨潤したりクラックが入るといったことがない。
また、濡れ性変化層を2種類以上の材料から構成する場合においては、耐熱性、耐溶剤性、親和性を考慮すると、側鎖に疎水性基を有する高分子材料以外の材料もポリイミドからなることが望ましい。
本発明で用いられる側鎖に疎水性基を有するポリイミドの疎水性基は、例えば以下の式(1)から(5)で示される化学式の何れかを持つことができる。
Figure 0004707345
式(1)において、Xは−CH2−または−CH2CH2−であり、A1は1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは1〜4個のフッ素で置換された1,4−フェニレンであり、A2、A3およびA4はそれぞれ独立して単結合、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは1〜4個のフッ素で置換された1,4−フェニレンであり、B1、B2、B3はそれぞれ独立して単結合または−CH2CH2−であり、B4は炭素数1〜10までのアルキレンであり、R3、R4、R5、R6、およびR7はそれぞれ独立して炭素数が1〜10までのアルキルであり、pは1以上の整数である。
Figure 0004707345
式(2)において、T、UおよびVはそれぞれ独立してベンゼン環またはシクロヘキサン環であり、これらの環上の任意のHは炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のフッ素置換アルキル、F、ClまたはCNで置換されていてもよく、mおよびnはそれぞれ独立して0〜2の整数であり、hは0〜5の整数であり、RはH、F、Cl、CNまたは1価の有機基であり、mが2の場合の2個のUまたはnが2の場合の2個のVはそれぞれ同じでも異なっていても良い。
Figure 0004707345
式(3)において、連結基ZはCH、CFH、CF、CHCHまたはCFOであり、環Yは1,4−シクロへキシレンまたは1〜4個のHがFまたはCHで置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり、A〜Aはそれぞれ独立して単結合、1,4−シクロへキシレンまたは1〜4個のHがFまたはCHで置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり、B〜Bはそれぞれ独立して単結合、炭素数1〜4のアルキレン、酸素原子、炭素数1〜3のオキシアルキレンまたは炭素数1〜3のアルキレンオキシであり、RはH、任意のCHがCFで置き換えられてもよい炭素数1〜10のアルキル、または1個のCHがCFで置き換えられてもよい炭素数1〜9のアルコキシもしくはアルコキシアルキルであり、ベンゼン環に対するアミノ基の結合位置は任意の位置である。但し、ZがCHである場合には、B〜Bのすべてが同時に炭素数1〜4のアルキレンであることはなく、ZがCHCHであって、環Yが1,4−フェニレンである場合には、AおよびAがともに単結合であることはなく、またZがCFOである場合には、環Yが1,4−シクロへキシレンであることはない。
Figure 0004707345
式(4)において、R2は水素原子または炭素数1〜12のアルキル基であり、Z1はCH2基であり、mは0〜2であり、環Aはベンゼン環またはシクロヘキサン環であり、lは0または1であり、各Y1は独立に酸素原子またはCH2基であり、各n1は独立に0または1である。
Figure 0004707345
式(5)において、各Y2は独立に酸素原子またはCH2基であり、R3、R4は独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基またはパーフルオロアルキル基であり、少なくとも一方は炭素数3以上のアルキル基、またはパーフルオロアルキル基であり、各n2は独立に0または1である。
これらの材料についての詳細は、特開2002−162630号、特開2003−96034号、特開2003−267982号公報等に詳しく記載されている。またこれら疎水性基の主鎖骨格を構成するテトラカルボン酸二無水物については、脂肪族系、脂環式、芳香族系など種々の材料を用いることが可能である。具体的には、ピロメリット酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物などである。この他特開平11−193345号、特開平11−193346号、特開平11−193347号公報等に詳しく記載されている材料についても用いることが可能である。
上述したように、上記(1)〜(5)の疎水性基を含むポリイミドは単独で用いても良いし、他の材料と混合し用いても良い。ただし、混合して用いる場合は、耐熱性、耐溶剤性、親和性を考慮すると、混合する材料もポリイミドであることが望ましい。
また上記(1)〜(5)で示されない疎水性基を含むポリイミドを用いることもできる。
疎水性基を有する側鎖Rが表面に配列している他の効果として、それに接している半導体層318との界面特性を良好なものとすることができる。半導体層318が有機半導体からなる場合、その効果がより顕著である。界面特性が良好であるとは、(1)半導体が結晶質である場合には結晶粒が大きくなり、移動度が増大する、(2)半導体が非晶質(高分子)である場合には、界面準位密度が減少し、移動度が増大する、(3)半導体が高分子であり、長鎖アルキル基等の側鎖を有する場合には、その配向が規制されることによりπ共役主鎖の分子軸を概ね一方向に配列させることができ、移動度が増大する、等の現象が出現することを指す。
本実施の形態における濡れ性変化層305の厚さは30nm〜3μmが好ましく、50nm〜1μmがさらに好ましい。これより薄い場合にはバルク体としての特性(絶縁性、ガスバリア性、防湿性等)が損なわれ、これより厚い場合には表面形状が悪化するため好ましくない。
半導体層318としては、CdSe,CdTe,Si等の無機半導体やペンタセン、アントラセン、テトラセン、フタロシアニン等の有機低分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体等のポリフェニレン系導電性高分子、ポリピロール及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリフラン及びその誘導体等の複素環系導電性高分子、ポリアニリン及びその誘導体等のイオン性導電性高分子等の有機半導体を用いることができるが、上述のように有機半導体を用いた場合に、濡れ性変化層による特性向上の効果がより顕著に現れる。
また、濡れ性変化層305の一部にエネルギーを付与する方法として、(1)大気中で操作できる、(2)高い解像度が得られる、(3)層内部へのダメージが少ない等の点から紫外線照射を用いるのが好ましい。
導電性材料を含有する液体を濡れ性変化層305表面に付与する方法として、スピンコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法等の各種塗布法を用いることができるが、濡れ性変化層の表面エネルギーの影響を受けやすくするためには、より小さな液滴を供給できるインクジェット法が特に好ましい。プリンタに使用されるレベルの通常のヘッドを用いた場合、インクジェット法の解像度は30μm、位置合わせ精度は±15μm程度であるが、濡れ性変化層305における表面エネルギーの差を利用することにより、それよりも微細なパターンを形成することが可能となる。
また本発明は、前記の配線の修正方法で修正したことを特徴とする電子素子を提供する。このような電子素子は、さらなる配線の修正が必要な場合でも、低コストで配線の修正を行うことができる。
実施例1
図6に示したような構造の電子素子(TFT)を図12に示すように基板上に複数個作製し、ソースおよびドレイン電極取り出しパッド319および320には第一の素子Aのみを接続した。
まず、ガラス基板301上に膜厚60nmのAlを真空蒸着し、フォトリソエッチングにより40μmの幅に加工し、ゲート電極317Cを形成した。
次に、ゲート絶縁膜を兼ねる濡れ性変化層305として、焼成後に下記式(1)ならびに(2)で表される構造体となる前駆体を溶解した混合溶液((1)/(2)の質量比=0.05)を、スピンコート法にて塗布し280℃で焼成して成膜した。
Figure 0004707345
このような濡れ性変化層305の特性を評価するために別途以下の実験を行った。
(1) UVランプを用い、250nmの光の強度が5mW/cmとなるように光源と基板との距離を調整し、照射時間を変化させることにより(250nmの波長に対する)照射量を変え、水に対する接触角の変化を観測した。図13は紫外線照射量と水に対する接触角の関係を示したものである。未照射時には接触角が90°を超え疎水性(撥水性)であるが、照射量10J/cm以上では20°程度に低下し親水性に変化している。この変化を誘起するのに有効な光の波長に合わせた光源を用いることによって照射量をさらに小さくすることが可能であると考えられる。
(2) 上記紫外線を9J/cm照射した場合と未照射の場合において、表面エネルギーの異なる数種類の液体の接触角を測定した。図14は液体の表面張力と接触角の関係を示したものである。図14から臨界表面張力は未照射の場合に約24mN/m、紫外線照射した場合に約45mN/mであることが判る。
次に、開口幅が40μm、開口部間のスペースが5μmのパターンを施したマスクを濡れ性変化層305に圧着し、紫外線を9J/cm照射した。
続いて、インクジェット法を用いて、導電性高分子であるPEDOT/PPSの水溶液を濡れ性変化層305上に供給し、乾燥させてソース電極層317Aおよびドレイン電極層317Bを形成した。
最後に、下記化学式(3)に示すようなスキームより合成した有機半導体よりなる重合体1をトルエンに溶解した溶液をスピンコート法にて塗布し、乾燥させて半導体層318を形成した。
Figure 0004707345
この重合体1の製造例について補足説明する。100ml四つ口フラスコに、ジアルデヒド0.852g(2.70mmol)及びジホスホネート1.525g(2.70mmol)を入れ、窒素置換してテトラヒドロフラン75mlを加えた。この溶液にカリウムt−ブトキシドの1.0moldm−3テトラヒドロフラン溶液6.75ml(6.75mmol)を滴下し、室温で2時間撹拌した後、ベンジルホスホネート及びベンズアルデヒドを順次加え、さらに2時間撹拌した。酢酸およそ1mlを加えて反応を終了し、溶液を水洗した。溶媒を減圧留去した後、テトラヒドロフラン及びメタノールを用いて再沈殿による精製を行い、重合体1.07gを得た。収率73%(7.93%)、N;2.33%(2.45%)。
示差走査熱量測定から求めたガラス転移温度は117℃であった。GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は8500、重量平均分子量は20000であった。
以上のように作製したTFTは通常どおり動作し、移動度2.5×10-3cm2/Vs、ON/OFF比1350であった。次に水を含浸させたスポンジで図15に示す配線部321および322をこすることで配線部を形成していたPEDOT/PSSを除去した。次に基板全体を280℃に加熱することで配線部の高表面エネルギー部を低表面エネルギー状態にした。次に位置あわせしたフォトマスクを介して紫外線を9J/cm2照射することで、電極取り出しパッド319および320と素子Bの電極との間に高表面エネルギー部を形成した。次にインクジェット法を用いて、PEDOT/PPSの水溶液を新たに形成した高表面エネルギー部に供給し、乾燥させて電極取り出しパッド319および320と素子Bのソース、ドレイン電極とを図16に示すように電気的に接続した。TFT特性を測定したところ、素子Aと同等の特性を得ることができた。
以上より、簡便に基板上の配線を修正することができた。
実施例2
実施例1で修正した基板を使い、次のことを実施した。まず、平均粒径1μmのアルミナの粒子を気流によってノズルから噴射させ、素子Bと電極取り出しパッドとの間の配線部に当てることで、配線部を除去した。次に基板全体を280℃で加熱して除去した配線部の高表面エネルギー部を低表面エネルギー状態にした。次に位置あわせしたフォトマスクを介して紫外線を9J/cm2照射することで、電極取り出しパッド319および320と素子Cの電極との間に高表面エネルギー部を形成した。次にインクジェット法を用いて、PEDOT/PPSの水溶液を新たに形成した高表面エネルギー部に供給し、乾燥させて電極取り出しパッド319および320と素子Cのソース、ドレイン電極とを電気的に接続した。TFT特性を測定したところ、素子Bと同等の特性を得ることができた。
以上より、簡便に基板上の配線を修正することができた。
実施例3
実施例2で修正した基板を使い、次のことを実施した。まず、平均粒径1μmのアルミナの粒子を280℃に加熱した気流によってノズルから噴射させ、素子Cと電極取り出しパッドとの間の配線部に当てることで、配線部を除去した。これにより配線部の除去と、除去した配線部の高表面エネルギー部を低表面エネルギー状態にする工程が同時に完了した。次に位置あわせしたフォトマスクを介して紫外線を9J/cm2照射することで、電極取り出しパッド319および320と素子Dの電極との間に高表面エネルギー部を形成した。次にインクジェット法を用いて、PEDOT/PPSの水溶液を新たに形成した高表面エネルギー部に供給し、乾燥させて電極取り出しパッド319および320と素子Dのソース、ドレイン電極とを電気的に接続した。TFT特性を測定したところ、素子Cと同等の特性を得ることができた。
以上より、さらに簡便に基板上の配線を修正することができた。
実施例4
実施例3で修正した基板を使い、次のことを実施した。まず、平均粒径0.5μmのアルミナの粒子をスポンジ表面に接着剤で固定して研削工具を作製した。次にこの研削工具を素子Dと電極取り出しパッドとの間の配線部に当てて毎秒50回のスピードでこすることとで配線部を除去した。摩擦熱によって温度が高くなり、配線部の除去と、除去した配線部の高表面エネルギー部を低表面エネルギー状態にする工程が同時に完了した。次に位置あわせしたフォトマスクを介して紫外線を9J/cm2照射することで、電極取り出しパッド319および320と素子Eの電極との間に高表面エネルギー部を形成した。次にインクジェット法を用いて、PEDOT/PPSの水溶液を新たに形成した高表面エネルギー部に供給し、乾燥させて電極取り出しパッド319および320と素子Eのソース、ドレイン電極とを電気的に接続した。TFT特性を測定したところ、素子Dと同等の特性を得ることができた。
以上より、簡便に基板上の配線を修正することができた。
本発明によれば、一旦形成された配線を簡便な方法で、低コストで、かつ高い信頼性で修正可能な、配線の修正方法、配線方法および電子素子が提供される。
特許文献3における配線の補修方法を説明するための図である。 本発明の修正方法が適用される配線の形成方法を説明するための図である。 本発明の修正方法の1形態を説明するための図である。 固体表面上で液滴が接触角θで平衡状態にある時の模式図である。 長鎖アルキル基を有するポリイミドを濡れ性変化層に用い、紫外線未照射部と紫外線照射部とのZismanプロットを行った図である。 トランジスタ(TFT)を説明するための図である。 図6の構造のTFTを濡れ性変化層(ゲート絶縁膜)の材料を変えて作製し、その移動度を濡れ性変化層(エネルギー未付与)の臨界表面張力γCに対してプロットした図である。 本発明の濡れ性変化層の断面模式図である。 本発明の濡れ性変化層の断面模式図である。 本発明の濡れ性変化層の断面模式図である。 側鎖に疎水性基を有する高分子材料の概念図である。 実施例で用いた半導体素子を説明するための図である。 紫外線照射量と水に対する接触角の関係を示した図である。 液体の表面張力と接触角の関係を示した図である。 実施例で用いた半導体素子を説明するための図である。 実施例で用いた半導体素子を説明するための図である。 多層配線している素子の修正方法を説明するための図である。 特許文献4に開示された凹版オフセット印刷法を説明するための図である。 非特許文献2に開示されたTFTの電極層をインクジェット法でパターン形成する方法を説明するための図である。 特許文献5に開示された導電膜パターンを形成する方法を説明するための図である。
符号の説明
301 基板
303 導電層
305 濡れ性変化層
310,311,313 回路ユニット
312,314 導電層
318 半導体層
317A,317B,317C 電極
319 電極取り出しパッド


Claims (5)

  1. 基板上に濡れ性変化層を形成する工程と、
    前記濡れ性変化層に紫外線を照射することで、低表面エネルギー部と高表面エネルギー部とを形成する工程と、
    前記濡れ性変化層の高表面エネルギー部に導電層を形成する工程と、
    前記濡れ性変化層の高表面エネルギー部に形成された導電層のうち不要な部分を除去する工程と、
    当該除去された導電層が形成されていた前記濡れ性変化層の高表面エネルギー部を加熱して新たな低表面エネルギー部を形成する工程と、
    当該新たな低表面エネルギー部に、新たな配線パターンに従って紫外線を照射し、新たな高表面エネルギー部を形成する工程と、
    当該新たな高表面エネルギー部に導電層を形成する工程とを有することを特徴とする配線の修正方法。
  2. 前記導電層のうち不要な部分を除去する工程が、溶剤によるふき取りであることを特徴とする請求項1に記載の配線の修正方法。
  3. 前記導電層のうち不要な部分を除去する工程が、除去が微小な粒子を気流によって吹き付ける方法であることを特徴とする請求項1に記載の配線の修正方法。
  4. 前記導電層のうち不要な部分を除去する工程が、研削であることを特徴とする請求項1に記載の配線の修正方法。
  5. 前記濡れ性変化層の高表面エネルギー部に導電層を形成する工程および/または前記新たな高表面エネルギー部に導電層を形成する工程は、導電性材料を含有する液体を前記濡れ性変化層の表面に付与する方法が、インクジェット法であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の配線の修正方法。
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