以下、本発明の一実施形態に係るラベル作成装置(点字情報処理装置)について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、ラベル作成装置の閉蓋状態の外観斜視図であり、図2は、その開蓋状態の外観斜視図である。両図に示すように、ラベル作成装置1は、処理テープT(図2参照)に対して墨字印刷を行うと共に、処理テープTから得られたテープ片Ta(図2参照)に対し点字打刻を行う装置本体2と、処理テープTおよびインクリボンRを収容し、装置本体2に着脱自在に装着されるテープカートリッジCとを備えている。
装置本体2は、装置ケース3により外殻が形成され、その内部に広く墨字印刷部62が構成され、装置ケース3の後半部右部に点字打刻部64が構成されている。装置ケース3の前半部上面には、各種キー4を備えたキーボード5が配設されている。装置ケース3の後半部上面には、開閉蓋7が広く設けられ、開閉蓋7の前側にはこれを開放する蓋体開放ボタン8が設けられている。開閉蓋7の表側にはキーボード5からの入力結果等を表示する長方形のディスプレイ9が形成されている。
蓋体開放ボタン8を押して開閉蓋7を開放すると、その内部には、テープカートリッジCが装着されるカートリッジ装着部6が窪入形成されており、カートリッジ装着部6には、テープカートリッジCから繰り出される処理テープTに墨字印刷を行う印刷ヘッド21が配設されている(図2参照)。
装置ケース3の左側部には、カートリッジ装着部6と装置外部とを連通する印刷テープ排出口18が形成され、この印刷テープ排出口18に臨んで装置ケース3には、処理テープTを切断するためのカッタユニット31が内蔵されている。カッタユニット31は、印刷テープ排出口18に臨むように配設されており、モータ駆動(フルカッタモータ32;図4参照)により、処理テープTをハサミ形式で切断するフルカッタ33と、フルカッタ33に対してテープ送り方向下流側に配設され、モータ駆動(ハーフカッタモータ34;図4参照)により、後述する処理テープTの記録テープTrのみを切断する(ハーフカット)ストッパ付きハサミ形式のハーフカッタ35と、を備えている。このハーフカットにより、処理テープTには、後述する打刻アッセンブリ40に挿入する挿入方向先端部に、捨て代部(図示省略)が形成される。
一方、装置ケース3の後半部上面の右部には、点字打刻部64が配設されている。点字打刻部64には、点字打刻部64の主体を為す打刻アッセンブリ40を前後に挟んで、テープ片Taの印刷面を上にして前方から手差し挿入する打刻テープ挿入部(シート挿入部)11、および点字打刻されたテープ片Taが後方に排出される打刻テープ排出部12が形成されている。打刻テープ挿入部11には、その幅を調整可能な手差しガイド13が設けられている。なお、図1における符号15は、打刻アッセンブリ40を覆う打刻部カバーである。
装置ケース3の右側部には、電源供給のための電源供給口16と、図外のパーソナルコンピュータ等の外部装置と接続するための接続口17(インタフェース)が形成される。これにより、接続口17には、外部装置を接続することができ、この外部装置によって生成された文字情報等に基づいて、墨字印刷や点字打刻を行うことができるようになっている。また、両図では省略したが、装置ケース3の内部には、装置本体2を統括制御する制御部60(図4参照)を構成する回路基板が搭載されている。
カートリッジ装着部6には、発熱素子を有しヘッドカバー20に覆われた印刷ヘッド21と、後述するテープリール26の位置決めをする位置決め突起22と、テープカートリッジCの処理テープTおよびインクリボンRを送り、印刷ヘッド21に対峙するプラテン駆動軸(図示省略)、およびインクリボンRを巻き取る巻取り駆動軸(図示省略)とが、突設され、またカートリッジ装着部6の隅部には、複数のマイクロスイッチで構成されたテープ識別センサ23(図4参照)が設けられている。また、カートリッジ装着部6の底板の内側には、プラテン駆動軸および巻取り駆動軸を駆動する印刷送りモータ24(図4参照)や減速ギア列等(図示省略)が内蔵されている。
テープカートリッジCは、カートリッジケース25の内部に、処理テープTを巻回したテープリール26と、右下部にインクリボンRを巻回したリボン繰出しリール27およびリボン巻取りリール30とを収容して構成されている。また、テープリール26の左下部には印刷ヘッド21を覆うヘッドカバー20に差し込むための貫通開口28が形成されている。さらに、処理テープTとインクリボンRとが重なる部分に対応し、上記プラテン駆動軸に嵌合して回転駆動するプラテンローラ29が配置されている。
テープカートリッジCをカートリッジ装着部6に装着すると、ヘッドカバー20に貫通開口28が、位置決め突起22にテープリール26が、巻取り駆動軸にリボン巻取りリール30が、プラテン駆動軸にプラテンローラ29が、それぞれ差し込まれ、この状態で開閉蓋7を閉蓋すると、これに連動して、印刷ヘッド21が処理テープTおよびインクリボンRを挟み込んでプラテンローラ29に当接し、印刷待機状態となる。そして、キーボード5等から入力された文字情報等に対応して制御部60で作成された墨字データに基づき、プラテン駆動軸および巻取り駆動軸が周期回転して、処理テープTおよびインクリボンRを送りながら、印刷ヘッド21により墨字印刷が行われる。これと共に、リボン繰出しリール27から繰り出されたインクリボンRは、貫通開口28の開口壁を周回してリボン巻取りリール30に巻き取られる。墨字印刷後の処理テープTは、ハーフカッタ35により捨て代部(図示省略)が形成されると共に、印刷済み部分がフルカッタ33によりカットされ、カットされたテープ片Taが印刷テープ排出口18から外部に排出される。
処理テープTは、裏面に粘着剤層が塗着されたPET(ポリエチレンテレフタレート)製の記録テープTrと、この粘着剤層により記録テープTrに貼付されたPET製の剥離テープTpとから構成されている。そして、処理テープTは、記録テープTrを外側にし、かつ剥離テープTpを内側にしてロール状に巻回されてカートリッジケース25内に収容されている。処理テープTには、テープ幅が異なる複数種のものが用意されている。カートリッジケースCの裏面には、小さな複数の被検出孔(図示省略)が形成され、上記のテープ識別センサ23によってこの複数の被検出孔が識別され、処理テープTの種別を識別できるようになっている。
図3(a)を参照すると、打刻アッセンブリ40は、打刻テープ挿入部11と打刻テープ排出部12とを直線状に結ぶテープ走行路36に臨んでおり、点字打刻を行うと共にテープ走行路36の幅方向におけるカートリッジ装着部6側半部に寄せて配設した打刻ユニット41(点字打刻手段)と、打刻テープ挿入部11から手差し挿入されたテープ片Taを、打刻テープ排出部12に向かって送るテープ送りユニット42とを備えている。
テープ送りユニット42は、テープ片Taを回転送りする送りローラ44と、送りローラ44を回動自在に軸支するローラ軸支部45と、送りローラ44を回転させる正逆回転可能な打刻送りモータ43(図4参照)と、打刻送りモータ43の動力を送りローラ44に伝える動力伝達機構(図示省略)と、送られてくるテープ片Taの先端を検出する先端検出機構46とを備えている。打刻送りモータ43が駆動すると、これに伴って動力伝達機構を介して送りローラ44が回転しテープ片Taが送られると共に、送られてゆくテープ片Taの先端を先端検出機構46が検出し、これをトリガとして、打刻ユニット41により点字の打刻が開始される。
また、図3(b)を参照すると、打刻ユニット41は、送りローラ44に対しテープ送り方向の上流側に配設され、挿入したテープ片Taの下側に配設した打刻部47と、打刻部47に対向する位置に設けられた打刻受け部51とで構成されている。打刻部47は、点字(6点点字)を構成する6個の打刻凸部のうち縦列3個の打刻凸部に対応して配列された3個の打刻ピン48と、3個の打刻ピン48の打刻動作を進退自在に案内する打刻ガイドブロック49と、駆動源となる3個のソレノイド50と、を有している。打刻受け部51は、3個の打刻ピン48に対応する3個の受け溝52が形成される。テープ送りユニット42により、テープ片Taを送りながら、3個のソレノイド50を駆動源として3本の打刻ピン48を受け溝52に向かって選択的に跳ね上げて打刻動作をさせ、テープ片Taにいわゆる6点点字の打刻凸部を形成する。
次に、図4を参照し、ラベル作成装置1の制御系の構成について説明する。ラベル作成装置1は、キーボード5およびディスプレイ9を有し、ユーザによる文字情報の入力や各種情報の表示等のユーザインタフェースをつかさどる操作部61と、テープカートリッジC、印刷ヘッド21および印刷送りモータ24を有し、処理テープTおよびインクリボンRを送りながら処理テープT上に入力された文字情報に基づく墨字データを印刷する墨字印刷部62と、フルカッタ33、ハーフカッタ35およびこれらを駆動するフルカッタモータ32、ハーフカッタモータ34を有し、印刷済みの処理テープTにフルカット、ハーフカットを行う切断部63と、を備えている。
さらにラベル作成装置1は、ソレノイド50、打刻ピン48および打刻送りモータ43を有し、テープ片Taを搬送しながらテープ片Taに文字情報に基づく点字データを点字打刻する点字打刻部64と、テープ識別センサ23や先端検出機構46等の各種センサを有し、各種検出を行う検出部65と、ディスプレイドライバ66、ヘッドドライバ67、印刷送りモータドライバ68、カッタモータドライバ69、打刻ドライバ70および打刻送りモータドライバ71を有し、各部を駆動する駆動部72と、各部と接続され、ラベル作成装置1全体を制御する制御部60と、により構成されている。
制御部60は、CPU73、ROM74、RAM75および入力制御装置76(IOC:Input Output Controller)を備え、互いに内部バス77により接続されている。ROM74には、入力された情報の仮名漢字変換を行うための仮名漢字変換プログラムや変換候補情報を含む日本語辞書、および後述する区分け情報等が記憶されている。そして、CPU73はROM74内の制御プログラムにしたがって、IOC76を介してラベル作成装置1内の各部から各種信号・データを入力する。また、入力した各種信号・データに基づいて、RAM75内の各種データを処理し、IOC76を介してラベル作成装置1内の各部に各種信号データを出力し、これにより墨字印刷処理や点字打刻処理の制御等を行う。
この制御により、処理テープTに対し様々な処理をすることが可能となる。例えば、処理テープTに墨字印刷をし、切断してテープ片Taを得、点字を打刻して、墨字印刷および点字打刻の両方がなされているテープ片Taを得ることはもちろんのこと、点字打刻をせず、墨字印刷のみを行って、切断し、テープ片Taを得ることもできる。また、墨字印刷をせず、処理テープTを切断してテープ片Taを得、点字打刻のみ行うこともできる。なお、処理後のテープ片Taは、墨字・点字併記ラベル、墨字ラベル、点字ラベルとして、それぞれ貼着対象物に貼着される。
また、ラベル作成装置1では、ディスプレイ9内に、テキスト編集画面等の通常の表示画面の他に、対応するプレビュー表示画面(プレビュー画面、モニタ画面)を表示することができる。このため、プレビュー表示画面を表示することがキー入力等により指示されると、その時点で実際の墨字印刷や点字打刻が行われた場合の、その墨字印刷や点字打刻のイメージ(画像)を、ディスプレイ9に表示(プレビュー表示)する。
ここで、ラベル作成時の操作の例について、キー操作を用いた点字入力指示(例えば点字入力キーの押下)に応じて、点字情報を作成する例について、具体的に詳述する。
なお、ここでは、主に、墨字用の文字列(墨字列)の墨字情報(墨字データ等)の入力に基づいて、入力された墨字列を点字変換(点訳)して点字情報(点字データ等)を作成する「墨字点訳」の場合の操作について説明する。
まず、この場合、図5に示すように、最初の操作としては、点訳の元になる墨字列を入力する(S11)。
また、ここで、ラベル作成装置1内のデータの流れ(データフロー)を確保するため、図6に示すように、作業領域となるRAM75内に墨字点訳のための領域(以下単に「処理部」)BPを確保する。また、その処理部BP内に、後述する文節情報設定の処理のための領域(以下「文節情報設定部」)BP01、同じく後述の点訳処理のための領域(以下「点訳処理部」)BP02、同じく後述の点字変換の処理のための領域(以下「点字変換部」)BP03を確保する。なお、図示の[]内は、その領域内の処理で参照するための、ROM74内の参照データ(参照制御データ:例えば分かち書きや長音変換等の点字翻訳仕様のデータ等)の例を示す。また、()内は、後述の仮名漢字変換を採用した例(第2例)などに用いるので、ここでは説明は省略する。
そして、まず、入力された墨字列の墨字情報(ここではテキストデータ)を、文節情報設定部BP01に、入力データ(文節情報設定の対象データ)として格納する。
一方、実際の操作は、例えば図7に示すようになる。すなわち、まず、テキスト編集開始前の初期状態では、編集を開始する1行目の行番号(墨字マークMkp)を表示するとともに、1行目の1文字目の入力を促すカーソルKを表示する(テキスト編集画面:画面D00:以下、ディスプレイ9の表示画面の状態を画面Dxxとし、Dxxのみで説明および図示する。)。
この状態から(D10)、ユーザの操作として、点字入力キーが押されると、点字入力のため、その第1階層の選択画面(点字入力選択画面)に遷移する(D11)。なお、ラベル作成装置1では、ユーザは、キー入力による各種指示等や入力データを、削除キーの押下(1回に1文字ずつの削除)や取消キーの押下によって取り消して、元の状態に戻すことができるが、これらについて、以下では説明は省略する。
上述の状態では(D11)、選択肢として、文字入力に基づいて点字を入力する「文字入力」および打刻点を指定して点単位で点字(マス)を入力する「直接入力」のいずれかを、カーソル操作によって選択・指定できる(画面遷移直後は前回指定の選択肢をデフォルトとしてカーソル指定して表示:初期設定は「文字入力」)。なお、以下の各種画面においても、基本的に画面遷移直後は、前回指定の位置をデフォルトとしてカーソル指定して表示するものとし、説明は省略する。
ここでは、墨字入力がしたいので、上述の状態から(D11)、「文字入力」がそのままカーソル指定されてエンターキーの押下により選択(以下単に「選択確定」という)されたとすると、点字入力方法(点字入力モード)として「文字入力」を設定して、次に、点字情報編集画面に遷移する(D12)。
この点字情報編集画面では、通常の文字列(通常文字列:墨字列)の入力・編集のための「入力」欄と、点訳文字列の入力・編集のための「点訳」欄と、点訳文字列に対応する点字のマスのイメージを表示するための「点字」欄と、を各行に並べて表示し、初期状態では、カーソルKにより「入力」欄の1文字目の入力を促す(D12)。
次に、この状態から(D12)、墨字列「きょうは」が入力され(D13)、続いて「いしゃにいく」が入力されると、カーソルKにより最後の文字「く」の次の文字の入力を促す(D14)。
ここでは、図5、図6および図8に示すように、上述の状態から(D14:図7と共通)、点訳キーが押されたとすると(S12)、この時点では「きょうはいしゃにいく」の墨字列の墨字情報(墨字データ:テキストデータ)が処理対象として、文節情報設定部BP01に格納されているので、この墨字列に対して文節情報設定(S13)が可能なように、文節情報設定画面を表示する(D20)。
この文節情報設定画面では、まず、墨字列「きょうはいしゃにいく」の1文字目の「きょ」(ここでは「き」でなく発音単位の「きょ」とする:ローマ字入力等における入力単位でもある)が第1文節候補としてカーソル指定され(白黒反転表示され)ているので(D20)、続いて、カーソル(「→」)操作により次の1文字「う」を加えた「きょう」までを第1文節候補とすることができ(D21)、また、続いて同様にカーソル操作により「きょうは」までを第1文節候補とすることができる(D22)。
ここでは、上述の状態から(D22)、カーソル(「↓」)操作により第1文節として「きょうは」までが確定されたとすると、次の第2文節の候補として、「い」がカーソル指定されるので(D23:図8と図9で共通)、続いて、図9に示すように、次の1文字「しゃ」(ここでも「し」でなく発音(入力)単位の「しゃ」とする)とさらにその次の「に」を加えた「いしゃに」までを、第2文節候補として(D24)、そのまま確定されたとすると、次の「い」が第3文節の候補となる(D25)。
ここでも同様に、次の「く」を加えた「いく」を第3文節候補として(D26)、そのまま、カーソル(「↓」)操作またはエンターキー操作により確定されたとすると、入力された墨字列「きょうはいしゃにいく」の文節情報が全て設定されるので、文節情報設定(S13)を終了し、点訳および点字変換の処理後、その確認と編集が可能なように、点字情報編集画面に遷移する(D27)。
ここで、処理部(データフロー)BPでは、点訳処理のため、文節情報設定部BP01からの出力となる墨字情報(墨字データ)と文節情報(文節データ)とから成るデータ群BD01を、点訳処理部BP02において処理し、点訳を行う。すなわち、データ群BD01と点字翻訳仕様に基づいて、墨字列を変換して、目的の点字列をそのまま読んで発音した文字列に相当する点訳文字列(点訳仮名文字列)を作成する。また、この点訳文字列のデータBD02を、点字変換部BP03において処理し、点字変換を行う。すなわち、点訳文字列と点字翻訳仕様に基づいて、対応する点字列のマスイメージのイメージ情報を作成し、そのデータBD03を用意する(出力とする)。
ここでは、上述したように、「きょうは」「いしゃに」「いく」の3文節(第1〜第3文節)が設定されているので、点訳処理では、点字翻訳仕様の「分かち書き」に従って、文節間に空白(スペース)を挿入し、また、例えば「きょうは」の「きょう」に対して「長音変換」を行って「キョー」とし、「きょうは」の「は」は、「ハ」ではなく「ワ」と発音するので、助詞変換により「キョーワ」とする。このため、上述の点訳処理によって作成される点訳文字列は「キョーワ_イシャニ_イク」となり、それに対応する点字は、点字変換処理により、「点字」欄に図示のマスイメージのようになる(図10のD27(図9と共通)、D30、D31〜D33および図11(a)(b)等も参照)。
なお、上述のように、本実施形態では、点訳文字列を、長音の「ー」が平仮名より不自然でない片仮名で示し、また、墨字列を平仮名として区別しやすくしているが、逆でも良いし、双方とも平仮名あるいは片仮名で示しても良い。また、スペースを明記するため「_」で示すものとするが、実際には単に空白「 」でも良い。
そして、上述の状態では(D27:図9と図10で共通)、「入力」欄に、墨字列「きょうはいしゃにいく」に続く文字列の入力を促すように、「く」の次をカーソル指定して表示するとともに、「点訳」欄に、点訳文字列「キョーワ_イシャニ_イク」を表示し、「点字」欄に、点訳文字列に対応する点字列のマスイメージを表示する。
すなわち、この状態では(D27:図5のS14に相当)、「入力」欄にさらに追加できるようにカーソル指定されているので、さらに墨字列を追加することができ、必要な場合には(図5のS15:Yes、且つS16:No)、図7のD12〜上述の図9のD27と同様の操作を行うことで(図5のS11〜S14)、D27と同様の状態まで遷移させることができる。
ただし、ここでは、所望の文字列「きょうはいしゃにいく」が全て入力済みなので、図10に示すように、そのまま、カーソル(「↓」)操作またはエンターキー操作により確定されたとすると、「点訳」欄にカーソル移動させるとともに、「入力」欄と「点訳」欄の内容一致(以下「リンク状態」)を示す「★」を付した状態を表示する(D30)。
この状態からは(D30)、カーソル操作により、「入力」欄と「点字」欄との間でカーソルKを移動させたり、同一行内で移動させて、各欄の内容を図示左右にスクロールさせて、各行の内容を確認できる。
なお、この状態も、図5のS14に相当する状態であり、「入力」欄あるいは「点字」欄の任意の箇所をカーソル指定等して、追加(挿入)や削除等の編集ができ、必要な場合には(図5のS15:Yes、且つS16:No)、編集を行って(S11:何らかの編集後にはリンク状態を解除し「★」の表示を消す)、その後、同様にして(S12〜S13)、D27(S14)と同様の状態まで遷移させることができる。
ただし、ここでは、内容は全てOKとし(図5のS15:No)、それを確認後に(D30)、そのまま、確定されたとすると(S17)、墨字点訳操作(S10)の全操作を終了し(S18)、プレビュー縮小表示付のテキスト編集画面に遷移する(D31)。
この状態では(D31)、そのままラベルを作成した場合のイメージを縮小して示すプレビュー縮小表示R00、すなわちプレビュー表示画面の縮小版を、画面上部に示す。図示では、「テープ幅24mm」且つ「墨字・点字併記ラベル」を作成した例を示している。
また、画面下部には、「点」となっている点訳マークMkbと並べて、点訳文字列「キョーワ_イシャニ_イク」を表示するとともに、1行目の行番号を示す墨字マークMkpと並べて、墨字列「きょうはいしゃにいく」を表示する。
ただし、実は、この画面表示状態も(D31)、図5のS14の状態の代用が可能な状態であり、ここで墨字列や点訳文字列に修正等の必要が生じた(見つかった)場合には(S15:Yes且つS16:No)、カーソル操作で墨字列や点訳文字列をカーソル指定して(D31〜D32)、それらの入力・編集等を行う(S11)ことができ、また、点訳キー押下により(S12)、点字情報編集画面に遷移させることができ、その後、上述と同様にして(S13または再度のS11〜S13)、同様の確認状態(S14:D27等)まで遷移させることができる。
一方、この状態は(D31〜D32)、テキスト編集画面の側面も有していて、通常のテキスト編集画面等と同様に、文字情報入力・各種情報表示状態にある。
このため、これらの状態から(D31〜D32)、印刷キーが押され、印刷割込が発生すると、例えば「テープ幅24mm」且つ「墨字・点字併記ラベル」を作成する場合、図11(a)に示すように、墨字画像Gp0により墨字印刷を行うので、その後、点字画像Gb0の点字打刻を行うことにより、外観(画像)G00のような墨字・点字併記ラベルL00を作成できる。
また、このため、上述の状態で(D31〜D32)、プレビューキーが押され、プレビュー表示割込が発生すると、プレビュー表示の処理が起動され、例えば上述の例では、上述のラベルL00のイメージをプレビュー表示する(D33)。
もちろん、他の例でも同様であり、例えば「テープ幅12mm」であれば、印刷キー押下により、図11(b)に示すような墨字画像Gp0と点字画像Gb0とを重ねた外観画像G01のようなラベルL01を作成できるので、プレビューキー押下により、それに対応して点字イメージと墨字イメージとを重ねた墨点併記のイメージをプレビュー表示する。
次に、同一の墨字列に対して文節情報のみ異なる場合について、説明する。ここでは、墨字列を上述の例と同じ「きょうはいしゃにいく」とする。
まず、墨字列「きょうはいしゃにいく」を、図7で前述の方法と同様に入力し(D12〜D14:図5のS11)、点訳キー押下により(S12)、文節情報設定画面に遷移させる(図8のD20)。あるいは、前述の確認状態(図9、図10のD27、D30〜D32のいずれかの状態:図5のS14相当)から、文節のみ修正として(S15:Yes且つS16:Yes)、点訳キー押下により(S12)、文節情報設定画面に遷移させる(図8のD20)。
この状態から(D20)、前述と同様にして、「きょう」までを第1文節候補とし(D21:図8と図12で共通)、図12に示すように、ここでは、そのまま、カーソル(「↓」)操作により第1文節として「きょう」までが確定されたとすると、次の第2文節の候補として、「は」がカーソル指定されるので(D40)、続いて、同様に、次の3文字分の「いしゃに」を加えた「はいしゃに」までを第2文節候補として(D41)、そのまま確定されたとすると、次の「い」が第3文節の候補となる(D42:図9のD25と同じ)。
ここでも同様に、次の「く」を加えた「いく」を第3文節候補として(D43:D26と同じ)、そのまま、カーソル(「↓」)操作またはエンターキー操作により確定されたとすると、墨字列「きょうはいしゃにいく」の文節情報が全て設定されるので、文節情報設定(図5のS13)を終了し、点訳および点字変換の処理後、その確認と編集が可能なように、点字情報編集画面に遷移する(D44:図12と図13で共通)。
この場合、「きょう」「はいしゃに」「いく」の3文節が設定されるが、ここでは、図13に示すように、そのまま、カーソル(「↓」)操作またはエンターキー操作により確定されたとすると、「点訳」欄にカーソル移動させるとともに、リンク状態を表示するので(D50)、カーソル操作により、「入力」欄と「点字」欄との間でカーソルKを移動させたり、同一行内で移動させて、各欄の内容を図示左右にスクロールさせて、各行の内容を確認できる。
この図13のD50〜D53は、文節設定が異なるものの、前述の図10のD30〜D33に対応する画面であり、ここでは、内容は全てOKとし(図5のS15:No)、それを確認後に(D50)、そのまま、確定されたとすると(S17)、墨字点訳操作(S10)の全操作を終了し(S18)、プレビュー縮小表示付のテキスト編集画面に遷移し、プレビュー表示画面の縮小版であるプレビュー縮小表示R10を、画面上部に示し、画面下部には、点訳マークMkbと並べて、点訳文字列「キョー_ハイシャニ_イク」を表示し、1行目の行番号を示す墨字マークMkpと並べて、墨字列「きょうはいしゃにいく」を表示する(D51)。
なお、ここで図示の例も前述と同じ「テープ幅24mm」且つ「墨字・点字併記ラベル」を作成する例である。
このため、これらの状態から(D51〜D52)、印刷キーが押され、印刷割込が発生すると、例えば「テープ幅24mm」且つ「墨字・点字併記ラベル」を作成する場合、図11(c)に示すように、墨字画像Gp0により墨字印刷を行った後、点字画像Gb1の点字打刻を行うことで、外観画像G10のような墨字・点字併記ラベルL10を作成でき、「テープ幅12mm」であれば、図11(d)に示すような墨字画像Gp0と点字画像Gb1とを重ねた外観画像G11のようなラベルL11を作成できる。
また、このため、上述の状態で(D51〜D52)、プレビューキーが押され、プレビュー表示割込が発生すると、プレビュー表示の処理が起動され、例えば上述の「テープ幅24mm」では、上述のラベルL10のイメージをプレビュー表示し(D53)、「テープ幅12mm」であれば、上述のラベルL11のイメージをプレビュー表示する。
なお、上述の例を第1例とすると、上述の第1例では、墨字列として仮名文字列を扱ったが、ラベル作成装置1では、仮名漢字変換が可能なので、この仮名漢字変換を利用して、文節情報を設定することもできる。この例を第2例として、以下に説明する。
この第2例では、平仮名入力に基づいて仮名漢字変換する。このため、適宜、仮名漢字変換と表現する。もちろん、片仮名入力でも可能であるが、前述のように、点訳文字列を片仮名で表現するため、便宜上、平仮名とする。また、この第2例でも、墨字列は上述の第1例と同じ「きょうはいしゃにいく」とする。
なお、この第2例の点訳キーの押下は、仮名漢字変換の指示を兼ねるので、例えば点訳変換キー等として、前述の点訳キーと区別して(別に設けて)用意しても良いし、通常の仮名漢字変換用の変換キーと兼用するようにしても良い。ただし、この第2例では、点訳キーとし、その押下による点訳指示では、常に仮名漢字変換指示を伴うものとする。ここで、例えば仮名文字列「きょうは」を仮名漢字変換する際の変換候補には、「今日は」等の漢字混じりのもの以外に、仮名そのままの「きょうは」も候補となるので、このような仮名の候補を選択して確定すれば、第1例と同じ「きょうはいしゃにいく」等の仮名文字列そのままを、仮名漢字変換の結果とすることもできる。このため、この第2例の点訳キーを用いて、前述の第1例と同じ操作ができる。
まず、墨字列「きょうはいしゃにいく」を、図7で前述の方法と同様に入力し(D12〜D14:図5のS11)、図14に示すように、この状態から(D14:図7と共通)、点訳キー押下により(S12)、文節情報設定画面に遷移させる(D60)。
この場合、点訳指示と同時に仮名漢字変換指示を兼ねるので、前回の仮名漢字変換の履歴から(学習機能により)、例えば図示のように、「今日は医者にいく」と変換されたものとする(D60)。
この「今日は医者にいく」の意味で良ければ、この状態から(D60)、「今日は」「医者に」と順に確定させ(D61〜D62)、「いく」もそのままとし、カーソル(「↓」)操作またはエンターキー操作により確定されたとすると、入力された墨字列「きょうはいしゃにいく」の文節情報が全て設定されるので、文節情報設定(S13)を終了し、点訳および点字変換の処理後、その確認と編集が可能なように、点字情報編集画面に遷移する(D64:図9と図10のD27と同じ)。
また、後述のラベル作成時の体裁上、「いく」の部分を「行く」に変換するため、上述の「医者に」まで確定させた状態から(D62)、変換キーが押されると、「いく」「行く」「逝く」「幾」「育」などの変換候補を表示するので、ユーザは、カーソル操作およびエンターキー押下により、所望の「行く」を選択確定でき(D63)、これで、墨字列「きょうはいしゃにいく」の文節情報が全て設定されるので、文節情報設定(S13)を終了し、点訳および点字変換の処理後、その確認と編集が可能なように、点字情報編集画面に遷移する(D64)。
この場合、「きょうは」「いしゃに」「いく」の3文節が設定されるが、ここでは、図15に示すように、そのまま、カーソル(「↓」)操作またはエンターキー操作により確定されたとすると、「点訳」欄にカーソル移動させるとともに、リンク状態を表示するので(D65:図10のD30と同じ)、カーソル操作により、「入力」欄と「点字」欄との間でカーソルKを移動させたり、同一行内で移動させて、各欄の内容を図示左右にスクロールさせて、各行の内容を確認できる。
この図15のD65〜D68は、墨字列が仮名漢字交じり文字列となることが異なるものの、前述の図10のD30〜D33に対応する画面であり、ここでは、内容は全てOKとし(図5のS15:No)、それを確認後に(D65)、そのまま、確定されたとすると(S17)、墨字点訳操作(S10)の全操作を終了し(S18)、プレビュー縮小表示付のテキスト編集画面に遷移し、プレビュー表示画面の縮小版であるプレビュー縮小表示R20、点訳文字列「キョーワ_イシャニ_イク」、墨字列「今日は医者に行く」を表示する(D66)。
なお、ここで図示の例も前述と同じ「テープ幅24mm」且つ「墨字・点字併記ラベル」を作成する例である。このため、これらの状態から(D66〜D67)、印刷キーが押され、印刷割込が発生すると、「テープ幅24mm」で「墨字・点字併記ラベル」を作成する場合、図16(a)に示すように、墨字画像Gp2の墨字印刷と点字画像Gb0の点字打刻を行って、外観画像G20のようなラベルL20を作成でき、「テープ幅12mm」であれば、図16(b)に示すような墨字画像Gp2と点字画像Gb0とを重ねた外観画像G21のようなラベルL21を作成できる。
また、このため、上述の状態からの(D66〜D67)、プレビュー表示では、「テープ幅24mm」では、上述のラベルL20のイメージをプレビュー表示し(D68)、「テープ幅12mm」であれば、ラベルL21のイメージをプレビュー表示する。
次に、前述の最初の仮名漢字変換結果「今日は医者に行く」(D60:図14と図17で共通)が、意図する所望の墨字列と異なる場合、図17に示すように、カーソル(「←」)操作により、一旦、漢字変換結果を解除して、入力時の仮名文字列「きょうはいしゃにいく」に戻す(D70)。この場合、元の状態が「今日は」であり、仮名文字列「きょうは」を第1文節候補とした状態(図8のD22)と同じなので、1回のカーソル(「←」)操作により、漢字変換の解除とともに、第1文節の文字数を1文字分だけ減らした状態になる(D70:図8のD21と同じ)。
ここでは、「きょう」を漢字変換して第1文節としたいので、上述の状態のまま(D70)、変換キーが押されると、前回の仮名漢字変換の履歴から(学習機能により)、例えば図示のように、「きょう」を「今日」と変換し、続く仮名文字列「はいしゃにいく」も、前回の漢字変換結果を参照して、例えば「歯医者に行く」と変換する(D71)。
この「今日歯医者に行く」で良ければ、この状態から(D71)、「今日」「歯医者に」「行く」と順に確定されたとすると(D71〜D73)、これにより、入力された墨字列「きょうはいしゃにいく」の文節情報が全て設定されるので、文節情報設定(S13)を終了し、点訳および点字変換の処理後、その確認と編集が可能なように、点字情報編集画面に遷移する(D74:図12と図13のD44と同じ)。
なお、例えば「きょう」を「今日」ではない漢字に変換したい場合等では、図14で「いく」を「行く」に変換したのと同様の方法で、例えば「今日」の他、「狂」「共」「強」等々を、漢字変換候補として表示させて、選択確定することにより、所望の漢字に変換できる。「はいしゃにいく」の部分についても同様である。
そして、図17で上述の場合、前述の点字情報編集画面では(D74:図17と図18で共通)、「きょう」「はいしゃに」「いく」の3文節が設定された状態となっているが、ここでは、図18に示すように、そのまま、確定されたとすると、リンク状態を表示するので(D75:図13のD50と同じ)、カーソルKを「入力」欄と「点字」欄との間で移動させたり、同一行内で移動させて、各欄の内容を図示左右にスクロールさせて、各行の内容を確認できる。
この図18のD75〜D78は、墨字列が仮名漢字交じり文字列となることが異なるものの、前述の図13のD50〜D53に対応する画面であり、ここでは、内容は全てOKとし(図5のS15:No)、それを確認後に(D75)、そのまま、確定されたとすると(S17)、墨字点訳操作(S10)の全操作を終了し(S18)、プレビュー縮小表示付のテキスト編集画面に遷移し、プレビュー表示画面の縮小版であるプレビュー縮小表示R30、点訳文字列「キョー_ハイシャニ_イク」、墨字列「今日歯医者に行く」を表示する(D76)。
ここで図示の例も前述と同様なので、これらの状態から(D76〜D77)、印刷キーにより印刷割込が発生すると、例えば「テープ幅24mm」では、図16(c)に示すように、墨字画像Gp3と点字画像Gb1により外観画像G30のようなラベルL30を作成でき、「テープ幅12mm」では、図16(d)に示す外観画像G31のようなラベルL31を作成できる。
また、このため、上述の状態からの(D76〜D77)、プレビュー表示では、「テープ幅24mm」では、上述のラベルL30のイメージをプレビュー表示し(D68)、「テープ幅12mm」であれば、ラベルL31のイメージをプレビュー表示する。
上述のように、本実施形態のラベル作成装置1では、点字作成に際して、そのための入力として「文字入力」ができ、この場合、入力する文字列は、ワープロ等で慣用の通常の文字列(墨字列)なので、点字翻訳仕様に関する正確な知識が無い晴眼者であっても、容易に入力できる。
また、その墨字列の文節情報を設定するが、文節自体は点字とは直接関係があるものではなく、通常の文(文字列:墨字列)を、意味や発音上、不自然でない程度に分解した最小の単位であり、点字の知識に関係なく容易に設定できる。
言い換えると、区切りに「さ」や「ね」を入れて不自然に感じない単位なので、例えば「きょうはいしゃにいく」は、「『きょうは』ネ、『いしゃに』ネ、『いく』ネ」の「きょうは」「いしゃに」「いく」の3文節か、あるいは、「『きょう』ネ、『はいしゃに』ネ、『いく』ネ」の「きょう」「はいしゃに」「いく」の3文節か、のいずれかを設定すれば良いので、点字の知識に関係なく容易に設定できる。
そして、文節の区切りさえ明確になっていれば、形態素解析や構文解析を要することなく、点字特有の仮名づかいや分かち書き等の点字翻訳仕様を適用でき、その墨字列(墨字情報)に基づいて点字列(点字情報)を作成できる。すなわち、文節情報があれば、墨字列を容易に点訳(して点字列を作成)できる。
したがって、解析等のための膨大なメモリや煩雑な制御が不要で、且つ、点字翻訳仕様に関する正確な知識が無い晴眼者であっても、墨字情報に基づいて点字情報を容易に作成できる。
なお、墨字情報と文節情報とを対応づけて共に記憶するので、墨字情報入力や文節情報設定の直後でなくても、容易に点訳できる。すなわち、一旦、記憶(登録等)しておいて、後日、点訳のみを行っても良い。
この場合、文節情報の記憶の仕方としては、概ね2通りの方法がある。1つは、文節情報を墨字情報の付随情報として共に記憶する方法であり、例えば図6のデータ群BD01をセットで記憶することにより、後に、または後日、点訳処理部BP02で処理(入力として参照)するときに、参照しやすくなる。
また、他の1つは、文節情報と墨字情報とを別々に記憶しておく代わりに、それらを対応づけるテーブル(文節対応テーブル)を記憶しておき、後(または後日)に、点訳処理部BP02で処理するときに、文節対応テーブルを参照して、文節情報と墨字情報とを対応づける。この場合、間接的な参照となるので、セットで記憶するのに比べて読み出し等のための余分な制御(処理)が必要になるが、例えば多数の墨字列を記憶等する場合にも、メモリ上の記憶領域が確保しやすいとともに、記憶アドレス等で対応づけておけば、容易に対応づけができ、参照も容易である。
また、まず、上述の第1例では、仮名文字列の墨字列に対して、その一部を指定して文節として確定でき、その区切りを示す情報(仮名確定区切り情報:仮名区切り情報)を文節情報の少なくとも一部として記憶できる。この場合、例えば品詞情報を含めることができ、特に助詞(ここでは助動詞を含む)について、文節の区切りにあるか否かとその種類等を、仮名区切り情報(文節情報)の一部としておけば(図6のデータ群BD01参照)、前述の「きょうは」の場合の「は」は助詞であり、その位置を区切りとする第1文節となるが、「きょう」の場合には助詞がない第1文節となるので、文節の区切りがさらに明確になると共に、その後処理である点訳処理における助詞変換にも有効な情報となる。
すなわち、第1例で示したように、例えば「きょうはいしゃにいく」を「きょうは」「いしゃに」「いく」等のように分けて指定して確定することにより、文節情報として容易に設定でき、これにより、「キョーワ_イシャニ_イク」に相当する点字列等に、容易に点訳できる。すなわち、仮名文字列の墨字列の入力者の意図を反映した点字列に、容易に点訳できる。
また、第2例では、仮名文字列の墨字列に対して、その一部を指定して仮名漢字変換ができ、その仮名漢字変換の際の区切りを示す情報(漢字変換区切り情報)を文節情報の少なくとも一部として記憶できる。なお、文節情報に品詞情報を含める有効性は第1例と同様である。
すなわち、第2例で示したように、例えば「きょうはいしゃに」の「きょうは」と「いしゃに」を分けて指定してそれぞれ漢字変換して「今日は医者に」とするか、「きょう」「はいしゃに」を分けて漢字変換して「今日歯医者に」とするかにより、文節情報を容易に設定でき、これにより、それぞれの仮名漢字変換の意図に合致した点字列、言い換えれば墨字列入力者の意図を反映した点字列に、容易に点訳できる。
なお、第2例の仮名漢字変換では、例えば「きょうは」の変換候補には、仮名そのままの「きょうは」も含まれるので、このような仮名の候補を選択し、そのまま確定すれば、第1例と同じ「きょうはいしゃにいく」等を、仮名漢字変換の結果とすることもできる。このため、この第2例の方法を用いて、第1例と同じ操作ができる。
また、第2例の場合、仮名漢字変換後の墨字列とともに、仮名漢字変換前の墨字列を、墨字情報として記憶している。例えば「高田」の漢字を解析等しても、「タカダ」に相当する点字列に点訳するか、「タカタ」に相当する点字列に点訳するか、は定まらないので、意図する読みと異なるように点訳されれば、修正・編集等が必要となるが、ここでは、仮名漢字変換前の仮名文字列(読み仮名文字列)を記憶することにより、これを参照して、墨字列入力者の意図を反映した点字列に、容易に点訳できる。また、仮名漢字変換後の墨字列の方は、例えば図21等で示したように、墨字印刷等で利用できる。
なお、上述の両例(第1例、第2例)に共通して、上述の読み仮名文字列の代わりに(あるいは読み仮名文字列と共に)、墨字列の発音を示す発音文字列を設定あるいは作成等して、文節情報の一部(発音情報)として記憶しても良い。例えば「きょうはいしゃに」を「今日歯医者に」の意味で読む場合には、「きょうはいしゃに」と読む(発音する)が、「今日は医者に」の意味で読む場合には、実際には「きょうわいしゃに」と発音するので、これを墨字列の発音を示す発音文字列(例えば「きょうわいしゃに」等)として記憶することにより、これを参照して、墨字列入力者の意図を反映した点字列に、容易に点訳できる。なお、この発音文字列「きょうわいしゃに」等は、点訳文字列「キョーワ_イシャニ」に近いものなので、これを参照すれば、点訳文字列に変換することも容易になり、点訳もさらに容易になる。
また、この場合、仮名(平仮名、片仮名)等でなく、例えば発音記号等で表現した発音文字列を利用することもできる。また、文節の区切りを、発音文字列内に含まれる空白文字によって示すこともできる。例えば「きょうはいしゃに」の文節の区切りに空白文字(スペース)を含ませて(挿入して)、「きょう_はいしゃに」と記憶し、「きょうわいしゃに」は同様に「きょうわ_いしゃに」と記憶すれば、文節の区切りを明確に示すことができるとともに、発音の休み(間)を表現して、実際の発音にさらに忠実な文字列になり、また、点字では墨字より発音に近い表現をするので、点訳文字列「キョーワ_イシャニ」等にさらに近いものとなり、これを参照すれば、点訳文字列に変換することもさらに容易になり、点訳もさらに容易になる。
なお、以上のような(各種区切り情報や発音文字列のスペース等の)文節情報の形態に代わって(あるいはこれらと共に)、文節情報には、墨字列内の各文節の文字数情報を含ませることができる。この場合、文節情報に含まれる文字数情報を参照して、例えば「きょうはいしゃに」を、[4文字、4文字]の「きょうは」「いしゃに」(「今日は医者に」)の意味で点訳するか、[3文字、5文字]の「きょう」「はいしゃに」(「今日歯医者に」)の意味で点訳するか、が明確に判明するので、墨字列入力者の意図を反映した点字列に容易に点訳できる。
また、文字数でなく、発音数で示し(「きょ」等を1音とし)、例えば上述の例では「きょうは」「いしゃに」を[3音、3音]、「きょう」「はいしゃに」を[2音、4音]として、文節情報に発音数(発音情報)として含ませることもできる。
そして、本実施形態では、上述の第1例、第2例共に、例えば「きょうはいしゃにいく」の墨字列を入力し、それを変換して、「キョーワ_イシャニ_イク」や「キョー_ハイシャニ_イク」などの点訳文字列を作成し、それに基づいて、点字列のマスイメージを作成している。
この場合、墨字列と点字列との仲介役とも成る点訳文字列を介すことにより、墨字列→点訳文字列の変換(図6の点訳処理部BP02での処理)では、点字翻訳仕様のうち仮名づかいや分かち書き等のいわば文法的な要素のみを適用したいわば文法的変換のみを行い、点訳文字列→点字列の変換(同図の点字変換部BP03での処理)では、同じ意味の文字→マスイメージの変換、すなわち表記方法を変える(記号化、イメージ化する)いわばイメージ的変換のみを行えば良く、処理を分担・細分化することにより、制御・処理が簡単化できる。
また、ここでは、マスイメージ(の画像データ)を作成するので、これをその後の例えば図11や図16等で前述の実際の点字打刻処理等に利用することもできる。
また、本実施形態では、同一の表示画面内に、上述の墨字列と点訳文字列と点字列のマスイメージとを並べて表示しているので、入力した墨字列と、点字に直結する点訳文字列と、点訳された点字列のマスイメージとを、全て同時に確認できる。また、点字列に直接対応し且つ点字の知識がない晴眼者にも読める点訳文字列を見ることができるので、最終的に作成される点字列の意味(読み、発音等)を、容易に確認できる。
ところで、本実施形態に係るラベル作成装置1は、ROM74内に、仮名漢字変換における複数の変換候補情報について、点字翻訳の仕様に基づいて分ち書きを行うものと行ないものとを区分けした情報である区分け情報をさらに記憶しており、ラベル作成装置1(点訳処理部BP02;図6参照)は、必要に応じて上述の文節情報に加え、この区分け情報に基づいて点訳を実行する。以下、この制御について第3例として説明する。
図19は、ラベル作成装置1が記憶する区分け情報の一部を例示したものである。例えば、よみが「ヤク」で共通している「訳」と「役」とにおいて、点字情報として「大江健三郎訳」と入力された場合、区分け情報に従って「オオエケンザブロウ_ヤク」と翻訳する一方で、「大江健三郎役」と入力された場合には、区分け情報に従って「オオエケンザブロウヤク」と翻訳する。同様に、よみが「シ」で共通している「氏」と「市」では、「松本氏」は「マツモト_シ」に、「松本市」は「マツモトシ」に翻訳する。またその他の例として、よみが「サン」である「さん」「山」「産」(「赤城さん」は分かち書きあり、「赤城山」および「赤城産」は分かち書きなし)やよみが「ケン」である「健(人名)」「県」(「福島健」は分かち書きあり、「福島県」は分かち書きなし)等が挙げられる。
なお、上述の区分け情報は、変換候補情報が「名詞+接尾辞」の品詞構成における「接尾辞」として入力された場合に、分かち書きの要否を判別するための情報である。すなわち、例えば点字情報として「私は日本語に訳した」と入力した場合、「訳した」の「訳」は接尾辞として機能していないため、区分け情報は参照せず「ワタシワ_ニホンゴニ_ヤクシタ」のように単に「ヤクシタ」と点字翻訳する。
さらに、区分け情報を参照しながら点字翻訳が行われる処理の流れについて図20を参照して具体的に説明する。まず上述の第1例、第2例と同様に、点字情報編集画面D81において、例えば「あかぎさん」と入力した後、点訳キーの押下によって仮名漢字変換処理が開始され、ユーザは所望の漢字変換が行われるまで必要に応じて変換候補情報表示画面D82を表示させ、変換候補情報を選択する操作を行う。そして、ユーザが「あかぎさん」を「赤城山」として仮名漢字変換を確定した場合、ラベル作成装置1(点訳処理部BP02)は区分け情報(図19参照)を参照し「アカギサン」と点字翻訳して、点字情報編集画面D81に点訳文字列を仮名表記するとともに、点訳文字列に対応する点字マスのイメージを表示する。
一方、ユーザが「あかぎさん」を「赤城さん」として仮名漢字変換を確定した場合、ラベル作成装置1(点訳処理部BP02)は区分け情報(図19参照)を参照し「アカギ_サン」と点字翻訳して、点字情報編集画面D81に点訳文字列を仮名表記するとともに、点訳文字列に対応する点字マスのイメージを表示する。この後ユーザは必要に応じて墨字印刷文字列を入力し印刷・打刻を開始させる操作を行う。このような手順でラベル作成装置1によって作成されたラベルLを同図下部に示す。図示するように、ラベルL40は、墨字情報および点字情報「赤城山」に基づいて作成したラベルであり、ラベルL41は墨字情報および点字情報「赤城さん」に基づいて作成したラベルである。
このように、第3の例で説明したように点訳を行うことによって、仮名漢字変換により設定された文節情報のみでは正確な点字翻訳が不可能な場合にも、図19を参照して説明した区分け情報を参照することによって、点字翻訳の仕様に従った正確な点訳を行うことが可能となる。
なお、上述の説明では、同音異義語である「赤城山」および「赤城さん」、「松本市」および「松本氏」等、変換候補情報が接尾辞として機能するときに、分かち書きを行うか否かについて区分け情報を参照して判別する構成を述べてきたが、同音異義語に限らず、また変換候補情報が接頭辞として機能する際にも分かち書きの要否を判別する構成でもよい。例えば「旧文書」と「旧正月」とでは、前者の「旧文書」は「キュー_ブンショ」と点字翻訳し、後者の「旧正月」は「キューショーガツ」と点字翻訳しなければならない。この場合、「旧正月」を固有名詞として記憶しておき、「旧+名詞」という構成の点字情報が入力された場合、この点字情報が「旧正月」に該当しないときは分かち書きを行い、「旧正月」に該当するときは分かち書きを行わないといった制御を行えばよい。
なお、具体例は上述しなかったが、本実施形態のラベル作成装置1では、例えば点字情報編集画面の「点訳」欄の点訳文字列を編集することにより、「点字」欄の点字列のマスイメージを作成または変更することもでき、例えば表示された点訳文字列が意図するものと異なっていた場合等においては、作成済みの点訳文字列を修正したり、あるいは点訳文字列を最初から作り直すことができ、これにより、点字の知識がない晴眼者であっても、マスイメージのイメージ情報およびそれを含む点字情報を、容易に作成・変更できる。なお、墨字列と直接対応しない字列を作成したい場合等にも、便利に利用できる。
ところで、上述してきた第1例ないし第3例では、墨字用の文字列(墨字列)の入力に基づいて、入力された墨字列を点訳して点字情報を作成する例、すなわち墨字情報の入力と点字情報の入力とが連携している例を挙げて説明を行ったが、墨字情報の入力と点字情報の入力とを連携させず個別に行うことも当然可能である。
なお、上述した実施形態において採用された点字情報処理装置としての機能あるいは各種処理方法(点字情報処理方法など)は、上述のラベル作成装置1ばかりでなく、プログラム処理可能な各種の装置によって処理されるプログラムとして適用でき、その種のプログラムを記憶するための記憶媒体にも適用でき、この種のプログラムを記憶しておいて、あるいは記憶媒体等から読み出して、実行することにより、解析等のための膨大なメモリや煩雑な制御が不要で、且つ、点字翻訳仕様に関する正確な知識が無い晴眼者であっても、墨字情報に基づいて点字情報を容易に作成できる。
また、上記の記憶媒体としては、CD−ROM、フラッシュROM、メモリカード(コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、メモリースティック等)、コンパクトディスク、光磁気ディスク、デジタルバーサタイルディスクおよびフレキシブルディスク等を利用することができる。もちろん、その他、要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
1…ラベル作成装置(点字情報処理装置) 3…装置ケース 5…キーボード 9…ディスプレイ 21…印刷ヘッド 60…制御部 61…操作部 62…墨字印刷部 63…切断部 64…点字打刻部 65…検出部 72…駆動部 B…点字 BDxx…データ群 BP…処理部 BP01…文節情報設定部 BP02…点訳処理部 BP03…点字変換部 C…テープカートリッジ Dxx…表示画面 Eb…点字打刻領域(打刻配置部) Ep…墨字印刷領域(印刷配置部) Gxx…画像 Lxx…ラベル P…墨字 T…テープ