JP3873305B2 - 仮名漢字変換装置および仮名漢字変換方法 - Google Patents

仮名漢字変換装置および仮名漢字変換方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、仮名漢字変換装置および仮名漢字変換方法に関し、詳しくは入力した文字列から辞書を参照して仮名漢字混じり文字列候補を生成する仮名漢字変換装置および仮名漢字変換方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、入力された仮名文字列を、所望の仮名漢字混じり文字列に変換するための仮名漢字変換装置が種々提案されている。特に最近では、仮名漢字変換を行なう際に、使用者が仮名の入力にあわせて単語や文節などの区切りをいちいち指定することなく、仮名べた書きの文字列を入力すれば所望の仮名漢字混じり文字列が得られるよう、様々な工夫がなされている。
【0003】
仮名べた書きの文字列を正しく文節分かち書きするための処理としては、2文節を基本単位として解析し、成り立ち得る文節の中で最長の文節が得られる2文節を第1候補とする2文節最長一致法や、文節を構成する単語の候補となり得る単語および単語同士の組合わせに各種の数値(コスト)を付け、その数値の合計が最小となる文節を第1候補とする最小コスト法などがある。後者の方法では、文節を、基本的には自立語と付属語の結合からなるものとして扱い、自立語に付属語が接続する場合には、文節が取る数値は付属語が付属する場合でも変わらないとして扱っている。この結果、自立語+自立語などの組み合わせより、自立語+付属語の組み合わせが優先されやすくなる。
【0004】
他方、こうした仮名漢字変更装置により得られた最初の単語候補が非所望のものである場合には、次候補の指示により、各文節毎に、第2候補以下の単語を表示する。日本語には、同音異義語が多いので、かなり詳細に品詞情報を付与して、文節や単語の連なりの数値を調整しても、一度の変換では所望の候補文字列が得られない場合は少なくない。こうした場合には、複数の同音異義語の中から使用者が一つの単語を選択すると、この選択した単語を最優先で次回の候補とすることが行なわれている。これがいわゆる同音異義語の学習であるが、このほか、文節区切りの位置が非所望なものであり、これを変更した場合に、使用者が指定した文節区切りの位置を記憶して、次に同じ文字列が入力された場合には、この文節区切りの位置を優先的に区切り位置とするいわゆる文節区切り学習などの学習処理も知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、仮名漢字変換では、自立語と付属語からなる文節を基本として文字列の構成を考えることが基本となるが、自立語や付属語の一部には、単に自立語としてあるいは付属語として一律に扱ったのでは、仮名漢字変換の処理をスムースに行なうことができないものが存在することが分かった。例えば、形式名詞(「こと」、「とき」など)等の場合、品詞的には名詞と言えるから、これを自立語として扱うことが考えられるが、自立語として扱ったのでは、非所望な変換結果を招来することが多い。
【0006】
「はやしをはしるときえだがじゃまだ」という文字列が入力されて文節分かち書きをする場合を考えると、形式名詞である「とき」を自立語として扱うと、▲1▼「林(自立語)+を(付属語)」+▲2▼「走る(自立語+活用語尾)」+▲3▼「とき(自立語)」+▲4▼「枝(自立語)+が(付属語)」+▲5▼「邪魔(自立語)+だ(付属語)」という文節分かち書きよりも、▲1▼「林(自立語)+を(付属語)」+▲2▼「走る(自立語+活用語尾)」+▲3▼「時枝(人名・自立語)+が(付属語)」+▲4▼「邪魔(自立語)+だ(付属語)」の方が、文節数が少なくなり、数値の総和も小さくなるから、後者の文節分かち書きがなされてしまう。しかもこの場合には、「時枝が」の文節にカーソルをおいて次候補キーを操作しても、「時枝が」の次候補が得られるに過ぎず、「とき」+「枝が」が得られることはない。従って、使用者は、文節長の変更を行なって、「とき」や「えだが」を得てから改めて変換(次候補キー)を操作を行なう必要があった。他方、形式名詞である「とき」や「こと」を一律に付属語として扱うと、「はしるとき」が一つの文節として扱われるから、第一候補として得られた「走るとき」を「走る時」に変換しようとすると、予め両方の語候補(「走るとき」と「走る時」)を辞書に登録しておくか、文節の区切り位置を強制的に「はしる」と「とき」との間に指定し、「とき」を自立語として扱って次候補「時」に変換する他なかった。
【0007】
同様の問題は、補助用言や接辞(接頭語、接尾語)等にも問題となる。接辞は、付属語として扱うことが可能であるが、この場合には、「接頭語+自立語+付属語」や「自立語+接尾語+付属語」を一つの文節と見るので、接辞(例えば「御」「回」など)が非所望のものであっても、これを変更しようとすると、文節区切りの位置を変更せねばならないと言う問題があった。仮に「ごしゅっせき」という文字列を入力して文節分かち書きした結果、第一候補文字列として「御出席」という文字列を得たとする。この時、「御」の文字を「ご」に変更しようとすると、「御出席」「ご出席」の両方を辞書に登録しておかなければならない。接辞や形式名詞は広汎な語に付属するから、これらをすべて登録することは、辞書の肥大化や検索時間の長期化という問題を招来してしまう。
【0008】
本発明の仮名漢字変換装置および仮名漢字変換方法は、こうした問題を解決し、文節分かち書きの使い勝手を向上することを目的としてなされ、次の構成を採った。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の第1の仮名漢字変換装置は、
辞書を参照して、入力された仮名文字列を文節分かち書きし、仮名漢字混じり文字列候補を生成する仮名漢字変換装置であって、
自立語の読みと表記とを記憶した自立語辞書を記憶する自立語辞書記憶手段と、
助詞、助動詞などの付属語に加えて、補助用言、形式名詞、接辞を付属語として、かつ他の付属語とは区別可能な見掛け自立語として、付属語辞書に、読みと表記とを記憶する付属語辞書記憶手段と、
自立語のみの文節、および自立語と付属語が結合した文節を前記文節分かち書きの基本単位として扱うものとし、自立語と付属語とが結合した文節のコストが自立語のみからなる文節のコストを上回らないという規則の下で、前記入力した仮名文字列を、前記文節に与えられたコストの総和が最小となる前記文節の連なりとして分かち書きする手段と、
前記分かち書きされて得られた各文節のうち自立語と前記見掛け自立語に属する付属語との結合からなる文節については、該付属語と自立語とを区切って各々独立に単語候補を表示し、他方、自立語と前記見掛け自立語に属さない付属語との結合からなる文節については、該文節を単位とする区切りで単語候補を表示し、前記各単語候補について他の単語候補を表示する際には、該区切り毎にカーソルを表示する手段と
を備えること要旨とする。
【0010】
また、本発明の仮名漢字変換方法によれば、
辞書を参照して、入力された仮名文字列を文節分かち書きし、仮名漢字混じり文字列候補を生成する仮名漢字変換方法であって、
自立語の読みと表記とを記憶した自立語辞書と、付属語の読みと表記とを記憶した付属語辞書とが記憶装置に予め記憶されており、
しかも、前記付属語辞書には、助詞、助動詞などの付属語に加えて、補助用言、形式名詞、接辞が付属語として、かつ他の付属語とは区別可能な見掛け自立語として記憶されており、
自立語のみの文節、および自立語と付属語が結合した文節を前記文節分かち書きの基本単位として扱うものとし、自立語と付属語とが結合した文節のコストが自立語のみからなる文節のコストを上回らないという規則を、前記入力した仮名文字列に対してコンピュータが適用し、前記文節に与えられたコストの総和が最小となる前記文節の連なりとして、前記仮名文字列を分かち書きし、
前記分かち書きされて得られた各文節のうち自立語と前記見掛け自立語に属する付属語との結合からなる文節については、コンピュータが、該付属語と自立語とを区切って各々独立に単語候補を表示装置に表示し、他方、自立語と前記見掛け自立語に属さない付属語との結合からなる文節については、該文節を単位とする区切りで単語候補を前記表示装置に表示し、前記各単語候補について他の単語候補を表示する際には、前記コンピュータが、該区切り毎にカーソルを表示すること
を要旨とする。
【0011】
かかる仮名漢字変換装置および仮名漢字変換方法では、自立語と付属語の結合を文節の基本単位として扱うが、このうち所定の付属語との結合からなる文節については、文節を構成する単語候補の表示においては、この付属語と自立語とを独立に表示する。したがって、文節分かち書きにおける最小単位である文節と表示における最小単位とが異なるものとなり、文節分かち書きの正確さと使い勝手とを両立させることができる。
【0013】
また、前記所定の付属語について、異なる単語候補が選択された場合には、他の文節におけるその付属語について、該選択された単語候補を第一候補として表示する学習手段を備えることも好適である。接頭語を例に取ると、「ごしゅっせき」という文節で、「ご出席」に代えて「御出席」が選択された場合には、以後の「ごあいさつ」などの文節でも「御挨拶」を優先するのである。
【0015】
本発明の第二の仮名漢字変換装置は、
辞書を参照して、入力された仮名文字列を文節分かち書きし、仮名漢字混じり文字列候補を生成する仮名漢字変換装置であって、
自立語の読みと表記とを記憶した自立語辞書を記憶する自立語辞書記憶手段と、
助詞、助動詞などの付属語に加えて、補助用言、形式名詞、接辞を付属語として、かつ他の付属語とは区別可能な見掛け自立語として、付属語辞書に、読みと表記とを記憶する付属語辞書記憶手段と、
自立語のみの文節、および自立語と付属語が結合した文節を前記文節分かち書きの基本単位として扱うものとし、自立語と付属語とが結合した文節のコストが自立語のみからなる文節のコストを上回らないという規則の下で、前記入力した仮名文字列を、前記文節に与えられたコストの総和が最小となる前記文節の連なりとして分かち書きする手段と、
前記分かち書きされて得られた各文節のうち自立語と前記見掛け自立語に属する付属語との結合からなる文節については、該付属語と自立語とを区切って各々独立に単語候補を表示し、他方、自立語と前記見掛け自立語に属さない付属語との結合からなる文節については、該文節を単位とする区切りで単語候補を表示する文節表示手段と、
前記カーソルが表示された区切り毎に次候補の指示がなされたとき、同じ変換手続により、前記見掛け自立語に属する付属語と前記自立語については、個別に次候補を表示する次候補表示手段と
を備えたことを要旨とする。
【0016】
この仮名漢字変換装置は、分かち書き手段が、自立語と付属語の結合を文節の基本単位として扱うものとし、入力した仮名文字列を、所定の規則に照らして妥当と判断される文節の連なりとして分かち書きするが、得られた各文節のうち自立語と所定の付属語との結合からなる文節については、文節表示手段が、文節を構成する単語候補の表示において、付属語と自立語とを独立に表示する。その上で、文節について次候補の指示がなされたとき、次候補表示手段が、付属語と自立語については、個別に次候補を表示する。従って、文節分かち書きのための文節と次候補表示のための文節とを異なる扱いとすることができ、正確な文節分かち書き処理と使い勝手の良い次候補表示とを両立させることができる。
【0017】
【発明の他の態様】
本発明の他の態様としては、
コンピュータのメモリにロードされることで、コンピュータに備えられた入力手段から仮名文字列を入力し、辞書を参照して、該入力された仮名文字列を文節分かち書きし、仮名漢字混じり文字列候補を生成する仮名漢字変換装置を実現するプログラムを記録した媒体であって、
自立語と付属語の結合を文節の基本単位として扱うものとし、前記入力した仮名文字列を、所定の規則に照らして妥当と判断される前記文節の連なりとして分かち書きすると共に、
該各文節のうち自立語と所定の付属語との結合からなる文節については、該文節を構成する単語候補の表示においては、該付属語と自立語とを独立に表示するプログラムを記録した媒体などを考えることができる。
【0018】
この媒体はコンピュータのフレキシブルディスク装置や光磁気ディスク装置などに装着され、磁気的な手段や光学的な手段により記録したプログラムをコンピュータのメモリに転送することにより、コンピュータにおける仮名漢字変換機能を実現するものである。
【0019】
また、文節分かち書きやその後の候補単語の表示において、係り受けの情報を利用することも、所望の日本語文字列を得る上で好適である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は本発明の好適な一実施例である仮名漢字変換装置において、仮名漢字変換制御ロジックが実際に動作するハードウェアの構成を示すブロック図である。図1に示すように、この装置は、予め設定されたプログラムに従って仮名漢字変換に関わる動作を制御するための各種演算処理を実行するCPU21を中心に、バス31により相互に接続された次の各部を備える。ROM22は、CPU21で各種演算処理を実行するのに必要な仮名漢字変換に関わるプログラムやデータなどを予め格納しており、RAM23は、同じくCPU21で各種演算処理を実行するのに必要な仮名漢字変換に関わる各種データが一時的に読み書きされるメモリである。キーボードインターフェース25は、キーボード24からのキー入力を司り、CRTC27は、カラーで表示可能なCRT26への信号出力を制御し、プリンタインターフェース29は、プリンタ28へのデータの出力を制御する。ハードディスク32には、RAM23にロードされて実行される各種プログラムやデバイスドライバの形式で提供される仮名漢字変換処理プログラム、あるいは各種変換辞書などが記憶されており、このハードディスク32をハードディスクコントローラ(HDC)30が制御する。タイマ33は、現時点における時刻、年月日などの所定の時点を示す日時情報を発生している。
【0021】
このように構成されたハードウェアにより、文字列の入力、仮名漢字変換、編集、表示、印刷などがなされる。すなわち、キーボード24から入力された文字列は、ハードディスク32に記憶した各種データを参照しながらCPU21により所定の処理がなされ、RAM23の所定領域に格納され、CRTC27を介してCRT26の画面上に表示される。
【0022】
次に、こうして構成されたハードウェアにより実行される仮名漢字変換処理の詳細について説明する。まず、に図2を用いて仮名漢字変換処理に関わる各部の構成と働きについて概説するが、ここで行なわれる処理は、キーボード24より入力されたデータに基づき、中央処理装置(CPU21)が実行するものである。このCPU21により、すべての処理が行なわれる。仮名漢字変換については、キーボード24が操作されたとき、所定の割り込み処理が起動し、入力したキーイメージを対応する仮名文字列に変換し、更にこれを仮名漢字混じり文字列に変換するデバイスドライバが起動する。もとより、並行処理可能なコンピュータであれば、仮名漢字変換を一つのアプリケーション(インプットメソッド)が行なうものとし、変換結果を、必要とするアプリケーションに引き渡す構成としても差し支えない。この場合には、キーボード24からの入力をインプットメソッドが一括して引き受けることになる。
【0023】
キーボード24からのキーイメージは、文字入力部40により受け付けられ、ここで、対応する文字列に変換される。ローマ字入力の場合には所定の変換テーブルを参照して、仮名文字列に変換する。一つの仮名文字が得られる度に文字入力部40は、その仮名文字を変換制御部42に送出する。この変換制御部42は、仮名漢字変換の中心的な役割を果たすところであり、後述する種々の仮名漢字変換を制御して、結果を変換後文字列出力部44に送出する。変換後文字列出力部44は、現実には、CRTC27に信号を送り、CRT26に変換後文字列を表示する。
【0024】
変換制御部42は、受け取った仮名文字を文字列入力部50に引き渡す。文字列入力部50は、文字格納部52に仮名文字列を格納する。この文字列に基づいて、自立語候補作成部54と付属語候補作成部64とが、単語データの候補を作成する。自立語候補作成部54は、ハードディスク32に予め記憶された自立語辞書58を用い、自立語解析位置管理部56の管理の下で、得られた仮名文字列から自立語候補を抽出する処理を行なう。一方、付属語候補作成部64は、同じく付属語辞書68を用い、付属語解析位置管理部66の管理の下で、得られた仮名文字列から付属語候補を抽出する処理を行なう。解析位置を移動しつつ、自立語候補と付属語候補を抽出する処理については、後述する。
【0025】
自立語辞書58および付属語辞書68は、B−Tree構造を有し、数万の語について、読みと、表記と、品詞と、意味用例(係り受け情報)と、その他のデータを記憶している。以下、自立語辞書58の構成について説明する。単語辞書58は、図3に示すように、ヘッダとインデックスと辞書本体からなる。ヘッダは、辞書自体を管理するための情報である。インデックスおよび辞書本体は、代表表記と派生表記と意味用例とに分けて管理されている。代表表記とは、一つの単語が複数の表記を許容されている場合、例えば「取り扱い」に対して「取扱い」や「取扱」などが表記として許されている場合、「取り扱い」をこれらの表記を代表するものとする、というように予め定めた単語表記である。派生表記とは、「取扱い」「取扱」の様に、一つの単語に対して許容されたその他の表記のことである。文節分かち書き処理を行なう際には、このように派生表記を有する語については、派生表記を代表する代表表記を用いて文節分かち書き処理が行なわれる。意味用例についての領域は、ある語と他の語との間に生じる特定の関係、例えば「暑い夏」における「暑い」と「夏」、「熱いお茶」における「熱い」と「お茶」など、ある語が他の特定の語と共に用いられやすい関係(以下、この関係を「係り受け」と呼ぶ)に関する情報が管理されている領域である。
【0026】
これらの代表表記、派生表記、意味用例は、辞書本体においては、BーTree構造により管理されている。B−Tree構造は、多数のデータを外部記憶に置く場合に採用される周知の管理構造であり、本実施例のB−Tree構造では、分木の節にはデータを置かず、データはすべて分木の終端に置く構造を取っている。多分木の構造を取っているので、2分木と比べて木構造の深さが浅くなり、外部記憶を用いる場合には、アクセス時間を短いという特徴を有するものとして知られている(B+Treeと呼ぶこともある)。辞書本体におけるB−Tree構造の一例を図4に示した。単語の読み(仮名文字列)に基づいてB−Tree制御ブロックを辿って単語ブロックに至ると、ここに実際の単語データがおかれている。なお、このタイプのB−Tree構造では、当初、キーは、その節に置くことができるキーの最大数より少ない数だけ置かれ、データの追加などに柔軟に対応できるものとしている。
【0027】
以下に、単語の読みに基づいてB−Tree制御ブロックを辿る様子を図4に即して説明する。例えば、「かわき」という仮名文字列が入力され、自立語辞書58における代表表記領域で検索が開始されるときを示す。B−Treeの根元にあたる1段目には、それぞれ1つの文字を持つキーが50音順に並んでいる。「かわき」から次段のどの分木に検索を進めるかは、「かわき」の最初の文字である「か」を、1段目の節S1の各キーと比較することにより知ることができる。この例では、「かわき」は少なくともキー「か」とキー「さ」との間に存在するから、2段目の節S2が探索の対象となる。次にこの節S2において、同様の判断を行ない、「かわき」という読みは50音順でキー「かる」より後、キー「くり」より前であると判断し、キー「かる」以降でキー「くり」間での範囲に対応する3段目の節S3が探索される。この3段目の4個のキーの中で「かわき」を検索すると、50音順でキー「かわ」より後、キー「きじ」より前であるので、この範囲に対応する単語ブロックが探索される。この範囲に対応する単語ブロックの中に「かわき」という読みを持つ語に関する実際の単語データが格納されているのである。
【0028】
代表表記領域などの単語データは、大まかには、図5に示すデータ構造を有している。即ち、先頭に単語データのレコード長Xを示すデータが存在し、その後、Xバイトの実データが続いている。実データの先頭には、見出し語の長さYが記録されており、続いてYバイトの見出し語が記録されている。実際の単語データは、その後に続いている。単語データは、その先頭に単語長Wが記録されており、その直後に漢字データの有無などを示す1バイトのフラグが記録されている。フラグの後には、漢字データが記録されているが、この漢字データは、漢字データ長と実際の漢字文字列を示す漢字コードから構成されている。その後、単語情報および品詞データ(場合によっては複数の品詞データ)が記録されている。単語情報は、単語情報の長さを示すデータと、実際の単語情報とからなる。また、品詞データは、品詞データの長さを示す品詞データ長とその後の主たる品詞および品詞に関する品詞情報からなる。品詞情報は、通常複数あり、その後の意味上の役割(人名、役職、住所、動物・・・・等)を示す情報や、活用形、活用語尾長、連語品詞、短文品詞、特殊品詞など様々な情報が記憶されている。このほか、その語が、接頭語を取りうるか否か、接尾語を取りうるか否か、連用名詞化するか否か、自動詞か他動詞か、意志動詞か無意志動詞かなどの情報も記憶されている。
【0029】
自立語辞書58,付属語辞書68では、B−Tree構造を用いて、単語の見出し文字列に基づいて、所望の単語に関する情報を取り出すことができる。これらの単語情報は、更に図9に示すように、セパレータとこれに続くデータとから構成されている。セパレータとしては、それ以後に続くデータが表示される漢字のデータであることを示す表示漢字セパレータや、データが読み情報であることを示す読み情報セパレータ、派生表記であることを示す派生表記セパレータなどがある。表示漢字とは、一つの単語に代表表記と派生表記とがある場合に、デフォルトで漢字を表示するために、代表表記に対応する漢字での表記を記録しているものである。派生表記には種々の形態が存在するが、各単語についてはそれぞれ許容された表記が派生表記情報として記憶されている。派生表記セパレータは、派生表記領域にのみ存在する情報であり、その下位3ビットは、各派生表記セパレータの後に情報が記憶されている派生表記が、派生表記の形態の何種類分に対応するのかを示している。一例として、「売り上げ」という単語を挙げると、「売り上げ」という表記は、派生表記の「本則」と「送る」の両者に該当するため、その派生表記セパレータの下位3ビットには、派生表記形態の2種類に対応するとして、値2が設定されている。また、読み情報は、単語の読みを与えるものであり、見出し語が漢字である場合などにその読みを与えるものである。この情報は、漢字からその読みを得て、読みを同じくする単語を検索する場合などに用いられる。例えば、文字の入力をキーボードからの他に手書き入力などで行なって、仮名と共に漢字を含む文字列が入力されたとき、これを正しく変換する際に用いられる(例「ひ行き」→「飛行機」)。なお、一つの代表表記とこの代表表記に対応する派生表記とは、別々の領域で管理されているが、単語の読み(見出し)と単語の品詞情報とが一致するものについて、対応関係があるとみなしている。
【0030】
同音異義語や接辞の表記について、仮名漢字変換においていずれかの語や表記が選択されると、これを自立語辞書58内に記録し、次回以降の変換では、その語が第一候補になりやすくする学習処理がなされている。この学習処理を行なうのが、図2に示した自立語学習部72、補助語学習部74、接辞学習部76、文字変換学習部78である。自立語学習部72は、同音異義語の存在する自立語群において、最後に選択された単語を次回以降の変換において最優先の候補とするよう学習するものである。補助語学習部74は、例えば「ください」などの補助語を「ください」「下さい」など、いずれの語形で変換するかを学習するものである。更に、接辞学習部76は、接頭語、接尾語などの変換形式(例えば、「御」「ご」など)を学習するものである。文字変換学習部78は、入力した文字列をそのままひらがなやカタカナとして確定させた場合に、その文字列を学習し、次回以降の変換処理では確定させたひらがなまたはカタカナを候補として出力するものである。
【0031】
付属語辞書68も、基本的には自立語辞書と同一の構造を備える。両辞書に登録されている語の種別を以下に示す。
Figure 0003873305
ここで、「表示上の取扱い」とは、文節分かち書きなどの処理で用いられる文法情報とは別に、文節分かち書きされた文字列をCRT26に表示する際の取扱いに関する情報である。補助用言や形式名詞に、接辞については、自立語ではないが、表示においては見掛け上、自立語として扱うので、「見掛け自立語」という取り扱うものとしている。見掛け自立語と自立語との違いについては、後で詳しく説明する。
【0032】
自立語候補作成部54および付属語候補作成部64により作成された語候補は、単語データ作成部80に出力される。単語データ作成部80が、作成された語候補を得て、各語候補についてのデータを作成する。単語データ作成部80の制御の下で、接続検定部82は、得られた自立語と付属語、自立語と自立語、更には「自立語+付属語」からなる文節間の接続を、接続検定テーブル84を参照して検定する。また、コスト計算部86は、全体のコスト計算を行なう。これら接続検定部82およびコスト計算部86の処理の結果を得て、単語データ作成部80は、単語毎のコストや連なりの妥当性に関するデータを出力する。この単語データは、一旦単語データ格納部100に格納され、文節分かち書きの処理に供される。文節分かち書き部102は、得られたデータから文節分かち書きの第1候補を決定する。
【0033】
以上の処理により文節分かち書きの第1候補と、その文節毎の仮名漢字変換の第1候補が決定される。文節分かち書き部102は、その候補を文節データ格納部106に格納し、格納された候補は、変換文字列出力部108により変換制御部42に出力される。変換制御部42は、この文字列を候補文字列として表示すると共に、非所望の文字列が候補となる場合もありえるから、使用者による指示を受けて、次候補の表示や選択などの処理を行なう。これらの指示や選択の結果などは、文節データ格納部106や既述した各学習部72ないし78に入力され、文節の一部確定や学習による優先順位の書き換えなどに用いられる。なお、図示していないが、使用者により文字列の確定処理がなされると、各部に一時的に保存されたデータはすべて消去され、次の変換に備える。
【0034】
以上、仮名文字列の入力から変換後文字列の出力までを概説したが、次に各処理の詳細について説明する。まず始めに仮名漢字変換処理について大まかに説明し、次に単語辞書の構造、各処理の詳細について説明する。図7は、本実施例における仮名漢字変換処理ルーチンの概略を示すフローチャートである。この処理ルーチンは、キーボード24から一ないし複数の仮名文字が入力された後、変換キー(例えば「スペースキー」)が押されたとき、開始される処理である。なお、変換キーが操作されなくても、所定数の仮名文字が入力されたとき、あるいは「。」や「、」「.」などの区切り記号が入力されたときに、図7の仮名漢字変換処理が開始されるものとしても差し支えない。
【0035】
この処理が開始されると、まず単語検索処理(ステップS100)と分かち書き処理(ステップS110)とが行なわれる。これらの処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。図8は一般的な文節分かち書き処理の一つである最小コスト法による文節分かち書き処理の概要を示すフローチャートであり、図7におけるステップS100およびステップS110に相当する。また、図9は、最小コスト法による文節分かち書きの様子を示す説明図である。以下、図7における文節分かち書き処理の流れを、図9での具体例に即して説明する。
【0036】
キーボード24から文字列が入力されて文節分かち書き処理が開始されると、まず、展開バッファに保存されたデータの消去や解析位置を1桁目に初期化するなどの初期化の処理(ステップS200)を行なった後、解析位置を求める処理を行なう(ステップS210)。いま、キーボード24から「はしるときえだがじゃまだ」という仮名文字列を入力したならば、最初の解析位置は1桁目の「は」の位置となる。この解析位置は、入力された仮名文字列の解析が進むに従って、入力された仮名文字列の先頭から順に一つずつ進められていく。すなわち、まず「は」の位置を解析位置として、後述するような検索処理を行ない、その後、次の解析位置を「し」とし、その次は「る」というように順次進んで行くのである。
【0037】
ステップS210で解析位置が決まると、各解析位置において、ハードディスク32に記憶された自立語辞書58および付属語辞書68を検索する処理を行なう(ステップS220)。例えば、いま解析位置が図9の「は」の位置であるとすると、「葉」「歯」「波」などの単語が検索結果として得られる。「は」には、付属語としての「は」も存在するが、付属語が先頭に来る場合の取扱いは別になるので、ここでは取り上げない。これら検索の結果得られた単語は、図9に示すように、その単語の終わる桁位置にリンクしておく。「はしる」まで検索を行なうと、「はしる」以降の読みを持つ自立語(例えば、「はしると」や「はしるとき」など)は辞書を検索しても見つからないため、「は」を解析位置とした辞書検索を終了する。辞書は、B−Tree構造を取っているため、それ以上長い読みの単語があるか否かは容易に知ることができる。辞書検索が終了すると、得られた単語についてそれ以前の単語との結合の可能性をチェックする処理を行なう(ステップS230)。上記「は」を解析位置とした例では、「は」は入力された文頭の文字であるためそれ以前の単語との結合の可能性をチェックすることはないが、例えば、係助詞の直前に助詞が存在する場合など、その結合がありえないと判断される時には、無効なデータとして扱われる(ステップS235)。
【0038】
結合の可能性のある単語については、次にコスト計算を行ない、その単語の最小総コストを求める処理を行なう(ステップS240)。これは、自立語=2、付属語=0のコストを持つものとし、入力された文字列の先頭から各単語までの最小総コストを求める処理である。図9では、付属語は二重四角で囲って示した。コスト計算は次のように行なう。先頭の自立語「葉」(自立語)の場合は、総コストは自身のコスト2となり、「四」の総コストは「葉」(自立語)+「四」(自立語)と考え、そのコストは4となる。このとき、最小の総コストを求めるため、「る」の総コストは、「葉」+「四」+「留」のコスト6ではなく、「橋」+「留」の場合のコスト4を採用する。「氏」や「市」は、人の名字や都市名に付属する接辞の一種として扱うことができるので、実施例では付属語として扱っている。したがって、その直前にリンクされた単語のうち最小の総コストを有する単語「葉」=2のコストがそれ自身のコストになる。図9では、各単語のコストをそれぞれの右下に記した。図9に示した例では、形式名詞「とき」を付属語として処理しているので、「はしるとき」は、自立語「走る」+形式名詞「とき」でコスト2として処理している。なお、本実施例では、付属語のコストを一律に0として扱ったが、付属語を、更に助動詞とそれ以外に分け、前者のコストを値1、後者のコストを値0として扱うことなども好適である。
【0039】
以上のコスト計算が終わると、次に各単語のコストチェックを行なう(ステップS250)。これは、文字列を単語の組合わせに分けたとき、他の組合わせに較べてコストが大きくなる組合わせを除く処理である。例えば、「葉」+「四」という組合わせは「橋」や「端」のコストよりも高くなるので、「葉」+「四」の組合わせは不適切であると判断して、文節候補から除外する(ステップS255)。図9では、このようなコストチェックの結果文節候補として採用しないと判断した単語の右上に「●」を、文節候補を形成する可能性のある語として残った単語の右上に「○」を付した。
【0040】
次に、こうして有効な語として残った単語同士をリンクする処理を行なう(ステップS260)。すなわち、前記の結合チェックの結果、結合が有効とされた単語の組合わせについて、ポインタを設定することで単語同士を結び付けるのである。図9の例では、「は」を解析位置としている場合には、「はしるとき」まで解析し、自立語「走る」と付属語である形式名詞「とき」をリンクする。
【0041】
以上のような結合チェック、コスト計算、コストチェック、単語間のリンクなどの処理を一つの解析位置で検索されるすべての単語について終了すると、ステップS210に戻って解析位置を一桁進めて再び辞書検索を行ない、結合チェックやコスト計算など同様の処理を繰り返す。
【0042】
解析位置が入力された仮名文字列の最後の桁に達し、入力した仮名文字列の全語について解析が終了すると(ステップS265)、次に、以上の解析結果を踏まえて最小コストパスの検索が行なわれる(ステップS270)。このステップでは、これまでの処理の中で有効な単語として残り互いにリンクされた組合わせの中で、各単語に与えられたコストの合計が最小になる組合わせを検索する。図9の例ではコスト計算からは、
▲1▼文節「走るとき」(コスト2)+文節「枝が」(コスト2)+文節「邪魔だ」(コスト2)のリンク(図9実線G、総コスト6)、
▲2▼文節「走る」(コスト2)+文節「時枝が」(「時枝は人名・文節のコスト2)+文節「邪魔だ」(コスト2)のリンク(図9破線B、総コスト6)、
▲3▼文節「走る」(コスト2)+文節「時江だが」(「時江」は人名・文節のコスト2)+文節「邪魔だ」(コスト2)のリンク(図9一点鎖線R、総コスト6)
の3つが、妥当な文節の連なりとして残ることになる。更に、結びつきが強い単語間には、特別なコストが割り当てられているので、この点を評価して最小コストのパスを検索するのである。即ち、自立語+形式名の結合は、語の現れ方として、より一般的と考えられるので、この結合にコスト「−1」を与えるものとしている。したがって、▲1▼のパスが全体として最小コスト(16−1=15)のパスとして検索されることになる。このほか、接辞+自立語や自立語+補助用言などについても、単語間の結合が強いものと評価し、最小コストを求める上で、有利な取扱いをしている。
【0043】
このように最小コストを持つ文節分かち書き候補が作成されると(ステップS280)、次に文節分かち書き候補の各文節内での候補が作成される(ステップS290)。例えば「えだ」という単語に対して「枝」「江田」「荏田」などの同音異義語が候補として用意される。これら各文節内での候補は、自立語学習部72により、直前に使用した語を最優先で選択するなど所定の方法で優先順位が決められている。ここで、形式名詞「とき」という語についても、「とき」と「時」のいずれが優先順位が高いかが、補助語学習部74により決定される。図9に例示した「はしるときえだがじゃまだ。」という文字列を文節分かち書きすると、図中に実線Gで示した「走るとき」+「枝が」+「邪魔だ」が第1候補として得られることになる。
【0044】
以上の説明では、説明を簡略にするためにコスト計算は各単語自身のコストを基本とし、例外的に特定の品詞間の結合し易さに着目した単語間コストを設け単語間の結びつきの優先順位の高いものについて言及したが、文法上結合し易いと判断される文節間のコストを下げるための文節間コストを設けるなど、所望の変換結果を得やすくするための様々な工夫を加えることが可能である。
【0045】
上記の処理により作成された文節分かち書き候補に対して、次に、文節分かち書き処理を施した変換結果をCRTディスプレイ26に出力する表示処理(ステップS130)を行ない、その後、第一候補を表示した文節のいずれかについて次候補の要求があるかを判断し(ステップS140)、次候補の要求がある場合には、次候補処理(ステップS150)を行なって、この仮名漢字変換処理ルーチンを終了する。
【0046】
この表示処理(ステップS130)について説明する。図10は、これらの処理の詳細を示すフローチャートである。この処理が開始されると、まずステップS110までの処理によりなされた文節分かち書きの結果を受けて、最小コストとなるパスの各文節を展開バッファから読み出す(ステップS300)。次に、第1文節を指定すべく変数Nを値1とし(ステップS310)、第N文節に見掛け自立語が存在するか否かの判断を行なう(ステップS320)。見掛け自立語は、既に説明したように、本実施例では、補助用言,形式名詞,接辞が該当する。従って、図9に示した例では、「走るとき」という文節に着目した場合には、形式名詞が存在することから、見掛け自立語ありと判断することになる。
【0047】
見掛け自立語が存在する場合には(ステップS320)、見掛け自立語を独立の文節として文節区切りを追加する処理を行なう(ステップS330)。「走るとき」の例では、見掛け自立語「とき」を独立の文節として扱うことができるよう「走る」と「とき」との間に文節区切りの情報を追加するのである。文節区切りの情報の追加は、本実施例では、展開バッファ内に展開されている仮名文字列において、文節の区切りを示す情報を文字間に加えることにより実現している。なお、追加される新たな文節の区切りの情報は、文節分かち書き本来の処理により付与された区切りの情報と区別可能な形態としておくことが、後の候補文字列の表示の処理上好ましい。見かけ自立語が存在する場合に文節区切りの情報を追加する以上の処理は、見掛け自立語をそれぞれの文法情報(形式名詞など)を用いて文節分かち書きし、自立語+形式名詞の結びつきからなる一つの文節として切り出した文節について、後から文節の区切りを追加するのであって、「とき」を自立語と見て文節分かち書きをやり直すというものではない。
【0048】
第N文節に見掛け自立語があれば文節区切りを追加し(ステップS330)、第N文節に見掛け自立語がなければ、特に文節区切りの追加などは行なわず、その後、変数Nを値1だけインクリメントし(ステップS340)、全文節が終了した否かの判断を行なう(ステップS350)。全文節について終了していなければステップS320に戻って上述した処理を繰り返す。即ち、入力された一連の仮名文字列について得られた全文節について、見掛け自立語の存在についての検討が終了するまで、変数Nをインクリメントしつつ、各文節について、見掛け自立語が存在するか否かを判断し、見掛け自立語を含む文節については、これを独立の文節として扱えるよう、文節区切りを追加するのである。
【0049】
全文節について、上述した処理が完了したと判断した場合には(ステップS350)、得られた全文節をCRT26上に表示する処理を行なう(ステップS360)。この場合、文節分かち書きにより得られた文節はもとより、ステップ330の処理により追加された文節(見掛け自立語の文節)も、独立した文節として表示される。この様子を図11に示した。即ち、「はしるときえだがじゃまだ」という文字列から得られた「走るとき」+「枝が」+「邪魔だ」という文節(以下、内部文節という)に対して、見掛け自立語である「とき」を独立の文節として文節区切りを追加し、図11下欄に示すように、「走る」+「時」+「枝が」+「邪魔だ」と区切って表示するのである(以下、これを表示文節という)。
【0050】
したがって、これら4つの文節のいずれかにカーソルを置き、キーボード24の「次候補」が割り当てられたキーを操作すると、その語の次候補あるいは次候補以下の候補が表示される。即ち、図9を例にとれば、「走る」にカーソルキーが存在する場合には、「はしる」が表示され、「とき」にカーソルキーが存在する場合には、「時」や「朱鷺」等が表示されることになる。従来、形式名詞「とき」を単に付属語として扱っていると、「走るとき」が次候補表示可能な文節の単位になってしまい、「走る時」を表示させようとすると、予め「走るとき」と「走る時」とを登録しておくか、文節区切りの変更をいちいち指示する他なかったのと比べると、辞書登録すべき語をむやみに増やす必要がなく、辞書容量を小さくすることができる。この結果、辞書検索の時間も短縮することができる。また、文節区切りの位置の変更をいちいち指示する必要もない。他方、形式名詞「とき」を自立語として扱っていたものでは、「走る」+「とき」+「枝が」よりも「走る」+「時枝が」の方が文節数が少なくなるので、こちらが優先されてしまい、所望の文節分かち書きを得ることができなかった。本実施例では、文節分かち書きのための内部文節と、次候補表示のための表示文節とを異なるものとしているので、これらの問題を悉く解決することができる。
【0051】
同様に、「あそんでいるまについた」を文節分かち書きする場合を考えると、「遊んで」に連なる「いる」は、自立語(動詞)「居る」と考えるよりも、補助用言であって、「遊んで」と結合した一文節「遊んでいる」と扱うのが妥当である。そこで、本実施例では、補助用言についても、内部文節を構成するまでは付属語として扱い、表示文節において、図12に示すように、独立の文節として表示し、次候補の表示を可能としている。したがって、「いる」について他の候補が必要となった場合、文節の長さの区切り直しなどを行なうことなく、直ちに次候補を表示させることができる。
【0052】
本実施例では、接辞も同様に扱い、内部文節と表示文節とを異ならせている。図13に示した例「1かいのさぎょう」を文節分かち書きする場合、「かい」を接辞と見なし、助数詞「回」や「階」などが数詞「1」に付属して文節を構成するとして扱っている。このため、「1」+「甲斐の」+「作業」とはならず、より確からしい文節候補「1回の作業」が得られる。しかも、表示文節としては、「1」+「回の」+「作業」となるから、「1」の次候補「一」や「壱」、「回の」の次候補「階の」や「甲斐の」を得ることも容易である。
【0053】
同様に、指示連体詞「その」が含まれる仮名文字列の文節分かち書きについて例示する。例えば、図14に示したように、「そのきょうかいでは」という文字列を分かち書きする場合、指示連体詞である「その」を自立語として扱うものとすると、「その」について「園」が学習されていると、「園」+「境界では」といった語候補が得られてしまう。しかし、指示連体詞「その」を文節分かち書き処理では付属語として扱えば、「その境界では」が一つの文節として区切られ、好ましい語候補が得られる。しかも、表示文節では、指示連体詞の部分を独立の文節として表示するから、ここにカーソルを移動して次候補の表示を指示すれば、容易に次候補「其の」や「園」を得ることができる。同様に、「境界では」についても「協会では」や「教会では」などの次候補を表示することができる。
【0054】
以上説明した実施の形態では、文節分かち書きにおいては、形式名詞、接辞、補助用言、指示連体詞などを付属語として扱い、表示と次候補の選択においてはこれらを自立語として扱っている。したがって、これらの語は、文節分かち書きでは、自立語に付属する語として扱われて、好ましい文節の切りだしを可能とさせ、他方、次候補の選択という場面では、あたかも自立語のように扱って次候補を表示させることができる。この結果、仮名文字列を入力して漢字仮名混じりの日本語を得る仮名漢字変換装置としては、文節分かち書きの正確さと使い勝手の良さとを両立させることができる。
【0055】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、例えば最小コスト法に替えて2文節最長一致法などの他の文節分かち書きの手法を用いた構成など、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる様態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である仮名漢字変換装置が実現されるハードウェアを示すブロック図である。
【図2】実施例としての仮名漢字変換装置における仮名漢字変換機能の実現形態を示す機能ブロック図である。
【図3】自立語辞書58の内部構成を示す説明図である。
【図4】代表表記領域の管理の様子を示す説明図である。
【図5】単語データの構成を示す説明図である。
【図6】単語情報の詳細を各セパレータとともに示す説明図である。
【図7】本発明の実施例で実行される仮名漢字変換処理ルーチンを説明するフローチャートである。
【図8】文節分かち書き部102において実行される文節分かち書き処理を示すフローチャートである。
【図9】最小コスト法による文節分かち書き処理の様子を示す説明図である。
【図10】表示・次候補処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図11】形式名詞が含まれる文節分かち書きの様子と表示との相違を示す説明図である。
【図12】補助用言が含まれる文節分かち書きの様子と表示との相違を示す説明図である。
【図13】接辞が含まれる文節分かち書きの様子と表示との相違を示す説明図である。
【図14】指示連体詞が含まれる文節分かち書きの様子と表示との相違を示す説明図である。
【符号の説明】
21…CPU
22…ROM
23…RAM
24…キーボード
25…キーボードインターフェース
26…CRTディスプレイ
27…CRTC
28…プリンタ
29…プリンタインターフェース
31…バス
32…ハードディスク
33…タイマ
40…文字入力部
42…変換制御部
44…変換後文字列出力部
50…文字列入力部
52…文字格納部
54…自立語候補作成部
56…自立語解析位置管理部
58…自立語辞書
64…付属語候補作成部
66…付属語解析位置管理部
68…付属語辞書
72…自立語学習部
74…補助語学習部
76…接辞学習部
78…文字変換学習部
80…単語データ作成部
82…接続検定部
84…接続検定テーブル
86…コスト計算部
100…単語データ格納部
102…文節分かち書き部
106…文節データ格納部
108…変換文字列出力部

Claims (4)

  1. 辞書を参照して、入力された仮名文字列を文節分かち書きし、仮名漢字混じり文字列候補を生成する仮名漢字変換装置であって、
    自立語の読みと表記とを記憶した自立語辞書を記憶する自立語辞書記憶手段と、
    助詞、助動詞などの付属語に加えて、補助用言、形式名詞、接辞を付属語として、かつ他の付属語とは区別可能な見掛け自立語として、付属語辞書に、読みと表記とを記憶する付属語辞書記憶手段と、
    自立語のみの文節、および自立語と付属語が結合した文節を前記文節分かち書きの基本単位として扱うものとし、自立語と付属語とが結合した文節のコストが自立語のみからなる文節のコストを上回らないという規則の下で、前記入力した仮名文字列を、前記文節に与えられたコストの総和が最小となる前記文節の連なりとして分かち書きする手段と、
    前記分かち書きされて得られた各文節のうち自立語と前記見掛け自立語に属する付属語との結合からなる文節については、該付属語と自立語とを区切って各々独立に単語候補を表示し、他方、自立語と前記見掛け自立語に属さない付属語との結合からなる文節については、該文節を単位とする区切りで単語候補を表示し、前記各単語候補について他の単語候補を表示する際には、該区切り毎にカーソルを表示する手段と
    を備えた仮名漢字変換装置。
  2. 請求項1記載の仮名漢字変換装置であって、
    前記所定の付属語について、異なる単語候補が選択された場合には、他の文節におけるその付属語について、該選択された単語候補を第一候補として表示する学習手段を備えた仮名漢字変換装置。
  3. 辞書を参照して、入力された仮名文字列を文節分かち書きし、仮名漢字混じり文字列候補を生成する仮名漢字変換装置であって、
    自立語の読みと表記とを記憶した自立語辞書を記憶する自立語辞書記憶手段と、
    助詞、助動詞などの付属語に加えて、補助用言、形式名詞、接辞を付属語として、かつ他の付属語とは区別可能な見掛け自立語として、付属語辞書に、読みと表記とを記憶する付属語辞書記憶手段と、
    自立語のみの文節、および自立語と付属語が結合した文節を前記文節分かち書きの基本単位として扱うものとし、自立語と付属語とが結合した文節のコストが自立語のみからなる文節のコストを上回らないという規則の下で、前記入力した仮名文字列を、前記文節に与えられたコストの総和が最小となる前記文節の連なりとして分かち書きする手段と、
    前記分かち書きされて得られた各文節のうち自立語と前記見掛け自立語に属する付属語との結合からなる文節については、該付属語と自立語とを区切って各々独立に単語候補を表示し、他方、自立語と前記見掛け自立語に属さない付属語との結合からなる文節については、該文節を単位とする区切りで単語候補を表示する文節表示手段と、
    前記カーソルが表示された区切り毎に次候補の指示がなされたとき、同じ変換手続により、前記見掛け自立語に属する付属語と前記自立語については、個別に次候補を表示する次候補表示手段と
    を備えた仮名漢字変換装置。
  4. 辞書を参照して、入力された仮名文字列を文節分かち書きし、仮名漢字混じり文字列候補を生成する仮名漢字変換方法であって、
    自立語の読みと表記とを記憶した自立語辞書と、付属語の読みと表記とを記憶した付属語辞書とが記憶装置に予め記憶されており、
    しかも、前記付属語辞書には、助詞、助動詞などの付属語に加えて、補助用言、形式名詞、接辞が付属語として、かつ他の付属語とは区別可能な見掛け自立語として記憶されており、
    自立語のみの文節、および自立語と付属語が結合した文節を前記文節分かち書きの基本単位として扱うものとし、自立語と付属語とが結合した文節のコストが自立語のみからなる文節のコストを上回らないという規則を、前記入力した仮名文字列に対してコンピュータが適用し、前記文節に与えられたコストの総和が最小となる前記文節の連なりとして、前記仮名文字列を分かち書きし、
    前記分かち書きされて得られた各文節のうち自立語と前記見掛け自立語に属する付属語との結合からなる文節については、コンピュータが、該付属語と自立語とを区切って各々独立に単語候補を表示装置に表示し、他方、自立語と前記見掛け自立語に属さない付属語との結合からなる文節については、該文節を単位とする区切りで単語候補を前記表示装置に表示し、前記各単語候補について他の単語候補を表示する際には、前記コンピュータが、該区切り毎にカーソルを表示する
    仮名漢字変換方法。
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