JP4704447B2 - 音響整合体、超音波送受波器および超音波流量計 - Google Patents
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Description
超音波流量計は、流体(例えばガス)が流れる管壁に、一対の超音波送受波器が流体の流れに対して斜めに交差するように設けられている。
つぎに、他方の超音波送受波器から管内を流れる流体中に超音波を放射し、一方の超音波送受波器が伝播してきた超音波を受けて電圧に変換する。
そして、変換した電圧や、超音波の速度、流体の流れ方向に対する超音波パルスの伝播方向の角度、超音波の伝播経路の距離などから流体の流量を求める。
本体は、有底筒状のケースに圧電体が収容され、ケースの開口が端子板で閉鎖され、この端子板に、圧電体に導電ゴムを介して接続された端子が外部に突出させた状態で支持されている。
この整合層は、音響インピーダンスが異なる第1層と第2層と含み、第1層が多孔体と多孔体中空隙部に担持された充填材との複合材であり、第2層が充填材料または多孔体であり、第1層および第2層間に独立した中間層が存在しないように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
よって、第1層および第2層間の剥離を抑えることができるので、流体の流量計測精度を高めることが可能である。
しかし、近年、流体の流量を一層精度よく計測することが可能な技術の実用化が求められている。
これにより、セラミック多孔体骨格に空隙を備えているため、より軽量な音響整合体とすることができ、超音波送受波器とした場合より効率よく、被測定流体に音を伝搬させることができ、より精度の高い流速流量計測が可能となる。
また、流動抑制粒子の固形分率を50.0%以下とすることで、緻密層のバインダー(エポキシ系樹脂)容量を確保して緻密層の粘度を好適に確保することができる。
また、流動抑制粒子の平均粒径を5μm以下にすることで、平均粒径が大きくなりすぎることを防いで、流動抑制粒子の凹凸で緻密層の表面に凹凸が発生することを抑えることができる。
図1に示すように、本実施形態の超音波流量計10は、流体(被測定流体(一例として、ガス))が流れる流路12を備えた流量計測部11と、流量計測部11の上流側および下流側に対向配置された第1、第2の超音波送受波器(一対の超音波送受波器)15,16と、第1、第2の超音波送受波器15,16間の超音波伝播時間計測回路17と、超音波伝播時間計測回路17により得られた超音波伝播時間に基づいて流体の単位時間当たりの流量を算出する演算手段18とを備えている。
つぎに、第2超音波送受波器16の共振周波数近傍の周波数の交流電圧を圧電振動子に印可して、第2超音波送受波器16から流体中に超音波を放射する。放射された超音波を第1超音波送受波器15で受けて電圧に変換する。
第1超音波送受波器15から放射された超音波パルスが第2超音波送受波器16に到達する時間であるシングル・アラウンド周期をt1、シングル・アラウンド周波数をf1とすると、次式(1)が成立する。
f1=1/t1
=(C+Vcosθ)/L …(1)
f2=1/t2
=(C−Vcosθ)/L …(2)
Δf=f1−f2=2(Vcosθ)/L (3)
図2、図3に示すように、第1超音波送受波器15は、超音波を発生する本体21と、本体21で発生した超音波を流体に伝えるために、本体21の音波放射面27に設けられた音響整合体24と、音響整合体24および本体21のケース25を被覆する撥水膜26とを備えている。
この音響整合体24は、音波放射面27に密着された整合部材34と、音波放射面27および多孔体35の端面35Aに密着された側壁部材36とを有する。
Z=ρ×C …(4)
音響インピーダンスは圧電体と流体とでは大きく異なる。
このように、音響インピーダンスの異なる境界面上では音波の伝播に反射を生じて、透過する音波の強さが弱くなる。
Z=(Z1×Z2)(1/2) …(5)
この音響インピーダンスを満たす物質は、式(4)からわかるように、固体で密度が小さく音速の遅いものであることが要求される。
そして、整合部材34に多孔体35を備えるために、整合部材34をつぎのように構成した。
すなわち、整合部材34は、音波放射面27に密着する多孔体35と、多孔体35における表面35Bに積層され、図4に示す熱硬化性樹脂38および第1流動抑制粒子(流動抑制粒子)39からなる緻密層37とを備えている。
この多孔体35は、一例として、図4に示すように、骨格40が空隙40Aを備えたセラミック製の多孔体(以下、セラミック多孔体35という)が用いられている。
また、セラミック多孔体35は、骨格40と骨格40との間に孔40Bが形成されている。
図2に示すように、セラミック多孔体35を緻密層37および側壁部材36で封止することで、音波放射面27およびセラミック多孔体35間の境界部分41や、セラミック多孔体35および緻密層37間の境界部分42からの吸湿を防止できる。
緻密層37の表面37Aを平坦に形成することで、超音波の直進性を確保することが可能になり、計測精度を高めることができる。
転写法としては、一例として、スクリーン印刷、メタルマスク印刷などによって他の物(離型性を付与したPETフィルム)上にエポキシ樹脂を印刷し、この上にセラミック多孔体35を配置し、セラミック多孔体35の表面35Bに転写する方法で形成されている。
また、緻密層37の第1流動抑制粒子39は、緻密層37の粘度高めるもので、固形分率(容積固形分濃度)が30〜50%である。
また、第1流動抑制粒子39は、平均粒径が0.05μm〜5μmである。
以下、第1流動抑制粒子39の固形分率(容積固形分濃度)を30%〜50%、平均粒径が0.05μm〜5μmに決めた理由を説明する。
なお、図5のグラフおよび表1に示すデータは、高温高湿試験条件:70℃の環境で240時間経過後のデータとする。
固形分率=[Vp/(Vb+Vp)]×100
但し、Vb:バインダー(エポキシ系樹脂)38の容量
Vp:第1流動抑制粒子39の容量
比較例2は、第1流動抑制粒子39の固形分率が15.0%であり、緻密層37の表面37Aの変形量が20と大きい。
比較例3は、第1流動抑制粒子39の固形分率が20.0%であり、緻密層37の表面37Aの変形量が17と大きい。
実施例2は、第1流動抑制粒子39の固形分率が36.2%であり、緻密層37の表面37Aの変形量を2と小さく抑えることができる。
実施例3は、第1流動抑制粒子39の固形分率が45.0%であり、緻密層37の表面37Aの変形量を0に抑えることができる。
また、第1流動抑制粒子39の固形分率が45.0%以上であれば、緻密層37の表面37Aの変形量を0に抑えることができることがわかる。
そこで、第1流動抑制粒子39の固形分率(容積固形分濃度)を30%〜50%に決めた。
実施例6は、第1流動抑制粒子39の平均粒径が1.0μmであり、粘度が確保されているので緻密層37の表面37Aの変形量を2と小さく抑えることができる。
実施例8は、第1流動抑制粒子39の平均粒径が5.0μmであり、粘度が確保されているので緻密層37の表面37Aの変形量を3と小さく抑えることができる。
ここで、第1流動抑制粒子39の平均粒径が5μmを超えると、平均粒径が大きくなりすぎて、第1流動抑制粒子39の凹凸で緻密層37の表面37Aに凹凸が発生することが考えられる。
そこで、第1流動抑制粒子39の平均粒径を0.05μm〜5μmに決めた。
さらに、側壁部材36は、吸湿性を備えている。
側壁部材36は、図4に示すように、光硬化性樹脂44に第2流動抑制粒子(流動抑制粒子)43が1〜5重量%混入されている。
側壁部材36に第2流動抑制粒子43を混入することで、第2流動抑制粒子43により側壁部材36に所望の粘度が得られ、側壁部材36でセラミック多孔体35の端面35Aを確実に被覆できる。
よって、セラミック多孔体35の吸湿で音速が速くなることを抑えることができる。すなわち、音速を好適に遅く抑えることで計測精度を高めることができる。
特に、音響整合体24に備えた緻密層37の表面37Aの経時変化を抑えることで、計測精度を安定させることができる。
11 流量計測部
12 流路
15,16 第1、第2の超音波送受波器(一対の超音波送受波器)
17 超音波伝搬時間計測回路
18 演算手段
21 本体
24 音響整合体
25 ケース
25A ケースの開口
26 撥水膜
27 音波放射面
28 圧電体
29 端子
31 端子板
34 整合部材
35 多孔体
35B 表面
37 緻密層
37A 緻密層の表面
38 熱硬化性樹脂
39 第1流動抑制粒子(流動抑制粒子)
40 多孔体の骨格
40A 空隙
Claims (7)
- 超音波送受波器における本体に取り付けられる音響整合体であって、
前記本体の音波放射面に密着する多孔体と、前記多孔体における表面に積層され、熱硬化性樹脂および流動抑制粒子からなり表面が平坦である緻密層とを備える整合部材を有することを特徴とする音響整合体。 - 前記多孔体の骨格が空隙を備えていることを特徴とする請求項1に記載の音響整合体。
- 前記流動抑制粒子の固形分率が30%〜50%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音響整合体。
- 前記流動抑制粒子の平均粒径が0.05μm〜5μmであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちのいずれかに記載の音響整合体。
- 前記緻密層が転写法により形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちのいずれかに記載の音響整合体。
- 有底筒状のケースと、
前記ケースに収容される圧電体と、
前記圧電体に導電ゴムを介して接続された端子と、
前記ケースの開口を閉鎖するとともに前記端子を外部に突出させた状態で支持する端子板とを有し、
前記ケースの音波放射面に請求項1ないし請求項5のうちのいずれかに記載の音響整合体が取り付けられているとともに、前記音響整合体および前記ケースが撥水膜により被覆されていることを特徴とする超音波送受波器。 - 被測定流体が流れる流量計測部と、
前記流量計測部に上流側および下流側に対向配置された一対の超音波送受波器と、
前記一対の超音波送受波器間の超音波伝搬時間計測回路と、
前記超音波伝搬時間計測回路により得られた超音波伝搬時間に基づいて前記被測定流体の単位時間当たりの流量を算出する演算手段とを備える超音波流量計であって、
請求項6に記載の超音波送受波器を有することを特徴とする超音波流量計。
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