JP4703906B2 - サスペンション内蔵ホイール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、サスペンションを内蔵したホイールに関する。
【0002】
【従来技術とその課題】
車両におけるサスペンションは、車体を支えながら走行路面からの振動を吸収するが、その配在にあっては、可能な限りに車高を低くし得るように配在されるとしている。
【0003】
しかしながら、サスペンションを構成するダンパーが、筒型に形成されずしてロータリー型に形成されるとしても、車体床の下方に配在される限りには、車体床を全体的に低くし得ないことになる。
【0004】
すなわち、たとえば、車椅子ごと乗降する車両にあっては、車体床が可能な限りに低くなり、また、車内スペースが可能な限りに広くなるのが良く、この観点からすれば、ダンパーがロータリー型などとされてコンパクト化されたサスペンションであっても、車体床の下方に配在されないのが好ましいことになる。
【0005】
この発明は、上記した観点から創案されたものであって、その目的とするところは、車両における車体床を可能な限りに低くし、また、車両における車内スペースを可能な限りに広くするのに最適となるサスペンション内蔵ホイールを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、この発明によるサスペンション内蔵ホイールの構成を、基本的には、ほぼ筒状に形成されて車輪軸を連結させるハブと、このハブの外周側に位置決められてタイヤを介装させるリムとを有してなるホイールであって、ハブの外周とリムの内周との間に外力の作用時に変形すると共に外力の解消時に復元する弾性体と、この弾性体に並列されて弾性体の変形時および復元時にエネルギーを吸収する環状型のダンパーとを有してなるとする。
【0007】
そして、上記した構成において、より具体的には、弾性体および環状型のダンパーが内周端をハブの外周に連設すると共に外周端をリムの内周に連設しながら、内周端がハブの外周に連設されると共に外周端がリムの内周に連設される一対の隔壁体の内側に配在されてなるとする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明によるサスペンション内蔵ホイールは、図1に示すように、ほぼ筒状に形成されて車輪軸Aを連結させるハブ1と、このハブ1の外周側に位置決められてタイヤTを介装させるリム2とを有してなる。
【0009】
このとき、ハブ1は、図示しないが、従来のホイールにおいてディスクと称されている部位に相当するが、このディスクがリム2と一体とされているのに対して、この発明にあっては、リム2と分断されている。
【0010】
ちなみに、リム2は、タイヤTを介装させる態様において、既存のホイールにおける場合と同様の態様に形成されている。
【0011】
ところで、上記のハブ1とリム2を有するこの発明によるサスペンション内蔵ホイールにあっては、図2にも示すように、ハブ1の外周とリム2の内周との間に外力の作用時に変形すると共に外力の解消時に原形に復元する弾性体3と、この弾性体3に並列されて弾性体3の変形時および復元時にエネルギーを吸収する環状型のダンパー4とを有してなるとしている。
【0012】
ちなみに、図2は、環状型のダンパー4を見易くするために、後述する隔壁体5を撤去した状態で作図している。
【0013】
弾性体3は、ゴム材からなり、外力の作用時にいたずらな抵抗なく変形して、外力作用時の衝撃を緩和するとしている。
【0014】
このとき、この弾性体3は、図示するところでは、独立した複数本とされているが、その機能からすれば、図示しないが、内周端がハブ1の外周に連設されると共に外周端がリム2の内周に連設される一枚の環状型に形成されてなるとしても良い。
【0015】
そして、この一枚となる環状型に形成される場合には、同じ肉厚に設定されるとき、図示する独立した複数本とされる場合に比較して、ハブ1とリム2との間における図1中で左右方向となる横方向の相対変位を阻止する観点から有利となる利点がある。
【0016】
ダンパー4は、この発明にあって、図1に示すように、径の異なる複数枚の環状板体41,42を摺り合わせる状態に繋合させて、全体として、図2に示すように、環状型に形成されてなるとしている。
【0017】
このとき、言わば小径となる内周側の環状板体41における内周端がハブ1の外周に連設され、言わば大径となる外周側の環状板体42における外周端がリム2の内周に連設されてなるとしている。
【0018】
そして、一対の環状板体41間に対向する一枚の環状板体42が挿入されることで、また、一対の環状板体42間に対向する一枚の環状板体41が挿入されることで、それぞれ環状油室R1,R2が画成されるとしている。
【0019】
また、この環状油室R1,R2には粘性に富む流体が充填されていて、環状板体41間に対して環状板体42が出没するときに、および、環状板体42間に対して環状板体41が出没するときに、環状油室R1,R2内を粘性に富む流体が移動し、これによってエネルギー吸収が実現されるように設定されている。
【0020】
それゆえ、この環状型に形成のダンパー4を有するサスペンション内蔵ホイールにあっては、ハブ1とリム2との間における横方向の相対変位をダンパー4で阻止し得ることになる。
【0021】
したがって、このダンパー4によってハブ1とリム2との間における横方向の相対変位を阻止し得るとする場合には、前記した弾性体3の肉厚を大きくしてハブ1とリム2との間における横方向の相対変位を阻止する場合に比較して、いたずらな重量の増大化を回避し得る点で有利となる。
【0022】
ちなみに、このダンパー4は、図示するところでは、弾性体3を両側から挟む態様に配在されるとして、このサスペンション内蔵ホイールを単体として看るときにいわゆるバランスが採れるように配慮している。
【0023】
それゆえ、このサスペンション内蔵ホイールが左右で一対とされて利用される場合を考慮すると、図示しないが、ダンパー4が弾性体3の片側にのみ配在されるとしても良い。
【0024】
以上のように形成されたこの発明によるサスペンション内蔵ホイールにあっては、サスペンションを構成する弾性体3およびダンパー4が外部に配在されなくなる。
【0025】
したがって、車両においては、この弾性体3およびダンパー4が外部に配在されない分、車両床を低く設定でき、また、車内スペースを広く設定し得ることになる。
【0026】
すなわち、従来のホイールを利用する車両にあっては、車輪軸と車体との間にサスペンションたる弾性体およびダンパーを配在するから、この弾性体およびダンパーを配在する分、車両床が高くなり、また、車内スペースが狭くなる。
【0027】
このことからすれば、この発明によるサスペンション内蔵ホイールを利用する車両にあっては、たとえば、車椅子ごとの乗降を可能にするように設定する場合に、より効果的な設定が可能になる利点がある。
【0028】
一方、この発明によるサスペンション内蔵ホイールの作動状況についてだが、車体重量が車輪軸Aを介してハブ1に作用していない限りにおいて、ハブ1の中央となるいわゆる軸芯を中心にして回転し、このとき、弾性体3は変形せず、また、ダンパー4も言わば作動しないことになる。
【0029】
それに対して、リム2にタイヤTが介装されるのはもちろんのこと、ハブ1に車両における車輪軸Aが連繋されて利用される場合には、車体重量が車輪軸Aを介してハブ1に作用することになる。
【0030】
その結果、ハブ1から看て下方となる弾性体3が縮むように変形すると共にハブ1から看て上方となる弾性体3が伸びるように変形する一方で、環状油室R1,R2で流体が移動してダンパー4が作動することになる。
【0031】
そして、車両の走行でこのサスペンション内蔵ホイールが上記の軸芯を中心にして回転する場合には、このサスペンション内蔵ホイールの回転速度に応じて弾性体3が変形復元を繰り返すと共にダンパー4が作動し続けることになる。
【0032】
すなわち、従来のホイールを利用する車両にあっては、車輪軸と車体との間にサスペンションたる弾性体およびダンパーが配在されているから、車両に路面振動が入力されるときに弾性体が変形し、ダンパーが伸縮することになる。
【0033】
それに対して、この発明によるサスペンション内蔵ホイールを利用する場合には、路面振動の入力がなくても、車両が走行している、すなわち、このサスペンション内蔵ホイールが回転している限り、サスペンションたる弾性体3が変形すると共にダンパー4が作動することになる。
【0034】
そして、走行している車両に路面振動が入力されると、この弾性体3における変形量が大きくなると共にこの大きくなった分の衝撃緩和と、ダンパー4における言わば伸縮ストロークが大きくなると共にこの大きくなった分のエネルギー吸収が実現されることになる。
【0035】
このことからすれば、従来のホイールを利用する場合には、路面振動が入力されるときにのみ、弾性体による衝撃緩和とダンパーによるエネルギー吸収が実現されるから、弾性体およびダンパーが作動開始するときのショックの発生を阻止できないことになる。
【0036】
それに対して、この発明のサスペンション内蔵ホイールの場合には、言わば通常作動に引き続くようにして弾性体3が変形すると共にダンパー4が作動するから、上記したショックの発生が危惧されなくなり、車両における乗り心地が改善される点で有利となる。
【0037】
ところで、図示する実施形態では、前記した弾性体3および環状型のダンパー4が一対の隔壁体5の内側に配在されてなるとしている。
【0038】
すなわち、一対の隔壁体5は、弾性体3と同様のゴム材からなり、内周端をハブ1の外周に連設すると共に外周端をリム2の内周に連設して、その内側を外部と遮断された空間に設定している。
【0039】
それゆえ、この隔壁体5を設けることで、このサスペンション内蔵ホイールが車両に利用されるときに、環状型のダンパー4に泥などが附着することに起因する作動不能事態を招来させないことが可能になる。
【0040】
また、この隔壁体5を設けることで、環状型のダンパー4における環状油室R1,R2内に充填の粘性に富む流体がダンパー4の外部に漏出しても、これを飛散させないようにすることが可能になる。
【0041】
前記したところでは、弾性体3がゴム材からなるとしているが、弾性体3が衝撃緩和機能を発揮することのみを鑑みれば、弾性体3がゴム材からなるのに代えて、コイルばねや板ばねからなるとしても良いことはもちろんである。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明にあっては、サスペンションを構成する弾性体およびダンパーが外部に配在されない分、車両床を低く設定でき、また、車内スペースを広く設定し得ることになる。
【0043】
このとき、ダンパーが環状型とされるので、ハブとリムとの間における横方向の相対変位を阻止する観点から有利となる利点がある。
【0044】
その結果、この発明のサスペンション内蔵ホイールによれば、車両が、たとえば、車椅子ごとの乗降を可能にするように設定される場合に、車椅子ごとの乗降を容易にし、また、車内における車椅子ごとの居住性を良くする利点がある。
【0045】
そして、請求項2の発明にあっては、環状型のダンパーにおける作動を恒久的に保障し得ることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるサスペンション内蔵ホイールを示す縦断面図である。
【図2】この発明によるサスペンション内蔵ホイールを図1中の左側から左側の隔壁体を撤去した状態で示す側面図である。
【符号の説明】
1 ハブ
2 リム
3 弾性体
4 ダンパー
5 隔壁体
41,42 環状板体
A 車輪軸
R1,R2 環状油室
T タイヤ
Claims (2)
- ほぼ筒状に形成されて車輪軸を連結させるハブと、このハブの外周側に位置決められてタイヤを介装させるリムとを有してなるホイールであって、ハブの外周とリムの内周との間に外力の作用時に変形すると共に外力の解消時に復元する弾性体と、この弾性体に並列されて弾性体の変形時および復元時にエネルギーを吸収する環状型のダンパーとを有してなることを特徴とするサスペンション内蔵ホイール。
- 弾性体および環状型のダンパーが内周端をハブの外周に連設すると共に外周端をリムの内周に連設しながら、内周端がハブの外周に連設されると共に外周端がリムの内周に連設される一対の隔壁体の内側に配在されてなる請求項1に記載のサスペンション内蔵ホイール。
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JP2001088502A (ja) * | 1999-09-20 | 2001-04-03 | Bridgestone Corp | タイヤとホイールとの組み立て体 |
WO2001045965A1 (fr) * | 1999-12-21 | 2001-06-28 | Bridgestone Corporation | Roue elastique |
JP2001180206A (ja) * | 1999-12-27 | 2001-07-03 | Bridgestone Corp | ディスクホイール |
JP2002331801A (ja) * | 2001-05-11 | 2002-11-19 | Bridgestone Corp | 弾性ホイール |
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2001
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