JP3778353B2 - サスペンション内蔵ホイール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、サスペンション内蔵ホイールの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
旧来、車両におけるサスペンションにあっては、バネ要素を含みながら振動エネルギーを吸収する油圧緩衝器が筒型あるいはロータリー型の何れかに形成されていながら車軸と車体床との間に配在されるとしていた。
【0003】
しかし、近年では、油圧緩衝器がタイヤを介装させるホイールに内蔵されるとするサスペンション内蔵ホイールが提案されるに至っている。
【0004】
このとき、このサスペンション内蔵ホイールは、図3に示すように、ほぼ筒状に形成されて図中に一点鎖線で示す車軸Aを連結させるハブ1と、このハブ1の外周側に位置決められてタイヤ(図示せず)を介装させるリム2とを有してなるとしている。
【0005】
また、このサスペンション内蔵ホイールにあっては、外力の作用時に伸縮すると共に減衰力を発生する複数本の油圧緩衝器を有してなるとし、この油圧緩衝器は、基端あるいは先端がハブ2の外周に連結されると共に基端あるいは先端がリム3の内周に連結されてなるとしている。
【0006】
そして、このサスペンション内蔵ホイールにあっては、基本的には分断されているハブ1とリム2がベアリング4の配在下に連繋されてなるとしている。
【0007】
それゆえ、このサスペンション内蔵ホイールにあっては、油圧緩衝器が車軸Aと車体床(図示せず)との間に配在される場合に比較して、車体床を全体的に低くすると共に車内スペースを広くし得ることになり、たとえば、車椅子ごと車体床上に乗り込めるようにしている車両への利用に最適となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したサスペンション内蔵ホイールにあっては、その構成如何によっては、車両における好ましい乗り心地を具現化できなくなると指摘される可能性がある。
【0009】
すなわち、いわゆるホイールに複数本の油圧緩衝器を有する場合には、このホイールの大きさからして、油圧緩衝器の本数が多くなればなる程、油圧緩衝器における伸縮ストロークが小さくなり、その結果、総じてハードなバネ特性の乗り心地となり易くなる。
【0010】
そこで、このホイールが有する油圧緩衝器の本数を、たとえば、両側24本、すなわち、片側12本から両側12本、すなわち、片側6本の半数にする場合には、上記したハードなバネ特性をソフトなバネ特性に変更し得ることになる。
【0011】
しかしながら、この言わば少ない本数たる六本の油圧緩衝器を有するホイールでは、また、このとき、六本の油圧緩衝器がほぼ六角形を形成するように配置される場合には、タイヤが回転することでタイヤへの振動の入力位置が変化することに伴って、油圧緩衝器による振動エネルギーの吸収状況、すなわち、減衰力とバネ力が大小変動しながら発生することになる。
【0012】
その結果、この減衰力とバネ力が大小変動しながら発生すること、すなわち、減衰力とバネ力が安定しないことによって、車体に振動が誘発され、車両における好ましい乗り心地が得られなくなる危惧がある。
【0013】
この発明は、上記した事情を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、好ましい乗り心地を得ることを可能にしながら所定のサスペンション機能を発揮し得るようにして、車体床を全体的に低くすると共に車内スペースを広くする車両への利用に最適となるサスペンション内蔵ホイールを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、この発明によるサスペンション内蔵ホイールの構成を、基本的には、ほぼ筒状に形成されて車軸を連結させるハブと、このハブの外周側に位置決められてタイヤを介装させるリムと、基端あるいは先端がハブの外周に連結されると共に基端あるいは先端がリムの内周に連結されながら外力の作用時に伸縮すると共に減衰力を発生する複数本の油圧緩衝器とを有してなるホイールにおいて、表側および裏側に位相を同じにしながら六本の油圧緩衝器がほぼ正三角形を形成するように配置されてなるとする。
【0015】
そして、上記した構成において、より具体的には、油圧緩衝器における基端あるいは先端がハブの外周におよびリムの内周にそれぞれ突設のブラケットに連結されてなるとするのが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明によるサスペンション内蔵ホイールは、図1および図2に示すように、ほぼ円筒状に形成されて車軸A(図2中に仮想線で示す)を連結させるハブ1と、このハブ1の外周側に位置決められてタイヤ(図示せず)を介装させるリム2とを有してなる。
【0017】
そして、このサスペンション内蔵ホイールは、基端3aがハブ1の外周に突設されたブラケット1aに連結されると共に先端3bがリム2の内周に突設されたブラケット2aに連結されながら外力の作用時に伸縮すると共に減衰力を発生する複数本たる六本のバネ要素を含む油圧緩衝器3を有してなる。
【0018】
このとき、ハブ1は、図示しないが、旧来のホイールにおいてディスクと称されている部位に相当するが、このディスクが旧来のホイールではリム2と一体とされているのに対して、この発明では、ベアリング4(図2参照)の配在下にリム2と分断されている。
【0019】
ちなみに、リム2は、タイヤを介装させる態様において、既存のホイールにおける場合と同様の構成に形成されている。
【0020】
また、ベアリング4については、図示するところでは、分割態様に形成された環状レース(符示せず)内に多数の硬球を有する態様に形成されているが、ハブ1とリム2との間における放射方向のおよび回転方向の相対変位を許容する限りには、これに代えて、図示しないが、自由な構成のものが選択されて良い。
【0021】
ところで、油圧緩衝器3についてだが、従来提案のところで述べたように、その本数が多くなればなる程、結果として、ハードなバネ特性の乗り心地となり易いが、その本数を少なくすることで、ハードなバネ特性をソフトなバネ特性に変更し得ることになる。
【0022】
そこで、この発明にあっても、従来、油圧緩衝器3の本数を、たとえば、両側24本、すなわち、片側12本としていたところを両側12本、すなわち、片側6本の半数にするとしたものである。
【0023】
このような前提の下に、この発明における油圧緩衝器3は、図示するところでは、ダンパー(符示せず)の外周にコイルスプリング(符示せず)を介装した態様とされているが、原理的には、外力の入力およびその解消で伸縮すると共に、この伸縮の際にエネルギーを吸収し得るように構成されていれば足りる。
【0024】
それゆえ、この油圧緩衝器3に代えて、図示しないが、ゴムなどからなる弾性体と、この弾性体に並列しながらエネルギー吸収を可能にするダンパーなどの減衰体との組み合せからなるとしても良い。
【0025】
ちなみに、図示するところにあって、油圧緩衝器3を構成するダンパーは、シリンダ体(符示せず)と、このシリンダ体に出没可能に挿通されるロッド体(符示せず)とを有してなり、ロッド体がシリンダ体内から突出するときに、すなわち、伸長作動するときに主たるエネルギー吸収をするように設定されている。
【0026】
一方、凡そ油圧緩衝器3を取り付ける場合には、ブラケットが利用されるのが常態であり、図示するところでも、ハブ1に突設のブラケット1aおよびリム2に突設のブラケット2aが利用されるとしている。
【0027】
そして、このサスペンション内蔵ホイールにおいては、中央にハブ1を見ながらリム2を丸く見る図1に示す表側、および、図示しない裏側にあって、六本の油圧緩衝器3がほぼ正三角形を形成するように配置されてなるとしている。
【0028】
このとき、このサスペンション内蔵ホイールにあっては、油圧緩衝器3の配置について、表側と裏側で位相を同じくしている。
【0029】
具体的に図示するところで説明すると、ハブ1の外周に突設されるブラケット1aおよびリム2の内周に突設されるブラケット2aは、それぞれ120度の角度間隔で配置されている。
【0030】
そして、リム2の内周に突設されている二つのブラケット2a間にハブ1の外周に突設されているブラケット1aが位置決められるとし、したがって、二つのブラケット2a間に一つのブラケット1aを有しながら二本の油圧緩衝器3が軸芯線を一直線にして直列されることになる。
【0031】
そして、この状態で、すなわち、六本の油圧緩衝器3がほぼ正三角形を形成するように配置されてなることで、図3に示すように、八本の油圧緩衝器3がほぼ正四角形を形成するように配置される場合に比較して、また、図示しないが、従来のように、六本の油圧緩衝器が六角形を形成するように配置される場合に比較して、タイヤが回転することでタイヤへの振動の入力位置がおおきく変化することがなく、したがって、油圧緩衝器3による振動エネルギーの吸収状況、すなわち、減衰力とバネ力が安定した状態で発生することになる。
【0032】
このことを図4に示すバネ力の特性で看ると、ほぼ正六角形を形成するように配置される場合と、ほぼ正四角形を形成するように配置される場合のいずれにあっても、図中に矢印aで示す線群のように、変位が大きくなるにしたがってバネ力にバラツキが招来される。
【0033】
これに対して、この発明のように、ほぼ正三角形を形成するように配置される場合には、図中に矢印bで示すように、一本の直線の特性を示すことになり、したがって、バネ力が安定し状態で発生することを示すことになる。
【0034】
そして、このことは、車両において、車体にいたずらな振動が入力されなくなり、それゆえ、車両における乗り心地が好ましい状態に維持されることになる。
【0035】
ちなみに、この発明によるサスペンション内蔵ホイールの作動状況についてだが、車体重量が車軸Aを介してハブ1に作用していない限りにおいて、ハブ1の中央となるいわゆる軸芯を中心にして回転し、このとき、油圧緩衝器3は伸縮しないことになる。
【0036】
それに対して、リム2にタイヤが介装されるのはもちろんのこと、ハブ1に車両における車軸Aが連繋されて利用される場合には、車体重量が車軸Aを介してハブ1に作用することになる。
【0037】
その結果、ハブ1から看て下方となる油圧緩衝器3が縮み、反対に、ハブ1から看て上方となる油圧緩衝器3が伸びるようになり、車両の走行でこのサスペンション内蔵ホイールが上記の軸芯を中心にして回転する場合には、このサスペンション内蔵ホイールの回転速度に応じて油圧緩衝器3が伸縮を繰り返すことになる。
【0038】
すなわち、この発明によるサスペンション内蔵ホイールの場合には、路面振動の入力がなくても、車両が走行してこれが回転している限り、油圧緩衝器3が伸縮することになる。
【0039】
そして、走行している車両に路面振動が入力されると、油圧緩衝器3における伸縮量が大きくなると共にこの大きくなった分のエネルギー吸収が実現されることになる。
【0040】
【発明の効果】
以上のように、この発明にあっては、油圧緩衝器の本数を片側六本とすることで、ハードなバネ特性をソフトなバネ特性に変更し得るのはもちろんのこと、六本の油圧緩衝器をほぼ正三角形を形成するように配置することから、六本の油圧緩衝器をほぼ正六角形を形成するように配置する場合や、八本の油圧緩衝器をほぼ正四角形を形成するように配置する場合に比較して、タイヤが回転することでタイヤへの振動の入力位置が変化することに伴って、油圧緩衝器による振動エネルギーの吸収状況、すなわち、減衰力とバネ力が大小変動しながら発生する事態が招来されずして、減衰力とバネ力が安定し、車体に振動が誘発されず、車両における好ましい乗り心地を維持し得ることになる。
【0041】
その結果、この発明によれば、好ましい乗り心地を得ることを可能にしながら所定のサスペンション機能を発揮し得るようにして、車体床を全体的に低くすると共に車内スペースを広くする車両への利用に最適となる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるサスペンション内蔵ホイールを示す表側立面図である。
【図2】この発明によるサスペンション内蔵ホイールを油圧緩衝器の装備を省略した状態で示す縦断面図である。
【図3】比較対象としてのサスペンション内蔵ホイールを図1と同様に示す図である。
【図4】この発明によるサスペンション内蔵ホイールにおける特性を従来のサスペンション内蔵ホイールにおける特性との比較で示す図である。
【符号の説明】
1 ハブ
1a,2a ブラケット
2 リム
3 油圧緩衝器
3a 基端
3b 先端
4 ベアリング
A 車軸
Claims (1)
- ほぼ筒状に形成されて車軸を連結させるハブと、このハブの外周側に位置決められてタイヤを介装させるリムと、基端あるいは先端がハブの外周に連結されると共に基端あるいは先端がリムの内周に連結されながら外力の作用時に伸縮すると共に減衰力を発生する複数本の油圧緩衝器とを有してなるホイールにおいて、表側および裏側に位相を同じにしながら六本の油圧緩衝器がほぼ正三角形を形成するように配置されてなることを特徴とするサスペンション内蔵ホイール
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