JP3776355B2 - サスペンション内蔵ホイール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、サスペンション内蔵ホイールの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
旧来、車両におけるサスペンションにあっては、バネ要素を含みながら振動エネルギーを吸収する油圧緩衝器が筒型あるいはロータリー型の何れかに形成されていながら車軸と車体床との間に配在されるとしていた。
【0003】
しかし、近年では、油圧緩衝器がタイヤを介装させるホイールに内蔵されるとするサスペンション内蔵ホイールが提案されるに至っている。
【0004】
ところで、このサスペンション内蔵ホイールは、図3に示すように、ほぼ筒状に形成されて図中に一点鎖線で示す車軸Aを連結させるハブ1と、このハブ1の外周側に位置決められてタイヤ(図示せず)を介装させるリム2とを有してなるとしている。
【0005】
ちなみに、ハブ1は、図示しないが、旧来のホイールにおいてディスクと称されている部位に相当し、このディスクが旧来のホイールではリム2と一体とされているのに対して、このサスペンション内蔵ホイールでは、基本的にはリム2と分断されている。
【0006】
そして、リム2は、タイヤを介装させる態様において、既存のホイールにおける場合と同様の構成に形成されている。
【0007】
また、このサスペンション内蔵ホイールにあっては、図3および後述する図4にあって図示を省略しているが、本案図たる図1を借りて説明すれば、外力の作用時に伸縮すると共に減衰力を発生する複数本の油圧緩衝器3を有してなるとしている。
【0008】
そして、この油圧緩衝器3は、基端3aがハブ1の外周に突設されたブラケット1aに連結されると共に先端3bがリム2の内周に突設されたブラケット2aに連結されてなるとしている。
【0009】
さらに、このサスペンション内蔵ホイールにあっては、基本的には分断されているハブ1とリム2がベアリング4の配在下に、たとえば、遠近などの相対移動を可能にするように連繋されてなるとしている(図3参照)。
【0010】
それゆえ、このサスペンション内蔵ホイールにあっては、凡そ油圧緩衝器が車軸Aと車体床(図示せず)との間に配在される場合に比較して、車体床を全体的に低くすると共に車内スペースを広くし得ることになり、たとえば、車椅子ごと車体床上に乗り込めるようにしている車両への利用に最適となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したサスペンション内蔵ホイールにあっては、その構成如何によっては、所定のサスペンション機能を発揮できなくなると指摘される可能性がある。
【0012】
すなわち、上記のサスペンション内蔵ホイールにあっては、ハブ1とリム2がベアリング4の配在下に連繋されていて、たとえば、遠近などの相対移動を可能にしているが、このベアリング4は、図4に示すように、環状のレース4a内に多数の鋼球4bを有するいわゆるボールベアリングからなるとしている。
【0013】
それゆえ、このベアリング4にあっては、鋼球4bがレース4a内で正常に転動する限りにおいて、ハブ1とリム2との間における相対移動を許容するが、レース4a内での鋼球4bの転動が保障されなくなるとき、ベアリングとして機能し得なくなる危惧がある。
【0014】
すなわち、たとえば、図4中に破線図で示すように、鋼球4bがレース4a内で偏るときには、この偏った鋼球4bにレース4aが当たることでレース4aが移動できなくなり、結果として、ハブ1とリム2との間における相対移動が阻止されて、このサスペンション内蔵ホイールにおけるサスペンションとしての機能を発揮し得なくなる。
【0015】
この発明は、上記した事情を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、所定のサスペンションとしての機能を恒久的に発揮し得て、その汎用性の向上を期待するのに最適となるサスペンション内蔵ホイールを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、この発明によるサスペンション内蔵ホイールの構成を、基本的には、ほぼ筒状に形成されて車軸を連結させるハブと、このハブの外周側に位置決められてタイヤを介装させるリムと、基端あるいは先端がハブの外周に連結されると共に基端あるいは先端がリムの内周に連結されながら外力の作用時に伸縮すると共に減衰力を発生する複数本の油圧緩衝器とを有してなり、ハブとリムがスラストワッシャーの配在下に連繋されてなるとする。
【0017】
そして、上記した構成において、より具体的には、スラストワッシャーがハブの外周に突設されたホルダーとリムの内周に突設されたホルダーとの間に、たとえば、挟持される状態に配在されてなるとする。
【0018】
このとき、スラストワッシャーは、環状もしくは円弧状などに形成されながら一方のホルダーに保持されると共に他方のホルダーに摺接するとし、また、ホルダーにあっても、環状もしくは円弧状などに形成されているとしても良い。
【0019】
ちなみに、サスペンション内蔵ホイールにあっては、中央にハブを見ながらリムを丸く見る表側および裏側にあって、六本の油圧緩衝器がほぼ正六角形を形成するように配置される一方で、油圧緩衝器における基端をハブの外周に突設のブラケットに連結すると共に、油圧緩衝器における先端をリムの内周に突設のブラケットに連結するとし、このとき、表側と裏側との間における位相が60度ずらされてなるとする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明によるサスペンション内蔵ホイールにあっても、基本的には、前記した従来例としてのサスペンション内蔵ホイールと同様の構成を有している。
【0021】
それゆえ、図示するところにおいて、その構成が従来例のサスペンション内蔵ホイールと同様となるところについては、図1および図2中に同一の符号を付するのみとして、要する場合を除き、その詳しい説明を省略し、以下には、この発明において特徴となるところを中心に説明する。
【0022】
ちなみに、図示するところにあって、中央にハブ1を見ながらリム2を丸く見る図1に示す表側および図示しない裏側にあって、バネ要素を含む6本の油圧緩衝器3がほぼ正六角形を形成するように配置されるとしている。
【0023】
これは、まず、この種のサスペンション内蔵ホイールにおいては、油圧緩衝器3の本数が多くなればなる程、油圧緩衝器3における伸縮ストロークが小さくなり、その結果、総じてハードなバネ特性の乗り心地となり易くなるから、油圧緩衝器3の本数を、たとえば、片側で6本とすることがハードなバネ特性をソフトなバネ特性に変更し得る点からも最適であると思料した結果による。
【0024】
つぎに、この片側で6本となる油圧緩衝器3を表側および裏側でいわゆるバランス良く配置するとなると、ブラケット1a,2aを利用することを勘案すると、ほぼ正六角形を形成するように配置するのが同じく最適であると思料した結果による。
【0025】
そして、片側に6本と言わば少ない本数の油圧緩衝器3を有する場合には、タイヤが回転することでタイヤへの振動の入力位置が変化することに伴って、油圧緩衝器3による振動エネルギーの吸収状況、すなわち、減衰力とバネ力が大きく変動しながら発生し易くなる。
【0026】
そこで、この発明では、タイヤが回転することでタイヤへの振動の入力位置が変化しても、減衰力とバネ力における大きな変動を招来させないために、裏側については図示しないが、6本の油圧緩衝器3の配設位置を表側と裏側との間において60度の角度でずらすことにしている。
【0027】
一方、油圧緩衝器3は、図示するところでは、ダンパー(符示せず)の外周にコイルスプリング(符示せず)を介装した態様とされているが、原理的には、外力の入力およびその解消で伸縮すると共に、この伸縮の際にエネルギーを吸収し得るように構成されていれば足りる。
【0028】
それゆえ、この油圧緩衝器3に代えて、図示しないが、ゴムなどからなる弾性体と、この弾性体に並列しながらエネルギー吸収を可能にするダンパーなどの減衰体との組み合せからなるとしても良い。
【0029】
ちなみに、図示するところにあって、油圧緩衝器3を構成するダンパーは、シリンダ体(符示せず)と、このシリンダ体に出没可能に挿通されるロッド体(符示せず)とを有してなり、ロッド体がシリンダ体内から突出するときに、すなわち、伸長作動するときに主たるエネルギー吸収をするように設定されている。
【0030】
以上のような前提の下に、この発明にあっては、図2に示すように、基本的には分断されているハブ1とリム2がスラストワッシャー5の配在下に連繋されてなるとしている。
【0031】
このように、スラストワッシャー5の配在下にハブ1とリム2が連繋されるとする場合には、前記したボールベアリングの配在下にハブ1とリム2が連繋されるとする場合に比較して、以下の点で有利となる。
【0032】
すなわち、まず、スラストワッシャー5を利用することで、ボールベアリングを利用する場合に招来される前記した鋼球4bのレース4a内での偏りによる機能不能と言った不具合の招来を危惧しなくて済むことになる。
【0033】
つぎに、スラストワッシャー5を利用することで、このスラストワッシャー5部分における面圧を低く設定し得るから、したがって、ボールベアリングを利用しながら同じく面圧を低くするためには、レース4a内に収装される鋼球4aの数を大幅に多くしなければならないことになる不具合の招来を回避できることになる。
【0034】
そして、鋼球4aの数を大幅に多くする場合には、結果として、サスペンション内蔵ホイールにおける質量を大きくすることになるが、特に、樹脂ブッシュで形成されたスラストワッシャー5を利用することで、サスペンション内蔵ホイールにおける質量を大きくする不具合を招来しないで済むことになる。
【0035】
また、ボールベアリングを利用する場合には、鋼球4bを有するレース4a内に潤滑材としての油などを封入する必要があるが、この油などの封入が容易でなく、したがって、スラストワッシャー5を利用する場合には、たとえば、シール構成を複雑にするなどの不具合を招来しないで済むことになる。
【0036】
ところで、スラストワッシャー5は、ハブ1の外周に突設された一対となるホルダー1bと、リム2の内周に突設されたホルダー2bとの間に、言わば、挟持される状態に配在されてなるとしている。
【0037】
このとき、図示するところでは、スラストワッシャー5は、一方のホルダー2bに保持されていながら他方のホルダー1bに摺接するとしており、このとき、スラストワッシャー5は、たとえば、図示しないが、接着材の利用下に一方のホルダー2bに保持されてなるとしている。
【0038】
一方、このスラストワッシャー5が機能するところを勘案すると、このスラストワッシャー5の構成、および、各ホルダー1b,2bの構成については、自由な設定が可能である。
【0039】
たとえば、図示するところでは、各ホルダー1b,2bがそれぞれ環状に形成され、また、スラストワッシャー5も環状に形成されているとするが、これに代えて、図示しないが、スラストワッシャー5が円弧状や矩形などに形成されていながら一方の環状に形成のホルダー2bに保持されていて、同じく環状に形成された他方のホルダー1bに摺接しているとしても良い。
【0040】
そして、この場合には、使用するスラストワッシャー5の総量を少なくできるから、特に、このサスペンション内蔵ホイールを製作する際の材料コストを低く抑えることが可能になる点で有利となる。
【0041】
それに対して、スラストワッシャー5が環状に形成されている一方で、この環状のスラストワッシャー5を保持し、また、摺接させる各ホルダー1b,2bが間欠構造に形成されているとしても良い。
【0042】
そして、この場合には、ハブ1とリム2における質量の低減が可能になる点で有利になると共に、スラストワッシャー5とホルダー1bとの間における摺動でスラストワッシャー5に招来されることがある蓄熱を放散し易くなる点で有利となる。
【0043】
また、スラストワッシャー5をホルダー1bに保持させる手段についても、任意の構成を選択でき、たとえば、図示するところでは、ホルダー1bの言わば平坦面に貼り付けるとしているが、これに代えて、図示しないが、ホルダー1bの平坦面に形成された凹部や凹溝内に嵌装されたり、接着材の利用下に貼り付けられるなどしても良い。
【0044】
そして、この場合には、スラストワッシャー5が凹部や凹溝内に安定されるから、簡単なショックで両方のホルダー1b,2bの間から抜け出したりしなくなる点で有利となる。
【0045】
ちなみに、この発明によるサスペンション内蔵ホイールの作動状況についてだが、車体重量が車軸Aを介してハブ1に作用していない限りにおいて、ハブ1の中央となるいわゆる軸芯を中心にして回転し、このとき、油圧緩衝器3が伸縮しないのはもちろんのこと、スラストワッシャー5も機能しないことになる。
【0046】
それに対して、リム2にタイヤが介装されると共にハブ1に車両における車軸Aが連繋されて利用される場合には、車体重量が車軸Aを介してハブ1に作用することになる。
【0047】
その結果、ハブ1から看て下方となる油圧緩衝器3が縮み、反対に、ハブ1から看て上方となる油圧緩衝器3が伸びるようになり、このとき、スラストワッシャー5が所定の作動たる摺動をすることになる。
【0048】
そして、車両の走行でこのサスペンション内蔵ホイールが上記の車軸Aを中心にして回転する場合には、このサスペンション内蔵ホイールの回転速度に応じて油圧緩衝器3が伸縮を繰り返すと共に、スラストワッシャー5が摺動作動することになる。
【0049】
すなわち、この発明によるサスペンション内蔵ホイールの場合には、路面振動の入力がなくても、車両が走行してこれが回転している限り、油圧緩衝器3が伸縮し、スラストワッシャー5が摺動することになる。
【0050】
そして、走行している車両に路面振動が入力されると、油圧緩衝器3における伸縮量およびスラストワッシャー5における摺動量が大きくなり、とくに、油圧緩衝器3において、この大きくなった分のエネルギー吸収が実現されることになる。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、この発明にあっては、サスペンション内蔵ホイールを構成するハブとリムがスラストワッシャーの配在下に連繋されてなるとするから、まず、スラストワッシャーを利用することで、ボールベアリングを利用する場合に招来される鋼球のレース内での偏りによる機能不能と言った不具合の招来を危惧しなくて済む。
【0052】
つぎに、スラストワッシャーを利用することで、このスラストワッシャー部分における面圧を低く設定し得るから、したがって、ボールベアリングを利用しながら同じく面圧を低くするために、レース内に収装される鋼球の数を大幅に多くしなければならないことになる不具合の招来を回避できる。
【0053】
そして、鋼球の数を大幅に多くする場合には、結果として、サスペンション内蔵ホイールにおける質量を大きくすることになるが、特に、スラストワッシャーを樹脂ブッシュで形成する場合には、サスペンション内蔵ホイールにおける質量を大きくする不具合を招来しないで済む。
【0054】
また、ボールベアリングを利用する場合には、鋼球を有するレース内に潤滑材としての油などを封入する必要があるが、スラストワッシャーを利用する場合には、この油などの封入が要請されず、したがって、たとえば、シール構成を複雑にするなどの不具合を招来しない。
【0055】
その結果、この発明によれば、所定のサスペンションとしての機能を恒久的に発揮し得て、その汎用性の向上を期待するのに最適となる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるサスペンション内蔵ホイールを示す表側立面図である。
【図2】この発明によるサスペンション内蔵ホイールを油圧緩衝器の配設を省略して示す縦断面図である。
【図3】従来例としてのサスペンション内蔵ホイールを図2と同様に示す図である。
【図4】図3における要部を拡大して示す部分縦断面図である。
【符号の説明】
1 ハブ
1a,2a ブラケット
1b,2b ホルダー
2 リム
3 油圧緩衝器
3a 基端
3b 先端
5 スラストワッシャー
A 車軸
Claims (1)
- ほぼ筒状に形成されて車軸を連結させるハブと、このハブの外周側に位置決められてタイヤを介装させるリムと、基端あるいは先端がハブの外周に連結されると共に基端あるいは先端がリムの内周に連結されながら外力の作用時に伸縮すると共に減衰力を発生する複数本の油圧緩衝器とを有してなり、ハブとリムがスラストワッシャーの配在下に連繋されてなることを特徴とするサスペンション内蔵ホイール
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JP2002001943A JP3776355B2 (ja) | 2002-01-09 | 2002-01-09 | サスペンション内蔵ホイール |
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- 2002-01-09 JP JP2002001943A patent/JP3776355B2/ja not_active Expired - Fee Related
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