JP4703317B2 - 鏡用裏止め塗膜およびそれを用いた鏡 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス基材の少なくとも片面に金属膜を形成し、該金属膜上に裏止め塗膜を形成した鏡を作製するための裏止め塗膜およびそれを用いた鏡に関する。特に、環境汚染の懸念のある鉛分を実質的に有しない鏡用裏止め塗膜およびそれを用いた鏡に関する。
防錆に関しては多くの材料で古くから研究され、報告もなされている。特に、鋼材は金属であり腐食し易いという本来の性質上、その対策も数多く示されている(例えば、特許文献1および非特許文献1を参照)。これに対し、ガラス上の金属膜の防錆は、あまり着目されておらず、鏡等の一部の商品での技術開示例がある程度である。しかし、ガラス上の金属膜と一般鋼材ではその防錆条件が異なることも多く、単純に結びつけることはできない。
鏡は、ガラス基材の少なくとも片面に金属膜を形成し、該金属膜上に裏止め塗膜が形成されることにより製造される。通常、ガラス基材の上に、銀鏡膜、銀鏡膜保護のための銅膜等の金属膜上に、金属の腐食、変質を防止するための、言い換えれば、防食のための裏止め塗膜が順次形成されている。その裏止め塗膜には合成樹脂バインダーに鉛系顔料を分散させたものが数多く用いられ、その構成を限定した技術が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
従来、裏止め塗膜の合成樹脂バインダーには、アミノアルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂またはフェノ−ルアルキド樹脂に、例えば、光明丹、鉛シアナミド、塩基性硫酸鉛、塩基性炭酸鉛、鉛酸カルシウムを分散させたものが用いられてきた。この樹脂の選択は極めて重要であり、その選択により、裏止め塗膜の品質はもちろんのこと、作業性や製造コストにも大きな影響を与える。
該鉛系顔料には、カチオン効果、還元効果、中和効果、アニオン効果と称せられる種々の効果によって、縁シケ、中シケの発生を防止する働きがある。
ここで、カチオン効果とは、通常鏡に使われる銀、銅等の金属よりイオン化傾向の大きい鉛金属塩により、銀、銅等のイオン化、変質を抑制する効果である。また、還元効果とは、金属膜との界面を還元雰囲気にすることにより、金属膜の酸化を防止する効果である。また、中和効果とは、鉛系顔料から生じる塩基性物質で腐食部の酸度を中和し、金属膜の酸化を防止する効果である。また、アニオン効果とは鉛系顔料から溶出した陰イオン、例えばシアナミドと、金属膜における金属イオンが反応して不動態皮膜を形成し、金属膜の腐食を抑止する効果である。
縁シケとは、鏡の縁部に発生する腐食、変質であり、中シケとは、鏡の内部に発生するスポット状の腐食、変質である。
上述したように、鉛系顔料は種々の効果を有することから、これまで鉛系顔料を用いた鏡が多用されてきたが、鉛の使用が環境負荷物質として懸念される問題から少しでも鉛の含有が少なく、できれば無鉛の鏡の開発が望まれている。そのための具体的な対応として、鉛を含有しない中でも耐食性を始めとする要求品質を満足する裏止め塗膜の開発が必要となる。
しかし、鉛に上述したように大きな防食効果があることから、鉛系含量を使わずに要求されている塗膜性能、言い換えれば防食性能を確保するのは容易ではない。
裏止め塗膜を無鉛化する技術に関しては、エポキシ樹脂およびケトンアルデヒド樹脂と防錆顔料を含む顔料の構成量を限定した技術(例えば、特許文献3を参照)が、さらにはアルキド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、体質顔料、塩基性シアナミド亜鉛カルシウムの構成量を限定した技術(例えば、特許文献4を参照)が開示されている。また、合成樹脂ビヒクルにアゾール系有機酸またはカルバミン酸もしくはその置換体と前記金属より大きいイオン化傾向を有する金属との塩と、塩基性を呈し前記金属の腐食部を中和し該金属と結合するアゾール系またはジアミン系化合物を含有し、実質的に鉛成分を含まない裏止め塗膜組成物に関する開示もある(例えば、特許文献5を参照)。
特開2004−203902号公報 特開昭63−184701号公報 特開平7−13006号公報 特開2005−154515号公報 特開平10−33333号公報 嘉瀬井一彦他3名、鉛・クロムフリー塗料の耐久性評価(一般防錆顔料並びに航空標識塗料の品質評価)、防錆管理2005−4、pp137〜142
ガラス基板上に、鏡膜、金属保護膜、裏止め塗膜を順次積層形成した鏡において、これまで多く使われてきた鉛系顔料を使用した裏止め塗膜には環境負荷物質として使用が懸念される問題がある。
しかし、鉛系顔料を用いずに、鉛を低濃度又は実質上ゼロとした裏止め塗膜で構成される鏡は、一般的には耐食性、耐薬品性等に劣り、銀鏡膜、銅膜等の金属膜が腐食および変質し易いという問題があった。このため、鉛を低濃度又は実質上ゼロとした裏止め塗膜には種々の防食性能に限界があり、市場の要求する防食性能を満足した無鉛の裏止め塗膜が開発されているとはいえない面がある。
無鉛顔料による裏止め塗膜の場合、防錆力を有するエポキシ樹脂を主体としたものもあるが、製造直前に2液を混合して用い2液性であるという性質上、裏止め塗膜で得られる特性が不安定であるという問題がある。無鉛顔料を使用してエポキシ樹脂以外を主体とする樹脂による無鉛の裏止め塗膜については、耐食性を始めとする種々の要求品質を十分に満足するものが開発されていない。このため、市場の要求する防食性能を満足する無鉛の鏡用裏止め塗膜を用いた鏡も開発されているとはいえない状況である。
すなわち、長期間安定した鏡面品質を維持できる防食性能を有し、特に環境負荷物質としての懸念のある鉛を実質、使用しない、市場の要求する防食性能を満足する無鉛の鏡用裏止め塗膜は開発されているとは言えず、上述の市場の要求する防食性能を有する防食鏡がなかった。
本発明は、ガラス基材の少なくとも片面に金属膜を形成し、該金属膜上に裏止め塗膜を形成した鏡を作製するための裏止め塗膜であって、重量%表示で、金属元素単体としてのモリブデン(Mo)が0.02%〜4.8%、ビスマス(Bi)が0.1%〜9. 0%含まれおり残部が樹脂である鏡用裏止め塗膜である。

また、重量%表示で、金属元素単体としてのアルカリ土類金属(R)が0.5%〜7.8%含まれており、かつ金属元素単体としてのモリブデン、ビスマスおよびアルカリ土類金属の総和(Mo+Bi+R)が3.12%〜11.3%である上記の鏡用裏止め塗膜である。
また、重量比で、モリブデン/ビスマス(Mo/Bi)が0.01〜50.0、および/又はアルカリ土類金属/ビスマス(R/Bi)が0.06〜48.0である上記の鏡用裏止め塗膜である。
また、重量%表示で、金属元素単体としての亜鉛(Zn)の含有率が0.04%〜0.09%である上記の鏡用裏止め塗膜である。
また、体質顔料および/または着色顔料を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の鏡用裏止め塗膜である。
さらに、上記の鏡用裏止め塗膜を用いて形成された鏡である。
本発明により、長期間安定した鏡面品質を維持できる防食性能を有し、特に環境負荷物質としての懸念のある鉛を実質上用いず、市場の要求する防食性能を満足する鏡用裏止め塗膜およびそれを用いた鏡が提供された。
図1は、鏡の概略断面図である。図1に示すように、通常、鏡は、ガラス基材G上の銀鏡膜1、銀鏡膜1を保護する金属保護膜2、および裏止め塗膜3が順次積層形成されてなる。
銀鏡膜1は銀が一般的に使用されることからそのように呼ばれているが、アルミニウム、クロム、チタン等の鏡膜を形成する金属および銀を含むこれら金属を混在させたものを使用してもよい。鏡膜を保護する金属保護膜2には銅が一般的に使用される。しかし、金属保護膜2としては、化学的安定性を有し、銀鏡膜1との密着性が良い金属であれば良く、更に好ましくは銀鏡膜1と同様な被膜形成法、例えば、無電解メッキ法により容易に膜形成し得る金属であればよいので、例えばニッケル、ニッケル合金、錫、錫合金等を使用しても良い。多くの場合、鏡膜としての銀鏡膜1、銀鏡膜1を保護する金属保護膜2としての銅膜はスプレー等の手段で膜形成がなされ、種々のメッキ法により順次膜付けされる。金属保護膜2の上には、ローラーコート、フローコート、スプレー、刷毛塗り等の手段により裏止め塗料が塗布、その後に焼き付けされ、裏止め塗膜3となり、鏡は完成する。
本発明は、ガラス基材の少なくとも片面に金属膜を形成し、該金属膜上に裏止め塗膜3を形成した鏡を作製するための裏止め塗膜3であって、重量%表示で、金属元素単体としてのモリブデンが0.001%〜5%、ビスマスが0.1%〜10.0%含まれる鏡用裏止め塗膜3である。尚、本発明において、金属膜とは、銀鏡膜1等の鏡膜、金属保護膜2双方をさす。本発明の裏止め塗膜3は実質的に無鉛であることが好ましく、鉛系顔料を用いずに鏡に優れた防食性能を与える。
裏止め塗膜中のモリブデンの由来としては裏止め塗膜を塗布する際の塗料に、モリブデン粉末、モリブデン酸カルシウム、およびリンモリブデン酸アルミニウム等のモリブデン化合物を分散させることが好ましい。入手のし易さ、分散のし易さからモリブデン酸カルシウムが好適に用いられる。また、ビスマスはビスマス粉末、水酸化ビスマス、等のビスマス化合物を裏止め塗膜を塗布する際の塗料に分散させる。入手のし易さ、分散のし易さから水酸化ビスマスが好適に用いられる。
本発明において、無鉛顔料とは、鏡膜の着色防止、優れた防食性、耐水性および耐薬品性を得るための鉛を含まない、即ち、実質的に無鉛の顔料を意味する。ここで、無鉛とは、鉛の含有率が0.3重量%以下であることをさす。鉛の含有量は環境負荷物質としての懸念から少ないほど良く、不純物としての混入も少ないほど良いが、数値的に重量%表示で示せば0.1%以下が好ましい。なお、上述したモリブデン、ビスマス、アルカリ土類金属、亜鉛および鉛等に関する含有率の数値は、裏止め塗膜中に含有している金属元素単体としての含有量である。
鏡用裏止め塗膜中の金属元素単体としての亜鉛の含有率は、重量%表示で0.3%以下が好ましい。亜鉛の含有率が0.3%を越えると、鏡用裏止め塗膜の要求特性確保するためには環境負荷物質としての懸念のある鉛の混入が必要となる場合が多くなり、鉛を使用せざるを得ない傾向がある。また、塗料としての安定性にも問題が発生することがあり、例えば経時により変質するなどして塗料の長期貯蔵が難しくなり、特別な管理が必要になったりする場合もある。上述したモリブデンとビスマスとの関係においても、金属元素単体としての亜鉛の含有率は、重量%表示で、より好ましくは0.1%以下、さらに好ましくは0.05%以下である。
本発明の鏡用裏止め塗膜において、鏡膜の着色防止、優れた防食性、耐水性および耐薬品性を得るため、モリブデンとビスマスが選択され、モリブデンとビスマスを鏡用裏止め塗膜に適量で含有させることにより、鉛をなくしても、上述の特性が得られる。
モリブデンは、鏡の防食性能向上のために非常に有効な材料であり、鏡用裏止め塗膜中に重量%表示で、含有率、0.001%〜5.0%の範囲内で混入、言い換えれば、含有されていることが好ましい。金属元素単体としてのモリブデンの含有率が0.001%未満では、優れた防食性能が得られない。一方、金属元素単体としてのモリブデンの含有率が5.0%を越えると、裏止め塗膜の金属膜への付着が充分でなく剥がれ易く、塗膜形成がし難くなるという問題が発生する。より好ましくは0.005%〜3.0%での範囲あり、さらに好ましくは0.01%〜2.0%の範囲である。
ビスマスは、モリブデンと同様に鏡の防食性能向上のために有効な材料であり、鏡用裏止め塗膜中に重量%表示で、含有率、0.1%〜10.0%の範囲内で混入、言い換えれば、含有されていることが好ましい。ビスマスの含有率が0.1%未満では、優れた防食性能が得られない。一方、ビスマスの含有率が10.0%を越えると、裏止め塗膜の金属膜への付着が充分でなく剥がれ易く、塗膜形成がし難くなるという問題が発生する。より好ましくは0.5%〜8.0%の範囲であり、さらに好ましくは1.0%〜5.0%の範囲である。
なお、鏡用裏止め塗膜中のモリブデンとビスマスの和を考えると、重量%表示で、含有率、0.5%〜10.0%の範囲内で混入、言い換えれば、含有されていることが好ましい。鏡用裏止め塗膜中のモリブデンとビスマスの含有率の和が0.5%未満であると鏡に優れた防食性能が得られない。一方、鏡用裏止め塗膜中のモリブデンとビスマスの含有率の和が10.0%を越えると、鏡の製造時に塗膜形成がし難く、実用に劣る。より好ましくは1.0%〜10.0%の範囲であり、さらに好ましくは1.5%〜6.0%の範囲である。
また、本発明の鏡用裏止め塗膜は、重量%表示で、アルカリ土類金属が0.5%以上含有されており、かつモリブデン、ビスマスおよびアルカリ土類金属の含有率の総和が1.0%〜20.0%の範囲内にあることが好ましい。上述の範囲外では、鏡用裏止め塗膜の要求特性をバランス良く満足させることはできない。例えば、重量%表示で、モリブデン、ビスマスおよびアルカリ土類金属の総和が1.0%未満では、鏡に優れた防食性能を得ることはできない。一方、重量%表示で、モリブデン、ビスマスおよびアルカリ土類金属の含有率の総和が20.0%を越えていると、付着性が下がる上、塗膜形成がし難くなるという問題が発生する。より好ましくは2.0%〜10.0%の範囲であり、さらに好ましくは3.0%〜8.0%の範囲である。
アルカリ土類金属も鏡の防食性能向上に有効であり、鏡用裏止め塗膜の中に重量%表示で、含有率0.1%以上に混入、言い換えれば含有させることが好ましい。0.1%未満では、鏡用裏止め塗膜の防食性能等の要求特性をバランス良く満足させることはできない。耐候性が悪化したり、ビスマスやモリブデンの防食性能を維持しつつ有効に導入することが難しくなったりすることもある。このような観点から、アルカリ土類金属としてはカルシウム(Ca)が最も好ましいが、他のアルカリ土類金属で対応してもよく使用される。より好ましくは0.50%〜8.0%の範囲であり、さらに好ましくは1.0%〜5.0%の範囲である。
また、本発明の鏡用裏止め塗膜は、重量比で、モリブデン/ビスマスが0.01〜50.0、および/又はアルカリ土類金属/ビスマスが0.05〜100.0の範囲にあることが好ましい。上記の範囲内において、特に鏡用裏止め塗膜の要求特性をバランス良く満足する。
本発明は、さらに、上述のいずれかに記載された鏡用裏止め塗膜を用いて形成された鏡である。
なお、本発明の鏡用裏止め塗膜中の顔料には、鏡、即ち、鏡膜の着色防止、優れた防食性、耐水性および耐薬品性を得るための無鉛顔料以外に、体質顔料、着色顔料も含まれることが好ましい。
体質顔料とは、塗膜の硬度向上、塗膜の厚みを増すためのものである。着色顔料とは、塗膜を着色するための顔料である。体質顔料は、タルク、沈降性硫酸バリウム、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、バライト等から選ばれ、着色顔料は、酸化チタン、弁柄、黄色酸化鉄、鉄黒、カ−ボンブラック、有機顔料等から選ばれ適宜使用する。
本発明の鏡用裏止め塗膜中にはアルキド樹脂、エポキシ樹脂、架橋樹脂の各組成物が存することが好ましい。
本発明の鏡用裏止め塗膜中のアルキド樹脂には、アルコ−ルと酸とのエステル化によって生成する樹脂状物質で無水フタル酸等の多塩基酸とグリセリン等の多価アルコ−ルとの結合物を骨格とし油脂で変性した樹脂を含み、更に、ロジン等の天然樹脂、フェノ−ル樹脂等の合成樹脂、およびスチレンモノマーまたはメチルメタアクリレートモノマ−等の重合性モノマーで変性した樹脂を含む。一般的に、アルキド樹脂は、重量%表示で、樹脂分等の不揮発分を40.0%〜80.0%の範囲で含む粘液状で、原料として用いる脂肪酸等、油脂の種類、その量、多塩基酸、多価アルコ−ルの種類および他樹脂による変性により異なる種類のアルキド樹脂が得られる。
本発明の鏡用裏止め塗膜中のエポキシ樹脂には、1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有し、好ましくは、数平均分子量300〜4000、エポキシ当量150〜3500、さらに好ましくはエポキシ当量180〜3000のビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂が含まれることが好ましい。上述の範囲外になると、鏡用裏止め塗膜に要求される諸特性が満足しなくなることが多くなるからである。
本発明の鏡用裏止め塗膜中には、アルキド樹脂(A)、エポキシ樹脂(E)、架橋樹脂(M)が存在し、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、架橋樹脂の重量比は、(A):(E):(M)=(60〜95):(1〜30):(1〜30)の範囲にあることが好ましい。更に、好ましくは(A):(E):(M)=(65〜90):(5〜25):(2〜25)の範囲である。
アルキド樹脂の重量比が60未満の裏止め塗膜3を有する鏡は耐温水性に劣り、温水に長時間浸漬すると裏止め塗膜3中にブリスターが発生し易く、アルキド樹脂の重量比が95を超えた裏止め塗膜3を有する鏡においては、鏡の耐薬品性および耐湿性に劣り、鏡膜に縁シケまたは中シケが発生し易い。
エポキシ樹脂の重量比が1未満の裏止め塗膜3を有する鏡は、耐薬品性等に劣り、縁シケ、中シケが発生し易く、好ましくは、2以上である。エポキシ樹脂の重量比が30を超えた裏止め塗膜3を有する鏡においては、裏止め塗膜3と金属保護膜2との密着性に劣り、好ましくは、25以下である。
架橋樹脂の重量比が1未満の裏止め塗膜3を有する鏡は、耐薬品性等が劣化して縁シケ、中シケが発生し易く、好ましくは、2以上である。架橋樹脂の重量比が30を超えた裏止め塗膜3を有する鏡においては、耐温水性に劣り、温水に長時間浸漬すると裏止め塗膜中にブリスターが発生し易く、好ましくは25以下である。
本発明の鏡用裏止め塗膜中には、アミノ樹脂またはブロックイソシアネート樹脂が使用されることが好ましい。
前記、アミノ樹脂はメラミン、グアナミン、尿素等のアミノ化合物と、ホルムアルデヒド、即ち、ホルマリンとを付加反応させ、アルコールで変性した樹脂を総称する。本発明の鏡用裏止め塗膜中のアミノ樹脂には、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ブチル化尿素樹脂、ブチル化尿素メラミン樹脂、グリコールウリル樹脂、アセトグアナミン樹脂、およびシクロヘキシルグアナミン樹脂等が含有されているが、熱硬化性樹脂であることにより塗膜が硬くなること、耐薬品性に優れること等からメラミン樹脂の含有が好ましい。
なお、図1に示す裏止め塗膜3は一般的な膜厚が30μm〜80μmになるように塗料を塗布し、これを常温乾燥、好ましくは100℃〜200℃に焼き付けることが好ましい。焼き付けることで樹脂が三次元に架橋硬化し透湿性がなくなる他、それにモリブデン、ビスマスがモリブデン酸カルシウム、水酸化ビスマス等の化合物の状態で、またそれぞれが酸化物に変化した状態で分散し、優れた防食性能を発揮すると思える。
モリブデン酸カルシウム、水酸化ビスマスおよび水酸化カルシウムと塗膜形成用樹脂を混合した。樹脂としてはフェノール変性アルキド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ブロックイソシアネート樹脂を用いた。さらに、溶剤としての3−メトキシブチルアセテート、沈殿防止剤としてのベントナイト等を加えた混合液を金属保護膜2上に塗布後乾燥させた。更に、主に原料およびその組成を変えて、表1の実施例1〜7、比較例1〜3に示す塗膜を同様に得た。
この様にして、本発明の裏止め塗膜3の組成の範疇にある表1の実施例1〜7に示す組成の裏止め塗膜3を得た。表1中のアルカリ土類金属(R)は実施例7のバリウム(Ba)を除き、すべてカルシウム(Ca)である。鉛については、その分析値が0.01%と記載されているものについては、それ以下であるものも含んでいる。
また、本発明の裏止め塗膜3の範疇にない比較例1〜3の組成の裏止め塗膜3を得た。具体的には、モリブデン酸カルシウムを使用しないでモリブデンの含有のない裏止め塗膜3の組成を比較例1に示す。次いで、水酸化ビスマスを使用しないでビスマスの含有のない裏止め塗膜3の組成を比較例2に示す。次いで、ビスマスの含有の少ない裏止め塗膜の組成を比較例3に示す。
表1中で、モリブデン、ビスマス、アルカリ土類金属については、原子吸光光度計により測定した各元素の含有量を、重量百分率で示したが、アルキド樹脂、エポキシ樹脂および架橋樹脂についてはその総和を100とした混合比で示した。これらの樹脂の値は、実際の測定値とは異なっている可能性を否定できないが、概ね3%以内の誤差でその範囲内にあることは予備的に確認している。なお、モリブデン、ビスマス、アルカリ土類金属の含有量の測定については、JIS K−0120に準じて行い、測定は日立偏光ゼーマン原子吸光光度計Z−5000型を用いた。
Figure 0004703317
尚、鏡の作製手順を具体的に説明すると、図1に示すように、ガラス基材Gとしてのガラス基板上にスプレー法により、銀鏡膜1、金属保護膜2としての銅保護塗膜を順次積層形成した。さらに、銅膜上に裏止め塗膜用組成物を夫々フローコーターにて硬化時の膜厚が50μmになるように塗布し、電気熱風循環乾燥炉にて8分間、板温150℃で焼き付けて裏止め塗膜3を形成した。
次いで、室温20℃下で3日間静置後、10cm×20cmの寸法に裁断した鏡を試験片とし、表2に示す各試験方法で評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 0004703317
耐食性Aについては耐温水性を主体的に、耐食性Bについては耐塩水噴霧性を主体的に評価し、さらに耐アルカリ性および耐酸性の観点も含めて総合的に評価した。塗膜形成性については、所定の膜厚が再現性よく得られるかの評価とキャステストを含めた試験後の外観観察結果から、耐膜強度については鉛筆硬度と密着性を試験し、これら観点から総合的に評価した。そして、実施例1〜7、比較例1〜3に示すそれぞれの組成の裏止塗膜を形成した鏡の総合評価を表1における鏡の市場性に示した。即ち、市場の要求する防食性能等の防食鏡としての総合評価である。
表1において、評価基準をすべて満足したものを〇、満足しなかったものを×とした。さらに、一部の試験は合格したが、すべてを合格しなかったものには△をつけた。
本発明の裏止塗膜3の範疇にある組成の実施例1〜7の裏止め塗膜3を有する鏡は全ての評価を満足したが、本発明の裏止塗膜3の範疇にない組成の比較例1〜3の裏止め塗膜3を有する鏡は評価を満足するものではなかった。
鏡の概略断面図である。
符号の説明
G ガラス基材
1 銀鏡膜
2 金属保護膜
3 裏止め塗膜

Claims (6)

  1. ガラス基材の少なくとも片面に金属膜を形成し、該金属膜上に裏止め塗膜を形成した鏡を作製するための裏止め塗膜であって、重量% 表示で、金属元素単体としてのモリブデンが0.02%〜4.8%、ビスマスが0.1%〜9. 0%含まれており残部が樹脂であること特徴とする鏡用裏止め塗膜。
  2. 重量%表示で、金属元素単体としてのアルカリ土類金属が0.5%〜7.8%含まれ、かつ金属元素単体としてのモリブデン、ビスマスおよびアルカリ土類金属の総和が3.12%〜11.3%であることを特徴とする請求項1に記載の鏡用裏止め塗膜。
  3. 重量比で、モリブデン/ビスマスが0.01〜50.0および/又はアルカリ土類金属/ ビスマスが0.06〜48.0であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鏡用裏止め塗膜。
  4. 重量% 表示で、金属元素単体としての亜鉛の含有率が0.04%〜0.09%であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の鏡用裏止め塗膜。
  5. 体質顔料および/または着色顔料を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の鏡用裏止め塗膜。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の鏡用裏止め塗膜を用いて形成されたことを特徴とする鏡。
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