JP4702513B2 - 焼結磁石の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、少ない処理工程であってもスラッジを有効に再利用することのできる方法を提供することを目的とする。また、本発明は、そのような方法で得られた磁石粉末を用いて磁石を得る方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、そのような方法で得られた磁石粉末を用いて磁石を得るための製造システムを提供することを課題とする。
通常、数μmから数十μmの大きさの粒子からなるスラッジと研削液と共に、回収タンクに相当の時間貯留される。R−TM−B系焼結磁石のような希土類化合物は活性であり、特にその化合物表面積が大きいと酸素と反応しやすい。スラッジは加工によって新生面が露出した粒子で構成されており、その酸素との反応は早く防錆剤を混合した研削液といえども、長時間浸漬状態であれば粉体の酸化が進行し粒子の磁気特性は低下する。
本発明は以上の知見に基づくものであり、焼結磁石材料を研削加工して生成されたスラッジを研削液から分離するステップと、研削液から分離されたスラッジをその生成から24時間経過前に乾燥処理するステップと、乾燥処理されたスラッジを磁石製造用原料として用い、所定形状に成形し、かつ磁場を印加して成形体を作製する磁場中成形ステップと、成形体を焼結して焼結磁石を得るステップと、を備えることを特徴とする焼結磁石の製造方法である。
本発明によれば、研削により生成されるスラッジを磁石製造用原料として用いるため、スラッジを有効に再利用できるとともに、低コストで磁石を製造することができる。
本発明の焼結磁石スラッジの再利用方法において、焼結磁石材料は、R−TM−B系焼結磁石材料(Rは希土類元素の1種又は2種以上、TMはFe、又はFe及びCo)とすることが望ましい。R−TM−B系焼結磁石は、磁気特性が高いため、そのスラッジを用いて磁石として十分に機能する特性を有することができるためである。
本発明の焼結磁石スラッジの再利用方法は、はじめに、焼結磁石材料を研削加工して排出された研削液及びスラッジの混合物からスラッジを分離する。通常、焼結磁石の加工時に生成したスラッジは研削液と共に回収タンクに排出される。貯蔵タンクに排出された混合物を、例えばろ過することにより、スラッジと研削液に分離する。スラッジと研削液の分離は、回収タンクに混合物が所定量貯留した後にまとめて行うことができるし、連続的に分離することもできる。分離はろ過に限らず、遠心分離等の公知の固液分離手段を広く適用することができる。
本発明において、RはYを含む概念を有しており、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu及びYの1種又は2種以上から選択される。さらに、保磁力を改善するために、Al、Cr、Mn、Mg、Si、Cu、C、Nb、Sn、W、V、Zr、Ti、Mo、Bi、Ag及びGaなどの元素を1種又は2種以上を含有することもできる。
また、R−Co系焼結磁石は、Rと、Fe、Ni、Mn及びCrから選ばれる1種以上の元素と、Coとを含有する。この場合、好ましくはさらにCuまたは、Nb、Zr、Ta、Hf、Ti及びVから選ばれる1種以上の元素を含有し、特に好ましくはCuと、Nb、Zr、Ta、Hf、Ti及びVから選ばれる1種以上の元素とを含有する。これらのうち特に、SmとCoとの金属間化合物、好ましくはSm2Co17金属間化合物を主相とし、粒界にはSmCo5系を主体とする副相が存在する。
R−TM−B系焼結磁石は磁気特性が高いため、本発明を適用することにより、用途によって十分な磁気特性を有する磁石を得ることができる。なお、ここではR−TM−B系焼結磁石、R−Co系焼結磁石について言及したが、本発明は他の希土類焼結磁石への適用を妨げるものではない。
乾燥処理は、100℃以下の温度で行うことが望ましい。あまり高温で乾燥処理を行うと、磁気特性の低下を招くおそれがあるからである。したがって、乾燥温度はこれらの事項を考慮して選択すればよい。本発明者らの検討によると、常温であれば10時間程度保持すれば十分な乾燥状態が得られ、また120℃であれば2時間程度保持すれば十分な乾燥状態が得られる。
図1は磁石製造システムの構成を示すブロック図である。この磁石製造システム10は、ストリップ・キャスト、その他の鋳造方法で得られた新たな原料合金を用いて焼結磁石を製造することができる。さらにこの磁石製造システム10は、新たな原料合金を用いて焼結磁石(第1の磁石)を製造する過程の加工、特に研削加工で生成するスラッジを原料粉末として焼結磁石(第2の磁石)を製造することができる。
粗粉砕はまた、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等の粉砕機を用い、不活性ガス雰囲気中にて行なうこともできる。
粗粉砕後、微粉砕に移る。微粉砕では、通常、気流式粉砕機を用いて平均粒径1〜10μm程度まで処理される。なお、成形時の潤滑及び配向性の向上を目的とした脂肪酸又は脂肪酸の誘導体、例えばステアリン酸系やオレイン酸系であるステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等を微粉砕時に添加することができる。
磁場中成形は、加圧方向と磁場印加方向とがほぼ直交するいわゆる横磁場成形法、加圧方向と磁場印加方向とがほぼ一致するいわゆる縦磁場成形法の両者を用いることができる。
磁石製造システム10は、研削によって生成したスラッジを研削液と分離する分離部6を備えている。本発明において、分離部6における研削液とスラッジに分離する具体的な手段は問われない。例えば、スラッジと研削液の混合物を回収タンクに所定時間貯留した後に、ろ過手段にこの混合物を通すことにより研削液とスラッジに分離することができる。また、生成されたスラッジを連続的にろ過手段に通すことにより分離してもよい。
分離部6において研削液とスラッジに分離する手段は、ろ紙等のろ過手段、遠心分離機等の公知の手段を用いることができる。その他、磁力により研削液とスラッジに分離する手段であってもかなわない。なお、分離部6においてスラッジは研削液と分離されるが、通常、乾燥するまでにいたらない。そこで、スラッジは乾燥部7において乾燥される。
また、磁石製造システム10、20及び30は、スラッジを焼結磁石用の原料に用いるものであるが、図4に示す磁石製造システム40のように、スラッジと結合材としての樹脂とのコンパウンドを作製するコンパウンド作製部91、コンパウンド作製部91にて作製されたコンパウンドを例えば射出成形することによりボンド磁石を製造する射出成形部92を設けることもできる。
その後、スタンプミルによる粗粉砕、ジェットミルにより微粉砕を行って平均粒径4.0μmの粒径の微粉末を得た。なお、ジェットミルによる微粉砕を行う際に、オレイン酸アミドを0.1wt%添加した。
以上のようにして得られたNd−Fe−B系焼結磁石の磁気特性は、残留磁束密度(Br)が13.5kG、保磁力(Hcj)が16.5kOeであった。
所望の寸法まで約2時間の加工を行い、加工の際に生じたスラッジを回収タンクに収容した。スラッジを研削液に浸漬状態で回収タンクにて保管し、加工終了から所定時間が経過した後に研削液と一緒に回収タンクから取り出した。取り出したスラッジをろ紙を用いてろ過することにより、研削液とスラッジとを分離した。さらに、スラッジを金属製バットに移し真空恒温槽にて120℃で2時間真空引きし、残った水分を蒸発させる乾燥処理を施した。
Claims (2)
- 焼結磁石材料を研削加工して生成されたスラッジを研削液から分離するステップと、
前記研削液から分離された前記スラッジを前記生成から24時間経過前に乾燥処理するステップと、
乾燥処理された前記スラッジを磁石製造用原料として用い、所定形状に成形し、かつ磁場を印加して成形体を作製する磁場中成形ステップと、
前記成形体を焼結して焼結磁石を得るステップと、を備えることを特徴とする焼結磁石の製造方法。 - 前記焼結磁石材料は、R−TM−B系焼結磁石材料(Rは希土類元素の1種又は2種以上、TMはFe、又はFe及びCo)であることを特徴とする請求項1に記載の焼結磁石の製造方法。
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