JP4701590B2 - エアブリーザ機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌の搭載される自動変速機に設けられるエアブリーザ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
車輌に搭載される自動変速機には、一般に、例えば特許文献1に記載されているように、エアブリーザ機構が設けられている。このエアブリーザ機構は、自動変速機のケース部材内の圧力が外部よりも高くなったときに、内部のエアを外部に放出して内外の圧力差をなくすことにより、自動変速機のオイルシール等から潤滑油が漏洩することを防止するものである。
【0003】
エアブリーザ機構は、ケース部材の上部に設けられたブリーザ室によって構成されていて、ブリーザ室にはエアブリーザ孔が形成されている。このエアブリーザ孔は、ケース部材の内部に向けて開口する開口部を有しており、ケース部材内のエアは、この開口部からエアブリーザ孔に入り、エアブリーザ孔を通過し、そして外部に開口する排気孔を介して外部に放出される。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−82692号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動変速機のケース部材内には、例えばプラネタリギヤを構成する多数の回転要素が配設されていて、これら回転要素には、潤滑油が供給されている。そして、供給された潤滑油は、回転要素の回転に伴って連れ回りし、霧状(ミスト)となる。このミストの一部は、ケース部材内のエアに混入し、エアとともに、ケース部材の内部から上述のエアブリーザ孔を経由して排出孔を介して外部に放出されてしまう。このようにして外部に放出されるミストの量は、エアブリーザ孔の位置や開口部の向きが適切でない場合には、増加する傾向にあり、この場合には、潤滑油量が減少するという問題が発生する。また、エアブリーザ孔の位置や開口部の向きが適切でない場合には、自動変速機が横倒した場合に、エアブリーザ孔を介して、潤滑油及びトルクコンバータの作動油が自動変速機の外部に漏れ出るという問題が発生する。
【0006】
そこで、本発明は、エアブリーザ孔の位置及び開口部の向きを好適に設定することにより、上述の問題を解決し、もって潤滑油の放出を防止し、また横転時等にエアブリーザ孔を介して潤滑油及びトルクコンバータの作動油が漏洩するのを防止するようにしたエアブリーザ機構を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、変速機(1)のケース部材(6)の内部と外部とを連通させるエアブリーザ機構(23)において、
前記ケース部材(6)の上部に、エアブリーザ孔(25)を有するブリーザ室を備え、
前記エアブリーザ孔(25)は、前記ケース部材(6)内に配設された回転要素の回転に伴って発生する潤滑油の移動方向に対して下流側に向けて前記ケース部材(6)内部に開口する開口部(25a)を有し、
前記ケース部材(6)は、トルクコンバータ(2)を収納するハウジングケース(20)と前記回転要素として摩擦係合要素を収納するミッションケース(21)とを接合して構成され、
前記エアブリーザ孔(25)は、前記ミッションケース(21)における、前記ハウジングケース(20)と前記ミッションケース(21)との接合面(H1)から所定距離だけ離れた位置に形成され、
前記所定距離は、前記ケース部材(6)を、前記ハウジングケース(20)側を下方にして横倒した場合、及びこの逆に前記ハウジングケース(20)側を上方にして横倒した場合に、前記ケース部材(6)内の油が前記エアブリーザ孔(25)を介して外部に漏洩することのない距離に設定されている、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のエアブリーザ機構(23)において、前記エアブリーザ孔(25)は、前記潤滑油の移動方向にほぼ沿って形成されている、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載のエアブリーザ機構(23)において、前記エアブリーザ孔(25)は、前記開口部(25a)の位置が、エアの流れに沿っての下流側よりも低く設定されている、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のエアブリーザ機構(23)において、前記ブリーザ室は、前記ケース部材(6)の内側に突出して形成されて、前記潤滑油の流れを遮るとともに、前記開口部(25a)は、前記潤滑油の流れが直接当たらない位置に配置されている、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のエアブリーザ機構(23)において、前記開口部(25a)の開口面は、前記潤滑油の流れに対して直交する向きに設定されている、
ことを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のエアブリーザ機構(23)において、前記ブリーザ室は、前記エアの流れに沿っての前記エアブリーザ孔(25)の下流側にラビリンス構造を有する、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のエアブリーザ機構(23)において、前記開口部(25a)は、前記回転要素の回転軸の直上よりも、前記潤滑油の移動方向に沿っての下流側に配置されている、
ことを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のエアブリーザ機構(23)において、前記エアブリーザ孔は、前記変速機(1)の入力軸に沿った方向について、前記変速機(1)のほぼ中央に配置されている、
ことを特徴とする。
【0017】
【発明の効果】
請求項1の発明によると、エアブリーザ孔は、ケース部材内に配設された回転要素の回転に伴って発生する潤滑油の移動方向に対して下流側に向けて開口する開口部を有しているので、潤滑油が開口部を介してエアブリーザ孔に侵入しにくい。これによりエアブリーザ孔を介してケース部材の外部に潤滑油が放出されることを防止することができる。また、エアブリーザ孔は、接合面から所定距離、すなわちケース部材を、ハウジングケース側を下方にして横倒した場合、及びこの逆にハウジングケース側を上方にして横倒した場合に、ケース部材内の油がエアブリーザ孔を介して外部に漏洩することのない距離に設定されているので、上述のいずれの方向に横倒しされても、ケース部材内の油(潤滑油及び作動油)がエアブリーザ孔を介してケース部材外部に漏洩することを防止することができる。
【0018】
請求項2の発明によりと、エアブリーザ孔は、潤滑油の移動方向にほぼ沿って形成されているので、潤滑油がエアブリーザ孔にさらに侵入しにくなる。
【0019】
請求項3の発明によると、エアブリーザ孔は開口部が低い位置に設定されているので、エアブリーザ孔(の内面)に付着した潤滑油は、開口部に向かって流れ、さらに開口部からケース部材内部に戻される。
【0020】
請求項4,5の発明によると、潤滑油が一層、エアブリーザ孔に侵入しにくくなる。
【0021】
請求項6の発明によると、ラビリンス構造によって潤滑油をケース部材内に回収することができる。
【0022】
請求項7の発明によると、エアブリーザ孔の開口部は、回転要素の回転軸の直上よりも、潤滑油の移動方向下流側に配置されているので、これにより、一層、潤滑油が開口部を介してエアブリーザ孔に侵入しにくくなる。
【0023】
請求項8の発明によると、エアブリーザ孔は、変速機のほぼ中央に配置されているので、変速機がいずれの方向に傾斜(又は横倒)した場合でも、このエアブリーザ孔から潤滑油やトルクコンバータの作動油が漏れにくい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図面において、同一の符号を付したものは、同様の構成又は作用を有するものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。
【0026】
<実施の形態1>
図1は、本発明に係るオイルシール及びこれを用いたシール構造が適用される自動変速機(変速機)1におけるギヤトレインを示すスケルトン図、また、図2はこの自動変速機1の作動状況を示す作動表である。
【0027】
図1に示す自動変速機1は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車輌に用いる自動変速機の例を示しており、FF車輌に搭載された状態において、同図中の右側,左側が、それぞれ実際のFF車輌の右側,左側に対応している。したがって、後述の入力軸7、カウンタ軸4、駆動車軸15,15は、FF車輌の左右方向を向けた状態で相互に平行に配置されることになる。
【0028】
自動変速機1は、図1に示すように、ロックアップクラッチ2aを有するトルクコンバータ2と、摩擦板等からなるクラッチC−1,C−2,C−3やブレーキB−1,B−2と、プラネタリギヤユニット3と、カウンタ軸4と、ディファレンシャル装置5とを備えており、これら各部を互いに接合して一体に構成するケース6に収納されている。このケース6の外側には、上述のクラッチやブレーキの締結(係合・係止)及び解放を自在に制御する油圧制御装置(不図示)が配設されている。
【0029】
上述のプラネタリギヤユニット3は、入力軸7と出力部8とを有しており、この入力軸7は、トルクコンバータ2内の油流を介して、あるいはロックアップクラッチ2aを介して、エンジン出力軸10に連結されている。また出力部8は、カウンタ軸4に固定・支持された伝達ギヤ11,12と、ディファレンシャル装置5のディファレンシャルケース13の外周側に設けられたファイナルリングギヤ14と、ディファレンシャルケース13とを介して、左右の駆動車軸15,15に連動・連結されている。
【0030】
プラネタリギヤユニット3は、第1のギヤユニット(プラネタリギヤ)3aと、第2のギヤユニット(プラネタリギヤ)3bとを備えている。このうち第1のギヤユニット3aは、サンギヤS1と、リングギヤR1と、これらに噛合するピニオンP1を支持するキャリヤCR1とを有するシングルピニオンプラネタリギヤによって構成されている。一方、第2のギヤユニット3bは、シングルピニオンプラネタリギヤとダブルピニオンプラネタリギヤとが組み合わされて構成されている。このうち前者のシングルピニオンプラネタリギヤは、大径のサンギヤS3と、リングギヤR2と、これらに噛合するロングピニオンP3を支持するキャリヤCR2とを有している。これに対し、後者のダブルピニオンプラネタリギヤは、上述のサンギヤS3より小径のサンギヤS2と、リングギヤR2と、ショートピニオンP2及びロングピニオンP3を支持する共通のキャリヤCR2とを有している。上述のショートピニオンP2とロングピニオンP3とは、相互に噛合するとともに、それぞれ個別にサンギヤS2、リングギヤR2に噛合している。上述のロングピニオンP3とリングギヤR2とは、シングルピニオンプラネタリギヤとダブルピニオンプラネタリギヤとの双方に対して共通に機能するようになっている。
【0031】
上述のプラネタリギヤユニット3において、入力軸7は第1のギヤユニット3aのリングギヤR1に連結されており、かつこの第1のギヤユニット3aのサンギヤS1はケース6に固定されている。また、第1のギヤユニット3aのキャリヤCR1は、クラッチC−1を介して第2のギヤユニット3bのサンギヤS2に連結されるとともに、クラッチC−3を介して第2のギヤユニット3bのサンギヤS3に連結されている。このサンギヤS3は、バンドブレーキからなるブレーキB−1により係止・解放自在に構成されている。
【0032】
また入力軸7は、クラッチC−2を介して、第2のギヤユニット3bのキャリヤCR2に対し連結可能に構成されている。このキャリヤCR2は、ケース6に設けられたブレーキB−2及びワンウェイクラッチF−1により自在に係止又は解放され得るように構成されている。そして、第2のギヤユニット3bのリングギヤR2が出力部8に連結されている。
【0033】
次いで、図1のスケルトン図及び図2の作動表を参照しつつ、自動変速機1の作用について説明する。すなわち、ドライブレンジ(前進走行レンジ)における1速(1ST)では、クラッチC−1が係合し、かつワンウェイクラッチF−1が作動し、キャリヤCR2の逆回転がワンウェイクラッチF−1により阻止される。この状態では、入力軸7の回転は、第1のギヤユニット3aのリングギヤR1に伝達され、サンギヤS1が固定されているこの第1のギヤユニット3aによって減速された回転が、キャリヤCR1及びクラッチC−1を介して第2のギヤユニット3bの小径のサンギヤS2に入力される。そして、この第2のギヤユニット3bは、キャリヤCR2が停止状態にあるため、大径のサンギヤS3を空転させながら、リングギヤR2を正方向に大幅減速した状態で回転させ、この減速回転が出力部8に出力される。すなわち第1のギヤユニット3aの減速と、第2のギヤユニット3bの大幅な減速とにより、リングギヤR2からは、大幅な減速回転が出力部8に出力される。
【0034】
2速(2ND)にあっては、1速時のクラッチC−1の係合に加えて、ブレーキB−1が係止するとともに、ワンウェイクラッチF−1が作動解除される。この状態では、空転状態であった大径のサンギヤS3がブレーキB−1によって係止される。リングギヤR1の回転は、クラッチC−1を介して小径のサンギヤS2に入力されるが、サンギヤS3が停止状態にあるので、リングギヤR2の減速された回転が出力部8に出力される。すなわち第1のギヤユニット3aの減速と、第2のギヤユニット3bの中程度の減速とにより、リングギヤR2からは、中程度の減速回転が出力部8に出力される。
【0035】
3速(3RD)にあっては、1,2速時のクラッチC−1の係合に加えて、クラッチC−3が係合するとともにブレーキB−1が解放される。この状態では、入力軸7の回転が、それまでのリングギヤR1及びクラッチC−1を介した小径のサンギヤS2への入力に加え、クラッチC1を介して大径のサンギヤS3にも入力され、したがって第2のギヤユニット3b全体が直結状態となり、この直結回転がリングギヤR2を介して出力部8に出力される。すなわち第1のギヤユニット3aの減速と、第2のギヤユニット3bの小幅な減速とにより、リングギヤR2からは、小幅な減速回転が出力部8に出力される。
【0036】
4速(4TH)にあっては、1,2,3速時のクラッチC−1の係合に加えて、クラッチC−2が係合するとともにクラッチC−3が解放される。この状態では、リングギヤR1の回転は、それまでのクラッチC−1を介した小径のサンギヤS2への入力に加え、クラッチC−2を介してキャリヤCR2にも入力される。したがって、第2のギヤユニット3bでは、大径のサンギヤS3を空転させつつ、リングギヤR2から僅かに増速された回転が出力部8に出力される。これにより、第1のギヤユニット3aによる減速回転が、第2のギヤユニット3bにより僅かに増速されて4速回転が得られる。すなわち第1のギヤユニット3aの減速が、第2のギヤユニット3bの増速を上回り、全体としてリングギヤR2からは、小幅な減速回転が出力部8に出力される。
【0037】
5速(5TH)にあっては、クラッチC−1が解放されるとともに、クラッチC−2が係合状態をそのまま維持され、クラッチC−3が係合する。この状態では、入力軸7の回転は、それまでのクラッチC−2を介したキャリヤCR2への直接入力に加え、第1のギヤユニット3aによるリングギヤR1から減速回転が、クラッチC−3を介して大径のサンギヤS3にも入力される。これにより、第2のギヤユニット3bでは、大径のサンギヤS2を空転させつつ、リングギヤR2の僅かに増速された回転が出力部8に出力される。すなわち第1のギヤユニット3aの減速を、第2のギヤユニット3bの増速が僅かに上回り、全体としてリングギヤR2からは、小幅な減速回転が出力部8に出力される。
【0038】
6速(6TH)にあっては、クラッチC−3が解放されるとともに、クラッチC−2が係合状態をそのまま維持され、ブレーキB−1が係止される。この状態では、入力軸7の回転は、クラッチC−2を介してキャリヤCR2に入力されるが、サンギヤS3が停止状態にあるので、第2のギヤユニット3bでは、増速した回転がリングギヤR2から出力部8に出力される。すなわち第1のギヤユニット3aの減速を、第2のギヤユニット3bの増速が大幅に上回り、全体としてリングギヤR2からは、大幅な減速回転が出力部8に出力される。
【0039】
リバース(REV)レンジにあっては、クラッチC−3が係合されるとともに、ブレーキB−2が係止される。この状態では、リングギヤR1の回転は、クラッチC−3を介して大径のサンギヤS3に入力され、キャリヤCR2がブレーキB−2により係止されているので、リングギヤR2が逆回転して、この逆回転が出力部8に出力される。
【0040】
なお、エンジンブレーキ(コースト)時にあっては、通常の動作に加え、1速時にはブレーキB−2が係止され、キャリヤCR2の回転が確実に阻止されることになる。
【0041】
次に、本発明に係るエアブリーザ機構について、図3〜図7を参照して詳述する。このうち図3は、図1のスケルトン図で示す自動変速機1から、トルクコンバータ2をこれが収納されているハウジングケース20とともにとり外した状態を右方から見た図、また図4は図3中の矢印A方向から見た図(ただし、ハウジングケース20は装着され、バルブボディ22は取り外されている。)、さらに図5は図3中の上部右側(矢印D近傍)の拡大図、さらにまた図6は図5中のB−B線矢視図、そして図7は図4中のC−C線矢視図の一部を示す図である。図3〜図7には、それぞれの上部に、車輌に搭載された状態の自動変速機1の上下前後左右方向を矢印で図示している。
【0042】
図3,図4に示すように、ケース6全体は、トルクコンバータ2(図1参照)等が収納されているハウジングケース20と、プラネタリギヤユニット3(図1参照)等が収納されているミッションケース21とが接合面H1で接合され、さらにミッションケース21とバルブボディ22とが接合面H2で接合されて一体的に構成されている。なお、図3中の軸X,軸Y,軸Zは、この順に、図1に示す入力軸7,カウンタ軸4,駆動車軸15のそれぞれの軸心を示している。
【0043】
図5〜図7に示すように、エアブリーザ機構23全体は、ハウジングケース20とミッションケース21の接合面H1を挟むようにして、ハウジングケース20及びミッションケース21のほぼ上部に設けられたブリーザ室によって構成されている。なお、上部とは、自動変速機1が車輌に搭載された状態における上部のことである。またエアブリーザ機構23全体は、ケース6の内部に突出するように設けられている。エアブリーザ機構23は、これらの図に示すように、上流側のブリーザ室24と、下流側のブリーザ室26と、これらを連結するエアブリーザ孔26とを有するブリーザ室によって構成されている。すなわち、エアブリーザ機構23は、エアの流れ(矢印a,b,c,d,e,fデ図示)に沿った上流側から順に、上流側のブリーザ室24と、このブリーザ室24に連結されたエアブリーザ孔25と、このエアブリーザ孔25に連結された下流側のブリーザ室26と、このブリーザ室26に連結された排気孔27とを有している。このように、ケース6内部の空間は、エアブリーザ機構23を介して、すなわちブリーザ室24、エアブリーザ孔25、ブリーザ室26、排気孔27を介してケース6外部の空間と連通されている。なお、エアブリーザ機構23において、ケース6内部の空間と直接連通されているのは、ブリーザ室24の透孔24Aのみであり、他のエアブリーザ孔25、ブリーザ室26、排気孔27は、隔壁(底部:不図示)によってケース6内部の空間からは隔絶されている。
【0044】
ブリーザ室24は、壁部28によって、第1のブリーザ室24aと第2のブリーザ室24bとに分けられており、両者は、狭い流路24cを介して連通されている。この流路の底部には、ケース6内部と連通する透孔24Aが穿設されている。
【0045】
エアブリーザ孔25は、軸25bを中心としたほぼ円筒状に形成されるとともに、その開口部25aが第2のブリーザ室24bに向けて開口されている。この開口部25aの開口面は、後述の潤滑油の流れに対してほぼ直角となるように設定されている。エアブリーザ孔25は、図6に示すように、その軸25bがほぼ前後方向を向くように形成されており、かつ図5,図7に示すように、開口部25側が下方に位置するように、つまり開口部25bがエアの流れに沿っての下流側よりも低い位置となるように、緩やかに傾斜するように形成されている。この軸25bの向きは、図3における軸Xを中心として回転する回転要素、例えば、図1中のプラネタリギヤユニット3の各回転要素や、各クラッチC−1,C−2,C3等の回転に伴う潤滑油の流れの方向(図3,図5,図7中の矢印E方向)に沿った向きとなっている。また、開口部25aは、潤滑油の流れの方向に対して下流側を向けて開口されている。さらに、エアブリーザ孔25全体、特に開口部25aは、上述の軸Xの直上よりも回転要素の回転方向下流側に配置されている。
【0046】
そして、エアブリーザ孔25の左右方向についての位置は、図4,図6に示すように、従来が接合面H1近傍であったのとは異なり、接合面H1から所定距離だけ左方に離れた位置に設定されている。ここで所定距離とは、ケース6を、ハウジングケース20側が下方に位置するように横倒した場合(図6に示す状態)、及びこの逆にハウジングケース20側が上方に位置するように横倒した場合に、ケース6の潤滑油やトルクコンバータの作動油がエアブリーザ孔を介して外部に漏洩することのない距離をいう。なお、図6から明らかなように、図6に示す状態に横転した場合には、エアブリーザ孔25は、従来の接合面H1近傍の位置に対して高い位置に位置することになるので、油が漏洩しにくくなる。一方、図6の逆に横転した場合には、エアブリーザ25の位置は、従来のエアブリーザの位置よりも下部に位置することになる図4中の、C−C線よりも左側の部分が十分な容積を有しているので、エアブリーザ孔25を介して油が外部に漏洩するおそれはない。このように、本発明に係るエアブリーザ機構23は、エアブリーザ孔25が、接合面H1から所定距離だけ離れた位置に形成されているので、自動変速機1が搭載されている車輌が左右のいずれの方向に横転した場合でも、ケース6内の油がエアブリーザ25を介してケース6外部に漏れ出すおそれはない。
【0047】
なお、エアブリーザ孔が上述の位置に設定されているので、例えば、車輌の組み立て時等に、車輌に自動変速機1を搭載した状態で、かつ自動変速機1内に所定量の油を充填した状態で、車輌を左方又は右方に傾斜させても油の漏洩を防止できる。したがって、このような組み立て方法を積極的に採用することも可能となる。
【0048】
図6に示すように、上述のエアブリーザ孔25に連結されたブリーザ室26は、壁部30a,30b,30cによって、大きく3つの室26a,26b,26cに分割され、全体としてラビリンス構造を形成している。図5に示すように、上述の室26bにおけるエアブリーザ孔25に近い側の底部26d及び室26aの底部26eは、エアブリーザ孔25に向かって下方に傾斜しており、これによりこれら底部25d,25e上に回収された油は、エアブリーザ孔25、ブリーザ室24を介してケース6内部に戻されるようになっている。これに対して室26bの排気孔27に近い側の底部26f及び室26cの底部26gは逆に、排気孔27側が低くなるように傾斜されている。これにより、排気孔27から侵入した水分等の不純物が、ケース6内側に入り込むのを防止している。
【0049】
排気孔27は、図6に示すように、左右方向を向けて穿設されており、その開口部27aをケース6外部に向けて開口している。
【0050】
上述のエアブリーザ機構23は、自動変速機1のケース6内部の圧力が外部よりも高くなったときに、内部のエアを外部に放出して内外の圧力差をなくすことにより、自動変速機1のオイルシール等から潤滑油が漏洩することを防止する。このとき、ケース6内の回転要素の回転に伴って連れ回りされる潤滑油がミスト状となってエアに混入し、エアとともにエアブリーザ機構23を通ってケース6外部に放出されてしまう。
【0051】
上述のエアブリーザ機構23は、各部を上述のように構成することにより、潤滑油の放出を防止している。
【0052】
上述構成のエアブリーザ機構23によると、エアミストは、エアブリーザ孔25に直接入り込むことなく、まず、容積の大きいブリーザ室24に導入されるとともに、壁部28に衝突する等して流速が大幅に低減される。こうしてエアミストは、流速が低減され、壁部28に衝突することにより、一部が油滴となって除去される。さらに、エアブリーザ孔5は、上述のように、ケース6内部の回転要素の回転に伴って発生する潤滑油の移動の方向にほぼ沿って形成されるとともに、潤滑油の移動方向に対して下流側に向けてブリーザ室24に開口する開口部25を有しているので、エアミストが開口部25aからエアブリーザ孔25に侵入しにくいようになっている。さらにエアブリーザ孔25は開口部25a側が低くなるように形成されているので、エアブリーザ孔25(の内面)に付着した油滴は、開口部25aに向かって流れ、さらに開口部25aからブリーザ室24を介してケース6内部に戻される。
【0053】
エアブリーザ孔25からブリーザ室26に導かれたエアミストは、ここでさらに流速を低減され、かつ壁部30a,30b,30cに衝突し、油滴が除去された状態で、排気孔27から外部に放出される。
【0054】
以上の説明では、エアブリーザ機構23をFF車輌に搭載される自動変速機1に設けた場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばFR車輌に搭載される自動変速機に対しても基本的な構成はほぼそのままで適用することができ、この場合にも、上述とほぼ同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るオイルシール及びこれを用いたシール構造が適用される自動変速機におけるギヤトレインを示すスケルトン図である。
【図2】自動変速機の作動状況を示す図である。
【図3】図1のスケルトン図で示す自動変速機から、トルクコンバータをこれが収納されているハウジングケースとともにとり外した状態を右方から見た図である。
【図4】図3中の矢印A方向から見た図(ただし、ハウジングケースは装着され、バルブボディは取り外されている。)である。
【図5】図3中の上部右側(矢印D近傍)の拡大図である。
【図6】図5中のB−B線矢視図である。
【図7】図4中のC−C線矢視図の一部を示す図である。
【符号の説明】
1 変速機(自動変速機)
2 トルクコンバータ
3 プラネタリギヤ(プラネタリギヤユニット)
6 ケース(ケース部材)
20 ハウジングケース
21 ミッションケース
23 エアブリーザ機構(ブリーザ室)
24 上流側のブリーザ室
25 エアブリーザ孔
25a 開口部
26 下流側のブリーザ室
E 潤滑油の移動方向
H1 接合面
X 回転要素の回転軸(軸)
Claims (8)
- 変速機のケース部材の内部と外部とを連通させるエアブリーザ機構において、
前記ケース部材の上部に、エアブリーザ孔を有するブリーザ室を備え、
前記エアブリーザ孔は、前記ケース部材内に配設された回転要素の回転に伴って発生する潤滑油の移動方向に対して下流側に向けて前記ケース部材内部に開口する開口部を有し、
前記ケース部材は、トルクコンバータを収納するハウジングケースと前記回転要素として摩擦係合要素を収納するミッションケースとを接合して構成され、
前記エアブリーザ孔は、前記ミッションケースにおける、前記ハウジングケースと前記ミッションケースとの接合面から所定距離だけ離れた位置に形成され、
前記所定距離は、前記ケース部材を、前記ハウジングケース側を下方にして横倒した場合、及びこの逆に前記ハウジングケース側を上方にして横倒した場合に、前記ケース部材内の油が前記エアブリーザ孔を介して外部に漏洩することのない距離に設定されている、
ことを特徴とするエアブリーザ機構。 - 前記エアブリーザ孔は、前記潤滑油の移動方向にほぼ沿って形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のエアブリーザ機構。 - 前記エアブリーザ孔は、前記開口部の位置が、エアの流れに沿っての下流側よりも低く設定されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエアブリーザ機構。 - 前記ブリーザ室は、前記ケース部材の内側に突出して形成されて、前記潤滑油の流れを遮るとともに、前記開口部は、前記潤滑油の流れが直接当たらない位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のエアブリーザ機構。 - 前記開口部の開口面は、前記潤滑油の流れに対して直交する向きに設定されている、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のエアブリーザ機構。 - 前記ブリーザ室は、前記エアの流れに沿っての前記エアブリーザ孔の下流側にラビリンス構造を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のエアブリーザ機構。 - 前記開口部は、前記回転要素の回転軸の直上よりも、前記潤滑油の移動方向に沿っての下流側に配置されている、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のエアブリーザ機構。 - 前記エアブリーザ孔は、前記変速機の入力軸に沿った方向について、前記変速機のほぼ中央に配置されている、
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のエアブリーザ機構。
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