JP4130320B2 - 自動変速機の液路構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊星歯車機構と湿式多板クラッチとを隣接配置し、遊星歯車機構のキャリアおよび湿式多板クラッチの遠心キャンセラ間の隙間を用いて遊星歯車機構のピニオンシャフト内に形成した液路に流体を供給する自動変速機の液路構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動変速機の液路構造には、例えば、特開2000−220705号公報に記載のものがあり、図5は、その油路構造を備える前進6速自動変速機を例示する要部断面図である。
【0003】
図5に開示した自動変速機は、2つのサンギア211,212と1つのリングギア213との間にキャリア214に設けたピニオンシャフト215で回転自在に支持した2組のピニオン216,217を配して個々のサンギア211,212とリングギア213およびキャリア214との相互間での動力伝達を可能にするラビニヨタイプ遊星歯車機構210と、エンジン(図示せず)からの動力が入力されるインプットシャフト30に係合する回転ドラム221(221a,221b)およびラビニヨタイプ遊星歯車機構210のキャリア214に結合する回転ハブ222それぞれに設けたクラッチプレートP1,P2を互いに締結または開放させるピストン223を回転ドラム221の内部に摺動自在に収納してピストン作動用液圧室Roを形成すると共にこのピストン作動用油圧室Roと対向する位置に遠心キャンセラ224を設けた湿式多板クラッチ220とを隣接配置したものである。
【0004】
遠心キャンセラ224は、リターンスプリング225を介してピストン223を保持する一方、ピストン223の内周部との間を封するシール部材S1を有し、このシール部材S1によってピストン223および遠心キャンセラ224と共に遠心キャンセル室Rc0を画成する。この遠心キャンセル室Rc0は、ピストン223に対してそのピストン作動用油圧室Roと対向する側から作用する遠心油圧を安定化させることによってピストン動作の安定化を図るためのものである。
【0005】
また上記自動変速機は、インプットシャフト30の内部にオイルの流通する油路31が形成されており、この油路31内のオイルをインプットシャフト30の回転によって発生する遠心力を利用して排出孔31hを介してインプットシャフト30周りの各所に作動油や潤滑油として供給している。
【0006】
このうち、ラビニヨタイプ遊星歯車機構210のピニオンシャフト215およびピニオン216,217も潤滑が必要な部分の一つであるため、ピニオンシャフト215の内部にもオイルが流通する油路218が形成されている。この油路218には、ラビニヨタイプ遊星歯車機構210のキャリア214を回転ドラム221の内周部に固定した仕切板227,228を介して遠心キャンセラ224と向かい合うように接触させて、これらキャリア214および遠心キャンセラ224間に隙間ΔCoを形成し、この隙間ΔCoを用いてインプットシャフト30の油路31を経て排出孔31hから排出されたオイルを供給している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした従来の油路構造にあっては、キャリア214の側面にオイルキャッチプレートPを別体に設け、このオイルキャッチプレートPによって、キャリア214および遠心キャンセラ224間の隙間ΔCoを流通するオイルをピニオンシャフト215内に形成した油路218に導入させていたため、オイルキャッチプレートPの分だけ、自動変速機全体の軸線方向寸法が延びてしまうと同時に、部品点数が増加してしまうという不都合があった。
【0008】
加えて、こうしたオイルキャッチプレートPは、キャリア214および遠心キャンセラ224間の隙間ΔCoを封じることなく、単に、キャリア214および遠心キャンセラ224間の隙間ΔCoを流通するオイルをピニオンシャフト215内に形成した油路218に導くためのものであるため、キャリア214および遠心キャンセラ224間の隙間からピニオンシャフト215内に形成した油路218にオイルがさらに効率的に導入できるように改良の余地があった。
【0009】
本発明の解決すべき課題は、上述の事実に鑑みてなされたものであり、遊星歯車機構のキャリアおよび湿式多板クラッチの遠心キャンセラ間に形成した隙間を液路として用いて遊星歯車機構のピニオンシャフト内に形成した液路に流体を供給する自動変速機の液路構造において、自動変速機全体の軸線寸法や部品点数の増加を招くことなく、しかも、キャリアおよび遠心キャンセラ間に形成した隙間を流通する流体をピニオンシャフト内に形成した液路に効率的に導入することができるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このため、第1発明に係る、自動変速機の液路構造は、サンギアおよびリングギア間に配したピニオンをキャリアに設けたピニオンシャフトで回転自在に支持する遊星歯車機構と、回転ドラムおよび回転ハブに設けた摩擦部材を互いに締結または開放させるピストンを回転ドラムの内部に摺動自在に収納することでピストンと回転ドラムとの間にピストン作動用液圧室形成されている一方、このピストン作動用液圧室とピストンを介して対向する側の回転ドラムの内周部にピストン作動用液圧室に発生する遠心液圧をキャンセルする遠心キャンセル液圧をピストンとの間に画成する遠心キャンセラ設けられた湿式多板クラッチとを有し、この湿式多板クラッチと遊星歯車機構とを、キャリアと遠心キャンセラ向かい合うように隣接配置させてキャリアおよび遠心キャンセラ間に隙間を形成し、この隙間を用いてピニオンシャフト内に形成した液路に流体を供給する自動変速機の液路構造において、キャリアと回転ドラムとを一体に結合すると共に、遠心キャンセラとキャリアとの間に、隙間を封じて遠心キャンセラの側面とキャリアの側面との間に液室を画成するシール部材を備えるものであることを特徴とするものである。
【0011】
第2発明に係る、自動変速機の液路構造は、上記第1発明において、シール部材は、遠心キャンセラ側に設けられたものであることを特徴とするものである。
【0012】
第3発明に係る、自動変速機の液路構造は、上記第1または第2発明において、シール部材は、ピストンの内周部との接触によって該ピストンの内周部および遠心キャンセラ間に遠心キャンセル室を画成するシール部材と一体に成形されたものであることを特徴とするものである。
【0013】
第4発明に係る、自動変速機の液路構造は、上記第1乃至第3発明のいずれか一発明において、遠心キャンセラは、前記液室に流体を供給する貫通孔を有するものであることを特徴とするものである。
【0014】
【発明の効果】
このため、第1発明に係る、自動変速機の液路構造は、遠心キャンセラとキャリアとの間に、これら遠心キャンセラおよびキャリア間に形成された隙間を封じて液室を画成するシール部材を一体に備えるため、別体のオイルキャッチプレートを取り付けた場合に比べて、自動変速機全体の軸線寸法を短縮することができると同時に部品点数を削減することができる。しかも、本発明は、シール部材がキャリアおよび遠心キャンセラ間に形成した隙間を封じるため、この隙間内の流体をピニオンシャフト内に形成した液路に効率的に導入することができる。
【0015】
従って第1発明によれば、自動変速機全体の軸線寸法や部品点数の増加を招くことなく、しかも、キャリアおよび遠心キャンセラ間に形成した隙間内の流体をピニオンシャフト内に形成した液路に効率的に導入することができる。
【0016】
また第1発明は、遊星歯車機構のキャリアおよび湿式多板クラッチの回転ドラムを一体に結合したことにより、キャリアおよび遠心キャンセラ間での相対回転が発生しない。従って第1発明によれば、遊星歯車機構および湿式多板クラッチ間での動力伝達が如何なる状態であっても、シール部材によって遠心キャンセラおよびキャリア間のシール性を常時確保することができる。
【0017】
さらに第2発明によれば、上記第1発明において、上記シール部材を遠心キャンセラ側に設けるようにしたことから、他の部材を組み付ける必要のない遠心キャンセラの側面にシール部材を取り付けることができるため、シール部材の取り付けが容易になるという利点が得られる。
【0018】
加えて第3発明は、上記第1発明または第2発明において、遠心キャンセラに設けたシール部材を、ピストンの内周部との接触によって該ピストンの内周部および遠心キャンセラ間に遠心キャンセル室を画成するシール部材と一体に成形したことにより、遠心キャンセラおよびシール部材間がさらに強固に固定される。従って第3発明によれば、キャリアおよび遠心キャンセラ間に形成した隙間内に高い圧力の流体を供給することができるため、キャリアおよび遠心キャンセラ間に形成した隙間からピニオンシャフト内に形成した液路にさらに効率的に流体を導入することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、前進6速の自動変速機を参照して、本発明の一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施形態である油路構造を備える前進6速自動変速機を搭載したパワートレーンを示す断面図であり、図2は、図1に示す第1軸O1上に配した本発明に係る自動変速機のスケルトン図である。また図3は、本発明に係る前進6速自動変速機の要部を示す拡大断面図である。
【0021】
図1に示すパワートレーン1は、変速機ケース2内に3つの軸線O1,O2,O3をオフセット配置したものであって、本発明に係る前進6速自動変速機は、第1軸O1上に配した、エンジン(図示せず)からの動力が入力されるロックアップ式トルクコンバータ10と、このロックアップ式トルクコンバータ10のポンプインペラ10aによって駆動されるオイルポンプ20と、ロックアップ式トルクコンバータ10の出力をタービンランナ10bを経て入力されるインプットシャフト30と、このインプットシャフト30からの動力を入力として変速を行いアウトプットギア40に出力する変速機構部100とからなる。
【0022】
アウトプットギア40は、図1に示す如く、第2軸O2上に配したアイドラシャフト50に取り付けた第1アイドラギア51と噛合しており、このアウトプットギア40に入力された動力は、アイドラシャフト50と一体に設けた2組の第2アイドラギア52と噛合するファイナルドライブリングギア60によって第3軸上に配したディファレンシャルギア機構70に伝達される。このディファレンシャルギア機構70は、ファイナルドライブリングギア60から入力された動力を2つのアウトプットシャフト71,72に分配して車輪に伝達する。
【0023】
変速機構部100は、図2に示す如く、インプットシャフト30に伝達された動力をシングルタイプ遊星歯車機構110に入力して第1の変速を行なったのち、この出力を第1の湿式多板クラッチ(ロークラッチ)130、第2の湿式多板クラッチ(3速・5速・リバースクラッチ)140および第1湿式多板ブレーキ(2速・6速ブレーキ)150を介してラビニヨタイプ遊星歯車機構120に入力し、このラビニヨタイプ遊星歯車機構120に入力された動力を第3の湿式多板クラッチ(ハイクラッチ)160、第2湿式多板ブレーキ(ローアンドリバースブレーキ)170およびワンウェイクラッチOWCを動作させて第2の変速を行なってアウトプットギア40に出力する。
【0024】
シングルタイプ遊星歯車機構110は、図2に示す如く、インプットシャフト30に中間部材32を介して一体に取り付けたリングギア111と、変速機ケース2に固定されたサンギア112との間にキャリア113に設けたピニオンシャフト114で回転自在に支持したピニオン115を配してキャリア113がピニオン115を介してリングギア111に駆動結合する。これにより、シングルタイプ遊星歯車機構110は、リングギア111およびキャリア113の相互間での動力伝達を可能にし、インプットシャフト30からリングギア111を介して入力された動力を変速してキャリア113から出力する。
【0025】
ラビニヨタイプ遊星歯車機構120は、図2に示す如く、大小径の異なる2つのサンギア121,122と1つのリングギア123との間にキャリア124で回転自在に支持した2組のピニオン125a,125bを配して小径のサンギア121が2組のピニオン125a,125bを介してリングギア123に駆動結合する一方、大径のサンギア122もピニオン125aを介してリングギア123に駆動結合する。この場合、キャリア124は、その一方がワンウェイクラッチOWCおよびローアンドリバースブレーキ170を介して変速機ケース2cに結合すると共に、他方がハイクラッチ160を介してインプットシャフト30に駆動結合し、リングギア123は、パーキングギアGpを介してアウトプットギア40に結合する。これにより、ラビニヨタイプ遊星歯車機構120は、個々のサンギア121,122とリングギア123との相互間での動力伝達を可能にし、小径のサンギア121または大径のサンギア122から入力された動力をハイクラッチ160およびローアンドリバースブレーキ170の締結・開放に応じた変速によりリングギア123から出力する。
【0026】
ロークラッチ130は、図2,3に示す如く、シングルタイプ遊星歯車機構110に隣接配置されたものであり、シングルタイプ遊星歯車機構110のキャリア113に結合する回転ドラム131(131a,131b)およびラビニヨタイプ遊星歯車機構120の小径サンギア121に結合する回転ハブ132それぞれに設けた摩擦部材であるクラッチプレートP1,P2を互いに締結または開放させるピストン133を回転ドラム131の内部に摺動自在に収納してピストン作動用液圧室R1を形成すると共に、回転ドラム131の内周部に遠心キャンセラ134が設けられている。
【0027】
遠心キャンセラ134は、ピストン133との間に介在するリターンスプリング135を保持する一方、ピストン133の内周部との間を封するシール部材136aを有し、このシール部材136aによってピストン133および回転ドラム131と共に遠心キャンセル室Rc1を画成する。この遠心キャンセル室Rc1は、ピストン133に対してそのピストン作動用油圧室R1と対向する側から作用する遠心油圧を安定化させることによってピストン動作の安定化を図るためのものである。
【0028】
なお、変速要素となる第1〜第3クラッチ、第1,第2ブレーキの締結・開放状態およびワンウェイクラッチの動作状態と、個々の変速段との関係は、図4の作動図に示す如くなる。但し、図4では、ロークラッチ130、3速・5速・リバースクラッチ140およびハイクラッチ160それぞれを符合C1,C2,C3で示す一方、2速・6速ブレーキ150およびローアンドリバースブレーキ170をそれぞれ符合B1,B2で示し、○印は、その変速段にてクラッチまたはブレーキを締結する場合を示す。
【0029】
ところで、こうした前進6速自動変速機では、図3に示す如く、インプットシャフト30の内部にオイルの流通する油路31が形成されており、この油路31内のオイルをインプットシャフト30の回転によって発生する遠心力を利用して排出孔31hを介してインプットシャフト30周りの各所に作動油や潤滑油として供給している。このうち、シングルタイプ遊星歯車機構110のピニオンシャフト114およびピニオン115間も潤滑が必要な部分の一つであるため、ピニオンシャフト114の内部にはオイルが流通する油路116が形成されている。
【0030】
本実施形態では、シングルタイプ遊星歯車機構110のキャリア113を回転ドラム131の内周部に仕切板137を介して遠心キャンセラ134と向かい合うように固定してあるため、これらキャリア113および遠心キャンセラ134間に形成された隙間ΔCを用いて入力シャフト30の油路31から排出されたオイルをピニオンシャフト114に形成した油路116に供給する。
【0031】
このため、本実施形態では、以下の如くの構成を取り入れて自動変速機の油路構造を構成する。即ち、本実施形態の遠心キャンセラ134は、図3に示す如く、キャリア113と向かい合う側面に、シール部材136bを一体に備え、このシール部材136bがキャリア113との接触によって隙間ΔCを封じて液室を画成している。シール部材136bは、合成ゴムなどの合成樹脂からなり、本実施形態では、ピストン133の内周部および遠心キャンセラ134間に遠心キャンセル室Rc1を画成するシール部材136aと一体に成形されてシール部材136を構成しているが、シール部材136bは、既存のシール部材136aと別体に成形してもよい。
【0032】
この油路構造によれば、インプットシャフト30内の油路31を流通するオイルは、インプットシャフト30の回転によってインプットシャフト30の排出孔31hから排出されたのち、回転ドラム131aの内周部に設けた貫通孔131hおよび遠心キャンセラ134に設けた貫通孔134hを経てキャリア113および遠心キャンセラ134間に形成された隙間ΔCに導入される。このとき、隙間ΔCは、遠心キャンセラ134に一体に設けたシール部材136bがキャリア113と接触して液室を画成しているため、この液室に導入されたオイルは、ほとんど損失することなく、ピニオンシャフト114内に形成された油路116を経てピニオンシャフト114およびピニオン115間に潤滑油として排出される。
【0033】
つまり、本実施形態の油路構造では、遠心キャンセラ134のキャリア113と向かい合う側面に該キャリア113と接触するシール部材136bを一体に備えるため、図5に示す従来技術のように、別体のオイルキャッチプレートPを取り付けた場合に比べて、前進6速自動変速機全体の軸線寸法を短縮することができると同時に部品点数を削減することができる。しかも、本実施形態は、遠心キャンセラ134に設けたシール部材136bがキャリア113と接触してキャリア113および遠心キャンセラ134間に形成した隙間ΔCを封じるため、この隙間ΔC内の流体をピニオンシャフト114内に形成した液路116に効率的に導入することができる。
【0034】
従って本実施形態によれば、前進6速自動変速機全体の軸線寸法や部品点数の増加を招くことなく、しかも、シングルタイプ遊星歯車機構110のキャリア113および遠心キャンセラ134間に形成した隙間ΔC内のオイルをピニオンシャフト114内に形成した液路116に効率的に導入することができる。なお、本実施形態は、他の部材を組み付ける必要のない遠心キャンセラ134の側面にシール部材136bを一体に備えるものであるから、遠心キャンセラ134と一体にシール部材136bを設けることが容易になるという利点がある。
【0035】
また本実施形態では、シングルタイプ遊星歯車機構110のキャリア113およびロークラッチ130の回転ドラム131を一体に結合したことにより、キャリア113および遠心キャンセラ134間での相対回転が発生しない。従って本実施形態によれば、シングルタイプ遊星歯車機構110およびロークラッチ130間での動力伝達が如何なる状態であっても、遠心キャンセラ134に設けたシール部材136bによって遠心キャンセラ134およびキャリア113間のシール性を常時確保することができる。なお、シングルタイプ遊星歯車機構110のキャリア113およびロークラッチ130の回転ドラム131は、本実施形態の如く一体に結合させることなく、それぞれにギア部を設け、このギア部同士が噛合して駆動結合するものであってもよい。
【0036】
さらに本実施形態では、遠心キャンセラ134に設けたシール部材136bをピストン133の内周部および遠心キャンセラ134間に遠心キャンセル室Rc1を画成するシール部材136aと一体に成形したことにより、遠心キャンセラ134およびシール部材136b間がさらに強固に固定される。従って本実施形態によれば、キャリア113および遠心キャンセラ134間に形成した隙間内に高い圧力のオイルを供給することができるため、キャリア113および遠心キャンセラ134間に形成した隙間ΔCからピニオンシャフト114内に形成した液路116にさらに効率的にオイルを導入することができる。
【0037】
また本発明である自動変速機の油路構造は、シングルタイプ遊星歯車機構110のキャリア113が、ロークラッチ130の遠心キャンセラ134と向かい合う側面に遠心キャンセラ134との接触によって隙間ΔCを封じて液室を画成するシール部材を一体に備えるものであってもよい。
【0038】
この場合も、シングルタイプ遊星歯車機構110のキャリア113における遠心キャンセラ134と向かい合う側面に該遠心キャンセラ134と接触するシール部材を一体に備えるため、別体のオイルキャッチプレートP(図5参照)を取り付けた場合に比べて、前進6速自動変速機全体の軸線寸法を短縮することができると同時に部品点数を削減することができる。しかも、本実施形態も、シングルタイプ遊星歯車機構110のキャリア113に設けたシール部材が遠心キャンセラ134と接触してキャリア113および遠心キャンセラ134間に形成した隙間ΔCを封じるため、この隙間ΔC内のオイルをピニオンシャフト114内に形成した液路116に効率的に導入することができる。
【0039】
従ってこのような構成でも、前進6速自動変速機全体の軸線寸法や部品点数の増加を招くことなく、しかも、シングルタイプ遊星歯車機構110のキャリア113および遠心キャンセラ134間に形成した隙間ΔC内のオイルをピニオンシャフト114内に形成した液路116に効率的に導入することができる。
【0040】
さらに、かかる構成において、キャリア113および回転ドラム131は、一体に結合されたものであってもよい。この場合も、先の実施形態と同様、キャリア113および回転ドラム131間での相対回転が生じない。従ってシングルタイプ遊星歯車機構110およびロークラッチ130間での動力伝達が如何なる状態であっても、キャリア113に設けたシール部材によって遠心キャンセラ134およびキャリア113間のシール性を常時確保することができる。
【0041】
上述したところは、本発明の好適な実施形態を示したにすぎず、当業者によれば、請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、インプットシャフト30に入力される動力は、駆動源がエンジンのものに限らず、駆動源が電動モータのもの、または駆動源がエンジンおよび電動モータである所謂、ハイブリッドタイプのものであってもよい。また遊星歯車機構110のキャリア113およびロークラッチ130の遠心キャンセラ134間に形成された隙間ΔCにオイルを供給する方法は、インプットシャフト30内の油路31から排出されるものに限らず、オイルポンプ20などの油圧源から直接導入する方法など、その種類は問わない。
【0042】
さらに本発明は、湿式多板クラッチと隣接配置される遊星歯車機構をシングルタイプ遊星歯車機構に限定するものではなく、例えば、従来技術として例示した図5の場合、即ち、ラビニヨタイプ遊星歯車機構210および湿式多板クラッチ220を隣接配置して生じた隙間ΔCoにオイルなどの流体を導入する場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態である油路構造を備える前進6速自動変速機を搭載したパワートレーンを示す断面図である。
【図2】 図1に示す第1軸O1上に配した本発明に係る自動変速機のスケルトン図である。
【図3】 本発明に係る前進6速自動変速機の要部を示す拡大断面図である。
【図4】 同実施形態において、第1〜第3クラッチ、第1,第2ブレーキの締結・開放状態およびワンウェイクラッチの動作状態と、個々の変速段との関係を示す作動図である。
【図5】 従来の油路構造を備える前進6速自動変速機を例示する要部断面図である。
【符号の説明】
1 パワートレーン
2a,2b,2c 変速機ケース
10 ロックアップ式トルクコンバータ
10a ポンプインペラ
10b タービンランナ
20 オイルポンプ
30 インプットシャフト
31 油路
31h 排出孔
32 中間部材
40 アウトプットギア
50 アイドラシャフト
51 第1アイドラギア
52 第2アイドラギア
60 ファイナルドライブリングギア
70 ディファレンシャルギア機構
71,72 アウトプットシャフト
100 変速機構部
110 シングルタイプ遊星歯車機構
111 リングギア
112 サンギア
113 キャリア
114 ピニオンシャフト
115 ピニオン
116 油路
120 ラビニヨタイプ遊星歯車機構
121 小径サンギア
122 大径サンギア
123 リングギア
124 キャリア
125a,125b ピニオン
130 第1の湿式多板クラッチ(ロークラッチ)
131 回転ドラム
131h 貫通孔
132 回転ハブ
133 ピストン
134 遠心キャンセラ
134h 貫通孔
135 リターンスプリング
136a シール部材
136b シール部材
137 仕切板
140 第2の湿式多板クラッチ(3速・5速・リバースクラッチ)
150 第1湿式多板ブレーキ(2速・6速ブレーキ)
160 第3の湿式多板クラッチ
170 第2湿式多板ブレーキ(ローアンドリバースブレーキ)
ΔC 隙間
OWC ワンウェイクラッチ
Gp パーキングギア
O1,O2,O3 軸線
P1,P2 クラッチプレート
R1 ピストン作動用液圧室
Rc1 遠心キャンセル室

Claims (4)

  1. サンギアおよびリングギア間に配したピニオンをキャリアに設けたピニオンシャフトで回転自在に支持する遊星歯車機構と、
    回転ドラムおよび回転ハブに設けた摩擦部材を互いに締結または開放させるピストンを前記回転ドラムの内部に摺動自在に収納することで前記ピストンと前記回転ドラムとの間にピストン作動用液圧室形成されている一方、このピストン作動用液圧室と前記ピストンを介して対向する側の前記回転ドラムの内周部に前記ピストン作動用液圧室に発生する遠心液圧をキャンセルする遠心キャンセル液圧を前記ピストンとの間に画成する遠心キャンセラ設けられた湿式多板クラッチとを有し、
    この湿式多板クラッチと前記遊星歯車機構とを、前記キャリアと前記遠心キャンセラ向かい合うように隣接配置させて、前記キャリアおよび前記遠心キャンセラ間に隙間を形成し、この隙間を用いて前記ピニオンシャフト内に形成した液路に流体を供給する自動変速機の液路構造において、
    前記キャリアと前記回転ドラムとを一体に結合すると共に、
    前記遠心キャンセラと前記キャリアとの間に、前記隙間を封じて前記遠心キャンセラの側面と前記キャリアの側面との間に液室を画成するシール部材を備えるものであることを特徴とする自動変速機の液路構造。
  2. 前記シール部材は、前記遠心キャンセラ側に設けられたものであることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の液路構造。
  3. 前記シール部材は、前記ピストンの内周部との接触によって該ピストンの内周部と前記遠心キャンセラとの間に遠心キャンセル室を画成するシール部材と一体に成形されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の自動変速機の液路構造。
  4. 前記遠心キャンセラは、前記液室に流体を供給する貫通孔を有するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自動変速機の液路構造。
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