JP4701339B2 - 通気性接着シートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質基材をコア材とし、その両面に接着剤層を形成した通気性接着シートの製造方法および当該製造方法により得られる通気性接着シートに関する。通気性接着シートは、特にIC等の電子部品の接着に有利に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
多孔質基材をコア材とし、その両面に接着剤層を形成した通気性接着シートは古くから知られている。例えば、日本粘着テープ工業会、1995年10月12日発行の「粘着ハンドブック第二版」の72頁にはレーヨン、アラミド、ポリエステル、ガラスなどの不織布類による多孔質基材をコア材としたものが紹介されている。また、接着剤自体の強度向上の為、アラミド樹脂、ガラスクロス等の多孔質基材にエポキシ樹脂もしくはポリエステル樹脂等を含浸させた通気性接着シートも古くから検討されている。
【0003】
近年では、このような多孔質基材をコア材とした通気性接着シートを半導体装置内で使用されるICチップ接着用シートとして用いることが提案されている。これらの通気性接着シートは、多孔質基材をコア材とするため、温度サイクル試験時におけるチップと基板の線膨張係数の相違によるソリ等を緩和する効果がある。また通気性接着シートは、半導体装置実装時のリフロー処理時には、吸湿した水分の気化蒸発により発生する蒸気圧を多孔質基材の通気性により低減する効果があり、リフロー処理時に問題とされていたボイド、剥離の発生を抑制することができる。すなわち、通気性接着シートをICチップ接着用シートとして用いることにより信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0004】
このような、温度サイクル性に優れ、リフロー信頼性に優れた多孔質基材を使用した通気性接着シートは、例えば、特開平10−22325号公報、特開2000−106372号公報に述べられている。前記公報に記載されている通気性接着シートは、詳しくは、多孔質基材としてフッ素樹脂または耐熱性樹脂を使用し、接着剤層にエポキシ樹脂、エポキシ/ゴム混合物を使用したものである。当該通気性接着シートは、その実施例からも明らかなように、多孔質基材を接着剤ワニスにディップする方法、多孔質基材上に接着剤ワニスを塗布し乾燥する方法、それぞれ別途作成した多孔質基材と接着層を熱ラミネートにより貼り合わせる方法により製造されている。
【0005】
また、近年の半導体装置の軽薄短小という動きの中で前記ICチップ接着用シート(通気性接着シート)にも薄膜化の要求がある。接着剤層と多孔質基材の積層構造体である通気性接着シートの薄膜化を達成するためには、接着剤層とコア材となる多孔質基材の双方の薄膜化が必要となってくる。
【0006】
しかし、接着剤層の薄膜化は、被着体に対する接着性能を確保するために限界がある。たとえば、ICチップと基板との接着の場合には、その配線段差吸収のために20μm以上の接着層が必要となってくる。
【0007】
一方、多孔質基材の薄膜化については、前記製造方法にて通気性接着シートを製造する場合に、多孔質基材に、接着剤ワニスを塗布する際または接着剤層を熱ラミネートする際に掛かってくるテンションに耐えうる、ある一定以上の強度が必要となってくるため、多孔質基材の薄膜化は約50μmが下限であった。前記製造方法にて通気性接着シートを製造する場合に、多孔質基材の厚みがこれ以下であると、接着剤層形成時のテンションにより、多孔質基材の伸びによる積層構造体のカール発生や、多孔質基材の切れ等の不具合が発生し良好な積層構造体を得ることが難しい。このように、従来の通気性接着シートの製造方法では、コア材となる多孔質基材に一定以上の強度が必要なため、当該多孔質基材の気孔率を大きくしたり、薄膜化することが困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑み、コア材となる多孔質基材の厚さを50μm以下の薄膜とした場合にも、不具合を生じることなく、当該多孔質基材の両面に接着剤層を形成した通気性接着シートを製造する方法を提供することを目的とする。さらには当該製造方法により製造された通気性接着シートを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、以下に示す通気性接着シートの製造方法により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、多孔質基材の両面に接着剤層1および接着剤層2を有する通気性接着シートの製造方法であって、支持体上に設けられた接着剤層1上に相転換法により多孔質基材を形成する工程、次いで多孔質基材上に接着剤層2を形成する工程を有することを特徴とする通気性接着シートの製造方法、に関する。
【0011】
上記製造方法によれば、支持体上に設けられた接着剤層1上に薄膜化した多孔質基材を形成することができ、また接着剤層2形成する際には、支持体によって多孔質基材の強度が小さい場合にも多孔質基材の強度が補強され、カール、シワ、気泡混入等の外観異常の不具合がない積層構造体の通気性接着シートを作成することができる。
【0012】
前記通気性接着シートの製造方法において、接着剤層1及び接着剤層2の弾性率が、150〜250℃の温度領域で1×104 Pa以上であることが好ましい。
【0013】
前記接着剤層の弾性率を1×104 Pa以上とすることにより、通気性接着シートを被着体に貼り付ける際の熱プレス時やハンダリフロー時の熱履歴によっても、多孔質基材中への接着剤層の含浸が抑止されて、多孔質基材の空隙を保持することでき、通気性接着シートの通気性を良好に保持することができる。接着剤層の弾性率は2×104 Pa以上が好ましい。特に、5×104 〜1×109 Paであるのが好ましい。
【0014】
前記通気性接着シートの製造方法において、多孔質基材は、たとえば、ポリマーを非プロトン性極性溶剤に溶解した溶液から相転換法にて製造されたものを用いることができる。
【0015】
また、前記通気性接着シートの製造方法において、多孔質基材は、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン及びこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種のポリマーからなり、相転換法にて製造されたものを用いることができる。
【0016】
前記通気性接着シートの製造方法において、多孔質基材の厚みが、1〜50μmであることが好ましい態様である。本発明の通気性接着シートの製造方法によれば、多孔質基材の厚みが50μm以下の薄膜の場合にも不具合なく通気性接着シートを製造できる。
【0017】
前記通気性接着シートの製造方法において、多孔質基材の構造が、連続気泡多孔構造であることが好ましい一態様である。また前記通気性接着シートの製造方法において、多孔質基材の構造が、スポンジ構造であることが好ましい一態様である。
【0018】
多孔質基材の孔の形状は特に限定されるものでないが、発生した蒸気圧をスムーズに系外へ放出するためには面方向への通気性能が必要であり、連続気泡構造が好ましい。また被着体へ接着する際のプレスを考慮すると強度が必要なためスポンジ構造のものが好適である。
【0019】
さらには、本発明は、前記製造方法により製造された、多孔質基材の両面に接着剤層1および接着剤層2を有する通気性接着シート、に関する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の通気性接着シートの製造方法を、図1を参照しながら説明する。図1(1)は、支持体B上に設けられた接着剤層1の断面図である。
【0021】
支持体Bは、接着剤層1を担架するために用いられるものであり、たとえば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂等のプラスチックフィルムが用いられる。これらのなかでも取り扱い性、価格等の点でポリエステルフィルムが好ましい。また、支持体Bとして用いるプラスチックフィルムは、接着剤層1との離型性を考慮に入れるとシリコーン等で離型処理したものが好適に用いられる。支持体Bの厚さは特に制限されないが25〜75μm程度が好ましい。
【0022】
接着剤層1を形成する接着剤としては、エポキシ樹脂、エポキシ/ゴム混合物、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂(エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体等)、ジエン系ブロック共重合体(SBS、NBR、SEBS等)、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性接着剤または熱可塑性接着剤を用途に合わせて適宜に選択することができる。接着剤には、接着シートの諸特性を劣化させない範囲で前記接着剤の硬化剤、無機充填剤、有機充填剤、顔料、老化防止剤、シランカップリング剤、粘着付与剤などの公知の各種の添加剤を、必要により添加することができる。
【0023】
但し、接着剤層1は、相転換法により多孔質基材Aを形成するための土台となため、当該接着剤層1を形成する接着剤は、相転換法に用いる凝固溶剤に不溶性のものを適宜に選択して用いる。凝固溶剤が水の場合には非水溶性の接着剤層1を形成する接着剤が用いられる。凝固溶剤が水の場合に、接着剤層1に水溶性接着剤層を設けた場合には、相転換法により多孔質基材を形成する際の水中浸漬により、接着剤層が溶出し、特性低下、著しい外観異常をきたし好ましくない。
【0024】
接着剤層1を支持体B上に設ける方法は、特に限定されず、溶剤に溶解したワニスを塗布乾燥する溶液法、ホットメルト塗工法、無溶剤でモノマー成分またはモノマーの部分重合物を塗布した後に電子線等により重合させる電子線重合法等の従来公知の方法があげられる。
【0025】
上記図1(1)の接着剤層1には、図1(2)に示すように多孔質基材Aを形成する。
【0026】
多孔質基材Aを形成する材料としては、各種のポリマーを使用できるが、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエ−テルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトンまたはこれらにスルホン酸基、カルボキシル基、4級アミノ基などを導入した誘導体が好ましく用いられる。これらポリマーは単独でまたは混合して用いるられる。これらポリマーのなかでも、ハンダリフロー等のより高耐熱が必要とされる用途においては、ポリイミド、ポリアミド等の耐熱性樹脂が好適に用いられる。
【0027】
多孔質基材Aを形成する方法は、ポリマー溶液(ドープ)を一定厚みで接着剤層1上に流延塗布した後に、水やメタノールなどのポリマーの非溶解性液(凝固溶剤)中に浸漬して凝固させたり、水蒸気等雰囲気下に放置して凝固した後、水中に浸漬する相転換法を好ましく採用することができる。得られた多孔質基材は凝固溶剤から取り出して乾燥させる。
【0028】
ポリマーを溶解する溶剤としては、ポリマーを溶解し、凝固溶剤に溶解するものであれば特に制限はないが、ポリマーの溶解性、凝固溶剤との溶剤置換スピードの点から非プロトン性極性溶剤を好適に使用できる。非プロトン性極性溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を例示することができる。非プロトン性極性溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。また非プロトン性極性溶剤には、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチリングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2 −ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等の溶剤を混合して、溶剤置換の速度を調整してもよい。
【0029】
前記ドープは、好ましくは−20〜80℃の温度範囲で塗布される。また、凝固溶剤としては用いる樹脂を溶解せずに、上記溶剤と相溶性を有するものであれば限定されないが、たとえば水やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類及びこれらの混合液が用いられ、特に水が好適に用いられる。浸漬時の凝固溶剤の温度は特に限定されないが、好ましくは0〜80℃の温度である。
【0030】
ドープのポリマー濃度は5〜25重量%の範囲が好ましく、7〜20重量%がより好ましい。濃度が高すぎると、粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難になるし、濃度が低すぎると多孔質膜が形成できないからである。ドープには、孔径形状や孔径コントロールのために硝酸リチウムのような無機物やポリビニルピロリドンのような有機物を添加することもできる。添加物の濃度は溶液中に1〜10重量%まで添加するのが好ましい。硝酸リチウムを添加すると溶剤と凝固溶剤との置換速度が速く、スポンジ構造の中にフィンガーボイド構造(指状にボイドを有する構造)を形成できる。ポリビニルピロリドンのような凝固スピードを遅くする添加剤を加えると、スポンジ構造が均一に広がった多孔質基材を得ることができる。
【0031】
多孔質基材Aの孔径、気孔率は特に制限されないが、通気性と強度のバランスから平均孔径0.1μm以上が好ましい。より好ましくは0.2〜4μmである。また気孔率については20〜95%が好ましい。より好ましくは30〜80%である。
【0032】
多孔質基材Aの厚さは1〜200μmが好ましく、特に薄膜化が要求される場合は1〜50μm、さらに薄膜化が必要な場合は1〜20μmが好適である。1μmより薄い場合は、通気性能が十分でなく、発生した蒸気圧をスムーズに系外へ放出することが困難となり、ウキ、剥離等の異常を発生しやすくなる。
【0033】
次いで、多孔質基材A上には、図1(3)に示すように接着剤層2を設ける。接着剤層2を形成する接着剤としては、接着剤層1の形成に用い接着剤と同様の熱硬化性接着剤または熱可塑性接着剤を用途に合わせて適宜に選択することができる。接着剤層2を形成する接着剤としては、接着剤層1の形成に用い接着剤のような非水溶性である等の制限はない。
【0034】
接着剤層2を多孔質基材A上に設ける方法は、特に限定されず、別途キャリアフィルム上に作成した接着剤層2を多孔質基材A上に熱ラミネーター等により貼り合わせる転写方式や多孔質基材A上に直接塗布し形成する直写方式を採用できる。多孔質基材Aの通気性を保持させるには、直写方式が多孔質基材Aと接着剤層1、2との密着性が良好で好ましい。直写方式としては、溶剤に溶解したワニスを塗布乾燥する溶液法、ホットメルト塗工法、無溶剤でモノマー成分またはモノマーの部分重合物を塗布した後に電子線等により重合させる電子線重合法等の従来公知の方法があげられる。
【0035】
このようにしてコア材となる多孔質基材Aの両面に形成された接着剤層1および接着剤層2の弾性率は前述の通り、150〜250℃の温度領域で1×104 Pa以上であることが好ましい。また接着剤層1及び接着剤層2の厚さはそれぞれ5〜100μmが好ましく、特に20〜50μmが好ましい。
【0036】
また、このようにして製造される通気性接着シートのトータルの厚みは、20〜300μmが好ましく、さらには50〜100μmが好ましい。通気性接着シートのトータルの厚みの好ましい下限値20μmは接着性能と通気性能を実質的に両立させうることを、上限値300μmは接合物が厚くなるとことを考慮したものである。
【0037】
【発明の効果】
本発明の通気性接着シートの製造方法では、支持体上に設けられた接着剤層上に多孔質基材を形成し、さらにその上に接着剤層を形成するため、コア材となる多孔質基材として強度の小さいものの使用も可能であり、多孔質基材の気孔率、孔径、厚みを任意に設定することができ、通気性接着シートの薄膜化も可能である。
【0038】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0039】
(接着剤ワニス1の調製)
ジエン系ブロック共重合体(タフテックM1943,旭化成工業株式会社製)100重量部、ロジン樹脂(KE604,荒川化学工業株式会社製)10重量部、エポキシ樹脂(TETRAD−C,三菱瓦斯化学工業株式会社製)0.2重量部、シランカップリング剤(KBM−403,信越化学工業株式会社製)2重量部およびトルエン400重量部を混合して樹脂固形分21.9重量%の接着剤ワニス1を調製した。
【0040】
(接着剤ワニス2の調製)
アクリロニトリルブタジエンゴム(PNR−1H,JSR株式会社製)20重量部、エポキシ樹脂(YX−4000H,油化シェルエポキシ株式会社製)44重量部、フェノール樹脂(タマノルP−180,荒川化学工業株式会社製)35重量部、イミダゾール(キュアゾール2PZ−CN,四国化成工業株式会社製)1重量部およびメチルエチルケトン100重量部を混合して樹脂固形分50重量%の接着剤ワニス2を調製した。
【0041】
(接着剤ワニス3の調製)
接着剤ワニス1の調製において、エポキシ樹脂を加えなかったこと以外は接着剤ワニス1と同様組成を有する同様の樹脂固形分の接着剤ワニス3を調製した。
【0042】
(ポリマー溶液1の調製)
BTC系ポリイミド(ブタンテトラカルボン酸とジアミノジフェニルエーテルを熱イミド化したポリマー,日東電工株式会社製)16重量部、ポリビニルピロリドン(K−90,アイエスピージャパン株式会社製)7重量部、N−メチル−2−ピロリドン71重量部および水6重量部を混合してポリマー溶液1を調製した。
【0043】
(ポリマー溶液2の調製)
BTC系ポリイミド(ブタンテトラカルボン酸とジアミノジフェニルエーテルを熱イミド化したポリマー,日東電工株式会社製)18重量部、N,N−ジメチルホルムアミド41重量部およびジグライム41重量部を混合してポリマー溶液2を調製した。
【0044】
(ポリマー溶液3の調製)
BTC系ポリイミド(ブタンテトラカルボン酸とジアミノジフェニルエーテルを熱イミド化したポリマー,日東電工株式会社製)100重量部、ポリビニルピロリドン(K−90,アイエスピージャパン株式会社製)40重量部、N−メチル−2−ピロリドン900重量部および水40重量部を混合してポリマー溶液3を調製した。
【0045】
実施例1〜3および参考例1
表1に示す接着剤ワニスを、支持体として用いる離型処理した38μmのポリエステルフィルム上に塗布した後、150℃に加熱して溶剤を除去することにより厚み20μmの接着剤層1を形成した。次いで、表1に示すポリマー溶液を塗布、流延した後、水中に浸漬して凝固させ、次いで洗浄、乾燥して相転換法によりコア材となる多孔質基材を厚み20μmにて形成した。次いで、その多孔質基材面(接着剤層1の反対面)上に接着剤層1と同様にして接着剤層2を厚み20μmとなるように形成することにより、通気性の多孔質基材をコア材とする両面接着シートを製造した。
【0046】
実施例4
表1に示す接着剤ワニスを、支持体として用いる離型処理した38μmのポリエステルフィルム上に塗布した後、150℃に加熱して溶剤を除去することにより厚み20μmの接着剤層1を形成した。次いで、表1に示すポリマー溶液を塗布、流延した後、水中に浸漬して凝固させ、次いで洗浄、乾燥して相転換法によりコア材となる多孔質基材を厚み20μmにて形成した。次いで、その多孔質基材面(接着剤層1の反対面)上に接着剤層1と同様にして形成した厚み20μmの接着剤層2を温度90℃、圧力5×105 Paの条件にて熱ラミネートし、通気性の多孔質基材をコア材とする両面接着シートを製造した。
【0047】
比較例1
接着剤ワニス1を、離型処理したポリエステルフィルム上に塗布した後、150℃に加熱して溶剤を除去することにより厚み20μmのシート状の接着剤層1を形成した。そして、このシート状接着剤層を、厚み150μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の多孔質基材の両面に、温度90℃、圧力5×105 Paの条件にて熱ラミネートすることにより、通気性基材をコア材とする両面接着シートを製造した。
【0048】
比較例2〜3
表1に示す接着剤ワニスを、離型処理したポリエステルフィルム上に塗布した後、150℃に加熱して溶剤を除去することにより厚み20μmのシート状接着剤層を形成した。そして、このシート状接着剤層を表1に示す厚み25μmのポリイミドフィルム基材(ユーピレックス25S、宇部興産株式会社製)の両面に、温度90℃、圧力5×105 Paの条件にて熱ラミネートすることにより、耐熱性フィルム基材をコア材とする両面接着シートを製造した。
【0049】
比較例4
工程フィルムとして用いる38μmのポリエステルフィルム上に、表1に示すポリマー溶液を塗布、流延した後、水中に浸漬して凝固させ、次いで洗浄、乾燥してから工程フィルムを除去することにより、コア材となる多孔質基材のみの層を厚み20μmにて形成した。次いで、実施例1と同様の手法にて厚み20μmの接着剤層1を形成し、もう一方の多孔質基材面にも同様に厚み20μmの接着剤層2を形成することにより、通気性の多孔質基材をコア材とする両面接着シートを製造した。
【0050】
このようにして得られた各実施例、比較例の両面接着シートについて引張弾性率、温度サイクル性、耐リフロー性を下記に示す方法に従って評価した。これらの評価結果を表1に示す。なお、多孔質基材の気孔率、孔径は以下の方法により測定した。
【0051】
(気孔率)
気孔率(%)={(重量/密度)/容積}×100
多孔質膜の容積と重量を測定し、多孔質膜素材の密度を用いて上式により、空孔率を求めた。
【0052】
(孔径)
多孔質膜について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、写真撮影を行い、その写真のコンピュターによる画像解析から平均孔径を求めた。
【0053】
<引張弾性率の測定>
多孔質基材に積層前の接着シート(または接着剤層を直接塗布した場合には同様の接着剤ワニスから接着剤層を別途形成したもの)を150℃で60分間過熱し、その後、レオメトリックス社製の粘弾性スペクトルメータ(ARES)を用いて、サンプルサイズ〔5mm幅×100μm厚〕、昇温速度5℃/min、周波数1Hz、引張モードにて測定を行い、250℃における引張弾性率を測定した。
【0054】
<温度サイクル性>
40mm角のSUS304に両面接着シートを80℃のラミネーターにて貼り合せ、ポリイミドフィルム基材(ユーピレックス75S、宇部興産株式会社製)を用いたフレキシブルプリント基板をプレス機にて150℃、1Mpa、10secにて貼り合せ、熱風オ−プン中にて150℃で1時間硬化させた。このサンプルを−55℃で30分放置し、その後、125℃に30分放置する工程を1サイクルとし1000サイクル試験を行い、外観異常の有無を観察した。外観異常なきものを○、剥離・ボイド等外観異常発生しているものを×とした。
【0055】
<耐リフロー性>
40mm角のSUS304に接着シートを80℃のラミネーターにて貼り合せ、ポリイミドフィルム基材(ユーピレックス75S、宇部興産株式会社製)を用いたフレキシブルプリント基板をプレス機にて150℃、1MPa、10secにて貼り合せ、熱風オーブン中にて150℃で1時間硬化させた。次いで、35℃/85%RHの加湿条件中に168時間放置後、直ちにMAX温度260℃のハンダリフロー炉に投入し、外観異常の有無を観察した。外観異常なきものを○、剥離・ボイド等外観異常発生しているものを×とした。
【0056】
【表1】
表1からも明らかなように実施例1〜4は比較例1と比べて多孔質基材が薄いにもかかわらず、接着剤層に熱硬化性材料または熱可塑性材料を使用しているいずれの場合にも温度サイクル試験および耐リフロー性ともに優れていた。また、実施例では、多孔質基材の伸びによる積層構造体のカール発生や、多孔質基材の切れ等の不具合が発生していない。なお、参考例1は、接着剤層の弾性率が低い場合の例であり、高温領域で流動する温度サイクル性には優れていたが、対リフロー性で剥離・ボイドの発生があった。
【0057】
コア材に多孔質基材ではないフィルム基材を用いた比較例2および比較例3については、比較例2の場合には、接着剤層に低弾性材料を使用しているため、温度サイクル性には優れるが、耐リフロー性にて剥離・ボイドの発生が認められ、比較例3の場合には、接着剤層に弾性率の高いエポキシ系の接着剤を使用しており、対リフロー性には優れるものの、温度サイクル性との両立は困難であった。比較例4は、工程フィルムを用いていないため、多孔質基材の伸びによる積層構造体のカール発生や、多孔質基材の切れ等の不具合が発生している。
【0058】
以上のように、本発明における通気性基材をコア材とした接着シートの製造方法を用いることにより、温度サイクル性、対リフロー性等の必要機能を保持したまま、通気性接着シートの薄膜化が可能であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の通気性接着シートの製造方法の概略部である。
【符号の説明】
A 多孔質基材
B 支持体
1 接着剤層
2 接着剤層
Claims (7)
- 多孔質基材の両面に接着剤層1および接着剤層2を有する通気性接着シートの製造方法であって、
支持体上に設けられた接着剤層1上に相転換法により多孔質基材を形成する工程、次いで多孔質基材上に接着剤層2を形成する工程を有することを特徴とする通気性接着シートの製造方法。 - 接着剤層1及び接着剤層2の弾性率が、150〜250℃の温度領域で1×104Pa以上であることを特徴とする請求項1記載の通気性接着シートの製造方法。
- 多孔質基材が、ポリマーを非プロトン性極性溶剤に溶解した溶液から相転換法にて製造されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の通気性凝着シートの製造方法。
- 多孔質基材が、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン及びこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種のポリマーからなり、相転換法にて製造されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の通気性接着シートの製造方法。
- 多孔質基材の厚みが、1〜50μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の通気性接着シートの製造方法。
- 多孔質基材の構造が、連続気泡多孔構造であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の通気性接着シートの製造方法。
- 多孔質基材の構造が、スポンジ構造であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の通気性接着シートの製造方法。
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